さて今回からようやく本格的にカロテンの話に入ります。なかなかカロテンの話にすすまなかったのはビタミンAのせいでした。ビタミンAのせいというのもおかしな話なのですが、カロテンを説明するのにどうしてもビタミンAの知識が必要のためちょっとビタミンAの説明に時間を割いてしまったわけです。
ビタミンAという栄養成分は目にも、粘膜にも、肌にも、髪にもいいです。さらに強力な抗酸化作用をもっています。
その反面、脂溶性ビタミンのため過剰症の心配があるという短所もあります。果たしてカロテンとビタミンAにはどんな深い関係があるのでしょうか?
さて今回からようやくカロテン類の話に入りたい思います。まあカロテン類のカロテンの話です。
今までビタミンAの話に時間をかけてきたのはビタミンAがカロテンと関係しているからでした。
どのように関係しているかはこの一文から見つけることができます。
まあまあ、焦らない、焦らない。
前回の終わりのほうでプロビタミンAの説明しました。
プロビタミンのプロとは「前に」という意味で、プロビタミンとはビタミンの前駆体のことで、プロビタミンAとはビタミンAの前駆体といったのを覚えているでしょうか。
つまり前駆体であるプロビタミンAは体内に入り、吸収され合成する過程で化学的変化を受けてビタミンAにかわるというわけです。
前駆体とは化学反応において、ある物質が生成される前の段階にある物質のこと
このプロビタミンAにあてはまるのがカロチノイド類に50種類ほどあるのですが、そのメインとなっているのがカロテン類のカロテンなのです。
まあメインというか・・・プロビタミンAとして有名なのがカロテンなのです。
カロチノイドは約600種類ぐらいあるといわれていますが、そのうちの50種類がプロビタミンAに分類されます。カロチノイドの約1/12のがプロビタミンAということです。
で50種類のプロビタミンAの中で最も有名なのがカロテンです。まあ私が勝手にそう思っているのですが、たぶん世間一般の感覚もそうだと思います。
で、カロテンって、もう気づいているかと思いますが、これまた総称のことです。カロテンは実は3種類あります。αカロテン、βカロテン、γカロテンです。
そうなんです。
まあこのうちγはあまり存在感がないので、大きくαとβに2種類わかれていると考えてください。今回はこのこの3つを軽く説明したいと思います。
順番からいうとα→β→γで説明すべきですが、このなかで圧倒的に世間に浸透しているのはβカロテンだと思います。なのでβカロテンの話から始めたいと思います。
※本来なら、α-カロテン、β₋カロテンとハイフンを入れて記載すべきですが、めんどくさいので外しています。あしからず
βカロテン
カロテンの中でももっとも有名なのがβカロテンだと思います。多くの人はカロテンと言われたらβカロテンが思い浮かぶと思います。βカロテンは緑黄色野菜などに多く含まれています。さきほどカロテンは3種類あるといいましたが、緑黄色野菜に含まれているカロテンのほとんどはβカロテンです(例外は人参で人参はαカロテンが多いです)。
βカロテンの効果としては目の健康維持、粘膜の健康維持、肌荒れを防ぐ、美肌をつくるなどがあげられます。
そうなんです。ビタミンAの効果と一緒なのです。
というかプロビタミンAってそういうことなので。繰り返し言いますがプロビタミンAとは、体内で化学変化を受けてビタミンAにかわるもののことをいいます。
βカロテンは、体内でビタミンAが不足した時に、必要に応じてビタミンAに変換されるためビタミンAと同様の効果が期待できます。
ははーん。そこにビックリしたのですか?
βカロテンは体内に入ったら、ビタミンAが必要とされている量のみビタミンAに変わるのです。
プロビタミンAの属しているものすべてがそういう仕組みがどうか知りませんが、
とにかくβカロテンはビタミンAが不足しているときにだけ、ビタミンAに変わる優れものなのです。
不足していなければ、即、ビタミンAが過剰になるってことか?
それとも都合よく変わらないなんてことはねえだろうな~
後者が正解です。
βカロテンってすべてがビタミンAにかわるわけではないのです。あくまでも体にとって必要となるビタミンAの量だけビタミンAに変わるのです。
ビタミンAの必要量を満たした場合、残ったものは脂肪組織に蓄えられβカロテンとして働きます。
このβカロテンの働きとしては、体内で強力な抗酸化作用を発揮することです。
βカロテンの抗酸化作用は黄斑変性症を予防する効果があります。
ビターん
ともかくβカロテンはビタミンAが不足しているときは、ビタミンAとしての働きをします。もう一度ビタミンAの効果・効能を出しますよ。よく読んでください。
- 目の健康を保つ効果
・・・・ビタミンAは網膜にあるロドプシンの主成分です。ロドプシンが分解と再合成を絶えず繰り返すことによって物を見ることが出来ます。 - 粘膜や皮膚を健康に保つ効果
・・・ビタミンAは粘膜や皮膚の上皮細胞の代謝を促して、病原菌などが侵入するのを防ぐ役割をします。 - 抗酸化効果
・・・ビタミンAは活性酸素を除去する抗酸化物質としても有名です。ビタミンC、EとあわせてビタミンACE(エース)と呼ばれているほど、強い抗酸化力をもっています。 - その他(髪の健康を保つ、免疫力を高める、ガンを抑制する、生活習慣病を予防する)
で、ビタミンAが不足していない場合はβカロテンとして強い抗酸化作用を発揮します。
これってすごくないですか?
ビタミンAの欠点というか短所はなんでしたっけ?
正解です。
じゃあ不足している分だけビタミンAにかわり、必要量を満たしたらビタミンAに変わらないβカロテンを取るってことはどういうことがいえますか?
そうなんです。ビタミンAとしての働きを兼ね備え、かつビタミンAの過剰症を予防するという点でβカロテンはスーパーな栄養成分といえます。
カロテンはα、β、γの3種類があるといいましたが、この中で一番ビタミンAの転換率(ビタミンAとして作用する割合)が高いのがβカロテンなのです。
※といってもβカロテンの摂取量の1/12程度しかビタミンAとして作用しません。
βカロテンを大量に摂取した場合、手のひらとか足の裏が黄色にかわるだけです。これは「柑皮症」と呼ばれるもので、βカロテンに限らず、カロテンを多く摂取した場合に起こる症状です。
そんなに心配はいりません。黄色に変わるのは一時的な症状なので。
柑橘類などカロテンを多く含むものを食べるのを控えればすぐに治ります。明らかにカロテン類を食べ過ぎていると感じ、手や足が黄色に変わっていたら食べるのをストップすればいいだけの話です。
αカロテン
プロビタミンAであるαカロテンもβカロテン同様に、ビタミンAが不足している時にだけにビタミンAに変換されます。
ただし、このビタミンAへの転換率はβカロテンより低く、βカロテンの半分ぐらいといわれています。
確かにαカロテンはビタミンAへの転換率は低いのですが・・・
カロテンの効果である抗酸化作用がとてつもなく強いといわれています。抗酸化作用はβカロテンの10倍はあるといわれています。
なのでカロテンの抗酸化作用を期待しているのならば、αカロテンから摂取するのがベストといえます。ただビタミンAの転換率が低いのがネックなので、βカロテンと一緒に摂取するとよいといえます。
というか深く考えず、αカロテン、βカロテン両方含まれているカボチャとか人参とかの緑黄色野菜をとればいい話です。
まとめ
このようにカロテンは・・・
そういえば、忘れていました。
γカロテンってαカロテンやβカロテンの前駆体です。人参などに微量に存在しているものですが、ビタミンAへ転換率は極めて低いです。なので個人的にはγカロテンはプロビタミンAに含まれるもの、3種類あるカロテンに含まれるものぐらいの認識でいいと思います。
えーとこのようにβカロテンなどは、体内で必要に応じてビタミンAに変換されるというプロビタミンAという便利な栄養成分です。
ビタミンAは目にも粘膜にも肌にも髪にとっても必要不可欠な成分です。あと言うのを忘れていましたがビタミンE、ビタミンD、ビタミンB群などはビタミンAが体内に十分存在していないとその効果・効能を十分に発揮することはできないといわれています。
つまりビタミンAってほかの栄養成分にとっても大事な存在なのです。
ビタミンAにはこのような素晴らしい効果・効能がある一方で、脂溶性ビタミンのため過剰症の心配があります。
なのでビタミンAを摂取することを考えた場合、プロビタミンAであるβカロテンなどから摂取することをお勧めします。
えーとカロチノイドのカロテン類のカロテンの説明は終わりです。次回はカロテン類の中でも超有名なやつを紹介したいと思います。