β-カロテン

β-カロテンの評価 S

β-カロテン

カロテノイド(カロテン類)の1種

カロテノイドはファイトケミカルの1種です。野菜・果物・動物などに含まれる黄・赤・オレンジなどの色素成分の総称のことをいいます。

自然界には750種類以上のカロテノイドが存在すると言われています。

カロテノイドは大きくカロテン類キサントフィル類に分けることができます。
750種類以上のうち約50種類がカロテン類、約700種類がキサントフィル類です。

β-カロテンはカロテノイド(カロテン類)の1種です。

ヒトの血中に存在する主要なカロテノイドの1つ

普段の食生活において、ヒトは約50種類のカロテノイドを食品から取りいれています。
そのうち約20種類が血液中に存在します。

その中でβ-カロテン、α-カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチンの6つを「ヒトの血中に存在する主要なカロテノイド」として括っています。

 

プロビタミンA

食品中から摂取されるビタミンAの形態は大きく2つに分けられます。
動物性食品に含まれる「レチニルエステル」と植物性食品に含まれる「プロビタミンA」です。

プロビタミンAとは生体内で「ビタミンA効力を示す物質に変換されるもの」の総称をいいます。

プロビタミンAは約50種類存在します。ヒトの血中に存在する主要なカロテノイドのうちプロビタミンAはβ-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチンの3つです。

プロビタミンAはビタミンAが不足している時に 必要とする量だけビタミンAに変換され、ビタミンAが十分に存在する時には ビタミンAに変換されないという性質があります。
そのため「ビタミンAの過剰」は基本的に心配いりません。

ビタミンAの過剰

ビタミンAの過剰症には、慢性と急性の症状があります。
慢性の中毒症状は、関節や骨の痛み、皮膚乾燥、脱毛などです
急性の中毒症状は、腹痛・嘔吐・めまい・過敏症などが出現し、その後に全身の皮膚落屑がみられます。

ビタミンAの過剰症は、ビタミンAを大量に服用する or ビタミンAを多量に含有する食品(うなぎ・レバーなど)を摂取することにより発生する可能性があります。
連日 25,000IU( 7,500μgRAE )を摂取すると慢性症状が出現すると言われます。

 

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プロビタミンAの生体利用率

プロビタミンAのビタミンAとしての生体利用率は次です。

 β-カロテンの場合 1/12 

β-カロテンは摂取されると 小腸粘膜吸収上皮細胞内で、開裂酵素β-カロテン-15,15′-モノオキシゲナーゼ(BCMO1)の作用により中央開裂し2分子のレチナールを生成します。

β-カロテンが体内でビタミンAとして利用される率はおよそ1/12となります。
β-カロテンのビタミンA(レチノール)の転換効率が50% & β-カロテンの吸収率が1/6のため【1/2(転換効率)×1/6(吸収率)=1/12】です。

ここでは

  • 2分子レチールを生成する
  • レチールへの転換率が1/2 × β-カロテンの吸収率が1/6 
    ゆえにビタミンAとしての生体利用率はおよそ1/12

を、わけて覚えてください。つまり「2分子のレチールを生成するβ-カロテンは、2分子のビタミンA(レチール)に変換されるではなく、重量当たりで1/12のビタミンA(レチール)に変換される」です。

※レチナールとレチノールの違いに注意。

 

 他のプロビタミンA 1/24 

α-カロテン、β-クリプトキサンチン、他のプロビタミンA
は、中央開裂により1分子のレチナールを生成します。ということで(β-カロテンの1/2なので)、α-カロテン、β-クリプトキサンチン、他のプロビタミンAが体内でビタミンAとして利用される率はおよそ1/24となります。

 

 

ここでの話は食事由来に限ります。サプリメントからだと率は異なります。
β-カロテンサプリのビタミンAの生体利用率は1/2程度です。

なお、サプリメントとして摂取する油溶化β─ カロテンは、ビタミン A としての生体利用率が1/2 程度なので、従来どおり2 µg のβ─カロテンで1 µg のレチノールに相当し、食品由来のβ─カロテンとは扱いが異なる。

引用元
5. 1. 1.ビタミン A
厚生労働省

ビタミンAについてさらっと

ビタミンAは一般的には3種類(レチノール・レチナール・レチノイン酸)のことを指します。狭義にはレチノールのみを指します。ちなみに、ビタミンAおよびその誘導体やビタミンAに類似した合成化合物を総称してレチノイドと呼びます。

細胞内でレチノールが酸化されるとレチナールに、レチナールがさらに酸化されるとレチノイン酸になります。

ビタミンAの主たる供給源は、
動物性食品に含まれる「レチニルエステル」と

植物性食品に含まれる「プロビタミンA


です。

話をわかりやすくするためにここでは、ビタミンA(レチノールとして説明します。

レチニルエステルはビタミンA(レチノール)と脂肪酸のエステルです。食品に含まれるレチニルエステルは、小腸吸収上皮細胞において加水分解を受けビタミンA(レチノール)となって細胞内に取り込まれます。

プロビタミンAは、小腸吸収上皮細胞(あるいは肝臓、腎臓)でレチナールに分解されて、ビタミンA(レチノール)に変換されます。

ビタミンA(レチノール)は細胞内では再度エステル化されます。再エスチル化されたレチニルエステルはカイロミクロンに組み込まれ、その後リンパ管を経て肝臓に運ばれ「レチニルエステル」として貯蔵されます。

体内に取り入れられたビタミンAのほとんどは「レチニルエステル」として肝臓に貯蔵されます。


出典元
エイジングケア
アベンヌの皮膚科学研究所
(株)ピエール ファーブル ジャポン

レチニルエステルは、必要に応じてエステル体からビタミンA(レチノール)に変換されます。
そして血流により標的組織に運ばれます。
その細胞内にてレチナール、レチノイン酸に酸化され、活性型となり「ビタミンAの生理作用」を発揮します。

なおビタミンAの生理活性の大半を担うのはレチノイン酸です。レチノイン酸が、標的とする細胞内で核内受容体を介した遺伝子発現を調節することによりその生理機能を発揮します。

ビタミンAの生理作用のうち、視覚の機能維持はレチナールの働きです。

ビタミンAの生理作用のうち目に対しては主にレチナール
目以外の全身に対しては主にレチノイン酸が担当しているものと捉えてください。

 

β-カロテンの働き

ビタミンAの生理作用は視覚の機能維持、皮膚・粘膜の健康維持、成長促進、抗ガン作用、細胞の分化・増殖などです。

β-カロテンはプロビタミンAとしてビタミンAの生理作用を発揮します。上記の働きすべて有することになります。

当然ですが、プロビタミンAのビタミンAとして効力はビタミンAそのものより劣ります。
が、先に説明したように「ビタミンAの過剰」の心配が基本いらないといったメリットもあります。
なので、β-カロテンはビタミンAの供給源として(ビタミンAそのものより)ベターと捉えることもできます。

なおβ-カロテンはビタミンA作用以外にも抗酸化作用や免疫賦活作用があります。

 

β-カロテンの効果・効能

ビタミンA作用

ビタミンA(レチノール・レチナール・レチノイン酸)は視覚の機能維持、上皮細胞の機能維持、成長促進、抗ガン作用、細胞の分化・増殖などさまざまな生理作用を示します。

細胞内でレチノールが酸化されるとレチナールに、レチナールがさらに酸化されるとレチノイン酸になります。
ビタミンAの生理活性の大半を担うのはレチノイン酸です。レチノイン酸が、標的とする細胞内で核内受容体を介した遺伝子発現を調節することにより、ビタミンAの生理機能を発揮します。
なお視覚の機能維持はレチナールの働きです。基本的に、ビタミンAの視覚への作用の活性本体はレチナール、その他全身への作用の活性本体はレチノイン酸と考えてください。

 

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プロビタミンA
プロビタミンAとは生体内で「ビタミンA効力を示す物質に変換されるもの」の総称をいいます。
プロビタミンAの代表と言えるのがβ-カロテンです。β-カロテンはプロビタミンAの中で最も効率よくビタミンAに変換されます。

ということで、体内でβ-カロテンは視覚の機能維持、上皮細胞の機能維持、成長促進、抗ガン作用、細胞の分化・増殖などの働き=ビタミンA作用を発揮します

当然ですが、ビタミンAそのものと比べるとその効力は劣ります。
※ビタミンAへ変換率は食品の場合 約1/12、サプリの場合 約1/2です。

ただし、ビタミンAに比べて過剰症の心配がないという長所があります。

ビタミンAへ変換される量は体内のビタミンAの量による、すなわち β-カロテンは、ビタミンAが不足している時に 必要とする量だけビタミンAに変換され、ビタミンAが十分に存在する時には ビタミンAに変換されないという性質をもちます。

なので、ビタミンA(ビタミンA作用)を得たいと考えた場合に、「オプション」としてではなく「スタンダード」としても十分に活躍します。
事実 我々日本人はビタミンAの多くをβ-カロテンより取っていると言われています。

 

抗酸化作用(一重項酸素消去能)

通常の酸素分子は基底状態で三重項酸素と呼ばれています。

一重項酸素は「基底状態の三重項酸素分子がエネルギーを受け取ることで、一重項状態に励起された酸素分子」のことです。

一重項酸素は紫外線によって皮下組織で大量に発生します。


※活性酵素→活性酸素に訂正

一重項酸素の電子そのものは、一応すべてペアになっています。なので不対電子を持っていません=フリーラジカルではありません。ですが、片側に空の軌道がありそこに電子を強く求めます。そのため非常に強い酸化力を持っているといえます。

出典元
医学部 TOPICS_4
トマト大学
カゴメ(株)

一重項酸素は【比較的 寿命は短いのですが、反応性が非常に高く】接触した不飽和脂肪酸の二重結合に直接作用して過酸化脂質を生成します。

カロテノイドには一重項酸素を消去する力があります。

 

カロテノイドは

一重項酸素のエネルギーを吸収して安定な基底状態(三重項状態)に戻します

.

カロテノイドの¹O₂消去の特徴は物理的消去である。すなわち,化学反応に由来せず,一重項酸素から励起エネルギーを受け取ることにより励起されたカロテノイドは熱エネルギーを放出し,それ自体はカロテノイドにもどる。

引用元
カロテノイドの吸収代謝と生理活性
J-STAGE

ということで、カロテノイドの一種であるβ-カロテンは、一重項酸素に対する消去能を有します。

 

 

リコピンやアスタキサンチンのほうが・・・
β-カロテンの一重項酸素に対しての消去能は、カロテノイドの中では3番目~5番目の位置づけです。

出典元
医学部 TOPICS_4
トマト大学
カゴメ(株)

逆の場合も

カロテノイドの一重項酸素に対する消去活性は書籍・サイトによりけりです。
上位2つ(アスタキサンチン・リコピン)は逆の場合もあります。

なので一重項酸素の消去のみを目的とするならば、リコピンやアスタキサンチンを摂取することをお勧めします。

ただしβ-カロテンにはこの2つにはない「プロビタミンAとしてビタミンAの生理作用を発揮する」といった働きがあります。

これはβ-カロテンが「ビタミンAが足りていない時にビタミンAとして働き、十分あるときは、β-カロテンとして一重項酸素に対する消去能を発揮する」といった【優れた機能】を持っていることになります。

 

β-カロテンのサプリメントによくあるキャッチフレーズ集

  • 野菜不足の方や、長時間パソコンに向かう方におすすめ
  • 皮膚や粘膜の健康を維持に
  • 夜間の視力の維持を助ける
  • 若々しさの維持や、生活習慣対策に役立つ
  • 強い抗酸化作用で老化防止

 

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β-カロテンの摂取量、不足、過剰

β-カロテンの摂取量
β-カロテンはビタミンAの摂取量と関係があります。

ビタミンAの推奨量と耐用上限量は次の通りです。

◆推奨量
800~900
μgRAE/日(成人男性) 
650~700
μgRAE/日(成人女性)
※数値は年代により異なる

◆耐用上限量 
2700μgRAE/日(成人)

参照 日本人の食事摂取基準(2015年版)

ビタミンAの効力を示す単位はRAE(レチノール活性当量)あるいはIU(国際単位)が用いられます。
1μgRAEはレチノールとして1μg1IUはレチノールとして0.3μgです。

先ほどのビタミンAの量は、レチノールとプロビタミンAを合わせた数値です。
レチノール 1μgβ-カロテン 12μgに相当します
※サプリからは取る場合はβ-カロテンの相当量は異なります。

 
β-カロテンの不足
β-カロテンはファイトケミカルのカロテノイドです。5大栄養素に含まれていないので、β-カロテンの不足は気にする必要はありません。

ただ、ビタミンAの不足と関連があります。
というのも、日本人はビタミンAの多くを(プロビタミンAである)β-カロテンより取っているとされているからです。

ビタミンAの不足について簡単にまとめると以下になります。


欠乏症
:夜盲症 :角膜軟化症 :皮膚・粘膜の乾燥化 :免疫機能低下による細菌感染症

不足ぎみ
:目が乾燥する :暗い所で見にくくなる :肌がかさつく :風邪をひきやすくなる :抜け毛が増える

ビタミンAの欠乏症で特に有名なのは暗いところで目が見えにくくなる「夜盲症」です。ビタミンAが不足しているとロドプシンが合成されなくなり夜盲症が起こります。

 
β-カロテンの過剰
ビタミンAの過剰症について説明します。
ビタミンAの過剰症には、慢性と急性の症状があります。
慢性の中毒症状は、関節や骨の痛み、皮膚乾燥、脱毛などです。
急性の中毒症状は、腹痛・嘔吐・めまい・過敏症などが出現し、その後に全身の皮膚落屑がみられます。

ビタミンAの過剰症は、ビタミンAサプリを大量に服用する or ビタミンAを多量に含有する食品(うなぎ・レバーなど)を摂取することにより発生する可能性があります。
連日 25,000IU( 7,500μgRAE )を摂取すると慢性症状が出現すると言われます。

β-カロテンからの摂取だと上記に関しては、基本 心配する必要がありません。
ビタミンAの過剰症対策として、ビタミンAの必要量はβ-カロテンから多めに取ることをお勧めします。

柑皮症

β-カロテンを度を過ぎて摂取すると、柑皮症(かんぴしょう)になる場合があります。

柑皮症はカロテノイドを多く摂取した場合に起こるものです。手のひらや足の裏が黄色くなる症状がでます。

ただし特別な治療をする必要はなく、黄色くなったと感じたらカロテノイドの摂取を控えることで症状は回復します。

β-カロテンの豆知識

油と一緒
β-カロテンは脂溶性の栄養素です。なので食事からβ-カロチンを効率的に補給するためには、油を使った調理がおすすめです。


例えば、にんじんのみを食べた時に吸収されるβ-カロテンの量を1とした場合、植物油をプラスすると2.7までUPします。

参照
植物油で「ビタミン」をとりましょう!
キューピー(株)

 
他カロテノイドと競合?
β-カロテンの吸収は他のカロテノイドと競合する可能性があるとされています。特にルテインとの相性が悪いとのことです。

種々のカロテノイドが共存する食品を摂取したとき,カロテノイドの間で吸収に競合が起きる可能性が示唆されている。たとえば,β-カロテンとルテインを同時に摂取するとβ-カロテンはルテインの吸収を抑制し,ルテインは β-カロテンの吸収を抑制するとの結果が報告されている。

引用元
カロテノイドの吸収代謝と生理活性
J-STAGE

気になる方は、サプリであれば β-カロテンと他のカロテノイドを一緒に取るのをお避け下さい(食事だとカロテノイドを分けるのは現実的に無理だと思います)。

なお、個人的にはまったく気にしていません。

理由は次の2点です。

①実際に競合が起きているか不明
小出しにしてちょっとアレですが、先ほどの引用元の文章には続きがあります。
実際に競合が起きているか分からないとのことです。

一方では,β-カロテンの長期投与によって血漿中の他のカロテノイドレベルが影響されることはないとの報告もあり,カロテノイド間の競合が実際に起きているのか明らかではない。

引用元
カロテノイドの吸収代謝と生理活性
J-STAGE

②カロテノイド複合サプリ
国内・国外問わず 数多くのサプリメーカーより 他のカロテノイドと一緒くたとなった複合サプリが販売されています。


個人的な意見として
カロテノイドの競合を気にしていたらキリがないと思います。
仮に競合するとしても、ある程度なら許容すべきだと思います。
ということで、個別に取るよりコスパが良い複合サプリをよく利用しています。

 

 

β-カロテンと相性の良い栄養成分

・ビタミンC
・ビタミンE

 

β-カロテンのレーダーチャート解説

評価基準

  • 6 
    このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる
  • 5 
    このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる

  • このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる
  • 3.5 
    このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない

  • このカテゴリーになんらかの効果があるもの

  • このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる

  • このカテゴリーとは関係ないと思われる

※4以上が摂取目的となっているカテゴリー 

 

 

β-カロテン総合評価 S 17

 総合評価について
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS  18点
S  16点以上
A+ 14点以上
A  12点以上
B+ 10点以上
B  9点以下

 髪(薄毛)評価5 
髪は皮膚(表皮)の細胞が変化(角化)して作られるものです。ビタミンAは皮膚の代謝(=頭皮の代謝)を正常にする働きをします。頭皮の皮脂の過剰分泌を防ぐあるいは乾燥を防ぐことで健やかな髪を生み出す環境を作り上げます。

参照 
薄毛が気になりだしたらビタミンA不足を疑え!
からだケア 日経Gooday

さて、ビタミンAは髪の健康に有効な成分なのですが、過剰に摂取すると逆効果になります。逆効果、すなわち脱毛につながります。
β-カロテンから摂取することでこのマイナス点を気にする必要がなくなります。薄毛改善目的でビタミンAを体内で増やすと考えた場合は、β-カロテンからがベターかもしれません。

 

 

 肌(美肌)評価6 
「光老化」とは、太陽光線を浴び続けることにより、皮膚に現れるシミ、シワ、たるみなどの老化現象のことをいいます。

光老化の原因は紫外線です。
紫外線には、紫外線UVAと紫外線UVBがあり、波長の長さにより肌への到達が異なります。

地上に届く紫外線の約95%はUVAです。UVAは浸透力が強く、浴びた2~3割が肌の奥の真皮にまで到達します。そしてそこで活性酸素を生み出します。
UVAにより生じる活性酸素は、肌のハリや弾力を生み出すコラーゲンやエラスチンといったたんぱく質を変性させてしまいます。イコールしわ・たるみの原因となります。
UVAにより生じる活性酸素は主に一重項酸素です。

一重項酸素を消去する力があるβ-カロテンは光老化による肌老化を防ぎます

 

また、βカロテンはプロビタミンAとしてビタミンA作用を発揮します。

ビタミンAの美肌効果をざっとまとめると以下になります。

  1. 皮膚の健康維持
    上皮細胞の機能維持に働くビタミンAは皮膚の健康維持に貢献しています。
    不足すると乾燥肌になったり、ニキビができたりと肌トラブルが多くなります。
  2. 繊維芽細胞を活性
    繊維芽細胞は真皮を構成している美肌成分(コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸)を産生する細胞です。
    加齢などが原因で繊維芽細胞の機能が衰えると 美肌成分が不足します。その結果「しわ・たるみ」となって肌に現れます。ビタミンAには繊維芽細胞を活性させる働きがあります。
  3. 繊維芽細胞のDNA修復
    紫外線を浴びると直接(紫外線UVB)および活性酸素を介して(紫外線UVA)、真皮層にある繊維芽細胞のDNAがダメージを受けてしまいます。ビタミンAは損傷を受けたDNAに働きかけダメージを修復させます。
  4. 肌のターンオーバーの正常化
    ビタミンAは細胞の分化・増殖に関わっています。この働きは肌においては肌のターンオーバーを促進し正常にさせる作用をもたらします。

β-カロテンを摂取することでこれら効果も得られます。
β-カロテンは肌に良い栄養素の1つです。

 

 体型(筋肉)評価3.5 
マウス実験で、「β-カロテンの摂取によりたんぱく質合成を促進し、筋肥大を引き起こす」ことが確認されています。β-カロテンを摂取したマウスのヒラメ筋重量の増加が観察されています。

参照
骨格筋量調節におけるβ-カロテンの役割と新規分子機構の解明
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)

1-II-3 骨格筋肥大を誘発するβ-カロテンの作用機序について(一般演題要旨,ビタミン・バイオファクター研究のさらなる魅力~大和まほろぱからの発信~,第67回大会講演要旨)
J-STAGE

 

 体力(普段)評価4.5 
β-カロテンは免疫力を高める働きをします。白血球の増やしたりすることで免疫力を増強させます。

さて、ビタミンAも免疫力を増強させる成分として有名です。
なのでβ-カロテンはビタミンAに変換されて、つまりビタミンA作用として免疫力を高める働きをすると考えることができます。

が、免疫賦活作用はβ-カロテン独自の働きとして別枠にされています。

また、ビタミンAとしての機能以外で、βカロテンは抗酸化作用および免疫賦活作用などがあることが報告されています。

引用元
ビタミンA / βカロテン
大塚製薬(株)

β-カロテンは、β-カロテンそのもの&ビタミンAに変換されての両方で免疫力を上げると捉えることができます。

 

 その他(抗酸化)評価6 
カロテノイドの一種であるβ-カロテンは、一重項酸素に対する消去能を有します。

 

 

ここで一重項酸素に対する消去能がβ-カロテンにあってビタミンAにないわけを簡単に説明します。

カロテノイドは長鎖の共役二重結合をもつ一群の色素の総称」のことです。

カロテノイドが一重項酸素の消去活性を示すには9個以上の共役二重結合が必要となります。


出典元
カロテノイド
ウィキペディア

こちらはβ-カロテンの構造式です。ご覧の通り、11個の共役二重結合をもっています。なのでβ-カロテンは一重項酸素に対して強力な消去能を有します。

一方、こちらはビタミンA(レチノール)の構造式です。


出典元
ビタミンA
ウィキペディア

レチノールの共役二重結合の数はご覧の通りです。

ということで、β-カロテンは、【ビタミンA(レチノール)にはない】一重項酸素に対しての抗酸化作用を有するということになります。
※ビタミンA(レチノール)に抗酸化作用がまったくないというわけではありません。

参照
栄養
よくある質問(FAQ)
健康・栄養フォーラム
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所

 

 

β-カロテン  参照一覧

脂溶性ビタミン 厚生労働省

ビタミンAの過剰摂取による影響 食品安全委員会 

ビタミンAの働きと1日の摂取量 健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団 

ビタミンA 「統合医療」情報発信サイト 

ビタミンAとは? 公益社団法人ビタミン・バイオファクター協会

ビタミンAとβ-カロテンによる疾病の予防と治療 J-STAGE 

ビタミンA関連医薬の現状と展望 J-STAGE

腸管免疫におけるビタミンAの役割 J-STAGE

ビタミンAの代謝と生理作用 J-STAGE 

レチノイドによる自己免疫疾患の治療 J-STAGE 

『野菜と果物の色に宿るチカラ』 野菜や果物に含まれるカロテノイドと疾病の予防,改善 J-STAGE 

レチノール結合タンパク質群によるビタミンAの輸送,貯蔵,代謝の調節とその意義 J-STAGE 

カロテノイドとヒト J-STAGE

爬虫類におけるβ-カロテン摂取と肝臓のビタミン A 貯蔵 J-STAGE

カロテノイドの多様な生理作用 一般財団法人生産開発科学研究所

魚類ビタミンAの胚発生での役割解明に向けて 国立研究開発法人 水産研究・教育機構

ビタミンAのHOW TOサイト Aケア協会

ビタミンAがシミ・シワ・にきびを改善。効果や注目コスメを医師に聞く 女子SPA(株)扶桑社

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