5-アミノレブリン酸(5-ALA) ヘムの原料

5-アミノレブリン酸(5-ALA)

アミノ酸の1種

 

 

 

5-アミノレブリン酸(5-ALA)とは

5-アミノレブリン酸(5-ALA)について

  • 5-アミノレブリン酸は体内に含まれている天然のアミノ酸です。5-ALAと略されます。
    δ₋アミノレブリン酸とも呼ばれます。この場合はδ-ALAと略されます。

    ※以下このページの文章内では「ALA」で説明していきます。

  • ALAはテトラピロール化合物の出発物質として動物や植物に広く存在しています。そのため「生命の根源物質」と称されます。
    .
    ※テトラピロールとはピロールを4つ有する化合物の総称をいいます。ヘム、シアノコバラミン、クロロフィルなどが当てはまります。
  • ALAはミトコンドリア内でビタミンB6の存在下、グリシンスクシニルCoAから生成されます。

  • ALAを出発物質として生成されるポルフィリンは、

    生体内では
    ヘム 
    ポルフィリン(プロポルフィリンⅣ)に鉄が配位され生成

    シアノコバラミン(ビタミンB12)
     
    ポルフィリン(ウロポルフィリノーゲンIII)にコバルトが配位され生成
    ※人間の体内では合成できません。

     

    植物では
    クロロフィル 
    ポルフィリン(プロポルフィリンⅣ)にマグネシウムが配位され生成

    などとして存在し、さまざまな生理機能を担っています。

  • 我々人間においてALAはヘムの前駆体であるという点が非常に重要です。
  • ヘムはヘモグロビンミオグロビンシトクロムなどのヘムたんぱく質の構成要素としてさまざまな生理機能を発揮します。
    これらヘムたんぱく質の働きを一言でいうと

    ヘモグロビン→酸素の運搬

    ミオグロビン→酸素の貯蔵

    シトクロム→エネルギー産生

    です。

    ヘムはALAによって作られます。つまるところヘムたんぱく質が生体内で働くために必須の物質がALAです。

5-アミノレブリン酸(5-ALA)の補足 その1

  • ALAは体内ではビタミンB6の存在下、グリシンとスクシニルCoAを基質としてALA合成酵素の働きにより生成されます。

  • 毎日600~700㎎生成され、同じ量が代謝されるとされています。
    食事からは~2㎎/日ほど摂取しています。
    体内では形(ヘムたんぱく質として)を変えて常に60~70gほど存在しています。

  • ALAを合成する能力は10代後半をピークに減っていきます。ストレス・生活習慣・紫外線などの影響によりその減少速度は年々加速していきます。

 

5-アミノレブリン酸(5-ALA)の補足 その2

  • ALAは動植物性の食物全般に含まれています。

  • なかでもワイン、黒酢に多く含まれます。

  • ただし食物から取れる量は微々たるものです。1日に食事から取れるALAの量は約0.05~2㎎とされています。

  • ALAは体内で合成できますが、その量は年々減っていきます。若いころは体内で合成=消費となっているのが、年をとるにつれ合成<消費になっていきます。

  • 食事からだと加齢ともに開く「差」を補填するのが難しいため、サプリに頼るのがベターかもしれません。

  • たとえばこちらの商品では1カプセルでトマト約150kg以上、ほうれん草約93kg以上のALAを摂取することができます。

 

摂取量について

目安摂取量
10㎎~30㎎/日 

10㎎~30㎎/日 は食品会社・サプリメーカーが設定している目安摂取量です。さまざまなALAサプリを調べたところ一番目にした数値です。

 

5-アミノレブリン酸(5-ALA)の効果・効能

5-アミノレブリン酸(5-ALA)の効果・効能 

  1. ヘムの原料

 

詳しく

①ヘムの原料

補欠分子族として「ヘム」を含むたんぱく質を総してヘムたんぱく質といいます。

ヘムたんぱく質の代表的なものとしてヘモグロビン・ミオグロビン・シトクロム類・シトクロムP450・カタラーゼ・ペルオキシダーゼが挙げられます。

各々生体内で重要な役割を果たしています。簡単にまとめると以下になります。

ヘムたんぱく質とその役割

  • ヘモグロビン 酸素の運搬  
  • ミオグロビン 酸素の貯蔵  
  • シトクロム類 エネルギー産生 
  • シトクロムP450 薬物代謝 
  • カタラーゼ 活性酸素の除去 
  • ペルオキシダーゼ 活性酸素の除去 

 

この「ヘム」は8段階の酵素反応を経て生成されます。
ヘムの生合成はミトコンドリア内にあるグリシン+スクシニルCoAを基質としてALA合成酵素の働きにより「ALA」が生成される反応を第1段階とし、その後7段階の酵素反応を経ていきます。

8段階のヘム生合成経路 各段階で生成される中間体

  1. ALA
  2. ポルフォビリノーゲン
  3. ヒドロキシメチルビラン
  4. ウロポルフィリノーゲンⅢ
  5. コプロポルフィリノーゲンⅢ
  6. プロトポルフィリノーゲンⅨ
  7. プロトポルフィリンIX
  8. ヘム

 

①⑥⑦⑧はミトコンドリア内で生成、②~⑤は細胞質で生成

8段階のヘム生合成経路 一連の酵素反応(基質→酵素→生成物の順)

  1. グリシン+スクシニルCoA →ALA合成酵素(ALAS)ALA
  2. ALA →アミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)→ ポルフォビリノーゲン
  3. ポルフォビリノーゲン→ ポルフォビリノーゲン脱アミノ酵素(PBGD)→ヒドロキシメチルビラン
  4. ヒドロキシメチルビラン→ ウロポルフィリノーゲンIII合成酵素(UROS)→ウロポルフィリノーゲンⅢ
  5. ウロポルフィリノーゲンⅢ →ウロポルフィリノーゲンIII脱炭酸酵素(UROD)→コプロポルフィリノーゲンⅢ
  6. コプロポルフィリノーゲンⅢ→ コプロポルフィリノーゲン酸化酵素(CPO)→プロトポルフィリノーゲンⅨ
  7. プロトポルフィリノーゲンⅨ→ プロトポルフィリノーゲン酸化酵素(PPOX)→プロトポルフィリンⅨ
  8. プロトポルフィリンIX→ 鉄付加酵素ヘム(FECH) →ヘム

 

①⑥⑦⑧はミトコンドリア内で行われる酵素反応、②~⑤は細胞質で行われる酵素反応

ヘムの生合成はミトコンドリアと細胞質で

ヘムの生合成は二つのコンパートメント【ミトコンドリアと細胞質】で行われます。

生合成の過程でミトコンドリア⇄細胞質の移送が行われています。
①はミトコンドリアで行われ、細胞質に移行し②~⑤が生成されます。その後ふたたびミトコンドリア内に戻り⑥⑦⑧が生成されます。
つまりミトコンドリアでALAが生成された後に、細胞質に移送され、順次代謝されていきコプロポルフィリノーゲンⅢになった後、再度ミトコンドリアに取り込まれその後の代謝が行われることになります。
コプロポルフィリノーゲンⅢをミトコンドリア内に取り込むのはABCB6トランスポーターです。

ヘム生合成の一連の流れを文章にまとめると以下になります。
.

ヘムは
ALAが出発物質となり数段階の酵素反応を経てプロトポルフィリンⅨという物質になり、そのプロトポルフィリンⅨに2価の鉄イオンが配位されて
生成されます。


より簡潔な文章すると次になります。
.

ヘムは
ミトコンドリア内でALAから作られるプロトポルフィリン鉄が結合することで
生成されます。


ようは
「ヘムはALAから生成される」 
です。

さてもう一度ヘムたんぱく質の生体内の役割一覧をご覧ください。

ヘムたんぱく質とその役割

  • ヘモグロビン 酸素の運搬  
  • ミオグロビン 酸素の貯蔵  
  • シトクロム類 エネルギー産生 
  • シトクロムP450 薬物代謝 
  • カタラーゼ 活性酸素の除去 
  • ペルオキシダーゼ 活性酸素の除去 


これらヘムたんぱく質には当然ですが「ヘム」の存在が必要不可欠です。
ヘムはALAからしか作ることができません
なのでALAは上記した生体内の役割にすべて関わっているといえます。

今回ALAの効果・効能は「ヘムの原料」しか記載していません。
これはヘムの前駆体として数々の「ヘムたんぱく質」に形を変え生体内でその役割を果たす
ものと捉えてください。つまるところ今回のALAのレビューでは

ALAの効果・効能=ヘムたんぱく質の働き

としていきます。

各ヘムたんぱく質の働きについてはここで説明するのではなく、次からの働き分析にて説明していきます。次のカテゴリーにて詳しく説明しているのでよろしければそちらを参考にしてください。

  • ヘモグロビン → 薄毛
  • ミオグロビン → 筋肉 
  • シトクロム類 → エネ
  • シトクロムP450 → 体質
  • カタラーゼ → 白髪
  • ペルオキシダーゼ → 白髪
  • NOS(一酸化窒素合成酵素)→ 筋肉

UCP → 脂肪

※NOS(一酸化窒素合成酵素)もヘムたんぱく質です。働き分析でALAを評価するにあたり何度がでてきます。
※UCPはヘムたんぱく質とは別物です。ALAを摂取することでUCPの発現が増えるとされているので働き分析で取り上げています。

 

 

5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働き分析【見た目編】

合計 45.5/60点

カテゴリー別 点数

薄毛 7.5点

白髪 7.5

美肌 7.5点

美白 7.5点

筋肉 7点

脂肪 8.5点

 
 

薄毛

7.5点

「薄毛」改善 に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. ヘモグロビン
    髪に必要な栄養素と酸素は毛細血管を通じて血液によって運ばれてきます。
    ここで酸素を届けているのが血液中の赤血球です。


    赤血球は肺から全身の組織に酸素を届け、全身の組織から二酸化炭素を肺に回収する役割を果たしています。
    より詳しくいうと赤血球の酸素の運搬&二酸化炭素の回収の働きをしているのはその主成分であるヘモグロビンです(赤血球の乾燥重量の約9割がヘモグロビン)。

    ヘモグロビンには酸素が多い場所=肺では酸素と結合し、酸素が少ない場所=各組織では酸素を離す
    性質があります。なので赤血球は酸素の運搬&二酸化炭素の回収する役割を果たすことができます。

    ヘモグロビンはヘム【鉄+ポルフィリン】+たんぱく質【グロビン】でできています。
    ALAはポルフィリンの前駆体です。ALAは髪に酸素を運搬する働きに深く関与しているといえます。

  2. シトクロム
    細胞のエネルギー源であるATPは、発毛の際に必要となります。
    髪は毛母細胞が細胞分裂することで生まれ成長していくのですが、この際に多くのATPを要します。


    実際 発毛している時は毛母細胞内にATPが増えていることが確認できています。
    ミトコンドリアの電子伝達系において電子の受け渡しの仲介の働きをするシトクロムcはヘムたんぱく質の一種です。
    「ヘム」はALAをもとに作られます。ALAはエネルギー産生に深く関わっているといえ、ALAの摂取はATP増加→発毛促進につながるといえそうです。

 

白髪 

7.5点

「白髪」予防 に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. カタラーゼ&ペルオキシダーゼ
    黒髪のもと
    メラニンはメラノサイトでアミノ酸【チロシン】に酸化酵素【チロシナーゼ】が作用することで生成されます。
    活性酸素の一種「過酸化水素」は後者のチロシナーゼを破壊する働きがあります。
    なのでこの活性酸素を除去することが白髪予防につながります。

    体内には過酸化水素を除去する抗酸化酵素が存在します。それはカタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼです。これら酵素を活性させることが白髪予防になります。

    カタラーゼは過酸化水素を水と酸素に分解する反応を触媒する酵素です。

    ペルオキシダーゼは過酸化水素を用いて電子供与体の酸化反応を触媒する酵素です。
    グルタチオンペルオキシダーゼは電子供与体(グルタチオン)を用いて過酸化水素を水と酸素に分解する反応を触媒する酵素です。

    カタラーゼとペルオキシダーゼは活性部位にヘムを持つ金属酵素です。ヘム=鉄+ポルフィリンで、ポルフィリンの前駆体はALAです。

  2. ヘモグロビン
    貧血と白髪は関係しています。
    貧血により血流が悪くなり頭皮に十分な血液(栄養素+酸素を含んでいる)が届かなくなると、頭皮にある毛母細胞でケラチン(髪本体)が メラノサイトでメラニン(黒髪のもと)が、十分に作られなくなるからです。


    貧血の原因の一つ鉄芽球性貧血はALA不足により生じます。鉄芽球性貧血とは鉄が十分に存在していても、ヘモグロビン合成を行う過程に異常があって起きる貧血をいいます。

    ヘモグロビンはヘム【鉄+ポルフィリン】+たんぱく質【グロビン】で構成されていますが、このうちポルフィリンはALAから生成されます。

    ALAが不足すると
    ALA不足→ポルフィリン不足→ヘム不足→ヘモグロビン不足→貧血といった流れをたどることとなります。

美肌

7.5

「美肌」作り に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. シトクロム
    ヘムの前駆体であるALAはシトクロムの形成に必須です。シトクロムは以下2点により美肌作りに貢献します。

    ①ATP産生

    細胞のエネルギー源となるのがATPです。肌細胞の生まれかわり=肌のターンオーバーにはATPが必要となります。なので肌の老化を防ぐには体内でATPが絶えず使われている状態=ATPを絶えず作りだしている状態を保つことが大事です。
    つまるところエネルギー産生に関わる成分を積極的に体内に取り入れることが重要となります。

    ミトコンドリアの電子伝達系の構成要素シトクロムcは補欠分子族としてヘムを有しますヘムに含まれる鉄イオンの酸化還元電位差を利用して電子伝達が行われます。

    代謝水
    電子伝達系で伝達された電子は最終的に酸素分子に結合し、さらに酸化酵素の働きで水素イオンと反応し水を生成します。
    この水はいわゆる「代謝水」と呼ばれるものです。肌の潤いのカギを握るのはいうまでもなく水分ですが、代謝水が増えることで細胞の内側から肌を潤すことができます。これは外(化粧水など)から水分を与えることで一時的に肌を潤すこととは一線を画すものです。
    シトクロムcはエネルギー産生に欠くことのできない物質=「代謝水」を作り出すのに欠くことのできない物質です。

  2. ヘモグロビン
    赤血球は肌の細胞に必要な酸素を運ぶ&不要な二酸化炭素を回収する役割を果たしています。より具体的にいうと、この役割は赤血球の主成分であるヘモグロビンが果たしています。というのもヘモグロビンには酸素が多い場所では酸素と結合し、酸素が少ない場所では酸素を離す性質があるからです。

    つまり酸素が多い場所=肺から酸素を運びだし、酸素が少ない場所=肌で酸素を切り離すことで酸素の運搬をしています。

    赤血球の主成分であるヘモグロビンの合成が低下すると肌の細胞に酸素が行き届かなくなる&二酸化炭素を回収できなくなります。当然ですが、血流も悪化することになるので、肌の細胞に必要な栄養素も十分に届かなくなります
    その結果、肌の細胞の機能が衰える美肌成分が減る新陳代謝が衰えるしわ&たるみが増えるといった流れをたどることとなってしまいます。

    ヘモグロビンはヘム【鉄+ポルフィリン】+たんぱく質【グロビン】でできています。このうちポルフィリンを生成するのにALAは必須の成分です。

 

美白

7.5点

「美白」ケア に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. シトクロム
    シミ・くすみのもとメラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。


    肌のターンオーバーには大量のエネルギー(ATP)が必要となります。なので体内でエネルギーが不足しないこと=効率的にエネルギーが産生されている ことが肌のターンオーバーにとっても大切なことになります。

    体内に取り入れられた糖質・脂質はそれぞれグルコース・脂肪酸に分解され細胞内にて下記代謝経路を経てATPに変換されます。

    ・糖質(酸素アリ)
    解糖系→TCA回路→電子伝達系

    ・脂質
    β酸化→TCA回路→電子伝達系

    うち電子伝達系は糖質の代謝(解糖系・TCA回路)・脂質の代謝(β酸化・TCA回路)で生じたNADHおよびFADH₂に含まれる高エネルギー電子を利用してエネルギー媒介物質であるATPを大量に作る代謝経路です。
    シトクロムは電子伝達系において「電子の受け渡し」の役割を担います。効率的にエネルギーを産生するには欠くことできない物質です。このシトクロムの形成に必須なのがALAです。

  2. ヘモグロビン
    顔の皮膚は他の場所より薄いため皮膚を通して血管を流れる血液の色が反映されてしまいます。つまり血液の色が明るければ肌の色も自然と明るくなります。

    肌の輝きは血液の「赤さ」のもとである「赤血球」の明るさによります。赤血球の明るさにはヘモグロビンが深く関わっています。

    先ほどからヘモグロビンには酸素が多い場所では酸素と結合し、酸素が少ない場所では酸素を離す性質があることを繰り返し述べていますが、

    ヘモグロビンが酸素と結びついている時は血液(赤血球)は鮮やかな赤色を、

    ヘモグロビンが酸素と離れている時は血液(赤血球)は暗い赤色
    しています。

    肌の細胞にたくさん酸素を運べれば(=ヘモグロビンが量が十分にある)、それだけ肌が明るくなります。一方で酸素を十分に運べていなければ(=ヘモグロビンの量が減少している)、そのぶん肌が暗くなります。
    ヘモグロビンを増やすためにはその構成成分であるヘムを体内で生成することが大事です。

    ヘムは鉄とポルフィリンでできています。
    なのでヘムの構成成分である鉄を取ること、ポルフィリンの原料であるALAを摂取すること(=体内で増やすこと)が重要となります。

筋肉

7点

「筋肉」増強 に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. ミオグロビン
    ミオグロビンは、筋肉中に存在して酸素を貯蔵するヘムたんぱく質です。
    ミオグロビンはヘモグロビンより酸素に対する親和性が少し高いためヘモグロビンから酸素を受け取り筋肉に貯蔵することができます。

    筋繊維には速筋繊維と遅筋繊維があります。それぞれの役割は速筋は瞬発的な大きな力を発揮する遅筋は持続的な力を発揮する です。

    筋肉は力を出すときたくさんの酸素が必要となります。とくに持続的な力を発揮する際に必要です。そのためミオグロビンは遅筋に多く含まれています
    遅筋の別名は「赤筋」です。それは赤い色素(=鉄を含むヘム)を持つミオグロビンが多く含まれていて遅筋繊維が赤く見えるからそう呼ばれています。
    ちなみに速筋の別名は「白筋」です。こちらはミオグロビンが少ないため速筋繊維が白く見えるからです。

    ヘムはミオグロビンの形成に利用されます。このヘムはALAから作られます。
    つまりALAはミオグロビンの形成に必須の成分と言えます。

  2. 一酸化窒素合成酵素(NOS)
    一酸化窒素(NO)には血管を拡張させる作用があります。なので体内にNOが多くある状態=NOが生成されやすい状態 で筋トレをすると、負荷を与えた筋肉への血流が増え、筋肉細胞に水分が集まりパンプアップ状態になりやすいといわれています。パンプアップを起こすことで、間接的に筋肥大の効果があるといわれています。

    パンプアップ

    筋トレで負荷を与え続けることによって、血液中に乳酸などの代謝物質が溜まっていきます。乳酸などが溜まると水分を引きこんで筋肉が膨れ上がります。

    この状態をパンプアップといいます。

    パンプアップの間接的な筋肥大効果

    パンプアップが間接的に筋肥大につながるとされているのは以下の流れでです。

    ①負荷を与えた筋肉に乳酸が溜まる→

    ②成長ホルモンが分泌される→

    ③IGF-1が分泌される→

    その筋肉に必要な特定のアミノ酸の輸送が促進される→

    =筋肥大

    NOの前駆体はアルギニンです。
    「アルギニン」と「NADPH」と「酸素」を基質にして、一酸化窒素合成酵素NOSの働きにより「シトルリン」と「NO」が産生されます。
    一酸化窒素合成酵素はヘムを含むたんぱく質でできています。ヘムの前駆体はALAです。

 

脂肪

8.5点

「脂肪」減少 に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. シトクロム
    体内に溜まっている脂肪および食事から取り入れた脂質は脂肪酸に分解され、ミトコンドリアに取り込まれβ酸化→TCAサイクル→電子伝達系を経てATPに合成されます。
    食事から取り入れた糖質はグルコースまでに分解された後 吸収され、細胞質で行われる解糖系を経てミトコンドリアに取り込まれTCAサイクル→電子伝達系を経てATPに合成されます。

    さてこの「代謝」が効率よく行われなければエネルギーを貯蔵する物質である「ATP」を十分に作りだすことが出来ません。
    十分に作りだすことができないことは単にエネルギー不足になるだけでなく、今ある脂肪が燃焼されない脂質や糖質が脂肪として蓄えられるにつながってしまいます。

    シトクロムはミトコンドリアの電子伝達系で「電子の受け渡し」に関与し、ATPの産生効率の向上に大きく貢献している物質です。
    ALAはシトクロムの原料です。ALAの摂取は電子伝達系を活性化させ「代謝」を促進させることが期待できます。

  2. UCP
    UCPとは脱共役たんぱく質(Uncoupling protein)のことです。ミトコンドリア内膜での酸化的リン酸化反応を脱共役させ、エネルギーをATPとしてでなく熱として散逸させる機能をもっています。
    脂肪細胞のミトコンドリア内にUCPが存在しています。

    簡単にいってしまえば 脂肪細胞でUCPが活性される(増える)
    先のシトクロムの欄で説明した脂質の代謝システム【脂肪酸→β酸化→TCAサイクル→電子伝達系】がカットされ脂肪を分解してできたエネルギーが【ATPを介せず】直接熱に変換され散逸消費されていくことになります。

    すごく簡単にいってしまえば 脂肪細胞内でUCPが活性される(増える)
    脂肪細胞の代謝が活発になって【体温が上昇し】脂肪が燃焼されていくです。

    ラット実験によりALAの摂取がUCPの発現を高めることが確認されています。

     実験では、成長期のラットを3群に分け、ALAなし、ALA2mg/kgを添加した餌(Feを含む)、ALA20mg/kgを添加した餌をそれぞれに2週間与えました。ALAなしの群と比較して、ALA添加群では総内臓脂肪量が統計的に有意差をもって低くなりました。また、安静時の酸素消費量が増加したのに加え、体温を上昇させるたんぱく質UCPの発現量も有意に高くなりました。

    引用元
    ALA+ミネラル=ALAplusのパワーは?
    ALAplus研究所 SBIアラプロモ(株)

    つまるところALAの摂取は体温の上昇&代謝亢進=ダイエット効果が期待できます。

    ※UCPには種類があります。脂肪細胞も褐色脂肪細胞・白色脂肪細胞と分かれており「働き(役割)」が異なります。本来ならば分けて説明すべきところですが、ここではまとめてUCP、脂肪細胞で説明させていただいております。

 

 

5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働き分析【中身編】

合計 50/60点

カテゴリー別 点数

身体 10点

エネ 10点

病気 7点

体質 8点

精力 8点

健脳 7点

 

身体

10

「身体」の構成材料 に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. 生命維持に必須(by ヘムの原料)
    ヘムは
    ヘモグロビン 
    赤血球の中に存在し、酸素を運搬する役割を果たす

    ミオグロビン 
    筋肉の中に存在し、酸素を貯蔵する役割を果たす

    シトクロム 
    細胞内のミトコンドリアに存在し、エネルギー生産に関与する

    など生命維持に不可欠な「ヘムたんぱく質」の構成成分です。その原料となるのはALAです。

 

エネ

10点

「エネルギー」生成 に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. エネルギー産生に必須(by シトクロム)
    今までヘムを一括りにして説明してきましたがヘムにも種類があります。ヘムα、ヘムb、ヘムcなどがあります。
    シトクロムには含まれるヘムの種類によってシトクロムa、シトクロムb、シトクロムcなどの種類があります。
    これを前提として話を聞いてください。

    糖質(酸素あり)・脂質のエネルギー代謝は

    糖質の場合
    解糖系→TCA回路→電子伝達系 

    脂質の場合
    β酸化→TCA回路→電子伝達系

    を経ていきます。

    最終的に電子伝達系で酸化的リン酸化が起こることにより大量のATPが生成されます。

    ここで電子伝達系についてもう少し踏み込んでいきます。

    電子伝達系はミトコンドリア内膜のたんぱく質複合体や補酵素間で(解糖系およびβ酸化・TCA回路で生じ、NADHやFADH₂で運搬してきた)電子のやり取りが行われる過程のことをいいます。これにより生じるプロトン濃度勾配を利用してATPの合成が行われます。

    この「電子のやり取り」を簡単に説明します。

    【ミトコンドリアにおける電子伝達系】

    TCA回路で生じたNADHやFADH₂に含まれる高エネルギー電子がミトコンドリア内膜にある電子伝達系を通ります 。電子は内幕に埋め込まれた4種類のたんぱく質複合体(複合体Ⅰ~複合体Ⅳ)を介して受け渡されます。

    電子の流れ

     NADHからの電子 →複合体I→ユビキノン→複合体Ⅲ→シトクロムc→複合体Ⅳ→酸素
     FADH₂からの電子→複合体Ⅱ→ユビキノン→複合体Ⅲ→シトクロムc→複合体Ⅳ→酸素

    電子伝達系で伝達された電子は最終的に酸素分子に結合し、さらに水素イオンと結合して水を生成します。

    .
    電子伝達系を電子が通る際にミトコンドリア内膜の内外にプロトン濃度勾配が形成されます。

    プロトン濃度勾配形成

    複合体I、Ⅲ、Ⅳが電子を伝達する際にプロトン(水素イオン、H⁺)をミトコンドリアのマトリクスから膜間スペースにくみ出します(=ミトコンドリア内膜の内外にプロトンの濃度の差を生じさせる)。

    このプロトン濃度勾配を利用し、最終的に【ATP合成酵素(=複合体Ⅴ)】によりADPとリン酸からATPが生成されます。

    複合体Ⅲから複合体Ⅳへ電子の受け渡しをしている電子伝達体はシトクロムcです。シトクロムcは補欠分子族としてヘムを有します。ヘムに含まれる鉄イオンの酸化還元電位差を利用して電子伝達が行われます。

    なお複合体Ⅲ、Ⅳの別名は複合体Ⅲシトクロムbc1複合体 複合体Ⅳシトクロム酸化酵素複合体です。ヘムは複合体の構成要素としても利用されています。
    ※複合体Ⅱにも含まれています。

    ようは

     
    シトクロム類はミトコンドリアのエネルギー産生過程において必要不可欠な物質で、その形成にはヘムの原料であるALAの存在が必須
    ということです。

    体内にALAが十分に存在していないとエネルギーを上手く作りだせずエネルギー不足になります。

病気

7点

「病気」予防 に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. 糖尿病
    シトクロム(ヘム)の前駆体であるALAが不足すれば、ミトコンドリアの電子伝達系の活性は低下します。すると細胞内でのグルコース→ATPへの変換が効率的に行われなくなります。
    そうなると血液中の糖が増える→血糖値が上がる→糖尿病のリスクが高まる といった流れをたどることとなってしまいます。
    シトクロム(ヘム)の前駆体であるALAの摂取はミトコンンドリアの活性につながり、しいては糖尿病の予防になるといえます。

  2. がん
    ALAはがんの予防に役立ちます。とくにがんの「発見」に役立ちます。

    細胞内でのALA→ヘムの代謝経路をもう一度ご覧ください。

    ヘムの生合成経路

    グリシン+スクシニルCoA

    1. ALA
    2. ポルフォビリノーゲン
    3. ヒドロキシメチルビラン
    4. ウロポルフィリノーゲンⅢ
    5. コプロポルフィリノーゲンⅢ
    6. プロトポルフィリノーゲンⅨ
    7. プロトポルフィリンIX
    8. ヘム

    ①⑥⑦⑧はミトコンドリア内で生成、②~⑤は細胞質で生成

    このようにALAは細胞内で8段階の反応を経てヘムに合成されます。ここで細胞の前に「正常な」という言葉を付け加えます。正常な細胞ではALAはヘムに合成されます。

    がん細胞の場合はヘムに上手く代謝されません。
    がん細胞では⑦プロトポルフィリンIX→⑧ヘムの変換を触媒する酵素FECHの活性が低く、⑥プロトポルフィリノーゲンⅨ→⑦プロトポルフィリンIXの変換を触媒する酵素PPOXの活性が高まっていることが確認されています。
    つまり⑦プロトポルフィリンⅨが蓄積されていることになります。

    プロトポルフィリンⅨは蛍光物質です。青色光を励起すると赤色の蛍光を発するという性質があります。この性質を利用することで正常な細胞とがん細胞を区別することができ、がん組織のみを正確に切除することができます。

    がんの患者さんにALAを飲んでもらい励起光を照射するとプロトポルフィリンⅨが蓄積している場所が赤色蛍光を発します。ALAを用いて励起光を照射してがん細胞を検知するがん診断法を光線力学診断といいます。

    もちろんALAのがんに対する効果は診断法だけではありません。(がんが発症していない場合で)常日頃からのALAの摂取はがんの予防になります。なぜならミトコンドリアを活性化させるとがん細胞は死滅するとされているからです。
    シトクロム(ヘム)の前駆体であるALAはミトコンドリアを活性させる働きをします。

 

体質

8点

「体質」改善 に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. 貧血(by ヘモグロビン)
    赤血球の主成分ヘモグロビンは酸素を肺から全身に運ぶ役割をしています。


    ヘモグロビンは「ヘム」と「グロビン」と呼ばれるたんぱく質でできています。ヘモグロビンの酸素の運搬は、このうち「ヘム」の働きによります。ヘムには酸素と結びつきやすい性質があるからです。
    ヘムはポルフィリンと鉄との錯体です。ポルフィリンの原料はALAです。

  2. 解毒(by シトクロムP450)
    体内の有害物質(以後、毒物)の多くは肝臓で無毒化されます。肝臓の「解毒」システムは2段階の化学反応を経て行われます。

    第Ⅰ相反応
    第Ⅰ相反応は水溶性を高める反応で、薬物代謝酵素が脂溶性の毒物を排出されやすい形に変換させます。具体的には脂溶性の毒物に水酸基・カルボキシル基・アミノ基など官能基を導入します。
    これにより水溶性が向上した毒物は、第Ⅱ相反応に進むことになります。

    第Ⅱ相反応
    第Ⅱ相反応は脂溶性の毒物の官能基に、グルクロン酸、硫酸塩、アミノ酸などの水溶性物質を結合させる反応です。これは抱合反応と呼ばれます。
    抱合反応を受けることでさらに水溶性が上昇し尿や胆汁として体外へ容易に排出されるようになります。
    抱合反応にはグルクロン酸抱合・グルタチオン抱合・硫酸抱合・アセチル抱合・アミノ酸抱合・メチレーションなどがあります。

    ※体外へ排出されるプロセスを第Ⅲ相反応として、「解毒」システムを3段階の化学反応としていることもあります。

    さて第Ⅰ相反応で薬物代謝酵素が脂溶性の毒物を排出されやすい形に変換させると説明しましたが、この薬物代謝酵素の代表ともいえるのがシトクロムP450です。
    シトクロムP450は活性中心にヘムを持つ薬物代謝酵素です。繰り返しになりますが、ヘムの原料はALAです。

  3. 睡眠
    ALAには眠りの質を改善する機能があります。
  4. 免疫力(by UCP)
    ラット実験によりALAの摂取がUCP(エネルギーを熱として散逸させるたんぱく質)の発現を高めることが確認されています。UCPの発現が増えると体温が上昇します。
    体温が上昇すると免疫力があがります。体温が1度あがると免疫力は5倍あがるとされています。
    ALAには【UCPの発現を増やすことで=体温を上げることで】免疫力を向上させる効果が期待できます。

精力

8点

「精力」増強&「性機能」向上 に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. 男性の不妊症(精子無力症)
    精子無力症とは精子の数は正常なのに精子の運動率が低い状態のことです。
    精子の運動率の低下はミトコンドリアの機能低下にリンクしていると考えられます。なのでミトコンドリアの機能を活性化させるALAの摂取は男性の不妊症(精子無力症)に対して有効かもしれません。

    順天堂大学にて「ALAの摂取が男性の更年期症状の改善につながるか」が研究されています。

    日々の生活の中でストレスや活性酸素などにより生体内の5-ALAは減少していきます。5-ALAを摂取することで男性更年期症状が改善されるかを研究しています。

    引用元
    アミノレブリン酸摂取による男性更年期症状の改善効果について
    順天堂大学医学部付属順天堂医院 泌尿器科

  2. 女性の不妊症
    卵子には多くのミトコンドリアが存在しています。このミトコンドリアの機能低下が卵子の老化につながるとされています。なので卵子のミトコンドリアを活性化させることができれば卵子の老化を遅らせ、その質を保つことができます。
    ALAの摂取は女性の不妊症に対しても有効かもしれません。
  3. NOS
    勃起とは、陰茎内にあるスポンジ状の組織「陰茎海綿体」に血流が充満し、海綿体内圧が上昇することによっておこる現象です。
    勃起を完成させるはNO(一酸化窒素)の働きが重要となります。というのも海綿体の内皮細胞からNOが大量に放出されることで海綿体の平滑筋が弛緩される=海綿体に血流が流入するからです。
    NOはアルギニンを基質にしてNOS(一酸化窒素合成酵素)の働きによりに産生されます。

    NOSは活性中心にヘムを含みます。ALAはヘムの前駆体です。

 

健脳

7

「脳」の健康 に関わる5-アミノレブリン酸(5-ALA)の働きは主に次です。

  1. 神経変性疾患
    ミトコンドリアの機能低下や異常はパーキンソン病などの神経変性疾患の発症原因となります。
    ミトコンドリアの機能を活性させるALAの摂取は神経変性疾患の予防・改善につながるかもしれません。
  2. NO
    NO(一酸化窒素)は神経伝達物質と同様の作用を示すことが確認されています。神経伝達物質はシナプス間隙のみで働きますが、NOは広範囲に拡散して直接的に接していない周辺の神経細胞にも影響を与えると言われています。このことから記憶や学習に深く関与していると考えられます。
    NOは「アルギニン」と「NADPH」と「酸素」を基質にしてNOS(一酸化窒素合成酵素)の働きによりに産生されます。
    NOSは活性中心にヘムを含みます。ALAはヘムの前駆体です。

 

 

5-アミノレブリン酸(5-ALA)のサプリメント紹介

ALAのサプリメントを紹介します。

 

NMNとALAが含まれているサプリメントを紹介します。

5-アミノレブリン酸(5-ALA)のまとめ

分析【見た目編】45.5

分析【中身編】50

 

5-アミノレブリン酸(5-ALA) ヘムの原料 参照一覧

ALAplus研究所

ALAエイジングケア研究所

ALA 5-アミノレブリン酸 サステナブル・クルー(株)

 

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