EPA GLP-1の分泌促進

EPA

 

n-3系多価不飽和脂肪酸の1種

 

EPAとは

「EPAについて」にいく前に前提知識として「脂肪酸について」説明します。

脂肪酸の種類について

  • 脂質とは水に溶けず、有機溶媒に溶ける性質をもつ化合物の総称のことです。脂質は化学構造の違いにより大きく単純脂質複合脂質誘導脂質の3つに分けられます。
    • 単純脂質
      脂肪酸と各種アルコールのエステル

      例 中性脂肪、ロウ
    • 複合脂質
      単純脂質にリン酸、糖などが結合したもの

      例 リン脂質、糖脂質、リポたんぱく質
    • 誘導脂質
      単純脂質や複合脂質の加水分解や合成で生じるもの

      例 ステロール類、脂溶性ビタミン類、脂肪酸
  • 脂肪酸は脂質の主要構成成分で、脂質の性質を決定づける重要な要素となります。

  • 脂肪酸は炭素(C)、水素(H)、酸素(O)が鎖状につながった形をしています。炭素と水素が鎖状につながったもの(炭化水素鎖)の端にメチル基(CH3-)、もう一方の端にはカルボキシル末端(-COOH)が結合しています。

  • 脂肪酸は炭素の数つながり方【炭化水素鎖中の二重結合(C=C)の有無、二重結合の数、二重結合の位置】により種類わけされており、その性質が異なります。

    炭素の数

    • 短鎖脂肪酸
      炭素数 6個以下
    • 中鎖脂肪酸
      炭素数 8~10
    • 長鎖脂肪酸
      炭素数 12以上

    ※数字は書籍やサイトによりけり

    二重結合の有無

    • 飽和脂肪酸
      二重結合なし

    • 不飽和脂肪酸
      二重結合あり
    二重結合の数

    • 一価不飽和脂肪酸
      二重結合が1個
    • 多価不飽和脂肪酸
      二重結合が2個以上
    二重結合の位置

    • n-3系脂肪酸(ω-3脂肪酸)
      メチル基末端から数えて3個目の炭素に最初の二重結合がある

    • n-6系脂肪酸(ω-6脂肪酸)
      メチル基末端から数えて6個目の炭素に最初の二重結合がある

    • n-9系脂肪酸(ω-9脂肪酸)
      メチル基末端から数えて9個目の炭素に二重結合がある

    ※ここでは一価不飽和脂肪酸=n-9系脂肪酸で、多価不飽和脂肪酸=n-3系脂肪酸n-6系脂肪酸と捉えてください。

  • 脂肪酸は大別すると飽和脂肪酸不飽和脂肪酸にわけられます。
  • 飽和脂肪酸は短鎖・中鎖・長鎖脂肪酸に分類されます。不飽和脂肪酸はすべて長鎖脂肪酸です。

  • 飽和脂肪酸は体内で合成できる脂肪酸です。

  • 不飽和脂肪酸のうち一価不飽和脂肪酸は体内で合成できる脂肪酸です。

  • 不飽和脂肪酸のうち多価不飽和脂肪酸は体内で合成できない脂肪酸です。食事などで外から取り入れる必要があるため必須脂肪酸と呼ばれます。

  • まとめると以下になります。

    • 飽和脂肪酸
      炭素数 4~ (短鎖・中鎖・長鎖脂肪酸)
      二重結合なし

      体内合成 可

      代表 パルミチン酸、ステアリン酸、酪酸

    • 不飽和脂肪酸
      炭素数 18~ (長鎖脂肪酸のみ)
      二重結合あり

      二重結合の数(1→一価・2つ以上→多価)
      位置(ω-3位・6位・9位)により以下3つに分類

      一価不飽和脂肪酸(n-9系脂肪酸)
      体内合成 可

      代表 オレイン酸


      多価不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)
      体内合成 不可

      代表 α-リノレン酸、DHA、EPA


      多価不飽和脂肪酸(n-6系脂肪酸)
      体内合成 不可

      代表 リノール酸、γ-リノレン酸

    ※主要な脂肪酸をベースとしています。

脂肪酸の働きについて

  • 脂質の主な働きはエネルギー源細胞膜の材料ホルモンの原料の3つです。
    これを前提として不飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸の働き及び特徴を非常に簡単にまとめると以下になります。

    飽和脂肪酸

    働き

    • エネルギー源
    • 細胞膜の材料

     

    特徴

    • 常温で個体
    • 動物性の油に多い
    • 酸化しにくい
    • 取り過ぎると血液中の中性脂肪やコレストロールを増やす
    不飽和脂肪酸

    働き

    • エネルギー源
    • 細胞膜の材料
    • ホルモンの原料

     

    特徴

    • 常温で液体
    • 植物性の油に多い
    • 酸化しやすい
    • 血液中の中性脂肪やコレストロールを低下させる
    ※脂肪酸の種類により生理作用が異なります。
    なので、上記が必ずしもあてはまるわけではありません。例えば不飽和脂肪酸の一価は多価に比べると酸化しにくい脂肪酸です。

  • 飽和脂肪酸は主にエネルギー源として、不飽和脂肪酸は主に生理活性物質およびその前駆体として「脂質」の役割を果たす といえます。

脂肪酸の摂取について

  • 飽和脂肪酸の過剰摂取は動脈硬化のリスクを高めます。一方で不飽和脂肪酸の適量摂取は動脈硬化の予防になります。

  • 現代の日本人の食生活においては 飽和脂肪酸を取り過ぎている&不飽和脂肪酸が不足しがちな 傾向があります。なので飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸を増やすことが大切です。
  • とはいえ、飽和脂肪酸が不足、不飽和脂肪酸が過剰でも体にとってはマイナスとなります。摂取するバランスがとても重要です。

  • 3大栄養素のうち脂質から摂取する比率は25%未満に抑えることを前提として

    エネルギー産生栄養素バランス

    脂肪酸の理想の摂取バランスは以下です。

    飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3

  • 多価不飽和脂肪酸のうち日本人が取りすぎている傾向があるのがn-6系多価不飽和脂肪酸です。理由としては日本人がn-6系多価不飽和脂肪酸のリノール酸をよく取るからです。
    なので多価不飽和脂肪酸にも理想の摂取バランスがあります。

    n-6系多価不飽和脂肪酸:n-3系多価不飽和脂肪酸=2~4:1

    ※リノール酸は紅花油、ひまわり油などの植物性油脂に多く含まれている脂肪酸です。

  • つまるところ飽和脂肪酸とn-6系多価不飽和脂肪酸の摂取を減らして、n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やすことが大切となります。

 

EPAについて

  • EPAとはEicosapentaenoic acidの頭文字を取った略称で、エイコサペンタエン酸のことをいいます。

  • 炭素数20、二重結合が5個のためエイコサペンタエン酸です。
    ギリシャ語

    20個(エイコ) 二重結合(エン) 5個(ペンタ)

  • 不飽和脂肪酸の多価不飽和脂肪酸で、うちn-3系に分類されます。
  • n-3系多価不飽和脂肪酸なので必須脂肪酸(体内で合成できない脂肪酸)となります。食事などから体内に取り入れることが必須です。

  • EPAは必須脂肪酸ですが、厳密にいうと同じn-3系多価不飽和脂肪酸のα-リノレン酸から生合成することが可能です。
    n-3系の生合成経路を簡略したのは以下です。

    α-リノレン酸→ステアリドン酸→EPA→DPA→DHA

    ※EPAからDPAを経由しないでDHAに変換される経路もあるので代謝経路は2つと考えてください。

  • α-リノレン酸から生合成は可能ですが、EPA以降の変換率10~15%とされています。なので体内での合成のみで必要量を賄うことは基本 不可能と考えてください。外から積極的に取る必要があります。

  • EPAにはTVでたびたび取り上げられる痩せるホルモン「GLP-1」の分泌を促進させる働きがあります。

 

 

摂取量について

目安摂取量
2g~2.4g
/日 成人男性
1.6g~2g/日 成人女性
n-3系脂肪酸としてです
※目安摂取量は年代により異なります

by 日本人の食事摂取基準(2015年版) 厚生労働省

 

 

EPAの効果・効能

EPAの効果・効能 5つ厳選

  1. 血中中性脂肪低下作用
  2. 脂肪燃焼促進作用
  3. GLP-1分泌を促進
  4. 抗炎症&抗アレルギー作用
  5. 赤血球膜の変形能改善

そのうち2つを詳しく

③GLP-1分泌を促進

GLP-1は代表的なインクレチン(インスリンの分泌を促す働きをもつ消化官ホルモンの総称)です。GLP-1は消化官内に栄養素が流入すると消化官粘膜上皮から分泌されます。

GLP-1を分泌させることは肥満予防につながります

 
GLP-1について非常に簡単にまとめます。
 
GLP-1

 Glucagon-like peptide-1(グルカゴン様ペプチド-1)の略
インクレチンの1種

インクレチン

消化官から分泌されインスリンの分泌を促す働きをもつ消化官ホルモンを総称してインクレチンといいます。インクレチンは消化官内に栄養素(炭水化物や脂肪など)が入ると、その刺激により消化官から分泌されます。


【どこから分泌】

L細胞


L細胞は小腸(下部)および大腸に存在します。

【どうしたら作用】

すい臓のβ細胞(膵β細胞)上にあるGLP-1受容体と結合すると

【主な作用】

血糖降下作用=グルコース濃度依存的インスリン分泌の促進作用

【作用機序】

始めにグルコースによるインスリン分泌の流れを簡単にまとめます。

グルコースによるインスリン分泌の流れ

 

糖(グルコース)が糖輸送担体を介して膵β細胞内に取り込まれる

  1. グルコースが膵β細胞で代謝される
  2. 細胞内のATP(アデノシン三リン酸)濃度が増加する
  3. ATP感受性カリウムチャネルが閉鎖する
  4. 細胞膜の脱分極が起こる
  5. 電位依存性カルシウムチャネルが開く
  6. カルシウムイオンが流入する
  7. 細胞内のカルシウム濃度が高まる


インスリンが分泌

これを惹起経路といいます。

GLP-1が分泌され受容体に結合すると惹起経路が増強されます。

GLP-1が受容体に結合するとAC(アデニル酸シクラーゼ)が活性化され、細胞内のcAMP濃度が上昇します。
細胞内のcAMP濃度の上昇を介して細胞内のカルシウム濃度を高めることで惹起経路を増強させます。こちらはインスリン分泌の増幅経路と呼ばれます。

※下線部をより詳しくいうと【細胞内 cAMP濃度の上昇によりPKA(プロテインキナーゼA)の活性化を介して】 です。

※また【 Epac2(cAMP-GEF II)の活性化を介して、その後小胞体膜上のリアノジン受容体を介して】といった経路もあります。

 

冒頭でGLP-1を分泌させることは肥満予防につながる といいました。具体的には次にあげるGLP-1の3つの働きにより です。

 
  • 血糖値の上昇を抑える
    GLP-1はすい臓に作用し【血糖値を下げる】インスリンの分泌を促進させます。また【血糖値を上げる】グルカゴンの分泌を抑制します。
    なおGLP-1のインスリン分泌促進作用は血液中のグルコース濃度の上昇に応じて行われます。
    つまり血糖値が高い場合のみインスリンの分泌を増やします。
  • 胃からの排出物を遅くする
    GLP-1には摂取した食物の胃からの排出を遅らせる作用があります。この作用により糖が腸でゆっくりと吸収されるようになります。なのでGLP-1を活発に分泌させれば食後の血糖値の上昇がゆるやかになります。その結果、食事をしても太りにくくなります。
  • 食欲を抑える
    脳の視床下部には、空腹を感じる「摂食中枢」と満腹を感じる「満腹中枢」が存在します。摂食中枢が刺激されれば空腹感を、満腹中枢が刺激されれば満腹感を感じるようになります。GLP-1が多く分泌されると満腹中枢が刺激されます。満腹感を高め、食欲を抑える作用があります。

 

このような働きをするGLP-1はメディアでは「やせるホルモン」と呼ばれています。

 

 

さて現在サバ缶 もとい サバ缶ダイエットブームが起こっているのはご存知でしょうか。
※ブームは過ぎ去っています。

こちらの記事をご覧ください。

サバ缶の勢いが止まらない。10月の全国の日経収集店舗の「サバ缶詰」カテゴリー売り上げを見ると、千人当り金額は前年比84.2%増の1525.8円。11月の推計をするために直近4週間(10月23日~11月19日)を見ると1591.4円とさらに伸びていることがわかる。
 サバ缶人気は、各種テレビ番組で「サバ缶ダイエット」が話題になったのがきっかけだ。手軽にどこでも購入でき日持がするので買いだめできるなど、いつでも食卓に取り入れやすい便利さに加え、平均価格120円程度と安価であることがブームに拍車をかけた。
 最近も8月28日「主治医が見つかる診療所」でサバ缶の中性脂肪改善効果が放送されたほか、10月24日には「たけしの家庭の医学」で血管の老化予防としてサバ缶を使ったレシピが取り上げられた。

引用元
サバ缶ダイエット、ブームをつかんだのは誰?
日経POS情報 (株)日本経済新聞

なぜサバ缶がブームになっているのかというと、サバ缶を食べると痩せれる(痩せる効果が見込まれる)からです。

ではなぜ痩せれるのかというとサバ缶を食べると痩せるホルモン「GLP-1」の分泌が増えるからです。

それではなぜサバ缶を食べるとGLP-1の分泌が増えるのかというとサバ缶にはGLP-1の分泌を増やす成分が多く含まれているからです。

それこそがEPAです。

 

 


GLP-1が分泌される場所はL細胞です。L細胞には「EPAを受け入れる受容体」が存在しており、EPAが結合するとL細胞を刺激します。
そうするとL細胞よりGLP-1の分泌が増えるようになります。

GLP-1の分泌を増やす働きがある】EPAにはダイエット効果が大いに期待できます

 

DHAにも?

「L細胞にEPAを受け入れる受容体」と述べましたが、具体的にいうとGPR120受容体のことです。この受容体のリガンドはn-3系多価不飽和脂肪酸です。なのでDHAにもGLP-1の分泌を増やす働きがあると考えられます。
ただし刺激する力はEPAのほうが断然上と考えられます(個人感)。理由はDHAのサイトでGLP-1のことを言及していることがほとんどないからです。

そもそも GLP-1に限らず他受容体のリガンドとしてEPAのみを言及していることが多いです。場合によってはDHAにみられないと言及されていることがけっこうあります。

 

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④抗炎症作用&抗アレルギー作用

脂質メディエーターとは生理活性をもつ脂質のことをいいます。

多価不飽和脂肪酸は脂質メディエーターとして生体内で重要な役割を果たしています。
ただし同じ多価不飽和脂肪酸でもω6系とω3系ではまったく逆の作用をします。
※ここからはω6系→アラキドン酸 ω3系→EPAで説明します。

食事由来のアラキドン酸および細胞膜リン脂質から遊離されたアラキドン酸はプロスタグランジン、ロイコトリエンという生理活性脂質に代謝されます。これらは炎症性の脂質メディエーターとして機能します。

EPAはアラキドン酸→プロスタグランジン、ロイコトリエンの代謝系(アラキドン酸カスケード)と拮抗することで抗炎症作用を発揮します。
またEPAからレゾルビンと呼ばれる代謝物が生じます。このレゾルビンが抗炎症性の脂質メディエーターとして機能します。

つまるところEPAは【炎症性の脂質メディエーター物質減らす & 抗炎症性の脂質メディエーターを増やす】ことで炎症を鎮めます
EPAの摂取はアレルギー性の喘息・アトピー・花粉症などの予防・緩和・改善効果が期待できます。

EPA/AA比

現在新しい動脈硬化の指数としてEPA/AA比というものがあります。この比率が低い(EPAが低値でAAが高値)と心筋梗塞や脳梗塞になりやすいという事が判明しています。AAはアラキドン酸のことです。
炎症を抑えるEPA炎症を引き起こすアラキドン酸のバランスが重要となります。

 

 

EPAの働き分析【見た目編】

合計 45/60点

カテゴリー別 点数

薄毛 7点

白髪 7点

美肌 7点

美白 7点

筋肉 7点

脂肪 10点

 
 

薄毛

7点

「薄毛」改善 に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. 血液サラサラ
    髪は毛母細胞が細胞分裂することで生まれ成長していきます。もう少し詳しくいうと毛細血管を通じて栄養素を受け取った毛乳頭が発毛の「シグナル」をだし、そのシグナルを受け取った毛母細胞が細胞分裂をすることで髪は生まれ育っていきます。

    なので血流が悪くなると必要な栄養素が届かなくなり、健康な髪が育ちにくくなります。

    血流の悪化【=血液ドロドロ】は血液中に中性脂肪やコレストロールが増加することによるところが大きいです。
    脂質の代謝を改善する働きをするEPAは血液をサラサラにします。その結果、必要な栄養素が頭皮にしっかりと届くようになり健康的な髪が育ちやすくなります。

 

白髪 

7

「白髪」予防 に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. 血液サラサラ
    黒髪のもととなるメラニンは毛包内の毛母細胞に隣に存在するメラノサイトでアミノ酸「チロシン」と酵素「チロシナーゼ」が結びつくことで生まれます。
    メラサイトにチロシンを届けるのは血液の役割です。なので血流が悪くなるとチロシンの供給が滞り、メラノサイトの機能低下による白髪が生じます。

    血液の流れをよくするEPAは白髪予防になります。

    TVでよく薄毛・白髪予防にイワシやサバの缶詰の摂取をすすめていますが、それはイワシやサバに血液の流れを良くするEPAが多く含まれているからです。

    TBS系列の健康番組「名医のTHE太鼓判!」で薄毛・白髪予防食としてイワシやサバが紹介されています。
    50歳になったら 栄養の取り方を変えようSP 2018年7月放送

    髪は健康のバロメーター! 薄毛・抜け毛・白髪 髪の悩み徹底解消スペシャル! 2019年2月放送

 

美肌

7点

「美肌」作り に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. 肌の新陳代謝 
    肌の細胞に栄養素や酸素を供給するのは血液の役割です。不要なものを持ち運ぶのも血液の役割です。なので血流が滞ると肌の細胞の代謝がスムーズにいかなくなります。血液サラサラ効果(血中のコレストロールや中性脂肪を減らす 他)があるEPAは肌の新陳代謝UPに貢献する成分です。
  2. 細胞膜
    細胞膜は細胞内に必要なものを取り入れ、細胞外に不要なものを排出する役割を果たしています。なので細胞膜が健康であれば細胞の働きが活発になります。
    EPAには細胞膜を柔軟にする働きがあります。

    なお上記したEPAの血液サラサラ効果は赤血球の細胞膜を柔らかくすることにより も含まれます。


    詳しくは次の美白項目で説明します。

  3. 抗炎症作用
    抗炎症作用を有するEPAは日焼け(紫外線)による炎症を抑えます。

 

美白

7

「美白」ケア に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. 赤血球膜の変形能改善
    顔の皮膚は他の場所より薄いため皮膚を通して血管を流れる血液の色が反映されてしまいます。つまり血液の色が明るければ肌の色も自然と明るくなります。

    血液の「明るさ」は酸素を運ぶ役割をする赤血球(の主成分ヘモグロビン)の状態によります。
    ヘモグロビンが酸素と結びついているときは血液(赤血球)は鮮やかな赤色をしています。
    ヘモグロビンが酸素と離れているときは血液(赤血球)は暗い赤色をしています。

    赤血球が身体の末端にある肌にたくさんの酸素を届ける=肌の色を明るくするためには 鉄などヘモグロビンの材料を取ることが重要となります。

    プラスして赤血球を柔らかくすることが重要です。

    ・赤血球を柔らかくすることが重要となる理由

    赤血球はその直径より狭い毛細血管を通らなければなりません。

    赤血球は基本的に柔らかくて変形能力に富んでいます。 そのため毛細血管の中を通過するときは変形して中を通っています。

    赤血球の変形能

    赤血球は真ん中がへんこんだ円盤状のような形をしています。この形は固定されているのではなく血管を通るときは丸まったり、折れ曲がったりします。このように変形する性質を変形能といいます。

    コレストロールの取り過ぎにより赤血球膜が硬くなります。その結果、毛細血管のその先まで(ここで言うところの肌の表皮まで)たどり着けず、酸素が運ばれにくくなり、肌の色が暗くなります。

    EPAを摂取すると赤血球膜に取り込まれ、膜を柔らかくします。EPAには赤血球の変形能を改善する働きがあります。それにより毛細血管をスムーズに通過できるようになります。
    ここで言うところの肌の表皮までたくさんの酸素を供給することが可能となり、肌の色を明るくさせます。

    参照
    増やせ!元気でかわいい赤血球  
    NHKBSプレミアム 美と若さの新常識 

  2. 抗炎症作用
    紫外線によって肌に炎症が起こるとメラニン色素が過剰に生成されます。それが肌のターンオーバーとともに排出されなければ、シミやくすみとなって肌の表面に現れます。EPAには抗炎症作用があります。
  3. 肌のターンオーバー
    シミを減らすには紫外線対策などをして過剰にメラニン作らせないのが前提です(上)。そのうえで、肌のターンオーバーを促進させることが大切です。メラニンは肌のターンオーバーとともに排出されるからです。

    EPAは血行を促進させることで肌の新陳代謝を促進させます。

 

筋肉

7

「筋肉」増強 に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. 持久力向上
    EPAは赤血球の膜を柔らかくする働きがあります。この働きはイコール「全身への酸素の供給」をスムーズにさせることにつながります。実際、EPAの摂取試験(プラセボとの比較)により、同一運動での酸素摂取量の低減が確認されています。このことは少ない酸素量で運動することが可能となる、つまり持久力が向上することを表しているといえます。

    参照 
    EPAの持久力向上効果 
    ニッスイ SPORTS EPA 日本水産(株)

  2. 筋損傷&筋肉痛の緩和
    抗炎症作用を有するEPAには筋肉の損傷や炎症を抑える効果が期待できます。実際、EPAの摂取試験(プラセボとの比較)により確認されています。

    EPA摂取8週間後に伸張性収縮と呼ばれる運動負荷によって筋損傷・筋肉痛を起こし、その後5日間に渡り状態を観察した試験では、EPAを摂取したグループは、摂取していないグループと比べて、筋肉痛の痛みレベルが大きく軽減し、筋肉痛からの回復が早まることが分かりました。

    引用元 
    EPAの筋損傷・筋肉痛緩和効果
    ニッスイ SPORTS EPA  日本水産(株)HP

 

脂肪

10点

「脂肪」減少 に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. GLP-1分泌促進
    EPAは痩せるホルモン「GLP-1」の分泌を促進
    させます。


    EPAはサバ缶ダイエットの肝となる成分です。詳しくはこちらをご覧ください。

  2. アディポネクチン
    脂肪細胞からさまざまな生理活性物質が分泌されています。脂肪細胞から分泌される生理活性物質を総称してアディポサイトカインといいます。
    アディポサイトカインには善玉と悪玉があります。アディポネクチンは善玉アディポサイトカインの1つで動脈硬化を防ぐ働きをします。


    さて昨今メディアでアディポネクチンが痩せホルモンとして話題になることが多くなっています。理由はアディポネクチンに脂肪を燃焼させる&脂肪の蓄積を防ぐ働きがあるからです。
    もう少し掘り下げるとアディポネクチンにAMPキナーゼを活性させる作用があるからです。

    AMPキナーゼ

    AMPキナーゼは、細胞のエネルギーセンサーのような役割を果たしている酵素です。運動などをしエネルギーが不足するとこの酵素が活性され、【糖の筋肉細胞へ取り込み・脂肪酸のβ酸化・糖新生の抑制】が促進されます。糖に関してはインスリンを要せずにです。

    簡単にいうとAMPキナーゼが活性化されると脂肪の蓄積をやめ脂肪の燃焼を促進する【=痩せる】です。

    AMPキナーゼは基本 運動などをし栄養飢餓状態にもっていくことで活性化されるものですが、アディポネクチンには飢餓状態にもっていかなくとも活性化させる作用があります。
    なので分泌を促進させれば運動しているのと同じ効果を得られる=痩せることができるので「痩せホルモン」といわれています。

    EPAにはアディポネクチンの分泌を促進させる働きがあるとされています。

    参照
    「やせホルモン」と呼ばれる「アディポネクチン」って何? 
    はじめよう!ヘルシーライフ オムロン ヘルスケア(株)

  3. 中性脂肪低下作用
    EPAは肝臓で脂質合成に関わる酵素類の発現を減らす作用があるとされてます。
    EPAは糖・脂質代謝に関わる遺伝子PPARのリガンドとして機能します。

    EPAは脂肪が燃えやすい体質に導きます。

  4. EPA/AA比
    EPA/AA比は動脈硬化などの慢性炎症性疾患の指標として注目されています。この比率が高い【EPAが高値、AA(アラキドン酸)が低値】人には内臓脂肪や肥満が少ないことが判明しています。

 

 

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EPAの働き分析【中身編】

合計 49.5/60点

カテゴリー別 点数

身体 7.5点

エネ 8.5点

病気 10点

体質 8点

精力 8.5点

健脳 7点

 

身体

7.5

「身体」の構成材料 に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. 細胞膜やホルモンの原料
    ω3系脂肪酸であるEPAは細胞膜やホルモンの原料として活躍しています。体内では合成できない(あまりできない)必須脂肪酸のため食事などにより外から取り入れる必要があります。

    必須脂肪酸にあてはまるω6系脂肪酸もどうように細胞膜やホルモンの原料として機能しますが、まったく正反対の働きをします。細胞膜でいえばω3系が柔らかくして、ω6系が硬くします。

    日本人はω6系を取り過ぎている傾向があるのでEPAやDHAといったω3系脂肪酸を意識して摂取する必要があります。

 

エネ

8.5点

「エネルギー」生成 に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. エネルギー源
    脂質は3大栄養素の中で一番のエネルギー源となります。1gあたり9kcalのエネルギーを産生します(糖質、たんぱく質は1gあたり4kcalです)。
    脂質のうち
    脂肪酸がエネルギー源として利用されます。
    EPAは脂肪酸の1種です。n-3系多価不飽和脂肪酸に分類されます。

  2. 糖・脂質代謝を促進
    EPAはエネルギー源としてよりはエネルギー産生を促すで活躍するといえそうです。生理活性物質として糖・脂質の代謝を促進させます。

 

病気

10点

「病気」予防 に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. 動脈硬化
    EPAには血中の中性脂肪やコレストロールを減らす作用があります。血小板凝縮抑制作用があります。赤血球の細胞膜を血管壁の細胞膜を柔らかくする作用があります。なのでEPAの摂取は動脈硬化予防になります。

    よくDHAやEPAのキャッチフレーズに「血液サラサラ」が使われますが、この言葉はEPAにより当てはまると言えるかもしれません。というのも細胞膜を柔らかくする作用はEPAのほうが優れているからです。

    実際、血液の粘度、いわゆる血液サラサラに重要な赤血球の柔らかさに関して比較したヒトの試験では、EPAを摂取した時はEPAが赤血球の膜に取り込まれて赤血球自身が柔らかくなり、血液粘度も低下する(サラサラになる)ことが確認されたのに対し、DHAを摂取した時はEPAよりも赤血球膜に取り込まれにくく、赤血球の柔らかさと血液粘度のいずれも改善が認めらなかったことが報告されています。

    引用元 
    EPAとDHAの違いは? 
    サラサラ生活向上委員会 日本水産(株)

  2. 心臓病
    ω3系列多価不飽和脂肪酸には、抗炎症作用心血管保護作用があります。その摂取は心臓病の予防にもなります。

    実際、厚生労働省の研究によりEPAの摂取が心臓病のリスクを低下させることが確認されています。

    ドコサヘキサエン酸(DHA)など魚介類に含まれる不飽和脂肪酸を日頃から多く食べれば、脳卒中や心臓病など循環器系疾患で死亡する恐れが少なくなる-。こんな研究結果を、厚生労働省の研究班が24年間にわたる追跡調査で突き止めた。

    引用元
    「頭が良くなる」どころか!DHA、EPAで脳卒中、心臓病の死亡リスク2割低下 厚労省研究班調査
    産経ニュース (株)産経新聞社

    ※ω3系脂肪酸の摂取は心臓病の予防にならない説もございます。

  3. がん
    必須脂肪酸のω6系(リノール酸、アラキドン酸など)とω3系(DHA・EPAなど)は、体内で拮抗するように働きます。 ω6系は血液を凝固させたり、炎症を促進したりする働きがあります。ω3系は、血液の凝固や炎症を抑えたりする働きがあります。

    がんは慢性的な炎症状態の継続とも考えられます。
    なので炎症を促すω6系は細胞のがん化やがん細胞の増殖を促す働きがあり、炎症を抑えるω3系はがんの発症を抑制する働きがあると捉えることができます。

    厚生労働省によれば

    乳がんコホート研究のメタ・アナリシスで、EPA及びDHA摂取量との間に負の関連が認められ、最大摂取群は最少摂取群に比べ、14%のリスク減少が認められている。また、結腸直腸がんコホート研究のメタ・アナリシスでは男性において、n-3系脂肪酸(α-リノレン酸を含む)摂取量が多い群で平均13%のリスク減少が認められている。日本人でもJPHC研究の期間の観察により、男性で魚由来 n-3系脂肪酸摂取の最大摂取群で近位大腸部のがんのリスク減少が、摂取量が1.06 g/日の群で直腸がんのリスク減少が認められた。また、JPHC 研究で魚由来n-3系脂肪酸摂取量用量依存性に、肝がん罹患が減少することを認めている。

    引用元 
    脂質 
    PDF版  厚生労働省

    とのことです。

    かといってω3系が過剰に、ω6系が不足になるのもよくありません。摂取バランスが重要となります。EPAの過剰摂取は出血傾向をきたすおそれがあるといわれています。またEPAを医薬品として大量に摂取すると、死亡率が少し高くなるといった内容の海外の論文がございます。

 

体質

8点

「体質」改善 に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. 抗アレルギー
    EPAにはアラキドン酸カスケードに拮抗する&抗炎症性の脂質メディエーターを産生する働きがあります。それにより抗アレルギー効果が見込まれます
    アレルギー性の喘息・アトピー・花粉症などの予防・緩和・改善効果が期待できます。
  2. 関節
    抗炎症作用を有するEPAは関節痛や関節リウマチの炎症を抑制する効果があるとされています。
  3. 冷え性
    血液には栄養素や酸素だけでなく熱を運ぶ役割があります。EPAには血流を改善する働きがあります。それにより熱を末端まで運ぶのを手助けします。「熱」が手足の隅々まで流れることで冷え性の予防・改善につながります。

 

精力

8.5点

「精力」増強&「性機能」向上 に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. 生理痛
    アラキドン酸から生成されるプロスタグランジンE2は子宮を収縮させる作用があります。それにより下腹部痛や腹痛などの月経痛を生じさせます。つまりプロスタグランジンE2は生理痛の原因物質となります。

    プロスタグランジンには種類があり、プロスタグランジンE3は子宮の過剰な収縮を抑える作用があります。なのでE2による生理痛を抑える働きします。EPAはプロスタグランジンE3を生成します。

  2. 女性の妊活
    研究によりω3系脂肪酸の摂取量が多いほど妊娠率、出産率が高まることが判明されています。これはDHAやEPAの血液サラサラ効果により子宮や卵巣の血流が改善することでもたらされるものだと考えられます。
  3. 男性の妊活
    ω3系脂肪酸の不足は精子の運動機能の低下に関係しているとされています。

 

健脳

7

「脳」の健康 に関わるEPAの働きは主に次です。

  1. 記憶力
    脳の発達や健康維持に欠かせないのがn-3系脂肪酸です。n-3系脂肪酸の摂取は記憶力や学習能力の向上につながります。
  2. 認知症
    n-3系脂肪酸の摂取は認知機能低下を抑制するとされています。「魚を食べると認知症のリスクを低下させる」は有名な話です。
  3. うつ病
    n-3系脂肪酸の摂取はうつ病の予防になるとされています。

    n-3系脂肪酸の摂取量で4つのグループに分け、最も摂取量が少ないグループに比べた時の、その他のグループでのうつ病のリスクを調べました。その結果、1日に57g(中央値)魚介類を食べるグループと比較して、1日に111g(中央値)魚介類を食べるグループでうつ病リスクの低下がみられました。

    引用元
    魚介類・n-3不飽和脂肪酸摂取とうつ病との関連について 
    国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究グループ

  4. 恐怖記憶
    マウス実験によりn-3系脂肪酸の摂取は恐怖記憶(恐怖体験について思い出したときの怖いという感覚)を和らげることが確認されています。

    参照

    脂肪酸の摂取バランスが恐怖記憶に影響 独立行政法人 国立精神・神経医療研究センターHP


マイナスポイント

ここでEPAではなくn-3系脂肪酸で説明しているのは、EPAが脳にほとんど存在していないからです。

脳内にある脂肪酸のうちDHAが15%を占めているのに対して、EPAはわずか0.2%に過ぎない
とされています。
またDHAは血液脳関門を通過でき、EPAはできないと言われています。

なので上記したn-3系脂肪酸の働きはDHAによるところが大きいと捉えてください。

 

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EPAのサプリメント紹介

EPAがメイン成分のサプリメントを紹介します。
 
Now Foods

本製品のソフトジェルに使用されている天然フィッシュオイル濃縮物は、厳格な品質管理基準の下で製造されています。有害となりうるレベルの汚染物質(水銀、重金属、PCB、ダイオキシン、その他の汚染物質)が含まれていないことを検査済みです。

引用元
Now Foods, オメガ3、180 EPA/120 DHA、ソフトジェル200粒
iHerb.com

 
 
Now Foods

 

オメガ-3ソフトジェルで使用される天然フィッシュオイル濃縮物は、厳格な品質管理基準の下で製造されています。有害となりうるレベルの汚染物質(例えば、PCB、ダイオキシン類、水銀およびその他の重金属)は試験により含有されていないことが証明されています。当製品のゼラチンは牛や豚由来ではなく、魚由来です。

引用元
Now Foods, ウルトラオメガ‐3、500 EPA/250 DHA、フィッシュオイルソフトジェル180粒
iHerb.com

 

EPAが含まれているサプリメントを紹介します。

Jarrow Formulas

 

クリルオイルは豊富な南極オキアミ(学名Euphausia superba)を低温濃縮したもので、潤沢なオメガ-3 PUFA(EPAおよびDHA)を含む特別なリン脂質を含有しています。

最新の科学が、クリルオイルの以下のようなポテンシャルを示しています:

  • 脂質管理 – クリルオイルは健康な血中脂質をサポートします。
  • 脳の栄養 – クリルオイルは超強力な海洋リン脂質を含んでいて、正常な脳機能を維持します。
  • 代謝の健康 – クリルオイルはグルコース代謝と困難に面した肝臓の対応力を改善します。

 

引用元
Jarrow Formulas, クリルオイル、ソフトジェル60錠
iHerb.com

 

商品説明文の引用元 iHerb.comでも購入可能です。その際 iHerb紹介コード=ALH5806 ご利用いただけたら幸いです。 リンクから飛んでいただくと、自動的にコード適応になります。

 

 

 

 

EPAのまとめ

分析【見た目編】45

分析【中身編】49.5

 

EPA GLP-1の分泌促進 参照一覧 

シーチキンのまぐろから搾ったDHA +EPA はごろもフーズ 

心血管疾患の新規治療標的としてのmicroRNA-33a/b J-STAGE 

PPARsと免疫・炎症システム―関節疾患治療への応用― J-STAGE 

脂肪燃焼組織・褐色脂肪の食品成分による活性化と抗肥満効果 (一財)食品分析開発センターSUNATEC 

シリーズ生活習慣病にならないために 第3回肥満 ヘルシスト(株)ヤクルト本社 

魚油摂取は交感神経を介して、「脂肪燃焼細胞」を増やす-「魚油」の効果で体脂肪燃焼を促す新メカニズムを解明 研究成果 京都大学 

魚を食べると体脂肪が燃焼するメカニズムを解明 EPAとDHAの効果 
「保健指導リソースガイド 」 日本医療・健康情報研究所/創新社 

 

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