リノール酸

リノール酸の評価 A+

リノール酸

リノール酸は炭素数18で二重結合数が2つある多価不飽和脂肪酸です。
多価不飽和脂肪酸のうちn-6系多価不飽和脂肪酸に分類されます。
体内でつくることのできない必須脂肪酸の一つです。

二重結合、不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、n-6系多価不飽和脂肪酸これら用語を説明するにあたり、「脂質」「脂肪酸」についてまとめてみます。

 

・脂質
脂質は炭水化物、たんぱく質と並ぶ3大栄養素の一つです。

脂質とは、脂肪酸、中性脂肪、コレステロール、リン脂質の4つを総称のことをいいます。

  • 脂肪酸  身体活動や生命維持に必要なエネルギー源となるものです。
  • 中性脂肪 脂肪のことです。脂肪細胞に蓄えられ、必要に応じてエネルギーとして利用されます。必要な場合とは体内に糖質が枯渇しているときで、その場合脂肪酸とグリセリンに分解され、脂肪酸がエネルギーとして使用されます。
  • コレストロール 細胞膜、ホルモン、胆汁酸の構成材料となるものです。
  • リン脂質 細胞膜や脳・神経組織の構成材料となるものです。リポたんぱく質の構成成分でもあります。水と油どちらにもなじみやすい性質をもっています。

 

 

・脂肪酸
脂肪酸は炭素、水素、酸素の3原子で構成され、炭素が鎖状につながった一方の端にカルボキシ基(ーCOOH)がついた構造をしています。
脂肪酸は炭素の数炭素のつながりによって様々な種類にわけることができます。

炭素の数、つながりのイメージです。黒〇を炭素だと考えてください。

 

 

 

 

①炭素数→短鎖、中鎖、長鎖
まず炭素の数で短鎖、中鎖、長鎖にわけることができます。
炭素数が7以下が短鎖脂肪酸、8~12を中鎖脂肪酸、13以上を長鎖脂肪酸といいます。

生体に存在する脂肪酸の炭素数はほとんどすべて偶数となっています。なので炭素数が6以下が短鎖脂肪酸、8~12を中鎖脂肪酸、14以上を長鎖脂肪酸と定義することもあります。

注意
炭素数が6以下が短鎖脂肪酸、8~10を中鎖脂肪酸、12以上を長鎖脂肪酸と定義することもあります。
そのため炭素数が12の脂肪酸(ラウリン酸)が中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸どちらに分類されるかは、書籍、サイトなどにより異なります。

②炭素のつながり→飽和、不飽和
炭素のつながりかたによって大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類することができます。
脂肪酸には炭素と炭素のあいだに、2つの手でつながれているもの(=二重結合)があります。
分子内の炭素鎖に二重結合がない脂肪酸を飽和脂肪酸二重結合がある脂肪酸を不飽和脂肪酸といいます。

黒〇が炭素だと考えてください。2つの手でつながれているのが二重結合です。

 

 

 

①で述べた炭素数による分類にあてはめると
飽和脂肪酸は短鎖、中鎖、長鎖脂肪酸の3つに分けることができ、
不飽和脂肪酸はいづれも炭素数が18以上なので長鎖脂肪酸にあてはまります。
一般的に食事中に食べる油脂の多くは長鎖脂肪酸です。

つぎからは不飽和脂肪酸のみの話となります。

③二重結合の数→一価、多価
不飽和脂肪酸は二重結合の数でも分類されています。
二重結合が1つあるものを一価不飽和脂肪酸二重結合が2つ以上あるものを多価不飽和脂肪酸としています。

④二重結合の位置→n-3系、n-6系
多価不飽和脂肪酸は二重結合に位置によってさらにn-3系多価不飽和脂肪酸n-6系多価不飽和脂肪酸にわけることができます。
炭素が鎖状につながっているなかで、メチル基末端(ーCH3)から数えて3個目の炭素に最初の二重結合があるものがn-3系多価不飽和脂肪酸、6個目の炭素に最初の二重結合があるものがn-6系多価不飽和脂肪酸です。

⑤脂肪酸の化学式
脂肪酸は末端にメチル基(ーCH3)、もう一方の末端にカルボキシル基(ーCOOH)をもつ構造をしています。

n-3系多価不飽和脂肪酸の例 CH3-CH2ーCHCH・・・・・ーCOOH

n-6系多価不飽和脂肪酸の例 CH3-(CH2)3ーCH2-CHCH・・・・・ーCOOH

以上を踏まえてもう一度リノール酸について説明します。

 

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・リノール酸

①炭素数
リノール酸は炭素数が18のため長鎖脂肪酸に分類されます。

②炭素のつながり
リノール酸は分子内に二重結合をもっているため不飽和脂肪酸に分類されます。

③二重結合の数
リノール酸は分子内に二重結合を2個有するため多価不飽和脂肪酸に分類されます。

④二重結合の位置
リノール酸はn-6系多価不飽和脂肪酸です。
メチル末端(ーCH3)から数えて6番目と7番目、9番目と10番目の間に二重結合があります。
カルボキシル基(ーCOOH)から数えて、9位と12位に二重結合を有しています。

⑤リノール酸の化学式

CH3-(CH2)4ーCH=CHーCH2ーCH=CHー(CH2)7ーCOOH

 

日本人が摂取しているn-6系多価不飽和脂肪酸の98%はリノール酸です。n-6系多価不飽和脂肪酸は他にγリノレン酸、アラキドン酸がありますが、この2つはリノール酸の代謝物です。
リノール酸→γリノレン酸→アラキドン酸の代謝順です。

リノール酸の摂取目的

リノール酸の摂取目的は「体力(普段)」です。

 摂取目的 
髪 「薄毛」★☆☆
髪 「白髪」★☆☆
肌 「美肌」★★☆
肌 「美白」★★☆
体型「筋肉」★☆☆
体型「ダイエット」☆☆☆

体力「普段」★★★
体力「夜のほう」★★☆
その他「血管」★☆☆
摂取目的の見方

★★★ このカテゴリーを摂取目的とすることを特にお勧めする 一番の摂取目的としている   

★★★ このカテゴリーを摂取目的とすることをお勧めする 摂取目的としている

★★☆ このカテゴリーを摂取目的とするのは十分アリ 摂取目的の一つとしている場合もある

★☆☆ 何らかの効果があるのでこのカテゴリーを摂取目的としてもいい 個人的に摂取目的としていない  

☆☆☆ このカテゴリーに対する効果は期待しないほうがよい 摂取目的とする必要はないと思っている

リノール酸の効果・効能

エネルギー
脂質は3大栄養素の中で一番のエネルギー源となります。1gあたり9kcalのエネルギーを産生します。ちなみに糖質、たんぱく質は1gあたり4kcalです。エネルギー源として使われるのは脂肪酸です。リノール酸は脂肪酸の1つで不飽和脂肪酸に分類されます。体内でつくることのできない必須脂肪酸で、食事等外から必ず取る必要があります。

コレストロールを減らす
リノール酸にはLDLコレストロール(以下LDL)を減らす働きがあります。血液中にLDLが増え、そのLDLが血管壁に入りこみ、それが酸化してしまうとプラークと呼ばれるこぶを形成するようになります。そうなると血管の内側は細くなって、血液はスムーズに流れにくくなります。
LDLの増加は動脈硬化の進行の原因させます。

プラークは薄いピンクの山

 

 

 

 

リノール酸はLDLの減らす働きをするため、必要量摂取することで動脈硬化、高血圧などの予防になります。

ただしリノール酸を取りすぎるとHDLコレストロール(以下HDL)も減らしてしまいます
HDLは余剰なコレステロールを肝臓に送る(戻す)働きをしているので、HDLが減ることはコレストロールが血液中に溜まることにつながります。つまりLDLを減らす効果をなくし動脈硬化、高血圧などのリスクを高めてしまいます。
適量摂取を心がけることが大切となります。

保湿
表皮の角質層を構成する角質細胞の間には、「細胞間脂質」という脂質があります。細胞と細胞をつなぎとめており、肌のバリア機能水分保持機能の役割をしています。

細胞間脂質は角質層の薄いブルーの部分です

 

 

 

 

細胞間脂質の半分以上はセラミドで占められています。
セラミドスフィンゴシン脂肪酸で構成されており、スフィンゴシン塩基と脂肪酸の組み合わせにより数百種類以上あります。
この数百種類以上を大分類すると12種類にわけられます。12種類のうち角質層に存在するのが11種類で、うちその機能が判明しているのが7種類といわれています。

7種類のセラミドとその機能

  • セラミド1(EOP) 外部からの刺激から肌を守るバリア機能と水分保持機能
  • セラミド2(NS) 水分保持機能
  • セラミド3(NP) 水分保持機能とシワを目立たなくさせる機能(シワの深さを浅くする)
  • セラミド4(EOH)、5(AS) 角質の脂質バリア層を作り、それを維持する機能
  • セラミド6(AP) 水分保持機能、シワを目立たなくさせる機能(シワの深さを浅くする)、肌のターンオーバー促進機能
  • セラミド7(AH) 細胞の分裂をコントロール、肌を抗菌する機能

※最近ではアルファベット名で呼ばれるようになっています。

セラミドEOP(セラミド1)を構成している脂肪酸の1つがリノール酸です。
そのためリノール酸が不足することはセラミドEOPの不足につながります。外的刺激に対して肌を守るバリア機能および肌の内部の水分を保つ水分保持機能が低下し、乾燥や炎症を起こしやすくなります。
リノール酸は体内でつくることができないので食事等で外から摂取する必要があります。

ただし過剰となった場合に正反対の作用をもたらしてしまいます。
正反対の作用とは「セラミドを減らす」です。

体内ではリノール酸はリノール酸→γリノレン酸→アラキドン酸の順に代謝されます。アラキドン酸はリノール酸から生成されるわけですが、アラキドン酸が過剰になると生理活性物質エノコサイドの一種プロスタグランジンが生成されてします。このプロスタグランジンには炎症を引き起こす作用がありアレルギー症状を引き起こしたり、動脈硬化を促進させたり、ガン(大腸、皮膚、前立腺)を誘発したりします。
炎症はセラミドを分解する酵素を活性させるためセラミドの減少にもつながります。

リノール酸のサプリメントによくあるキャッチフレーズ集

  • 脂質の中のエネルギーの源
  • 体内で合成できない脂肪酸
  • ダイエットをして肌が乾燥しがちな方に
  • 過剰摂取は健康リスクを高める
  • 酸化しやすいので注意

 

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リノール酸の摂取量、不足、過剰

リノール酸の摂取量
1日の総エネルギー量のうち、脂質から取るべき量は20~30%未満とされています。1日に必要なエネルギーは性別、年齢によりけりですが、2000kcalだとすると1日にだいたい40g~60gの脂質をとるべきだとされています。(脂質は1g=9kcal)
この40g~60gを飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3の割合で取ることを推奨されています。
n-6系多価不飽和脂肪酸の目安摂取量は成人男性10g/日、女性8g/日です。うちリノール酸の必要量は約2g/日です。
 
リノール酸の不足
リノール酸は普通の食事している限り欠乏症になることはまずありません。
ご飯2杯半でおよそ2gは取れます。加工食品の原材料に植物性油脂と記載されていれば、そのほとんどはリノール酸です。
ただし極度のダイエットなどを行い不足することがあると成長障害や皮膚障害を生じます。
 
リノール酸の過剰
日本人の平均リノール酸摂取量は約12g/日です。リノール酸は現代の食生活では過剰になっているといえそうです。目安摂取量となっている数値はその数値まで取りましょうというよりは、その数値まで減らしましょうという意味あいのほうが強いと考えてください。
過剰になると肥満になったり、がん、糖尿病、動脈硬化などの発症リスクを高めます。

リノール酸の豆知識

98%
日本人が摂取しているn-6系多価不飽和脂肪酸の98%はリノール酸です。
 
EPA
効果・効能欄でリノール酸が過剰になるとアラキドン酸が過剰になり、アラキドン酸が過剰になると生理活性物質エノコサイドの一種プロスタグランジンが生成され、それが炎症をもたらすと説明しました。
n-3系多価不飽和脂肪酸のEPAもプロスタグランジンを発生させます。ただしこちらは炎症を抑制する働きがあります。
生理活性物質エノコサイドには悪玉、善玉があり、基本的にn-6系由来が悪玉、n-3系由来が善玉と考えてください。
 
n-3系とn-6系の摂取比率
多価不飽和脂肪酸の理想の摂取比率はn-3系多価不飽和脂肪酸:n-6系多価不飽和脂肪酸=1:4といわれています。日本人の食事が欧米化されてきているので実際はn-3系多価不飽和脂肪酸:n-6系多価不飽和脂肪酸=1:10~40ぐらいになっているといわれています。

n-3系多価不飽和脂肪酸:n-6系多価不飽和脂肪酸=1:4ピッタリが理想というわけでなく、1:2~1:4の範囲が理想と考えてください。
とにかく意識してn-6系多価不飽和脂肪酸(リノール酸)を減らし、n-3系多価不飽和脂肪酸(αリノレン酸、DHA、EPA)を増やしてください。

 
酸化
リノール酸は酸化されやすい脂肪酸です。過剰にとると酸化された脂質(=過酸化脂質)を体内に増やすことにもなります。過酸化脂質は細胞の中に新たに活性酸素を生み出し、周りの細胞を酸化させ過酸化脂質を増やしていきます

リノール酸のイメージ

植物油

過剰はNG

リノール酸を多く含む油

・紅花油
・ひまわり油
・グレープシードオイル
・綿実油
・大豆油
・コーン油
・ごま油

リノール酸の勝手にランキング

リノール酸のレーダチャート解説

評価基準

  • 6 
    このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる
  • 5 
    このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる

  • このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる
  • 3.5 
    このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない

  • このカテゴリーになんらかの効果があるもの

  • このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる

  • このカテゴリーとは関係ないと思われる

※4以上が摂取目的となっているカテゴリー 

 

 

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リノール酸 総合評価 A+ 14

 総合評価について
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS  18点
S  16点以上
A+ 14点以上
A  12点以上
B+ 10点以上
B  9点以下
 

髪 評価2
薄毛対策や白髪改善のためにリノール酸を取る必要があるかないかと聞かれたら「ない」と答えます。リノール酸が髪にプラスになることは血流改善(LDLコレストロールを減らす)になりますが、これはあくまでも適量であることが重要になります。過剰になると逆効果(HDLコレストロールを減らす)になるので、摂取には要注意です。また酸化しやすい油のため、体内で過酸化脂質を増やすリスクを高めてしまいます。

肌(美肌、美白)評価5
通常の食生活を送っているかたは肌のためにリノール酸を多めに取る必要はありません。ただし肌の保湿に関わるセラミドの構成成分となっているので不足しないように注意する必要があります。
不足する可能性があるのはダイエットのために脂肪を極端な減らす食生活を送っている方です。リノール酸の不足は肌のバリア機能や水分を保持する力を低下させ、肌を乾燥させてしまいます。
ダイエットをしている方で肌が乾燥しがちのかたは意識して摂取してもいいかもしれません。

リノール酸は酸化酵素チロシナーゼの量を減らす働きをします。メラノサイト内でチロシンとチロシナーゼが結合することでメラニンが作られます。チロシナーゼの量を減らすことはメラニンの量を減らすことになりますので美白にも効果があります。

体型(ダイエット)評価1.5
ダイエットの観点からすると、リノール酸を意識して摂取する必要はありません。リノール酸は普通の食事をしている限り十分な量を取れる脂肪酸で、むしろとりすぎといわれているほどです。必須脂肪酸のため不足は論外ですが、かといって意識して取る必要はまったくありません。

体力(普段)評価6
脂質は3大エネルギーの一つです。少量でも多くのエネルギー源となり同じ量であれば糖質、たんぱく質の2倍のエネルギーをもっています。脂質の中で主に脂肪酸がエネルギー源となります。脂肪酸のなかには体内で合成できないもの(=必須脂肪酸)があります。必須脂肪酸は食事などから必ず取り入れなればなりません。リノール酸は必須脂肪酸の一つです。

その他(血管)評価3
リノール酸は血中のLDLを下げる効果があります。なので血流改善効果が見込まれます。ただし適量を摂取した場合に限ります。過剰に摂取するとHDLを下げてしまうため逆効果になります。

リノール酸雑感

もったいない
もったいない
MOTTAINAIたら
MOTTAINAI

すいません。つい「もったいない」音頭をおどってしまいました。

いや~ なんだかもったいない気がしたのです。

リノール酸の栄養成分レビューを作らないことは。

というのも最近、グレープシードオイルとかCLAの栄養成分レビューを作る際にリノール酸についても必死こいてまとめていたからです。

せっかくここまでまとめたのだから別途で「リノール酸」の栄養成分レビューを作らないともったいない気がしました。

ということで「もったいない」の気持ちだけでの栄養成分レビューを作ってみました。

なのでコピペ多しです。

リノール酸についてほんと何の感情もありません。

とくに意識して取ることも、減らそうと努力したこともありません。

 

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私が調理油に使っているのは普通のサラダ油とかです。1日のうちしっかり調理して食べるのは夕食の1食なので、それにリノール酸が多く含まれていようがぜんぜん気になりません。

いろんな種類の脂肪酸のサプリメントをとっているので、脂質を取り過ぎちゃっている可能性は否定できませんが、

すくなくともリノール酸は取り過ぎてはないとは思っています。

とにかくリノール酸に関してはほぼ「無」です。

ナシじゃなく

です。

日常生活でリノール酸の存在を考えたことはほぼム」です。

 

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