共役リノール酸(CLA)

共役リノール酸(CLA)の評価 A+

共役リノール酸(CLA)

CLAとはConjugated Linoleic Acidの頭文字を取った略語です。
日本語で共役リノール酸(以降 CLA)です。

CLAはリノール酸の異性体です。

リノール酸は炭素数18、二重結合2つの多価不飽和脂肪酸です。
最初の二重結合の位置はメチル基末端から数えて6番目の炭素にあるのでn-6系多価不飽和脂肪酸です。

CLAは、リノール酸の異性体で、炭素鎖中で共役二重結合を持つもの の総称をいいます。

構造式を使って説明

こちらをご覧ください。

CLAの生理機能 - CLA 共役リノール酸のチカラ

出典元
CLAの生理機能
CLA 共役リノール酸のチカラ
日清オイリオグループ(株)

出典元の構造式を文章で簡単に説明すると以下となります。


  • リノール酸は炭素数18で、9位12位にシス型の二重結合を持っています。

  • CLAは炭素数18で、9位にシス型、11位にトランス型の二重結合を持っています。

  • CLAは炭素数18で、10位にトランス型、12位にシス型の二重結合を持っています。

※位置は、【カルボキシル基を起点に、】です。

.
これをもとに
CLAは、【リノール酸の①異性体で、炭素鎖中で共役二重結合を持つもの の総称
を説明します。

 

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①異性体

異性体とは同じ分子式を持ちながら、構造の異なる化合物のことを言います。これに関しては出典元 および 文章の取りまとめ でお分かりいただけると思います。

 

②共役二重結合

二重結合というのは炭素と炭素の間が=でつながっている状態です。
それを踏まえて、こちらの2つの構造式をご覧ください。


出典元
トランス脂肪酸
農林水産省

出典元 下:
リノール酸は二重結合の間に炭素の単結合( )を2つ挟んでいます。
CH=CHCH₂CH=CH
通常の多価不飽和脂肪酸は、二重結合間に-CH₂-(メチレン基 )を挟んだ構造をしています。

出典元 上:
一方でCLAは、メチレン基を含まず、二重結合の間に炭素の単結合( )が1つのみ存在します。
CH=CHCH=CH
このように、炭素鎖中に2つ(あるいはそれ以上)の二重結合が単結合と交互に存在する結合【二重結合・単結合・二重結合】のことを共役二重結合といいます。

 

③総称

CLAは、(理論上は)28種類存在します。

CLAは、カルボキシル基から数えて、6位8位 7位9位 8位10位 9位11位 10位12位 11位13位 12位14位の位置に二重結合を有し、各々4パターン(cis・transtrans・ciscis・cistrans・trans)28(7×4)種類が存在するとされます。

CLAはカルボキシル基末端から6,8-,7,9-,8,10-,9,11-,10,12-,11, 13-,あるいは12,14-位に共役ジエン構造を有し,かつ, シス(cis)型あるいはトランス(trans)型の立体配置をとっている。CLAの各位置異性体には4種類の幾何異性体(cis,trans;trans,cis;cis,cis;trans,trans)が考えられることから,理論上は,合計28種類のCLA異性体が存在する。

引用元
共役リノール酸の食品中の含量と生理機能
J-STAGE

 

ということで、CLAは、リノール酸の異性体で、炭素鎖中で共役二重結合を持つもの の総称です。

 

cis型 trans型について

ここでcis(シス)型、trans(トランス)型について簡単に説明します。

農林水産省のHPにわかりやすいイラストおよび説明がありましたので、そのままお借りします。

 

出典元
すぐにわかるトランス脂肪酸
農林水産省

これにて説明不要だと思います。

 

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リノール酸は9位と12位にシス型の二重結合を有します。
リノール酸をはじめとした不飽和脂肪酸のほとんどは炭素間の二重結合がシス型です。

  • 定番のオリーブオイルに多く含まれるオレイン酸

  • 話題のアマニ油に多く含まれるα-リノレン酸

  • 人気の魚の油に多く含まれるEPADHA



.
全部シス型です。

もう一度、こちらの構造式をご覧ください。

CLAの生理機能 - CLA 共役リノール酸のチカラ

出典元
CLAの生理機能
CLA 共役リノール酸のチカラ
日清オイリオグループ(株)

出典元の各構造式の屈折の度合いが微妙に異なっているのお分かりいただけるでしょうか?
これって意味があります。

脂肪酸の不飽和結合が

  • シス型の場合
    脂肪酸の立体構造は、不飽和結合の位置で屈折する。
  • トランス型の場合
    脂肪酸全体の構造は直線的で、飽和脂肪酸に似てくる。

.
ので、あのような形になっています。

もっとわかりやすい例がこちらです。


出典元
「油脂とは」
農研機構

オレイン酸・エライジン酸(オレイン酸の幾何異性体)どちらが

  • シス型→屈折する 
  • トランス型→直線的で、飽和脂肪酸に似てくる

が一目でお分かりいただけると思います。

 

トランス脂肪酸について

さて、せっかくなのでトランス脂肪酸についても触れたいと思います。

トランス型の不飽和結合を有する脂肪酸を、「トランス脂肪酸」といいます。

トランス脂肪酸は体に悪いといったイメージがあると思います。

実際 体に悪く、トランス脂肪酸の摂取量が多いと、血液中のLDLコレステロールを増やしますそれだけなくHDLコレステロールを減らします

LDL・HDL

コレストロールは大きくLDL(悪玉)とHDL(善玉)に分けられます。LDLに含まれているコレストロールも、HDLに含まれているコレストロールも同じコレストロールです。コレストロールを運ぶ乗り物(リポたんぱく)の違いにより区別されているだけです。それなのに善玉と悪玉とわけられている理由は次です。

  • LDL
    LDLはコレストロールを必要とする組織に運搬する働きをします。そのコレストロールは細胞膜やホルモンの材料として使用されます。なのでLDLそのものは「悪玉」ではありません。
    悪玉と呼ばれている理由は、余った場合に体に悪影響を及ぼすからです。余ったLDLは血管壁に溜まり動脈硬化を進行させます

  • HDL
    HDLは全身をめぐって血液中にたまったコレストロールを肝臓に運び戻す働きをします。単に運び戻すだけでなく、動脈硬化が起きている場所(プラーク)からコレステロールを引き抜き、肝臓に回収し胆汁として排泄する働きをします。

ということで、トランス脂肪酸の摂取は避けることが勧められています。

 

トランス脂肪酸が含まれているもの 

トランス脂肪酸は、主に3つに由来します。

①硬化油由来


【マーガリンやファットスプレッドやショートニングなどに含まれる部分水素添加油脂】および【部分水素添加油脂を原材料に使った洋菓子、部分水素添加油脂で調理された揚げ物】にはトランス脂肪酸が含まれています。

部分水素添加油脂

固体または半固体の油脂製品(マーガリンなど)を製造する際に、液体の植物油などに、【その不飽和脂肪酸にある二重結合の一部に】水素を付加して固形・半固形化した油脂です。

マーガリンでいうところの「固さ調整」に使われる原料です。水素を添加することで不飽和脂肪酸の二重結合の数が減り、飽和脂肪酸の割合が増えます。それにより適度な硬さの固形油を得ることができます。また酸化しにくくなるという効果もあります。

が、製造工程でトランス脂肪酸ができることがあります。


 

②肉・乳製品由来


天然の不飽和脂肪酸はシス型ですが、反芻(はんすう)動物では、胃の中のバクテリアの働きによって、トランス脂肪酸が作られます。なので牛肉や羊肉、乳製品の中には、微量のトランス脂肪酸が含まれています。

 

③高温で処理した食用油由来


植物などから抽出された原油(粗油)は、いくつかの精製工程を経て、食用油となります。
その工程は脱ガム・脱酸・脱色・脱臭です。
うち脱臭工程(=高温下、真空下で水蒸気を吹き込む)で、トランス脂肪酸が微量ながら生成します。
なのでサラダ油などの植物油にも、ごく微量のトランス脂肪酸が含まれていることになります。

 

①>②>③の順でトランス脂肪酸の含有量が多くなります。
3つの中では①が圧倒的に多いです。なのでニュアンスの違いをつけました。

食品に含まれるトランス脂肪酸の量の一部を取りまとめた表はこちらです。


出典元
ファクトシート トランス脂肪酸
食品安全委員会(内閣府)

常日頃からトランス脂肪酸を意識して避けることは健康上とても大切です。ただし、過度に意識する必要はありません。
というのも、1日あたりのトランス脂肪酸の平均摂取量は日本人は0.7gとなっており、諸外国と比べて圧倒的に少ない摂取量となっています。
※出典元に記載されている食品をたくさん食べている人は要注意です。

 

CLAはトランス脂肪酸?

さて、話の流れから、「CLAにトランス脂肪酸が含まれているのでは?」といった疑問が生まれるかもしません。
なんせ、CLAの4パターン(cis・transtrans・ciscis・cistrans・trans)のうち
3パターン(cis・transtrans・cis、cis・cis、trans・transにトランス型があるからです。

そうなると、28種類あるCLAのうち、21種類(7×3)がカテゴリー上はトランス脂肪酸にあてはまるということになります。

結論からいうとCLAはトランス脂肪酸ではあるけど、トランス脂肪酸ではありません

 

トランス脂肪酸は次のように定義されています。

トランス脂肪酸

少なくとも1つ以上のメチレン基で隔てられたトランス型の非共役炭素-炭素二重結合を持つ単価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸の全ての幾何異性体(出典:コーデックス委員会栄養表示に関するガイドライン CAC/GL2)

出典元
トランス脂肪酸
農林水産省

ようは

  • 一つでもトランス型の二重結合をもつ脂肪酸がトランス脂肪酸
  • 但し、共役型は除外

です。

というわけで、共役型トランス脂肪酸はトランス脂肪酸に定義にあてはまりません。
ということで、CLAは(化学的には)トランス脂肪酸ではあるけど、(体に悪さをする)トランス脂肪酸ではありません

共役リノール酸は構造的にトランス型の二重結合を有するものも多く、天然に含まれるトランス脂肪酸であるが、体内で非共役トランス脂肪酸以外の脂肪酸と同様に振る舞うことから、アメリカ食品医薬品局ではトランス脂肪酸の規制から除外している。

出典元
共役リノール酸
ウィキペディア

 

CLAは9cis・11trans型と10trans・12cis型

CLAは総称のことで、28種類あると述べました。

代表的なCLAは

  • 9cis・11trans型
  • 10trans・12cis型

です。

市販のCLA商品は、サフラワーなどリノール酸を多く含む油を異性化し、生成されたもので、9c,11t-CLAと10t,12c-CLAが同程度含まれます。

ということで、共役リノール酸(CLA)の栄養成分レビューは、基本

  • 9c,11t-CLA
  • 10t,12c-CLA

のことだと考えてください。

CLAのもつ生理作用は、主にこの2つによるものです。

CLAのもつ生理作用の一部

  • 抗肥満作用
  • 抗動脈硬化作用
  • 抗糖尿病作用
  • 抗がん作用
  • 血圧上昇抑制作用
  • 免疫調節作用

9c,11t-CLA 10t,12c-CLAで有する作用(または作用の活性度合い)が異なりますが、
ここでは一緒くたにしてCLAの作用とします。

 

共役リノール酸(CLA)の効果・効能

抗肥満作用

CLAには抗肥満作用があります。
CLAの抗肥満作用はこの3つの働きによりもたらされます。

CLA 共役リノール酸のチカラ

出典元
CLA(共役リノール酸)って何?
CLA 共役リノール酸のチカラ
日清オイリオグループ(株)

①~③個別に説明します。

なお、こちらは脂肪分解のメカニズムです。

脂肪燃焼のメカニズム

  1. 分解 体脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する
  2. 運搬 分解されてできた脂肪酸を細胞のミトコンドリアに運搬する
  3. 燃焼 ミトコンドリアで脂肪酸がエネルギー貯蔵物質ATPに変わる

ATPがエネルギーとして消費される→脂肪燃焼

説明中にたびたび「メカニズム」の言葉をはさみますが、メカニズムはこのことを指しています。

 

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①脂肪分解酵素の活性化

体脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する酵素が「HSL(ホルモン感受性リパーゼ)」です。この酵素を活性させることが脂肪燃焼のスタート=メカニズム①分解です。
HSLが活性されると脂肪が分解されて、脂肪酸が血中に放出され、次のメカニズム②運搬・③燃焼へと移行するといった流れになります。

HSLが活性化されるのは空腹時や運動時です。
空腹時や運動時に脂肪動員ホルモン(アドレナリン・グルカゴン・成長ホルモンなど)が分泌されると活性化されます。

CLAはHSLの働きを活性化させます。
なのでCLAの摂取はメカニズム①分解を促進させます。
=脂肪燃焼を促進させます。

 

②蓄積脂肪の燃焼

脂肪組織にて中性脂肪として蓄積されたもの=体脂肪は、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)の働きによって、分解されます。→メカニズム①分解のこと

その脂肪酸は血中に放出され、筋肉でエネルギー源として消費されます。
→メカニズム②運搬~③燃焼のこと

ここでの【筋肉でエネルギー源として消費】【脂肪酸がATPに変換され、利用される】です。

脂肪酸がATPに変換される過程は

脂肪酸→β酸化→TCA回路→電子伝達系

.
です。

脂肪酸が→β酸化に進むにはミトコンドリアに運ばれる必要があります。

ミトコンドリア


ミトコンドリアは外膜と内膜の二重の生体膜で構成されています。外膜はおおもとを囲っている線、内膜はくねくねした部分の線です。内膜に囲まれた内側をマトリックスといいます。

ミトコンドリアに脂肪酸を運搬するのがカルニチンの役割です。
脂肪酸はカルニチンと結合することで、ミトコンドリア内に入ることができます。

これを踏まえて、先ほどの流れを補足すると次になります。

脂肪酸→🚚脂肪酸+カルニチン】→【ミトコンドリア🤢】β酸化→TCA回路→電子伝達系

.

ここで🚚脂肪酸+カルニチン】→【ミトコンドリア🤢】の流れを説明します。

🚚脂肪酸+カルニチン🚚→ミトコンドリア🤢

脂肪酸はアルブミンというたんぱく質と結合し、筋肉の細胞に運ばれます。
そして細胞質に取り込まれた後、活性化され脂肪酸アシルCoAに変換されます。

脂肪酸をエネルギーに変える場所はミトコンドリアのマトリックスです。

ただし、脂肪酸は脂肪酸アシルCoAのままではミトコンドリアの内膜を通過することができません。
一時的にカルニチンと結合し脂肪酸アシルカルニチンになることでミトコンドリア内膜を通過することができます

脂肪酸アシルカルニチンになれなければ脂肪に逆戻りすることになります。

.
さて、脂肪酸アシルCoAから脂肪酸アシルカルニチンへ変換する反応を触媒する酵素は、ミトコンドリア外膜に存在するCPT-1です。

CPT-1(カルニチンアシルトランスフェラーゼ)

アシルCoAとカルニチンをアシルカルニチンに変換する酵素です。ミトコンドリアにおけるβ酸化の律速酵素となっています。

この酵素の活性が高まると脂肪酸のミトコンドリアへの輸送が促進されます。

ミトコンドリアに内部に移動した脂肪酸アシルカルニチンは、ミトコンドリア内膜の内側に存在する酵素CPT-2の働きにより、カルニチンと脂肪酸アシルCoAに分かれます。

その後、脂肪酸アシルCoAは、ミトコンドリアのマトリックスにてβ酸化を受けアセチルCoAになります。

脂肪酸→脂肪酸+カルニチン🚚】【ミトコンドリア🤢】β酸化→TCA回路→電子伝達系

.

これ以降はβ酸化→の話です。

→TCA回路
アセチルCoAは、TCA回路に組み込まれ、酸化されます。その過程で生じた水素を水素受容体であるNAD⁺及びFADが受け取ります【→NADH及びFADH2に】。

→電子伝達系
生じたNADH及びFADH2はミトコンドリアの電子伝達系に送られます。電子伝達系では運ばれた【NADH及びFADH2】を利用して大量のATPを生成します。

さて、ここでのポイントをもう一度いいます。
脂肪酸アシルCoAから脂肪酸アシルカルニチンへ変換する反応を触媒する酵素は外膜に存在するCPT-1です。この酵素の活性が高まると脂肪酸のミトコンドリアへの輸送が促進されます。

つまるところ、CPT-1を活性化させる成分をとると脂肪酸のミトコンドリアへの輸送が増加し、脂肪燃焼が進む ことになります。

CLAはCPT-1を活性化させる成分にあてはまります
CLAはCPT-1の発現を増やす働きがあります。

体脂肪が減少する一因として,CLA摂取により脂肪組織および筋肉でカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)活性の増加が観察されている

引用元
共役リノール酸の機能と代謝
J-STAGE

 

 

③余剰な脂肪を取り込む酵素の阻害

LPL(リポ蛋白リパーゼ)は、筋肉などの毛細血管内皮細胞表面に存在しています。中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセリンに分解する酵素です。
 
LPLとHSL、この2つは同じ「脂肪を分解する酵素」ですが、意味合いが違います。
簡単にまとめます。

※HSLについては①脂肪分解酵素の活性化で、登場済みです。復習がてらご覧ください。 

LPL

リポたんぱく質リパーゼ

【存在場所】

脂肪細胞外 血管内皮細胞

【働き】

血中の脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解

より詳しく言うと血中を流れているリポたんぱく質中の中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解します

【結果】

生じた脂肪酸は筋肉や脂肪組織に取り込まれエネルギー源として利用される

ただし

余った脂肪酸は脂肪細胞内に取り込まれ中性脂肪に再合成されて、そのまま貯蔵される=体脂肪となる

 
HSL

ホルモン感受性リパーゼ

【存在場所】

脂肪細胞内

【働き】

脂肪細胞内の中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解、血中へ放出

アドレナリン、ノルアドレナリンなどの脂肪動員ホルモンによって活性化されると脂肪を分解します

【結果】

生じた脂肪酸は筋肉や脂肪組織に取り込まれエネルギー源として利用される

ただし

利用されなかった脂肪酸は脂肪細胞内に取り込まれ中性脂肪に再合成されて、そのまま貯蔵される=体脂肪となる

.
リパーゼはこのように脂肪を分解する酵素ですが、

  • LPLは【血中脂肪を分解して】脂肪細胞内に取り込む体脂肪として溜める要素が強く
  • HSLは【体脂肪を分解して】脂肪細胞外に放出させる脂肪を分解してエネルギーとして利用する要素が強く

なっています。

CLAにはLPLを阻害する働きがあります。
なので、CLAは体脂肪の蓄積を防ぐ働きをします。

以上、

  1. 脂肪分解酵素の活性化
  2. 蓄積脂肪の燃焼
  3. 余剰な脂肪を取り込む酵素の阻害

3つの働きにより、CLAは抗肥満作用を発揮します。

 

抗肥満作用 補足

さて、効果・効能欄の前に以下の注釈文を記載しました。

9c,11t-CLA 10t,12c-CLAで有する作用(または作用の活性度合い)が異なりますが、
ここでは一緒くたにしてCLAの作用とします。

こう記載しながら、もともこうもないことを言います。

抗肥満作用は、主に10t,12c-CLAによるものです。

また異性体による違いとしては,異性体精製物を用いた研究などから10t,12c-CLAが抗肥満作用の活性本体であることが示されている。 

共役リノール酸の新規栄養生理機能 
J-STAGE

というわけで、CLAでも10t,12c-CLAでなければ抗肥満作用を(あまり)得られないということになります。

で、10t,12c-CLAって、食品にほとんど含まれていません

なので、抗肥満作用を得るには、サプリからということになります。

というか、食品にふくまれるCLAは、ほとんど9c,11t-CLAなのですが、CLA自体 食品に含まれているのはわずかです。

なので、CLAの作用を得るには、基本 サプリからということになります。

CLAのもつ生理作用の一部

  • 抗肥満作用
  • 抗動脈硬化作用
  • 抗糖尿病作用
  • 抗がん作用
  • 血圧上昇抑制作用
  • 免疫調節作用

※サプリをはじめとするCLAの商品はアルカリ異性化により生成されるので、「天然」という観点からは外れます。
なので、完璧に安全とは言い切れないのですが、個人的には「CLAはサプリから取るもの」と考えています。

共役リノール酸(CLA)のサプリメントによくあるキャッチフレーズ集

  • ダイエットを強力にサポート
  • 食べ過ぎが気になる人にとって心強い味方
  • 肥満大国アメリカで注目されている成分
  • 食品にはほとんどふくまれていない
  • L₋カルニチンと一緒に摂取することで体脂肪をエネルギーに変える

 

 

共役リノール酸(CLA)の摂取量、不足、過剰

共役リノール酸(CLA)の摂取量
食品会社やサプリ会社によるCLAの1日の目安摂取量は1000~2000mgです。

なお、日本人がCLAの有する生理作用を得るには1日2300mgの長期摂取が必要との研究報告もあります。

以上より,日本人は1日 2 .3 g のCLAサプリメントを長期摂取することで有益な生理作用を得ることができると考えられた

引用元
日本人の共役リノール酸摂取量に関する考察
J-STAGE

 
共役リノール酸(CLA)の不足
CLAには、数々の優れた生理作用があります。不足しているとこの作用が得られないことになります。
人の体内ではCLAはほとんど作ることができません。なので外から補給する必要があります。

なお日本人が1日の食事からCLAを摂取している量は約37.5mgとされており、目安摂取量にはほど遠い数値となっております。

以上より,日本人は 1 日当たりおよそ 37.5 mg の CLA(9c, 11t-18:2)を摂取していることが明らかとなった.

引用元
日本人の共役リノール酸摂取量に関する考察
J-STAGE

約200mg/日という説もありますが、いずれにしても目安量には、とうてい及ばない数値です。
サプリからの摂取を勧めます。

 
共役リノール酸(CLA)の過剰
食品から摂取することによる過剰の副作用は、特に報告はありません。
サプリメントから過剰摂取することにより、排便のトラブル(便がやわらかくなるor硬くなる)が報告されています。サプリメントからの取り過ぎは注意してください。


 

共役リノール酸(CLA)の豆知識

CLAサプリの脂肪酸組成 例

サプリメントなどで市販されている共役リノール酸(CLA)の脂肪酸組成の大部分は9cis、11trans-CLA10trans、12cis-CLAで占められています。その割合もちょうど半々ぐらいです。

市販されているCLAの脂肪酸組成の一例

  • 共役リノール酸(CLA) 80.5% 
    内訳 
    9c,11t-CLA  37% 
    10t,12c-CLA  38.5% 
    9c,11c-CLAと10c,12c-CLA 2.5% 
    9t,11t-CLAと10t,12t-CLA 2.5% 
    その他 0.5%
  • オレイン酸  11%
  • パルミチン酸 5.5%
  • ステアリン酸 2%
  • リノール酸  1%
 
サプリから取るべし
共役リノール酸(CLA)を食品から取るとしたら乳製品や肉類がベターです。その中で含有量が多く、手軽に取りやすいのは牛乳だと思います。

ただ含有量は牛乳に含まれる脂質1gあたり、わずか5.5㎎です。
牛乳1gあたりではなく、牛乳に含まれている脂質1gあたりなのでごくわずかだといえます。

ということで、食品から推奨摂取量(1000~2000mg)を取るのはほぼ不可能といえそうです。
さらにいうと、食品からだと10t,12c-CLAがほとんど取れません。

食事中に含まれる CLA は 9c,11t-18 : 2であり,10t, 12c-18 : 2 は検出されなかった.

引用元
日本人の共役リノール酸摂取量に関する考察
J-STAGE

サプリからの摂取がベストです。

 
脂肪酸型CLAトリグリセリド型CLA
サプリメントなどに使われるCLAはリノール酸を多く含む植物油(紅花油、大豆油)を原料にし、それを加工(異性化)したものです。そのタイプは2つあります。
脂肪酸型CLAトリグリセリド型CLAです。

脂肪酸型CLAを改良したのがトリグリセリド型CLAで、
トリグリセリド型CLAのほうが体内への吸収が早いことが特徴です。
下記、ゴールドジムのはトリグリセライド型です。

 
トナリンCLA
トナリンとは天然の紅花やヒマワリの種から抽出されたCLAのことです。
純度が高いトリグリセリド型CLAで、高いCLA活性を有するといわれています。
トナリンはドイツのコグニス社の特許商品です。

 
反芻動物
反芻(はんすう)とは一度飲み込んだ食べ物を再び口の中に戻して、かみなおして再び飲みこむことです。反芻動物とは反芻をする動物のことで牛、ヤギ、ヒツジなどがあてはまります。

反芻動物は、四つの胃(第一胃、第二胃、第三胃、第四胃)を持っているという特徴があります。
反芻動物の第一胃に存在する微生物が牧草中のリノール酸の形をかえることで共役リノール酸(CLA)は生成されます。

 

 

共役リノール酸(CLA)と相性の良い栄養成分

・L-カルニチン

 

共役リノール酸(CLA)のレーダーチャート解説

評価基準

  • 6 
    このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる
  • 5 
    このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる

  • このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる
  • 3.5 
    このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない

  • このカテゴリーになんらかの効果があるもの

  • このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる

  • このカテゴリーとは関係ないと思われる

※4以上が摂取目的となっているカテゴリー

 

共役リノール酸(CLA) 総合評価 A+ 14.5

 総合評価について
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS  18点
S  16点以上
A+ 14点以上
A  12点以上
B+ 10点以上
B  9点以下
 

 髪(薄毛)評価2.5 

インスリンが標的とする臓器は骨格筋、肝臓、脂肪組織です。

インスリンが働く順番もこの順です。インスリンはまずは筋肉に、次に肝臓に、最後に脂肪に働きかけます。

このことをインスリン・ヒエラルキーと呼びます。

このインスリン・ヒエラルキーが崩れるケースがあります。暴飲暴食によりインスリンが大量に分泌されるとまずは筋肉にではなくまずは脂肪に働きかけるようになってしまいます。これが肥満の原因となります。

なおインスリンの働きやすさを「インスリン感受性」と呼びます。
インスリンが筋肉ではなく脂肪に働きかけているような状態をインスリン感受性が低い、またはインスリン抵抗性があるといった表現をします。

CLAにはインスリンの感受性を高める働きがあります。

効果・効能欄にてCLAの抗肥満作用は3つの働きによりもたらされると説明しましたが、この働きもプラスしてください。インスリンの感受性が高まると【脂肪に向かうインスリンが減るため】脂肪の蓄積を防ぐことができます。

さて、なぜこの髪(薄毛)項目でこの話をしたのかというと、インスリンの働きが低下する「インスリン抵抗性」が35歳未満男性の早期薄毛症状の発症指標になるとの報告があるからです。

インスリン抵抗性がそうであれば、インスリン感受性を高めることはその逆を行く=薄毛予防になるといえるかもしれません。

参照
メタボ改善と同じ「スイーツ絶ち」で薄毛を予防&治療しましょう/抜け毛予防 
毎日が発見ネット

 

 

 肌(美白)評価3 

紫外線を浴びた皮膚では、表皮細胞でプロスタグランジンE2(PGE2)インターロイキン1αといった炎症因子が産生されます。
これら炎症因子は皮膚の炎症を引き起こすだけでなく、メラノサイトに働きかけメラニンの生成を活性化させます。

PGE2はリノール酸から代謝されてできるアラキドン酸より産生されます。CLAにはリノール酸からのアラキドン酸への代謝を阻害する作用があります。この作用によりPGE2の産生を減少させます。この働きは美白にもプラスになると考えられます。

CLA は n-6 系不飽和脂肪酸における LA から GLA への代謝を阻害する。結果としていくつかの組織において AA と PGE2 の水準は減少する。

引用元
共役リノール酸単独または他の脂肪酸との混合投与による皮膚特性の修飾
『Cosmetology』第14号(2006年発行)
公益財団法人 コーセーコスメトロジー研究財団

 

 体型(ダイエット)評価6 

CLAには抗肥満作用があります。脂肪の燃焼を促進脂肪の蓄積を抑制Wの効果を発揮します。

脂肪の燃焼を促進
◆CLAはHSLの働きを活性させる
◆CLAはCPT-1の発現を増やす

脂肪の蓄積を抑制
◆CLAはLPLの働きを阻害する
◆CLAはインスリン感受性を高める

※効果・効能欄で説明した3つに 髪項目で説明したCLAはインスリン感受性を高めるを加えています。

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体型(ダイエット)項目を目的で摂取することを強くお勧めします。

ちなみにCLAとカルニチンのコンビは鉄板です。なので、一緒に配合されているもの、あるいは個別を一緒に飲むことをお勧めします。

 

 体力(普段)評価5.5 

脂質は3大栄養素の中で一番のエネルギー源となります。1gあたり9kcalのエネルギーを産生します。糖質、たんぱく質は1gあたり4kcalです。

脂肪からエネルギーを産生する流れは簡潔にいうと次です。

  1. 分解 体内に蓄積された中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する
  2. 運搬 分解されてできた脂肪酸を細胞のミトコンドリアに運搬する
  3. 燃焼 ミトコンドリアで脂肪酸がエネルギー貯蔵物質ATPに変わる

CLAは以下の理由から、この流れに深く関与しています。

CLAは脂肪分解酵素HSLを活性させる働きをします。ゆえに脂肪の分解を促します。

②分解で生じた脂肪酸はカルニチンと結合することでミトコンドリア内に入ることができます。CLAは脂肪酸とカルニチンが結合する際に必要な酵素を活性させる働きをします。

CLAは脂肪からのエネルギー産生=脂質のエネルギー代謝に深く関与している成分といえます。

 

 その他(抗酸化)評価3 

共役リノール酸(CLA)は抗酸化作用があるとされています。

生草を摂取する放牧では、貯蔵飼料を摂取する舎飼いに比べて、牛乳中には抗酸化作用や抗ガン作用のある共役リノール酸(CLA)濃度が高いとされ、牛乳の高付加価値化の方策として期待される。

引用元
放牧飼養下で生産される牛乳中の共役リノール酸濃度
農研機構

 

 

CLA 参照一覧

CLA 共役リノール酸のチカラ 日清オイリオグループ(株)

「共役リノール酸」 脂肪を減らしたい人は必見 かんたん、わかる!プロテインの教科書 森永製菓(株)

共役リノール酸の機能と代謝 J-STAGE 

共役リノール酸 (CLA) の生理機能と食品への応用 J-STAGE 

共役リノール酸の新規栄養生理機能 J-STAGE 

共役リノール酸の食品中の含量と生理機能 J-STAGE

機能性脂質 J-STAGE

機能性脂質によるメタボリックシンドロームの予防・改善に関する研究 J-STAGE 

食餌脂肪酸・タンパク質によるエネルギー代謝組織の遺伝子発現制御 農研機構 

CLAサプリメント  共役リノール酸は減量に効果的? 副作用は?いつ飲めばいい? 摂取量は?
マイプロテイン公式サイトブログ
THE HUT GROUP 

食品中のトランス脂肪酸(乳脂質を中心に) J-STAGE

トランス脂肪酸問題の現状 J-STAGE

トランス脂肪酸の低減化に向けて J-STAGE

明治のトランス脂肪酸量の低減への取り組み (株)明治

トランス脂肪酸問題についてのQ&A 食品のQ&A 日本生活協同組合連合会

 

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