葉酸 核酸の合成

葉酸

別名 ビタミンB9 プテロイルグルタミン酸 ビタミンM

13種類のビタミンの1種
9種類の水溶性ビタミンの1種

 

 

葉酸とは

葉酸について

  • 葉酸(プテロイルグルタミン酸)はプテリジン環にパラアミノ酸安息香酸と複数のグルタミン酸が結合した化合物のことです。
  • 1つのグルタミン酸が結合したものをモノグルタミン酸型、複数のグルタミン酸が結合したものをポリグルタミン酸型といいます。
  • 食品中の葉酸はポリグルタミン酸型(通常3~7個のグルタミン酸が結合)で、サプリメントなどに添加されている葉酸はモノグルタミン酸型です。
  • 食品中の葉酸は体内に取り入れられると消化官でモノグルタミン酸型まで分解されてから、小腸へ吸収されます。その後 細胞内でジヒドロ葉酸に還元され、さらに活性型のテトラヒドロ葉酸に変換され補酵素として機能します。
  • 葉酸は補酵素として核酸の合成・赤血球の合成・ホモシステイン代謝などに関与します。

 

体内合成について

体内合成 

  • 腸内細菌により合成されます。

 

摂取量について

推奨量 240μg/日(成人男性) 240μg/日(成人女性)
※妊婦の場合は+240μg/日

耐用上限量 900~1000μg/日
(成人男性)900~1000μg/日(成人女性)
※モノグルタミン酸型(サプリメントなど)の量として
※耐用上限量は年代により異なる

by 食事摂取基準(2015年版)

欠乏症
:巨赤芽球性貧血 :動脈硬化 :神経障害 
:胎児の神経管閉塞障害(妊娠初期に欠乏した場合)
:その他

不足ぎみ
:貧血がおきやすくなる :疲労を感じる :めまいがする
:口内炎になりやすくなる:胃が痛くなる :下痢になる 

過剰症
:神経障害 :蕁麻疹 :紅斑 :呼吸障害 :そう痒症 :その他

取り過ぎ
:発熱する :かゆくなる :亜鉛の吸収率が悪くなる

 

葉酸の効果・効能

葉酸の効果・効能 5つ厳選

  1. 核酸の合成
  2. 赤血球の合成
  3. ホモシステインの代謝
  4. DNAのメチル化に関与
  5. アミノ酸の代謝

 

そのうち3つを詳しく

①核酸の合成

核酸とは、細胞核の中に存在しているDNA(デオキシリボ核酸)と細胞核と細胞質に存在しているRNA(リボ核酸)のことをいいます。

DNAは遺伝情報を記録していて、新しい細胞をつくるときに必要な設計図の役割を担っています。
この設計図に基づいて、RNAがアミノ酸をもとに細胞の構成材料となるたんぱく質をつくります。

※RNAにはmRNA(メッセンジャーRNA)、tRNA(トランスファーRNA)、rRNA(リボゾームRNA)の3種類があり、「たんぱく質の合成」の際にそれぞれ違う働きをします。

たんぱく質の合成の流れは簡潔にまとめると次です。

DNA【塩基配列】→(転写)→RNA【塩基配列】→(翻訳)→たんぱく質の合成【アミノ酸配列】

DNAの塩基配列をRNAにコピーすることを転写といいます。
RNAの塩基配列をもとにアミノ酸を配列したんぱく質をつくる過程を翻訳といいます。

 

この流れをもう少し詳しく説明します。下記①が転写で②~③が翻訳の過程です。

細胞の核内にあるDNAに「設計図(=塩基配列)」が書き込まれていて、それがmRNAに転写されます。

DNA鎖は二本一組となって二重らせん構造を取っています。転写ではそのうちの一本の一部だけが写し取られます。転写は核内で行われます。

塩基配列
塩基配列とはDNAの分子内での
4種の塩基【アデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)】
の並び方のことです。

3種の塩基を1セットトリプットと言います)として1つのアミノ酸を指定する暗号となっています。その暗号の単位(3つのアルファベットの並び)はコドンと呼ばれます。コドンは64種類あり20種類のアミノ酸に対応するようになっています。

例 プロリン CCU グルタミン酸 GAA

※RNAではチミン(T)がウラシル(U)に置き換わります。

 

DNAの塩基配列をコピーしたmRNAは核内からでて細胞質にあるリボゾームへ向かいます。


Nucleus=核 Ribosome=リボソーム   ※ドイツ語

tRNAはその塩基配列に応じて(コドンに対応するアンチコドンをもっていて)たんぱく質合成に必要なアミノ酸をリボゾームまで運ぶ役割をします。

 

リボゾームではmRNAのコドンに従ってtRNA を結合(配列)させたんぱく質が合成されます。
※リボゾームはrRNAとたんぱく質でできています。

 

このように細胞内で【DNAの遺伝情報をRNAにコピーし、RNAがその情報をもとにたんぱく質を合成する】ことで新しい細胞が作られます。古い細胞から新しい細胞への入れ替わる(=細胞の新陳代謝)ためには核酸の働きが必要不可欠となります。

DNAやRNAを構成する単位はヌクレオチドと呼ばれます。ヌクレオチドはリン酸、糖および塩基で構成されています。

塩基は「プリン塩基」と「ピリミジン塩基」に分けられています。

  • プリン塩基     アデニン グアニン
  • ピリミジン塩基   ウラシル シトシン チミン

葉酸の補酵素型であるテトラヒドロ葉酸はプリン塩基およびピリミジン塩基の合成に関与しています
つまるところ葉酸が不足すると核酸の合成に支障をきたします
核酸が不足すると細胞の新陳代謝が正常に行われなくなり健康や美容を脅かすことになります。

 

②赤血球の合成

DNAの合成に関わる葉酸は、正常な赤血球を作る働きにも貢献しています。
そのため葉酸が不足すると赤芽球(赤血球になる前段階の血液細胞)のDNA合成が阻害され核の成熟が遅延して巨赤芽球性貧血を引き起こしやすくなります。

巨赤芽球性貧血
巨赤芽球とは赤芽球の分裂異常により赤芽球が異常に大きくなって、正常な赤血球に成長しなくなることを言います。巨赤芽球性貧血はDNA合成が上手くいかず正常な赤血球が作られないことでおこる貧血のことです。

葉酸は赤芽球の細胞分裂を促すことで赤血球が正常に作られるのを手助けし、巨赤芽球性貧血を予防・改善します。そのため「造血ビタミン」とも呼ばれます。

なお正常な赤血球を作る働きはビタミンB12とともに働きます。どちらか一方でも不足すると巨赤芽球性貧血を発症するリスクが高まります

 

③ホモシステインの代謝

ホモシステインとはたんぱく質の代謝過程でできるアミノ酸の一種で、必須アミノ酸のメチオニンの代謝における中間代謝物のことを言います。
ホモシステインが体内で蓄積されると動脈硬化を引き起こします。脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高める要因とされています。

ホモシステインはメチオニン代謝内の再メチル化経路により再びメチオニンに戻るか、あるいはイオウ転移経路によりシステインに変換されます。

再メチル化経路は2種類の反応があります。

  • 葉酸(5-メチルテトラヒドロ葉酸)をメチル供与体としてメチオニン合成酵素によりホモシステインをメチオニンに変換させる反応。
  • ベタインをメチル供与体としてベタイン₋ホモシステインメチル基転移酵素によりホモシステインをメチオニンに変換させる反応。

前者は葉酸のメチル基をホモシステインに供与することでメチオニンへの変換が進んでいきます。なので葉酸が欠乏するとこの代謝が進まず体内にホモシステインが蓄積してしまいます。

冒頭でいいましたが、ホモシステインの蓄積は動脈硬化につながります。つまるところ葉酸を摂取することは動脈硬化の予防になります。

なお葉酸を用いてホモシステイン→メチオニンに変換させる反応を触媒する酵素(メチオニン合成酵素)の補酵素として必要なのがビタミンB12です。ホモシステイン→メチオニンの代謝を促進させるためには葉酸とビタミンB12この2つの成分の摂取が必要となります。

 

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葉酸の働き分析【見た目編】

合計 41/60点

カテゴリー別 点数

薄毛 7.5点

白髪 7点

美肌 7.5点

美白 7.5点

筋肉 6.5点

脂肪 5点

 
 

薄毛

7.5点

「薄毛」改善 に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. 核酸の合成
    核酸は、細胞核の中に存在しているDNAと細胞核と細胞質に存在しているRNAのことです。DNAは遺伝情報を記録しており、その情報をコピーしたRNAがアミノ酸を使ってたんぱく質(細胞の構成材料)を合成します。
    核酸は新しい細胞を作る時に不可欠な成分です。 葉酸は核酸の合成に関与しています。

    髪は毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで生まれ成長していきます。葉酸を摂取することで毛母細胞の細胞分裂が促進され健康な髪が生まれやすくなります。

  2. 赤血球の合成
    髪を生み出すには栄養素だけでなく酸素も必要となります。酸素を届ける役目を果たしているのが血液の中を流れる赤血球です。

    髪が生まれ育つ仕組み

    ①毛細血管を通じて毛乳頭に髪に必要な栄養素+酸素が届けられる→

    ②毛乳頭細胞が毛母細胞に発毛シグナルを送る→

    ③毛母細胞が活性される→

    ④毛母細胞の細胞分裂が繰り返し行われる→

    髪が生まれ成長していく

    DNAの合成に関わる葉酸は、正常な赤血球を作る働きに関わっています。上記①の「毛乳頭に酸素を供給する」に間接的に貢献している成分といえます。

 

白髪 

7点

「白髪」予防 に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. 細胞の増殖・分化
    黒髪のもととなるメラニンは頭皮の毛包内にある色素細胞(メラノサイト)でチロシンとチロシナーゼ酵素が結びつくことで生まれます。


    ※上記イラストの毛母細胞に隣に色素細胞が存在しています。色素幹細胞は皮脂腺の下あたりにあるバルジ領域というところに存在しています。

    色素細胞は色素幹細胞から作られています。

    色素幹細胞は繰り返し増殖をする機能と色素細胞を生み出す機能をもちあわせています。

    幹細胞
    幹細胞とは
    分裂によって自分のコピーを生み出す「自己複製能」と
    分化によって自分とは異なる細胞を生み出す「分化能」を
    もつ細胞のことです。

    色素細胞が傷がついても、そのもとである色素幹細胞に問題がなければ新たな色素細胞が供給されることになります。
    逆に言えば色素幹細胞に問題があると、色素細胞の供給が滞る=白髪が増えることになります。問題とは例えば自己複製せずに分化してしまうことです。これは色素幹細胞が枯渇につながります。
    細胞の増殖・分化に不可欠な成分である葉酸は色素幹細胞の増殖と分化にも役立つ成分といえそうです。

  2. PABA
    PABAとはパラアミノ安息香酸のことです。PABAはラットに対する抗白毛症因子で知られており、白髪予防・改善に効く成分として有名です。
    PABAは葉酸の前駆体(葉酸の構成成分)です。葉酸を摂取するとPABAの白髪予防・改善効果を得られるというわけではないのですが、葉酸とPABAを一緒に取ると白髪予防・改善効果が高まるとされています。この2つにパントテン酸を加えるとさらに良いとされています。

 

美肌

7.5点

「美肌」作り に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. 繊維芽細胞
    線維芽細胞は皮膚の真皮にある細胞で、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸といった美肌成分を作り出す重要な役割を担っています。線維芽細胞は、自ら細胞分裂を行って絶えず新しい繊維芽細胞を増やし続けています。


    ※真皮層を拡大したイラストです。ひし形の〇点が繊維芽細胞です(イラストでは一部しかありませんがすべてのひし形にあります)。

    加齢や紫外線などにより繊維芽細胞の分裂能力が衰えると、真皮層にある繊維芽細胞の数が減ることになります。イコール美肌成分が減ることになります。
    DNA合成に関与する葉酸は細胞分裂に深く関わっています。葉酸を摂取することで繊維芽細胞の細胞分裂を活発にさせます。

  2. 肌のターンオーバー
    葉酸は細胞が生まれ変わるのを手助けする成分です。そのため新陳代謝を促進する働きが期待できます。

    肌(表皮)に関していえば表皮細胞の生まれ変わり、すなわち肌のターンオーバーを促進する効果を発揮します。

 

美白

7.5点

「美白」ケア に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. 肌のターンオーバーを正常化
    細胞内のたんぱく質が合成と分解を繰り返し細胞の生まれ変わりが行われています。細胞の生まれ変わり=新陳代謝です。

    新しい細胞に生まれ変わるときに必要となるのが核酸(DNA・RNA)です。
    DNAとRNAが正しく作用することでたんぱく質の合成が上手くいき新しい細胞を作ることができています。逆に言えば核酸が不足していると細胞の生まれ変わりが上手くいかないことになります。
    肌でいうと表皮の新陳代謝=肌のターンオーバーが正常に行われなくなります。

    このことはシミを増やす原因となります。
    なぜならメラニンはターンオーバーとともに排出されるからです。

    ターンオーバーが乱れるとメラニン排出がスムーズにいかなくなりシミが増えます。新陳代謝を促進する葉酸はターンオーバーの乱れを改善します。

 

筋肉

6.5点

「筋肉」増強 に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. 筋たんぱく質の合成
    筋肉はたんぱく質でできています。筋たんぱく質の合成には核酸が働きます。

    筋たんぱく質合成の流れ

    ①核内のDNAが持つ設計図(筋肉をつくるアミノ酸の組み合わせ)が遺伝子の伝令役であるmRNAに転写される。

    ②設計図をコピーしたmRNAは核外にでて細胞質にあるリボゾーム(rRNA)へ移動する。tRNAはその設計図にあわせて筋たんぱく質の合成に必要なアミノ酸をリボソームに運搬する。

    ③リボゾームで設計図通りのアミノ酸がつなぎ合わされ筋たんぱく質が合成される。

    葉酸は核酸の合成に必要な成分です。不足すると筋肉作りに影響を与えます。

  2. 筋サテライト細胞
    筋肉は筋繊維が束になったものです。筋繊維は筋原線維と呼ばれる構造体が束になって構成されている筋細胞のことです。
    筋繊維が増えることで筋肉は大きくなっていきます。

    筋繊維の数を増やすのが筋サテライト細胞です。筋サテライト細胞は普段は活動していないのですが、 トレーニングなどにより筋肉が損傷した時に活性化されます。活発な細胞分裂を行い筋芽細胞になり、筋芽細胞は融合して筋管細胞となり、筋管細胞はその後成熟して筋繊維になります。

    筋肉損傷時

    筋サテライト細胞活性→筋芽細胞→筋管細胞→筋繊維

    葉酸は細胞の分裂や成熟に大きく関わる成分です。筋サテライト細胞の活性化に役立つかもしれません。

 

脂肪

5点

「脂肪」減少 に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. 新陳代謝促進
    葉酸は細胞を生成する働きをします。新陳代謝をあげることは老廃物の排出を促進することになります。ダイエットにも決して無関係ではありません。
  2. 脂質の代謝
    研究により葉酸の欠乏が脂質の代謝に関係している可能性が示唆されています。高脂肪食摂取時に葉酸が欠乏していると肝臓での脂質の代謝に影響を与え、肝臓に脂肪が蓄積されることがラット実験で確認されています。

 

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葉酸の働き分析【中身編】

合計 49/60点

カテゴリー別 点数

身体 8点

エネ 6.5点

病気 8.5点

体質 7点

精力 10点

健脳 9点

 

身体

8点

「身体」の構成材料 に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. たんぱく質の合成
    たんぱく質は人間の身体の各パーツ(皮膚・筋肉・血液など)の主成分です。葉酸はたんぱく質の合成に必須成分です。たんぱく質の構成成分であるアミノ酸の代謝、たんぱく質の生成に関わる核酸の合成に関与しているからです。

 

エネ

6.5点

「エネルギー」生成 に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. アミノ酸の代謝
    葉酸はアミノ酸の代謝に関与しています。セリン・グリシン・メチオニン・ヒスチジンなどの代謝に関わっています。
    アミノ酸は主にたんぱく質の合成に使われますが、合成に使われなかったものはエネルギーとして利用されます。

 

病気

8.5点

「病気」予防 に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. 心血管疾患
    ホモシステインはたんぱく質の代謝過程でできるアミノ酸の一種で、必須アミノ酸のメチオニンの代謝における中間代謝物です。
    血中のホモシステインは心血管疾患の危険因子とされています。ホモシステインは酸素と結びつき活性酸素を発生させLDLを酸化させてしまうからです。

    酸化LDLは動脈硬化の原因となります。その理由は次です。

    酸化LDLが増えると血管の中を流れている白血球の一種である単球が血管の内側に入り込み【酸化LDLを処理するために】マクロファージに形を変えます。そして酸化LDLを自分の中に次々と取り込むようになります。

    たくさんの酸化LDLを取り込んだマクロファージはやがて死にます。その残骸が血管の壁に蓄積されていきプラークを形成していきます。

    そうなると血管の内側は細くなって動脈硬化を引き起こします。

    葉酸はホモシステイン→メチオニンの代謝を促進しホモシステインの蓄積を防ぎます。葉酸摂取が多いほど心血管疾患のリスクを低下させることが研究により判明されています。

  2. 神経管閉鎖障害
    妊娠するとごく初期段階に胎児の神経管は作られます。この段階で細胞の新生にかかわる葉酸が不足すると胎児の神経組織が正常に発達しないことがあります。その結果「無脳症」や「二分脊椎症」など神経管閉鎖障害を持つ子供が生まれるリスクが高まります。

    葉酸は妊娠判明後に積極的にとるのではなく妊娠する可能性があると考えた時点で意識して多めに摂取する必要があります。

  3. エピジェネティクス
    エピジェネティクスとは「DNAの塩基配列の変化を起こさないで、クロマチン構造の変化により遺伝子発現を制御する」仕組みです。
    この仕組みの中心的な役割をはたしているのが「DNAメチル化」と「ヒストン修飾」です。これらによって遺伝子のスイッチがオン/オフが行われ、それにより遺伝子の発現が制御されています。なおエピジェネティクスは特定の種類の細胞に分化すると、細胞分裂後も継承されます。

    エピジェネティクスの制御機構が破綻するとさまざまな疾患(生活習慣病・がんなど)を引きおこすとされています。逆をいうと生涯を通じて正常に行われば、健康的に生きることができると考えられます。

    エピジェネティクスと病気 (遺伝子医学mook) [ 中尾光善 ]

     

    なぜ、食と体を整えれば、前向きになれるのか? エピジェネティクスを利用したアンチエイジング

     


    DNAのメチル化
    例えば「DNAのメチル化」が異常を起こすとがん抑制遺伝子が働かなくなり、発がんを促します。

    DNAのメチル化はメチル基供与体である「SAMe」のメチル基がDNAメチルトランスフェラーゼの働きによりDNAのシトシンに転移されることで起こります。

    DNA(デオキシリボ核酸)

    4種の塩基【アデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)】が並んだ繊維状の高分子を言います。この配列によって遺伝子が決定されます。この遺伝情報をRNA(リボ核酸)にコピーして、RNAがその情報をもとに特定のたんぱく質を生成します。

    DNAのメチル化の異常の要因の一つはメチル基の供給源であるSAMeの不足です。なのでSAMe生成に関わる成分=メチオニン代謝に関わる成分の 摂取or欠乏 が 健康or疾患 につながると考えられます。
    その成分というのがは葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6、そしてベタインです。

    DNAメチル化と遺伝子発現制御のしくみを探る【電子書籍】[ 太田亨、新川詔夫 ]

     

    参照

    この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」第7回
    公益財団法人 テルモ生命科学振興財団 HPより

    エピジェネティクス
    国立研究開発法人 国立環境研究所 HPより

 

体質

7点

「体質」改善 に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. 貧血
    巨赤芽球性貧血は異常な赤血球(巨赤芽球)が生まれることで起こる貧血で、一般的な貧血の原因である「鉄」を補給しても改善できないため悪性貧血と呼ばれています。赤血球の合成に関わる葉酸は巨赤芽球性貧血を予防する効果があります。
  2. 冷え性
    冷え性の主たる原因は血行不良です。貧血などにより血流が悪くなり冷えを引き起こします。貧血を予防する葉酸は冷え性対策にもなります。
  3. 口内炎
    口の中の粘膜の細胞は細胞分裂が盛んに行われています。そのため細胞分裂を促進する葉酸が不足すると口内炎になりやすくなります。
  4. 免疫力
    免疫応答が過剰になると自己免疫疾患・アレルギー性疾患・炎症性疾患などを引き起こします。制御性T細胞は免疫応答を抑える働きを持ち、過剰な免疫応答を抑制します。
    細胞の分化・増殖に関与する葉酸は制御性T細胞の増殖に関係しており、葉酸が不足すると制御性T細胞が減少するとされています。

 

精力

10点

「精力」増強&「性機能」向上 に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. 妊娠
    妊娠初期は胎児の細胞分裂が盛んに行われる大事な時期です。この時期に十分な栄養を取れているかが、生まれてくる赤ちゃんの健康に大きく関わっています。
    この時期に最も必要とする栄養成分の一つが葉酸です。妊娠してから取るのではなく、妊娠を希望している段階で積極的に取り入れるべき成分です。※過剰摂取は注意してください。
  2. 精子の質
    葉酸には精子DNA断片化率を低下させる効果があります。妊活中の男性をサポートする成分といえます。

    精子DNA断片化率(DFI)
    精子のDNAがどれくらい損傷しているかの割合(損傷したDNAを持つ精子の割合)をDNA断片化率(または指数)と言います。DNAが損傷する原因は活性酸素などです。精子のDNA損傷の割合は、流産率の上昇と関係しています。
  3. 生理痛・PMS
    葉酸は生理痛やPMS(月経前症候群)の症状緩和に効果を発揮します。葉酸にはホルモンバランスを整える作用があるとされています。

 

健脳

9

「脳」の健康 に関わる葉酸の働きは主に次です。

  1. 神経伝達物質
    葉酸は神経伝達物質の合成にも欠くことができない成分です。そのため葉酸が不足するとうつ病の発症リスクが高まると考えられます。実際、うつ病患者は健康な人と比べて血液中の葉酸値が低いということが研究により判明しています。
  2. 認知症①
    血液中のホモシステイン濃度が高まると認知症のリスクが高まります。ホモシステインが動脈硬化を引き起こし、その結果 脳の血管が詰まり脳の細胞に酸素や栄養素が届かなくなることで認知症が発症します。ホモシステインからメチオニンの代謝を促す葉酸は認知症の予防になります。
  3. 認知症②
    脳細胞が活動したときにアミロイドβという老廃物が溜まります。アミロイドβの蓄積はアルツハイマー病認知症の発症原因の一つとされています。葉酸はアミロイドβの元となる遺伝子の発現を抑制する働きがあるとされています。
  4. 認知症③
    BDNFは脳由来神経栄養因子と呼ばれる脳内に存在する物質です。BDNFは神経細胞の新生・成長・維持に重要な役割を果たしています。BDNFの産生量が高まると記憶や学習など認知機能が向上することがわかっています。
    BDNFを増やすのに最も効果的なのは運動をすることです。栄養成分の中にもBDNFを増やすものがあり葉酸はその1つとされています。

 

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葉酸のサプリメント分析

合計 18/20点

カテゴリー別 点数

継続(価格は安いか) 5点

手軽(購入ルートは多いか)5点

選択(品揃えは豊富か)5点

貴重(食品から取りづらいor不足しやすいか)3点

 
  • 継続
    60日分は500円以下で購入可能です。
  • 手軽
    店舗・ネットで購入可能です。
  • 選択
    某ECサイトで「葉酸 サプリメント」検索すると約7万件ヒットします。
  • 貴重
    葉酸は緑黄色野菜に多く含まれています。特にほうれん草に多く含まれています。腸内細菌からも合成できるため欠乏の心配はさほどいりません。
    ただし食品からの吸収率は50%以下となっています。また水溶性ビタミンのため熱や水に弱いという欠点があり調理している段階で葉酸が破壊されてしまうこともあります。
    妊活中・妊娠中の推奨量は通常より多くなるので、サプリメントに頼るのも一つの手です。

 

 

愛用品

愛用理由
サプリ(モノグルタミン酸型)から摂取する葉酸には過剰摂取に注意する必要があります。
自分は多くの種類のサプリを服用しているので、含有量が多めのやつだと過剰になるリスクがあります。なので1粒で適度な量(400μg)が含まれているDHCのサプリを選択しています。

 

おすすめ品

おすすめ理由
葉酸が体内で使われるには活性型の葉酸に変換される必要があります。この変換過程には体内でいくつもの段階(葉酸→ジヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸→5,10-メチレン₋テトラヒドロ葉酸→5-メチルテトラヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸)を踏む必要があります。
人によっては遺伝子の欠損などにより、葉酸から5-メチルテトラヒドロ葉酸の変換がスムーズにいかない人もいいます。

葉酸のサプリメントは大きくわけて葉酸・葉酸塩の2種類があります。
「葉酸」は原料が合成されたもので、
「葉酸塩」はより生理活性の高い天然もの(=5-メチルテトラヒドロ葉酸塩)のことです。
葉酸のもつ効果・効能をより得たいのであれば葉酸塩を選ぶべきです。

葉酸塩にあてはまるものは成分内容にL-メチルフォレート、6(S)-メチルフォレート、メタフォリン、クアトレフォリックとしっかりと明記されているものです。この商品はクアトレフォリックと明記されています。

 

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葉酸との組み合わせ

葉酸と相性の良い成分 7つ厳選

  1. ビタミンB12
  2. ビタミンB6
  3. ビタミンB2
  4. ビタミンC
  5. 亜鉛
  6. カルシウム

 

そのうち3つをPICK UP

①ビタミンB12

葉酸はビタミンB12と協力して次の働きをします。

  • 赤血球の合成に関わり貧血を予防
  • ホモシステインの代謝に関わり動脈硬化を予防

葉酸とビタミンB12は基本的にセットで働くと考えてください。

葉酸は体内で活性型テトラヒドロ葉酸にかわるには数段階の過程(→ジヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸→5,10-メチレン₋テトラヒドロ葉酸→5-メチルテトラヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸)を経ています。

ビタミンB12はテトラヒドロ葉酸の再生(上記 5-メチルテトラヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸)に関わる酵素の補酵素として機能します。

 

 

④ビタミンC 

葉酸は体内で活性型のテトラヒドロ葉酸にかわるには数段階の過程(→ジヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸→5,10-メチレン₋テトラヒドロ葉酸→5-メチルテトラヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸)を経ています。このうちテトラヒドロ葉酸→5,10-メチレン₋テトラヒドロ葉酸の代謝にビタミンCが必要となります。

⑤鉄

葉酸は造血ビタミンとも呼ばれ赤血球の合成にかかわります。なので赤血球のヘモグロビンの構成成分である鉄と相性も良いです。ちなみにビタミンCは鉄の吸収をサポートする成分でもあります。

葉酸・鉄・ビタミンC この3つの成分はそれぞれ相乗効果が見込まれるので一緒に取ることをお勧めします。これにビタミンB12やB6などを組み合わせるとなおよろしいかと思われます。

 

 

葉酸のまとめ

葉酸 評価

総合評価 S 108点 

分析【見た目編】41

分析【中身編】49

分析【サプリ】18

 

 

 

以上をもとに→葉酸について勝手に語る

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