診療所 中性脂肪の改善にAMPキナーゼを活性させる その1の続きから
今回(その2)は
本テーマ第2章の中性脂肪を減らすについて【脂肪燃焼のメカニズム】について解説しています
- 中性脂肪について【中性脂肪の増加は肥満&動脈硬化の原因】
- 中性脂肪を減らすについて【脂肪燃焼のメカニズム】
- AMPキナーゼについて【AMPキナーゼを活性化させれば中性脂肪は減る】
筋肉を使うことで活性化するので運動をしましょう
2章 中性脂肪を減らすについて【脂肪燃焼のメカニズム】
この章では体内に蓄積された「中性脂肪を減らす」について言及します。
そもそも中性脂肪がなぜ増えるのかというと
エネルギー源として取り入れた糖質や脂質が
エネルギーとして使用されなければ
「中性脂肪」として体内に蓄積されていくのです。
ということは
体内にある中性脂肪をエネルギーとして利用していけば
中性脂肪が減っていくことになります。
「脂肪をエネルギーとして利用する」
脂肪を燃やせば「中性脂肪が減る」ことになります。
脂肪燃焼のメカニズム
脂肪燃焼とは文字通り「脂肪を燃やす」ことです。
それでは脂肪がどのように燃えるのか
脂肪燃焼のメカニズム
- 分解 体内に蓄積された中性脂肪を脂肪酸(遊離脂肪酸)とモノグリセリドに分解させる
- 運搬 分解されてできた脂肪酸(遊離脂肪酸)を細胞のミトコンドリアに運搬する
- 燃焼 ミトコンドリアで脂肪酸がエネルギー源に変わる
エネルギーとして消費される
脂肪燃焼はこのように分解→運搬→燃焼というプロセスをへていき、
このプロセスをすべてクリアすると
中性脂肪が二酸化炭素&水とエネルギーに変換されなくなる(減る)という仕組みになっています。
というわけでとにかくこの「脂肪燃焼のメカニズム」を完成させれば
中性脂肪を減らせることができます。
ただこの脂肪燃焼メカニズムを開始させるには
そもそも論として
脂肪燃焼を開始させるために 順番待ち
エネルギー源となる栄養素は3つあります。
三大栄養素と呼ばれる【糖質・脂質・たんぱく質】の3つです。
エネルギーとして利用される順番があります。
基本 順番が前の栄養素がエネルギーとして消費されなければ
次の栄養素はエネルギーとして利用されないことになっています。
糖質→脂質→たんぱく質
こんな感じです。
筋肉の中の糖質→血中の糖質→血中の脂質→細胞に蓄積された脂質
これを専門用語に置き換えると
筋肉のグリコーゲン→血中のグルコース→血中の遊離脂肪酸→中性脂肪
こうなります。
とにかく脂質がエネルギーとして利用される順番は糖質の次で、
なおかつ中性脂肪はビリッケツとなるのです。
となると中性脂肪を燃やすには
エネルギー消費を
糖質メイン→脂質メインにシフトさせる必要があります。
これが先ほどの段落で述べた「脂肪」をエネルギーとして利用する状況にもっていくの意味です。
突然 ATPが登場
ところで先ほどから
という言葉を多投してまいりました。
このことについて少し込み入った話をしたいと思います。
「糖質や脂質をエネルギーとして利用する」
糖質や脂質はあくまでもエネルギーの「源」にすぎません。
エネルギーってATPという物質のことをいいます。
もといATPという物質が分解されたときにエネルギーが放出されます。
身体活動を行ったり、体の材料を作ったりするときに
消費されるエネルギーはATPという物質が使用されているのです。
つまるところ
「糖質や脂質をエネルギーとして利用する」は
ことになります。
ということで
「脂肪燃焼」とは
ということになります。
なんの説明もなしにATPを連発して使ってしまった
ということで簡単にまとめてみました。
ATPおよび関連するADPとAMPの基礎知識
ATP
ATPは、アデノシン三リン酸(Adenosine TriphosPhate)のことで簡単にいうと細胞内でエネルギーを貯蔵している物質です。ATPは「エネルギーの通貨」と例えられ、エネルギーを必要とする生体内の反応過程には必ず使用されているもの。
少し難しくいうと
ATPはアデニンと呼ばれる塩基の一種にリボースと呼ばれる糖が結合し、そのリボースに3つのリン酸基が並んで結合している構造の物質です。※アデニンとリボースが結合したものをアデノシンといいます。「3つのリン酸」というのがポイントで、リン酸が離れるとエネルギーが放出されるメカニズムとなっています。筋収縮などでエネルギーが必要となったときにATPが分解されリン酸が離れます。
ATPが分解されリン酸基が1つ離れるとADP +リン酸となります。
ADP
ADPは、アデノシン二リン酸(Adenosine Diphosphate)のことでATPからリン酸基が1つ切り離されたものです。
アデニンにくっついているリボースに2つのリン酸基が並んで結合している構造をしています。
ADPは放出されるときに生まれる物質です。筋肉の収縮、たんぱく質の合成、糖の分解、脳(神経細胞)の活動などによりATPがエネルギーとして使用されるとADPが増えていきます。
ただしATPは細胞内でADPとリン酸に分解されると呼吸で放出されたエネルギーを利用して直ちに再合成されます。なので細胞内でATP⇔ADPが繰り返し行われていることになります。
ATPからリン酸が離れる→エネルギーが放出される、ADPにリン酸がくっつく→エネルギーが貯蔵される、このサイクルを繰り返していることになります。
AMP
ADPからさらにリン酸が1つ離れるとAMPとなります。AMPは、アデノシン一リン酸(Adenosine MonophosPhate)のことでATPからリン酸基が2つ切り離されたものです。
アデニンにくっついているリボースに1つのリン酸基が並んで結合している構造をしています。リン酸が放出されているので、この過程でもエネルギーが産生されます。
通常は「ATPが分解されADP+リン酸」⇔「ADPがリン酸と結合してATP」というサイクルを繰り返しています。
このサイクルが乱れてADPがATPに戻らない場合(=ADPが分解されAMP+リン酸になる)があります。
どういった場合かというと飢餓状態のときです。飢餓状態つまりエネルギー不足の場合にAMPが増えていきます。ATP→ADPという流れでエネルギーを放出し、ADP→AMPという流れでさらに大きなエネルギーを放出していきます。
中性脂肪を減らす=中性脂肪からATPを生成するには
さきほどエネルギーとして利用される順番は糖質→脂質であると説明しました。
なので中性脂肪を燃焼させるためにはエネルギー消費を糖質メイン→脂質メインにシフトさせる必要があると説きました。
これをATPを絡めて言い換えますと
ということになります。
体内の糖質を不足させることと有酸素運動をすることです。
糖質枯渇&有酸素運動
体内の糖質を不足&有酸素運動をすることで
エネルギー(ATP)を【より】必要な状態にさせることで
ATPの生成は脂質メインに切り替わっていきます。
①体内の糖質を不足させる
エネルギーは糖質が先に利用されるので
その糖質が少なければあるいは不足しているようであれば
糖質からだけではエネルギー(ATP)生成をまかなうことができず
自然と脂質から生成されるようになります。
糖質制限ダイエットを決行するとこの状況に簡単にもっていくことができます。
②有酸素運動をする
一定量のエネルギー(ATP)を消費させ
エネルギー(ATP)が必要な状態にもっていけば脂質メインに切り替わります。
この状況をつくりあげるにはなんといっても有酸素運動を行うのがベストな選択肢です。
一定量のエネルギー(ATP)を消費させ 体内の糖質を減らし中性脂肪からエネルギー(ATP)を生成するメカニズムにもっていくのが狙いです。
一定量のエネルギー(ATP)を消費させるというのがミソです。
少なくとも20分以上の有酸素運動を続けなければ
脂肪燃焼(=中性脂肪からATP生成)ははじまらないとされています。
この章のまとめ
- 中性脂肪を減らすとは脂肪を燃焼させること
- 脂肪燃焼とは中性脂肪からATPを生成すること
- エネルギー(ATP)を必要な状態にもっていくことで脂肪燃焼がスタートする
診療所 中性脂肪の改善にAMPキナーゼを活性させる その3に続く