マグネシウム

マグネシウムの評価 S

マグネシウム

ミネラルは100種類以上存在するとされています。そのうち生命維持のために不可欠なミネラルを必須ミネラルといいます。

必須ミネラルは16種類あります。

必須ミネラルのうち1日に必要とされる摂取量が100㎎以上のミネラルを主要ミネラル、100㎎未満のミネラルを微量ミネラルと分類しています。

主要ミネラルは7種類、微量ミネラルは9種類です。

16種類の必須ミネラル

  • 主要ミネラル7種類
    ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・硫黄・塩素

  • 微量ミネラル9種類
    鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・モリブデン・コバルト・クロム

 

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マグネシウムは必須ミネラルの主要ミネラルに分類されます。

成人の体内には約25gのマグネシウムが存在しています。

マグネシウムは体内で4番目に多く存在するミネラルです。そのうち50~60%は骨に、25%は筋肉に、残りは他の軟部組織に存在します。血清中に1%未満存在しています。

マグネシウムは生体内において300種類以上の酵素の補酵素として働いています。マグネシウムはエネルギー代謝・たんぱく質の合成・神経伝達・筋弛緩など極めて多様な生理的役割を担っています。

 

マグネシウムの効果・効能

エネルギー代謝

マグネシウムは生体内の300種類以上の酵素の反応に関与しています。
そのいくつかはエネルギー代謝反応に関与しています。

単に「関与」しているではなくマグネシウムがなければ細胞はエネルギーを作れないといえるほど「深く関与」しています。

理由を説明します。

「深く関与」 理由その1

人間が生命を維持する&身体活動を行ううえで「エネルギー」が必要となります。
そのエネルギーはATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれるエネルギー媒介物質により生み出されます。

ATP(アデノシン三リン酸)は、アデノシンアデニンと5炭糖のリボースからなる】に3つのリン酸(P)が結合した化合物です。

出典元
生命エネルギーの通貨ATP 〜ATPのエネルギー放出の分子メカニズム〜
お知らせ
東北大学大学院理学研究科・理学部

ATPが加水分解されると、ADP(アデノシン二リン酸)と無機リン酸(Pi)に分かれます。
→ATPからひとつのPがはずれてADPになります。

エネルギーはこの分解過程で放出されます

この反応を触媒する酵素はATP分解酵素【ATPase(ATPアーゼ)】です。
マグネシウムはATPaseの補酵素として働きます。

 

「深く関与」 理由その2

エネルギーを貯蔵したり使用したりする際の媒体となる物質「ATP」は食事より摂取した糖質・脂質・たんぱく質が代謝を受けることで生成されます。

糖質の場合(酸素がある)は
グルコース→解糖系→TCA回路→電子伝達系



出典元
電子伝達系
ウィキペディア

脂質の場合は
脂肪酸→β酸化→TCA回路→電子伝達系

といった代謝経路を経て生成されます。
それによりグルコース1分子より38分子のATPが、脂肪酸1分子より数多くのATPが生成されます。
※脂肪酸は種類により異なります。

さてこの糖質・脂質の代謝過程において数多くの酵素が働いています。その中でマグネシウムは解糖系、β酸化、TCA回路で働く数種類の酵素の補酵素として働きます。そのためマグネシウムが不足すると糖質・脂質のエネルギー代謝がスムーズにいかなくなります。

.
このようにマグネシウムはエネルギーの放出&エネルギー媒介物質の産生に深く関わってます
なのでマグネシウムが不足するとエネルギーが不足し疲労や倦怠感を感じやすくなります。
不足状態が続くと全身の臓器が正常に働かなくなり、体に様々な問題が生じます。

 

 

骨の形成

骨は有機成分と無機成分で構成されています。有機成分はコラーゲンが主成分です。無機成分はリン酸カルシウムが主成分です。

無機成分にはマグネシウムも含まれています。体内に存在する50~60%のマグネシウムは骨の中にあり、そのマグネシウムはリン酸と結びつき「リン酸マグネシウム」として存在しています。

リン酸マグネシウムは骨の柔軟性や弾力性を高める役割を果たしています。
マグネシウムはカルシウム、リンとともに骨の形成に欠くことのできない成分です。

 

 

筋肉の弛緩

筋原線維の筋小胞体から、カルシウムが筋細胞中に放出されると筋肉は収縮します。
筋細胞中に放出されたカルシウムがカルシウムポンプを介して筋小胞体中に汲み戻されることによって弛緩します。

さてカルシウムポンプは、ATPの化学エネルギーを使って筋小胞体に取り込むポンプです。

ATP産生に& ATPが作用する際に マグネシウムが必須
です。
なので、マグネシウムがカルシウムポンプに必要なエネルギーを実質支配しています。
ゆえに、マグネシウムは弛緩のために必須といえます。

以上を一言でまとめると「筋肉の収縮にはカルシウムが、弛緩にはマグネシウムが必要」ということになります。

 

 

アディポネクチン

脂肪細胞からさまざまな生理活性物質が分泌されています。脂肪細胞から分泌される生理活性物質を総称してアディポサイトカインといいます。
アディポサイトカインには善玉と悪玉があります。

アディポネクチンは善玉アディポサイトカインの1つです。

アディポネクチン
  • アディポネクチンは動脈硬化の進行を抑制します。
  • アディポネクチンは糖尿病などの生活習慣病を防ぐ働きをします。
  • アディポネクチンは中性脂肪を減少させます。

出典元
ダイエットの前に知っておきたい!脂肪はキレイの味方です!(2/5)
太陽笑顔fufufu
ロート製薬(株)

◆動脈硬化の予防 
アディポネクチンにはプラークの形成を防ぐ働きがあります。
アディポネクチンは血管壁の傷を修復する働きがあります。

◆糖尿病の予防
アディポネクチンにはインスリン感受性を高める働きがあります。

◆高血圧の予防
アディポネクチンには血管を拡張させる働きがあります。

◆中性脂肪を減少
アディポネクチンは中性脂肪を低下させます。
脂肪を燃焼させる&脂肪の蓄積を防ぐ働きがあるからです。
アディポネクチンにはAMPキナーゼを活性させる作用あります。

AMPキナーゼ

AMPキナーゼは、細胞のエネルギーセンサーのような役割を果たしている酵素です。運動などをしエネルギーが不足するとこの酵素が活性され、【糖の筋肉細胞へ取り込み・脂肪酸のβ酸化・糖新生の抑制】が促進されます。糖に関してはインスリンを要せずにです。

簡単にいうと AMPキナーゼが活性化されると脂肪の蓄積をやめ脂肪の燃焼を促進する【=痩せる】です。

AMPキナーゼは基本 運動などをし、飢餓状態にもっていくことで活性化されます。
アディポネクチンには飢餓状態にもっていかなくとも活性化させる作用があります。

 

マグネシウムにはアディポネクチンの分泌を促進させる働きがあるとされています。

マグネシウムを摂取することで

  • 動脈硬化の進行抑制効果
  • 生活習慣病予防効果
  • 脂肪燃焼効果
が期待できます。

 

「アディポネクチン」に注目したサプリメント

 

マグネシウムのサプリメントによくあるキャッチフレーズ集

  • 300以上の体内酵素のはたらきを助けます
  • 日本人に不足しがちなミネラル
  • 骨や歯を丈夫に
  • カルシウムと一緒に骨の形成をサポート
  • イライラ予防に

 

マグネシウムの摂取量、不足、過剰

マグネシウムの摂取量

◆推奨量
340~370/日(成人男性) 
270~290/日(成人女性)
※年代により異なります。

◆耐用上限量
350/日(成人) 
サプリメントなど通常の食品以外からの耐用上限量です。通常の食品での耐用上限量は設定されていません(食事による過剰障害が報告されていない)。

by 日本人の食事摂取基準(2015年版) 厚生労働省

 
マグネシウムの不足
マグネシウムが不足するとエネルギーを効率よく作れなくなります。そのため疲労を感じやすくなります。

また骨がももろくなったり、足がつりやくなったりします。
マグネシウムには興奮を鎮めて精神を安定させる働きもあるため「イライラ」を感じやすくなります。

長期にわたって不足すると、生活習慣病のリスクが高まります

美を作るミネラル!マグネシウムの実力 マグネシウムはぽっこりお腹の救世主(NHKBSプレミアム 美と若さの新常識)によると、先ほど記載した1日の推奨量に対して男女平均して約100㎎以上不足している(男性約130㎎、女性約80㎎不足)とのことです。
 
マグネシウムの過剰
マグネシウムは、過剰分は腎臓から尿とともに排泄されるので基本心配はいりません。ただし腎機能が低下している場合は、高マグネシウム症を引き起こす可能性があります。
サプリメントからの過剰摂取は下痢を引き起こすことがあります。

 

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マグネシウムの豆知識

カルシウム
「カルシウム」とカルシウム働きを調整をする「マグネシウム」は2:1の割合で摂るのが理想的と言われています。このバランスで摂取する事により相乗効果が生まれます。

 
ビタミンD
下記参照で、ビタミンDにとってマグネシウムが重要な存在であることが分かります。

参照 

マグネシウムがビタミンDの状態を最適化する
マグネシウム欠乏はビタミンDの効果を無効にする
リンク・デ・ダイエット 
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所

なお、ビタミンDは腸管でのマグネシウムの吸収を促進させます。
カルシウムのみならず、ビタミンDも相性のよい成分といえます。

 
吸収率
食事由来のマグネシウムの吸収率は30~50%です(平均摂取量が300~350㎎/日の場合)。
摂取量が少ないと吸収率が上がります。

 

 

マグネシウムと相性の良い栄養成分

・カルシウム
・ビタミンD

 

マグネシウムのレーダーチャート解説

評価基準

  • 6 
    このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる
  • 5 
    このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる

  • このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる
  • 3.5 
    このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない

  • このカテゴリーになんらかの効果があるもの

  • このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる

  • このカテゴリーとは関係ないと思われる

※4以上が摂取目的となっているカテゴリー 

 

 

 

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マグネシウムの総合評価 S 17.5

 総合評価について
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS  18点
S  16点以上
A+ 14点以上
A  12点以上
B+ 10点以上
B  9点以下

 髪(白髪) 評価3.5 
黒髪のもととなるメラニンは頭皮の毛包内にあるメラノサイトで、チロシンとチロシナーゼ酵素が結びつくことで生まれます。メラノサイトを活性化させれば、メラニンが増え髪を黒々とさせることができます。
細胞の分化・増殖に関与するカルシウムにはメラノサイトを活性化させる作用があります。なので白髪予防に有効な成分の1つにあげられます。
マグネシウムはカルシウムの働きを助ける成分です。

 

 肌(美白) 評価4 
グルタチオンには「メラニンの合成を抑制する作用」と「メラニンを作ってもシミの目立たない肌色メラニンに導く作用」があります。美白効果が優れた成分として有名です。

さてグルタチオンは体内で次の流れにより生成されます。

グルタチオンの合成

①グルタミン酸+システイン→γ-グルタミルシステイン

②γ-グルタミルシステイン+グリシン→グルタチオン

①の反応はγ-グルタミルシステイン合成酵素により
②の反応はグルタチオン合成酵素により行われます。
1、2の反応ともにATP1分子が必要です。

.
グルタチオンの合成の最初のステップ【グルタミン酸+システイン→γ-グルタミルシステイン】を触媒する酵素はγ-グルタミルシステイン合成酵素です。
この酵素はマグネシウム存在下で、グルタミン酸とシステインから、γ−グルタミルシステインを合成させる反応を触媒しています。

グルタチオンといえば3つのアミノ酸【グルタミン酸・システイン・グリシン】の存在に注目がいきがちですが、3つをもとにグルタチオンを合成するにはマグネシウムのサポートも必要であることを忘れてはいけません。

ということでグルタチオンの合成に関与するマグネシウムは、グルタチオンの美白効果に貢献しているといえます。

 

 体型(ダイエット)評価5.5 
食事から摂取した糖質・脂質はエネルギーに代謝されなければ中性脂肪として体に蓄えられます。マグネシウムは糖質・脂質のエネルギー代謝に関わっています。

また痩せホルモンと呼ばれる「アディポネクチン」の分泌を促す働きをします。
ダイエットにマグネシウムは新常識といっていいかもしれません。

参照
美を作るミネラル!マグネシウムの実力 マグネシウムはぽっこりお腹の救世主 
NHKBSプレミアム 美と若さの新常識

マグネシウム、意識していますか?ダイエットにはマグネシウムが効果的!理由や豊富な食材とは!
 Peachy livedoorニュース

 

 体力(普段)評価6 
マグネシウムは細胞内のエネルギー代謝に深く関わります。マグネシウムの存在がないと細胞はエネルギーを作ることができないといっても大げさではありません。

 

 その他(骨) 評価6 
マグネシウムはカルシウムやリンとともに骨の歯の形成に欠かせない成分です。体内にあるマグネシウムの50~60%は骨の中に存在しています。

骨はコラーゲンからなる骨基質に、カルシウム Caとリン酸 Pによる結晶が沈着して形成されています。

結晶の中にマグネシウムも存在しています。

体内のマグネシウムが不足すると骨の中にあるマグネシウムが血液中に動員されます。
この際、カルシウムも流出してしまいます。マグネシウム不足は(カルシウムに悪影響を与えるので)骨粗鬆症を招きます。

 

 

マグネシウム  参照一覧

マグネシウム 「統合医療」情報発信サイト HP

マグネシウムの働きと1日の摂取量 健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団 HP

老化を進める活性酸素と抗酸化物質であるマグネシウムのはたらき Medical Note (株)メディカルノートHP

心疾患と深い関わりを持つ、マグネシウムの効果とはたらきとは Medical Note (株)メディカルノートHP

マグネシウム対談 (株)宮本製作所HP

カルシウム, マグネシウムの生体中での挙動 J-STAGE

美を作るミネラル!マグネシウムの実力 マグネシウムはぽっこりお腹の救世主 NHKBSプレミアム 美と若さの新常識

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