レスベラトロール

レスベラトロールの評価 S

レスベラトロール

フレンチパラドックス

いきなりですが、「フレンチパラドックス」という言葉を聞いたことはございますか?

 

フレンチパラドックス(フランスまたはフランス人の逆説)は、一言でいうと

フランス人は高カロリー・高脂肪の食生活を送っているのに【赤ワインをよく飲むから、】心疾患の死亡率が低い 

.
説です。

フレンチパラドックスを3行でまとめると

  1. フランス人は他の欧米諸国の人々よりも動物性脂肪を多く摂取する&喫煙率が高い
  2. なのに心疾患による死亡率が、他の欧米諸国に比べて低い
  3. その理由は、フランス人がたくさん飲んでいる赤ワインによるものと考えられる

.
です。

フランス人がどれくらいワインを飲んでいるのかというと、年間消費量が1人あたり約50ℓです。
一方で他の欧州諸国は、約30ℓ前後です(の国が多いです)。
ちなみに日本は約3ℓです。

補足

話の流れから、フランスが世界一のワイン消費国と思われるかもしれませんが、以前(1998年)はルクセンブルクで、現在(2018年)はポルトガルです。

参照 
ワイン参考資料
PDFページ 8/9
キリングループ

ワイン参考資料2019
PDFページ 8/11
キリングループ

もう一度、フレンチパラドックスの要約をご覧ください。

フランス人は高カロリー・高脂肪の食生活を送っているのに【赤ワインをよく飲むから、】心疾患の死亡率が低い 

.
ここで「赤ワイン」の前に枕詞を付け足す必要があります。

それが「ポリフェノールを多く含む」です。

つまるところ

フランス人は高カロリー・高脂肪の食生活を送っているのに【ポリフェノールを多く含む赤ワインをよく飲むから、】心疾患の死亡率が低い 

.
です。

赤ワインにはさまざまなポリフェノールが含まれており、それらが協働することでフレンチパラドックスを成り立たせています。

 

 

ワインについて

ワインは大きく分けると4種類あります。
赤・白・ロゼ・スパークリングの4つです。

ここで、赤ワインと白ワインにクローズアップします。

 

ワインはぶどうから作られます。

白ワインの原料は白ブドウです。


赤ワインの原料は黒ブドウです。

ということで、同じ「ワイン」でもブドウの原料が異なります。

原料のみならず、醸造工程も異なります。
こちらをご覧ください。


出典元
ワインの醸造
岡山理科大学 ワインプロジェクプログラム
岡山理科大学

圧搾の順番が異なります。

圧搾

果汁(またはワイン)と果皮や種子を分離させる作業のことをいいます。

白ワインの場合、除梗・破砕し、直ちに圧搾して果汁を絞りだします。この果汁を発酵させます。

赤ワインの場合、除梗・破砕し、果皮や種子も一緒にして、発酵させてます。発酵終了後に圧搾して、さらに後発酵させます。

白ブドウと黒ブドウの栄養価が、仮にまったく同じだとします。
であるならば、工程の違いで、赤ワインのほうが栄養価が高いことが容易に想像つきます。

なぜなら、ブドウの果皮や種子も丸ごと使用し、液体にしているからです。

 

赤ワインの特徴

さて、フレンチパラドックスの段落の終わりで

フランス人は高カロリー・高脂肪の食生活を送っているのに【ポリフェノールを多く含む赤ワインをよく飲むから、】心疾患の死亡率が低い 

.
と説明しました。
ワインに含まれるポリフェノールはすべてぶどう由来の化合物です(発酵中にチロシンが変換したチロソール は除きます)。

ぶどうに含まれるポリフェノールの大部分は果皮種子に存在します。

ブドウポリフェノールの構成比

  • 種子 
    77.3%
  • 果皮 
    21.6%
  • 果肉  
    1.1%

参照
ぶどうはポリフェノールたっぷり
ぶどうポリフェノールライフ アサヒ飲料(株)

 

さきほど、「白ブドウと黒ブドウの栄養価が、仮にまったく同じだとします」といいましたが、
当然ながら、そんなわけはありません。

ポリフェノールの多くは色素成分です。

果皮の色が、濃ければ濃いほどポリフェノールは多く含まれています。
なので、黒ブドウは白ブドウよりポリフェノールを多く含んでいます。

ワインだとさらに含有量に差がつきます。

ブドウの果皮を

  • 一緒に発酵する【→赤ワイン】
  • 取り除いて発酵する【→白ワイン】

の違いがあるからです。

ということで、赤ワインにはポリフェノールが多く含まれています。

ポリフェノール化合物は,ブドウ果実の中で ,種子と果皮に多く含まれる。従って,種子と果皮を含んだ状態で発酵(醸し発酵)する赤ワインは ,発酵中に種子と果皮からポリフェノール化合物の抽出が進み ,白ワインに比べて多くのポリフェノール化合物を含む 。 

引用元
ワインの科学
PDFページ 4/5
J-STAGE

 

含まれるポリフェノールの種類

赤ワイン中のポリフェノールには様々な種類があります。

代表的なものはアントシアニン、プロアントシアジニン、カテキン、ケルセチン、タンニンです。

このうち

  • 果皮
    アントシアニン、タンニン
  • 種子
    プロアントシアジニン、カテキン、ケルセチン、タンニン

.
が含まれています。

これらポリフェノールが協働することで

フレンチパラドックス

フランス人は高カロリー・高脂肪の食生活を送っているのに【ポリフェノールを多く含む赤ワインをよく飲むから、】心疾患の死亡率が低い 

.
が成立しています。

 

お気づきかもしれませんが、赤ワイン中のポリフェノールで わざと抜かしたものがあります。

それが今回の主役「レスベラトロール」です。


レスベラトロールは、ブドウの茎や葉、果皮に含まれる成分です。

レスベラトロールはファイトアレキシン

ポリフェノールには 例えば

  • 紫外線防御物質 
    有害な紫外線から細胞を守る
  • 抗菌物質  
    病原菌に対する感染を防ぐ
  • 忌避物質 
    昆虫や小動物による食害を妨げる

.
としての機能があります。

ブドウに含まれる数々のポリフェノールは、これら機能を持ち合わせています。
まさしくブドウの「自己防衛物質」たちといえます。

そのうち果皮に含まれるレスベラトールは、抗菌物質【ファイトアレキシン】として機能します。

植物が病原菌の感染を受けると、自分を守るため抗菌物質を作ります。この成分をファイトアレキシンといいます。

ファイトアレキシンとは,植物が外部からの感染やストレスに対応し,生合成する抗菌性物質をいう。RSVには抗カビ性があり,灰カビ病菌(Botrytis cinerea)に対抗し,ブドウが植物体内に生合成する

引用元
レスベラトロールの健康長寿効果について~最近の話題~
PDFページ 1/10
J-STAGE

※RSV→ レスベラトロール

 

さて、赤ワインに含まれているポリフェノールが協働することで、フレンチパラドックスを成り立たせています。
あくまでも「協働することで」です。

が、あえてどのポリフェノールが一番貢献しているかとなると、レスベラトロールになると思います。
レスベラトロールの有する数々の生理作用が健康にとても良いとされているからです。

近年,果実のもつ機能性成分が注目されるようになり,ブドウにおいてはフレンチパラドックスに端を発したポリフェノール類の機能性(Renaud・Lorgeril, 1992)が,消費者にも広く認知されている.
特に,抗酸化性に優れるレスベラトロールには,動脈硬化性疾患の一因である LDL の酸化変性を抑制する作用(Frankel ら,1993),発がん抑制効果(Jang ら,1997),延命効果(Baur ら,2006; Howitz ら,2003)などが認認められており,健康機能性成分として注目されている.

引用元
栽培条件の違いがブドウ果皮中のレスベラトロール含量に及ぼす影響
PDFページ 1/5
J-STAGE

なぜとても良いか次の段落をご覧いただけばお分かりいただけます。

 

 

レスベラトロールの効果・効能

健康長寿(Sirt1活性化)

研究報告により 
ヒトの寿命を規定する要因は 、

  • 遺伝が25%
  • 環境が75%

とされています。

 


環境要因は、大別すると3つのカテゴリーがあります。
  • 食事

  • 運動

  • 生きがい

.
の3つです。

環境要因のなかでも、食事が最も重要なものであることは想像に難くないと思います。


戦後すぐの時代は日本人の平均寿命は50歳を超えたぐらいでした。
現在では平均寿命は80歳を超えています。

 

戦後に飛躍的に平均寿命が延伸したのは、動物性たんぱく質や脂肪の摂取量が増えたからです。
平均寿命が右肩上がりなのは、必要とする栄養素を必要量摂取できる環境が整ってきたからです。

というわけで、「食事」が寿命を延ばすことに大きく貢献している(してきた)と考えられます。

 

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とはいえ、好きなものを好きなだけ食べられる現代では、


逆に、糖質や脂質など一定の栄養素の過剰摂取が病気の発症リスクを高めることにもなっています。

そのため、適正なカロリーコントロールが、生命の維持および寿命の延伸に必要不可欠となっています。

今回は、食事(カロリー制限)による寿命延伸の鍵を握る「長寿遺伝子=サーチュイン遺伝子」の話です。


この話にレスベラトロールはがっつり関わってきます

 

 

◆サーチュイン遺伝子について

まずはサーチュイン遺伝子について簡単にまとめてみました。


こちらをご覧ください。
サーチュイン遺伝子


操作をすれば老化を遅らせ、寿命を延ばす遺伝子のことをいいます。

  • 操作をすれば
    →この遺伝子を活性化することができれば、
  • 老化を遅らせ、寿命を延ばす
    →老化の要因【酸化ストレス・免疫細胞の暴走など】を抑えることができます。

今まで以上に長生きできる可能性が高まるので、「長寿遺伝子」とも呼ばれます。

 

 発見経緯 

サーチュイン遺伝子は、2003年にマサチューセッツ工科大学のガレンテ教授が酵母菌の中から発見しました。

実験にて エサのカロリーを制限した酵母菌の寿命が延びていることを判明しました。

その酵母菌ではヒストン脱アセチル化酵素である「サーチュイン遺伝子」が活発に働いていることが分かりました。
それはSir2と命名されました。

Sir2を取り除くと酵母菌の寿命が縮む、逆に過剰発現させると酵母菌の寿命が伸びることを発見しました。

その後の研究で、線虫やショウジョウバエでもSir2を発見しました。

Sir2を取り除くと寿命が縮む、過剰発現させると延びる」この遺伝子操作により、ショウジョウバエで約30%、線虫では約50%寿命が延びるといった結果がでています。

さらに哺乳類にもSir2に相当するホモログが発見されています。

ホモログ

進化系統上で、共通の祖先から派生した遺伝子(相同遺伝子のこと)などをいいます。

なんだかんだで、サーチュイン遺伝子は、ヒトなら誰しも持っていることが分かりました。

 

 ヒトのサーチュインの種類 

Sirt1~7

ヒトには7種類のSirtuin(サーチュイン)ファミリー「Sirt1〜7」存在することがわかっています。
7種類の多くは脱アセチル化酵素で、様々な生理機能に関与しています。
それぞれ細胞内での局在・役割が異なります。
局在をまとめると以下となります。

  • Sirt1
    核と細胞質
  • Sirt2
    細胞質
  • Sirt3、Sirt4、Sirt5
    ミトコンドリア
  • Sirt6
    核(主にクロマチン領域)
  • Sirt7
    核(主に核小体)

このうちSir2と構造や機能が類似しているものがSirt1です。

その中で最も酵母 Sir2 と構造が類似している Sirt1 は,NAD+依存性蛋白脱アセチル化酵素として機能する.

2.長寿遺伝子による血管老化制御機構
PDFページ 3/4
J-STAGE

もっとも研究されているものはSirt1です。
もっとも機能解析が進んでいるのはSirt1です。

ここでは(このレビューでは)、サーチュイン遺伝子は、基本 Sirt1のことを指しています。

 

 なぜ長寿遺伝子? 

DNAはヒストンというたんぱく質と結合しています。
DNAがヒストンに巻き付いた状態をヌクレオソームといいます。


出典元
エピジェネティクス
国立研究開発法人 国立環境研究所

このヌクレオソームが集まってできたものが、クロマチン構造といいます。
きつく巻かれた構造(出典元 上)を「ヘテロクロマチン」といい、
ゆるく巻かれた構造(出典元 下)を「ユークロマチン」といいます。

一般に
ヒストンのアセチル化
【DNAとヒストンの結合を緩くする】によって、遺伝子の発現は促進します。
ヒストンの脱アセチル化【DNAとヒストンの結合を固くする】によって、遺伝子の発現は抑制されます。 

【DNAとヒストンの結合を緩くする】これはヒストンアセチル化転移酵素の働きによって、アセチル基が結びつくことで起こります。
【DNAとヒストンの結合を固くする】これはヒストン脱アセチル化酵素の働きによって、アセチル基が除去されることで起こります。

ヒストンアセチル化は、ヒストンアセチル化転移酵素とヒストン脱アセチル化酵素、この2つの酵素活性によってそのバランスが取られています。

このことが、遺伝子発現のON/OFFのスイッチになっています。

    

例えば、次の働きに関わる遺伝子の発現のON/OFFです。

  • 細胞を修復するたんぱく質を活性化させる
  • 細胞内でエネルギー源を作り出すミトコンドリアを増やす
  • 細胞の寿命を決める「テロメア」の長さを保護する
  • 細胞の自然死である「アポトーシス」を制御する
  • 細胞内の老廃物を排除させる機構「オートファジー(自食作用)」を働かせる

これらを一言でまとめるとしたら【細胞を若返らせる】となります。

さて、サーチュインはヒストン脱アセチル化酵素です。
ヒストンを介した遺伝子発現メカニズムに関与することで、細胞を若返らせ、寿命を延ばすと考えられます。

ということで、「長寿遺伝子」です。

.

というわけで、サーチュイン遺伝子を活性化させれば、老化を遅らせ、寿命を延ばせる可能性が高まります。

 

 

 

◆サーチュインを活性化させる方法

サーチュインを活性化させる方法は簡単です。
 発見経緯 の欄に答えがあります。

 

エサのカロリーを制限した酵母菌の寿命が延びている

この一文です。

サーチュインを活性化させる方法はカロリー制限です。


カロリー制限による寿命延長効果は、これまで数々の実験にて見られています。

酵母菌、線虫、ショウジョウバエ、ネズミといった様々な生物種で見られています。
種によってその効果は異なりますが、おおよそ3~5割ほど寿命がUPしています。

遺伝子が人間に近いサル(アカゲザル)にも寿命延長効果があることが示唆されています。
寿命延長効果はないとの研究報告もアリ

 

◆ヒトの場合 より具体的に


それでは、本題に入ります。

ヒトの研究では、必要とするエネルギー量の25%を減らすことで、サーチュインが活性化されることが分かっています。

ヒトでの研究では、7週間、必要なエネルギー量の25%のカロリーを制限することで、長寿遺伝子の働きが4.2倍~10倍に増加したことが示されました。

引用元
カロリー制限と健康長寿の関連
健康長寿ネット
公益財団法人 長寿科学振興財団

ということで、成人の方で、サーチュインによる若返り&寿命延長効果を求める方は、
こちらの表を参考に、自身のあてはまる推定エネルギー必要量×75%の生活を送るようにしてください。

出典元
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
Ⅱ 各論  
1 エネルギー・栄養素
エネルギー P84 PDFページ 34/55
厚生労働省

 

 

と、いいました。


が、正直きつくありませんか?

25%を制限するというのは、きつくありませんか?

25%がきついと感じるのならば、


激しい運動を行って【→運動により、12.5%分のカロリーを消費する】、食事からのカロリーを12.5%制限するというのもありです。

 

海外の研究では運動による消費カロリー+食事制限によるカロリー制限=25%でも、

 

エネルギー量の25%を減らすと同じくらいの効果があることが確認されています。

 

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と、いいましたが、


どっちみち、正直きつくありません?

1日だけだったら余裕ですが、それを1週間、1カ月と毎日続けるのはきつくありません?

食事のみから 25%減でも 
食事+運動で 25%減でも


「必要なエネルギー量の25%のカロリーを制限する」を続けるのは相当な覚悟と根気が必要です。

 

 

◆レスベラトロールの登場


満を持して、ここでレスベラトロールの登場です。

 

レスベラトールには【カロリー制限せずとも】サーチュイン遺伝子(Sirt1)を活性化させる働きがある

とされています。

 

ということでレスベラトロールを取れば、


カロリー制限せずとも、サーチュインを活性化できる=若返り&寿命延長効果の得られる 可能性があります。

いずれにせよ,この結果は,レスベラトロールを摂取することで肥満者数が増加している先進国においてカロリー制限食を実施しないでも体重を減少することが可能となること,さらには寿命まで延長することが可能であることを示唆している.

引用元
レスベラトロールの非抗酸化作用について
PDFページ 1/4
J-STAGE

 

 

 

◆Sirt1について 補足

Sirt1について、補足します。

Sirt1はNAD+依存性脱アセチル化酵素です。
Sirt1の活性には補酵素NAD+が必要です。

NAD+

NAD+は生体内で大きく2つの機能を果たしています。

①酸化還元酵素の補酵素として
NAD+は酸化還元反応で中心的役割を果たしています。
エネルギー代謝におけるTCA回路や電子伝達系で活躍する補酵素としてNAD+をご存知かと思います。

②NAD+を消費する酵素の基質として
エネルギー代謝以外でもNAD+依存性酵素を介してさまざまな生理機能の役割を果たしています。今回の話はこっちです。

 

こちらをご覧の通り、カロリー制限をするとNAD+は増えます。


出典元
2.老化学説と老化制御 
PDFページ 3/4
J-STAGE

カロリー制限下、細胞内のNADHがNADに変換されることで、細胞内のNAD濃度が上がります=NADが増えます。するとSirt1が活性化されます。

つまり、この流れになります。

カロリー制限➡NAD増加➡Sirt1活性化

.
活性化したSirt1は脱アセチル化酵素として機能します。
さまざまな生命現象に関わる重要なタンパク質を脱アセチル化することで、細胞の機能、ミトコンドリアの機能などを調節します。

この「調節」が抗老化につながり、しいては寿命延長効果をもたらすことになります。

レスベラトロールは【カロリー制限➡NAD増加➡】をすっ飛ばしてSirt1を活性化します。
つまるところ、レスベラトロールはカロリー制限効果を模倣する働きをするといえます。

 

 

なお、この流れ

カロリー制限➡NAD増加➡Sirt1活性化

.
をもう少し詳しくすると

カロリー制限➡AMPK活性➡NAD増加➡Sirt1活性化

.
となります。

AMPK

AMPキナーゼ(以下AMPK)とはAMP活性化プロテインキナーゼ(AMP-activated protein kinase)の略で、エネルギー源となる糖や脂肪の代謝を調節している酵素のことを言います。
AMPKは、細胞のエネルギーセンサーのような役割を果たしています。運動などをし、エネルギーが不足するとこの酵素が活性化され、【糖の筋肉細胞へ取り込み・脂肪酸のβ酸化・糖新生の抑制】が促進されます。糖に関してはインスリンを要せずにです。

カロリー制限をするとAMPKが活性化し、AMPKが活性化することで細胞内NAD+濃度が上昇します。
なので、カロリー制限をするとSirt1が活性化されます。

AMPKはカロリー制限をしているとき ≒ エネルギーが枯渇している状態【ハードな運動 or 栄養飢餓 or 低酸素 】に活性化されるものですが、
栄養成分の中にはAMPKを活性させるものがあります。

それがレスベラトロールです。

レスベラトロールには直接AMPKを活性させる働きがあります。

レスベラトロールは SIRT1 以外の蛋白質分子,例えば PPARα や AMP-activatedprotein kinase(AMPK)などに直接作用して活性化することが知られている.

引用元
蛋白質脱アセチル化酵素 SIRT1 の機能と病態への関与
 
PDFページ 3/8
札幌医科大学附属総合情報センター

直接AMPKを活性させるとなると、

レスベラトロールはこの流れにも関与、

カロリー制限➡AMPK活性➡NAD増加➡Sirt1活性化

.
つまるところ、この出典元の図の左の経路にも関与しているといえます。


出典元
2.老化学説と老化制御 
PDFページ 3/4
J-STAGE

仮に直接Sirt1を活性化(右の経路)させる働きがなかったとしても、
左の経路に関与しているので、

レスベラトロールはSirt1を活性化させる成分である

.
ことは間違いなさそうです。

 

◆Sirt1の機能

さて、Sirt1は多様な働きをします。
なぜなら、Sirt1が標的とする基質タンパク質(転写因子など)が数多く存在するからです。

個人的に覚えておくべきと思っているものを4つあげます。
その基質タンパク質がSirt1により脱アセチル化される発現する作用の一部も記載します。

それがここ(このレビュー)でのレスベラトロールの効果・効能だと捉えてください。

  • PGC-1α 
    ミトコンドリアの活性化
    脂肪酸β酸化の亢進
    抗酸化作用
  • FoxOs
    DNA修復能の活性化
    オートファジーの活性化
    アディポネクチン発現
  • NF-κB
    免疫応答作用
    抗炎症作用
  • P53
    細胞老化を防ぐ
    抗アポトーシス作用

 

これら作用をトータルし、一言でまとめるとしたら「若返り&寿命延長効果」となります。

ということで、Sirt1を活性化させるレストベラトロールを摂取することで若返り&寿命延長効果が得られる 可能性がある です。

 

◆最後に爆弾投下

さて、締めの文章でわざわざ可能性に下線部を引いています。

これにはワケがあります。

残念ながら、レスベラトロールに寿命延長効果はないという報告もあるからです。

  • レスベラトロ―ルの寿命延長効果があるのは、哺乳類ではマウスのみ、さらにいえば高カロリー食を与えて、短命化させたマウスのみである。
  • 人がレスベラトロールをとったところで、寿命は延びない。
  • そもそもレスベラトロールのSirt1活性化機構がよくわからない。
  • 長寿遺伝子活性化を証明した(とされる)研究データが、実は改ざんされていた。

 

参照
[レスベラトロール]寿命延ばす効果…まだ不明 
ヨミドクター

レスベラトロール効果無し? 長寿作用はすでに疑問符
ダイヤモンド・オンライン

などといった「負」の研究報告があります。

とりあえず、ここ(このレビュー)では、
そんなことは一切無視して、レスベラトロールに寿命延長効果はあるで話を進めていきます。

 

◆ついでにNAD+の補足

最近、Sirt1を活性化させる成分でレスベラトロールより人気があるものがあります(個人感)。

それはNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)です。


NMNは、細胞内でNAD+を作るときに必要な材料となる物質です。

なのでNMNを取れば、NAD+が増えてと、
つまるところ、この流れの

カロリー制限➡NAD増加➡Sirt1活性化

.
【NAD増加➡Sirt1活性化】にがっつり乗ることになります。

これらの結果から,NAD+の量を増加させる物質がカロリー制限模倣効果による抗老化物質として作用することが示唆され,そのような機能を持つ物質として nicotinamide mononucleotide(NMN)の研究開発が進められている

引用元
老化制御シグナルを標的としたアンチエイジング物質開発の可能性
PDFページ 3/6
J-STAGE

NMNのサプリが販売されていますので、
興味ある方は、仕様をよくご覧になって、ご納得されてから、ご購入してみるのもいいかもしれません。

 

 

ここで、NAD+が体内でどのように作られるか、簡単に触れておきます。

 

◆NAD+の生合成経路

NAD+の生合成経路はde novo 経路salvage 経路の2つがあります。


図1 ■ 哺乳類NAD+合成系
出典元
哺乳類代謝制御におけるNAD+の生理学的重要性と治療標的としての可能性
2/7
J-STAGE

  • de novo 経路【出典元 薄い→の流れ】はトリプトファンを出発物質とした新生合成経路です。
    トリプトファン⇒キノリン酸⇒NAMN⇒NAAD⇒NAD+

    ⇒に代謝されるには酵素の働きが必要です。
    ※⇒の反応に必要とする酵素は1つとは限りません。

  • salvage 経路【出典元 濃い→の流れ】はニコチンアミドを再利用する経路です。
    ニコチンアミド⇒NMN⇒NAD+⇒

    始めの⇒ではNAMPTと呼ばれる酵素、次の⇒ではNMNATと呼ばれる酵素の働きが必要となります。

    ※ニコチンアミド・リボシド⇒NMN⇒NAD+の経路もあり【出典元 薄い↓の流れ】
    始めの⇒ではNRKと呼ばれる酵素の働きが必要

  • salvage 経路【出典元 濃い←の流れ】はSirtuinなどによるNAD+消費とカップリングしています。
    NAD+⇒Sirtuin・他⇒ニコチンアミド⇒

    脱アセチル化反応などで生じたニコチンアミドを再利用して合成する
    経路でもあります。

 

 

ちなみに、ニコチンアミドはナイアシンのことです。

ナイアシンのおさらい

ナイアシンはニコチン酸とニコチン酸アミド(ニコチンアミド)の総称です。
植物性食品ではニコチン酸、動物性食品ではニコチン酸アミドとして存在しています。
摂取したナイアシン(ニコチン酸及びニコチン酸アミド)は小腸より吸収されます。

 

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さて、NAD+を増やすと考えた場合、salvage 経路に、より力を注いだほうがいいと考えられます。

力を注ぐというか・・・なんて表現をすればよいのか・・・

この表現がベターかもしれません。

salvage 経路はde novo 経路より反応段階が少なく、必要とする酵素も少なく、手間をかけずにNAD+を作ることができます。
※さきほど記載しませんでしたが、de novo 経路のトリプトファン⇒キノリン酸 
この⇒に進むには8つの酵素が必要です。

 

そもそも論で、トリプトファンは必須アミノ酸でたんぱく質の材料です。神経伝達物質セロトニンの前駆体でもあります。ということでトリプトファンは体内の他の物質に使われることが多いので、ここから(de novo 経路)の多くの合成は さして期待しないほうが良いと考えられます。

一方、salvage 経路ではニコチンアミドが再利用される経路です。この経路では、当たり前のこといいますが食事由来のナイアシンもNAD+の合成に利用されます。

ナイアシンは食事からの摂取が、さして難しくない成分です。
ということで(?)salvage 経路に、より力を注いだほうがいいと考えられます。

 

どっちも大事です

あえて、salvage 経路と de novo 経路を比較していますが、こちらをご覧の通り、どちらも大事です。

新生経路またはサルベージ経路のいずれかにおける酵素の阻害により、NAD+が顕著に枯渇する。このことは、細胞のNAD+レベルを維持するためには、これらの経路がどちらも重要であることを明確に示している。

引用元
公開特許公報(A)_リスベラトロールの医薬製剤、および細胞障害を治療するためのその使用方法
国立研究開発法人科学技術振興機構

 

◆ナイアシンサプリでもOK?

さて、いったい何が言いたいのかというと

NAD+を増やすには、ナイアシンのサプリでもOKなのでは・・・

です。

※老化によりニコチンアミド⇒NMNの「⇒」で働く酵素が少なくなったり、弱まります。
この代謝が衰えることで、老化によりNAD+の量が減っていくと考えられるので、直にNMNを取れるNMNサプリのほうがいいに決まっています。

 

 


レスベラトールは他の栄養成分と一線を画しています。
他の栄養成分では、なかなかお目にかかれない働きがあります。
個人的に、次に紹介する2つはレスベラトロールの働き(効果・効能)として覚えておいておくべきと思っています。

注意

これから紹介する働きはSirt1を介して行われるもの(と思われる)なので、今まで説明した健康長寿(Sirt1活性化)の内容に含まれています。
重要なのであえて別枠にしました。

 

見た目年齢(テロメアの保護)

細胞の核内に染色体(DNAのかたまり)があります。

染色体の端には、テロメアと呼ばれるキャップのようなものがついています。
テロメアは染色体末端を保護する線状染色体の末端を完全複製するの2つの役割を果たしています。

テロメアDNAは、細胞が分裂する度に短縮してしまいます。

テロメアDNAが一定の短さになると染色体の不安定化がおこり、その細胞の質が低下してしまいます。

細胞の質の低下とは、ようは「細胞分裂する能力の衰え」です。
テロメアは細胞分裂の回数を数えるカウンターのような働きをしており、細胞が分裂するたびに短くなり、細胞分裂の回数が減っていきます。

その回数がある程度以上になると、細胞の分裂は行われなくなります。
これが俗にいう「細胞老化」=「老化」です。

ということで、テロメアの長さの差は、見た目年齢の差につながります
レスベラトロールには、テロメアの消耗を抑制する働きがあります。

 

参照
ドクター根来の健康+長生き生活講座  レスベラトロール編
あんしんセエメエの健康・長生き学園 東京海上日動あんしん生命

寿命に影響? 「見た目年齢」と「テロメア」
読売新聞オンライン

見た目は健康の鏡 見た目の若い人の特徴は?
医療プレミア 毎日新聞

 

細胞の若返り(オートファジーの促進)

オートファジーとはオート=自分自身 とファジー=食べる を合わせた造語で、細胞が自己成分(たんぱく質など)を分解する機能のことです。
ようは細胞の中の古くなったゴミを処理し、新しい資源を作り出す「リサイクルシステム」とイメージしてください。


肌の細胞にもオートファジーが機能しており、古くなったコラーゲン・ヒアルロン酸を分解し、それを新しいものをつくる資源としてリサイクルしています。

ただし、加齢とともにオートファジーの働きが低下していきます。

その結果、劣化したコラーゲン・ヒアルロン酸が蓄積されてしまいシワやたるみとなって肌に現れます。

オートファジーを活性化させる成分といえば、ポリアミンが有名です。
ポリアミン以外に、レスベラトロールにもあることを覚えておくといいかもしません。

オートファジーを活性化することが良く知られたポリアミンを含有した米胚芽エキス末に、
㈱AutoPhagyGOとの共同研究により細胞でのオートファジー活性を確認した2成分を厳選して配合しました!※目安量

引用元
オートファジー習慣
味覚糖(株)

レスベラトロールのサプリメントによくあるキャッチフレーズ集

  • 長寿遺伝子を活性化させる
  • 長く健康に生きるため
  • いつまでも美しさ、若々しさを
  • 寿命延長に関わる注目の栄養成分
  • 赤ワインに含まれる話題のポリフェノール

 

 

レスベラトロールの摂取量、不足、過剰

日本人の食事摂取基準(厚生労働省策定)においてのレスベラトロールの推奨摂取量たるものはございません。

イチ目安となる量はこちらです。

2~100mg/日

ブドウ由来の総レスベラトロール類、リンゴンベリー由来のレスベラトロール又はメリンジョ由来の総レスベラトロール類として 2~100㎎

引用元
「レスベラトロール食品」規格基準の設定について(公示)
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会

レスベラトロールはポリフェノールです。5大栄養素に含まれないので「不足」のことは考える必要はありません。

「過剰」に関していうと、食品からであればまず心配いりません(次項で説明)。
サプリからの場合でも目安摂取量を守っていれば問題ないと思います。

なお、サプリメーカーがよく目安摂取量としている設定している数値は30mg(日本)~200mg(海外)/日です。

レスベラトロールが多く含まれる食品

レスベラトロールを食品からとるとしたら4択です。
4つのみということはありませんが、次の4つが多く含まれている食品として有名です。
おおよその含有量も記載しておきます。

  • 赤ワイン

    ~5.8mg/L
  • 赤ブドウ(果皮)

    ~0.71mg/100g
  • ピーナッツ(薄皮)

    ~0.78mg/100g

  • ココアパウダー 

    ~0.23mg/100g

※産地や品種により異なります

このうち、赤ワインに注目します。
グラスワイン1杯=100㏄と換算した場合、レスべラトロールの含有量は~0.58㎎となります。
となると30mgに達するには50杯以上を飲む必要があります。

推奨量(日本)30mgを取るには、食品からは現実的ではありません。
推奨量(海外)200mgにおいては、ほぼ不可能です

というわけで、サプリからの摂取がおすすめです。

レスベラトロールの豆知識

レスベラトロール類

レスベラトロールといっても、それ一つの成分でなく、数種類存在します。

  • 【モノマー体】レスベラトロールには、
  • 【オリゴマー体】レスベラトロール二量体・三量体・四量体
  • 【配糖体】それらレスベラトロール配糖体 


が存在します。

補足

  • モノマー 
    単量体
  • ポリマー 
    モノマーが結合した重合体
  • オリゴマー 
    比較的少数のモノマーが結合した【化学構造の単位がポリマーほどではない】重合体

    モノマー2分子からなる重合体→二量体
    モノマー3分子からなる重合体→三量体

  • 配糖体  
    糖が結びついた化合物

.なので厳密には、レスベラトロールではなくレスベラトロール類です。

レスベラトロール類の種類の有名どころをざっとあげると以下になります。
なお、有名かどうかは個人感です。

名称 形態
レスベラトロール  
パイシード レスベラトロール配糖体
ε-ビニフェリン レスベラトロール二量体
δ-ビニフェリン レスベラトロール二量体
グネチンC レスベラトロール二量体
パリドール レスベラトロール二量体
α-ビニフェリン レスベラトロール三量体
ミヤベノールC レスベラトロール三量体
ホペアフェノール レスベラトロール四量体
バチカノールC レスベラトロール四量体

※レスベラトロールには、trans(トランス)型とcis(シス)型があります。

日本のレスベラトロールサプリ

JHFAマークでお馴染みの公益財団法人 日本健康・栄養食品協会では、
サプリの「レスベラトロール」の原料は、
次の3つの「トランスレスベラトロール及びその二量体等の重合体、もしくはそれらの配糖体を含むスチルベノイドポリフェノールの総称と定義しています。

  1. ブドウ由来

  2. メリンジョ由来

  3. リンゴンベリー由来

ここでいうレスベラトールとは、ブドウ、リンゴンベリー、メリンジョなどに含まれるトランス‐レスベラトロールおよびその二量体等の重合体、もしくはそれらの配糖体を含むスチルベノイドポリフェノールを総称していう。

引用元
「レスベラトロール食品」規格基準の設定について(公示)
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会

各原料により含有されるレスベラトロール類の特徴があります。

その特徴をざっとまとめます。

  1. ブドウ由来


    二量体ε-ビニフェリンが多く含まれる

    ブドウにはRSVの他に二量体のε-ビニフェリンが比較的多く含まれる。

    引用元
    レスベラトロールの健康長寿効果について~最近の話題~
    PDFページ 3/10
    J-STAGE

  2. メリンジョ由来


    二量体グネチンCが多く含まれる

    メリンジョは、レスベラトロール二量体(グネチンC)を豊富に含んでいます。

    引用元
    メリンジョ由来レスベラトロールとは
    みつばち健康化学研究所

  3. リンゴンベリー由来


    単量体トランスレスベラトロールが多く含まれる

    その真っ赤な果実には、体内で有効に働くトランス型のレスベラトロールを豊富に含んでいます。北欧の過酷な環境で育つサンタベリーは、ブドウなどと比較してもより多くのレスベラトロールを含むことがわかっています。

    引用元
    レスベラトロールとは
    医療機関サプリメント情報
    (株)わかさ生活

海外のレスベラトロールサプリ

さて、3つ【ブドウ・メリンジョ・リンゴンベリー】はあくまでも、日本で、レスベラトロールサプリとして販売できる原料です。

もう1つ、レスベラトロールの原料として有名な素材があります。

それはイタドリです。

イタドリ(虎杖)はタデ科の多年生植物です。

 

その根茎である虎杖根は漢方薬として利用されています。


イタドリは痛みを和らげるという意味の「痛取り」から由来していると言われています。

イタドリ由来レスベラトロールの特徴は次です。

  • イタドリ由来


    パイシードが多く含まれる

    RSVの配糖体,パイシード(第1図)は,イタドリ根である漢方薬「虎杖根(コジョウコン)」の主成分である。

    引用元
    レスベラトロールの健康長寿効果について~最近の話題~
    PDFページ 3/10
    J-STAGE

日本ではイタドリの根茎は生薬であり、薬事法における「医薬品」です 。なので食品などに用いることができません。日本でイタドリ由来レスベラトロールを原料としたものは「無承認無許可医薬品」にあたります。

補足

イタドリの根茎が医薬品区分なのは、緩下作用や利尿作用があるエモジンという成分が含まれているからです。
レスベラトロールの原料が日本で認められている3つ【ブドウ・メリンジョ・リンゴンベリー】由来であるかを調べる場合、エモジンが検出されないか否か【エモジン確認試験法によりエモジンを検出しないこと。(検出限界5ppm)】が安全・衛生基準に含まれています。

海外のレスベラトロールサプリの主流は、イタドリ由来です。

海外のレスベラトロールサプリの原料表示にある

from Japanese knotweed
from   Polygonum cuspidatum

これイタドリ由来のことです。

海外のレスベラトロールサプリで、イタドリ由来以外の3つ(とくに、メリンジョ・リンゴンベリー)は、あまり見かけません。これはイタドリが他の3つに比べ非常に安価であるのが主たる理由だと思われます。

ということでイタドリ由来レスベラトロールサプリは、海外のみで販売されているサプリです。
(手に入れるとしたら)個人輸入代行サイトの直サイトで手に入れることができます。

まとめると

今までの話をざっとまとめると、

レスベラトロールは

  • それ1つの成分ではなくレスベラトロール類で
  • レスベラトロール類には種類がいろいろあって、
  • サプリの原料も4つあり、
  • 各々、特徴(含有されている種類や量)が異なる

です。

それゆえ
いったい何を基準にレスベラトロールサプリを選択すればよいのかと思われるかもしれません。

私自身が、レスベラトロールサプリをどういった基準で選択しているかはコチラ(レスベラトロールのサプリの選択基準)に記載しています。よろしければご覧ください。


レスベラトロールのレーダーチャート解説

評価基準

  • 6 
    このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる
  • 5 
    このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる

  • このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる
  • 3.5 
    このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない

  • このカテゴリーになんらかの効果があるもの

  • このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる

  • このカテゴリーとは関係ないと思われる

※4以上が摂取目的となっているカテゴリー 

 

 

レスベラトロール 総合評価 S 16

 総合評価について
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS  18点
S  16点以上
A+ 14点以上
A  12点以上
B+ 10点以上
B  9点以下

 髪(薄毛)評価5 
この項目に関わるレスベラトロールの働きは主に次です。

  • 5α還元酵素阻害作用
    男性ホルモン「テストステロン」が5α還元酵素と結びつくと、より強力な男性ホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変換してしまいます。
    DHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体に結びつくと、髪の成長を妨げる「TGF-β」という脱毛促進因子を産生します。TGF-βは毛母細胞の細胞分裂を抑制します。それにより、通常であれば約2年~6年のあるヘアサイクルの成長期を、数カ月に短縮させ、抜け毛を促進させます。


    成長期(約2年~6年)→退行期(約2週間)→休止期(約3カ月)→【脱毛】→再び成長期

    5α還元酵素の働きを阻害することは、テストステロン⇒DHTの変換の抑制につながります。
    なので5α還元酵素阻害薬(AGA治療薬としての)や5α還元酵素阻害作用をもつ栄養成分を取ることは、男性型脱毛症の予防・改善になります。
    レスベラトロールは5α還元酵素阻害作用をもちます。

  • 知覚神経を刺激してIGF-1を増やす
    IGF-1はヘアサイクルの成長期の延長 退行期・休止期の短縮効果をもたらします。なぜならIGF-1が毛母細胞に作用すると、毛母細胞が活性化するからです。

    IGF-1

    成長因子とは特定の細胞の分化・増殖を司るたんぱく質の総称のことです。IGF-1とは、構造がインスリンに極めて似ている成長因子です。細胞にある受容体に結合することでその細胞の働きを活性化させます。髪(頭皮)においては、IGF-1は毛根の毛乳頭細胞で産生されます。それが毛母細胞の受容体にが結合すると毛母細胞の働きが活性されます。

    ようは、IGF-1を増やせば、抜け毛が減るです。


    IGF-1を増やす方法は「成長ホルモンの分泌を促す」or「知覚神経を刺激する」の2つです。
    レスベラトロールには「知覚神経を刺激する」作用があります

     

    参照
    赤ワインとチョコレートが薄毛を救う!/抜け毛予防
    毎日が発見ネット (株)毎日が発見

    “百薬の長”の効能のメカニズムを探る
    J-STAGE

 

 

 肌(美肌)評価5.5 
この項目に関わるレスベラトロールの働きは主に次です。

  • NF-κB阻害作用
    長期間にわたり太陽光線を受けると、皮膚に次の変化を引き起こします。

    1. 黄色調となり、様々な色素班が増える
    2. 微細なシワや深いシワが増える
    3. 皮膚の光沢がなくなり、粗造、乾燥してくる

    このような皮膚の変化は光老化を言います。

    光老化にはNF-κBが関与しています。

    NF-κBは炎症に関連して活性化する転写因子です。
    皮膚の表皮細胞に存在し、皮膚に紫外線があたると活性化されます。その結果、炎症が起こります。
    炎症が起きることで、皮膚の角化異常メラノサイト増殖異常コラーゲンの分解などが生じます。

    なのでNF-κBの過剰発現およびその作用を抑制することが、肌の老化を予防することになります。
    レスベラトロールはNF-κB抑制作用を有します。

  • ラゲナーゼ・エラスターゼ・ヒアルロニダーゼ活性阻害
    こちらは真皮層のイラストです。

    ひし形内のが繊維芽細胞(すべてのひし形内にあります)、ひし形の線部分がコラーゲン、線部分のつなぎめがエラスチン、ひし形内にあるのがヒアルロン酸などの基質です。

    これら美肌成分が減少すると、肌のハリ・弾力・ツヤは失われます。
    老化により、これら成分を分解する酵素

    • コラゲナーゼ
      コラーゲンを分解する
    • エラスターゼ
      エラスチンを分解する
    • ヒアルロニダーゼ
      ヒアルロン酸を分解する

    が活性化されると3つの成分は減少していきます。

    レスベラトロールにはこの3つの酵素活性を抑える
    働きがあります。

 

 

 体型(ダイエット)評価6 
この項目に関わるレスベラトロールの働きは主に次です。

  • アディポネクチン
    脂肪細胞からさまざまな生理活性物質が分泌されています。脂肪細胞から分泌される生理活性物質を総称して、アディポサイトカインといいます。

    アディポサイトカインには善玉と悪玉があります。
    アディポネクチンは善玉アディポサイトカインの1つです。
    アディポネクチンの糖・脂質代謝に関連する生理作用は次になります。

    • 糖新生
      糖新生を抑制する
    • 脂肪酸燃焼
      脂肪酸のβ酸化を促進する
    • 糖取り込み
      糖の筋肉細胞へ取り込みが増加する
      ※インスリンを要せず
    つまるところ、アディポネクチンが分泌されると
    =脂肪の蓄積を防ぐ&脂肪の燃焼を促す

    =痩せる

    につながります。

    というわけで、アディポネクチンを分泌させれば、痩せることができるので、メディアでは痩せホルモンと呼ばれています。

    アディポネクチンを分泌させる方法は、内臓脂肪に効果がある運動をする or アディポネクチンの分泌を促す栄養成分を取るです。

    レスベラトロールはSirt1の活性化させることで、FoxO1を脱アセチル化させアディポネクチンの発現を促進させます。

  • PPARα
    PPARとは核内受容体で、PPARα 、PPARγ 、PPARβ/δの3種類のサブタイプが存在します。

    そのうちはPPARαは主に肝臓や骨格筋などに発現し、脂質代謝を制御しています。
    PPARαを活性化させるとミトコンドリアβ酸化が活性化し、脂肪酸分解が促進されます。

    レスベラトロールはPPARαを直接活性化させます

    さらに、レスベラトロールは PPARαを直接活性化するとともに、細胞内の cAMP の分解を抑制することで PPARαを長期的に活性化することを明らかにしました(図 1)。

    引用元
    ぶどう成分レスベラトロールと運動習慣で持久力アップ
    4. 健康機能性を高める高付加価値の創出
    生物系特定産業技術研究支援センター 農研機構

 

 

 体力(普段)評価6 
この項目に関わるレスベラトロールの働きは主に次です。

  • AMPK
    AMPキナーゼ(以下AMPK)とはAMP活性化プロテインキナーゼ(AMP-activated protein kinase)の略で、エネルギー源となる糖や脂肪の代謝を調節している酵素のことを言います。

    AMPKには、細胞内のエネルギーの減少を感知しATPのレベルを回復させる作用があります。
    AMPKが活性されると【ATP産生の促進とATP消費の抑制】が誘導され、細胞内のATPレベルが回復するメカニズムとなっています。

    AMPKはエネルギーが枯渇している時【ハードな運動 or 栄養飢餓 or 低酸素 の状態】に活性されます。
    栄養成分の中にはAMPK活性化作用を有するものがあります。
    レスベラトロールはその1つです。

  • PGC-1α
    PGC-1αとはPPARγをはじめとするいくつかの核内受容体と相互作用し、さまざまな標的遺伝子の転写調節を行う転写共役因子です。
    特にミトコンドリアを構成する分子、あるいはその機能を発揮するに関わる分子の転写制御に関与するため、ミトコンドリアの生合成と機能のマスター調節因子として知られています。

    ミトコンドリア

    簡単に言ってしまうと「PGC-1αの発現が増える」⇒「ミトコンドリアを増加させるミトコンドリアの機能を増強させる」です。

    Sirt1の活性化はPGC-1αの脱アセチル化反応を促し、PGC-1αを活性化させます。
    レスベラトロールはSirt1を活性化させます。

 

 

 その他(脳)総合評価5 
この項目に関わるレスベラトロールの働きは主に次です。

  • アミロイドβ
    アルツハイマー病の脳では、アミロイドβと呼ばれるたんぱく質(40程度のアミノ酸から成るペプチド)の断片が処理されずに蓄積され、老人斑というゴミの塊を形成します。

    このゴミがたまると【神経細胞が傷害を受ける→神経細胞が死滅する→脳が萎縮する→脳の機能障害が起こる】といった流れをたどります。
    アルツハイマー病はアミロイドβの凝集体が原因で発症するとされています。

    レスベラトロールはアミロイドβの分解を促進します。

 

 

レスベラトロール 参照一覧

レスベラトロール研究の進展 公益社団法人日本生化学会

赤ワインの機能性成分レスベラトロールの分子標的と将来展望 (一財)食品分析開発センターSUNATEC

レスベラトロール情報局 サンブライト(株)

ぶどうポリフェノールライフ アサヒ飲料(株)

ポリフェノール習慣。 楽しみながら摂れる、 新・ワイン生活。 サッポロホールディングス(株)

ブドウ由来のプレミアム成分 アンチエイジングのカギを握るレスベラトロール
研究レポート 富士フイルム ヘルスケア未来研究所

ぶどう中のレスベラトロール 抗酸化機能分析研究センター 国立大学法人 旭川医科大学

 

リスベラトロール J-STAGE

ワインのリスベラトロール (I) J-STAGE

ワインのリスベラトロール (II) J-STAGE

レスベラトロールの健康長寿効果について~最近の話題~ J-STAGE

レスベラトロールの非抗酸化作用について J-STAGE

抗酸化物質としてのレスベラトロールの多機能性 J-STAGE

栽培条件の違いがブドウ果皮中のレスベラトロール含量に及ぼす影響 J-STAGE

レスベラトロール4量体バチカノールCは、培養細胞および個体レベルでPPARαとPPARβ/δを活性化する(研究論文紹介) J-STAGE

メリンジョ種子エキス J-STAGE

アンチエイジングの分子ターゲットとしてのサーチュイン J-STAGE

2.老化学説と老化制御 J-STAGE

出芽酵母の寿命研究の現状と展望 J-STAGE

植物ポリフェノールによる筋萎縮予防の可能性 J-STAGE

食品ポリフェノールによる核内レセプターの活性化 J-STAGE

老化制御シグナルを標的としたアンチエイジング物質開発の可能性 J-STAGE

「植物環境工学の研究展望」(第四回)環境ストレスと二次代謝 J-STAGE

日本のワインづくり 赤ワインの製造におけるポ リフェノールの挙動と役割 J-STAGE

ワインと健康 J-STAGE

ワインの科学 J-STAGE

ワインの品質とフェノール化合物 J-STAGE

赤ワインの有効成分プロアントシアニジン : なぜ赤ワインが体に良いのか J-STAGE

バイオ資源の探索研究 J-STAGE

哺乳類代謝制御におけるNAD+の生理学的重要性と治療標的としての可能性 J-STAGE

超高齢社会日本におけるNAD生物学トランスレーショナル研究の意義と可能性 J-STAGE

栄養センシングと細胞機能の制御 J-STAGE

NAD+/SIRT1が結ぶ概日時計と老化・代謝 J-STAGE

2014年 (第30回) Japan Prize「生命科学」分野 授賞業績 J-STAGE

ヒストンの脱アセチル化 J-STAGE

エピジェネティクスを操る小分子化合物 J-STAGE

カロリー制限しても寿命は延びない J-STAGE

老化とストレスに関する食品の機能性研究の現状 J-STAGE

トリプトファン代謝を支配する B 群ビタミンの栄養状態 J-STAGE

Autophagy と Mitophagy J-STAGE

廃用性筋萎縮予防に関する分子栄養学的研究 J-STAGE

ファイトケミカルがもつoff-target効果の意義 J-STAGE

 

サーチュイン遺伝子  ウィキペディア

摂取カロリーと老化  老化介入・老化制御  健康長寿

ヒストン修飾とは? (株)医学生物学研究所

サーチュインと老化 日本基礎老化学会

NAD 代謝による老化制御機構 日本基礎老化学会

食品成分による褐色脂肪組織機能亢進作用を介した熱産生機構 日本微量栄養素学会

蛋白質脱アセチル化酵素 SIRT1 の機能と病態への関与 札幌医科大学附属総合情報センター

機能性成分 農研機構

 

 

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