ビタミンE 過酸化脂質の生成を抑制

ビタミンE

別名 
トコフェロール

13種類のビタミンの1種
4種類の脂溶性ビタミンの1種

 

 

ビタミンEとは

ビタミンEについて

  • ビタミンEは脂溶性ビタミンです。
  • ビタミンEはトコフェロール(α・β・γ・δ)トコトリエノール(α・β・γ・δ)8種類の総称のことを言います。
  • 血液中および組織中に存在するビタミンEのほとんどはα-トコフェロールです。生理活性が一番高いのもα-トコフェロールです。
    なのでこのレビューでの「ビタミンE」は基本、α-トコフェロールのことを指していると捉えてください。

    注意

    以降 各種を強調したい場合を除き、8つを「ビタミンE」として一括りにして説明します。
    せめてトコフェロールとトコトリエノールは分けるべきかもしれませんがご容赦ください。

    トコトリエノール

    トコトリエノール 30日分

    トコトリエノールのほうがトコフェロールより強い抗酸化力を持つと言われています。その抗酸化力はトコフェロールの約50倍あるとされ、一部では「スーパービタミンE」とも呼ばれます。トコフェロールに見られない働きもあります。

  • ビタミンEは、脂肪、筋肉、心臓、肝臓、骨髄、血液など幅広く分布しています。
  • ビタミンEは細胞膜に多く存在し、その抗酸化作用により脂質を酸化から守る働きをします。

ビタミンEの補足 その1

  • 食品から摂取するビタミンEの大部分はα-トコフェロールおよびγ-トコフェロールです。
  • 体内に取り入れられたビタミンE(α-トコフェロール)は以下の流れをたどります。


    出典元
    ビタミンE解説 
    「健康食品」の安全性・有効性情報 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 

    1. 胆汁酸によってミセル化された後に小腸で吸収される
    2. 吸収された後にリポたんぱく質の一種カイロミクロンに取り込まれる
    3. 血液中のカイロミクロンはカイロミクロンレムナントとなって肝臓に取り込まれる
    4. 肝臓でビタミンE(α-トコフェロール)と特異的に結合する脂質結合たんぱく質 α-TTP(α-tocopherol transfer protein)と結合する
    5. α-TTPは超低密度リポタンパク質(VLDL)に取り込まれる
    6. VLDLは血液中を循環しながら代謝されて低密度リポタンパク質 (LDL)となる
    7. LDLを経由してビタミンEは末梢組織に運ばれる
  • 前項目で「血液中および組織中に存在するビタミンEのほとんどはα-トコフェロールです」と述べました。
    その理由はα-TTPにあります。

  • α-TTPは肝臓に存在し、ビタミンEの輸送を媒介することにより、体内のビタミンE濃度を一定に保つ役割を果たしています。
    α-TTPはビタミンEのなかでα-トコフェノールと選択的に結合します。これによりα-トコフェロールが他の同族体と比べて優先的に生体内に運ばれることになります。
    なので生体内に蓄積するビタミンEのほとんどはα-トコフェロールとなります。

  • 体内に取り入れられたビタミンE(α-トコフェロール以外)の話です。
    ※先の出典元の「」の話です。

    肝臓に取り込まれたビタミンEの他の同族体はα-TTPと親和性が低いために生体内に蓄積せず胆汁中に放出されてしまうと考えられてました
    最近になって肝臓のシトクロムP450系酵素(CYP4F2など)によってカルボキシエチルヒドロキシクロマン(CEHC)に異化されて尿中に排泄されることが判明しています。

  • なのでシトクロムP450系酵素を阻害するとビタミンEの他の同族体の体内濃度を高めることになります。
    阻害作用をもつ成分としてゴマリグナン≒セサミンが有名です。

    ゴマに特徴的に含まれるリグナン物質であるセサミン は,肝臓におけるビタミン E の異化を阻害することに よって,さまざまな組織のビタミン E 濃度を上昇させる。セサミンの作用は,CYP4F2 活性の阻害である。

    引用元
    ビタミン E とビタミン K の代謝の相互作用
    J-STAGE

    なので、ビタミンEとセサミンには相乗効果が期待できます。

ビタミンEの補足 その2

  • α-トコフェロールの中にも8種類の異性体が存在します。


    出典元
    次亜ヨウ素酸塩触媒を用い天然型ビタミンEの高効率不斉合成に成功 ~光学活性クロマン系医薬品の開発・製造への応用に期待~
    共同発表
    科学技術振興機構(JST)

  • 天然のα-トコフェロールはRRR-α-トコフェノールと現わされ「d-α-トコフェロール」と呼ばれます。
    一方で合成のα-トコフェロールは8種の異性体の等量物で「dl-α-トコフェロール」と呼ばれます。
  • 天然型のほうが強い生理活性を示します。
    トコフェロール酢酸エステルを1.00としたときに、d-α-トコフェロールは1.49  dl-α-トコフェロールは1.10です。

    参照
    ビタミンE「タケダ」
    タケダ健康サイト
    武田コンシューマーヘルスケア(株)

  • ビタミンEの主たる作用は「抗酸化」です。合成型のほうにはこの作用があまり期待できないとされています。

    合成のビタミンEは、安定化をはかるため、抗酸化にはたらく場所(水酸基、下図部分)に安定させるための物質をつけています。ゆえに合成ビタミンEに抗酸化能力は望めません。

    d-α-トコフェロール(天然ビタミンE)の化学構造

    引用元
    ビタミンE 
    一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所

  • ビタミンEのサプリを購入する際は必ず原料を確認してください。「天然ビタミンE」という商品名であれば、原料表示がなくともおそらく「d-α-トコフェロール」です。

摂取量について

目安量 6.5㎎/日(成人男性) 6㎎/日(成人女性)

耐用上限量 650~800㎎/日
(成人)
※上限量は性別、年代により異なる。

参照 日本人の食事摂取基準(2015年版) 厚生労働省

欠乏症
:溶血性貧血 :未熟児で浮腫 :不妊症 

不足ぎみ
:全般的な老化現象を感じる :精力が衰える :生理不順
:肩こり・冷え性など血行不良で生じる症状がでやすくなる
過剰症
:出血傾向の上昇(低出生体重児に補充投与した場合): 骨粗鬆症(ラット実験により示唆)

取り過ぎ
脂溶性ビタミンのなかでは過剰の心配はあまりない。

脂溶性ビタミンは水に溶けにくく尿中に排泄されないため、必要以上に摂取すると体内に蓄積されてしまいます。過剰症に気をつける必要があります。

ただし脂溶性ビタミンの中でもビタミンEは過剰症を気にする必要はさほどありません。ビタミンEは体内に蓄積しにくく、また過剰症による毒性がないとされているからです。
とはいえサプリメントや薬などで多量にとることは決してしないでください。

 

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ビタミンEの効果・効能

ビタミンEの効果・効能 5つ厳選

  1. 抗酸化作用
  2. 過酸化脂質の生成抑制(by 抗酸化作用)
  3. 血行促進(by 抗酸化作用+毛細血管拡張作用)
  4. ホルモンの分泌を調整する(by 細胞膜の安定化・他)
  5. 細胞情報伝達調整作用

 

そのうち4つを詳しく

①抗酸化作用

ビタミンEの抗酸化作用を説明する前に、活性酸素について簡単に説明します。

活性酸素とは
活性酸素とは「酸化させる力」が非常に強い酸素のことです。活性酸素はその強い力で体内に侵入したウイルスや細菌を取り除く働きがあります。なので適量ならば細胞を保護します。

しかし過剰に発生してしまうと、細胞を攻撃する(酸化させる)ようになります。
酸化した細胞は機能しなくなります。それだけでなく周りに新たな活性酸素を発生させるようになります。
脂質→過酸化物に、たんぱく質→変性させる、核酸→DNA損傷させる、酵素→失活させるといった感じに「身体」にダメージを与え、老化を促進させたり、病気の発生リスクを高めます。

 

活性酸素の発生要因
活性酸素は呼吸することで発生します。生体内に取り込まれた酸素の数%は【エネルギー代謝の副産物として】活性酸素に変化してしまいます。
発生要因となるのは以下です。

活性酸素を引き起こす要因

  • ストレス
  • 激しい運動
  • 炎症反応
  • 紫外線
  • 大気汚染
  • 放射線
  • たばこ
  • 薬剤
  • 過酸化脂質が多い食品

生きている限り、活性酸素は過剰に産生されてしまうものと考えてください。

 

狭義の活性酸素
活性酸素は普通の酸素より反応性の高い(酸化させる力が強い)酸素です。
反応性の高い酸素種を活性酸素種(ROS)と呼び、次の4種が知られています。

◆スーパーオキシド
酸素に電子が1個加わった最も一般的な活性酸素です。ミトコンドリア & 白血球 で生成されます。
生成されたスーパーオキシドは、酵素的あるいは非酵素的に還元を受け より反応性の高い活性酸素種となります。より反応性の高い活性酸素種というのは過酸化水素・ヒドロキシラジカルです。
生体にあるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)という抗酸化酵素の働きにより過酸化水素となります。

◆過酸化水素
SODによってスーパーオキシドが分解されると発生します。過酸化水素の反応性はそれほど高くなく、生体温度では安定しています。ですが、紫外線や金属(鉄イオンや銅イオン)と容易に反応して、傷害性の高いヒドロキシルラジカルを生じます。
体内では、抗酸化酵素カタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼにより安全な酸素と水に分解されます。

◆ヒドロキシラジカル
ヒドロキシラジカルは過酸化水素が上記した酵素によって十分に還元されない場合に、フェントン反応により生じます。
ヒドロキシラジカルは最も酸化力が強い活性酸素です。生体内の糖質・脂質・たんぱく質・核酸などに反応し障害を与えます。その結果、老化を促したり、遺伝子を傷つけがんを発生させたりします。活性酸素による多くの病気は、ヒドロキシルラジカルによるものと考えられます。

◆一重項酸素
紫外線によって皮下組織で大量に発生します。非常に強い酸化力を持った活性酸素です。

通常の酸素分子は基底状態で三重項酸素と呼ばれています。一重項酸素は、基底状態の三重項酸素分子がエネルギーを受け取ることで、一重項状態に励起された酸素分子のことです。一重項酸素は普通の酸素分子よりも不安定で反応しやすくなっています。

 

 

このうち
フリーラジカルはスーパーオキシド・ヒドロキシラジカル
フルーラジカルでないのは過酸化水素・一重項酸素です。

フリーラジカル

物質を構成するのは原子です。原子は原子核と電子からできており、原子核の周りを電子がぐるぐると回っています。
原子核の周りを回る電子は2つで一対となることで安定な物質となっています。フリーラジカルとは原子核の周りにある電子の数が1つの分子(不対電子)のことをいいます。


2電子が一対になっているときは安定


なっていないときは不安定
※原子2つ以上が結びつくことで分子となります。イラストがフリーラジカルというわけではありません。

フリーラジカルは、不対電子をもっている=不安定であるために、安定するため他の物質から電子を奪う性質があります。この性質によって「酸化」が生じます。

.
狭義の活性酸素はこの4種です。

活性酸素は他にもあり上記に
ペルオキシラジカル・アルコキシラジカル・一酸化窒素・次亜塩素酸などを含んだものを広義の活性酸素と呼びます。

体内には過剰になった活性酸素を除去する酵素が備わっています。
が、その酵素は加齢とともに減ってしまいます。
なので食事などにより外から抗酸化物質を積極的に取り入れる必要があります。

それでは本題に移ります。

 

ビタミンEの抗酸化作用

ビタミンEは抗酸化物質の1つです。
ここでビタミンEの抗酸化作用の特徴を簡単にまとめます。

 ①脂溶性抗酸化物質 
抗酸化物質は、通常は水溶性あるいは脂溶性のどちらかです。

水溶性は細胞質基質や血漿中で抗酸化作用を発揮します。
脂溶性は細胞膜で抗酸化作用を発揮します。



このイラストでいうと、肌色部分(細胞質)と余白(細胞外)で働くのが水溶性の抗酸化物質で、
オレンジのライン(細胞膜)で働くのが脂溶性の抗酸化物質です。

ビタミンEは脂溶性の抗酸化物質です。
細胞膜で抗酸化作用を発揮します。

 

 ②¹O₂ ・OH LOO・の消去 
抗酸化物質は活性酸素種のうち「どれか」あるいは「何種類」かの消去能を有します。
ビタミンEは一重項酸素【¹O₂】ヒドロキシラジカル【・OH】、ペルオキシラジカル 【LOO・】に対しての消去能を有します。

ビタミンEの抗酸化作用うち、最も注目すべきはペルオキシラジカル 【LOO・】に対しての消去能=過酸化脂質の生成を防ぐ=脂質過酸化の連鎖反応を防ぐです。

ここでまとめて説明してもいいのですが、とても重要なので分けて説明します。

 

 

③過酸化脂質の生成抑制(by 抗酸化作用)

細胞の周りを覆っている細胞膜はリン脂質を主成分とした脂質を中心に構成されています。
その基本構造はリン脂質が二層に並ぶリン脂質二重層となっています。

細胞膜にクローズアップしたイラスト。真ん中の隙間をわけて〇とその下2本の線が付いたのがリン脂質です。このように2つの層で構成されています。

リン脂質は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸で構成されています。不飽和脂肪酸は非常に酸化されやすい脂質で、活性酸素の攻撃を受けると過酸化脂質に変わってしまいます。

細胞膜が過酸化脂質に変性すると、その細胞が障害されます。
それだけなく細胞の中に新たに活性酸素を生み出し、周りの細胞を酸化させ、さらに過酸化脂質を増やすようになります。
これは連鎖的脂質過酸化反応と呼ばれます。

もう少し詳しく説明します。

  1. 脂質(LH)が活性酸素の攻撃を受けると脂質ラジカル(L・)になります。
  2. 脂質ラジカル(L・)が酸素(O₂)と反応すると脂質ペルオキシラジカル(LOO・)になります。
  3. 脂質ペルオキシルラジカル(LOO・)は、他の脂質(LH)と反応して水素を引き抜きます。
  4. すると自らは脂質ヒドペルオキシド(過酸化脂質:LOOH)となります。それと同時に、新たに脂質ラジカル(L・)を生成します。
  5. この脂質ラジカル(L・)がまた 酸素(O₂)と反応します。
    すると再び②~④の流れを繰り返します。
    →この脂質ラジカル(L・)がまた 酸素(O₂)と反応し・・・といった感じ連鎖的に繰り返していきます。

 

 

さて、細胞膜を活性酸素の攻撃から守るのがビタミンEです。ビタミンEは細胞膜に入り込み、脂質の代わりに自らが酸化されることで、過酸化脂質の生成および次々に起こる酸化の連鎖反応を防ぎます。


細胞膜のリン脂質ヒラヒラ部分(脂肪酸)にビタミンEが存在しているとイメージしてください。

 

もう少し詳しく説明します。先ほどの流れの中でビタミンEの抗酸化が関与する部分を赤文字記載していきます。

  1. 脂質(LH)が活性酸素の攻撃を受けると脂質ラジカル(L・)になります。
    脂質(LH)→脂質ラジカル(L・)に変換させるのはヒドロキシラジカルです。ビタミンEはヒドロキシラジカルに対する消去能を有します。
  2. 脂質ラジカル(L・)が酸素(O₂)と反応すると脂質ペルオキシラジカル(LOO・)になります。
  3. 脂質ペルオキシルラジカル(LOO・)は、他の脂質(LH)と反応して水素を引き抜きます。
    ビタミンEは脂質ペルオキシルラジカル(LOO・)に自らの水素を与え安定化させます。自身はビタミンEラジカルになります。

    出典元
    α-リポ酸
    一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所

    ここで脂質過酸化の連鎖反応を防ぎます。

  4. すると自らは脂質ヒドペルオキシド(過酸化脂質:LOOH)となります。それと同時に、新たに脂質ラジカル(L・)を生成します。

  5. この脂質ラジカル(L・)がまた 酸素(O₂)と反応します。
    すると再び②~④の流れを繰り返します。
    →この脂質ラジカル(L・)がまた 酸素(O₂)と反応し・・・といった感じ連鎖的に繰り返していきます。

 

電子(水素)を与えたビタミンEは電子が1分子のビタミンEラジカルとなります。ビタミンEラジカルになると抗酸化活性はなくなります。が、ビタミンEラジカルは安定しているため、それ以上酸化が進むことはありません。

実際, ビタミンEラジカルは安定で, 脂質などを攻撃せずにもう1分子別のラジカルを捕捉して安定生成物となるが, ビタミンCやユビキノールなどによって還元されてビタミンEに戻る反応が主なものと考えられている

引用元
活性酸素 ・フリーラジカルに対する 防御システム 
J-STAGE

ということで、ビタミンEは過酸化脂質の生成および連鎖的酸化を防ぎます

過酸化脂質が蓄積されると細胞膜はもとより、細胞内のたんぱく質や核酸にもダメージを与えます。
さらに血液中のリポたんぱく質を酸化させます。老化を促進させたり、病気の発生リスクを高める原因物質となります。
それを防ぐビタミンEは、個人的にサプリから取るのは当たり前の成分だと思っています。

 


ビタミンEを体内に取り入れるにあたり、単独ではなく他の抗酸化物質も一緒に取ることをお勧めします。

ビタミンEラジカルをビタミンEに還元する抗酸化物質です。つまりビタミンEの抗酸化力を再生させる抗酸化物質です。
すでにネタバレしていますが、ビタミンCコエンザイムQ10ビタミンEの抗酸化力を再生させる抗酸化物質です。
ビタミンEはこの2つと相性が抜群です。どちらかと一緒にとることを強くお勧めします。

 

 

⑤ホルモンの分泌を調整する(by 細胞膜の安定化・他)

ビタミンEは細胞膜の脂質部分に入り込み、酸化を防ぐことで細胞膜の構造を安定させる働きがあります。

ホルモンは内分泌腺(視床下部、下垂体、甲状腺、膵臓、副腎、精巣、卵巣など)で作られます。

ビタミンEは副腎や卵巣などに高濃度で蓄えられ、副腎・卵巣の細胞膜を酸化から防ぎその構造を安定化させます。また直接ホルモンの代謝にも関与しています

なのでビタミンEを摂取するとホルモン分泌のバランスが整えられることになります。

女性の場合は 女性ホルモンの分泌を正常にし 月経前症候群・生理痛・生理不順などを改善する効果が見込まれます。ビタミンEは女性ホルモンの一種プロゲステロン(黄体ホルモン)の材料でもあります。それも含め効果が見込まれます。

男性の場合は 男性ホルモンの生成に関わり 生殖機能を維持する効果が見込まれます。

 

⑤細胞情報伝達調節作用

ビタミンEの作用といえば抗酸化です。抗酸化以外の作用(beyend antioxidant 作用)として、注目されているのが細胞情報伝達調節作用です。
先の項目でビタミンEは細胞膜の脂質部分に入り込み、酸化を防ぐと述べましたが、これが細胞内の情報伝達に影響を与えていると考えられています。

ところが最近になって ,ビタミンEが細胞膜に取り込まれること自体が ,特定の膜領域依存的なシグナル伝達に影響を与えることが明らかになってきた.

引用元
ビタミンEは細胞膜の構造変化を介して細胞内情報伝達を調節するこれがビタミンEのbeyond antioxidant作用の本命の機序か
J-STAGE

細胞内情報伝達調節とは、具体的にいうとPKCの活性抑制5-lipoxygenaseの活性抑制DGKの活性化NF-κBの核内移行抑制免疫反応の賦活化などです。

ビタミンEには抗炎症作用や免疫賦活作用などがあります。これらの作用に「細胞内情報伝達調節」寄与していると考えられます。

他にも、血流促進、免疫賦活、抗炎症、抗血漿板抑制、ホルモン分泌調整など、近年次々と優れた機能性が報告されている。

ビタミンEの3つの機能

これらの作用は、ビタミンEに「抗酸化」「細胞内情報伝達作用」「細胞膜安定化」の3つの機能が備わっているからである。

引用元
ビタミンEの魅力、最新研究~ジャパンライフサイエンスウィーク2017
JAFRA:日本食品機能研究会

 

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働き分析について

「ビタミンEについて」の項目で記載しましたが、このレビューの「ビタミンE」は基本、α-トコフェロールのことを指しています。

8種類あるビタミンEの中には、α-トコフェノールよりその効力が高いα-トコフェノールにない働きを有する ものがあります。
これから行う働き分析において、その点を強調する場合は、ビタミンE(トコトリエノール)ビタミンE(γ-トコフェノール)などと()内に種類を、あるいはズバリその名称で記載します。

なお他のトコフェロールは種別ごとに、トコトリエノールの場合は「トコトリエノール」として一括りにして記載しています。

 

 

ビタミンEの働き分析【見た目編】

合計 46.5/60点

カテゴリー別 点数

薄毛 7.5点

白髪 6.5点

美肌 9.5点

美白 10点

筋肉 6点

脂肪 7点

 
 

薄毛

7.5点

「薄毛」改善 に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 過酸化脂質の生成を抑制
    ヘアケアの前提は毛髪が生える場所である頭皮のケアです。頭皮にトラブルが起きていると正常な髪が生えなくなります。
    頭皮のトラブルの筆頭といえるのが、皮脂が酸化することによって生成される過酸化脂質です。
    頭皮の毛穴に過酸化脂質が蓄積すると発毛の妨げとなり、抜け毛を促進させます。
    ビタミンEは過酸化脂質の生成を抑制します。
  2. 女性ホルモンの分泌を調整
    女性ホルモン【エストロゲン】は髪の成長を司るホルモンです。ホルモンバランスが乱れてエストロゲンの分泌量が減ると髪の量も減ってしまいます。
    ビタミンEには女性ホルモンの分泌やバランスを調整する働きがあります。
  3. 血行を促進
    ビタミンEの抗酸化作用&毛細血管拡張作用により血液の流れが良くなります。髪を生み出す細胞に必要な栄養素・酸素を運ぶのは血液の役割です。血行を促進することも薄毛予防には大事なことです。

 

白髪 

6.5点

「白髪」予防 に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 血行促進
    ビタミンEの抗酸化作用&毛細血管拡張作用により血液の流れが良くなります。メラニンを生成する細胞に必要な栄養素・酸素を運ぶのは血液の役割です。血行を促進することは白髪予防になります。
  2. 抗酸化作用 
    黒髪のもととなるメラニンは頭皮の毛包内にある色素細胞(メラノサイト)でチロシンとチロシナーゼ酵素が結びつくことで生まれます。


    ※上記イラストの毛母細胞に隣に色素細胞が存在しています。

    この色素細胞の「働きが衰える」または「数が減る」ことは白髪につながります。色素細胞は色素幹細胞(色素細胞から少し離れたバルジ領域に存在している)から作られています。

    紫外線などから生じる活性酸素は色素細胞のもととなる色素幹細胞を攻撃し、その機能を低下させます。
    機能が低下すると「色素幹細胞の機能が低下→色素細胞を生み出せない→メラニンを生成できない→白髪が発生する」といった流れを作ってしまいます。
    強い抗酸化作用をもつビタミンEは色素幹細胞の機能低下を防ぐと考えられます。

    参照
    白髪を増やさない 血流アップ&抗酸化【日経ヘルス19年2月号】
    日経doors 
    日経BP

美肌

9.5点

「美肌」作り に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 過酸化脂質の生成を抑制 
    繊維芽細胞は美肌成分(コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸)を産生する細胞です。
    その細胞膜が紫外線などから発生する活性酸素により過酸化脂質になると、美肌成分をつくりだす力が衰えてしまいます。
    それだけなくまわりにあるたんぱく質(コラーゲン・エラスチン)を破壊したり変性させたりします。

    真皮層

    ※ひし形内の〇が繊維芽細胞・ひし形の線部分がコラーゲン・線部分のつなぎめがエラスチン・ひし形内にあるのがヒアルロン酸などの基質

    その結果、肌のハリ・弾力は失われシワ・たるみが生じやすくなります。
    ビタミンEは細胞膜に入り込み、そこで抗酸化作用を発揮し過酸化脂質の抑制に働きます。

  2. 女性ホルモンの分泌を調整
    女性ホルモンの乱れはさまざまな肌トラブルを引き起こします。ビタミンEには女性ホルモンの分泌やバランスを調整する働きがあります。
  3. 血流改善
    肌の細胞に必要な栄養素・酸素を運ぶ、不要な老廃物・二酸化炭素を回収するのは血液の役割です。その流れを良くすることは美肌を作るうえでも大切となります。ビタミンEには血行促進作用があります。

美白

10点

「美白」ケア に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 過酸化脂質の生成を抑制
    「過脂化」とは体内に過酸化脂質が蓄積した状態のことをいいます。
    過酸化脂質が肌のメラノサイト内に蓄積されると通常のメラニンとは異なる過脂化メラニン生み出し「より濃く、より長く居座るシミ」を生み出すことになります。 

    さらに、過酸化脂質が メラニン産生過程に及ぼす影響を検討したところ、過酸化脂質が存在することで色調の濃いメラニンが発生することを見出しました。また、この色調の濃いメラニンはメラニンと 過酸化脂質が共存した物質(=過脂化したメラニン)であることも確認しています

    引用元
    過酸化脂質の影響で過脂化したメラニンが発生することを発見
    ニュースリリース
    ポーラ化成工業(株)

    過脂化を防ぐには、なにより体内の脂質が過酸化脂質に変化するのを防ぐことです。
    その成分の代表はビタミンEです。

  2. カルボニル化予防
    活性酸素が肌に過剰に発生すると肌の脂質が過酸化脂質に変性します。その過酸化脂質が酸化分解されるとアルデヒド(カルボニル化合物)と呼ばれる物質が発生してしまいます。このアルデヒドがたんぱく質と結合することをカルボニル化といいます。カルボニル化により生まれる物質はALEs(終末脂質過酸化産物)と呼ばれます。

    肌の真皮にALEsが蓄積すると肌にあるたんぱく質(コラーゲンやエラスチン)そのものが変性し黄色くなります。

    さらに、紫外線を浴びた肌の真皮では、脂質の過酸化反応などに起因する「カルボニル化」というタンパク質の変性が生じており(図 1)、この反応が肌の黄色化に大きく影響していました(図2)。

    引用元
    資生堂、肌の「黄ぐすみ」の新メカニズムを解明
    ニュースリリース
    (株)資生堂

    肌のたんぱく質のカルボニル化は肌の透明感を低下させる大きな原因となります。過酸化脂質の生成抑制に働くビタミンEはカルボニル化を防ぎます。

  3. リポフスチン予防
    リポフスチンは生体内色素の1つで、老化色素とも呼ばれます。加齢とともに皮膚に老人斑が現れます。

    これはリポフスチンの色素沈着が原因です。
    リポフスチンは過酸化脂質とたんぱく質が結びつくことで生成されます。過酸化脂質の生成抑制に働くビタミンEの摂取はリポフスチン予防になります。

    現在、リポフスチンを分解するものとしては、納豆などに含まれるレシチン、同じくビタミンEなどが知られています。これらを積極的に摂取すればリポフスチンの分解が期待でき、老人性のシミを予防し、美肌を維持できるというわけです。

    引用元
    21世紀の美容食・納豆
    全国納豆協同組合連合会 納豆PRセンター

  4. 肌のターンオーバーの正常化
    メラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。メラニンが過剰に作られて、それがターンオーバーとともに排出されないと肌の細胞に色素沈着しシミとなって肌の表面に現れます。

    シミを防ぐにはメラニンを過剰に作らせないことはもちろん、ターンオーバーが正常に行われることも重要です。
    ビタミンEの血行促進作用により肌の細胞の新陳代謝は活発になります。それによりターンオーバーを正常化させます。

  5. 色素沈着抑制相乗効果
    上記の通り、ビタミンEには肌のターンオーバーを促進させ色素沈着を防ぐ効果があります。この効果は他の成分との併用により相乗効果を生み出します。それはシステインビタミンCです。

    システインとビタミンCは美白医薬品にほぼほぼ一緒に配合されています。
    それはともにチロシナーゼの活性を抑制させたり、黒色メラニンを無色に還元させる作用があるからです。なのでこの2つだけでも美白効果は抜群です。

    この2つにさらにビタミンEを加えるとその効果はさらに高まるとされています。

    以上の結果から,ビタミンCの紫外線照射時の色素沈着抑制効果はL―システインの併用で高まり,ビタミンEも併用することによってさらに高まることが確認された。

    引用元
    モルモットに経口摂取させたビタミンC, L-システイン, ビタミンEの併用による色素沈着抑制効果
    J-STAGE

  6. チロシナーゼ活性阻害
    メラニンはチロシンとチロシナーゼ酵素が結合することで作られます。チロシナーゼが活性されるとシミのもととなるメラニンがたくさん作られてしまいます。なのでチロシナーゼの活性を阻害することがメラニンの大量生成を防ぐために重要となります。
    ビタミンE(γ-トコフェロール
    にはチロシナーゼの活性を阻害する働きがあります。
  7. グルタチオン産生促進
    グルタチオンは3つのアミノ酸からなるトリぺプチドで、優れた美白効果をもつ物質です。
    ビタミンE(δ-トコフェロールにはグルタチオンの産生を促す働きがあります。

    出典元
    デルタ型ビタミンE(デルタ-トコフェロール)
    スキンケア研究所
    ロート製薬(株)

  8. 赤血球変形能改善
    顔の皮膚は他の場所より薄いため皮膚を通して血管を流れる血液の色が反映されてしまいます。つまり血液の色が明るければ肌の色も自然と明るくなります。

    血液の「明るさ」は酸素を運ぶ役割をする赤血球(の主成分ヘモグロビン Hb)の状態によります。


    ヘモグロビンが酸素と結びついているときは血液(赤血球)は鮮やかな赤色をしています。
    ヘモグロビンが酸素と離れているときは血液(赤血球)は暗い赤色をしています。

    赤血球が身体の末端にある肌にたくさんの酸素を届ける=肌の色を明るくするためには 鉄などヘモグロビンの材料を取ることが重要となります。

    プラスして赤血球を柔らかくすることが重要です。

    赤血球の変形能

    赤血球はその直径より狭い毛細血管を通らなければなりません。

    赤血球は基本的に柔らかくて変形能力に富んでいます。 そのため毛細血管の中を通過するときは変形して中を通っています。

    赤血球は真ん中がへんこんだ円盤状のような形をしています。この形は固定されているのではなく血管を通るときは丸まったり、折れ曲がったりします。このように変形する性質を変形能といいます。

    コレストロールの取り過ぎにより赤血球膜が硬くなります。その結果、毛細血管のその先まで(ここで言うところの肌の表皮まで)たどり着けず、酸素が運ばれにくくなり、肌の色が暗くなります。

    ビタミンE(トコトリエノール)
    には赤血球の変形能を改善する働きがあります。

    参照
    増やせ!元気でかわいい赤血球  
    NHKBSプレミアム 美と若さの新常識 

筋肉

6点

「筋肉」増強 に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 筋疲労予防
    呼吸することで活性酸素は発生します。なので激しい運動をすればするほど活性酸素は大量に発生します。筋肉の細胞が活性酸素の攻撃を受けると筋肉の損傷が大きくなります。 これが筋肉疲労の大きな原因となります。
    細胞膜で抗酸化作用を発揮するビタミンEは運動により発生する活性酸素の除去に働きます。

  2. 筋委縮予防
    筋委縮とは筋肉がやせることを言います。ビタミンEの持つ抗酸化作用は筋肉の酸化損傷を抑制するため筋肉の萎縮を予防する効果が期待できます。
    実際、動物ではビタミンEの欠乏により筋肉の萎縮が起こることが報告されています。

 

脂肪

7点

「脂肪」減少 に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 脂肪の酸化を防ぐ
    活性酸素の攻撃を受けると細胞の機能が低下します。すると細胞内のエネルギー代謝がスムーズにいかなくなります。食事から取り入れた糖質・脂質がエネルギーに変換されなければ脂肪となって体内に蓄積されます。

    このように酸化は肥満にも関わることです。ビタミンEの抗酸化作用は「酸化→肥満の流れ」を阻止するのに寄与します。

    参照
    老化・肥満はカラダの酸化が原因!抗酸化物質を多く含む食べ物 
    excite ニュース

  2. ベージュ脂肪細胞
    脂肪細胞には大きな脂肪滴が1つある白色脂肪細胞
    中小の脂肪滴&ミトコンドリアが多数存在する褐色脂肪細胞の2種類があります。

    • 白色脂肪細胞
      .

      余剰となったエネルギーを脂肪として蓄積する& 必要時に血液中に遊離脂肪酸として放出する
      役割を果たします。
    • 褐色脂肪細胞
      .

      白色脂肪細胞から遊離された脂肪酸を取り込み、エネルギーに変換
      します。
      ミトコンドリアは鉄を含んでいます。ミトコンドリアが多くあるため褐色に見えます。

    .
    なお褐色脂肪細胞の作用は、褐色脂肪細胞のミトコンドリア内膜に特異的に存在するUCP-1によるものです。

    UCP(脱共役たんぱく質)

    ミトコンドリアの内膜に存在するたんぱく質です。酸化的リン酸化のエネルギーを生成する前に ミトコンドリア内膜での酸化的リン酸化反応を脱共役させ、エネルギーをATPとしてでなく熱として散逸させることができるたんぱく質です。Uncoupling proteinの頭文字を取ってUCPと略します。
    哺乳動物UCPは5種類のアイソフォームが知られています。UCP-1は通常、褐色脂肪細胞のみ発現します。

    最近の研究により、第3の脂肪細胞が存在することが明らかになっています。

    それがベージュ脂肪細胞と呼ばれるものです。


    出典元
    第6回 3色の脂肪 予防医学としての食を学ぶ
    インターネット公開文化講座
    愛知県共済生活協同組合

    ベージュ脂肪細胞は、白色脂肪細胞が「褐色化」しUCP-1が発現し)褐色脂肪細胞と同じようにエネルギー消費能をもつ脂肪細胞のことをいいます。ベージュ脂肪細胞は、常温では白色脂肪細胞ですが、寒冷刺激などにより「褐色化」します。

    【褐色脂肪細胞を増やす】または【ベージュ脂肪細胞=(白色脂肪細胞の褐色化)を増やす】ことができれば

    脂肪酸やグルコースの酸化分解で生じたエネルギーが【ATPを介せず】直接熱に変換され散逸消費されていく


    ため「痩せる」ことになります。

    研究によりビタミンEに白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞に分化誘導する力があることが確認されています。その力はα-トコフェロールよりδ-トコフェロールのほうが強いとされています。

    参照
    肥満からの生活習慣病発症を抑制する食品成分の探索
    最新研究情報
    神奈川工科大学

 

 

ビタミンEの働き分析【中身編】

合計 46.5/60点

カテゴリー別 点数

身体 5点

エネ 5点

病気 9点

体質 9点

精力 10点

健脳 8.5点

 

身体

5点

「身体」の構成材料 に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 生体膜安定化作用
    細胞膜の基本構造はリン脂質が二層に並ぶリン脂質二重層となっています。
    脂溶性であるビタミンEは細胞膜に溶け込んで膜組織を安定させる働きをします。


    細胞膜のリン脂質ヒラヒラ部分(脂肪酸)にビタミンEが存在しているとイメージしてください。

    細胞は60兆個あります。


    この数字からビタミンEの存在がいかに重要がお分かりいただけると思います。
    ※細胞は37兆個の説もあり。

 

エネ

5点

「エネルギー」生成 に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 脂肪の酸化を防ぐ
    脂質は3大栄養素の中で一番のエネルギー源となります。1gあたり9kcalのエネルギーを産生します。糖質、たんぱく質は1gあたり4kcalです。

    脂肪が酸化されるとエネルギーに変換されにくくなるといわれています。ビタミンEは脂肪の酸化を防ぎます。

 

病気

9点

「病気」予防 に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 動脈硬化
    コレストロールは脂質の一種です。
    血液中のLDLコレストロールが酸化されると酸化LDLに変わり血管壁に沈着します。そうなると血管の内側は細くなって動脈硬化を引き起こします。

    ビタミンEは細胞膜以外にも血液中のリポたんぱく質の中にも存在しています。そこでコレストロールや中性脂肪など脂質の酸化を防ぐ働きをしています。動脈硬化予防に大きく貢献する成分です。

    なおトコトリエノールはコレストロール低下作用を有します。

  2. ガン
    がんの原因はDNAの複製エラーが大半を占めるとされます。複製エラーの主な原因となるのが活性酸素によるDNAの傷害です。強い抗酸化力で細胞膜を守るビタミンEを摂取することはガンなどの病気予防にも役立ちます。

    さて、ビタミンEのガン予防は抗酸化の観点以外からも有効と考えられます。それは免疫賦活作用です。

    高ビタミンE食を摂取すると,抗体産生や細胞性免疫などの適応免疫が一般に充進するとされているが,自然免疫についても効果が見られ,ビタミンAやEなどの脂溶性ビタミンはNK細胞の機能を充進させる

    引用元
    NK(ナチュラルキラー)細 胞と食品成分
    J-STAGE

    免疫賦活作用を介しての抗腫瘍効果も示唆されています。

    NK細胞

    NK細胞は体内を巡回し、がん細胞などを見つけると【攻撃の指令なしで】単独で攻撃、殺傷します。なので生まれつき(natural)の殺し屋(killer)です。

    なおトコトリエノールには血管新生抑制作用があります。この点においてもガン予防になります。

    血管新生

    血管新生とは既存の血管から新しい血管が形成されることです。
    がんが大きくなるためには、栄養や酸素が必要となり、それらを運ぶ血管を新たに形成する必要があります。一部のがん細胞は【自ら血管を増やすために】血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を分泌して「血管新生」しています。

  3. 心疾患
    ビタミンEには血小板凝集能を抑制する&血栓形成を抑制する作用があります。
    ビタミンEの摂取量と心筋梗塞などの心臓病の発生率低下との関連性が確認されています。

    数件の観察試験で、心疾患の発生率低下とビタミンEの摂取量増大の関連性が観察されている。約90,000人の看護師を対象とした試験において、ビタミンE最大摂取者(主にサプリメントからの摂取)では心疾患発症率が30~40%低かった

    引用元
    ビタミンE 
    海外の情報 
    「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省

  4. NASH
    脂肪肝はアルコール性非アルコール性の2種類があります。

    前者は「アルコールの飲みすぎ」による脂肪肝で、後者は生活習慣(過栄養、偏った食生活、運動不足)や遺伝による脂肪肝です。
    非アルコール性の脂肪肝はNAFLDと呼ばれています。
    NAFLDはnon-alcoholic fatty liver diseaseのことで、日本語では非アルコール性脂肪性肝疾患のことをいいます。
    NAFLDは NAFL(non-alcoholic fatty liver 非アルコール性脂肪肝)とNASH(non-alcoholic steatohepatitis 非アルコール性脂肪肝炎 )とに分かれています。うちNASHは肝疾患へと進行する可能性がある脂肪肝です。

    抗酸化作用をもつビタミンEにはNASHの改善効果が期待できます。実際にNASHの治療(基礎疾患がない場合)にビタミンEが活用されています。

    参照
    肝がんへと進行する恐れがあるNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の原因や治療法
    NHK健康チャンネル
    NHK

 

マイナスポイント

ビタミンEの摂取はがんや心血管疾患などの予防にならない説(研究により予防する効果が認めらなかった)もあります。

参照
カナダ保健省、ビタミンEサプリメントの安全性に関するファクトシートを公表
食品安全総合情報システム
食品安全委員会

体質

9点

「体質」改善 に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 免疫力UP
    先の項目ガン予防にて述べた通り、ビタミンEは免疫力を高めます。
    その摂取は風邪やインフルエンザの予防になります。
  2. 血行不良による症状の緩和
    ビタミンEの血行促進作用により血液が末梢まで流れるようになります。冷え性・肩こり・手足のしびれなど血行不良によっておこる様々な症状の緩和つながります。
    医薬品のビタミンEの用途の1つはこの「末梢循環障害によっておこるさまざまな症状の緩和」です。

  3. 貧血(溶血性貧血)防止
    溶血性貧血とは赤血球が壊されることにより引き起こされる貧血です。原因はさまざまありますが、その1つに赤血球膜が破壊されることが挙げられます。

    赤血球膜は他の細胞膜どうように脂質で構成されています。なので活性酸素により酸化されることで破壊されます。脂質の酸化を防ぐビタミンEには溶血性貧血の防止に役立ちます。


  4. ビタミンEはよく歯磨き粉に配合されています。それは歯の健康に、もとい歯茎の健康維持にビタミンEが活躍するからです。ビタミンEの血行促進作用と抗酸化作用は歯周病予防に効果があります。
  5. アレルギー
    ビタミンE(トコトリエノール)には抗アレルギー作用があります。

    参照
    トコトリエノールのアレルギー症状軽減効果
    J-STAGE

  6. むくみ
    むくむ原因の一つは塩分(ナトリウム)の取り過ぎです。ナトリウムが多くなると、体は体内の塩分濃度を調節するために水分を溜め込んでむくみやすくなります。
    ビタミンE(γ-トコフェロール)にはナトリウム排泄型の利尿作用があります。

精力

10点

「精力」増進&「性機能」向上 に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 生殖機能維持
    ビタミンEは副腎、卵巣、睾丸に高濃度で蓄えられています。それら組織を酸化から防ぎ、その構造を安定化させます。また直接ホルモンの代謝にも関与しています。そのため生殖機能の衰えを防ぐ働きがあるとされています。

    ◆女性不妊に
    ビタミンEの抗酸化作用は卵子の質を改善させます。
    ビタミンEはホルモンの分泌器官の細胞膜を守りホルモンバランスを整えます。
    ビタミンEは子宮の血流を改善し、子宮内膜を厚くする働きをします。
    女性を妊娠しやすい体質に導きます。

     

    ◆男性不妊に
    男性不妊は精子の数の減少や精子の運動率の低下があげられます。それらの主たる原因は「活性酸素」です。ビタミンEの抗酸化作用は精巣内における活性酸素の除去に有効です。
    実際、ビタミンEは男性不妊治療に活用されています。


    そもそもビタミンEはラットの抗不妊因子として発見されました。
    別名であるトコフェロールはギリシャ語のtocos「子供を生む」・phero「力を与える、獲得する」・ol(水酸基)に由来しています。

  2. 女性の悩み解決
    ビタミンEは女性ホルモンのバランスを整えるます。月経前症候群・生理痛・生理不順などを改善する効果もあります。

 

健脳

8.5点

「脳」の健康 に関わるビタミンEの働きは主に次です。

  1. 脳の健康維持
    脳は脂肪が多い組織です。水分を除くと60~65%は脂質(うちリン脂質が50%)でできています。
    脳は酸素の消費量が多いです。全身酸素消費量の約20%は脳組織です。そのため、活性酸素が発生しやすい場所です。

    ビタミンEは脳の脂質部分を活性酸素から守ります。脳の健康維持にも役立つ成分です。

    これは実験でも確認できます。軽度から中度のアルツハイマー患者対象に行われた二重盲検試験結果で、ビタミンEを2000IU/日摂取した場合に(プラセボと比較して)認知機能の低下遅延が確認されています。

 

マイナスポイント

一部では、ビタミンEサプリを使用することによって認知能力が維持されたり、改善したりする十分なエビデンスはないとされています。

参照
アルツハイマー病にビタミンEは効かない?
MEDLEY
(株)メドレー

 

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ビタミンEのサプリメント紹介

 
ビタミンEのサプリメントを紹介します。
 
Solgar

 

Solgar, ビタミンE、268mg(400IU)、ベジタリアンソフトゲル100個
iHerb.com

 
 
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iHerb.com

 

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ビタミンEのサプリメントを紹介します。

ビタミンE+ゴマリグナン

Life Extension

 

ビタミンE+セレン+レシチン
 
Solaray

 

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ビタミンEのまとめ

分析【見た目編】46.5

分析【中身編】46.5

 

ビタミンE 過酸化脂質の生成を抑制 参照一覧

ビタミンE解説 「健康食品」の安全性・有効性情報 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 

ビタミンE 海外の情報 「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省

ビタミンEの働きと1日の摂取量 健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団

5. 1. 3. ビタミンE 厚生労働省 

トコフェロール – 食品安全委員会 厚生労働省

ビタミンEとは? 公益社団法人ビタミン・バイオファクター協会

酸化ストレスと抗酸化療法 J-STAGE

活性酸素 ・フリーラジカルに対する 防御システム J-STAGE

ビタミンEの 酸化生成物 J-STAGE

ビタミンEおよびその類縁化合物の抗酸化作用 J-STAGE

研究し尽くされたはずのビタミンE:次々と発見されるエステル体の生理作用とメカニズム J-STAGE

トコトリエノールの代謝とその調節 J-STAGE

ビタミン E とビタミン K の代謝の相互作用 J-STAGE

食品成分相互作用による生体内抗酸化機能の増強効果 J-STAGE

非アルコール性脂肪性肝疾患モデルにおける ビタミンE同族体の予防効果 J-STAGE

ビタミンE の新しい機能と安全性 J-STAGE

ビタミンEの 生理活性 一抗酸化作用を越 えて一 J-STAGE

血管新生 J-STAGE

ビタミン E 特異的輸送タンパク質 α-TTP による 体内ビタミン E レベルの制御 公益社団法人 日本生化学会

ビタミンE 一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所

ビタミン E としてのトコトリエノールの研究を先導する 光洋照会

肌とビタミンA・EとコエンザイムQ 公開講座 東邦大学

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