クルクミンの評価 S
クルクミン
ポリフェノール
クルクミンはポリフェノールの一種です。
ポリフェノールは構造の違いにより、フラボノイドとそれ以外(ノンフラボノイド)に大別されます。
2つのベンゼン環が炭素でつながった構造を基本骨格とするものをフラボノイドといいます。
出典元
フラボノイド
ウィキペディア
代表的なフラボノイドとして、アントシアニンやイソフラボンが挙げられます。
クルクミンはノンフラボノイドです。
クルクミノイド
クルクミン類にはクルクミンとその類縁体(デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン)があります。合わせてクルクミノイドと呼ばれます。
クルクミンは2つのフェノール環とβ-ジケトン構造をもっています。
出典元
クルクミン
ウィキペディア
クルクミンの類縁体はメトキシ基(ーOCH₃)の有無により異なります。
片方のフェノール環の OCH₃が→H となるとデメトキシクルクミンで、
両方のフェノール環の OCH₃が→H となるとビスデメトキシクルクミンとなります。
クルクミンはクルクミノイドの成分の1つですが、正直、クルクミノイド≒クルクミンでいいと思います。
その理由は次です。
クルクミンといえばウコン
クルクミンは、ウコンの根茎に含まれています。
ウコンの特徴である黄色の色素成分がクルクミンです。
ウコンの「黄色」は、厳密にいうと「クルクミノイド」なのですが、その大半は「クルクミン」によるものです。
ウコンの中には,クルクミノイドと呼ばれるジアリールヘブタノイド化合物が黄色色素として含まれる.クルクミン(U1)が黄色色素の約85%を占め,メトキシ基の少ない2つの化合物(U2,U3)がマイナー量含まれている
引用元
香辛料中の抗酸化物質について
PDFページ 7/8
J-STAGE
ということで、「クルクミンはクルクミノイドの成分の1つ」というよりは、
「クルクミンはクルクミノイドの代表的な成分」といった表現のほうがしっくりくると思います。
なお、ウコンの英語名はターメリックです。
クルクミンを食事から取るとしたらカレー
ターメリックはカレーのスパイスとしてご存知かと思います。
スパイスは、大きく分けて「香り」づけ・「辛味」づけ・「色」づけの3つの役割を担っています。
ターメリックは、カレーの「色」づけに用いられます。
カレーの黄色はターメリックに含まれるクルクミンによるものです。
ターメリック(クルクミン)はたくあんやマスタードなどに着色剤としても利用されていますが、ある程度の量のクルクミンを食事から取るとしたら、カレーの一択になると思います。
メディアで、よく健康食としてカレーが取り上げられています。
カレーは「究極の健康食」 上手に食べて夏バテ解消
日経Gooday
それは、カレーに含まれる数々のスパイスに、【健康にプラス作用をもたらす】様々な効果があるからです。
その筆頭がターメリックで、ターメリックに含まれるクルクミンです。
クルクミンの体内での働きは、目を見張るものがあります。
クルクミンの働きの数は桁違い
クルクミンの有する作用は抗炎症作用・抗酸化作用・脂質代謝改善作用・胆汁酸分泌促進作用・認知機能改善作用など多岐に渡ります。
次にあげる、多様な生命現象に関与する転写因子などに対して、活性化または阻害することで、これら作用をもたらすのですが、
その数が「桁違い」に多いです。
- NF-κBの活性を阻害する
→抗炎症作用 - Nrf2を活性させる
→抗酸化作用 - COX-2の発現を抑制する
→抗炎症作用 - アディポネクチンの分泌を促す
→脂質代謝改善 - GLP-1の分泌を増やす
→脂質代謝改善 - p300の活性化を抑える
→新機能改善 - mTORCの活性を阻害する
→抗老化 - アミロイドβの凝集を阻害する
→認知機能改善
※他にもたくさんあります。
※赤は個人的に特に覚えておきたいと思っているクルクミンの働きです。
.
これだけ多くの働きをするクルクミンを、体内に取り入れないというのは、
はっきり言って「損」だと思います。
クルクミンの吸収率の低さも桁違い
数多くの働きをするクルクミンですが、大きな欠点があります。
そもそも、ポリフェノールは 他の栄養素と比べて体内への吸収率が低いのですが、
なかでも、クルクミンの体内への吸収率はとても低いです。
吸収率の低さも ある意味「桁違い」です。
吸収率がとても低い理由は、次です。
①溶解度が低い
クルクミンは水に溶けにくい難水溶性化合物である。
②安定性が低い
クルクミンは、中性及びアルカリ性のpHで速やかに加水分解される
しかし、CURは水への溶解度が 1μg/mL未満と極めて低く、経口摂取後の生体内への吸収は非常
に限られている。更に、CURは中性以上のpH領域において速やかに加水分解を受けるため、小腸のpH環境下においての化学的安定性が低いことも知られている引用元
高吸収性クルクミン食品開発のための 新規水溶性ナノ複合体の設計および安定化に関する研究
公益財団法人 浦上食品 ・ 食文化振興財団
.
クルクミンは吸収率がとても低い、だから体内にはほとんど吸収されない。
それゆえ(それ以外の理由も含めて)、クルクミンを含むウコンをとってもあまり意味ない といったようなことが言われていることがけっこうあります。
ざっと調べたところでも これだけ発見しました。
安心してください
取ってもあまり意味ないか否かは、「ほとんど吸収されない」の「ほとんど」をどう捉えるかによります。
先の段落で述べたように、クルクミンには優れた生理作用が多々あります。
ではなく・・・
クルクミンの吸収率を上げる方法があります!!
クルクミンの吸収率をあげる成分
世の中にはクルクミンの吸収率をあげる成分が2つあります。
勝手に2つと断定していますが、この2つが吸収率をあげる成分として、とても有名です。
それは大豆レシチンとピペリン(黒コショウ)です。
なので、カレーを食べる時に、
きなこ(大豆レシチン)を かける
黒胡椒(ピペリン)を かける
だけで、カレーに含まれているターメリックの体内吸収率を大幅にあげることができます。
レシチンは吸収率を約300倍、ピペリンは約20倍あげるとされています。
※数値は諸説あり
なお、きなこに関しては、調理中ではなく食べる直前に入れるというのがミソです。
理由はレシチンは熱に弱いからです。
◆レシチン
食べるだけで脳を修復!? 老化予防!?集中力アップ!? 医者も食べている驚きの「ブレインフーズ」の秘密!
授業復習 世界一受けたい授業
NTV
◆バイオぺリン
クルクミン(臨床試験)
(株)サビンサジャパンコーポレーション
というわけで、毎日カレー【&きなこ or 黒コショウ】を取れば、ある程度の量のクルクミンを摂取することができ、クルクミンの有する作用をそこそこGETできます。
日本の食品会社やサプリメーカーでは、クルクミンの1日の目安量を30mgと設定していることが多いです。
この量をカレーから取るとしたら、約5杯が必要になります。
とはいえ、「クルクミンを食事から取る」の選択肢が、実質カレー1つなのは正直キツイと思います。
週3ぐらいはイケると思いますが、毎日となると相当なカレー好きでない限りムリだと思います。
そんなときはサプリです。
巷では、「クルクミンの吸収率がとても低い」を改善したサプリが多数販売されています。
クルクミンサプリを紹介します
例えば、ナノカプセル化したクルクミンサプリです。
その他にも独自の加工技術でコーティングしたり、吸収を助ける成分を一緒に配合したり「クルクミンの吸収率や効力をアップさせる」ことを目的としたクルクミンサプリが数多く販売されています。
それはよく特許商品として販売されています。
特許の一部を紹介します。
独自加工技術(微細化・分散化加工技術)により従来のクルクミンに比べ約27倍の吸収性を可能にさせています。
出典元
セラクルミン®
製品案内
(株)セラバリューズ
日本の会社が開発しています。
参照
セラバリューズ、肝臓を癒やす「素材革命」 機能性素材「セラクルミン」を国内外に供給
日経ビジネス (株)日経BP
総クルクミノイド95%以上で規格化されている商品です。
C3コンプレックスとはクルクミンとその類縁体デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミンの3つから取った名称です。
FDAからGRAS認証を取得しています。あらゆる分野での臨床試験に用いられ、数多くの論文発表がなされています。
参照
イントロダクション C3コンプレックス®とは
(株)サビンサジャパンコーポレーション
送達剤形のクルクミンです。クルクミンと大豆レシチンを重量比1:2に調整して、2種類の微結晶セルロースを加えて、最終製品全体のクルクミン含有量を約20%しています。その相乗効果より、経口バイオアベイラビリティと体内吸収率があがります。薬物動力学的比較試験で証明されています。
※バイオアベイラビリティ・・・投与された薬物(製剤)が全身循環に到達する割合をあらわす定数
参照
ウコン抽出物[製品名:メリーバ]
ユニキス(株)
MERIVA
ノウハウバンク(株)
.
繰り返しになりますが、クルクミンは吸収率がとても低いです。
なのでクルクミンサプリを取るなら、吸収率をあげたタイプを選択することを強くお勧めします。
軽々しく言うのもアレですが、特許商品であれば、その辺の心配をする必要はあまりないと思います。
クルクミンの効果・効能
抗炎症作用
NF-κBが活性化されると炎症反応が誘導されます。
クルクミンは、その活性化を阻害するため、抗炎症作用を有します。
NF-κB
NF-κBは炎症反応・免疫応答・細胞分化や増殖などに関与している転写因子です。
転写因子はDNAに特異的に結合するタンパク質の一群で、【DNAに結合して】遺伝子の活性を調節する重要な役割を担っています。
NF-κBは普段は細胞質の中で、
NF-κBの核内移行を阻害しているIκB(アイ・カッパー・ビー)などのNF-κB阻害因子とくっついた状態で存在します。
これが通常時=不活性型のNF-κBです。
出典元
NF-κBデコイオリゴ
開発パイプライン
アンジェス(株)
病原体感染・紫外線など細胞が外部からの刺激を受けると、不活性型のNFκBは活性化されて、核内に移動し、転写因子としての機能=炎症反応を誘導します。
出典元
NF-κBデコイオリゴ
開発パイプライン
アンジェス(株)
黄色部分をもう少し、コンパクトにして説明すると次となります。
①刺激を受けるとNF-kBにくっついていたIκBが分解されます。
- ウイルス
- 紫外線
- 活性酸素
- 炎症誘発性サイトカイン(TNF-αおよびIL-1)
etc
②IκBが外れたNF-kBは活性化され、核内に移動します。
③NF-kBは、炎症性サイトカインなど炎症反応や免疫応答に関与する遺伝子を活性化させ、炎症反応を誘導します。
- TNF-α
- IL-1
- IL-6
- IL-8
- iNOS
- COX-2
etc
.
NF-κBが過剰に活性化されると
IκBが正常に働かない などの理由で、NF-κBが過剰に活性化すると、炎症反応が暴走化する状態が続き、アレルギー性疾患・炎症性疾患・自己免疫疾患・がん といった病気が発症します。および老化を促進させます。
NF-κBの活性化は例えるならば、炎症反応を誘導する「スイッチ」です。
スイッチのオン・オフが一過性となるように厳密に制御することが、正常な免疫応答を保つことに、しいてはさまざまな疾患の発症を防ぐことにつながります。
逆にいうと、スイッチがオンのまま【=NF-κBが過剰に活性化する】が「慢性炎症」の状態です。
この状態が続くと、生体組織の機能や構造に異常が生じて、さまざまな疾患の発症リスクを高めます&老化を促します。
クルクミンはNF-κBが活性化するのを阻害する
クルクミンにはNF-κBの活性化を阻害する作用があります。
もう一度、炎症メカニズムをご覧ください
①刺激を受けるとNF-kBにくっついていたIκBが分解されます。
②IκBが外れたNF-kBは活性化され、核内に移動します。
③NF-kBは、炎症性サイトカインなど炎症反応や免疫応答に関与する遺伝子を活性化させ、炎症反応を誘導します。
.
①をもう少し肉付けすると、【刺激を受ける→IKK複合体が活性化→IκBがリン酸化される→IκBがユビキチン化され分解される】となります。
クルクミンは、IκBのリン酸化およびユビキチン化による分解を防ぐことでNF-κBの活性化を阻害します。
一方、ショウガ科ウコンの成分であるポリフェノール系化合物クルクミン(Cur)はNF-κBと結合しているIκBのリン酸化ならびにユビキチンによる分解を抑制することによりNF-κBの活性化を阻害する。
引用元
革新的抗がん薬実用化に向けた プロドラッグ型クルクミンの前臨床試験
京都大学医学部附属病院 先端医療研究開発機構
ということで、クルクミンに抗炎症作用があります。クルクミンを摂取することで、健康(様々な疾患を予防)と美容(老化を防止)を手に入れることができます。
※補足 抗炎症作用(COX-2)
先ほどの抗炎症作用(NF-κB)の話をコンパクトにまとめます。
NF-κBは炎症反応などに関与している転写因子。
NF-κBは普段は細胞質の中で、IκBとくっついた状態で存在している。
IκBはNF-κBの核内移行を阻害している。
・・・・この時点では、細胞質に存在している・・・・
病原体感染・紫外線など細胞が外部からの刺激を受けると、IκBが分解され離れる。
NF-κBは活性化される。
・・・・活性化されると細胞質から核内に移動する・・・・
活性化されたNF-κBは、炎症反応に関与する多くの遺伝子の発現を調節し、炎症反応を誘導する
.
クルクミンは(IκBが分解を防ぐことで)NF-κBの活性化を抑制する。
だからクルクミンに抗炎症作用がある。
NF-κBにより発現が調節される遺伝子のうち、炎症反応に特に関わっているのがCOX-2です。
アラキドン酸は、過剰に存在すると、エノコサイド【プロスタグランジン(PG)やロイコトリエン】といった炎症を起こす物質に代謝されます。このことをアラキドン酸カスケードと呼びます。アラキドン酸カスケード代謝を触媒する酵素がシクロオキシゲナーゼ(COX)です。 COX-1は恒常型で、生体保護にも働く→善玉作用もあります。
COXには2つのアイソザイムが存在します。
COX-1は全身の大部分の細胞に恒常的に発現しています。
一方、COX-2は通常は細胞内にはほとんど存在せず、炎症にともなって著明に発現します。
COX-1を阻害すると、抗炎症作用が得られるとともに、胃粘膜保護作用など生体保護に関連するPGの産生が抑制されることによる副作用もあらわれます。
COX-2は誘導型で、炎症に働く→悪玉と考えてください。
厳密にいうと、クルクミンの抗炎症作用は、NF-κBの活性化を阻害することで、COX-2の発現を抑制して となります(推定されます)。
さらに、クルクミンには強力な抗炎症作用が確認されており、その分子機構としてはIκB燐酸化酵素経路の活性化によるNFκBの不活性化によるシクロオキシゲナーゼ‐2遺伝子の発現抑制作用が推定されている。NFκBは生体内の様々な機能亢進に関与することから、クルクミンはその抑制剤としての潜在性が期待されるようになっている。
なお、クルクミンはCOX-2を直接阻害する働きもあるともされています。
クルクミンは,直接シクロオキシゲナーゼ−2を阻害し,その産生に関与する遺伝子の転写も阻害する。シクロオキシゲナーゼ(COX)は,アラキドン酸から複数のプロスタグランジン(PGs)の合成を触媒する。
引用元
クルクミンの生物学的利用率を向上させるための組成物
JP5511895B2
Google Patents
以上、補足でした。
ここでは、クルクミンには【NF-κBの活性化を阻害する働きがあるから】抗炎症作用があるでいいと思います。
抗酸化作用
ヒトは、体内に 酸化ストレスを感知して、無害化する「しくみ」を備えています。
この「しくみ」が機能することにより【酸化ストレスに対し、生体応答を働かせることで適応し、】生体の恒常性を維持しています。
応答機構の中心的役割を担っているのはKeap1-Nrf2システムです。
酸化ストレスを感知するのが、Keap1というタンパク質です。
生体防御酵素群の遺伝子発現を活性化させるのが、Nrf2という転写因子です。
出典元
プロジェクトの概要
東北大学加齢医学研究所 加齢制御研究部門
遺伝子発現制御分野
ストレスのない状態【出典元 イラストの非ストレス存在下】では、Keap1はNrf2の働きを抑制します。Nrf2をユビキチン化し、Nrf2を分解することでその働きを抑制します。
これにより Nrf2は細胞内に蓄積し、細胞質から核に移行し、Nrf2として機能=Nrf2が活性化 します。
.
Nrf2が活性化されると生体防御群の遺伝子発現が活性化されます。
生体防御群とは、抗酸化や解毒代謝を担うさまざまな抗酸化酵素や解毒化酵素のことです。
ということで、Nrf2が活性化されると生体内の抗酸化作用や解毒作用が強化されます。
.
さて、この文章の下線部に注目してください。
これにより Nrf2は細胞内に蓄積し、細胞質から核に移行し、Nrf2として機能=Nrf2が活性化 します。
.
新電子性物質とは内部に電子が少ない部分をもった分子=他の分子から電子を奪う性質をもった分子です。活性酸素どうように毒性の化学物質です。
Keap1-Nrf2システムを発動させるには、紫外線を浴びるなどして体内の活性酸素を増やすか、「毒性の低い(安全性の高い)」新電子性物質を取り入れるかです。
当然ですが、ここでの狙いは後者です。
「毒性の低い(安全性の高い)」新電子性物質を取り入れて、Keap1-Nrf2システムを発動させ生体内の抗酸化作用や解毒作用が強化させるです。
本題に入ります。
植物性食品は、そこそこ親電子性物質です。
植物の二次代謝産物中には,様々な親電子性物質あるいはその前駆体が多数発見されている
引用元
細胞の酸化ストレス耐性に関わるシグナル伝達系
PDFページ 1/7
J-STAGE
もう一度出典元のイラストをご覧ください。
右下3つは、ここでいうところの「毒性の低い(安全性の高い)」新電子性物質です。
- スルフォラファン(ブロッコリースプラウト)
- イソ
チオシアネート(わさび) - カルノシン酸(ローズマリー)
つまるところ、これら(カッコないの)食物に含まれる新電子性ファイトケミカルは、Nrf2を活性させる働きがあるということになります。
=天然のNrf2活性剤です。
天然のNrf2活性剤として、次の3つも、プラスして覚えておいてください。
- レスベラトロール(ブドウの茎・葉・果皮・種子など)
- クルクミン(ウコン)
- カテキン(緑茶)
例えば、レスベラトロール、クルクミン、カテキン、エピガロカテキンガレート等にNrf2の活性化作用があることが報告されており(非特許文献5)、また、シソの抽出物に含まれる、2’,3’−ジヒドロキシ−4’,6’−ジメトキカルコン等の特定のカルコン体(非特許文献6)や、ベンゼン環上にメトキシ基やトリフルオロメチル基を有するカルコン誘導体(非特許文献7)に、Nrf2活性作用があることが報告されている。
引用元
公開特許公報(A)_Nrf2活性化剤
国立研究開発法人科学技術振興機構
というわけで、天然のNrf2活性剤であるクルクミンを摂取すると、体内の抗酸化防御システムが強化される&解毒効果が高まります。
肝機能改善
肝臓でアルコールはADH(アルコール脱水素酵素)などによって、アセトアルデヒドに分解されます。
続いてアセトアルデヒドは、ALDH2(アルデヒド脱水素酵素)によって分解されて酢酸になります。
その酢酸は最終的に水と二酸化炭素に分解され、尿や汗などなって体外に排泄されます。
出典元
アルコール代謝のしくみ
お酒と健康の関係
アサヒグループ
二日酔いの症状は、アルコールの中間代謝物であるアセトアルデヒドによって引き起こされます。
クルクミンは血中のアセトアルデヒドの濃度の上昇を抑えます。
実際 臨床試験で、飲酒30分前に高吸収型のクルクミンを飲んだ人は、アセトアルデヒドの血中濃度の上昇が抑えられたという報告があります。
クルクミンには、胆汁酸分泌促進作用もあります。解毒酵素誘導作用もあります。
クルクミンは肝機能を高める・二日酔いを予防する・二日酔いの症状を軽減する成分として非常に有名で、クルクミンを豊富に含んだウコンを摂取することが飲み会前の定番となっています。
関節の健康
関節リウマチ
関節リウマチは関節に炎症が起こり、腫れや痛みが生じ、放っておくと関節が変形してしまう病気です。
関節リウマチの炎症の原因物質はプロスタグランジンです。
刺激を受けると細胞膜のリン脂質からアラキドン酸が遊離されます。このアラキドン酸が代謝され、プロスタグランジンになります。プロスタグランジンが腫れや痛みを引き起こします。
プロスタグランジンの代謝には「COX-2」という酵素が関わっています。
COX-2を抑えることで、炎症が軽減されます。
実際 関節リウマチの治療に用いられる薬の1種に、選択的COX-2阻害薬があります。
クルクミンはCOX-2の活性を阻害します。関節リウマチの予防や改善の効果があります。
変形性関節症
変形性関節症は、骨の間のクッションの役割を果たす軟骨が加齢とともにすり減ったり、なくなってしまうことで、膝の形が変形してしまう病気です。
骨と骨が、直接こすりあうようになり激しい痛みが生じます。クルクミンは変形性膝関節症の痛みの軽減にもなります。
参照
ウコン成分がひざ関節症に有効。京都医療センターの臨床研究
産経WEST
クルクミンのサプリメントによくあるキャッチフレーズ集
- お酒を飲む前に
- お酒をたくさん飲む人に
- 二日酔い対策に
- 肝臓の健康が気になる方
- 元気な毎日をサポート
クルクミンの摂取量、不足、過剰
日本の食品会社やサプリメーカーでは、1日の目安量を30mgと設定していることが多いです。
この量をカレーから取るとしたら、約5杯が必要になります。
ポリフェノールは5大栄養素ではありません。
ポリフェノールの不足によりどうこうはありませんので、クルクミンもまたしかりです。
ただ、クルクミンには優れた生理作用が多々あります。取らないことは一言でいうと「もったいない」です。
ご自身の体重から量を計算し、それを超えないようにしてください。
例 体重50㎏→許容摂取量150mg
ウコンの色素成分であるクルクミンは、国際機関JECFAがADI(一日許容摂取量)を体重1kg当たり3mgと設定しています。これは、体重50kgの人で、150mgとなります。
引用元
市川教授『ウコンエキスの安全性』
ウコン研究所
ハウスウェルネスフーズ(株)
この量は食事からだとまず心配はいりません。
超えるとしたらサプリからです。目安量を無視して、多めに取ってしまった場合です。
クルクミンに限らず、サプリの目安量はしっかりと守ってください。
なお、クルクミンをウコンから摂取すると考えた場合に注意が必要です。
肝臓にすでに問題を抱えている人がウコンを取りすぎると逆に健康を害する可能性があります。
参照
酒飲み・脂肪肝の人 「ウコンのとり過ぎ」に注意
NIKKEI STYLE
クルクミンの豆知識
その作用により、免疫細胞のダメージを防ぐ=免疫活性を維持する働きがあります。
クルクミンには過剰な免疫反応を抑える=免疫バランスを整える働きもあります。
よくカレーが花粉症対策になるといわれますが、それはカレーに含まれるクルクミンによるものです。
参照
予防の間違い探すンデス!
木曜放送内容 ヒルナンデス!
NTV
Pg菌は「ジンジパイン」という歯周組織破壊酵素を分泌して、歯肉に炎症を起こします。
そして歯肉組織を破壊して歯周ポケットを深くします。日本人成人の6割はPg菌に感染しているとされています。
研究により、クルクミンにPg菌の働きを抑える作用があることが判明しています。クルクミンは必要な常在菌はそのままで、Pg菌の働きを抑えます。
※歯周病抑制効果をもつ化学的な殺菌成分の多くには、悪玉菌のみならず、善玉菌も殺してしまうデメリットがあります。
ウコンについて
ここでは、ウコンについて簡単に説明します。
ウコンには種類がある
ウコンといってもそれ一つではなく、世界にさまざまな種類があります。
日本で利用されているのは、秋・春・紫の3種類です。
出典元
ウコンについて
ウコン研究所
ハウスウェルネスフーズ(株)
日本では、ウコン=秋ウコンのことと捉えてください。
ウコンの用途
ウコンの用途を簡単にまとめると以下になります。
- 栄養補助食品
リンク
二日酔い予防や肝機能回復など、飲み会対策や健康維持に活躍します。 - 香辛料・食用色素
リンク
カレーのスパイスや辛子・たくあんなどの黄色の着色料として活用されています。 - 漢方・生薬
リンク
ウコンは漢方の材料や薬草として、様々な疾患の治療に利用されています。 - 染料
リンク
ウコンは生地の染料に利用されます。ウコンを使って染められた生地をウコン生地と呼びます。ウコン生地には「防虫」と「防菌」の効果があります。
.
ウコンのもう一つの特有成分
さて、今までウコンの特有成分として「色素(クルクミン)」のみに言及してきました。
が、ウコンには香りや風味のもととなる「精油」も含まれています。
ウコンの特徴的な成分は、大きく色素成分と精油成分にわけることができます。
出典元
ウコンについて
ウコン研究所
ハウスウェルネスフーズ(株)
精油成分は、主に漢方・生薬において活躍しています。
この分野においては、色素成分より活躍しているイメージがあります(個人感)。
鬱金 姜黄 莪朮
もう一度、こちらをご覧ください。
出典元
ウコンについて
ウコン研究所
ハウスウェルネスフーズ(株)
表の和名に注目してください。これらを漢字で書くと
- ウコン→鬱金
- キョウオウ→姜黄
- ガジュツ→莪朮(莪蒁)
.
です。
漢字に、見覚えがある方がいるかもしれません。
3つとも生薬としてよく利用されています。
漢方薬を調合する際の材料となる薬草または薬効物
特にガジュツなんかは、古くから胃腸管系の病気によく使用されているので、知っているかたは多いかもしれません。
今度は、表の右端のクルクミン含有量をご覧ください。
キョウオウには、クルクミンはほとんど含まれていません。
ガジュツにいたっては、クルクミンは含まれていません。
ガジュツには健胃作用、胆汁分泌促進作用、抗菌作用などが知られています。
クルクミンが含まれていないことから、それら作用はクルクミンによるものではないことがわかります。
ということで、ガジュツの作用は、主に精油成分によるものです。
精油成分の種類
精油成分は多数存在し、ウコンの種類によって含まれている成分や含有量が違います。
簡単にまとめます。
◆ウコンに含まれる精油成分の一例とその作用
- ターメロン
胆汁分泌促進作用 - シネオール
胆汁分泌促進作用、健胃・殺菌・防腐作用 - カンファー
精神の興奮作用、強心作用 - アズレン
抗炎症作用 - α-クルクメン
抗コレステロール作用
※ウコンの種類によって、精油成分の種類および含有量が異なります。
◆ウコンの種類の色素成分と精油成分の含有率
- 秋ウコン(ウコン)
リンク
色素成分 約3%
精油成分 約1~1.5% - 春ウコン(キョウオウ)
リンク
色素成分 約0.3%
精油成分 約6% - 紫ウコン(ガジュツ)
リンク
色素成分 0%
精油成分 約1~1.5%
.
以上が精油成分についてです。
なお、精油成分の作用を得たいと考えたら、春ウコン・紫ウコンのサプリを個別に摂取するか、
3種類のウコンが含まれているサプリを摂取するようにしてください。
クルクミンと相性の良い栄養成分
クルクミンと相性の良い二大成分はレシチンとバイオぺリンで決まりです。
言い切ってしまうのもなんですが、言い切ってもいいぐらい相性抜群です。
こちら→クルクミンの吸収率を上げる成分で説明済みです。
さてここでもう一つあげます。それはブロメラインです。
ブロメライン
ブロメラインは、パイナップルに多く含まれるたんぱく質分解酵素です。ブロメラインの作用として「胃液の分泌を活発にし、消化を促す」や「胃腸の炎症を抑制する」などが挙げられます。
NOWのターメリック & ブロメラインは植物性成分の組み合わされたもので、関節組織の健康をサポートします。学術研究で、ターメリックから採れるクルクミノイドが生物学的ストレスを受けた際に重要酵素の正常な働きをサポートすることがわかっています。パイナップルに含まれる酵素であるブロメラインに関する研究で、この酵素が通常の免疫システムの反応を強化する働きがあることが示唆されています。一時的に過度のストレスを受けた関節組織や毎日の使用でストレスを受ける関節組織の健康維持のために、NOWではターメリックとブロメラインを組み合わせました。
Now Foods, ターメリック & ブロメライン、90ベジカプセル
iHerb.com
※iHerb紹介コード=ALH5806 ご利用いただけたら幸いです。 上記リンクからiHerbへ飛んでいただくと、自動的にコード適応になります。
.
ブロメラインはクルクミンの吸収を高めるとかではなく、クルクミンとタッグになって、関節の健康維持に働くといった感じでしょうか。
クルクミンのレーダーチャート解説
- 6
このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる - 5
このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる - 4
このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる - 3.5
このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない - 3
このカテゴリーになんらかの効果があるもの - 2
このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる - 1
このカテゴリーとは関係ないと思われる
※4以上が摂取目的となっているカテゴリー
クルクミン 総合評価 S 17
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS 18点
S 16点以上
A+ 14点以上
A 12点以上
B+ 10点以上
B 9点以下
髪(薄毛)評価4
男性ホルモン「テストステロン」が5αリダクターゼという酵素と結びつくと、より強力な男性ホルモン「DHT」に変換してしまいます。
DHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体に結びつくと、髪の成長を妨げる「TGF-β」という脱毛促進因子を産生します。
TGF-βは毛母細胞の細胞分裂を抑制します。それにより、通常であれば約2年~6年のあるヘアサイクルの成長期を、数カ月に短縮させ抜け毛を促進させます。
成長期(約2年~6年)→退行期(約2週間)→休止期(約3カ月)→【脱毛】→再び成長期
例えば、AGA治療薬として有名なプロペシア(成分名フィナステリド)は、5αリダクターゼの働きを阻害することでDHTの産生を抑制します。
ハーブの中にもDHTの産生を抑制するものがあります。
ノコギリヤシやナツシロギク(有効成分パルテノライド)がそれです。
前者は5αリダクターゼの働きを阻害することで、後者はNF-κBを抑制することで、DHTの産生を抑制します。
また、第8回抗加齢(アンチエイジング)学会で発表された内容によると、男性型脱毛症の原因物質のひとつとされているDHTが過剰にあるところでは、NF−kBが活性化していることが分かり、パルテノライドのNF−kB抑制作用が脱毛症も改善する可能性があることを示唆している。
引用元
公開特許公報(A)_男性用の発毛および育毛用経口摂取食品
国立研究開発法人科学技術振興機構バイオサイエンスデータベースセンター
これらハーブも(AGA治療薬までの効果はないにせよ、)十分なAGA予防効果が見込まれます。
さて
- NF-κBがDHTの生成に関与していている
- ナツシロギクの有効成分であるパルテノライドのNF-κB抑制作用が脱毛症を改善する可能性がある
のであるならば、クルクミンのNF-κB活性化阻害作用も と考えることができます。
個人的に、薄毛対策になる成分の1つにカウントしています。
DHTの生成を抑制するのは、あくまでもパルテノライドのNF-κB抑制作用であって、クルクミンのNF-κB阻害作用はならないという可能性もあります。
なぜなら文献が見当たらないからです。
同じ作用でも、「その働きはその成分由来にしかない」はよくある話です。
例
「ピペリン」でもヒハツ由来ピぺリンにTie2を活性化させる=毛細血管を増やす 効果がある。
※のみかどうかはわかりませんが、ヒハツ以外で聞いことはありません。
肌(美肌)評価4.5
長期間にわたり太陽光線を受けると、皮膚に次の変化を引き起こします。
- 黄色調となり、様々な色素班が増える
- 微細なシワや深いシワが増える
- 皮膚の光沢がなくなり、粗造、乾燥してくる
このような皮膚の変化を光老化と言います。
光老化にはNF-κBが関与しています。
NF-κBは炎症に関連して活性化する転写因子です。
皮膚の表皮細胞に存在し、皮膚に紫外線があたると活性化されます。その結果、炎症が起こります。
炎症が起きることで、皮膚の角化異常やメラノサイト増殖異常やコラーゲンの分解などが生じます。
なので、NF-κBの過剰発現およびその作用を抑制することが、肌の老化を予防することになります。
紫外線による皮膚老化とNF-KBの関連を研究し,皮膚の光老化など多くの炎症性疾患を改善するためにはNF-KBの過剰発現およびその作用を抑制することが重要であることがわかってきた
引用元
天然成分を利用した機能性活性成分の開発
J-STAGE
クルクミンはNF-κB抑制作用を有します。
美肌作りにも役立つ成分です。
体型(ダイエット)評価6
クルクミンはダイエットに活躍する成分です。主たる理由は以下3つです。
- アディポネクチンの発現増加
脂肪細胞からさまざまな生理活性物質が分泌されています。脂肪細胞から分泌される生理活性物質を総称して、アディポサイトカインといいます。アディポサイトカインには善玉と悪玉があります。
アディポネクチンは善玉アディポサイトカインの1つです。
アディポネクチンには以下の働きがあります。- 糖新生を抑制する
- 脂肪酸のβ酸化を促進する
- 糖の筋肉細胞へ取り込みが増加する
※インスリンを要せず
脂肪の蓄積を防ぐ&脂肪の燃焼を促す
につながります。だから、アディポネクチンを分泌させると
痩せます。アディポネクチンを分泌させる方法は、内臓脂肪に効果がある運動をする or アディポネクチンの分泌を促す栄養成分を取るです。
クルクミンはアディポネクチンの分泌を促す成分の1つにカウントされています。
参照アディポネクチンの産生増強、促進剤
JP2005060308A
Google Patentsクルクミンの吸収代謝と生理作用発現の関係性
PDFページ 2/8
J-STAGE長寿ホルモン大放出! 動脈硬化メタボ糖尿病 一挙解決SP
ガッテン! NHK - 胆汁酸の分泌促進
胆汁酸は肝臓でコレストロールから作られます。肝臓で作られたあと胆汁の主成分として胆のうに蓄えられます。食事(特に脂肪の多い食事)をしたときに、十二指腸から分泌され、水にとけない脂肪を乳化させ、その消化・吸収を助ける働きをします。
胆汁酸の働きは、単に脂肪の消化・吸収を助けるだけではありません。
胆汁酸が分泌されると脂肪の燃焼が高まります。理由は、次の2点です。リパーゼの活性化脂肪の分解の過程において中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する際に働く酵素が、脂肪分解酵素リパーゼです。
胆汁酸が分泌されると、胆汁酸が界面活性剤として働くため、脂肪がリパーゼの作用を受けやすくなります。
つまり、リパーゼを活性させると脂肪の分解が促進されることになります。分解が促進されれば脂肪の燃焼が高まります。GLP-1分泌促進GLP-1を分泌させることは肥満予防につながります。
※GLP-1は次の③で詳しく説明近年の研究により、胆汁酸は胆汁酸をリガンドとする核内受容体【FXR】やGタンパク質共役受容体【TGR5】に結合することで、ホルモンのような働きをすることが判明しています。
さまざまな働きがありますが、そのなかに「TGR5を介してGLP-1の分泌を促進する」働きがあることが明らかになっています。興味深い事に、血液中の胆汁酸は TGR5 との結合を介して、抗肥満、血糖降下作用を発揮する(図1)。小腸下部には L 細胞と呼ばれる分泌細胞が局在しており、この細胞表面の TGR5に小腸管腔内の胆汁酸が結合すると、インクレチン GLP-1 (Glucagon-like peptide-1)の分泌が促進される。
引用元
胆汁酸受容体TGR5活性化による健康寿命の延伸
PDFページ 4/8
J-STAGE.
クルクミンには胆汁酸分泌促進作用があります。
それにより「リパーゼの活性化」&「GLP-1の分泌促進」=脂肪燃焼効果が期待できます。リンク - GLP-1分泌促進作用
GLP-1は代表的なインクレチン(インスリンの分泌を促す働きをもつ消化官ホルモンの総称)です。GLP-1は消化官内に栄養素が流入すると消化官粘膜上皮から分泌されます。GLP-1を分泌させることは肥満予防につながります。
GLP-1には次の3つの働きがあるからです。
- 血糖値の上昇を抑える
- 胃からの排出物を遅くする
- 食欲を抑える
リンクよくサバ缶を食べると痩せるといわれていますが、その理由は、サバ缶にGLP-1の分泌を増やす成分EPAが多く含まれているからです。
クルクミンもGLP-1の分泌を増やします。
※先の胆汁酸分泌促進作用とは別ルートです。参照9.ターメリックの黄色色素「クルクミン」はCaMKIIの活性化を介してGLP-1の分泌を促進する。
研究内容 クルクミンのGLP-1分泌促進作用とその機序
津田研究室
中部大学 応用生物学部 食品栄養科学科膵β細胞制御による糖代謝調節に関する食品機能学的研究
J-STAGE - 血糖値の上昇を抑える
体力(普段)評価5
クルクミンの摂取は病気の予防になります。次にあげる病気の予防効果が期待できます。
- がん
クルクミンには抗がん作用があります。
以下の3つのが、クルクミンの抗がん作用に大きく寄与します。
◆抗炎症作用
過剰なNF-κBの活性化は慢性炎症を誘導し、がんの原因となります。
クルクミンのNF-κB阻害作用はがん予防になります。即ち、クルクミンは転写因子である NF-κB の活性化を阻害することにより、炎症や発がんを促進する誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)やシクロオキシゲナーゼー 2(COX-2)の合成を抑え、がんの発生を抑制する
引用元
クルクミンの抗老化作用の検討及びビタミン C 不足が 胎児の発生、成長、老化に及ぼす影響
PDFページ 3/7
公益財団法人 浦上食品 ・ 食文化振興財団◆抗酸化作用
DNAが活性酸素の攻撃を受け損傷すると、がん細胞に変わることがあります。
クルクミンは活性酸素を除去する働きをします。
.◆免疫調節作用
免疫調節作用とは、体に備わっている免疫の働きを高める作用です。(微細化された)クルクミンには腸管免疫機構を適度に活性化させる働きが期待できます。さまざまな研究で、クルクミンの化合物が、がん治療薬になることが示唆されています。
※クルクミンが抗がん剤として作用するには大量投与が必要となります。治療薬になる可能性があるのは、あくまでも「化合物」です。
参照クルクミンの抗腫瘍効果を60倍以上高めた化合物を開発 ~副作用のない飲む抗がん剤の開発に期待~
プレスリリース
奈良先端科学技術大学院大学カレーのスパイス「クルクミン」が熱変性したGO-Y022が胃癌を抑制することを解明
プレスリリース
秋田大学リンク - 心不全
心臓のポンプ機能が低下することで、血液供給が低下している病態が心不全です。心不全の原因のひとつが、心筋が厚くなる心肥大です。
心筋細胞の核の中にp300というたんぱく質があります。
心筋細胞肥大時において ストレスがかかるとp300が活性化することにより、心肥大が進みます。
クルクミンにはp300の活性化を抑える働きがあります。参照心不全発症における転写複合体制御メカニズム解明による新規治療ターゲットの探索
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所) - 糖尿病
海外の研究にて、クルクミンの摂取が糖尿病予防になるとの報告があります。メカニズムは定かでありませんが、クルクミンの糖代謝に及ぼす影響が関係していると考えられます。クルクミンには膵 b 細胞機能や,耐糖能,インスリン抵抗性を改善する作用を有することが示されており,2型糖尿病発症・進展を予防する効能があると考えられる.
引用元
食品成分による心不全治療の可能性
PDFページ 5/7
J-STAGE
その他(脳)評価6
カレーが「脳の健康にいい」「認知症予防になる」はとても有名な話です。
カレーが「脳の健康にいい」「認知症予防になる」理由は、
カレーに多く含まれるクルクミンに次の働きがあるからと考えられます。
- アミロイドβ凝集阻害作用
アルツハイマー病はアミロイドβの凝集体が原因で発症するとされています。
アルツハイマー病の脳では、アミロイドβの断片が処理されずに蓄積され、老人斑というゴミの塊を形成します。このゴミがたまると【神経細胞が傷害を受ける→神経細胞が死滅する→脳が萎縮する→脳の機能障害が起こる】といった流れをたどります。
クルクミンはアミロイドβの凝集を阻害する作用があります。それだけでなく凝集体の脱会合を促進する作用があります。
- BDNF
BDNFは脳由来神経栄養因子と呼ばれる脳内に存在する物質です。BDNFは神経細胞の新生・成長・維持に重要な役割を果たしています。BDNFは脳内で記憶を司る「海馬」に多く含まれています。BDNFの産生量が高まると記憶や学習など認知機能が向上することがわかっています。
ラット実験にて、クルクミンにBDNFが増やす働きが確認されています。 - セロトニン
セロトニンはドーパミンとノルアドレナリンのバランスを調整する働きをし、精神の安定をもたらします。
うつ病に深く関わってくる神経伝達物質で、うつ病の患者さんは 脳内の「セロトニンの量が少ない」or「セロトニンの働きが低下している」ことが判明しています。うつ病予防には「脳のセロトニンを減少させない」ことが大切となります。
マウス実験にて、クルクミンに脳内のセロトニンを増やす抗うつ作用あることが確認されています。
※脳の健康とのカレー(クルクミン)の関連記事をざっと探しただけで、これだけ見つかりました。
辛いカレーで憂うつな春を乗り切る! クルクミンはアンチエイジングの救世主!?
NIKKEI STYLE
カレーが脳の炎症を防ぐ
ダイヤモンド・オンライン
認知症から逃げるには週に3回カレーを食べよう
FRIDAYデジタル
カレーを毎日食べると記憶力が向上、認知症の予防にもなる?
ニューズウィーク日本版
クルクミン 参照一覧
ウコン研究所 ハウスウェルネスフーズ(株)
ウコン 海外の情報 『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』 厚生労働省
クルクミンの吸収代謝と生理作用発現の関係性 J-STAGE
食品由来天然化合物を用いた心血管疾患薬物療法に関する研究 J-STAGE
歯周組織の炎症に対するクルクミンの効果 J-STAGE
ターメリック(うこん)よりクルクミン類単離の教材化(私のくふう) J-STAGE
秋ウコン給与による鶏卵の付加価値化についての試み J-STAGE
医薬品服用者におけるウコン含有健康食品の摂取に関する実態調査 J-STAGE
沖縄県産ウコン類の精油の食中毒起因細菌に対する抗菌活性 J-STAGE
伝統医学の可能性 J-STAGE
伝統薬物研究が薬理学にもたらす新しい視点 J-STAGE
カレースパイス成分のクルクミンがアルツハイマー痴呆を予防する(F・医薬品開発,薬理学,臨床)
J-STAGE
食品素材の「ナノサイズ」カプセル化技術の開発 J-STAGE
アレルギーやガンに関わるNF-κBの新しい活性化機構の発見 J-STAGE
NF-K Bの活性化と疾患との関わり J-STAGE
転写因子NF-κBの新しい活性化機構 J-STAGE
天然成分を利用した機能性活性成分の開発 J-STAGE
2.非ステロイド抗炎症薬(COX-2 阻害薬) J-STAGE
ポリフェノール,化学反応を基盤とする機能性物質 J-STAGE
ポリフェノールパラドックス J-STAGE
老化制御シグナルを標的としたアンチエイジング物質開発の可能性 J-STAGE
「サプリメント」による抗老化療法の現状と展望 J-STAGE
食品成分による心不全治療の可能性 J-STAGE
天然抗酸化物質の吸収と代謝 J-STAGE
天然抗酸化物質の探索とその応用 J-STAGE
水溶液中におけるテトラヒドロクルクミンの酸化安定性と酸解離特性の評価 J-STAGE
細胞の酸化ストレス耐性に関わるシグナル伝達系 J-STAGE
代謝ストレスによるTORシグナルの活性化 J-STAGE
恒常的活性化型 mTOR による精神神経疾患モデルマウスの作製と解析 J-STAGE
栄養センシングと細胞機能の制御 J-STAGE
酸化ストレス防御のための生体内センサー J-STAGE
生体異物代謝と食物・栄養因子 J-STAGE
歯周病と全身疾患の関連 J-STAGE
うつ病態を改善する天然生理活性物質 J-STAGE
生薬について 「生薬」と「薬酒」のなるほど辞典 養命酒製造(株)
天然素材なのに防虫効果!?ウコン生地の魅力と用途とは YAMATOMI- LABO (有)山冨商店
免疫のスイッチNEMO News@KEK 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
過剰な炎症反応を抑える仕組みを解明 -関節リウマチなど自己免疫疾患の病態が明らかに-
東工大ニュース 東京工業大学
細胞の成長や分化に重要な栄養シグナルの 新しいメカニズムを解明! ~mTORC1 シグナル経路の活性抑制メカニズムの解明~
プレスリリース 名古屋大学
高吸収性クルクミン食品開発のための 新規水溶性ナノ複合体の設計および安定化に関する研究
公益財団法人 浦上食品 ・ 食文化振興財団
ラパマイシン標的タンパク質(TOR)と アンチエージング食品開発の可能性 公益社団法人 日本生物工学会
Nrf2酸化ストレス応答系による病態制御 公益社団法人 日本生化学会
ケミカルセンサーとしての Keap1の立体構造と機能 公益社団法人 日本生化学会
食品成分による褐色脂肪組織機能亢進作用を介した熱産生機構 日本微量栄養素学会
発癌性物質や酸化ストレスに応答する生体防御系センサーの構造基盤 文部科学省 ターゲットタンパク研究プログラム
細胞内にたんぱく質が異常蓄積することで 酸化ストレスからの防御システムが活性化される仕組みを解明
国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)
クルクミンの生物学的利用率を向上させるための組成物 JP5511895B2 Google Patents
クルクミン代謝物受容体の探索および機能性解析 KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
機能性ポリフェノールによる炎症性サイトカイン誘導性脂肪細胞機能障害の抑制作用機構
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
抗酸化物質がβアミロイド沈着を低下させる可能性を位相 X 線画像で解析する新しい試み
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
クルクミノイドの細胞内への取り込みの制御:疾病治癒への応用に向けて
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
アミロイドペプチドの凝集阻害ならびに検出を目的としたクルクミン誘導体の創製
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
公表特許公報(A)_クルクミンの可溶性錯体 国立研究開発法人科学技術振興機構
公開特許公報(A)_クルクミン還元酵素 国立研究開発法人科学技術振興機構
公開特許公報(A)_ピロリドンカルボン酸亜鉛塩から成る炎症抑制剤 国立研究開発法人科学技術振興機構