前回から「成長因子」を学んでいます。成長因子を学ぶといいながら、いきなり成長ホルモンの説明に入ってしまいました。理由は、成長因子は成長ホルモンに関係しているところがある点と以前書いた「成長ホルモン」の記事がお粗末すぎるという点です。「成長ホルモン」に関していえば、超重要なカテゴリーのわりにとにかく内容が稚拙だったので、もう一度書き直したいと思ってました。
で丁度いい機会だから成長ホルモンを再び学びましょうという感じです。

アーユーレディー


聞こえないなー

それでは始めたいと思います。今回は成長ホルモンの作用を見ていきたいと思います。まあ成長ホルモンが分泌されることでもたらす効果です。
- 思春期の子どもの身長を伸ばす
- 細胞分裂を促し、新しい細胞をつくる、細胞を再生する
- 骨形成を促進
- たんぱく質の合成
- 糖質、脂質のエネルギー代謝促進
- 血糖値をあげる
- 脂肪分解
これら効果は前回説明したIGF-1(インスリン様成長因子1)の効果も含まれています。IGF-1(インスリン様成長因子1)を介した成長ホルモンの効果です。ちょっと前回の復習になります、
成長ホルモンの作用って
- 成長ホルモンそれ自体が組織や器官に働きかけする場合
- 成長ホルモンがIGF-1(インスリン様成長因子1)という物質を刺激し、IGF-1の分泌を促すことで組織や器官に作用する場合
この2つがあるというのを頭の片隅でも入れておいてください。
それでは順番にいきます。
①思春期の子どもの身長を伸ばす
①は我々には関係ありませんね

えっ

いやおチビちゃん、ユーの身長はもう伸びないよ!
・・・・・
・・・・・

もう帰る
冗談、冗談ですよ。
おチビちゃんが興味津々の身長の話をします。身長が伸びるのに成長ホルモンが関わっているからです。

身長が伸びる仕組みは骨端線が鍵となってきます。

骨端線とは 骨の両端にある骨端軟骨の付近にある軟骨が集まっている部分のことを指します。骨端軟骨とは骨の端にある軟骨のことです。

骨端線とか骨端軟骨を表している図ではないのですが、なんとなくこれでイメージしてください

でおチビちゃんよーく聞いてくださいね!
この骨端線が細胞分裂することで背が伸びるのです。
いや骨端線が細胞分裂っていう言葉はちょっとおかしいので言い直すと、
骨端線の軟骨組織(軟骨が集まっている部分)の細胞が細胞分裂ことによって背が伸びるのです。

( ゚д゚)ポカーン
おチビちゃん衝撃的すぎてポカン顔になっている。
ちなみに伸びる骨の部分は骨全体が伸びるわけでなく骨端軟骨(骨の端にある軟骨)だけです。
骨端線の軟骨組織(軟骨が集まっている部分)の細胞が細胞分裂ことで身長が伸びるといいましたが、もうちょっと具体的に話します。
そもそも骨ってずっと同じ骨ですか?

いや骨って生まれ変わっているですよ。骨ってちょっとずつ作りかわっているのです。
約3年で骨はまったく新しい骨に生まれ変わるといわれています。
で、骨の生まれ変わりは、骨の形成と吸収を繰り返すことにより起こります。
ちなみに骨の生まれ変わりを骨代謝と言います。

( ゚д゚)ポカーン
骨では、骨をつくる骨芽細胞と、骨を壊す破骨細胞がはたらいています。
この2つの細胞が常に活動しながら、骨の形成と吸収を繰り返すことで、すこしずつ骨が生まれ変わっているのです。
骨形成を担当する細胞、古くなって壊された骨に代わって新しい骨を作る細胞
骨吸収を担当する細胞、古くなった骨を壊す働きをする細胞
で子どもの時に身長が伸びる理由は、骨端線の軟骨組織にある骨芽細胞(骨をつくる)の動きのほうが活発になることからです。骨を壊す作業スピードより、骨をつくる作業スピードが速いため、骨がどんどん伸びていくというわけです。
成長期が終わった20代~30代は骨芽細胞と破骨細胞の働きのバランスがとれていきます。
年を取って高齢になるにつれ、破骨細胞の働きのほうが骨芽細胞を徐々に上回るようになります。
細胞の動きが若いころは骨芽>破骨だったのが、徐々に骨芽=破骨となり、
高齢になると骨芽<破骨という感じになります。
高齢になると骨粗しょう症になりやすくなるのはこういったわけです。
ただこのころになると骨芽細胞の骨をつくる力も破骨細胞の骨を壊す力も弱くなっていますので、ものすごく心配する必要はありません。

実は・・

骨端線はなくなってしまいます。
骨端線は思春期を過ぎたころからだんだんと消えていき、大人になるとほとんどの人は無くなってしまいます。

・・・・・
・・・・・

ウソだ!
おチビちゃんびっくりしすぎて空中浮遊してますよ。
まあなくなるというより閉鎖するという表現がふさわしいかもしれません。
骨端線が閉鎖すると、身長はもう伸びません。身長が止まるときは、骨端線閉鎖が起きる時なのでです。

さっきいったじゃないですか!大人になったときです。

大人? 曖昧すぎね?
確かに曖昧かもしれませんが、ようは人それぞれなのです。
骨端線閉鎖の平均時期は男性の場合は17歳〜18歳、女性の場合は15〜16歳頃といわれています。だいたいこのころに身長って伸びなくなるじゃないですか。理由は骨端線が閉鎖したからなんです。
ただ人それぞれといったのは、大学生になっても伸びるやつもいるし、ごくまれに社会人(男性で25歳ぐらい女性で23歳ぐらいまで)になっても伸びるやつもいるのです。この人たちは骨端線が閉鎖されず残っている人です。


はて?


忘れてた
骨端線とは 骨の両端にある骨端軟骨の付近にある「軟骨が集まっている部分」のことといいましたね。

この軟骨が集まっている部分の「細胞が細胞分裂すること」で身長が伸びるといったね。

この細胞の細胞分裂を促進するのがIGF-1なんです。
IGF-1という物質が軟骨部分にある細胞の増殖を促進し身長を伸ばしているわけです。

前回こう言いました。
成長ホルモンって
- 成長ホルモンそれ自体が組織や器官に働きかけする場合
- 成長ホルモンがIGF-1(インスリン様成長因子1)という物質を刺激し、IGF-1の分泌を促すことで組織や器官に作用する場合
の2パターンがあります。ちなみにIGF-1の分泌は主に肝臓でおこなわれます。
で成長ホルモンの作用の多くはIGF-1を介したものです。
今までだったら 成長ホルモンの作用①思春期の子どもの身長を伸ばすを説明するのに
「成長ホルモン」が軟骨部分で細胞を細胞分裂を促進し身長を伸ばしているわけです
という表現をしていましたが、
正確には「成長ホルモン」が分泌して、肝臓で「IGF-1」が作られ、それが軟骨部分にある細胞の細胞分裂を促進し身長を伸ばしているということになります。
ともかく成長ホルモンって直接的でも間接的(IGF-1を介して)でも細胞の細胞分裂を促進するのです。分裂することで細胞が増えたり、新しくなったり、修復したりするのです。
でこれは成長ホルモンの作用②細胞分裂を促し、新しい細胞をつくる、細胞を再生するにつながります。
長くなりましたので今回はここまで。