硫黄 含硫アミノ酸の構成成分

硫黄

16種類ある必須ミネラルの1種

 

 

硫黄とは

硫黄について

  • ミネラルは生体を構成する主要4元素(水素・炭素・窒素・酸素)以外の元素の総称をいいます。無機質ともいいます。
  • ミネラルは5大栄養素の1つです。
    5大栄養素

    3大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)にビタミンとミネラルを加えたものを言います。
    3大栄養素の糖質・脂質は主にエネルギー源に、たんぱく質は主に体を作る材料になります。ビタミン・ミネラルは主に3大栄養素の代謝を助ける働き=体の調子を整える働きをします。

  • ミネラルのうち生命維持に欠くことができないミネラルを必須ミネラルと呼びます。必須ミネラルは16種類あります。

  • 必須ミネラルのうち1日に必要とされる摂取量が100㎎以上のミネラルを主要(多量)ミネラル、100㎎未満のミネラルを微量ミネラルと分類しています。以下その内訳です。

    16種類の必須ミネラル

    主要ミネラル7種類
    ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・硫黄・塩素

    微量ミネラル9種類
    鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・モリブデン・コバルト・クロム

  • 硫黄は必須ミネラルのうち主要ミネラルに分類されます。
  • 硫黄は体内でカルシウム、リン、カリウムに次いで4番目に多く含まれるミネラルです。

  • 硫黄は成人の体内におおよそ140g~200g存在しています。特に髪、爪、皮膚、軟骨に多く含まれています。

  • 硫黄は体内では単独では存在しておらず、主に含硫アミノ酸の構成成分として存在しています。
    含硫アミノ酸

    硫黄を含むアミノ酸を含硫アミノ酸といいます。含硫アミノ酸の代表的なものとしてメチオニン・システインがあげられます。

  • 硫黄は含硫アミノ酸の構成要素として髪、爪、皮膚といったケラチンたんぱく質の生成に関与しています。またビタミンB1やパントテン酸と結合し補酵素として糖質や脂質の代謝にも関わっています。

 

摂取量について

食事摂取基準(2015年版)では推奨・目安摂取量は定められていません。
16種類の必須ミネラルのうち硫黄、塩素、コバルトの3つは摂取量が定められていません。

 

硫黄の効果・効能

硫黄の効果・効能 2つ厳選

  1. 含硫アミノ酸の構成成分として
  2. ビタミンと結合して補酵素として

 

そのうち1つを詳しく

含硫アミノ酸の構成成分として

硫黄(元素記号S)は含硫アミノ酸の構成成分としてたんぱく質の生成に関わっています。

というよりは「たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸のうち硫黄原子を含んだアミノ酸が存在している」という表現のほうがしっくりとくるかもしれません。

そのアミノ酸とはシステインメチオニンです。システインとメチオニンはその構造に硫黄原子を含んでいるため含硫アミノ酸と呼ばれています。

この2つの含硫アミノ酸が多く含まれてるたんぱく質は髪・爪・肌(角質)の主成分となるケラチンたんぱく質です。

ケラチンたんぱく質は18種類のアミノ酸で構成されていますが、
含硫アミノ酸だけで

  • 硬ケラチン【髪・爪】はおよそ2割
    シスチン 約17% メチオニン 約1%
  • 軟ケラチン【肌(角質)】はおよそ1割
    シスチン 約9%  メチオニン 約1.6%

    ※シスチンはシステインが2分子結合したアミノ酸

占めています。

ケラチンたんぱく質の生成においてシステインとメチオニンは構成材料として多く含まれているだけでなく、以下の点からしても重要なアミノ酸です。

①たんぱく質の構造の安定化(by システイン)

システインはジスフィルド結合を形成することでたんぱく質の構造を安定化させます。

ジスルフィド結合とはたんぱく質分子内、あるいはたんぱく質分子間で2つのシステインに含まれるチオール基(SH基)同士が酸化されることで形成される架橋のことをいいます。S-S結合、シスチン結合、ジスルフィド架橋とも呼ばれます。

ジスルフィド結合は髪のケラチンにおいて多く存在しています。シスチン(=システイン2分子の結合)が髪のケラチンの約17%を占めている理由はここにあります。
つまりシステインがジスフィルド結合としてケラチン分子を固く結びつけるため=ケラチンの構造を安定させるために多く存在していることになります。

 

②たんぱく質の合成開始アミノ酸として(by メチオニン)

先ほどケラチンのアミノ酸組成において含硫アミノ酸が多く含まれているとし、システインとメチオニンの%を示しました。これに少し違和感を感じるかもしれません。というのも「多い」に当てはまるのはシステイン(シスチン)のみで、メチオニンは硬ケラチンにおいては1%、軟ケラチンにおいては1.6%と非常に少ないからです。
ケラチンは18種類のアミノ酸で構成されていますが、その中でもメチオニンは少ないほうに分類されます。
※以降髪のケラチンに絞って話を進めます。

それではなぜケラチンのアミノ酸組成においてシステインと同様の扱いをしたのかというと、
メチオニンの不足が薄毛・抜け毛の原因になる」と言われているからです。
メチオニンは髪のケラチンに1%しか含まれていませんが、この1%が満たされているかどうかで髪の毛の発育が左右されるといっていいほど重要な存在とされています。

ここまで重要とされているのは、メチオニンがたんぱく質合成の開始のアミノ酸としての役割を果たしているからと思われます
通常の翻訳はメチオニンに対応するコドンAUGから開始されます。そのためメチオニンが不足するとすべてのたんぱく質合成に支障をきたすと言われています。つまるところ【1%しか含まれていないメチオニン】が足りないだけでケラチンたんぱく質そのものが出来上がらない可能性があります

憶測かも

思われます可能性がありますと言葉を濁しているのは「メチオニンの不足が薄毛・抜け毛の原因になる」の理由が「たんぱく質合成の開始のアミノ酸として」ではないかもしれないからです。単に「髪のケラチンにもっとも多く含まれているシステイン(シスチン)をメチオニンが体内で作り出している」からと考えることもできます。

 

このように含硫アミノ酸は髪、爪、肌(角質)を形成するにあたりとても重要な存在です。それには構成成分である硫黄が大きく貢献しているといえます。

①たんぱく質の構造の安定化(by システイン)で説明した「ジスフィルド結合」が最たるものです。

そこで「ジスフィルド結合」を「たんぱく質分子内、あるいはたんぱく質分子間で2つのシステインに含まれるチオール基(SH基)同士が酸化されることで形成される架橋」と説明しましたが、
下線部をより具体的にいうとシステインに含まれるチオール基(SH基)の硫黄原子(S)同士が酸化されることでとなります。チオール基の硫黄原子(S)は、水素原子(H)と結合した還元状態 あるいは別の硫黄原子と結合(S-S結合)してペプチド鎖同士を連結するため「架橋」を形成している 酸化状態として存在しています。

実際、髪の毛を燃やした時にでる悪臭のもとは「硫黄」によるものです。これは髪の主成分であるケラチンに【含硫アミノ酸】=【構成成分に硫黄が含まれているアミノ酸】が多く含まれているからです。

 

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さて話は移り、今回の硫黄のレビュー改についてです。

硫黄は食品中や体内では含硫アミノ酸をはじめとする「有機硫黄化合物」として存在しています。単独で存在することはありません。
つまり硫黄単独の働きを特定するのは難しい、もとい不可能です。
なのでこの硫黄のレビュー改では 有機硫黄化合物の働き≒硫黄の働きとみなします。

とはいえ有機硫黄化合物は数多くあります。それらすべてを硫黄の働きとすると「限りない」ことになります。
ということで有機硫黄化合物をこれから述べる11つに絞ることに決めました。ここでの「硫黄」はこれら11つ有機硫黄化合物の効果・効能を有するとします。

まずは11つの有機硫黄化合物をご覧ください。そのカテゴリーごとにA~F 5つのグループに分けています。

グループA

硫黄原子を含むアミノ酸

  • システイン 薄毛予防・美白作用など
  • メチオニン 肝機能向上・抗酸化作用など
  • タウリン  解毒作用など

 

グループB

硫黄原子を含むビタミン

  • ビタミンB1  糖質の代謝など
  • ビオチン たんぱく質の代謝など

パントテン酸 糖質・脂質の代謝など
パントテン酸は硫黄を含みませんが、パントテン酸を構成成分とするコエンザイムAはチーオル基を有します。硫黄はパントテン酸と結合することで補酵素として機能することが知られています。

 

グループC

硫黄原子を含むファイトケミカル

  • アリシン  抗酸化作用など
  • イソチオシアネート 抗酸化作用など

 

グループD

チオール化合物

  • グルタチオン  抗酸化作用など
  • コエンザイムA 糖質・脂質の代謝など

 

グループE

その他

  • MSM 軟骨形成など
    MSMとは

    MSMは自然界に広く存在する天然の有機硫黄化合物で、体内への硫黄の供給源となる成分です。MSMの成分の34%は硫黄でできていて、体内に取り入れられるとその硫黄は含硫アミノ酸などに取り込まれるようになります。一説によると体内の硫黄の供給源の85%はMSMからとされています。

    MSMはイオウ成分を約34%含有し、体内の含硫アミノ酸に取り込まれることが知られており、体内で必要な組織へのイオウ成分の供給に役立つことが示されています。構造は簡単で、硫黄の原子1個に酸素が2個、メチル基(炭素1個と水素3個)が2個くっついたもので、その化学式はH3SO2CH3(C2H6O2S)です。MSMはあらゆる生物の体に存在する硫黄の85%を供給しているということが示唆されています。

    引用元
    MSM
    取扱原料(株)東洋発酵


    MSM由来の硫黄はコンドロイチン硫酸・ケラタン硫酸・デルタマン硫酸・ヘパラン硫酸といった硫酸基が結合したグリコサミノグリカン(GAG)の生成に使用される
    ことで有名です。GAGは軟骨基質の構成成分です。そのためMSM(の硫黄)は軟骨の健康に大きく貢献します。

    詳しくはこちら→MSM イオウの供給源
    ※なおここでは「硫黄」でMSMのレビュー改では「イオウ」表記にしていますが、深い意味はありません。

注意

ツッコミどころ満載のグループ分けをしています。例えば-SH基をもつシステインはチオール化合物にも入ります。一方でグルタチオンは硫黄原子を含むペプチドなので硫黄原子を含むアミノ酸にも入ります。あとパントテン酸とコエンザイムAに関してもなんだかな~といった感じです。とにかくこちらの都合で上記の分け方をしています。ご了承ください。

またMSMは硫黄の供給源です。MSMの硫黄は主に含硫アミノ酸に取り込まれます。グループAがMSMの硫黄の受け取り先と捉えると、グループEの存在がちょっとおかしなことになります。
ここではグループEのMSMはコンドロイチン硫酸など軟骨」に含まれる硫黄化合物と捉えてください。

さてさきほど「この硫黄のレビュー改では 有機硫黄化合物の働き≒硫黄の働きとみなします」といいました。
ただ、これから行う「働き分析において」上記した11つの有機硫黄化合物の働き≒硫黄の働きとして評価するとどの項目も満点になります。

 

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それはちょっと「違う」と考えたので今回のレビューを作成するにあたり、以下の条件を設けることにしました。

レビューの条件

前提

① 硫黄は単に構成要素として「その成分」の働きをする

例えば システインではジスフィルド結合として硫黄が活躍していることはわかるのですが、ビタミンB1では硫黄がどのように活躍しているかいまいちわかりません。なのでこれから行う【働き分析】では「この効果では硫黄は○○として働き」などといった説明は一切省きます。
※省くというかできません。

単にその項目において11つの有機硫黄化合物の働きを説明しているだけとなっています。
※たまに硫黄に言及しています。

②「それそのもの」よりは点数を低くする。

ようは「システイン」と「その構成要素の硫黄」を比べた時に、システインのほうが評価が高いという考えです。当然といえば当然ですが、「差」をつけます。

評価の仕組み

① グループA~F 共通事項

ジスフィルド結合(S-S結合)
とかチオール基(SH基)を介して還元とかあきらかに硫黄が関与していると思われるものは高評価します。

② 硫黄はグループAの働きにおいて活躍するものとする。
B、Eの働きにおいてはそこそこ、C、Dの働きにおいてはさほどとする。

硫黄といえば 含硫アミノ酸です。なので硫黄はグループA(特にシステイン、メチオニン)の働きにおいて活躍すると考え、それに該当する項目では高評価します。

硫黄といえば でいうと ビタミンに働きかけることで補酵素として機能することも知られています。なのでグループBの働きにおいては、硫黄はそこそこ活躍するとします。

硫黄の供給源として MSMが有名です。そのMSMは硫黄を供給することで軟骨の健康に大きく貢献する成分として知られています。なのでグループEの働きにおいても硫黄はそこそこ活躍するとします。ということでグループB、Eの働きに該当する項目において、そこそこの評価をします。

残りのグループC、Dに関してはその働きが硫黄とはそんなに結びつかないと勝手に考えました。それに該当する項目ではさほどの評価をしています。

③ 11成分の「働き」において、その成分のうち有名と思われる「働き」のみをピックアップするようにします。また各項目において1項目につき該当する成分を2つに絞ります

今までの栄養成分レビュー改では少々マイナーと思われる働きも記載するようにしてきました。今回のレビューではマイナーなものを入れるとキリがなくなります。なのでその成分のなるべくメジャーな働きのみに焦点をあてます。

※なるべくメジャーな働きとは
まあこの成分といえば「これ」というやつです。システインといえば美白みたいな。

また1項目につき、あてはまっている成分をすべて記載するとなると膨大になります。なので1項目において特に関わっているもの または都合上2つの成分に絞ります。

※都合上とは
せっかくなのでピックアップした11つは最低でも1項目に関係させたいと思います。都合上とはそういったことです。

この条件は超がつくほど個人的な見解&勝手なルールです。申し訳ございませんがノーツッコミでお願いします。

 

 

硫黄の働き分析【見た目編】

合計 49/60点

カテゴリー別 点数

薄毛 10点

白髪 8点

美肌 9.5点

美白 8.5点

筋肉 6点

脂肪 7点

 
 

薄毛

10点

「薄毛」改善 に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. システインとして
    システインは健康な髪の生育に必須のアミノ酸です。
    理由は以下2点です。

    ①システインはケラチンに最も多く含まれるアミノ酸

    髪の主成分はケラチンと呼ばれるたんぱく質です。髪の90%以上はケラチンでできています。

    ケラチンのアミノ酸組成

    ※%はおおよその値です。

    ケラチンに最も多く含まれているシスチンはシステイン2分子が酸化されて結合してできるアミノ酸です。

    ②システインはケラチンの構造を安定化させる

    髪の構造(髪の強度・弾力性)の安定化に関わるのがケラチン分子間あるいは分子内に多く存在するジスルフィド結合です。
    ジスルフィド結合とはたんぱく質分子内、あるいはたんぱく質分子間で2つのシステインに含まれるSH基同士の硫黄原子(S)同士が酸化されることで形成させる架橋のことです。
    上記ケラチンを構成しているアミノ酸のうちにシスチンが最も多いのはシスチンが「システイン2分子(=ジスルフィド結合)」により生成されているアミノ酸だからです。

    システインはジスルフィド結合を形成しケラチンの構造を安定化させる
    役割を担い、髪にハリ・コシ・ツヤといった性質を与えています。

  2. メチオニンとして
    メチオニンは健康な髪を生成する役割をする必須アミノ酸です。
    理由は以下2点です。

    ①たんぱく質合成の開始アミノ酸として

    メチオニンは髪のケラチンたんぱく質のアミノ酸組成においてわずか1%しか含まれていません。ただしこの1%が満たされているかが毛髪の生育のカギを握るといっていいほどメチオニンは重要な存在です。これはメチオニンがたんぱく質合成の開始のアミノ酸として存在しているからと考えられます。
    通常の翻訳はメチオニンに対応するコドンAUGから開始されます。そのためメチオニンが不足するとすべてのたんぱく質合成に支障をきたすと言われることもあります。
    ②システインのもと

    メチオニンはメチオニン代謝経路においてリサイクルされるかシステインを生成しています。

     メチオニン代謝

    1. メチオニンとアデノシン(ATP由来)を基質としS-アデノシルメチオニン合成酵素の働きによりSAMeが生成
    2. SAMeがメチル基転移反応酵素の働きによりSAH(S-アデノシルホモシステイン)に変換
    3. SAHはホモシステインに加水分解
    4. ホモステインは再メチル化経路or硫黄転移経路により
      (再メチル化経路)メチオニンに再生されるか
      (硫黄転移経路)シスタチオンを経てシステインに代謝


    このようにシステインは体内ではメチオニンから作られます
    。上記①開始アミノ酸として でケラチンのアミノ酸組成において1%しか含まれていないメチオニンを「重要な存在」としたのはこの点も多いに関係しています。
    つまり「髪のケラチンにもっとも多く含まれているシスチン(システイン)をメチオニンが体内で作り出している」からメチオニンが髪にとって重要ということです。いずれにせよメチオニンの不足が薄毛・抜け毛の原因になるはとても有名な話です。

 

白髪 

8

「白髪」予防 に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. ビオチンとして
    不足は抜け毛や白髪の増加につながると言われているほどビオチンは髪に深く関わっているビタミンです。以下、白髪に関わるビオチンの働きを2点あげます。

    ①ケラチンの合成を促進

    毛母細胞が細胞分裂して髪(ケラチン)が作られる過程で、メラノサイトで作られたメラニン色素が毛母細胞に取り込まれ髪が黒くなります。


    ※毛母細胞の隣にメラノサイトが存在しています。

    髪の主成分であるケラチンが不足すると髪の健康に支障をきたします。髪が切れやすくなる抜けやすくなることはもちろん、白髪にもなりやすくなります。
    アミノ酸の代謝に関わるビオチンはケラチンの合成を促進する成分です。

    ②メラノサイトを活性化

    黒髪のもとなるメラニン色素はメラノサイトで作られます。メラノサイトでは毛乳頭から供給されたアミノ酸チロシンと酵素チロシナーゼからメラニン色素を作りだします。
    そして毛母細胞が細胞分裂し髪が作られる過程で、メラニン色素が毛母細胞に取り込まれ髪が黒くなります。
    髪を黒くするためには十分なメラニン色素を生成する必要があり、そのためにはメラノサイトを活性化させることが重要となります。
    ビオチンにはメラノサイトを活性化させる働きがあります。

  2. グルタチオンとして
    チロシン→メラニンへの反応を触媒する酵素「チロシナーゼ」が減少すると白髪が増えてしまいます。

    チロシナーゼが減少する要因の1つが活性酸素の一種「過酸化水素」です。過酸化水素にはチロシナーゼを破壊する働きがあります。
    体内には過酸化水素を除去する抗酸化酵素が存在します。それはカタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼです。
    このうちグルタチオンペルオキシダーゼは還元剤としてグルタチオン【のチオール基(-SH)】を用いて過酸化水素を分解します。

美肌

9.5点

「美肌」作り に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. システインとして
    肌の一番外側である角質層は繊維状のたんぱく質ケラチンがたくさん含まれています。


    ケラチンは水分と合わさると柔らかくなるという性質をもっています。角質層内にあるケラチンとNMF(天然保湿因子)のおかげで肌の潤いを保つことができています。

    スチン(システイン2分子)は皮膚のケラチンにおいて分子間に架橋(S-S結合)をつくりケラチン繊維を強固にする重要な役割を担っています。この架橋(S-S結合)の形成にはシステインの構成要素の硫黄(S)が大きく関わっています。

    またシステインは生体内の代謝系に関わっているSH酵素の賦活剤として作用します。この作用は皮膚代謝の正常化につながります。ニキビ・吹き出物・肌荒れといった肌トラブルの改善に効果を発揮します。

  2. MSMとして
    コラーゲンは真皮の乾燥重量のうち70%を占めています。コラーゲンが真皮全体に網目状に広がることで肌の弾力やハリを保つことができます。


    ※真皮層を拡大したイラストです。ひし形の線部分がコラーゲン。

    コラーゲンのアミノ酸組成においてはグリシン・プロリン・ヒドロキシプロリン・アラニンなどが多く、システインをはじめとする含硫アミノ酸が少ないのが特徴です。なのでジスフィルド結合による架橋効果はあまりみられないとされています。
    コラーゲン分子間の架橋は
    アルドール縮合またはシッフ塩基型結合によって橋を架けあうように形成されています。

    となると硫黄そしてその供給源となるMSMはコラーゲンの生成にあまり関与していないと思われるかもしれません。が、真逆です。硫黄はコラーゲンの合成に必要で、MSMはコラーゲンの生成に大きく関わる成分と位置付けられています。

    深く考えずにこれは素直に受け入れるべきだと考えました。
    とにかくMSMはコラーゲン生成を高める働きがあり美肌作りに大きく貢献する成分です。

 

美白

8.5

「美白」ケア に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. システインとして
    システインは美白効果の高い成分として非常に有名です。
    その理由は主に次です。

    ①メラニンが過剰に作られるのを防ぐ
    シミのもととなるメラニンはチロシンとチロシナーゼ酵素が結合することで作られます。システインにはチロシナーゼの活性を抑制し、メラニンが過剰に作られるのを防ぐ働きがあります。

    ②メラニンを作ってもシミを作らない
    メラニンには色の濃い黒色メラニンと、色の薄い肌色メラニンの2種類があります。肌色メラニンはシミを作らないメラニンです。
    システインには黒色メラニン生成へ抑え、肌色メラニン生成を促す作用つまり「シミを作らないメラニン」に導く働きがあります。

    ③シミのもととなる黒色メラニンを無色化

    システインの抗酸化作用はメラニンに直接働きかけ黒色メラニンを無色に還元する(淡色化)働きをします。この作業は同じく抗酸化作用をもつビタミンCと協力して行われます。

    肌のターンオーバーを正常化させる
    メラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。
    システインには肌のターンオーバーを正常化させる働きがあります。

  2. グルタチオンとして
    グルタチオンも優れた美白効果をもつ物質です。グルタチオンの美白効果のイメージとしては上記したシステインの働きがさらにパワーアップしているものと捉えていいと思います。
    美容クリニックにて行われる「美白点滴」とは主に「グルタチオン」の点滴投与のことです。

筋肉

6点

「筋肉」増強 に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. メチオニンとして
    筋肉はたんぱく質でできています。筋たんぱく質は合成と分解を24時間繰り返していてます。1日を通じて合成量と分解量のバランスがとれていれば筋肉量を保つことができ、合成量が分解量を上回れば増やすことができます。筋肉を増量するためには合成を繰り返し行えるだけの「たんぱく質(20種類のアミノ酸)」を意識して摂取する必要があります。
    筋肉を増量するために特に意識して摂取するべきは体内で作ることのできない9種類の必須アミノ酸です。メチオニンは必須アミノ酸に分類されています。
  2. グルタチオンとして
    筋肉痛の要因の一つは活性酸素です。激しい運動を行うと呼吸量が増加し大量の活性酸素が体内に発生します。活性酸素による酸化ストレスは筋肉においては損傷や炎症をもたらし筋肉疲労を引き起こす要因となります。筋肉痛を予防するにはあらかじめ細胞内に抗酸化物質を蓄えておく(増やしておく)ことが大事となります。
    グルタチオン数ある抗酸化物質のなかで特に抗酸化力が強いとされ、一部では「最強の抗酸化物質」とも言われています。グルタチオンが体内に豊富にあると酸化ストレスより生じる筋肉疲労を防ぐことができます。

 

脂肪

7点

「脂肪」減少 に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. コエンザイムAとして(パントテン酸として)
    糖質・脂質の代謝に関わる成分が不足するとエネルギー変換が滞ります。エネルギーに変換されなかった糖質・脂質は中性脂肪として体に蓄えられてしまいます。
    パントテン酸は糖質の代謝・脂質の代謝両方において補酵素A(CoA)の構成成分として深く関わっています。なのでダイエット効果の高い成分といえます。
    ちなみにCoAはパントテン酸ADPおよび2-メルカプトエチルアミンが結合してできます。
    2-メルカプトエチルアミンは別名システアミンです。システアミンはシステインの分解生成物です。
  2. ビタミンB1として
    エネルギーとして消費されず余剰となった糖質は中性脂肪として蓄えられます。
    「余剰」は糖質の取り過ぎが主たる原因ですが、糖質の代謝がスムーズにいかないこともあてはまります。糖質を多く取る人にとっては、糖質の代謝を促進するビタミンB1が不足することが肥満原因の一つになります。

 

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硫黄の働き分析【中身編】

合計 44/60点

カテゴリー別 点数

身体 7点

エネ 7点

病気 7点

体質 9.5点

精力 6.5点

健脳 7点

 

身体

7

「身体」の構成材料 に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. メチオニンとして
    身体のたんぱく質を作るには20種類のアミノ酸を摂取する必要があります。そのうち9種類の必須アミノ酸(体内で作ることのできないアミノ酸)の摂取が重要です。
    そのなかで「すべてのたんぱく質の合成はメチオニンから始まる」「メチオニンが不足するとたんぱく質合成に支障をきたす」などメチオニンが言及されていることが多くなっています。メチオニンはたんぱく質の合成において特に重要な必須アミノ酸といっていいかもしれません。
  2. ビオチンとして
    身体を作るうえで大切なのはたんぱく質(20種類のアミノ酸)を摂取することです。それとともにたんぱく質(アミノ酸)の代謝に関わる成分を取ることも大切となります。ビオチンはたんぱく質(アミノ酸)の代謝に関与する成分の一つです。

 

エネ

7点

「エネルギー」生成 に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. ビタミンB1として
    1日にとる総エネルギー量のおよそ6割は炭水化物(糖質)からです。
    糖質のエネルギー代謝にビタミンB1は補酵素として必須です。
  2. パントテン酸として
    パントテン酸はCoAの構成成分として糖質・脂質のエネルギー代謝に深く関わっています。
    またたんぱく質をエネルギーに変える際もパントテン酸は関与しています。3大栄養素すべてのエネルギー代謝に関わっているため「エネルギー産生」に重要な役割を担っているビタミンといえます。

病気

7点

「病気」予防 に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. イソチオシアネートとして
    イソチオシアネート
    とはダイコンやブロッコリーといったアブラナ科の機能性成分です。イソシアネートの酸素原子を硫黄原子で置換することで得られます。その抗酸化作用、抗炎症作用、解毒作用(解毒酵素を活性化)によりガンや動脈硬化を予防します。

  2. タウリンとして
    タウリンにはホメオスタシス作用があります。この作用により体液浸透圧を調節したり、細胞内のカルシウム恒常性が維持されたりします。高血圧や心臓病の予防になります。

 

体質

9.5点

「体質」改善 に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. システインとして
    アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解されます。このアセトアルデヒドが分解されず蓄積すると頭痛、吐き気、胸やけといった二日酔いの症状があらわれます。
    アセトアルデヒドはアルコール脱水素酵素の働きにより分解されて酢酸になります。
    生じた酢酸はアセトアルデヒド脱水素酵素の働きにより水と二酸化炭素に分解され、尿、汗などとなって体外に排泄されます。
    SH供与体であるシステインはSH酵素【アルコール脱水素酵素&アセトアルデヒド脱水素酵素】を活性させる働きします。またシステインが直接アセトアルデヒドに反応し無毒化する働きもします。
  2. MSMとして
    プロテオグリカンは関節において水分を保持する役割をしています。

    その理由

    関節に圧力がかかるとプロテオグリカンに含まれた水分がスポンジを絞ったように表面にしみだします。そうすることで骨と骨の滑りが良くなり関節の動きがなめらかになります。


    プロテオグリカンの構成成分であるグリコサミノグリカンには硫酸基が付加されています。この硫黄の供給源となるのがMSMです。MSMは関節痛を緩和する効果があります。

精力

6.5点

「精力」増強&「性機能」向上 に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. アリシンとして
    アリシンの精力増強に関わる働きは2点あります。

    ①スタミナUP
    アリシン(またはにんにくエキス)は精力剤や滋養強壮剤に主成分として配合されていることが多いです。

    その理由

    ビタミンB1は水溶性ビタミンのため排出されやすく体内に長く蓄えることできません。なのでその効果の持続性が短いというのが欠点です。アリシンはビタミンB1と結合しビタミンB1のもつ効果を持続させる働きがあります。ビタミンB1といえば疲労回復です。なのでアリシン+ビタミンB1の摂取は大幅なスタミナアップ効果が期待できます。なおアリシンとビタミンB1が結合してできる物質の名前はアリチアミンです。精力剤や滋養強壮剤にアリチアミンとして配合されている場合もあります。


    ②勃起力
    勃起とは、陰茎内にあるスポンジ状の組織「陰茎海綿体」に血流が充満し、海綿体内圧が上昇することによっておこる現象です。アリシンには末梢血管拡張作用があります。海綿体に血液の流入を手助けすることで勃起をサポートします。
  2. タウリンとして
    女性・男性の不妊の原因に卵子・精子のミトコンドリアの機能低下があげられます。逆をいえば卵子・精子のミトコンドリアを活性化させることができれば不妊症の予防・改善になります。

    ミトコンドリアを活性させる成分の1つにマグネシウム【細胞内のエネルギー代謝に欠くことができないミネラル】があります。タウリンには細胞内のカルシウムとマグネシウムのバランスを調整する働き=ホメオスタシス作用があります。この作用はマグネシウムのミトコンドリアを活性する働きを手助けします。つまるところタウリンもミトコンドリアの活性に関与し妊活に貢献する成分といえます。

 

健脳

7

「脳」の健康 に関わる硫黄の働きは主に次です。

  1. ビタミンB1として
    脳のエネルギーとなるのはブドウ糖のみです(例外あり ケトン体)。脳のエネルギーを確保するにはエネルギー源のブドウ糖だけでなくブドウ糖をエネルギーに変える反応に補酵素として関わるビタミンB1の摂取も重要となります。硫黄はビタミンB1と結合してこの「補酵素として」の働きをサポートしています。
  2. コエンザイムAとして(パントテン酸として)
    アセチルコリンは記憶、学習、認知能力に関わる神経伝達物質です。不足すると記憶力が低下し、認知症の発症リスクを高めます。実際、アルツハイマー型認知症では、アセチルコリンの減少が確認されています。
    アセチルコリンはコリンとアセチルCoAをもとに酵素(コリンアセチルトランスフェラーゼ)の働きにより作られます。CoAの構成成分であるパントテン酸はアセチルコリンの合成にも関与しています。記憶力を向上させる成分の一つです。

 

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硫黄のサプリメント紹介

 
硫黄が含まれているサプリメントを紹介します。
 
Jarrow Formulas

Jarrow Fomulas MSMは生物学的に利用可能な硫黄の有機源です。硫黄は軟骨のような体の主要な構造組織にある抗酸化物質です。MSM由来の硫黄は、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸およびヒアルロン酸のようなプロテオグリカン中に存在するグリコサミノグリカン(またはムコ多糖)を生成するために使用される成分です。それらの硫黄を含むグリコサミノグリカンは、関節の軟骨、肌とコラーゲンを含む結合組織に高濃度で存在しています。

引用元
Jarrow Formulas, MSM、1,000 mg、植物性カプセル 200粒
iHerb.com

 
 
Doctor’s Best

Doctor’s Best(ドクターズベスト)のOptiMSM配合MSMには、安全性と有効性に関する数々の臨床試験に裏付けられた高品質の精製MSM(メチルサルフォニルメタン)が含まれています。MSMは、正常な結合組織の形成を助ける天然の硫黄化合物です。また、関節全般の健康、関節の動き、正常な可動域の維持をサポートします。さらに、免疫系の健康を保つため、酸化によるダメージ軽減にも効果が期待できます。

MSMには天然の「美のミネラル」として知られる硫黄が含まれています。硫黄は、皮膚の構造を支えるコラーゲンの重要な成分であり、髪や爪の構造成分であるケラチンの基盤でもあります。

  • 関節を快適に動きやすく
  • 健康的な免疫反応をサポート
  • 抗酸化防衛をサポート
  • 髪、お肌、爪の健康全般をサポート

引用元
Doctor’s Best, OptiMSM配合MSM、1,000 mg、植物性カプセル180粒
iHerb.com

 
 
商品説明文の引用元 iHerb.comでも購入可能です。その際 iHerb紹介コード=ALH5806 ご利用いただけたら幸いです。 リンクから飛んでいただくと、自動的にコード適応になります。

 

 

 

硫黄のまとめ

分析【見た目編】49

分析【中身編】44

 

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