ルチン
ポリフェノールの1種
フラボノイドの1種
ルチンとは
フラボノイドの1種
ファイトケミカルは大別すると5種類にわけられます。
ポリフェノール・カロテノイド・含硫化合物・テルペン類・その他(サポニン)の5つです。
ポリフェノールは8000種類以上存在するとされ、
その構造の違いにより、フラボノイドとそれ以外(ノンフラボノイド)に大別されます。
フラボノイドはジフェニルプロパン構造(C6–C3–C6)を特徴とする化合物群の総称です。
出典元
フラボノイド
ウィキペディア
フラボノイドは7000種類以上存在しているとされ、
その構造の違いにより、フラボノール類、フラバノン類、イソフラボン類などに細分類されています。
出典元
ポリフェノールパラドックス
PDFページ 2/6
J-STAGE
ルチンはポリフェノールのフラボノイドに、
フラボノイドのフラボノール類に分類されます。
ビタミンPの1種
ビタミンPとはヘスペリジン・ルチン・ケルセチンなどの総称をいいます。
ビタミンPはビタミン様物質の1つです。
ビタミン様物質とはビタミンと似た生理作用をもっている有機化合物のことをいいます。ビタミン同様に代謝において重要な役割を果たしますが、ビタミンの定義から外れているためこのように呼ばれます。
ビタミンの定義は「必要量は微量であるが、体内で合成できない」「合成できたとしてもその量が十分でなく外から取り入れなければならない」です。
- 毛細血管を強化し、血管透過性を改善する
- ビタミンCと協調してビタミンCの効果を高める
- 抗酸化作用
.
特に①が有名で、ビタミンPの「P」の由来となっています。Pは透過性を意味する「Permeability」の頭文字から取っています。
ということで、ルチンの呼称は4つあります。
- ポリフェノールの1種
- フラボノイドの1種
- フラボノールの1種
- ビタミンPの1種
ルチンはケルセチンの配糖体
糖と糖以外の化合物が結合した物質を配糖体といいます。
フラボノイドの多くは、植物体内では水酸基に糖がグルコシド結合した配糖体として存在しています。
なお配糖体から糖が外れたものをアグリコンと呼びます。
例えば、ケルセチンでいうと
糖が外れた状態がケルセチン(ケルセチンアグリコン)です。
糖が結合している状態がケルセチン配糖体です。
配糖体は結合する糖の種類、結合する位置、数によって、それだけ種類が存在します。
ケルセチン配糖体も数種類存在します。
- ケルセチン3‐グルコシド
- ケルセチン-3,4-ジグルコシド
- ケルセチン3‐ラムノシド
- ケルセチン3‐ガラクトシド
- ケルセチン3‐ルチノシド
など
ケルセチンの配糖体のうち著名なものには慣用名が付けられています。
- ケルセチン3‐グルコシド
→イソケルシトリン - ケルセチン3‐ラムノシド
→ケルシトリン - ケルセチン3‐ルチノシド
→ルチン
例えば、フラボノールの代表格であるケルセチンの3‐ルチノシドはルチン、3‐グルコシドはイソケルシトリン、3‐ラムノシドはケルシトリン、3‐ガラクトシドはハイペリン4’‐グルコシドはスピラエオシドと呼ばれているが、慣用名を持つ化合物は全体のほんのわずかに過ぎない。
ということで、ルチンはケルセチンの配糖体です。
ケルセチンとルチノースからなる配糖体【ケルセチン-3-ルチノシド】がルチンです。
出典元
食と農の扉 第6号
PDFページ 9/11
農林水産技術会議
ケルセチンの吸収・代謝
ここでケルセチンの吸収・代謝について簡単に説明します。
食品より摂取するケルセチンは、主に配糖体の形です。
配糖体の種類は 含有食品によります。
ざっとまとめると以下です。
◆タマネギ
ケルセチン-3,4-ジグルコシド(Q3,4’G)
ケルセチン-4’-グルコシド(Q4’G)
◆ブロッコリー 果実
ケルセチン-3-グルコシド(Q3G・イソケルシトリン)
◆???
ケルセチン-3-ルチノシド(ルチン)
ルチンが多く含まれる食品は後ほど発表します。話の構成上 ここではSECRETとします。
あまりにも有名なので、ご存知の方が多いと思いますが・・
※含有されている主要なケルセチン配糖体です。
()は慣用名または略称です。
.
ケルセチン配糖体の小腸における吸収経路は2通り考えられます。
- 小腸上皮細胞に存在するナトリウム依存型グルコーストランスポーター(SGLT-1)を介して選択的に細胞内に取り込まれた後、細胞質に存在するβ-グルコシダーゼに加水分解される。
- 小腸粘膜に存在するラクターゼ・フロリジン加水分解酵素(LPH)により加水分解される。
こうして分解されて生じたアグリコンは細胞内に取り込まれていきます。
そこで腸内細菌の作用により分解され、アグリコンまたは代謝産物として大腸で吸収されます。
ケルセチン配糖体は加水分解を受けアグリコンとして
小腸あるいは大腸に吸収される時に、または肝臓において、
第二相解毒代謝反応を受け、水溶性の高いグルクロン酸抱合体あるいは硫酸抱合体へと変換されます。
一部はメチル化を受けイソラムネチンとなります。
血中に存在する大半はケルセチン抱合体またイソラムネチン抱合体として存在しています。血中にアグリコンとしては、ほとんど存在しません。
ケルセチンの吸収・代謝のまとめ
説明したことを簡単にまとめると下記となります。
- ケルセチンは配糖体として体内に取り入れられます。
- 加水分解されてケルセチンアグリコンとなり吸収されます。
- 吸収時あるいは肝臓にて、グルクロン酸抱合体あるいは硫酸抱合体へと変換されます。
- 血中では代謝物として見出されています。
.
ということで、
ケルセチン抱合体などのケルセチン代謝物が、ケルセチンの生理機能を発揮していると考えられます。
ただ、局所において脱抱合される【=アグリコンとして細胞内に取り込まれる】ケースがあるようです。
マクロファージなど特定の細胞=炎症反応時では、脱抱合反応によって生じたアグリコンがケルセチンの機能性を発揮しているものと思われます。
これらを付け加えて、再度まとめると以下となります。
- ケルセチンは配糖体として体内に取り入れられます。
- 加水分解されてケルセチンアグリコンとなり吸収されます。
- 吸収時あるいは肝臓にて、グルクロン酸抱合体あるいは硫酸抱合体へと変換されます。
- 血中では代謝物として見出されています。
- ケルセチン代謝物または脱抱合化されたケルセチンアグリコンが、ケルセチンの生理機能を発揮していると考えられています。
.
ルチン≒ケルセチン?
そうなると「ルチンの働きは結局のところケルセチンの働きなの?」といった疑問が生じます。
ケルセチン配糖体は例外なく、上でまとめた流れをたどるからです。
ケルセチン配糖体をルチンに限定して、まとめると次となります。
- 体内に取り入れられたケルセチン配糖体ルチンは、
- 加水分解されてケルセチンアグリコンとなり吸収されます。
- 吸収時あるいは肝臓にて、グルクロン酸抱合体あるいは硫酸抱合体へと変換されます。
- 血中では代謝物として見出されています。
- (元ルチンは)ケルセチン代謝物または脱抱合化されたケルセチンアグリコンとして、生理機能を発揮していると考えられています。
.
このまとめだけみると、ルチン≒ケルセチンになります。
ただ、ルチンには他のケルセチン配糖体との違いがあります。
ルチンはケルセチン以外の代謝物も生む
ケルセチンの配糖体は、種類により吸収性が異なります。
5つのケルセチン配糖体粉末【ケルセチンアグリコン、Q3G 、 Q3,4’G、ルチン、EMIQ(酵素処理したイソケルシトリン)】を絶食時に摂取させた時の血漿ケルセチン濃度を測定したヒト試験では、血漿代謝物濃度は EMIQ >Q3G ≧ Q3,4’G >アグリコン>>ルチンの順でした。
その結果,血漿代謝物濃度は EMIQ > Q3G ≧ Q3,4’G >アグリコン≫ルチンの順に高く,特にルチンは投与後6時間までの間には有意な濃度上昇を示さなかった
引用元
食事由来フラボノイドの吸収経路と代謝物分布
PDFページ 4/7
J-STAGE
今回の主役であるルチンは吸収速度が遅く、摂取後6時間までの間はほとんど吸収が見られなかったとのことです。
さて、先ほどケルセチンの吸収・代謝の段落で↓の文章を赤文にしました。
そこで腸内細菌の作用により分解され、アグリコンまたは代謝産物として大腸で吸収されます。
小腸で吸収されない配糖体とはルチンのことです。
ルチンは大腸にて吸収・代謝されます。
大腸では腸内細菌の作用により、DOPACなどのフェノール酸といった異化代謝物も産生されます。
または代謝産物とは、これら異化代謝物のことです。
異化代謝物もまた、ケルセチンアグリコンとともに吸収され、「機能性化合物」として体内で作用していると考えられています。
ルチンなどの小腸で吸収されない配糖体は,腸内細菌の作用によりアグリコンへと変換されるか,さらに異化されて DOPAC などのフェノール酸になる。
引用元
脂溶性食品成分の腸管吸収機構と生体利用性
PDFページ 5/7
J-STAGE
これらの異化代謝物もフラボノイドアグリコンと共に吸収され,機能性化合物として体内で作用していると考えられている.
食事由来フラボノイドの吸収経路と代謝物分布
PDFページ 5/7
J-STAGE
ということで、
ルチンを取ればケルセチンの働き【ケルセチンアグリコンとして】に加えて+アルファの働き【DOPACなどのフェノール酸として】を得れる可能性があります。
ケルセチンの配糖体のなかでも、ルチンが独立した成分のように取り扱われているのはこういった理由からだと思われます。
※下線部は個人感
ルチン>ケルセチン?
さて、そうなるとケルセチンの働きを得たいと考えた場合、「ケルセチンサプリよりもルチンサプリから取ったほうがいいのでは?+アルファ分お得ではないのか?」といった疑問が生じます。
※ここでのケルセチンサプリの原料は主にケルセチン二水和物とします。
答えはNOです。
ケルセチンの働きを得たいならば、当然ですが、「ケルセチン」です。
ルチンは腸内細菌の作用によりケルセチンアグリコンに、さらに異化されてDOPACなどのフェノール酸になります。ケルセチンアグリコンの絶対量はどうしても少なくなります。
迷うことなく「ケルセチン」を選択すべきです。
同じ作用を比較した場合は、ケルセチンに分がありますし、
ケルセチン配糖体であるルチンも血管に対して,濃度依存性の血管弛緩作用を示すが,我々の実験では同じ基本構造とするルチンとケルセチンを比較すると,ケルセチンのほうが,より強い血管弛緩作用を示した
引用元
漢方生薬含有機能性フラボノイド“ケルセチン”の血管薬理作用
PDFページ 1/4
J-STAGE
一部のルチンの効果に関しても、ルチンそれ自体より分解されて生じるケルセチンの働きのほうが重要であるとの見解もあります。
ダッタンソバは従来ルチンの保健効果が注目されてきたが、血糖値上昇抑制効果に関しては、ルチンよりむしろその加水分解産物のケルセチンが重要であることが示唆された。
引用元
6.ダッタンソバの保健効果についての研究
PDF 2/2
公益財団法人函館地域産業振興財団
ビタミンP作用をより求めるなら
個人的な意見として、ビタミンP作用に重きを置くならルチンです。
繰り返しになりますが、ビタミンPとはヘスペリジン・ルチン・ケルセチンなどの総称です。
ビタミンPの作用として次の3つがありますが、
- 毛細血管を強化し、血管透過性を改善する
- ビタミンCと協調してビタミンCの効果を高める
- 抗酸化作用
.
これら作用に関していうと、ヘスペリジンやルチンで言及されている多く、ケルセチンでは少なくなっています。
というか、ビタミンPとはヘスペリジンとルチンのこととしている文献もあります。
この場合のケルセチンはルチンの活性本体といった位置づけです。
その上で、ルチンはヘスペリジンよりビタミンP作用(抗酸化作用)が上との試験結果があります。
また,Gルチンは,Gヘスペリジンよりも作用が強く,種々の機能性植物エキスとほぼ同等の抗酸化作用を示した
引用元
糖転移ビタミンPの抗酸化作用と高脂血症マウスにおける酸化ストレス抑制効果
PDFページ 6/9
J-STAGE
Gルチン(グルコシルルチン) Gヘスペリジン(グルコシルヘスペリジン)はルチンおよびヘスペリジンにグルコースを1分子付加したものです。これらは糖転移ビタミンPと呼ばれます。通常のビタミンPと比べ水溶度が1万倍以上あがり吸収率が向上し、バイオアベイラビリティ(生体利用率)が高まります。
というわけで、ビタミンP作用を目的とするならば、ケルセチンよりルチンを選択するのが良いと思われます。
なお ルチンが抗酸化作用が上なのは、先に説明した+アルファ【DOPACなどのフェノール酸】部分のおかげかもしれません。というのもケルセチン代謝物の中で、DOPACが最も強力なラジカル捕捉活性を示すからです。
また、ケルセチン代謝物の中で、DOPACが最も強力なラジカル捕捉活性及び第2相薬物代謝酵素誘導活性を示すことを明らかにした。
引用元
フラボノイド代謝物DOPACをプローブとした生体分子修飾の解析
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
ビタミンCとの相性抜群
ビタミンPの作用の1つ「ビタミンCと協調してビタミンCの効果を高める」は、簡単に言うとビタミンCの吸収を助けることを言います。
この作用は、個人的にかなりポイントが高いです。
ビタミンCのサプリを購入する場合は、ビタミンPと一緒に配合されている商品をよく購入しています。
- スーパーバイオビタミンC
.
1回分(2カプセル)に
ルチン濃縮物 100㎎
ヘスペリジン濃縮物 100㎎
配合 - スーパーCコンプレックス
.
1回分(1錠)に
ルチン(エンジュ葉由来) 100㎎
ヘスペリジン複合体(レモン果皮由来) 100㎎
配合Nature’s Plus, スーパー Cコンプレックス、 ビタミンC 1000 mgとバイオフラボノイド500 mg、 180錠
- QBC Plex
.
1回分(1カプセル)に
ケルセチン二水和物 500 mg
配合
配合量はビタミンPのみの記載です。
iHerb.comで購入可能です。その際 iHerb紹介コード=ALH5806 ご利用いただけたら幸いです。 リンクから飛んでいただくと、自動的にコード適応になります。
.
ビタミンP(ヘスペリジン・ルチン)は単体サプリで取らなくとも、これらビタミンCサプリに一緒に配合されている量で十分だと思っています。
ルチンが多く含まれる食品
ここで、先ほどSECRETとしていたルチンが多く含まれる食品を発表したいと思います。
ルチンが多く含まれる食品、それは「ソバ」です。
◆ソバ
ケルセチン-3-ルチノシド(ルチン)
.
ルチンを含む植物は広く存在しますが、穀類に含まれるのは「ソバ」のみとされています。
イチジク・アスパラガス・トマトなどにも含まれていますが、ルチンといえばやっぱり「ソバ」です。
ダッタンソバに特に多い
ソバはソバでも、苦蕎麦の異名をもつダッタンソバに特に多く含まれています。
出典元
食と農の扉 第6号
PDFページ 8/11
農林水産技術会議
ダッタンソバは普通のそばに比べて、約120倍のルチンを含有しています。
100gあたり、普通そば(全層粉)には15mgのルチンが含まれているのに対し、ダッタンソバには1800mgのルチンが含まれています。
参照
韃靼そばの栄養成分
知る・学ぶ・楽しむ
日穀製粉(株)
食べる時にはケルセチンになっちゃう
ただし、ダッタンソバを食する時には、ルチンはほとんどケルセチンに変わっています。
ダッタンソバのあの苦みの正体はルチンではなくケルセチンによるものです。
ソバは、ふつう蕎麦切り(=そば粉の生地を麺状に切った状態)という形態で食べます。
製麺時には、ダッタンソバ粉に含まれるルチンは、ダッタンソバ粉中に含まれるルチン分解酵素ルチノシダーゼによりケルセチンに加水分解されています。
ルチノシダーゼは,ルチンをケルセチンと2糖類のルチノースに加水分解するユニークな特性の酵素である.その活性は極めて強力で,ひとたび粉へ加水すると,ダッタンソバ粉中のルチンは数分のうちにほぼ完全に分解されてしまう.
引用元
ルチンが多く苦味が弱いダッタンソバ新品種「満天きらり」
J-STAGE
加水処理をしないわけにはいかないので、ダッタンソバを食する時には、ルチンではなくケルセチンとして体内に入れることになります。
普通そばでは、酵素活性が緩やかなためルチンがケルセチンに分解されることはほとんど見られないとのことです。
というわけで、ルチンの摂取を目的とするならば、普通ソバでいいのかもしれません。
満天きらり
なお、ルチノシダーゼ活性の弱いダッタンソバの育成に成功しています。
その品種名は「満天きらり」です。
これだと
- ルチンの含有量が極めて多くなる
- ダッタンソバの苦みが弱くなる(ケルセチンが減るため)
「満天きらり」のルチノシダーゼ活性は,通常品種の数百分の1程度と弱い.ソバ麺などに加工した場合,従来品種(「北海T8号」=強いルチン分解酵素活性を有する)ではほぼ完全にルチンが分解したが,「満天きらり」は95%以上が残存した.パンやクッキー・パウンドケーキにおいても,従来品種よりも多くのルチンが残存する結果であった.
引用元
ルチンが多く苦味が弱いダッタンソバ新品種「満天きらり」
J-STAGE
満天きらりはルチンの供給源としてはベストの食品といえます。
ルチンサプリについて
ルチンが多く含まれる植物となると、マメ科植物のエンジュが挙げられます。
エンジュの花やつぼみには、多くのルチンが含まれています。
ルチンのサプリの原料となるのは、国内外問わず主にエンジュです。
海外のルチンサプリの原料表示Sophora japonica(ソフォラ・ジャポニカ)はエンジュのことです。
日本では、ルチンの吸収性を改良した特許成分が販売されています。
αGルチン
ルチンのルチノースに、さらにグルコース1分子を結合させて水に溶けやすくした成分です。ルチンの原料はエンジュです。
このようにαG-ルチンでは、ルチンに比べてその溶解性(水溶性、脂溶性)は向上し、さらに耐熱性、長期保存性などの安定性も改善されている。α-グルコシル化ルチン混合物自体は、ルチンと同様の薬理・生理作用を示し、しかもルチンに比べて約5000倍と著しく水溶性に優れている。
引用元
特許公報(B2)_即効性および持続性を有するフラボノイド配糖体を含有する経口栄養補給剤
国立研究開発法人科学技術振興機構
EMR
エンジュの花蕾に含まれるルチンを酵素処理した成分です。酵素処理することにより、水溶性が向上し、体に吸収されやすくなります。
一方、クェルセチン誘導体であるEルチンは、水溶性が高く、吸収効率が劇的に向上しており、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)はクェルセチンの17倍、ルチンの43倍以上になります。
引用元
Eルチン
森永製菓(株)
ルチンの効果・効能
ルチンの効果・効能 3つ厳選
- 毛細血管強化作用
- ビタミンCとの相乗効果
- 抗酸化作用
そのうち1つを詳しく
①毛細血管強化作用
ルチンには毛細血管強化作用があります。
具体的には
- 毛細血管を強く丈夫にする
- 血管透過性の増大を抑制する
働きをします。
これら働き得られる効果を別々にピックアップします。
※この2つの働きは、結果的に【血管が健康になる&血流が良くなる】ことです。そこから派生する効果と考えると、分ける必要はまったくありません。ここでは、どちらかの働きによりあてまる効果と捉えてください。
毛細血管を強く丈夫にすることで見込まれる効果
薄毛予防効果
髪は毛乳頭に運ばれた栄養素をもとに毛母細胞が細胞分裂をすることで生まれてきます。
毛乳頭に栄養素を運ぶのは毛細血管の役割です。毛細血管が脆くなるとこの役割をしっかりと果たすことができなくなります=薄毛になります。
逆を言えば、毛細血管を強く丈夫にすることは薄毛予防になります。
ルチンは毛細血管を強く丈夫にします。
美肌効果
肌の真皮には毛細血管が張り巡らされています。
真皮の繊維芽細胞に栄養素や酸素を運ぶ&老廃物を回収しているのは毛細血管です。
繊維芽細胞に栄養素や酸素が運ばれないと、コラーゲンやエラスチンを生成することができません。肌のハリ、弾力は失われていき「しわ」「たるみ」が引き起こされることになります。
表皮の基底層にある角化細胞に栄養素や酸素を運ぶ&老廃物を回収しているのも毛細血管です。
ご覧の通り表皮には毛細血管がありませんが、真皮乳頭層の毛細血管より、運搬&回収作業が行われています。
この作業により、基底層にある角化細胞の細胞分裂が行われる=肌のターンオーバーが行われることになります。
基底層にある角化細胞の細胞分裂がスムーズに行われない=ターンオーバーが遅れるとメラニンの排出が上手くいかず、肌に「シミ」や「くすみ」となってあらわれます。
ということで、真皮や表皮の細胞に栄養素や酸素を運ぶ&老廃物を回収している毛細血管が脆くなると肌の老化が進むことになります。
血管を丈夫にする働きをするルチンは肌の若々しさを保つことに貢献します。
血管透過性の増大を抑制することで見込まれる効果
抗炎症効果
毛細血管壁は血液と周り組織において物質交換をする場所です。ここでの「物質交換」とは、血管壁の細胞の隙間より血液を通して、周りの組織との間で栄養素や老廃物などを交換することを意味します。
毛細血管壁の物質を通過させる性質および能力を「透過性」といいます。
正常な血管では、小さな物質【水分や糖・アミノ酸など】は血管壁を通過しますが、大きな物質【タンパク質など】は通過することができないようになっています。
炎症性サイトカインが過剰に産生されると血管透過性が亢進されます。
血管透過性の亢進とは血管の内側の細胞が収縮することで、細胞の隙間が大きくなっている状態をいいます。
出典元
血管透過性のダイナミックかつ巧妙な制御を可能にするシグナル伝達系
公益社団法人日本生化学会
この状態だと、大きな物質【タンパク質など】を含んだ血漿成分も血管外へ漏出してしまいます。その結果、炎症の兆候(局所の浮腫)が現れます。
ルチンは毛細血管の透過性の亢進を抑制する働きをします。
冷え性改善効果
血液は、各組織の細胞に栄養や酸素を運搬する&老廃物を回収する役割を果たしています。
毛細血管の壁には小さな穴が開いており、適度に漏れることで周りの細胞に栄養や酸素を届けることができます。細胞が毛細血管(動脈側)の小さな穴から染み出した栄養や酸素を含んだ血漿成分を吸収すると、自動的に老廃物や二酸化炭素を含んだ水分が毛細血管(静脈側)に回収される仕組みとなっています。
血液は、体内でつくられた熱を伝える役割も果たしています。
暑い時は、体の皮膚に近い部分の毛細血管を拡張することで、血流を増やします。血流を増加させることで体の熱を周囲に放散させます。
寒い時は、体の皮膚に近い部分の毛細血管をしめることで、血流を抑えます。血流を抑えることで体の熱が逃げないようにします。
これら血液の役割が十分に機能するには、毛細血管の透過性が適度に維持されていることが重要となります。
ルチンには、毛細血管の透過性を適度に保つ働きがあります。
ルチンの働き分析【見た目編】
合計 45/60点
薄毛
6.5点
「薄毛」改善 に関するルチンの働きは主に次です。
- 毛細血管強化作用
髪に必要な栄養素および酸素は、毛細血管を通じて毛乳頭に運ばれます。
毛乳頭はその栄養素を毛母細胞に受け渡します。それにより毛母細胞が分裂し、そこから生じた細胞が毛髪を形成します。
ルチンは毛細血管を強化し、血流を良くします。
髪に必要な栄養素および酸素の運搬に大きく貢献する成分です。
白髪
7.5点
「白髪」予防 に関するルチンの働きは主に次です。
- 血流アップ&抗酸化
こちらのサイト
→
白髪を増やさない 血流アップ&抗酸化【日経ヘルス19年2月号】 黒髪を保つ3つのポイント
日経doors 日経BPでは、黒髪を保つポイントとして
- 黒髪のもとに栄養を届ける
- 黒髪のもとを守る
- 黒髪のもとを作りやすくする
この条件を満たす成分は血流改善効果や抗酸化作用を有するものとなります。ルチンはどちらにも該当します。こちらのサイト
→
白髪予防におすすめな6つの成分と食材
アンファー からだエイジング アンファー(株)では、白髪予防におすすめの成分の1つとして、ルチンをあげています。
美肌
7.5点
「美肌」作り に関するルチンの働きは主に次です。
- 抗糖化作用
糖化とは体内に余った糖質がたんぱく質とくっつき、たんぱく質を劣化させる現象のことをいいます。糖化によって作られるのがAGEs(終末糖化産物)です。AGEsが体内に蓄積されるといわゆる老化が進みます。とくに真皮層にあるたんぱく質「コラーゲン」は大きく影響されます。
コラーゲン繊維は架橋によって分子間がつながっています。コラーゲンが糖化されると、この架橋が無秩序かつ過剰に形成されるようになります。
通常は「コラーゲン架橋」ですが、無秩序かつ過剰に形成された架橋は「悪玉架橋(AGEs架橋)」と呼ばれます。
たとえば、肌のコラーゲンにAGEs架橋が形成されるとコラーゲンが破壊・変性され、肌のしわやたるみの原因になります。
ルチンには抗糖化作用(AGE生成抑制)があります。蕎麦などに含まれるルチンや、カテキンなどを含む緑茶は、動物実験でAGEsの生成を抑制したという報告があります
引用元
生活習慣と糖化
糖化ラボ
日本新薬(株) - 抗酸化作用
肌の細胞にダメージを与えるのが紫外線などにより発生する活性酸素です。
なので、肌の老化を防ぐためには抗酸化作用をもつ成分を取ることが大切です。ルチンには強力な抗酸化作用があります。
抗酸化作用に関しては、他のビタミンP(ケルセチンやヘスペリジン)より上との報告があります。ルチンは抗酸化剤でもある。クェルセチン、アカセチン、モリン、ヒスプデュリン、ヘスペリジン、ナリンギンと比較すると最も活性が強い。
引用元
ルチン
ウィキペディア - ビタミンCとの相乗効果
ビタミンPには、ビタミンCと協調してビタミンCの効果を高める働きがあります。ビタミンCの美肌項目に関連するものはズバリ「コラーゲン」です。
ビタミンCはコラーゲン合成において、合成に関わる酵素の補酵素として働きます。
ビタミンCが足りないとコラーゲンの合成が上手くいかないと考えてください。ルチンはビタミンPの代表格です。ビタミンCと一緒にとることで、ビタミンCのコラーゲン合成の働きを高めます。
リンク
美白
7.5点
「美白」ケア に関するルチンの働きは主に次です。
-
ビタミンCとの相乗効果
ルチンにはビタミンCの吸収を促進する働きがあります。
そのため一緒にとることで、ビタミンCの美白効果をUPさせます。ビタミンCには、シミをつくらせない効果とシミを薄くする効果のWの美白効果あります。
シミを作らせないメラニンはチロシンとチロシナーゼ酵素が結合することで作られます。チロシナーゼが活性されるとシミのもととなるメラニンがたくさん作られてしまいます。
なのでチロシナーゼの活性を阻害することがメラニンの大量生成を防ぐうえで重要となります。ビタミンCはチロシナーゼ活性阻害成分の1つです。シミを薄くするメラノサイトの中にあるチロシンがチロシナーゼにより酸化されることでメラニンは生成されます。
チロシン→ドーパ→ドーパキノン→黒色メラニンという代謝過程を経て作られていきます。
ビタミンCは中間代謝物であるドーパーキノンをドーパに還元する作用があります。
またメラニンに直接働きかけ黒色メラニンを無色に還元する(淡色化)作用ももっています。
リンク - 毛細血管強化作用
表皮の基底層にある角化細胞に栄養素や酸素を運ぶ&老廃物を回収しているのは毛細血管です。ご覧の通り 表皮には毛細血管がありませんが、真皮乳頭層の毛細血管より、運搬&回収作業が行われています。
これにより基底層にある角化細胞の細胞分裂が行われる=肌のターンオーバーが行われることになります。基底層にある角化細胞の細胞分裂がスムーズに行われない=ターンオーバーが遅れるとメラニンの排出が上手くいかず、肌に「シミ」や「くすみ」となってあらわれます。
ということで、真皮や表皮の細胞に栄養素や酸素を運ぶ&老廃物を回収している毛細血管が脆くなると肌にシミやくすみができやすくなります。
ルチンは毛細血管を強く丈夫にする成分です。 - 抗糖化作用
糖化とは体内に余った糖質がたんぱく質とくっつき、たんぱく質を劣化させる現象のことをいいます。糖化によって作られるのがAGEs(終末糖化産物)です。AGEsが体内に蓄積されるといわゆる老化が進みます。
AGEsは美白を求める方にとって天敵となります。
AGEsそれ自体が茶褐色の物質のため、肌の内側に蓄積すると肌に透明感がなくなり黄色くくすんでしまうからです。ルチンには抗糖化作用(AGE生成抑制)があります。
筋肉
7.5点
「筋肉」増強 に関するルチンの働きは主に次です。
- ミオスタチン発現抑制
ミオスタチンとは主に筋肉から分泌される、筋肉の増加を抑えるホルモンです。
筋肉が弱まると分泌され、たんぱく質の分解を促進し、筋肉の成長を抑制します。筋トレをすると、筋肉は成長しますが、同時にミオスタチンが分泌され、筋肉の増えすぎを抑えています。
筋肥大を目指すには、ミオスタチンの働きを上回るほどのトレーニングを行うこと、それを継続することが大事となります。ミオスタチンの発現が抑制されると、筋肉の分解が抑制され、筋肉の合成が促進されます。
ここでの作用機序ケルセチン配糖体にはミオスタチン発現抑制効果があります。
筋肉の分解抑制
Akt経路の抑制を介して、筋肉分解に関わる因子Atrogin-1、MuRF-1およびFoxo1の発現を抑制する。筋肉の合成促進
筋肉合成に関与するmTOR経路を抑制するRedd1の発現を抑制する。
この発明⇓のケルセチン配糖体とは、【ルチン、酵素処理ルチン、クエルシトリン、イソクエルシトリンを含む】です。参照
ケルセチン配糖体を含有する筋萎縮抑制剤
WO2015166887A1
Google Patents - 筋肥大
森永製菓の特許成分EMR(エンジュの花蕾に含まれるルチンを酵素処理した成分)は主に筋肥大をサポートする成分です。
EMRを摂取すると、効率よく筋肥大を促すことができます。EMRを摂取すると、過剰な炎症が抑えられるとともに、カラダの材料となるたんぱく質の合成をサポートする変化がおきて効率よく筋肥大を起こすことが分かりました。
引用元
プロテインへのEMR配合を特許出願中 EMR※1が筋肥大を促す、効果発見 ~第 19 回日本運動生理学会大会で発表~
ニュースリリース
森永製菓(株)プロテインとEMRを同時に取ることで、プロテイン単体より筋肉がつきやすくなるとのことです。
この効果は運動をしなくて得られる可能性があるとのことです。森永製菓のプロテインの主力商品にはEMRが配合されています。
リンク参照
「Eルチン」を摂取するだけで日常的に筋肉が増える!?
プロテイン公式サイト
森永製菓(株)
脂肪
8.5点
「脂肪」減少 に関するルチンの働きは主に次です。
- 体脂肪低減効果
体脂肪を減らすのを助けるでお馴染みのサントリー伊右衛門特茶の「体脂肪低減効果」は、ケルセチン配糖体の脂肪分解酵素活性化の働きによるものです。こちらは脂肪分解のメカニズムです。
脂肪燃焼のメカニズム- 分解 体脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する
- 運搬 分解されてできた脂肪酸を細胞のミトコンドリアに運搬する
- 燃焼 ミトコンドリアで脂肪酸がエネルギー貯蔵物質ATPに変わる
ATPがエネルギーとして消費される→脂肪燃焼
体脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する酵素が「HSL(ホルモン感受性リパーゼ)」です。
この酵素を活性させることが脂肪燃焼のスタート【メカニズム①の分解のこと】となります。
HSLが活性されると脂肪が分解されて、脂肪酸が血中に放出され、次のメカニズム②運搬・③燃焼へと移行するといった流れになります。伊右衛門特茶に含まれるケルセチン配糖体にはHSLを活性化させる働きがあります。
出典元
ケルセチン配糖体で健康の維持・増進に寄与する
サントリーグローバルイノベーションセンター
サントリーグループケルセチン配糖体は、脂肪細胞からの遊離脂肪酸とグリセリンの分解を促すことで、体脂肪を減らすのを助ける働きをしています。
実際、特茶を1日1本継続飲用し、緑茶(ケルセチン配糖体を含まない)と効果を比較した結果にて、 体脂肪低減効果が認められています。8週目から脂肪面積の低減が認められたとことです。
出典元
特茶の秘密
サントリー食品インターナショナル
サントリーグループ伊右衛門 特茶に含まれるケルセチン配糖体は酵素処理イソクエルシトリン(イソケルシトリン)です。
なので、この話はルチンのことではありません。ただし、ルチンは関係してきます。
この酵素処理イソクエルシトリン(イソケルシトリン)とは、エンジュに含まれるルチンを抽出し、それを食用加工用酵素でイソクエルシトリンとした後に、デキストリンの存在下で糖転移酵素を作用させ、グルコースを付加したものです。
リンクなおルチンを多く含む食品「満天きらり」でも、体脂肪率低減効果がみられるとことです。
以上の結果より,ルチン高含有「満天きらり」加工食品の継続摂取は抗酸化作用および体重,体脂肪低減作用を有する可能性があることが強く示唆された
引用元
ヒト介入試験によるそば,大豆,タマネギの機能性の検証
PDFページ 2/5
J-STAGEリンク
いずれにせよ、ルチンの摂取はダイエットにつながりそうです。 - 徐脂肪体重
徐脂肪体重(LBM=Lean Body Mass)とは脂肪を除いた筋肉・骨・内臓および水分の総重量のことです。
徐脂肪体重は、新しいダイエットの指標として今注目されています。森永製菓が定期的に運動している人たちを2つのグループに区分し、筋肉量/除脂肪体重/抗酸化指標を比較する検証実験を行いました
◆プロテインのみを1回あたり20gの粉末を定期的に摂取するグループ◆EMR配合プロテインを1回あたり20gの粉末を定期的に摂取するグループ
この検証実験では、除脂肪体重が有意に増加している結果がでています。
※筋肉量が有意に増加している/抗酸化指標が改善されているという結果もでています。リンク
参照
筋肉増加促進!森永製菓の特許成分”EMR”の実力!
ウィダー公式 森永製菓(株)
ルチンの働き分析【中身編】
合計 43.5/60点
身体
6点
「身体」の構成材料 に関わるルチンの働きは主に次です。
- コラーゲン
人間の体を構成しているたんぱく質のうち30%はコラーゲンでできています。体内にあるコラーゲンのうち、約40%が皮膚に、骨・軟骨に約10~20%、血管に約7~8%が存在しています。コラーゲンの体内構成比率ビタミンCはコラーゲンの合成を促す働きをします。ビタミンCの働きを高めるのがルチンです。コラーゲンの体内構成比
※%はおおよそです。
ビタミンCと協調することで、コラーゲンの合成に間接的に関わってきます。 - 骨
筋肉が弱くなると、筋肉の成長を妨げるホルモン「ミオスタチン」が分泌されます。
ミオスタチンは骨の形成を阻害する働きをします。
運動をしないと筋肉が弱くなるので、運動をしなければ筋肉が減るだけでなく骨も弱くなるとメカニズムとなっています。
逆を言えば、運動をすれば【→ミオスタチンの分泌を抑制すれば】、筋肉のみならず骨の強化にもつながることになります。
ケルセチン配糖体にはミオスタチン発現抑制効果があります。ルチンはケルセチン配糖体の一種です。
エネルギー
6.5点
「エネルギー」生成 に関わるルチンの働きは主に次です。
- 脂質
脂質は3大栄養素の中で一番のエネルギー源となります。1gあたり9kcalのエネルギーを産生します。糖質、たんぱく質は1gあたり4kcalです。体脂肪低減作用を有するルチンには脂質代謝改善効果が期待できそうです。
病気
8.5点
「病気」予防 に関わるルチンの働きは主に次です。
- がん
「変異原性」とは遺伝情報に損傷を引き起こし突然変異をひき起こす性質(あるいはその作用の強さ)のことをいいます。放射線、たばこの煙、汚染物質、食品添加物などに存在します。
変異原性物質=発がん物質ではありませんが、変異原性物質には発がん性のものが多くなっています。
発がんにはイニシエーション、プロモーション、プログレッションの3段階の過程があります。
イニシエーションを起こす物質をイニシエーターと呼びますが、変異原性物質はイニシエーターであることが多いです。 ケルセチン配糖体(ルチン)には抗変異原性が認められています。供試した8種の配糖体の中で、ケルセチン及びその配糖体であるケルセチン3-グルコシド、ルチン(ケルセチン3-ラムノグルコシド)、ケルシトリン(ケルセチン3-ラムノシド)には、活性化酵素によって変異原に変換される物質であるTrp P-1に対する強い抗変異原性が認められた(表1)。
引用元
植物由来の黄色色素ケルセチン配糖体の抗変異原性
農研機構 - 高血圧
血圧は動脈の内側にかかわる圧力のことです。
血圧が高くなると動脈は強い圧力にさらされ、血管の弾力は失われていきます。その状態(高血圧状態)が続くとさらに硬くなります。そうなると動脈硬化が進行します。
ルチンは血管弛緩作用を有し、血圧上昇を抑制する働きをします。 - 心臓病
ルチンには血圧降下作用があります。これは毛細血管に弾力を持たすこと血流を改善することで示す作用です。ルチンの摂取は、心臓病のリスク軽減に寄与します。
- 動脈硬化
血液中のLDLコレストロールが酸化されると酸化LDLに変わり血管壁に沈着します。そうなると血管の内側は細くなって動脈硬化を引き起こします。抗酸化作用を有するルチンはLDLコレストロールの酸化を防ぐ働きをします。
- 糖尿病
糖尿病の原因のひとつは「インスリン抵抗性」です。インスリン抵抗性とは細胞に糖を取り込む働きをするインスリンが、肥満や運動不足などが原因で十分に働かなくなることです。
糖が細胞に十分に取り込まれなくなると、血液中の糖が増え過ぎてしまい、糖尿病になります。
ルチンには膵臓への負担を軽減しながらインスリン分泌を促す働きがあるとされます。
ルチンの摂取は糖尿病予防になります。
体質
8点
「体質」改善 に関わるルチンの働きは主に次です。
- 冷え性
冷え性は血行不良が原因で起こります。ルチンは毛細血管の透過性の亢進を抑制し、血行を改善させます。 - 花粉症
ルチンには抗炎症効果があります。花粉症予防になります。 - 歯茎
ルチンには毛細血管を強化する働きがあります。歯茎の出血を止める効果が期待できます。
ビタミンCは歯茎のコラーゲンの合成を促し、歯肉炎を予防します。
ルチンはビタミンCの働きを助ける成分です。ビタミンC+ルチンのコンビは歯茎の健康維持に役立ちます。 -
下肢静脈瘤
心臓を拠点に、新しい血液とともに酸素や栄養素を体の隅々に運ぶ血管は動脈です、古い血液とともに細胞からでた老廃物や二酸化炭素を心臓に回収するための血管は静脈です。その血液の通路となっているのが毛細血管です。下肢静脈瘤とは足の静脈が太くなって、こぶ状に膨らんだ状態のことを言います。
足の血液が心臓に戻るときには、重力に逆らう形で下から上へ押し上げられます。
歩くことでふくらはぎの筋肉が収縮して、静脈の血液を押し上げます。さらに血液が重力で逆流しないように、静脈の中にある「静脈弁」が機能しています。イラスト左
その結果、心臓に向かってのみ血液が流れるようになっています。加齢、肥満、生活環境(立ち仕事)などの原因で「静脈弁」が正常に機能しなくなると、血液が心臓に戻れず、足の静脈にどんどんたまって膨らんでしまいます。イラスト右
その結果、下肢静脈瘤が発生します。静脈瘤が下肢に起こりやすい理由は、「心臓から遠い位置にある」と「基本 立って生活している」の2点が挙げられます。
下肢静脈瘤は足の血管の病気ですが、放置しても命にかかわることはまずありません。
治療する目的は、かゆみや痛みやだるさといった症状の改善以外にも、美容面(外見)があります。
血管を強化して、血管の柔軟性を保つ作用を有するビタミンPは静脈瘤の予防・改善に効きます。
ルチンはビタミンPの1種です。 - 痔
痔は大きく【いぼ痔(痔核)、きれ痔(裂肛) 、痔瘻】の3種類に分けることができます。いぼ痔(痔核)は、「内痔核」(肛門の内側のいぼ痔)と「外痔核」(肛門の外側のいぼ痔)に分けられます。
肛門のまわりは、細い静脈がモツレた毛糸のように入り組んでいます。
このことを静脈叢といいます。
いぼ痔(内痔核)の原因はうっ血です。いぼ痔(内痔核)は静脈叢がうっ血して瘤=静脈瘤になったものをいいます。
ルチンは毛細血管を強化して、うっ血を防ぎます。痔の予防効果が期待できます。参照
痔って一体どんなもの!?
ボラギノール 天藤製薬(株) - 血管の若返り
TVの健康番組でルチン(またはソバ)が血管の若返り成分として幾度となく紹介されています。- 毛細血管強化作用
- 血管弛緩作用
- 血圧降下作用
- 抗酸化作用
など
精力
6.5点
「精力」増進&「性機能」向上 に関わるルチンの働きは主に次です。
- 妊活
活性酸素は生殖機能の低下の原因となります。なので抗酸化物質を取ることは妊娠するための有効な手段になります。ルチンには抗酸化作用があります。 - 血液の巡り
産める体の条件は、卵巣、子宮、母体が健康であることとのです。特に卵巣の健康維持が重要で、卵巣の健康維持には、血液を巡らせることが大事になるとのことです。
栄養素や酸素をからだの末端まで行き渡らせるために全身に張り巡らされているのが毛細血管です。全身の「血液の巡り」をスムーズにさせるには、毛細血管が丈夫でしなやかである必要があります。
ルチンは毛細血管をしなやかで丈夫にさせる働きをします。参照
8時間睡眠、運動…産むカラダ整える5つの習慣
日経WOMAN
健脳
7.5点
「脳」の健康 に関わるルチンの働きは主に次です。
- 脳卒中
脳卒中とは、脳内にある血管が詰まる、破れるなど脳内血管の障害により起こる病気の総称のことです。予防するためには、血流を改善する・血管を丈夫することが大事となります。
血流を改善する・血管を丈夫するにピッタリと当てはまる成分がルチンです。
ルチンは脳卒中の予防に効果があります。 - 記憶障害
実験によりルチンに記憶障害を保護する働きがあることが示唆されています。この働きは海馬の神経細胞に対するルチン抗炎症作用による神経細胞傷害の保護によるものと考えれられます。細胞および分子レベルの実験により、記憶形成に重要な脳の領域である海馬において、ルチンは抗炎症作用によりTMT投与で誘導された神経細胞死を抑制し、記憶障害を保護していることが示唆された。
引用元
記憶障害に対するルチンの保護的役割とその作用機序の解明
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)よく、そばの摂取はボケ防止になるといわれます。それは、そばに含まれるルチンが貢献していると考えられます。
ルチンのサプリメント紹介
ルチンのまとめ
分析【見た目編】45点
分析【中身編】43.5点
ルチン 毛細血管強化作用
韃靼そばとルチン 知る・学ぶ・楽しむ 日穀製粉(株)
食と農の扉 農林水産技術会議
ダッタンそば種子に含まれるルチン分解酵素について J-STAGE
ソバ食品の機能特性変化に及ぼすルチン-タンパク質相互作用の影響 J-STAGE
播種期が普通ソバ(Fagopyrum esculentum)の種子ルチン含量と生育に及ぼす影響 J-STAGE
ヒト介入試験によるそば,大豆,タマネギの機能性の検証 J-STAGE
糖転移ビタミンPの抗酸化作用と高脂血症マウスにおける酸化ストレス抑制効果 J-STAGE
柑橘ポリフェノール「糖転移ヘスペリジン」の機能性食品分野における可能性 J-STAGE
漢方生薬含有機能性フラボノイド“ケルセチン”の血管薬理作用 J-STAGE
体脂肪低減効果を有するケルセチン配糖体配合飲料の研究開発 J-STAGE
ケルセチン配糖体の吸収代謝と活性発現機構 J-STAGE
脂溶性食品成分の腸管吸収機構と生体利用性 J-STAGE
野菜フラボノイドの生体利用性と抗酸化活性 J-STAGE
フラボノイド類の血中代謝物と局所における有効性 J-STAGE
食事由来フラボノイドの吸収経路と代謝物分布 J-STAGE
なぜ筋力アップに蕎麦なのか? 名代富士そば ダイタンホールディングス(株)
驚くべきちからを秘めたポリフェノール ケルセチンの秘密 健康情報レポート サントリー