フェニルアラニン
たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の1種
9種類ある必須アミノ酸の1種
芳香族アミノ酸の1種
糖原性アミノ酸の1種
ケト原性アミノ酸の1種
フェニルアラニンとは
フェニルアラニンについて
-
たんぱく質の働きは大きく構造的役割と機能的役割の2つにわけられます。
- 「構造的」は筋肉・皮膚・髪・結合組織などを構成するたんぱく質の役割です。
「機能的」は酵素・ホルモンなどを構成するたんぱく質の役割で、生体内の化学反応を触媒する・生理機能を調整する働きをします。 -
体内には約10万種類のたんぱく質が存在しているといわれていますが、それらはわずか20種類のアミノ酸が数十~数百個以上結合し複雑に組み合わさることで作られます。
-
20種類のアミノ酸は9種類の必須アミノ酸(体内で合成できないもの)と11種類の非必須アミノ酸(体内で合成できるもの)に分けられています。
- フェニルアラニンは必須アミノ酸に分類されます。
- なお非必須アミノ酸のチロシンはフェニルアラニンから生合成されます。
フェニルアラニン水酸化酵素の働きによりフェニルアラニンにヒドロキシ基が付加されてチロシンに変換されます。 - 構造に芳香族基を有するアミノ酸を芳香族アミノ酸(aromatic amino acids AAA)と言います。このアミノ酸はトリプトファン・フェニルアラニン・チロシンの3つがあてはまります。いずれも神経伝達物質のもとになります。
- フェニルアラニンは糖原性アミノ酸(グルコースの合成に使われる)、ケト原性アミノ酸(ケトン体・脂肪酸の合成に使われる)両方の性質を持つアミノ酸です。
- フェニルアラニンはチロシンの前駆体としてカテコールアミン・メラニン色素・甲状腺ホルモンの生成に関わります。またフェニエチルアミンの前駆体でもあります。
なお合成によって作られたDLフェニルアラニンには鎮静作用があります。
摂取量について
25㎎/kg/日 成人
例 体重50kgの場合 約1250㎎/日
※25㎎はチロシンと合わせた数値です。
by 2007年 WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告
フェニルアラニンの効果・効能
フェニルアラニンの効果・効能 5つ厳選
- 脳の健康(チロシンの前駆体として)
- 白髪予防(チロシンの前駆体として)
- 脂肪分解に関与(チロシンの前駆体として)
- フェニルエチルアミンの材料
- エンドルフィンの活性(DLフェニルアラニン)
※「チロシンの前駆体」を「カテコールアミンの前駆体」に変更してもOKです。
そのうち2つを詳しく
③脂肪分解に関与(チロシンの前駆体として)
「やせる」とは中性脂肪が遊離脂肪酸に分解され、その遊離脂肪酸がエネルギーに変換され消費される(=燃焼される)ことで起こる現象です。
なので「やせる」ためには、なによりもまず脂肪を分解させる「状況」にもっていくことが大切といえます。
「状況」とはエネルギーが必要となる時です。
中性脂肪は「運動時や飢餓時などエネルギーが必要となる時」に脂肪分解酵素リパーゼの働きにより遊離脂肪酸とグリセリンに分解されます。
この文章をもう少し肉付けすると
さてここでカテコールアミン(ノルアドレナリン・アドレナリン)に焦点をあてます。
運動時や飢餓時などに交感神経終末からノルアドナリンが、続いて副腎髄質からアドレナリン&ノルアドレナリンが分泌されます。するとホルモン感受性リパーゼ(HSL)が活性され中性脂肪が遊離脂肪酸とグリセリンに分解されます。
【カテコールアミン分泌→HSL活性→脂肪分解】この流れをもう少し細かく説明すると次になります。
①カテコールアミン(ノルアドレナリン・アドレナリン)が分泌されます。
②脂肪細胞の表面にあるアドレナリン受容体に結合します。
細胞膜上に存在し、細胞外シグナル分子(ホルモンや神経伝達物質)と結合して、その情報を細胞内に向けて伝達する役割を果たします。
細胞膜受容体は構造と機能に応じて、大きく3つのタイプに分類されます。Gたんぱく質共役型受容体・イオンチャネル内臓型受容体・酵素共役型受容体の3つです。アドレナリン受容体はGたんぱく質共役型受容体です。
③Gたんぱく質が反応しアデニル酸シクラーゼを活性させます。
※アデニル酸シクラーゼはATP→cAMPに変換する際に働く酵素です。
④細胞内のcAMP濃度が上昇します。
※cAMP(サイクリックAMP)は細胞内シグナル伝達のセカンドメッセンジャーとして働きます。
⑤cAMPはPKA(プロテインキナーゼA)を活性化させます。
⑥PKAは不活性型のHSL(ホルモン感受性リパーゼ)をリン酸化させることで活性型に変えます。
⑦活性化したHSLは脂肪に直接作用し脂肪酸とグルセリンに分解します。
→生成された脂肪酸はβ酸化されエネルギー源として利用されます。
※利用されなければ脂肪に再合成されます。
※脂肪分解の機構はこれだけでは不十分です。
細々と書きましたが言いたいことはズバリ
カテコールアミンは「ホルモン感受性リパーゼを活性化させ脂肪の分解を促す」
=「脂肪燃焼を促進させる」です。
フェニルアラニンはカテコールアミンの前駆体であるチロシンの原料です。
フェニルアラニン→チロシン→L-ドーパ→ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリン
フェニルアラニンの摂取によりカテコールアミンの分泌が高まることが期待できます。ダイエットに役立つ可能性を秘めた必須アミノ酸といえます。
⑤エンドルフィンの活性(DLフェニルアラニン)
エンドルフィンとは脳内で機能する神経伝達物質の1つです。内因性「endo-」のエンドとモルヒネ「morphine」のルヒネ→ルフィンが名前の由来です。脳内のモルヒネ受容体に結合し鎮痛作用や快楽作用を示します。モルヒネなどの麻薬と似た作用を持つので脳内麻薬とも呼ばれています。
モルヒネと類似した構造もつ内因性オピオイドペプチドです。脳で産生され、オピオイド受容体に結合し鎮痛作用を発揮します。エンドルフィンにはα、β、γの3種類あります。最も活性が強く、苦痛を取り除く時に最も分泌されるのがβ-エンドルフィンです。基本エンドルフィンといったらβ-エンドルフィンを指していると考えてください。
エンドルフィンの作用のわかりやすい例はランナーズハイです。ランナーズハイとは【長時間走り続けているうちに苦しさを感じなくなり気分が高揚している状態】を言います。
ランナーズハイはエンドルフィンに分泌によるものという説があります(ですとは断言できません)。
DLフェニルアラニンにはエンドルフィンの活性を高める作用があります。
DLフェニルアラニン(のサプリメント)はL型(天然型)とD型(非天然型=人工的に合成)が1:1の割合で合成されたものです。DLフェニルアラニンには痛みを抑える働きがあります。そのため鎮静剤として医療現場で利用されます。
なおDフェニルアラニンにエンドルフィンやエンケファリン(内因性オピオイドペプチドの1種)を分解する酵素の働きを阻害する作用があるとされています。
※DLはL型とD型の等量混合物でラセミ体とも呼ばれます。
アミノ酸は立体構造が左右対称なL型とD型を持つ光合異性体です。たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸のうちグリシン以外の19種類がL型D型両方持ちます。
体たんぱく質を構成するアミノ酸はL型です。
アミノ酸サプリメントの原料はL型です(ですと言い切ってしまうのもなんですが、まあL型です)。
なのでこのブログの「アミノ酸」は基本すべて「L型のアミノ酸」のことです。そうなると題名等は本来L-〇〇〇〇(例 L-フェニルアラニン、L-アルギニン、L-システイン)とすべきですが、面倒なので「L-」はすべて省いております。
※D型について
生体中に存在するアミノ酸のうちD型はほとんど存在しない(あっても生理機能をもっていない)と考えられてきましたが、近年の研究によりD型(&その代謝や合成に関わる酵素)が生体内のさまざまな組織に存在し多様な生理機能をもっていることが判明しつつあります。
フェニルアラニンの働き分析【見た目編】
合計 39/60点
薄毛
6点
「薄毛」改善 に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- ケラチン
髪の主成分はケラチンと呼ばれるたんぱく質です。髪の90%以上はケラチンでできています。ケラチンは18種類のアミノ酸で構成されています。ケラチンのアミノ酸組成
※%はおおよその値です。フェニルアラニンはケラチンを構成しているアミノ酸のうち約2.5%を占めています。
またフェニルアラニンから生成されるチロシンは約2.4%を占めています。フェニルアラニン関連で約5%を占めていることになります。 - ストレスを緩和
髪に必要な栄養素や酸素は毛細血管を通じて運ばれます。
なので血流が滞ると十分に供給されず、結果として健康な髪が生まれなくなってしまいます。
ストレスが原因で髪が薄くなることは決して珍しくありません。
ストレスを受けると血流が悪化するからです。
ストレスを受けている状態のときはノルアドレナリン・アドレナリンの消費が激しくなります。そのもとであるチロシンが体内に豊富に存在していればストレスを上手く対処できるかもしれません。フェニルアラニンはチロシンの前駆体です。 - 甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンは全身の細胞を活発にさせるホルモンで、細胞の成長や新陳代謝に欠かすことのできない生理活性物質です。これは髪の生育にかかわる細胞(毛母細胞・毛乳頭細胞)にもあてはまります。事実、甲状腺ホルモンの分泌量が十分でないことで起こる甲状腺ホルモン機能低下症は脱毛の原因の一つです。
甲状腺ホルモンはチロシンとヨウ素をもとに作られます。フェニルアラニンはチロシンの前駆体です。
白髪
9.5点
「白髪」予防 に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- メラニンのもとのもと
黒髪のもととなるメラニン(黒色メラニン)は頭皮の毛包内にあるメラノサイトでアミノ酸チロシンを原料に酵素チロシナーゼの作用により化学反応を起こし、いくつかの段階を経て作られます。
実際の代謝の流れは以下です。
チロシン→ドーパ→ドーパキノン→ドーパクロム→インドール-5,6-キノン→黒色メラニンチロシンは体内ではフェニルアラニンから生成されます。つまり上記代謝の流れにおいてチロシンの前にフェニルアラニンが置かれます。
フェニルアラニン→チロシン→ドーパ→ドーパキノン→ドーパクロム→インドール-5,6-キノン→黒色メラニン
白髪予防は毛包内にメラニンが十分にあることが前提です。そのためにはチロシンまたはそのもとであるフェニルアラニンをしっかりと体内に取り入れておく必要があります。
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美肌
6点
「美肌」作り に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- NMF(天然保湿因子)の構成成分
NMFは人間がもともともっている皮膚の保湿成分で角質細胞内においてケラチンとともに存在しています。角質層において体内の水分を逃さない役割(肌の保湿機能)や外的刺激から肌を守る役割(肌のバリア機能)を果たしています。NMFの主成分はアミノ酸です。NMFはアミノ酸およびアミノ酸誘導体(PCA)で半分以上占められています。
NMFの組成
NMF内のアミノ酸組成
※数値は諸説あり
フェニルアラニンおよびチロシンはNMF内のアミノ酸組成に含まれています。
うちフェニルアラニンは約1%、チロシンは約2%を占めています。 - 甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンは全身の細胞に働きエネルギー代謝を促進させます。そのため不足するとさまざまな症状を引き起こします。肌に関しては「かさつき」です。
チロシンは甲状腺ホルモンの一種チロキシンの前駆体です。フェニルアラニンはそのチロシンの原料です。 - フェニエチルアミン
フェニルエチルアミン(PEA)は恋愛中、特に初期に脳内に最も多く分泌され恋愛特有のドキドキや多幸感をもたらします。そのため「恋愛ホルモン」や「恋愛物質」の異名をもちます。
女性は「恋をすると美しくなる」とよく言われています。それは一部PEAが関与しているともいえます。PEAが分泌されると食欲が減退するので美肌効果(肌がツヤツヤする)につながるからです。なおPEAが分泌されると食欲が減退するのは「恋をすると食事が喉も通らなくなる」からだといわれています。
フェニルアラニンはPEAの前駆体です。
美白
2.5点
「美白」ケア に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- 肌のターンオーバー
シミ・くすみのもとメラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。ターンオーバーが乱れるとメラニン排出がスムーズにいかなくなりシミ・くすみの増加につながります。
全身の代謝を調整しているホルモンが甲状腺ホルモンです。その分泌量が少なくなると当然ですが肌のターンオーバーにも影響を及ぼします。フェニルアラニンは甲状腺ホルモンの前駆体であるチロシンの原料です。
チロシンはメラニンの材料です。フェニルアラニンを摂取するとその一部は体内でチロシンに変換されます。なので多かれ少なかれ体内にメラニンが増えることにはなります。これは白髪予防の観点ではプラスになりますが、美白ケアの観点においてはプラスにはなりません。
フェニルアラニンまたはチロシンのサプリの摂取がダイレクトに「シミ」につながるというわけではありませんが、少なくとも美白ケアのために取る成分ではありません。
白髪に悩んでいる方は白髪予防のためチロシン・フェニルアラニンのサプリ摂取を検討するケースが出てくると思います。その時は
・白髪予防のみを求める場合
チロシンMAX またはフェニルアラニン+チロシン(多め)を摂取する。
・美白ケアも捨てがたい場合
フェニルアラニンのみ またはフェニルアラニン(少なめ)+チロシン(少なめ)を摂取する。
などいろいろ考えて摂取するのがよろしいかと思われます。
筋肉
7.5点
「筋肉」増強 に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- 必須アミノ酸
筋肉はたんぱく質でできています。たんぱく質を構成するのは20種類のアミノ酸です。
筋肉を増量するために特に意識して摂取するべきは20種類のうち体内で作ることのできない9種類の必須アミノ酸です。フェニルアラニンは必須アミノ酸に分類されます。 - アドレナリン
筋トレなどにより筋肉を刺激することでアドレナリンが分泌されます。アンドレナリンが多く分泌されると筋肉への血流が増加し、筋肉への酸素&栄養素の供給が高まります。一時的に運動能力がアップするため間接的な筋肉量の増加につながります。
生体内でアドレナリンは以下の代謝により作られます。
フェニルアラニン→チロシン→L-ドーパ→ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリン
フェニルアラニンを摂取することはアドレナリンの分泌を高めることになります。
脂肪
7.5点
「脂肪」減少 に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- カテコールアミン
運動時や飢餓時などエネルギーが必要となる時に、中性脂肪は脂肪分解酵素リパーゼの働きにより遊離脂肪酸とグリセリンに分解されます。
遊離脂肪酸は血中に放出され、各組織に運ばれエネルギーとして利用されます。
グリセリンは肝臓へ送られ、そこで代謝され糖新生の材料として利用されます。脂肪分解酵素リパーゼを活性させるのは脂肪動員ホルモンです。
運動時や飢餓時などエネルギーが必要となる時に脂肪動員ホルモン分泌され、その刺激により脂肪細胞内にある脂肪分解酵素リパーゼが活性されます。
脂肪動員ホルモンにあてはまるのはノルアドレナリン、アドレナリンといったカテコールアミンや成長ホルモン、グルコガンなどです。カテコールアミンは生体内で以下のように代謝されます。
フェニルアラニン→チロシン→L-ドーパ→ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリン前駆体であるフェニルアラニンを摂取することで、カテコールアミンの分泌が高まることが期待できます。フェニルアラニンは脂肪燃焼に貢献するアミノ酸の1つにカウントしてもいいかもしれません。
- コエンザイムQ10
コエンザイムQ10はミトコンドリアの電子伝達系で「電子の受け渡し」に関与し、エネルギー貯蔵物質ATPの産生効率の向上に大きく貢献している物質です。
この物質が不足しているとエネルギー不足になると考えてください。エネルギー不足=糖質・脂質からのエネルギー代謝が上手くいかないことです。これは脂肪が燃焼されない&脂肪として再び蓄えられるにつながってしまいます。コエンザイムQ10は体内ではチロシンあるいはフェニルアラニンとアセチルCoAから合成されます。
コエンザイムQ10
コエンザイムQ10はキノン骨格(ベンゾキノン環)とイソプレノイド側鎖から成る化合物です。
ベンゾキノン環はチロシンあるいはフェニルアラニンから合成され、イソプレノイド側鎖はアセチルCoAからメバロン酸経路を経て合成されます。
なおQに続く数字「10」はイソプレノイド側鎖の長さを示しています。コエンザイムQ10の「10」が側鎖のイソプレン単位の数が10であることを示しています(~12までありますが人の体内で働くのは主に10です)。 - 食欲抑制作用
フェニルアラニンには食欲を抑制する作用があるアミノ酸として有名です。この作用はフェニルエチルアミンが関係していると考えられます。
フェニルエチルアミンは恋愛中(特に初期)に脳内に最も多く分泌される物質で、恋愛特有の「ドキドキ」を演出します。この物質が分泌されると食欲が抑制される理由は「恋をすると食事が喉も通らなくなる」といった現象を引き起こすからです。
フェニルエチルアミンは脳内でフェニルアラニンが変換されることで生成されます。E3Live イースリーライブ【オリジナル カプセル】AFAブルーグリーンアルジー ※全国一律送料無料
フェニルアラニンの働き分析【中身編】
合計 45.5/60点
身体
9点
「身体」の構成材料 に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- たんぱく質の材料
筋肉、内臓、皮膚や血球成分(赤血球、白血球など)の主成分となっているのがたんぱく質です。
体内にあるさまざまなホルモンや酵素の主成分もたんぱく質です。
これらたんぱく質は主に20種類のアミノ酸が複雑に組み合わさることで作られます。アミノ酸の組み合わせが違うため、たんぱく質の形・性質・働きが異なっています。
20種類のうち9種類は体内で合成することができません。この9種類は必須アミノ酸と呼ばれ、食事などで積極的に取り入れる必要があります。フェニルアラニンは必須アミノ酸の1つです。
エネ
8.5点
「エネルギー」生成 に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- コエンザイムQ10
コエンザイムQ10(別名 ユビキノン)はミトコンドリア内膜に存在する補酵素です。糖質・脂質のエネルギー代謝の最終経路である電子伝達系に深く関与する物質です。糖質(酸素あり)・脂質のエネルギー代謝は
糖質の場合を経ていきます。
解糖系→TCA回路→電子伝達系脂質の場合
β酸化→TCA回路→電子伝達系
最終的に電子伝達系で酸化的リン酸化が起こることにより大量のATPが生成されます。なので電子伝達系に必須の成分であるコエンザイムQ10の不足はエネルギー産生量の減少につながります。コエンザイムQ10は生体内ではチロシンあるいはフェニルアラニンとアセチルCoAから生成されます。
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- 糖原性アミノ酸
体内で糖が枯渇している時に、筋肉のたんぱく質が分解されてアミノ酸が作り出されます。そのアミノ酸が糖新生やケトン体生成や脂肪酸生成に利用されます。
糖新生(分解されて生じたアミノ酸からグルコースを生成する)に用いられるアミノ酸を糖原性アミノ酸と言います。フェニルアラニンは糖原性アミノ酸です。 - ケト原性アミノ酸
糖新生に用いられるアミノ酸を糖原性アミノ酸というのに対して脂肪酸生成やケトン体生成に用いられるのをケト原性アミノ酸といいます。
ケト原性アミノ酸はアセチルCoAまたはアセト酢酸(ケトン体)に変換されます。
アセチルCoAはTCA回路に組み込まれてエネルギーとして利用されたり、脂肪酸に生成されたります。フェニルアラニンはケト原性アミノ酸でもあります。
病気
4点
「病気」予防 に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- 鎮痛剤
DLフェニルアラニンには鎮痛効果が期待できます。鎮痛作用のあるエンドルフィンの活性を高める作用があるからです。そのため鎮痛剤として医療現場で利用されています。 - 白斑
白斑とは皮膚の基底層に存在する色素細胞が減少し、皮膚の色素が脱落する後天性の皮膚の病気です。原因は不明ですが自己免疫疾患が関係しているとされています。
自己免疫疾患とは免疫系が自身の正常な細胞や組織を誤って「異物」と認識し、攻撃を加えてしまう疾患の総称です。
白斑は皮膚の基底層に存在する色素細胞が異物と認識されてしまい選択的に破壊されることで生じると考えられています。
白斑の治療にフェニルアラニンが用いられることがあるそうです。 - 甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症とは甲状腺ホルモンの分泌が不十分な状態を言います。症状として毛髪の減少、皮膚の乾燥、顔のむくみ、倦怠感などが現れます。甲状腺の働きが低下してしまい甲状腺ホルモンが上手く分泌されなくなることで起こります。
甲状腺ホルモンはチロシンが2つ縮合したものに3~4個のヨウ素(ヨード)が付加した化合物です。フェニルアラニンはチロシンの前駆体です。※栄養成分でいえばヨウ素のほうが重要で、ヨウ素不足が甲状腺機能低下症の原因の1つとされています。また甲状腺ホルモンの分泌が過剰な状態を甲状腺機能亢進症といいますが、こちらはヨウ素の過剰摂取が原因の1つとなります。
フェニルアラニンの摂取云々が甲状腺の病気に大きく関わることはなさそうです。
※なお神経伝達物質のもとであるはフェニルアラニンは脳の病気予防・改善に大きく貢献する成分ですが、こちらは「健脳」カテゴリーで評価しています。
カテコールアミンは血圧を上昇させます。その前駆体であるフェニルアラニンの過剰摂取は高血圧を招く恐れがあります。
抗うつ薬を服用中のかたは使用が禁止されています。
また持病によりその摂取を制限する必要があります。
例 フェニルケトン尿症
フェニルケトン尿症とはフェニルアラニン→チロシンに変換させる際の酵素またはその反応に関わる補酵素の機能的欠損により起こる先天性の病気です。体内でフェニルアラニンが蓄積してしまうため精神発達障害が出現します。一方でチロシンが不足するため赤毛病や白皮症が出現します。
この病気は、フェニルアラニンの摂取を制限する必要があります。そのためフェニルアラニンは食品衛生法において表示【例 L-フェニルアラニン化合物を含む】が義務づけられています。
体質
7点
「体質」改善 に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- ストレス
ストレスを受けるとストレスホルモンの消費が激しくなります。ストレスホルモンはコルチゾール・アドレナリン・ノルアドレナリンなどが当てはまります。
フェニルアラニンはアドレナリン・ノルアドレナリンの前駆体です。ストレスを緩和する効果が期待できます。 - 慢性疲労症候群
原因不明の極度の疲労感が、長期間(一般的に6カ月以上)続く病気のことを言います。慢性疲労は休息すればある程度「疲労」は改善しますが、慢性疲労症候群は休息をとっても「疲労」は改善しにくく日常生活を送るのが難しくなってしまいます。チロシンには慢性疲労症候群を改善する効果が期待できます。フェニルアラニンはチロシンの前駆体です。 - 慢性疼痛
慢性疼痛とは急性痛(ケガや病気が原因で一時的に生じる痛み)を治癒した後も持続する疼痛のことを言います。概ね3カ月以上続く痛みを指します。DLフェニルアラニンには鎮痛作用があります。そのため「痛み」を軽減する効果が期待できます。DLPA (DL フェニルアラニン) 750mg 60粒[サプリメント/健康サプリ/サプリ/アミノ酸/栄養補助/栄養補助食品/アメリカ/タブレット]
慢性的な頭痛・腰痛・関節痛にお悩みの方は試しに摂取するのもアリかもしれません。
精力
7点
「精力」増強&「性機能」向上 に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- ドーパミン
ドーパミンは快楽を得たり意欲を作ったりすることに関係します。性欲と深く関わる神経伝達物質でもあります。
フェニルアラニンはドーパミンの前駆体です。摂取することでドーパミンの分泌を高める効果が期待できます。 - フェニルエチルアミン
恋愛中に脳内で大量に分泌される物質フェニルエチルアミンには性欲を高める効果があります。フェニルアラニンはフェニルエチルアミンの前駆体です。
- 月経前症候群
月経前症候群は月経開始前の3~10日の間におこる精神的(イライラ、頭痛など)または肉体的(腹痛など)症状のことです。
DLフェニルアラニンには月経前症候群の緩和させる効果が期待されます。DLフェニルアラニン 500mg 60粒 [サプリメント/美容サプリ/サプリ/栄養補助/栄養補助食品/アメリカ/カプセル/サプリンクス] TSI2
健脳
10点
「脳」の健康 に関わるフェニルアラニンの働きは主に次です。
- 神経伝達物質の前駆体
フェニルアラニンは神経伝達物質の前駆体です。カテコールアミンの生合成経路
フェニルアラニン→チロシン→L-ドーパ→ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリンフェニルアラニンを摂取することで記憶力(ドーパミンなどが関係)・集中力(ノルアドレナリンなどが関係)・注意力(アドレナリンなどが関係)の向上が期待できます。
Lフェニルアラニン 500mg 120粒[ダイエット・健康/サプリメント/健康サプリ/アミノ酸配合/タブレット・カプセルタイプ/NOW/ナウ/サプリンクス/楽天]
- うつ病予防
フェニルアラニンは上述した通り神経伝達物質の前駆体です。そのためうつ病予防に効果があります。
チロシンも同様の効果があるのですが、フェニルアラニンのほうがより効果があるとされています。
理由はフェニルエチルアミンの前駆体でもあるからです。フェニルエチルアミン
通称PEA。恋愛中に脳内にもっとも分泌されるため「恋愛物質」の異名を持ちます。気分が高揚し、幸福感に満たされるため抗うつ作用が期待されます。実際 抗うつ薬として利用されています。
- 脳のエネルギー源
絶食時に糖原性アミノ酸は肝臓で行われる糖新生によりグルコースを作り出します。それにより脳の働きに必要なエネルギーを確保します。フェニルアラニンは糖原性アミノ酸の1種です。
フェニルアラニンのサプリメント分析
合計 15.5/20点
継続(価格は安いか) 4点
手軽(購入ルートは多いか)4点
選択(品揃えは豊富か)4.5点
貴重(食品から取りづらいor不足しやすいか)3点
- 継続
40日~120日分(500㎎配合120粒入り 海外のサプリ)が約1350円~で購入可能です。 - 手軽
フェニルアラニン単体(フェニルアラニンがメイン成分)サプリは主にネットで購入可能です。ただし海外の商品が中心になります。
フェニルアラニンが含まれている商品(プロテイン・アミノ酸複合サプリなど)であったら店舗でもネットでも幅広く販売されています。 - 選択
某ECサイトで「フェニルアラニン サプリメント」検索すると約1.3万件ヒットします。ただし単体サプリよりはアミノ酸複合サプリ、プロテインでヒットすることが多いです。 - 貴重
フェニルアラニンは必須アミノ酸のため食事などで必ず外から取り入れなければなりません。
フェニルアラニンは大豆・ナッツ・肉・魚・卵に多く含まれています。フェニルアラニンは人工甘味料アスパルテームの原料です。普段の生活で清涼飲料水やお菓子などからも【意識せずとも】わずかながら摂取していることになります。
アスパルテーム
アスパラギン酸とフェニルアラニンから成る人工の甘味料の一種。 カロリーは砂糖と同じですが、同じ「甘さ」を得る場合にアスパルテームは砂糖の約1/200の量で足ります。
愛用品&おすすめ品
フェニルアラニンとの組み合わせ
フェニルアラニンと相性の良い成分 7つ厳選
- 銅
- ビタミンC
- ビタミンB6
- 葉酸
- ビタミンB12
- ヨウ素
- 亜鉛
そのうち2つをPICK UP
②ビタミンC
カテコールアミンは以下の代謝経て作られます。
フェニルアラニン→チロシン→L-ドーパ→ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリン
当然ですがこの反応には酵素の働きが必要となります。一連の酵素反応をまとめると下記になります。
- チロシン→ドーパ チロシン水酸化酵素
- L-ドーパ→ドーパミン 芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素
- ドーパミン→ノルアドレナリン ドーパミンβ-水酸化酵素
- ノルアドレナリン→アドレナリン フェニルエタノールアミンN-メチル基転移酵素
ビタミンCはドーパミン→ノルアドレナリンの際に働く酵素ドーパミンβ-水酸化酵素(ドーパミンヒドロキシラーゼ)の補酵素です。不足しているとこの変換が上手くいかなくなります。
③ビタミンB6
ビタミンB6もカテコールアミンの生成に関わる酵素の補酵素として必要です。もう一度、カテコールアミンの代謝経路をご覧ください。
フェニルアラニン→チロシン→L-ドーパ→ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリン
このなかでL-ドーパ→ドーパミンの反応を触媒する酵素は芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素です。ビタミンB6はこの酵素の補酵素として必要です。なので原料であるフェニルアラニンまたはチロシンが十分であってもビタミンB6が不足しているとカテコールアミンの減少につながってしまいます。
フェニルアラニンのまとめ
フェニルアラニン 評価
総合評価 S 100点
分析【見た目編】39点
分析【中身編】45.5点
分析【サプリ】15.5点
フェニルアラニン 履歴書
- サプリ服用歴
約9年(フェニルアラニン単体サプリとして)
※取らなかった時期アリ
※チロシンをとっている期間は、基本あまりとりません。 - 1カ月にかけるサプリ代 ~約300円
- マイサプリ軍の位置づけ 2軍
- よく購入するメーカー
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※2年~で消費してきたフェニルアラニンサプリ