ベタイン
アミノ酸の1種
コリンの代謝産物
ベタインのレビューはTMGとベタインHCLの2つに分けて作成しています。
2つとも内容は「ベタイン」です。ただし「題名」および「効果・効能の一部」「働き分析の一部」「サプリメント分析」「組み合わせ」の内容を変えています。
以下、理由です。
ベタインのサプリメントは大別すると
TMG(トリメチルグリシン)
ベタインHCL(塩酸ベタイン)
に分けられます。
※トリメチルグリシンと塩酸(HCL)を結合させたのが、ベタインHCLです。
個人的な意見として、ベタインのサプリのうち
TMGはがっつりのベタインの働き【ホモシステインの蓄積予防・他】を目的
ベタインHCLは主に塩酸の働き【消化サポート】を目的(ベタインの働きはプラスα程度)
として取るものと勝手に考えています。
なので同じ「ベタイン」レビューでも2つの題名「TMG」「ベタインHCL」に分けて作りました。
ベタインとは
ベタインについて
- ベタインはアミノ酸のアミノ基に3個のメチル基が付加した化合物の総称をいいます。
- ベタインは分子内の隣合わない位置に正電荷と負電荷を有しています。分子全体としては電荷をもたない化合物となっています。
- ベタインは狭義にはトリメチルグリシンのことをさします。なお広義は「分子内に正負両電荷を持つ化合物」のほうをさします。
- ベタイン(Betaine)の名は甜菜(Beta Vulgaris)に由来します。
- ベタインは生体内ではコリンから代謝されて生成されます。
- 生成されたベタインはメチオニンの代謝物「ホモシステイン」の再メチル化反応などに関わります。メチオニン代謝経路におけるホモシステインの代謝【ホモシステインをメチオニンに変換する】にてメチル基供与体として機能しています。
摂取量について
1日の摂取量は設定されていません。
ベタインの効果・効能
TMGの効果・効能 5つ厳選
- ホモシステインの代謝に関与
- リン脂質の代謝に関与
- DNAのメチル化に関与
- クレアチンの生成に関与
- 神経伝達物質の生成に関与
※これらは主にメチル基供与体として働くことで関わります。
そのうち1つを詳しく
ホモシステインの代謝に関与
必須アミノ酸のメチオニンはたんぱく質の材料として利用される以外に
生体内でのメチル化反応の「メチル基」の供給源としての重要な働きを果たしています。
後者において、メチル基の供給源となる【SAMe】は以下のように代謝されます。
- メチオニンとアデノシン(ATP由来)を基質としS-アデノシルメチオニン合成酵素の働きによりSAMeが生成されます。
ここでSAMeが生成
- SAMeはメチル基転移反応酵素の働きにより
体内のさまざざまメチル化反応に利用され(メチル基受容体にメチル基を供与して)
SAH(S-アデノシルホモシステイン)に変換されます。 - SAHはホモシステインに加水分解にされます。
ここでホモシステイン生成
- ホモステインは再メチル化経路または硫黄転移経路により
【再メチル化経路】メチオニンに再生されるか(約40%)
【硫黄転移経路】シスタチオンを経てシステインに代謝(約60%)
されます。
※上記「メチオニン代謝」はかなり簡略しています。
ここで③と④に登場したホモシステインについて説明します。
ホモシステイン
ホモシステインはメチオニン代謝における中間代謝物の1つです。
ホモシステインは通常であれば
再メチル化経路にてメチオニンに再生あるいは
硫黄転移経路にてセリンと結合しシスタチオンとなり、さらにシステインへと変換されていきます。
ホモシステインは経路内にてさまざまな酵素の働きによりメチオニンにあるいはシステインに代謝されるのですが、
「代謝異常」が起こると、ホモシステインが細胞内から血液中に移動し蓄積してしまいます。
ホモシステインの蓄積は動脈硬化や認知症の原因になるとされています。
ホモシステインは酸素と結びついて活性酸素を発生させます。それにより血管内にダメージを与えます。
たとえば血管内皮の機能を低下させNOの産生を抑制します。
たとえばLDLと結びつき酸化LDLに変性させます。
また血栓を抑制する作用をもつ物質の働きを妨げ、血液が固まりやすい状態にさせます=血栓の形成を促進させます。
以上から高ホモシステイン血症(血液中ホモシステインの濃度が高い状態)は動脈硬化の危険因子の1つとされています。
上記した通り、ホモシステインの量が増えると動脈硬化が進行します。脳に関していえば、脳の血管がつまったり(脳梗塞)や脳に出血がおきたり(脳出血)のリスクが高ります。これは認知症のリスクが高まることにもつながります。
またホモシステインはアミロイドβ(アルツハイマー型認知症の原因となるたんぱく質の「ゴミ」)の蓄積を促すことが報告されています。
以上から、高ホモシステイン血症は認知症の危険因子でもあるとも言われています。
ここでメチオニンに再生される再メチル化経路に焦点をあてます。
再メチル化経路
再メチル化経路は2つの異なる酵素の反応で行われます。
つまり「ホモシステインがメチル化する経路(ホモシステイン→メチオニンの代謝経路)は2パターンある」です。
基質 葉酸
葉酸(5-メチルテトラヒドロ葉酸)をメチル基供与体として
MSの働きにより【ホモシステインの再メチル化を促進し】
ホモシステインをメチオニンに変換させる経路。MSの補酵素としてビタミンB12が必要。
基質 ベタイン
ベタインをメチル基供与体として
BHMTの働きにより【ホモシステインの再メチル化を促進し】
ホモシステインをメチオニンに変換させる経路。
ホモシステインの蓄積を防ぐにはホモシステインの代謝(再メチル化)を促進させる成分を摂取する必要があります。
その成分というのがメチル基の供与体として機能する葉酸(&ビタミンB12)とベタインになります。
なのでこれら成分の摂取は動脈硬化や認知症の予防になります。
それだけでなく これら成分の摂取は生体内におけるさまざまなメチル化反応の促進・重要な生理作用をもつ物質の産生などにも関わってきます。
メチオニン代謝から生成されるSAMeは生体内メチル化反応の共通基質となります。
SAMeをメチル基供与体として生成される化合物は例えばクレアチン、カルニチンなどがあります。またドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質などもあてはまります。
SAMeは「メチル基供与体としての役割を果たした後、ホモシステインに変わり、そのホモシステインがメチオニンに再生され、そのメチオニンが代謝されSAMeが再び生成され、そしてまたメチル基供与体として・・・」といった循環を繰り返すことになります。
ホモシステインの代謝がスムーズにいかないことはこの「循環」がスムーズに行われなくなります。イコールSAMeの生成量の減少→クレアチンなどの化合物の生成量の減少につながります。
ホモシステインの代謝はもう一つの経路「硫黄転移経路」にも関わります。この経路ではシステインが生成されます。そのシステインをもとにして利胆作用を有するタウリンや生体内の重要な抗酸化物質であるグルタチオンが生成されます。
ホモシステインの代謝の停滞はこれら化合物の生成にも影響を与えます。
今回、勝手ながらベタインのレビューは「TMG」と「ベタインHCL」に分けて作成しています。働き分析に関しては内容は「体質」項目以外はまったくの一緒です。ベタインHCLの「体質」項目に消化を加えています。
点数に関してです。ベタインをベースにして TMGは「筋肉」項目にて+1点、ベタインHCLは「体質」項目にて+2.5点を加点しています。各項目を目的として摂取する場合は「こっち」のサプリがベターという意味を込めてです。
TMGの働き分析【見た目編】
合計 43/60点
薄毛
6.5点
「薄毛」改善 に関わるベタインの働きは主に次です。
- ホモシステインの代謝
髪に必要な栄養素や酸素は毛細血管により髪(頭皮)の細胞に運ばれます。ホモシステインは血管を傷つけ血管の老化を促します。このことは栄養素や酸素の運搬が滞ることになります。ベタインはホモシステインの血液中の蓄積を防ぎます。
- リン脂質
リン脂質は細胞膜の構成成分として細胞内に必要なものを取り入れる役割を果たしています。髪でいうと「毛乳頭細胞の細胞膜」を通して「必要なもの(栄養素や酸素)」が取り入れられています。
ベタインはリン脂質の合成に関与(詳細は美肌項目にて)しています。
- シャンプー
育毛のためには頭皮を清潔に保つことが大事です。そのためには毎日のシャンプーは必須だと考えられます。ただし洗髪のし過ぎや洗浄力が強いシャンプー使用は逆効果となり、その辺のさじ加減がとても大切となります。
ベタインは両性界面活性剤です。ベタイン系シャンプーは【頭皮や髪に対して刺激が低い&適度な洗浄力がある】ため抜け毛を気にされている方にたいへん人気があります。ディバインタイム アロマシャンプー&トリートメント(桜の甘い香り)500ml2本セット (ベタインシャンプー、アロマシャンプー)
- トリートメント
ベタインは陽イオンと陰イオンを持つ天然の両性界面活性剤です。帯電防止作用が期待できるため、よくトリートメントをはじめとするヘアケア商品に帯電防止目的として配合されています。ディバインタイム アロマシャンプー&トリートメント500ml2本セット (ベタインシャンプー、アロマシャンプー)
白髪
6点
「白髪」予防 に関わるベタインの働きは主に次です。
- グルタチオン
過酸化水素は白髪の原因となります。黒髪のもととなるメラニン色素の生成を阻害するからです。
体内には過酸化水素を除去する抗酸化酵素グルタチオンペルオキシダーゼが存在します。グルタチオンペルオキシダーゼは還元剤としてグルタチオン【のチオール基(-SH)】を用いて過酸化水素を分解します。
ラット実験により、肝臓においてベタインがグルタチオン産生維持に関与していることが判明されています。参照
サイスタダン原末 製品情報 (株)レクメドHPよりてん菜を原料とした機能性素材~ベタインの利用~ 独立行政法人 農畜産業振興機構HPより
美肌
7.5点
「美肌」作り に関わるベタインの働きは主に次です。
- リン脂質
リン脂質は細胞膜の構成成分です。細胞膜は細胞に必要な栄養素や酸素を吸収し、細胞に不要な老廃物を排出する役割を果たしています。肌を美しく保つには「肌のターンオーバー」が正常に行われることが重要です。
肌のターンオーバーとは表皮細胞(ケラチノサイト)が新しく生まれ変わることです。この生まれ変わりはケラチノサイトが必要な栄養素をしっかり受け取り、不要なものをスムーズに排出することで行われます。なので肌のターンオーバーにとって細胞膜の存在が重要となります。細胞膜の構成成分であるリン脂質はコリンを原料に作られます。
ここで突然ですが、コリンの話をします。
コリンコリンは生体内において主に次の3つとして重要な役割をはたしています。
①リン脂質(ホスファチジルコリン)の前駆体②神経伝達物質(アセチルコリン)の前駆体
③メチル基の供給源
コリンの特徴として以下があげられます。
体内でも合成できるが、わずかなため食事などで外からの摂取が必要さてコリンの重要な役割として3つあげたうちの③のメチル基の供給源の件ですが、これはベタインの前駆体として機能しています。
なのでベタインを摂取をすることはコリンの重要な役割③に対する必要性を減らすことができ、コリンはその分①や②として活躍できるということになります。事実、ベタインの摂取は外からのコリンの必要摂取量を減らすとされています。
ということで「ベタインは間接的にリン脂質の代謝に関わっている」と考えられます。そもそもリン脂質の合成にメチル基が必要となり、それがSAMeであることからもベタインは代謝に関与している考えられます。
ベタインは【リン脂質の代謝に関わる】ことで美肌作りに貢献していると考えられます。
- オスモライト
オスモライトとは浸透性ストレスから細胞内環境を保護する役割を果たす細胞内の浸透性調整物質のことです。
オスモライトの働き【細胞内外の水分バランスが整えられる→酵素などの生体たんぱく質の構造が安定&機能する】により健康的な肌を保つことができます。
ベタイン類は「オスモライト」として機能していると言われています。参照
注目の美容成分 『オスモライト「エクトイン」』 一般社団法人 日本スキンケア協会HPより
- 保湿
ベタインは吸収性、保湿性が極めて高い成分といえます。【最大P33倍★5と0の日はP35倍!9/11 1:59まで】 ベタイン 50g
ベタインは人間がもともともっている皮膚の保湿成分NMFと似た働きをします。水と結合して肌表面に潤いを与えます。
そのため、化粧品の保湿成分としてよく利用されています。
美白
6点
「美白」ケア に関わるベタインの働きは主に次です。
- 体内の抗酸化力を高める
シミは紫外線などにより肌に大量に発生する活性酸素により発生します。なので、シミを予防するために体内の抗酸化力を高めることが重要となります。ベタインは間接的に体内の抗酸化力を高める成分といえそうです。
というのもベタインはメチオニン代謝の再メチル化経路(メチオニン→ホモシステイン→メチオニン)の回転を高める成分だからです。これによりもう一方の代謝経路硫黄転移経路(メチオニン→ホモシステイン→システイン)もスムーズに代謝されることになります。メチオニン、システインには抗酸化作用があります。
システインから生成されるグルタチオンの抗酸化力は最強と称されます。 - 肌のターンオーバー
肌のターンオーバーは表皮の細胞で行われています。メラニンは肌のターンオーバーとともに排出されるので、ターンオーバーの乱れがシミの増加につながります。ベタインは以下の点より肌のターンオーバーに関与していると考えられます。
①リン脂質の代謝に関わる
→細胞膜の構成成分
②ホモシステインの代謝を促進する
→血管の老化を防ぐ⇒栄養素が肌の細胞内に行き届き、肌の細胞の生まれ変わり=肌のターンオーバーが活発になる。
筋肉
9.5点
「筋肉」増強 に関わるベタインの働きは主に次です。
- DNAメチル化
遺伝子にはスイッチがあります。遺伝子のスイッチをオン・オフにする仕組みは「エピジェネティクス」です。エピジェネティクスは細胞の分化・増殖や老化などに深く関わっています。遺伝子のスイッチのオン・オフに目印の1つとなるのがDNAのメチル化です。
DNAがメチル化されると遺伝子の発現はオフに、脱メチル化されるとオンになります。DNAのメチル化は「筋肉」に深く関係しています。
マッスルメモリー
筋肉の遺伝子には、遺伝子発現がオフになっている部分(高メチル化)と、遺伝子発現がオンになっている部分(低メチル化)があります。唐突ですが、こちらは「マッスルメモリーを調べる実験の内容および結果」を簡単にまとめたものです。
実験内容および結果①週3回のトレーニングを7週間する
→筋肉が肥大する
②その後7週間休養する
→①で得た筋肉は元に戻る
③再び週3回のトレーニングを7週間する
⇒①より筋肉がさらに大きく肥大する
※実験内容と写真はまったく関係ありません。イメージしやすいように載せただけです。
①の後に「被験者たちの筋肉の遺伝子には低メチル化した領域が頻発している」ことが、
そして③の後で「筋肉の遺伝子の低メチル化が最も頻繁にみられる」ことがわかりました。
※ここでは低メチル化状態が筋肉肥大につながると単純に捉えてください。ようは
筋肉は
「一度トレーニングし太くすれば休養してもとに戻ったとしても再びトレーニングを再開すると早くもとに戻る or 以前よりも筋肥大される」
ということです。
※中断期間の限度があると思われます。理由は「過去の筋肉の成長は筋肉の遺伝子によって記録されている」ためです。これをマッスルメモリーと呼びます。マッスルメモリーに関与しているのがエピジェネティクスというシステムで、その遺伝子発現の制御の目印となるのがDNAのメチル化です。
参照
「マッスルメモリー」は遺伝子レヴェルで実在していた──「運動の記憶」がDNAに刻まれるメカニズムが判明
WIRED.jp HPより
筋肉の再生研究により筋肉において、DNAのメチル化は筋肉の幹細胞の増殖を調節し、筋肉の再生を行う役割を担っていることが判明されています。
DNAのメチル化反応においてメチル基の供与体となるのがSAMeです。
SAMeはメチオニン代謝によって生成されます。なのでその生産量はメチオニン代謝に深く関わっている栄養成分の供給に左右されると考えられます。
メチオニン代謝に深く関わる成分は葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6、そしてベタインです。 -
瞬発力の向上(by クレアチン生合成)
ベタインは瞬発力を向上させる効果があります。それは瞬発力や大きな力を発揮する際にATPの供給源となる物質クレアチンの生合成にメチル基供与体として関与しているからと考えられます。クレアチンの生合成経路SAMeはメチオニン代謝から生成されます。なのでメチオニン代謝で働く栄養成分がクレアチン合成の際に必要なSAMeの供給に関与します。ベタインはそれにあてはまります。
①腎臓 L-アルギニン+グリシン → グアニジノ酢酸+L-オルニチン
②肝臓 グアニジノ酢酸+S-アデノシルメチオニン【SAMe】 → クレアチン+S-アデニル₋L-ホモシステイン
①腎臓でアルギニンのアミジノ基がグリシンに転移することによりグアニジノ酢酸が生成されます。この反応を触媒する酵素はグリシンアミジノトランスフェラーゼです。
②肝臓でグアニジノ酢酸にSAMeのメチル基が供与されクレアチンが生成されます。この反応を触媒する酵素はグアニジノ酢酸メチルトランスフェラーゼです。
※ベタイン(およびその前駆体コリン)は「グアニジノ酢酸からのクレアチンの合成の際に重要な役割をする」と言及されています。
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- アナボリックホルモン
アナボリックホルモンとはたんぱく質の同化を促すホルモンをいいます。筋肉でいうと筋肉の合成を促すホルモンです。研究によりベタインの摂取はアナボリックホルモン【成長ホルモン、IGF-1】の分泌を促進することが判明しています。
- カタボリックホルモン
カタボリックホルモンとはたんぱく質の異化を促すホルモンをいいます。筋肉でいうと筋肉の分解を促すホルモンです。研究によりベタインの摂取はカタボリックホルモン【コルチゾール】の分泌を抑制することが判明しています。
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脂肪
7.5点
「脂肪」減少 に関わるベタインの働きは主に次です。
- 脂質の代謝(by カルニチン)
カルニチンは分子全体としては電荷をもたない化合物のため広義のベタインにあてはまります。実際、カルニチンを調べるとベタインの誘導体と記述されていることもよくあります。レビューでは別成分として取り扱いますが、ベタインはカルニチンの生合成に間接的に関与(=SAMeの生成)しているためにこの項目に記載しています。
カルニチンは脂肪をミトコンドリア内へ運搬する働きをするので脂肪燃焼に必須の成分です。
カルニチンの生合成カルニチンは生体内でリジンとメチオニンにより作られます。リジンがSAMeによりトリメチル化されて作られます。トリメチル化された後にさらに5段階の酵素反応を受けて生成されます。
体内のカルニチンの約1/4はリジンとメチオニンをもとに作られたカルニチンです(残りは食品からの供給です)。
- 脂質の代謝(by リン脂質)
食事から取り入れた脂質(中性脂肪、コレストロール)はそのままの状態では血液の中を移動して細胞まで届けられません。血液中に取り込まれるには脂質を、水になじむ「リポたんぱく質」に変える必要があります。
リポたんぱく質は中性脂肪、コレストロールを軸とし、リン脂質を主成分とする膜で覆い、この膜がアポたんぱく質と結合することによって形成されます。
リン脂質はリポたんぱく質の構成成分として【脂質の運搬に関与する】ことで脂質の代謝をサポートしています。
リン脂質の代謝にベタインは関与しています。 - 脂質の代謝(by 成長ホルモン)
成長ホルモンは脂質分解させる作用があります。ベタインの摂取は成長ホルモンの分泌促進につながります。
TMGの働き分析【中身編】
合計 41/60点
身体
7点
「身体」の構成材料 に関わるベタインの働きは主に次です。
- たんぱく質
たんぱく質の働きは大きく構造的役割と機能的役割の2つにわけられます。「構造的」は筋肉・皮膚・髪・結合組織などを構成するたんぱく質の役割です。 「機能的」は酵素・ホルモンなどを構成するたんぱく質の役割で、生体内の化学反応を触媒する・生理機能を調整する働きをします。
ベタインはどちらにも関与しています。 研究によりベタインはたんぱく質の同化を促すホルモンの分泌を増やし、異化を促すホルモンの分泌を減らすことが判明しています。
またベタインは浸透圧調整作用を有するので、変性条件下における生体たんぱく質(酵素など)の構造・機能の安定化に寄与しています。
エネ
7点
「エネルギー」生成 に関わるベタインの働きは主に次です。
- クレアチンの生合成
筋収縮はATP がADPとリン酸に分解するときに放出されるエネルギーによって起こります。体を動かすためにはATPを供給し続けなければならないので体内でATPを再合成する必要があります。
運動時のATP供給機構はATP-CP系・解糖系・酸化系の3つです。
そのうちATP-CP系は筋肉に蓄えられているクレアチンリン酸を使ってATPを産生するシステムです。ATP-CP系ATP-CP系は瞬発力を要する運動時に利用されます。
クレアチンリン酸がクレアチンとリン酸に分解されるとエネルギーが放出されます。このエネルギーを使ってATPを再合成します。この反応で生じたクレアチンはクレアチンキナーゼによって再びリン酸化されるか(クレアチンリン酸として再利用されるか)、非酵素的に分解されクレアチニンになります。ベタインはメチル基供与体としてクレアチンの生合成に関わります。
病気
8点
「病気」予防 に関わるベタインの働きは主に次です。
- 動脈硬化
ホモシステインとはたんぱく質の代謝過程でできるアミノ酸の一種で、必須アミノ酸のメチオニンの代謝における中間代謝物です。
以下の理由から血中のホモシステインは心血管疾患の危険因子とされています。①ホモシステインは酸素と結びつき活性酸素を発生させLDLを酸化させる
②ホモシステインは血管内皮の機能を低下させ血管拡張作用をもつNO(一酸化窒素)の産生を抑制する
③ホモシステインは血栓を抑制する作用をもつ物質の働きを妨げ、血栓の形成を促進させる
ベタインはホモシステイン→メチオニンの代謝を促進しホモシステインの蓄積を防ぎます。ゆえに動脈硬化の予防に有効な成分といえます。
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- 肝疾患
ベタインはリポたんぱく質の構成成分であるリン脂質の代謝に関与しています。なので不足するとリポたんぱく質の形成に影響を与えます。とくにVLDL(肝臓で合成された中性脂肪→末梢組織へ運搬する働きをする)の分泌が阻害され、中性脂肪が肝臓に蓄積する病気「脂肪肝」が発症しやすくなります。脂肪肝が進むと肝炎や肝硬変に、さらに肝臓ガンにつながる危険性もあります。リポたんぱく質リポたんぱく質の主成分は、中性脂肪、コレステロール、リン脂質、たんぱく質(アポたんぱく質)です。これら成分の割合によりリポたんぱく質の「性質(機能)」が異なってきます。主に次の4種類に分けることが出来ます。
- カイロミクロン
食べ物からとった脂質(小腸で再合成されたもの)をエネルギーを必要とする組織に運ぶ。余ったものは肝臓に運ぶ。
中性脂肪が85~90%、コレストロールが5~7%、リン脂質が4~6%、たんぱく質が1~2% - VLDL(超低比重リポたんぱく)
肝臓でつくられた脂質(主に中性脂肪)を脂肪組織や筋肉などの末梢組織に運ぶ。
中性脂肪が50~55%、コレストロールが19~20%、リン脂質が18~20%、たんぱく質が8~10% - LDL(低比重リポたんぱく)
肝臓でつくられた脂質(主にコレストロール)を全身の組織に運ぶ。
中性脂肪が10~11%、コレストロールが45~46%、リン脂質が20~23%、たんぱく質が20~22% - HDL(高比重リポたんぱく)
肝臓、小腸、血液中でつくられて、血液中にたまったコレストロールを肝臓に運び戻す。
中性脂肪が4~5%、コレストロールが18~22%、リン脂質が20~24%、たんぱく質が42~55%
- カイロミクロン
- エピジェネティクス
エピジェネティクスとは「DNAの塩基配列の変化を起こさないで、クロマチン構造の変化により遺伝子発現を制御する」仕組みです。
この仕組みの中心的な役割をはたしているのが「DNAメチル化」と「ヒストン修飾」です。これらによって遺伝子のスイッチがオン/オフが行われ、それにより遺伝子の発現が制御されています。なおエピジェネティクスは特定の種類の細胞に分化すると、細胞分裂後も継承されます。エピジェネティクスの制御機構が破綻するとさまざまな疾患(生活習慣病・がんなど)を引きおこすとされています。逆をいうと生涯を通じて正常に行われば、健康的に生きることができると考えられます。
エピジェネティクスと病気 (遺伝子医学mook) [ 中尾光善 ]
なぜ、食と体を整えれば、前向きになれるのか? エピジェネティクスを利用したアンチエイジング
DNAのメチル化
例えば「DNAのメチル化」が異常を起こすとがん抑制遺伝子が働かなくなり、発がんを促します。DNAのメチル化はメチル基供与体である「SAMe」のメチル基がDNAメチルトランスフェラーゼの働きによりDNAのシトシンに転移されることで起こります。
DNA(デオキシリボ核酸)4種の塩基【アデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)】が並んだ繊維状の高分子を言います。この配列によって遺伝子が決定されます。この遺伝情報をRNA(リボ核酸)にコピーして、RNAがその情報をもとに特定のたんぱく質を生成します。
DNAのメチル化の異常の要因の一つはメチル基の供給源であるSAMeの不足です。なのでSAMe生成に関わる成分=メチオニン代謝に関わる成分の 摂取or欠乏 が 健康or疾患 につながると考えられます。
その成分というのが葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6、そしてベタインです。DNAメチル化と遺伝子発現制御のしくみを探る【電子書籍】[ 太田亨、新川詔夫 ]
参照
この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」第7回
公益財団法人 テルモ生命科学振興財団 HPよりエピジェネティクス
国立研究開発法人 国立環境研究所 HPより
体質
5点
「体質」改善 に関わるベタインの働きは主に次です。
精力
5.5点
「精力」増強&「性機能」向上 に関わるベタインの働きは主に次です。
- 精子の運動性(by クレアチン)
生体内においてクレアチンの大部分は筋肉に存在します。その率は90~95%ともいわれています。となると「その他」組織に存在するのはわずか数%となります。この「その他」に精巣が含まれていることはわりと有名な話です。
精液中のクレアチンは精子に取り込まれると精子(の運動)に必要なエネルギーを供給します。それにより精子の運動性を高めます。クレアチニンには男性不妊を改善する効果が期待できます。
ベタインはメチル基供与体として生体内のクレアチンの生合成に関わっています。 - 妊活(by カルニチン)
カルニチンは脂肪酸をミトコンドリア内に運ぶことでエネルギー産生を促進させる=ミトコンドリアを活性させる働きをします。
カルニチンのこの「ミトコンドリアの活性させる」働きは妊活を強力にサポートします。例えば女性不妊の原因の一つは卵子の老化です。卵子には多くのミトコンドリアが存在しており、このミトコンドリアの機能低下が卵子の老化につながるとされています。なので卵子のミトコンドリアを活性化させることができれば卵子の老化を遅らせ、その質を保つことができます。
生体内でカルニチンはリジンがSAMeの作用によりトリメチル化を受けて(その後にさらに5段階の酵素反応を受けて)作られます。ベタインはSAMeの生成に関与しています。
ベタインは月経を促進したり、人口中絶薬に作用する成分といわれています。具体的な作用機序はわかりませんが、とにかく妊娠中や授乳中、妊娠を望んでいる方、月経不良の方は避けたほうが良いかもしれません。該当する方で摂取を検討されている場合は使用前に医師にご相談ください。
健脳
8.5点
「脳」の健康 に関わるベタインの働きは主に次です。
- 総合失調症
理化学研究所の研究によりベタイン(トリメチルグリシン)が統合失調症の新しい治療薬候補になり得ることが判明しております。詳細は下記リンクをご覧ください。ごく最近(今年の6月末)に発表されたプレスリリースです。
統合失調症の新しい治療薬候補の発見―天然代謝産物ベタインの可能性―
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 HPより - 認知症
血液中のホモシステイン濃度が高まると脳梗塞や脳出血のリスクが高ります。ゆえに認知症のリスクが高まります。
ベタインはホモシステインからメチオニンへの代謝を促します。 - 神経伝達物質
ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質を生成する際にはメチル化反応は欠かすことができません。その際のメチル基の供与体となるSAMeの生成にベタインは関わります。 - コリン/ベタイン
細胞膜は【細胞内の環境を一定に保つ・ 細胞に必要な栄養素や酸素を吸収する・細胞に不要な老廃物を排出する】役割を果たしています。
また【細胞内外の情報を伝達する・細胞と細胞の間の情報を伝達する】といった「情報伝達」としての役割も担っています。
細胞膜はたんぱく質と脂質で構成されています。脂質のうちほとんどはリン脂質(ホスファチジルコリン)です。その前駆体となるのがコリンです。ベタインは間接的にコリン→リン脂質(ホスファチジルコリン)の生成に関与しています。
なぜならコリンはベタインの前駆体で、コリン→ベタインの代謝を経由してメチル基供与体としても機能しているからです。
ベタインを摂取することでコリンの外からの必要摂取量を減らすことができます。
TMGのサプリメント分析
合計 13.5/20点
継続(価格は安いか) 5点
手軽(購入ルートは多いか)4点
選択(品揃えは豊富か)2点
貴重(食品から取りづらいor不足しやすいか)2.5点
- 継続
TMGのサプリメントは例えば60~120日分(500㎎配合120粒入り 海外のサプリ)が約1000円~で購入可能です。 - 手軽
TMG単体(TMGがメイン成分)サプリは主にネットで購入可能です。 - 選択
某ECサイトで「ベタイン サプリメント」検索すると約2200件ヒットします。「トリメチルグリシン サプリメント」と検索すると約100件、「TMG サプリメント」だと約40件ヒットします。
ズバリのTMGとしては非常に少なく、TMGが含まれているアミノ酸複合サプリとヒットします。ズバリのTMGサプリを購入を検討されているならば、ECサイト経由ではなく個人輸入代行会社の直サイトからをお勧めします。なお「ベタイン」で検索すると多くの「ベタインの原末」がヒットしますが、こちらは手作りコスメ(保湿剤)の基材として利用されるものです。
- 貴重
ベタインは体内ではコリンから生成されます。コリンは卵黄に多く含まれている成分です。
ベタインは食品からだとタコ・イカといった軟体動物エビ・カニといった甲殻類に多く含まれています。
植物ではほうれん草、麦類、麦芽、キノコ、タケノコなどに多く含まれています。
甜菜=砂糖大根(ベタインの名前の由来となっている)にも多く含まれています。
※植物に共通しているのは耐凍性、耐塩性のあることです。これは温度ストレスや塩ストレス条件下でベタインが浸透圧調整物質として機能している(耐凍性、耐塩性に寄与している)からと考えられます。
またクコの実に含まれている成分の1つとしても有名です。
上記した食品をよく取る方は、ベタインを意識せずとも体内に取り入れているといえます。
おすすめ品
ECサイト経由であればこの2つがよろしいのでは思います。理由はなんとなくで。
TMGとの組み合わせ
TMGと相性の良い成分 7つ厳選
- 葉酸
- ビタミンB12
- ビタミンB6
- ビタミンB2
- クレアチン
- BCAA
- HMB
そのうち6つをPICK UP
①葉酸 ②ビタミンB12 ③ビタミンB6
この3つとTMGに共通しているのはがっつりホモシステインの代謝に関わっているという点です。
4つの成分はホモシステインの濃度を低くする、またはメチル基供与体(SAMe)の生成量を増やすことを目的とする、ようはホモシステインの代謝(メチオニンの代謝)を活性させるための複合サプリに一緒に配合されています。
複合サプリだと「ホモシステインディフェンス」とか「メチルガード」といった名前で販売されています。
⑤クレアチン ⑥BCAA ⑦HMB
TMGはアスリート向け筋肉系のサプリとの相性は抜群です。TMGが主役というよりはこれら成分のサポート役に徹して、更なる力を引き出すといった感じでしょうか。
TMGのまとめ
TMG 評価
総合評価 A 97.5点
分析【見た目編】43点
分析【中身編】41点
分析【サプリ】13.5点
TMG 履歴書
- サプリ服用歴
- 1カ月にかけるサプリ代
- マイサプリ軍の位置づけ
- よく購入するメーカー
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