ヘスペリジン 血流改善作用

ヘスペリジン

ポリフェノールの1種
フラボノイドの1種

ヘスペリジンとは

ヘスペリジンの4つの呼称

ヘスペリジンはポリフェノールの1種です。
ポリフェノールは、その構造の違いにより、フラボノイドとそれ以外(ノンフラボノイド)に大別されます。

ヘスペリジンはフラボノイドに分類されます。

フラボノイドは2つの芳香環 (A環とB環)が3つの炭素原子を介したC6–C3–C6(ジフェニルプロパン構造)を特徴とする化合物の総称をいいます。


出典元
フラボノイド
ウィキペディア

中央のピラン環あるいはそれに近い構造(C環)の酸化状態と置換基の違いにより、さらにフラボノール類、フラバノン類、イソフラボン類などに細分類されています。

ヘスペリジンは、
フラボノイドのフラバノン類に分類されます。

 

 

上の商品には、ヘスペリジンの後に(ビタミンP)と記載されています。
ビタミンPは、ビタミンと似た生理作用を有するビタミン様物質で、ヘスペリジン・ルチン・ケルセチンなどの総称
をいいます。

ということで、ヘスペリジンの呼称は4つあります。

  • ポリフェノールの1種
  • フラボノイドの1種
  • フラバノンの1種
  • ビタミンPの1種

フラボノイドは配糖体の形

糖と糖以外の化合物が結合した物質を配糖体といいます。
フラボノイドの多くは、植物体内では水酸基に糖がグルコシド結合した配糖体として存在しています。
なお配糖体から糖が外れたものをアグリコンと呼びます。

例えば、ケルセチンでいうと

糖が外れた状態ケルセチン(ケルセチンアグリコン)です。

糖が結合している状態ケルセチン配糖体です。

配糖体は結合する糖の種類結合する位置数によって、そのだけ種類が存在します。
ケルセチン配糖体も数種類存在します。

  • ケルセチン3‐グルコシド
  • ケルセチン-3,4-ジグルコシド
  • ケルセチン3‐ラムノシド
  • ケルセチン3‐ガラクトシド
  • ケルセチン3‐ルチノシド

など

なお、一番下のケルセチン-3-ルチノシドの慣用名はルチンです。
ルチンはケルセチンの配糖体です。

ヘスペリジンはヘスペリチン配糖体

ヘスペリジンはヘスペリチンの配糖体です。

ヘスペリチン【アグリコン】にルチノース【糖】が結合したものがヘスペリジンです。

ルチノース

ラムノースとグルコースから成る二糖。

ヘスペリチンの7位の水酸基にルチノースがβ-結合した構造を持ちます。


出典元
林原ヘスペリジン®S
製品紹介
(株)林原 食品素材事業サイト

※下の糖転移酵素(CGTase)でグルコースを転移部分をスルーしてご覧ください。あとで説明します。

フラボノイドの吸収・代謝

ここでフラボノイドの吸収・代謝について簡単に説明します。

食品より摂取するフラボノイドは、主に配糖体の形です。
フラボノイド配糖体の小腸における吸収経路は2通り考えられます。

  1. 小腸上皮細胞に存在するナトリウム依存型グルコーストランスポーター(SGLT-1)を介して選択的に細胞内に取り込まれた後、細胞質に存在するβ-グルコシダーゼに加水分解される。
  2. 小腸粘膜に存在するラクターゼ・フロリジン加水分解酵素(LPH)により加水分解される。

こうして分解されて生じたアグリコンは細胞内に取り込まれていきます。

小腸で吸収されない配糖体は、そのまま大腸に達します。
そこで腸内細菌の作用により分解されます。
腸内細菌の作用を受けると、配糖体からアグリコンが生じるだけでなく、C環の開裂が起こることでさまざまな代謝産物が生じます。
小腸で吸収されない配糖体は、アグリコンまたは代謝産物として大腸で吸収されます。

なお、フラボノイド配糖体はアグリコンとして 小腸あるいは大腸に吸収される時に(または肝臓において)、抱合化を受けます

ということで、
体内に取り入れられたフラボノイド配糖体は、主にアグリコン抱合体として血中を循環します。

多くのフラボノイドはこのような流れで吸収・代謝されていきます。

※この段落の下線部は、例外があることが意味します。

 

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ヘスペリジンの吸収・代謝

ヘスペリジンもまた、上で説明した流れをたどります。
ヘスペリジンを主人公にして流れをまとめます。

体内にヘスペリジンが取り入れられると

  • 腸内細菌が産生する酵素β-グルコシダーゼにより、加水分解されて ヘスペリチンアグリコンとなり吸収されます。
  • 吸収時あるいは肝臓にて、グルクロン酸抱合を受け 抱合体へと変換されます。
  • 血中ではヘスペリチン抱合体として存在しています。


ヘスペリジン代謝物(ヘスペリチン抱合体)としてヘスペリジンの生理機能を発揮します。

ヘスペリジンの生理機能

  • ビタミンP作用
  • 血流循環改善作用
  • 血圧降下作用
  • 血清脂質改善作用

など

.
まとめをわかりやすくした図がこちらです。
(糖転移ヘスペリジン部分はスルーして)ヘスペリジンからの流れをご覧ください


出典元
柑橘ポリフェノール「糖転移ヘスペリジン」の機能性食品分野における可能性
PDF 3/5
J-STAGE

ヘスペリジンの欠点

ただし、ヘスペリジンには欠点があります。

  • 水に対して極めて難溶のため、消化管内で不溶化してしまう
  • そのため小腸に吸収されずに、排出されてしまい、十分な生理機能が発揮できない

といった欠点です。

ヘスペリジンは水に極めて難溶であるため小腸からの吸収性が低く,生体内で十分な生理機能を発揮するには水溶性を向上させる必要がある。

引用元
ミカン未熟果と緑茶三番茶葉を混合して製造した可溶性ヘスぺリジン含有発酵茶の開発
PDFページ 2/9
J-STAGE

通常のヘスペリジンでは、その多くは(先の出典元の図の)ヘスペリジンからの流れまで到達できない恐れがあります。
そのため、ヘスペリジンとしての生理機能を発揮しにくくなっています。

欠点を改良したのが糖転移ヘスペリジン

この欠点を改良したものが、「糖転移ヘスペリジン」です。

糖転移ヘスペリジンとは、ヘスペリジンにグルコースを1分子付加【酵素処理することによって】したものです。
酵素処理ヘスペリジン糖転移ビタミンPなどとも呼ばれます。

糖転移ヘスペリジンは、従来のヘスペリジンと比べて

水溶性が1万倍以上あがり、小腸での吸収率が向上されます。
その結果
生体へ吸収率は3倍以上UPし、ヘスペリジンの生理機能が発揮されやすくなります。

 

糖転移ヘスペリジンの吸収・代謝

糖転移ヘスペリジンを経口摂取すると、小腸のα-グルコシダーゼによって加水分解されヘスペリジンとなります。
その後は、ヘスペリジンと同じ吸収・代謝経路をたどります。
ずばりこの図のことです。


出典元
柑橘ポリフェノール「糖転移ヘスペリジン」の機能性食品分野における可能性
PDF 3/5
J-STAGE

通常のヘスペリジンではあれば、小腸に吸収されずに、排出されてしまうことが多いのですが、
糖転移ヘスペリジンだと、その心配がなくなります(少なくなります)。

 

ヘスペリジンのサプリについて その1

ということで、
ヘスペリジンサプリは、通常のヘスペリジンより糖転移ヘスペリジンを選択したほうが良いと思われます。

ヘスペリジンの生理機能をマックスで得たいと考えた場合は、糖転移ヘスペリジンに「したほうが良い」ではなく「すべき」です。

その際は、サプリの名称または原料表示に【糖転移ヘスペリジン・酵素処理ヘスペリジン・糖転移ビタミンP】もしくは【モノグルコシルヘスペリジン】としっかりと記載されているものを選ぶようにしてください。
モノグルコシルヘスペリジンは糖転移ヘスペリジンの主成分です。原料表示に使用されていることが多いです。

 

ただ、単に【ヘスペリジン】と記載しているものでも、糖転移ヘスペリジンである可能性があります。
というのも糖転移ヘスペリジンの簡略名として「ヘスペリジン」でもOKとされているからです。

糖転移ヘスペリジンは,現在,食品添加物(用途:強化剤)として既存添加物名簿に収載されており,本成分を食品に使用する際には,次の名称,別名,簡略名を用いることができる。名称:酵素処理ヘスペリジン,別名:糖転移ヘスペリジンまたは糖転移ビタミンP,簡略名:ヘスペリジン。

出典元
柑橘ポリフェノール「糖転移ヘスペリジン」の機能性食品分野における可能性
PDF 2/5
J-STAGE

 

ヘスペリジンのサプリについて その2

とはいえ、
原料が糖転移ヘスペリジンであるのに、「ヘスペリジン」としか記載することはおそらくないのではないかと思っています。

というのも、
糖転移ヘスペリジンの主成分「モノグルコシルヘスペリジン」はトクホ認定されており、「中性脂肪の高めの方に適する」「脂肪の多い食事を摂りがちな方に適する」「血圧が気になる方に適する」なとどといった機能性をアピールすることが可能となっているからです。

特定保健用食品(トクホ)

健康の維持・増進に役立つことが科学的に証明され、消費者庁に認められた食品のことをいいます。

なので、原料が糖転移ヘスペリジンであれば、普通は機能性関与成分「モノグルコシルヘスペリジン」を大々的にアピールするはずです。

 

 

なお、糖転移以外にヘスペリジン水溶性を高め、吸収率をあげる方法として、メチル化があります。
その名もメチルヘスペリジンです。
メチルヘスペリジンは、ヘスペリジンをジメチル硫酸でメチル化し、水に可溶化したものです。

ヘスペリジンのサプリについて その3

海外のヘスペリジン単体サプリは、あまり売られていません。
というか、私が調べた限りドクターズベストのこの商品ぐらいです。

 

海外では、複合サプリの成分の一部として取り入れるのが一般的なのかもしません。

ヘスペリジンは、フラボノイド複合サプリビタミンC吸収促進サプリ健康サポート(主に静脈【Vein】系)サプリなどの構成成分として配合されています。

◆フラボノイド複合サプリ

◆ビタミンC吸収促進サプリ

◆Veinサポートサプリ

 

配合量はヘスペリジンのみの記載です。
iHerb.comで購入可能です。その際 iHerb紹介コード=ALH5806 ご利用いただけたら幸いです。 リンクから飛んでいただくと、自動的にコード適応になります。

.
個人的には、こういったサプリからヘスペリジンを取るようにしています。

 

ヘスペリジンが多く含まれる食品

最後にヘスペリジンが多く含まれる食品を紹介します。

ヘスペリジンが多く含まれるのは柑橘類です。
柑橘類の中でも特にみかんオレンジに多く含まれています。

実より皮や袋やスジに多く含まれています

ちなみに、みかんでは青みかんに、より多く含まれています。

青みかんに含まれているヘスペリジンの量は完熟みかんの数十倍あると言われています。

 

 

注意

以降のヘスペリジンの効果および働きは、基本 水溶性を高めたヘスペリジン【糖転移ヘスペリジン・メチルヘスペリジン】の効果および働きをまとめたものです。

通常のヘスペリジンにもありますが、その効果をより得たいと考えた場合は、サプリは水溶性を高めたタイプを選択するようにしてください。

 

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ヘスペリジンの効果・効能

ヘスペリジンの効果・効能 5つ厳選

  1. ビタミンP作用
  2. 血流改善作用
  3. 血圧降下作用
  4. 中性脂肪低減作用
  5. AMPK活性化作用

 

そのうち2つを詳しく

①ビタミンP作用

ヘスペリジンはビタミンPの1種です。

ビタミンPの働きは大きく3つあります。

  1. 毛細血管を強化し、血管透過性を改善する
  2. ビタミンCと協調してビタミンCの効果を高める
  3. 抗酸化作用

.
順に説明します。

①毛細血管を強化し、血管透過性を改善する

ここで

  • 毛細血管を強く丈夫にする
  • 血管透過性の増大を抑制する

と分けて、これら働きより得られる効果を別々にピックアップします。
ここでは、どちらかの働きによりあてまる効果と捉えてください。

 

毛細血管を強く丈夫にすることで見込まれる効果

 薄毛予防効果 

髪は、毛乳頭に運ばれた栄養素をもとに、毛母細胞が細胞分裂をすることで生まれてきます。


毛乳頭に栄養素を運ぶのは毛細血管の役割です。毛細血管が脆くなるとこの役割をしっかりと果たすことができなくなります=薄毛になります。

逆を言えば、毛細血管を強く丈夫にすることは薄毛予防になります
ヘスペリジンは毛細血管を強く丈夫にします。

 

 美肌効果 

肌の真皮には毛細血管が張り巡らされています。

真皮の繊維芽細胞に栄養素や酸素を運ぶ&老廃物を回収しているのは毛細血管です。
繊維芽細胞に栄養素や酸素が運ばれないと、コラーゲンやエラスチンを生成することができません。肌のハリ、弾力は失われていき「しわ」「たるみ」が引き起こされることになります。

表皮の基底層にある角化細胞に栄養素や酸素を運ぶ&老廃物を回収しているのも毛細血管です。

ご覧の通り表皮には毛細血管がありませんが、真皮乳頭層の毛細血管より、運搬&回収作業が行われています。
この作業により、基底層にある角化細胞の細胞分裂が行われる=肌のターンオーバーが行われることになります。

基底層にある角化細胞の細胞分裂がスムーズに行われない=ターンオーバーが遅れるとメラニンの排出が上手くいかず、肌に「シミ」や「くすみ」となってあらわれます。

ということで、真皮や表皮の細胞に栄養素や酸素を運ぶ&老廃物を回収している細血管が脆くなると肌の老化が進むことになります。
血管を丈夫にする働きをするヘスペリジンは肌の若々しさを保つことに貢献します。

 

血管透過性の増大を抑制することで見込まれる効果

 抗炎症効果 

毛細血管壁は血液と周り組織において物質交換をする場所です。ここでの「物質交換」とは、血管壁の細胞の隙間より血液を通して、周りの組織との間で栄養素や老廃物などを交換することを意味します。
毛細血管壁の物質を通過させる性質および能力を「透過性」といいます。

正常な血管では、小さな物質【水分や糖・アミノ酸など】は血管壁を通過しますが、大きな物質【タンパク質など】は通過することができないようになっています。

炎症性サイトカインが過剰に産生される血管透過性が亢進されます。
血管透過性の亢進とは血管の内側の細胞が収縮することで、細胞の隙間が大きくなっている状態をいいます。


出典元
血管透過性のダイナミックかつ巧妙な制御を可能にするシグナル伝達系
公益社団法人日本生化学会

この状態だと、大きな物質【タンパク質など】を含んだ血漿成分も血管外へ漏出してしまいます。その結果、炎症の兆候(局所の浮腫)が現れます。
ヘスペリジンは毛細血管の透過性の亢進を抑制する働きをします。

 

 冷え性改善効果 

血液は、各組織の細胞に栄養や酸素を運搬する&老廃物を回収する役割を果たしています。

毛細血管の壁には小さな穴が開いており、適度に漏れることで周りの細胞に栄養や酸素を届けることができます。細胞が毛細血管(動脈側)の小さな穴から染み出した栄養や酸素を含んだ血漿成分を吸収すると、自動的に老廃物や二酸化炭素を含んだ水分が毛細血管(静脈側)に回収される仕組みとなっています。

血液は、体内でつくられた熱を伝える役割も果たしています。

暑い時は、体の皮膚に近い部分の毛細血管を拡張することで、血流を増やします。血流を増加させることで体の熱を周囲に放散させます。
寒い時は、体の皮膚に近い部分の毛細血管をしめることで、血流を抑えます。血流を抑えることで体の熱が逃げないようにします。

これら血液の役割が十分に機能するには、毛細血管の透過性が適度に維持されていることが重要となります。
ヘスペリジンには、毛細血管の透過性を適度に保つ働きがあります。

②ビタミンCと協調してビタミンCの効果を高める

ビタミンPはビタミンCとの相性が抜群です。
ゆえにビタミンPの1つであるヘスペリジンはビタミンCとの相性は抜群です。
相性の良さを示す「働き」をいくつか紹介します。

◆ビタミンCの吸収を高める
ヘスペリジンはビタミンCの吸収を高めます。

◆ビタミンCの消耗を防ぐ
ビタミンCは体内に取り込まれると、細胞の代わりに自らが酸化されることで活性酸素を除去します。

ヘスペリジンには酸化型ビタミンCを還元型ビタミンCに戻す作用
があります=ヘスペリジンにはビタミンCの抗酸化力をリサイクルする働きがあります。

(2)ビタミンCには還元型と酸化型があるが、抗酸化作用を有するのは還元型のみで酸化型にはない。ヘスペリジンには酸化型ビタミンCを還元型に戻す作用があり、ビタミンCと併用することで相乗効果が期待される。

引用元
新規抗酸化剤を用いた新しい放射線傷害軽減対策
PDFページ 2/6
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)

なお、ビタミンCはストレスで消耗します。体内でビタミンCのリサイクルに貢献するヘスペリジンはビタミンCの消耗を防ぐ成分といえます。

◆ビタミンCの美白効果をアップ
ビタミンCには、シミをつくらせない効果とシミを薄くする効果のWの美白効果あります。
美白ケア成分の代表といっても過言ではありません。

シミを作らせない
メラニンはチロシンとチロシナーゼ酵素が結合することで作られます。チロシナーゼが活性されるとシミのもととなるメラニンがたくさん作られてしまいます。
なのでチロシナーゼの活性を阻害することがメラニンの大量生成を防ぐうえで重要となります。ビタミンCはチロシナーゼ活性阻害成分の1つです。
 
シミを薄くする
メラノサイトの中にあるチロシンがチロシナーゼにより酸化されることでメラニンは生成されます。
チロシン→ドーパ→ドーパキノン→黒色メラニンという代謝過程を経て作られていきます。
ビタミンCは中間代謝物であるドーパーキノンをドーパに還元する作用があります。
またメラニンに直接働きかけ黒色メラニンを無色に還元する(淡色化)作用ももっています。

.
ヘスペリジンはビタミンCの美白効果をさらにアップさせます。

同研究によれば、通常ヒト色素細胞は6日間で細胞内部のメラニンが約17倍に急増するが、同日数でビタミンCを84ppm投与しても、メラニン抑制は見られなかった。 一方、この量のビタミンCにヘスペリジンを19ppm配合した場合、メラニンが22%まで抑制された。

引用元
ビタミンPとC組合せで美白効果
健康産業新聞
インフォーマ マーケッツ ジャパン(株)

 

 

③抗酸化作用

DPPHとは人工的に作られたラジカルのことです。栄養成分(抗酸化物質)はよくDPPHラジカルを用いてラジカル消去能=活性酸素消去能を測定されています。

ヘスペリジンに抗酸化作用【ラジカル補足能=活性酸素消去能】があることが確認されています。

DPPHラジカル捕捉活性を測定した結果をFigure2に示す 。GルチンおよびGヘスペリジンはDPPHラジカ ルを濃度依存的に捕捉し,抗酸化作用を保持していることが明らかとなった 。

引用元
糖転移ビタミンPの抗酸化作用と高脂血症マウスにおける酸化ストレス抑制効果
PDFページ 3/9
J-STAGE

ただ、ヘスペリジン自体の抗酸化作用はさほどです。
というのも上記引用元にて、ルチンより弱い他植物エキス(イチョウ葉、松樹皮、ブドウ種子、ブルーベリー、緑茶)と比較して弱いとの記載があるからです。

なので、ビタミンP作用のうち抗酸化作用を一番の目的とするならば、ルチンを選択するのが良いのかもしれません。

とはいえ、ヘスペリジンにはビタミンCの抗酸化力をリサイクルする働きもあります。
ルチンでは、この話は聞いたことありません。
この点を踏まえると、抗酸化作用は「さほど」でなく「十分にある」といえそうです。

 

 

⑤AMPK活性化作用

AMPキナーゼ(以下AMPK)とはAMP活性化プロテインキナーゼ(AMP-activated protein kinase)の略で、エネルギー源となる糖や脂肪の代謝を調節している酵素のことを言います。

体内でエネルギーが枯渇している時AMPKが活性化されて異化の亢進と同化の抑制がもたらされます。

つまるところ
AMPKが活性される

【糖や脂肪の分解が促される&糖や脂肪の合成が抑えられる】

【エネルギーが産生される&エネルギーの消費が抑制される】

.
流れを作り出します。

AMP キナーゼが活性化すると,エネルギー産生のための異化作用が亢進すると同時に,エネルギー消費を伴う同化作用は抑制され,細胞内エネルギー・ レベルを上昇させるように働く。

引用元
真核細胞のエネルギー・センサー「AMPキナーゼ」
PDFページ 2/6
J-STAGE

 

具体的に、
AMPKが活性される

エネルギー産生のための異化作用が亢進

具体的には→
グルコースおよび脂肪酸の取り込み、解糖、脂肪酸酸化(β酸化)を亢進

エネルギー消費を伴う同化作用が抑制

具体的には→
糖新生、脂肪酸合成、たんぱく質合成、コレステロール合成を抑制

.
することで、ATPの産生を促進させ、ATPの消費を抑制します。

そのため、AMPKはよく「細胞中のエネルギーセンサー」「脂肪燃焼の司令塔」などと呼ばれています。

エネルギーが枯渇している時とはハードな運動 or 栄養飢餓 or 低酸素 の状態です。
いずれかの状態にもっていくことでAMPKが活性されることになります。

栄養成分の中にはAMPKを活性させる働きをもつものがあります。
ヘスペリジンはその1つです。

以上の結果から、フラボン及びフラバノンは優れたAMPK活性化作用を有し、エネルギー代謝の活性化、肥満、生活習慣病の予防・改善に有効であると考えられる。

引用元
公開特許公報(A)_AMPK活性化剤
国立研究開発法人科学技術振興機構

上記の公開特許公報(A)ではフラボン及びフラバノンにAMPK活性化作用があるとしています。
であるならば、多くの栄養成分が該当することになります。

個人的な意見として、ヘスペリジン一本に絞っていいと思います。
というのも、ライフエクステンションが取り扱っているAMPK代謝活性サプリの主成分がヘスペリジンだからです。


この商品はヘスペリジンとアマチャヅルの組み合わせによりAMPKを活性化させるとのことです。

前に、海外のヘスペリジンが含まれている複合サプリとして、
フラボノイド複合サプリビタミンC吸収促進サプリ健康サポート(主に静脈【Vein】系)サプリを紹介しました。
ここで、AMPKメタボリックアクティベーターも追加します。

このサプリには 

1回分(1粒)で以下の成分が配合されています。

  • カルシウム(炭酸Ca) 130mg 
  • ヘスペリジン[オレンジエキス(果実)由来] 500mg
  • Actiponin®(アクティポニン)アマチャヅルエキス(葉) 450mg

ヘスペリジンが500mg入っている点とアマチャヅルとセットになっていることから、けっこう気にいっています。

 

 

ヘスペリジンの働き分析【見た目編】

合計 49.5/60点

カテゴリー別 点数

薄毛 8.5点

白髪 7.5点

美肌 8.5点

美白 8点

筋肉 7点

脂肪 10点

 

薄毛

8.5点

「薄毛」改善 に関するヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. 血流改善
    髪に必要な栄養素および酸素は、毛細血管を通じて毛乳頭に運ばれます。


    毛乳頭は、その栄養素を毛母細胞に受け渡します。それにより毛母細胞が分裂し、そこから生じた細胞が毛髪を形成します。
    ヘスペリジンは毛細血管を拡張し、血流を良くします
    髪に必要な栄養素および酸素の運搬に大きく貢献する成分です。

  2. 温活
    血液には、全身の細胞に栄養や酸素を届ける&老廃物を運び出すといった「運搬」の役割があります。
    血液には それ以外に熱を運ぶ役割があります。
    なので、低体温だと血行不良ということになります。

    ということで、低体温だと薄毛になりやくなります。
    血管のさまざま機能障害を改善・予防するヘスペリジンは温活成分として知られています。

    参照
    低体温を改善して女性の薄毛・抜け毛を予防!
    All About Beauty

  3. 毛包細胞の増殖を促進
    研究により、「ミカンの抽出物に毛包細胞増殖因子が含まれており、それが受容体を刺激することで毛包細胞の増殖を促進させる」ことが判明しています。


    ミカンの抽出物に含まれる毛包細胞増殖因子、それがヘスペリチンおよびその配糖体ヘスペリジンとのことです。

    以上のことから、ミカンの抽出物に含まれる毛包細胞増殖因子は、ヘスペレチンとその配糖体であり、これらは複数の受容体を刺激することにより、毛包細胞の増殖を促進することが観察された。

    温州みかんに含まれるヘスペリジンの毛包細胞増殖効果 
    独立行政法人国立高等専門学校機構 小山工業高等専門学校

 

白髪 

7.5点

「白髪」予防 に関するヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. 血流アップ&抗酸化
    こちらのサイト

    白髪を増やさない 血流アップ&抗酸化【日経ヘルス19年2月号】 黒髪を保つ3つのポイント
    日経doors 日経BP

    では、黒髪を保つポイントとして

    1. 黒髪のもとに栄養を届ける
    2. 黒髪のもとを守る
    3. 黒髪のもとを作りやすくする
    の3つを挙げています。
    この条件を満たす成分は血流改善効果や抗酸化作用を有するものとなります。ヘスペリジンはどちらにも該当します。

    こちらのサイト

    白髪予防におすすめな6つの成分と食材
    アンファー からだエイジング アンファー(株)

    では、白髪予防におすすめの成分の1つとして、ビタミンP(ルチン)をあげています。
    ヘスペリジンはビタミンPの1種です。

美肌

8.5

「美肌」作り に関するヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. 血管力
    血管力とは「血管がしなやかさを保ち、血管壁がなめらかで、血液をスムーズに流す力」「外部環境の変化に応じて血流を調節する力」などといった意味を表す言葉です。


    血管力は、病気に深く関連してきます。日本人の4人に1人は血管の老化が原因で亡くなっています。
    それだけでなく美容にも関わってきます。
    血管力が高ければ、肌の状態がよく、血管力が低ければ、肌荒れしやすくなっています。
    血管力をあげる栄養成分はいくつかあります。その代表ともいえるのがヘスペリジンです。

    内側から整える美容ケア「gg MEGURU〈ジージーメグル〉」

  2. ビタミンC
    ヘスペリジンには、ビタミンCと協調してビタミンCの効果を高める働きがあります。
    ビタミンCの美肌項目に関連するものはズバリ「コラーゲン」と「抗酸化」です。

    ◆ビタミンCとコラーゲン

    コラーゲンの構成成分にコラーゲン特有のアミノ酸ヒドロキプロリンヒドロキシリジンがあります。この2つのアミノ酸はコラーゲン繊維の構造を安定化させる・コラーゲン架橋を形成するために必須の成分です。

    コラーゲン分子は3本のα鎖が螺旋状に絡まった構造をしています。
    α鎖にプロリンとして組み込まれた後に、酵素プロリンヒドロキシラーゼにより水酸化されたのがヒドロキシプロリンです。
    α鎖にリジンとして組み込まれた後に、酵素リシルヒドロキシラーゼにより水酸化されたのがヒドロキシリジンです。
    コラーゲン合成において、ビタミンCはこれら水酸化酵素の補因子として働きます。
    ビタミンCが足りないとコラーゲンの生成が上手くいかないと考えてください。

    .

    ◆ビタミンCと抗酸化

    ビタミンCは水溶性の抗酸化物質で、細胞膜を隔てた内外で抗酸化作用を発揮します。
    ビタミンCは自らの電子を与えることで、活性酸素種(ROS)を消去します。

    ヘスペリジンのビタミンCの効果を高める働きは、以下です。

    ①ビタミンCの吸収を助ける
    吸収を助けることで、ビタミンCのコラーゲンの合成の働きを高めます。
    .
    ②ビタミンCの抗酸化力をリサイクル
    ヘスペリジンには酸化型ビタミンCを還元型ビタミンCに戻す作用があります=ヘスペリジンにはビタミンCの抗酸化力をリサイクルする働きがあります。

  3. 肌質改善
    ヘスペリジンの摂取は単独でも相乗でも肌質改善の効果が見込まれます。

    ◆単独効果①
    33名の健康女性を3つのグループを

    • 糖転移ヘスペリジン 1000 mg/日摂取群
    • 糖転移ヘスペリジン 500 mg/日摂取群
    • プラセボ摂取群 
    にわけて、肌状態を調べる試験結果をしたところ
    摂取群は
    • 目の下の血流増加(くま改善)は増加
    • メラニンの量は減少
    • 彩度は維持
    といった結果がでています。
    1000mgに関しては「有意な」という言葉が付け足されます。
    ※彩度の場合は有意に高値

    肌のハリや柔らかさについての自覚症状調査でも、摂取量に応じて改善する傾向がみられたと事です。

    参照
    糖転移ヘスペリジンの血流改善作用 
    PDFページ 3/8
    J-STAGE

    ◆単独効果②
    健康な女性を対象に糖転移ヘスペリジン500㎎/日摂取群とプラセボ摂取群に分け、12週間摂取してもらい、皮膚色および肌状態を摂取前・6週間後・12週間後で評価しました。

    6週間後・12週間後では頬の血流量が増加とそれに伴う赤みの増加、黄みの低下が認められました。
    また専門医のスコア評価では、紅斑、刺激感、掻痒感の低減が認められました。
    12週間後ではより低下・低減が認められています。

    参照
    糖転移ヘスペリジンの研究
    (株)林原

    .
    ◆相乗効果

    コラーゲンと一緒にヘスペリジンを取るとと水分蒸散量が低下し、保湿性が高まるとのことです。

    参照
    肌質改善
    めぐりラボ 江崎グリコ(株)

  4. ヒアルロン酸
    こちらは真皮層のイラストです。

    ひし形内のが繊維芽細胞(すべてのひし形内にあります)、ひし形の線部分がコラーゲン、線部分のつなぎめがエラスチン、ひし形内にあるのがヒアルロン酸などの基質です。

    このように、真皮は「コラーゲン」「エラスチン」といった線維状のたんぱく質と「ヒアルロン酸」などのゼリー状の基質でできています。 コラーゲン・エラスチンが皮膚を支え、ヒアルロン酸などの基質が真皮の水分量を一定に保つ働きをしています。
    なお、これら線維や基質を生み出しているのは繊維芽細胞です。

    3つの成分のうち、肌の保湿やハリに特に関与しているのがヒアルロン酸です。
    下記を参照すると、ヘスペリジンにヒアルロン酸産生効果が期待できそうです。

    参照
    健康茶に含まれるヒアルロン酸促進成分に関する研究
    財団法人アサヒビール学術振興財団

    四万十ぶしゅかんヘスペリジン
    (株)サティス製薬

 

美白

8点

「美白」ケア に関するヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. 血管力
    美肌項目にて血管力は美容に関わってくると説明しました。美白項目でも次の視点で関与してきます。

    顔の皮膚は他の場所より薄いため皮膚を通して血管を流れる血液の色が反映されてしまいます。
    つまり「肌の血行がよいと、肌の色が健康的で明るい印象になる、肌の血行が悪いと、肌の色がにごったような印象になる」です。

    血管力を高めるヘスペリジンは肌の色を健康的で明るい印象にさせます。

  2. ビタミンCとの相乗効果
    ヘスペリジンにはビタミンCの吸収を促進する働きがあります。
    そのため一緒にとることで、ビタミンCの美白効果をUPさせます

    ビタミンCには、シミをつくらせない効果とシミを薄くする効果のWの美白効果あります。

    シミを作らせない
    メラニンはチロシンとチロシナーゼ酵素が結合することで作られます。チロシナーゼが活性されるとシミのもととなるメラニンがたくさん作られてしまいます。
    なのでチロシナーゼの活性を阻害することがメラニンの大量生成を防ぐうえで重要となります。ビタミンCはチロシナーゼ活性阻害成分の1つです。
     
    シミを薄くする
    メラノサイトの中にあるチロシンがチロシナーゼにより酸化されることでメラニンは生成されます。
    チロシン→ドーパ→ドーパキノン→黒色メラニンという代謝過程を経て作られていきます。
    ビタミンCは中間代謝物であるドーパーキノンをドーパに還元する作用があります。
    またメラニンに直接働きかけ黒色メラニンを無色に還元する(淡色化)作用ももっています。
  3. 美白作用
    シミのもととなるメラニンはチロシン→ドーパ→ドーパキノン→メラニン【黒色 or 肌色】という代謝過程を経て作られていきます。

    チロシン→ドーパおよびドーバ→ドーパキノンの代謝に関わる酵素がチロシナーゼです。この酵素の活性を抑制することが美白にとって大切となります。

    ヘスペリジンにはチロシナーゼの活性を阻害する作用があります。

    ただし、ヘスペリジンの美白作用は、酵素・チロシナーゼを阻害し、ドーパからドーパキノンへの変換を阻害することに基づくものであり、

    引用元
    ネオヘスペリジンの抗酸化作用に基づく美白剤または色素沈着症改善剤
    JP2006273736A
    Google Patents

    参照
    公開特許公報(A)_美白剤または色素沈着症改善剤
    国立研究開発法人科学技術振興機構

  4. 紫外線
    皮膚の老化には自然老化と光老化の2つがあります。皮膚の老化の原因のおおよそ8割が光老化で、自然老化(加齢による老化)は2割と考えられています。

    光老化とは、太陽光線を浴び続けることにより、皮膚に現れるシミ、シワ、たるみなどの老化現象のことをいいます。
    これら老化現象は主に紫外線の影響で起こります。

    ヘスペリジンに皮膚の紫外線に対する抵抗力を高める働きが期待できます。

    すなわち、メチルヘスペリジンは、皮膚の紫外線に対する抵抗力を高める紫外線抵抗性向上剤として使用することができ、また、当該紫外線抵抗性向上剤を製造するために使用することができる。

    引用元
    経口紫外線抵抗性向上剤
    JP6069555B2
    Google Patents

筋肉

7点

「筋肉」増強 に関するヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. NO産生
    筋トレで負荷を与え続けることによって、血液中に乳酸などの代謝物質が溜まっていきます。乳酸などが溜まると水分を引きこんで筋肉が膨れ上がります。この状態をパンプアップといいます。

    筋肉が大きく膨らんでみえるのは一時的な現象ですが、パンプアップを起こすことで、間接的に筋肥大の効果があるといわれています。

    パンプアップの間接的な筋肥大効果

    パンプアップが間接的に筋肥大につながるとされているのは以下の流れでです。

    1. 負荷を与えた筋肉に乳酸が溜まる→
    2. 成長ホルモンが分泌される→
    3. IGF-1が分泌される→
    4. その筋肉に必要な特定のアミノ酸の輸送が促進される→

    筋肥大

    NO(一酸化窒素)の生成を促し血管が拡張されると、負荷を与えた筋肉への血流が増え、パンプアップ状態になりやすいといわれています。
    そのため、トレーニング前にNOブースターを摂取するとトレーニング時に強烈なパンプ感をもたらすといわれています。
    NOブースターやNO系と呼ばれる「NO産生サプリメント」がアスリートやボディービルダーに人気があり、トレーニング前によく飲まれています。


    NOは、血管内皮細胞のNOサイクルより産生されます。

    NOサイクル

    NOサイクルとは【→アルギニン→シトルリン→アルギノコハク酸→】の順に代謝されるサイクルです。

    出典元
    動脈硬化とアルギニン,シトルリン
    公益社団法人日本生化学会

    血管内皮細胞からNOが放出されると血管の中膜にある平滑筋に移動し、弛緩させ血管を広げる働きをします。

    ヘスペリジンには血管内皮細胞におけるNOの産生促進作用があります。

    本発明者らは、長期的に服用又は摂取することができる安全性の高い成分の中からNO作用の増強効果を有する成分を見出すべく種々検討した結果、糖化ヘスペリジン、ヘスペリジンおよびヘスペレチンが、優れた血管内皮由来NO作用増強効果および血管拡張増強作用を有し、血管内皮機能改善剤として有用であることを見出した。

    引用元
    血管内皮機能改善剤
    JP2008297279A
    Google Patents

 

脂肪

10点

「脂肪」減少 に関するヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. 中性脂肪低下作用
    体内で余剰となった糖や脂肪は、肝臓で脂肪酸に変わります。

    【中性脂肪を増やさない】&【中性脂肪を減らす】ためには
    【脂肪酸に合成させない(脂肪酸の合成抑制)】&【脂肪酸を分解させる(脂肪酸のβ酸化亢進)】ことが大切となります。

    ヘスペリジンは両方の働きをします。

    ①脂肪酸の合成抑制
    ヘスペリジンは脂肪酸合成酵素FASの発現を抑えます。

    ②脂肪酸のβ酸化亢進
    ヘスペリジンはβ酸化の律速酵素CPT-1の発現を増やします。

    この2つの働きをするヘスペリジンは中性脂肪を減らす成分として、とても有名です。
    【中性脂肪低下作用が認めれているため】ヘスペリジン(モノグルコシルヘスペリジン)は、特定保健用食品の関与成分となっています。

  2. AMPK活性化作用
    AMPキナーゼ(AMPK)は、細胞のエネルギーセンサーのような役割を果たしている酵素です。運動などをしエネルギーが不足すると、この酵素が活性され、【糖の筋肉細胞へ取り込み・脂肪酸のβ酸化・糖新生の抑制】が促進されます。糖に関してはインスリンを要せずにです。

    簡単にいうとAMPキナーゼが活性化されると脂肪の蓄積をやめ脂肪の燃焼を促進する【=痩せる】です。

    AMPKは基本 運動などをし栄養飢餓状態にもっていくことで活性化されるものです。
    ヘスペリジンには【飢餓状態にもっていかなくとも】AMPKを活性化させる作用があります。

  3. GLP-1分泌促進作用
    GLP-1は代表的なインクレチン(インスリンの分泌を促す働きをもつ消化官ホルモンの総称)です。GLP-1は消化官内に栄養素が流入すると消化官粘膜上皮から分泌されます。

    GLP-1を分泌させることは肥満予防につながります。
    GLP-1には次の3つの働きがあるからです。

    • 血糖値の上昇を抑える
    • 胃からの排出物を遅くする
    • 食欲を抑える
    このような働きをするGLP-1はメディアでは「やせるホルモン」と呼ばれています。

     

    よくサバ缶を食べると痩せるといわれていますが、その理由は、サバ缶にGLP-1の分泌を増やす成分EPAが多く含まれているからです。

    ラット実験にて、ヘスペリジンにGLP-1分泌促進作用があることが確認されています。

    参照
    GLP-1分泌刺激やオートファジー促進、むくみ軽減など、糖転移ヘスペリジンの新機能が第4回研究発表会で相次ぐ
    日経バイオテック法人版
    日経BP

 

ヘスペリジンの働き分析【中身編】

合計 49/60点

カテゴリー別 点数

身体 6.5点

エネ 9点

病気 9点

体質 10点

精力 7.5点

健脳 7点

 

身体

6.5点

「身体」の構成材料 に関わるヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. コラーゲン
    人間の体を構成しているたんぱく質のうち30%はコラーゲンでできています。体内にあるコラーゲンのうち、約40%が皮膚に、骨・軟骨に約10~20%、血管に約7~8%が存在しています。

    コラーゲンの体内構成比率
    コラーゲンの体内構成比

    ※%はおおよそです。
    ビタミンCはコラーゲンの合成を促す働きをします。ビタミンCの働きを高めるのがヘスペリジンです。
    ビタミンCと協調することで、コラーゲンの合成に間接的に関わってきます。


  2. コレストロールは糖質・脂質の代謝過程で作られるアセチルCoAを材料に、主に肝臓で合成されます。

    出典元
    コレステロールは体内でつくられる?
    公益財団法人 日本食肉消費総合センター

    ヘスペリジンには、HMG-CoA還元酵素(上記出典元の中央 コレステロール合成の律速酵素となっています)を阻害する作用があるとされます。
    この作用を介して肝臓のコレステロールの合成を調節します。

    HMG-CoA還元酵素(コレステロール合成の律速酵素)を阻害する作用をもつ医薬品に、「スタンチン系薬剤」があります。スタンチン系薬剤はコレストロール低下作用のみならず、骨形成タンパク質(BMP)の産生を介して骨形成を促進する作用もあることが報告されています。
    なのでヘスペリジンにも同様の作用があると考えられます。

    実際、実験【閉経後の骨粗鬆症モデルマウスにヘスペリジンを投与する】により、骨量減少が抑制されていることが確認されています。

    参照
    柑橘系フラボノイドであるヘスペリジンによる骨代謝調節機構の解明
    KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)

    シトラスフラボノイドに着目した骨粗鬆症予防機序の解析
    KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)

 

エネルギー

9

「エネルギー」生成 に関わるヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. AMPK
    AMPKはAMP活性化プロテインキナーゼ(AMP-activated protein kinase)の略で、エネルギー源となる糖や脂肪の代謝を調節している酵素のことを言います。そのため、AMPKはよく「細胞中のエネルギーセンサー」などと呼ばれています。

    体内でエネルギーが枯渇している時AMPKが活性化されて異化の亢進と同化の抑制がもたらされます。

    エネルギーが枯渇している時とはハードな運動 or 栄養飢餓 or 低酸素 の状態です。
    いずれかの状態にもっていくことでAMPKが活性されることになります。

    ヘスペリジンにはこの状態にもっていかなくともAMPKを活性させる作用をもちます。
    海外で販売されているAMPK代謝活性化剤【AMPKメタボリックアクティベーター】は、ヘスペリジンとActivAMPR(アマチャヅル)のコンビネーションサプリで、AMPK活性レベルの回復を目的としています。

  2. β酸化促進
    脂質(脂肪酸)は3大栄養素の中で一番のエネルギー源となります。1gあたり9kcalのエネルギーを産生します。糖質、たんぱく質は1gあたり4kcalです。

    脂肪酸が、エネルギー媒介物質ATPに変換される過程は

    脂肪酸→β酸化→TCA回路→電子伝達系

    .
    です。

    脂肪酸が→β酸化に進むにはミトコンドリアのマトリックスに運ばれる必要があります。

    ミトコンドリア


    ミトコンドリアは外膜と内膜の二重の生体膜で構成されています。外膜はおおもとを囲っている線、内膜はくねくねした部分の線です。内膜に囲まれた内側をマトリックスといいます。

    ただ、脂肪酸がミトコンドリアの内膜を通過するには、
    一時的にカルニチンと結合し脂肪酸アシルカルニチンになる必要があります。
    ここで脂肪酸アシルカルニチンになれなければ、脂肪に逆戻りすることになります。

    脂肪酸アシルCoAから脂肪酸アシルカルニチンへ変換する反応を触媒する酵素はCPT-1です。この酵素はミトコンドリア外膜にあります。
    この酵素の活性が高まると脂肪酸のミトコンドリアへの輸送が促進されます。

    ミトコンドリアに内部に移動した脂肪酸アシルカルニチンは、ミトコンドリア内膜の内側に存在する酵素CPT-2の働きにより、カルニチンと脂肪酸アシルCoAに分かれます。
    その後、脂肪酸アシルCoAは、ミトコンドリアのマトリックスにてβ酸化を受けアセチルCoAになります。そして→TCA回路→電子伝達系と代謝され、ATPへと変換されます。

    ラット実験にて、ヘスペリジンは脂肪酸の燃焼にかかわる酵素CPT-1、CPT-2の発現を有意に促進させることが確認できています。


    出典元
    中性脂肪低下のメカニズム
    ヘスペリジン研究会

    ヘスペリジンは脂肪燃焼を促進=脂質のエネルギー代謝を促進させる成分といえます。

病気

9点

「病気」予防 に関わるヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. 血管疾患
    日本人の4人に1人が血管の老化が原因で起こる病気(脳出血や心筋梗塞など)で亡くなっています。
    毛細血管を強化する、血流循環を改善するなど血管および血液に対してさまざまな機能を発揮するヘスペリジンの摂取は血管疾患の予防・改善につながります。
  2. 脂質異常症
    血液中に含まれる脂質を血清脂質と言います。血清脂質は中性脂肪・コレストロール・リン脂質・遊離脂肪酸に分けられます。

    コレストロールには、コレステロールを全身の組織に運ぶLDLコレステロールと、全身の組織で余ったコレステロールを回収するHDLコレステロールといった2種類のコレストロールがあります。
    血清脂質のトラブルは、血液中の2つのコレステロールのバランスが崩れることや中性脂肪の増加で生じます。

    LDLの増加
    LDLが過剰になるとコレストロールが血管壁にたまり、アテローム硬化というタイプの動脈硬化を進行させます。

    ◆HDLの減少
    HDLは血管壁にコレストロールを回収する働きをし、動脈硬化を抑制します。
    HDLが減少することは動脈硬化を進行させます。


    ◆中性脂肪の増加

    中性脂肪は、エネルギー源です。
    ただし、余ったものは皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されます。
    内臓脂肪が増えすぎると、血液中の中性脂肪の増加やLDLコレステロールの増加、HDLコレステロールの減少を引き起こし、動脈硬化を進めます。

    ヘスペリジンには血清脂質改善作用があります。
    ヘスペリジンは血中の中性脂肪を低減させる働き、それにともないsd-LDLコレストロールの生成を抑制する働きをします。動脈硬化の予防効果が期待できます。

    sd-LD

    sd-LDLは「超悪玉コレステロール」のことで、 英語でsmall dense LDLと表記されます。
    中性脂肪が要因で増える粒子がより小さい小型のLDLを指します。
    血管壁により多く入り酸化されるので、大型と比べると動脈硬化を引き起こす力が強くなっています。

  3. 高血圧
    血圧は動脈の内側にかかわる圧力のことです。
    血圧が高くなると動脈は強い圧力にさらされ、血管の弾力は失われていきます。その状態(高血圧状態)が続くとさらに硬くなります。そうなると動脈硬化が進行します。
    ヘスペリジン、血圧上昇を抑制する働きをします。

  4. 心疾患
    ヘスペリジンには血圧降下作用があります。
    ヘスぺリジンの摂取は、心疾患の予防になります。
  5. 糖尿病
    糖尿病とは細胞に糖を取り込む働きをするインスリンが、肥満や運動不足などが原因で十分に働かなくなり、血液中の糖が増えてしまう病気です。
    糖が細胞に十分に取り込まれなくなると、血液中の糖が増え過ぎてしまい、糖尿病になります。

    ヘスペリジンには抗肥満・抗糖尿病作用があります。

    その作用メカニズムに、アディポネクチンの関与が考えられます。
    研究により、ヘスペリジンが肝臓におけるアディポネクチン/AdipoR1シグナルを介して、【耐糖能障害、インスリン抵抗性改善作用】=抗糖尿病作用を発揮すると考えられています。

    参照
    糖転移ヘスペリジンの抗肥満・抗糖尿病作用のメカニズムの検討 
    東京大学学位論文データベース

  6. 骨粗鬆症
    ヘスペリジンには骨形成を促進する作用があります。※身体項目にて説明済み
    ヘスペリジンの摂取は骨粗鬆症予防になります。

 

体質

10点

「体質」改善 に関わるヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. 冷え性
    血液は、体内でつくられた熱を伝える役割も果たしています。

    暑い時は、体の皮膚に近い部分の毛細血管を拡張することで、血流を増やします。血流を増加させることで体の熱を周囲に放散させます。

    寒い時は、体の皮膚に近い部分の毛細血管をしめることで、血流を抑えます。血流を抑えることで体の熱が逃げないようにします。

    ヘスペリジンには冷え性を改善する働きがあります。

    これは実証試験で確認されています。
    冷え性と判断された20~30 代の女性を対象に、糖転移ヘスペリジン(250mg)とプラセボ(250mg)を7日間連続して摂取してもらい、「手を冷却した後の皮膚表面温度の回復を調べる」冷却負荷試験を実施しました。
    1日目の摂取直後を調べたところ冷却負荷後の末梢部の皮膚表面温度および血流量の回復を改善する効果が確認されています。
    この効果は7日間連続摂取した後 24時間経過後でも確認することができました。

    ヘスペリジンの有する毛細血管強化作用や血液循環改善作用が、末梢の血流が増加させ皮膚表面温度を回復させていると考えられます。

    参照
    糖転移ヘスペリジンの血流改善作用 
    J-STAGE

    冷えを訴える女性に及ぼす酵素処理ヘスペリジンの効果 
    J-STAGE

  2. 不定愁訴
    不定愁訴は、明らかな身体的原因が認められないにも関わらず「頭が重い」「イラつく」「眠れない」「疲労を感じる」など多彩な症状を訴え続ける状態のことをいいます。
    血流を改善させるヘスペリジンの摂取は、末梢の血流低下に伴い生じる不定愁訴≒冷えからくる不定愁訴の改善につながります。

  3. 自律神経
    自律神経とは自分の意志とは関係なく動く神経をいいます。自律神経は交感神経と副交感神経に分けられます。

    交感神経 

    日中、活動している時に働く。 
    交感神経が優位な場合は血管が収縮して血圧が上昇し、心身が活動的な状態になる。

    副交感神経 

    夜、リラックスしている時に働く。 
    副交感神経が優位な場合は血管が緩んで血圧が低下し、心身が穏やかな状態になる。

    ヒトおよびラット実験にて、ヘスペリジンを摂取することで、交感神経活動を抑え、副交感神経活動を亢進することが確認されています。
    それにより自律神経のバランスが整えられます。リラックス効果不眠症の改善効果などが期待できます。

  4. アレルギー
    マスト細胞(肥満細胞)は、脱顆粒反応によりヒスタミンなどを放出することで、【花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、気管支喘息など】Ⅰ型アレルギー反応を引き起こします。

    脱顆粒反応

    マスト細胞は、その細胞表面上に高親和性IgE受容体(FcεRI)を発現しています。
    アレルゲンを認識するIgEがFcεRIと結合した後、再び同じアレルゲンに暴露されると、マスト細胞が活性化して、ヒスタミンなどの化学伝達物質を含んだ顆粒を細胞外に放出させます。

    マスト細胞内に蓄えられていた顆粒が細胞外に放出される反応をいいます。

    ヘスペリジンにはマスト細胞の膜を安定化させ、ヒスタミンの遊離を抑制する抗アレルギー作用があります。花粉症に効く成分です。

  5. 下肢静脈瘤
    心臓を拠点に、新しい血液とともに酸素や栄養素を体の隅々に運ぶ血管は動脈です、古い血液とともに細胞からでた老廃物や二酸化炭素を心臓に回収するための血管は静脈です。その血液の通路となっているのが毛細血管です。

    下肢静脈瘤とは足の静脈が太くなって、こぶ状に膨らんだ状態のことを言います。

    足の血液が心臓に戻るときには、重力に逆らう形で下から上へ押し上げられます。

    歩くことでふくらはぎの筋肉が収縮して、静脈の血液を押し上げます。さらに血液が重力で逆流しないように、静脈の中にある「静脈弁」が機能しています。イラスト左
    その結果、心臓に向かってのみ血液が流れるようになっています。

    加齢、肥満、生活環境(立ち仕事)などの原因で「静脈弁」が正常に機能しなくなると、血液が心臓に戻れず、足の静脈にどんどんたまって膨らんでしまいます。イラスト右
    その結果、下肢静脈瘤が発生します。

    静脈瘤が下肢に起こりやすい理由は、「心臓から遠い位置にある」と「基本 立って生活している」の2点が挙げられます。

    下肢静脈瘤は足の血管の病気ですが、放置しても命にかかわることはまずありません。

    治療する目的は、かゆみや痛みやだるさといった症状の改善以外にも、美容面(外見)があります。

    血管を強化して、血管の柔軟性を保つ作用を有するビタミンPは静脈瘤の予防・改善に効きます。
    ヘスペリジンはビタミンPの1種です。

  6. むくみ
    むくみは血液やリンパの流れが悪くなり、細胞間に水分や老廃物が滞ることで生じます。


    ヘスペリジンには血液循環改善作用があります。むくみの予防・改善になります。


  7. 痔は大きく【いぼ痔(痔核)、きれ痔(裂肛) 、痔瘻】の3種類に分けることができます。いぼ痔(痔核)は、「内痔核」(肛門の内側のいぼ痔)と「外痔核」(肛門の外側のいぼ痔)に分けられます。
    肛門のまわりは、細い静脈がモツレた毛糸のように入り組んでいます。

    このことを静脈叢といいます。
    いぼ痔(内痔核)の原因はうっ血です。いぼ痔(内痔核)は静脈叢がうっ血して瘤=静脈瘤になったものをいいます。

    ヘスペリジンは毛細血管を強化して、うっ血を防ぎます
    。痔の予防効果が期待できます。

    参照
    痔って一体どんなもの!?
    ボラギノール 天藤製薬(株)

  8. 視力
    緑内障は何らかの原因で視神経が障害を受け、視野が狭くなる病気です。自覚症状がないまま進行していきます。
    東北大学の研究により、「ヘスペリジンには網膜神経節細胞への神経保護作用があり、摂取することで緑内障性の網膜神経節細胞障害を軽減させる可能性がある」ことが示されています。

    参照
    ミカンのポリフェノールによる緑内障治療の可能性を示唆 ‐ヘスペリジンは網膜細胞障害において神経保護作用を持つことを発見‐
    プレスリリース
    東北大学

  9. オートファジー
    オートファジーとは簡単にいうと細胞の中の古くなったゴミを新しい資源にリサイクルするシステムのことです。
    残念ながらこの機能は加齢とともに衰えていきます。それにより老化現象が引き起こされます。
    逆を言えば、オートファージ機能を活性させると老化現象の改善と寿命の延伸が期待できます。

    こちらのサイトによると

    GLP-1分泌刺激やオートファジー促進、むくみ軽減など、糖転移ヘスペリジンの新機能が第4回研究発表会で相次ぐ
    日経バイオテック法人版
    日経BP

    ヘスぺリジンにPPARγアゴニスト作用を介したオートファジー促進効果があるようです。

精力

7.5点

「精力」増進&「性機能」向上 に関わるヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. ED予防
    陰茎の「勃起」についての話をします。

    陰茎は主にスポンジ状の組織の海綿体できています。
    陰茎海綿体に血液が充満し、誇張し、大きく硬くなった状態が勃起です。
    通常時は陰茎の動脈が収縮しているため陰茎海綿体には血液が充満していません。

    陰茎海綿体に血液が充満し勃起が起こるメカニズムを簡単に説明します。

    勃起が起こるメカニズム

    性的な刺激により脳が興奮するとその信号(興奮)が脊髄を伝わり勃起神経に到達します。すると陰茎の動脈は拡張し陰茎海綿体へ流入する血液が増えます。と同時に陰茎海綿体の平滑筋が弛緩され、海綿体は流れ込んだ血液を吸収し大きく膨らみます。イコール勃起です。

    このメカニズムにおいて、陰茎海綿体の平滑筋を弛緩させる働きをするのはcGMPです。
    cGMPを生成するのがNO(一酸化窒素)です。
    性的な刺激により信号(興奮)が勃起神経に伝わると、神経終末と血管内皮細胞からNOが放出されてcGMPが生成される流れとなっています。

    ついでに勃起が治まるメカニズムについても触れておきます。

    勃起が治まるメカニズム

    勃起が治まるメカニズムにはPDE5(5型ホスホジエスタラーゼ)と呼ばれる酵素が関係してきます。
    陰茎海綿体にはPDE5も豊富に存在していて、このPDE5がcGMPを分解する働きをします。

    PDE5がcGMPを分解することで血管が収縮され、陰茎海綿体の平滑筋が閉じていき、海綿体への血液の流れが少なくなります。
    陰茎海綿体に血液が充満されなくなり通常時に戻ることになります。

    ED(勃起不全)cGMPの分泌が少なくなることやPDE5が多く分泌されることで、陰茎海綿体に流れこむ血流が少なくなることにより起こります
    ちなみに、ED治療薬として有名なバイアグラはPDE5の働きを抑制することで、陰茎海綿体へ流れこむ血流を増やし勃起を促す薬です。

    本題に入ります。
    ヘスペリジンはED予防に効く成分かもしれません。
    理由は次です。

    • ヘスペリジンはNOの産生を増やします→cGMPの分泌が増えます。
    • ヘスペリジンにはPDE5阻害剤の作用を増強させる働きがあるとされます。

    その結果、PDE5阻害剤に、ビタミンE、ビタミンP、それらの誘導体又はそれらの塩から選ばれる1種以上を併用すると、それぞれ単剤からでは予測しえないPDE5阻害剤の勃起作用が著しく増強されることを見出し、本発明を完成するに至った。

    引用元
    Pde5阻害剤含有医薬組成物
    JP5924881B2
    Google Patents

  2. 血液の巡り
    産める体の条件は、卵巣、子宮、母体が健康であることとのです。
    特に卵巣の健康維持が重要で、卵巣の健康維持には、血液を巡らせることが大事になるとのことです。

    栄養素や酸素をからだの末端まで行き渡らせるために全身に張り巡らされているのが毛細血管です。全身の「血液の巡り」がスムーズにさせるには毛細血管が丈夫でしなやかである必要があります。
    ヘスペリジンは毛細血管をしなやかで丈夫にさせる働きをします。

    参照
    8時間睡眠、運動…産むカラダ整える5つの習慣
    日経WOMAN

 

健脳

7点

「脳」の健康 に関わるヘスペリジンの働きは主に次です。

  1. 脳卒中
    脳卒中とは、脳内にある血管が詰まる、破れるなど脳内血管の障害により起こる病気の総称のことです。予防するためには、血流を改善する・血管を丈夫することが大事となります。
    ヘスペリジンは血流を改善する・血管を丈夫する成分です。
    ヘスペリジンは脳卒中の予防に効果があります。

  2. ミエリン
    ヒトの脳は1000億個以上の神経細胞と、その10倍以上もの数のグリア細胞から構成されています。

    .
    神経細胞について

    神経細胞は細胞核をもつ細胞体とそこから複数出ている樹状突起と細胞体からの伸びている一本の長い軸索で構成されています。


    神経細胞の軸索の末端と、次の神経細胞の樹状突起の隙間をシナプス間隙といい、この構造(接続している部分)をシナプスといいます。

    神経の信号である活動電位は軸索の末端まで伝わると、軸索の末端にあるシナプスを通じて次の神経細胞に伝えます。
    シナプス前膜(軸索側)から神経伝達物質が放出され、シナプス後膜(樹状突起側)にある神経伝達物質受容体に結合すると活動電位は伝わります。

    このように神経細胞は相互に連結し複雑な情報処理ネットワークを作り上げています。
    一方で、グリア細胞は神経細胞の生存や発達機能発現のためのサポートをする役割を担っています。

    .
    ミエリンについて

    軸索の周りを覆っているカバーのようなものがミエリン(髄鞘)です。


    ※軸索に巻き付いている水色がミエリン

    ミエリンがあることで、神経の電気信号がスムーズになります。
    ミエリンがはがれ落ちると(このことを脱髄といいます)、電気信号の伝わり方が遅くなったり、異常な信号が伝わったり、あるいは信号そのものが途絶えてしまいます。

    ということで、ミエリンは高速かつ正確な情報処理を行ううえで必須の存在です。

    通常、脱髄を起こしても、ミエリン再生(再ミエリン化)が行われます。

    多発性硬化症などの脱髄疾患では、ミエリンがひどく損傷した状態になっており、再ミエリン化が阻害されています。最近では、アルツハイマー病もミエリンの障害(脱髄など)が関与しているという説があります。

    さて、ミエリンはオリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)と呼ばれるグリア細胞により形成されています。
    1つのオリゴデンドロサイトに、少ない場合に1~2本、多い場合に20本以上もの突起があります。
    その突起が神経軸索に巻き付いてミエリンを形成しています。


    出典元
    サイトヘジンによる髄鞘(ミエリン)発生制御機構
    公益社団法人日本生化学会

    オリゴデンドロサイトが再ミエリン化を行うには、オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を活性化し、その増殖、分化、成熟を促進することが重要です。

    ヘスペリジンにはOPCを増やす働き=ミエリン再形成促進作用が期待できます。

    その結果、Hesの投与で髄鞘形成に必須であるRNAヘリカーゼDdx54分子を発現するOPCが増加することが明らかになった。再髄鞘化に関与するOPCは老化に伴って減少するがHesによってOPCを増やすことができることから、脱髄が関与する難治性脳疾患が陳皮によって改善される可能性が期待された。

    引用元
    フラボノイド配糖体による脱髄回復効果の分子メカニズムの解明 研究課題
    KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)

    ※Hes=ヘスペリジン

    【0061】
    以上の結果より、本発明のα−GPCとヘスペリジン及びナリルチンとを含む組成物によると、これらの有効成分が相乗的に作用して、再ミエリン化が顕著に亢進されて、脱髄の回復が認められることがわかった。したがって、本発明の組成物はアルツハイマー病の治療及び/又は予防のために極めて有効である。

    引用元
    アルツハイマー病の治療及び/又は予防のための組成物
    IP Force
    (株)サイエンスインパクト

 

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ヘスペリジンのサプリメント紹介

 
ヘスペリジンのサプリメントを紹介します。

 

Glico

 

『 α G ( アルファジー ) ヘスペリジン + ナノヘスペレチン 』 は 「 ナノヘスペレチン 」 と 「 糖転移ヘスペリジン 」 の 2つのめぐり成分を配合しています。「 ナノヘスペレチン 」 はグリコ独自の技術によって開発された新素材で、体に素早く多く吸収されます。一方 「 糖転移ヘスペリジン 」 は長くじんわり吸収されます。これら 2つの成分を絶妙なバランスで配合することで、素早くかつ高い吸収性、長いめぐりを実現しました。1粒でみかん 30個分のヘスペリジンに相当するパワーが期待できます。

引用元
商品の説明
Amazon

 

Doctor’s Best

 

Doctor’s Best, ベスト ヘスペリジン, メチルカルコン, 500 mg, 60 ベジタブルカプセル
iHerb.com

 

ヘスペリジンが含まれているサプリメントを紹介します。

 
Solaray

 

Solaray, スーパーバイオビタミンC、持続放出、植物性カプセル250粒
iHerb.com

 

Nature’s Plus

 

Nature’s Plus, スーパー Cコンプレックス、 ビタミンC 1000 mgとバイオフラボノイド500 mg、 180錠
iHerb.com

 

iHerb.comでも購入可能です。その際 iHerb紹介コード=ALH5806 ご利用いただけたら幸いです。 リンクから飛んでいただくと、自動的にコード適応になります。

 

 

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ヘスペリジンのまとめ

分析【見た目編】49.5

分析【中身編】49

 

 

ヘスペリジン 血流改善作用 参照一覧

5.成果 第1章 機能性成分等新たな健康の維持増進に関わる成分の分析に対するニーズ調査 文部科学省

特定保健用食品評価書 トリグリティー ミドルケア粉末スティック 食品安全委員会新開発食品専門調査会

糖転移ヘスペリジンの研究 (株)林原

ヘスペリジン研究会 ヘスペリジン研究会ウェブサイト

めぐりラボ 江崎グリコ(株)

四万十ぶしゅかんヘスペリジン(株)サティス製薬

柑橘ポリフェノール「糖転移ヘスペリジン」の機能性食品分野における可能性 J-STAGE

糖転移ヘスペリジンの血流改善作用 J-STAGE

冷えを訴える女性に及ぼす酵素処理ヘスペリジンの効果 J-STAGE

糖転移ビタミンPの抗酸化作用と高脂血症マウスにおける酸化ストレス抑制効果 J-STAGE

ミカン未熟果と緑茶三番茶葉を混合して製造した可溶性ヘスぺリジン含有発酵茶の開発 J-STAGE

酵素反応により機能を付与された天然添加物 J-STAGE

果物で骨粗鬆症を予防できるか? J-STAGE

日本における機能性表示食品の現状分析と課題 J-STAGE

真核細胞のエネルギー・センサー「AMPキナーゼ」 J-STAGE

温州みかんに含まれるヘスペリジンの毛包細胞増殖効果 独立行政法人国立高等専門学校機構 小山工業高等専門学校

糖転移ヘスペリジンの抗肥満・抗糖尿病作用のメカニズムの検討 東京大学学位論文データベース

肌悩み・冷えに!噂の成分「ヘスペリジン」の効果を検証! からこと (株)からだにいいこと

健康の豆知識 科研製薬(株)

脳脊髄の髄鞘再生をMRIで可視化することに成功―多発性硬化症や神経再生医療に新たな「眼」―
国立研究開発法人日本医療研究開発機構

脱髄(だつずい)を進行させる糖鎖を発見 -多発性硬化症をはじめとする脱髄疾患の新規ターゲットとして期待-
理化学研究所

 

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