ポリアミンの評価 S
ポリアミン
ポリアミンは1分子内に第1級アミノ基を複数持つ脂肪族炭化水素の総称のことです。ほとんどすべての生物の細胞に存在し、細胞の分化・増殖において重要な役割を担っている生理活性物質です。
ポリアミンが不足していると細胞の老化が早まるといわれています。
体内には20種類以上のポリアミンが存在しています。代表的なポリアミンはプトレスシン・スペルミジン・スペルミンです。
ポリアミンは、体内でアルギニンやオルニチンを材料に生成される成分です。
アルギニン→オルニチン→プトレスシン→スペルミジン→スペルミン
図 2. ポリアミンの合成経路引用元
オリザポリアミン
製品案内 オリザ油化(株)
- アルギニン→オルニチン (アルギナーゼの働きが必要)
- オルニチン→プトレスシン (オルニチンデカルボキシラーゼの働きが必要)
- プトレスシン→スペルミジン(スペルミジンシンターゼの働きが必要)
- スペルミジン→スペルミン (スペルミンシンターゼの働きが必要)
※プトレスシン→スペルミジン、スペルジミン→スペルミンの代謝ではもう一つの基質が必要となります。それが脱炭酸化SAM(S-アデノシルメチオニン)です。脱炭酸化SAMはメチオニン→S-アデノシルメチオニン→という流れで作られます。
※ポリアミンの生成経路はもっと複雑です。かなり簡略しています。
ポリアミンは若い時は体内で合成されますが、歳をとるにつれて合成されにくくなります。つまるところ「加齢とともに体内のポリアミンの量が減ってしまう」です。
ポリアミンの効果・効能
細胞
ポリアミンは細胞分裂を促進し、新陳代謝を活発にします。分裂することで新しい細胞をつくり、細胞を生まれ変わらせます。
細胞の機能が衰えたり、活性酸素により細胞が攻撃を受けることは老化にダイレクトにつながります。
遺伝子
上の細胞の話に関連する話です。細胞は、DNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)が正しく作用することで古い細胞から新しい細胞に生まれ変わることができます。これが新陳代謝です。
DNAは遺伝情報を記録していて、新しい細胞をつくるときに必要な設計図のような役割を果たしています。
この設計図に基づいて、RNAがアミノ酸をもとに細胞の構成材料となるたんぱく質をつくる大工のような役割を果たしています。
細胞内のポリアミンはDNAとRNAと結合して存在しています。主にRNAと結合してその立体構造を変化させることでたんぱく質の合成を翻訳レベルで促進しています。
ポリアミンは一言でいうと「細胞の新陳代謝を正常に行うための必須の成分」です。遺伝子が突然変異を起こさないように安定させるといった重要な役割を果たしています。
肌
細胞分裂を活性化し、新陳代謝を促す働きがあるポリアミンは肌のターンオーバーに深く関係しています。
基底層で生まれた角化細胞が最終的にアカとなってはがれていく日数のことを肌のターンオーバーといいます。肌のターンオーバーとは「肌の細胞の生まれかわり」=「新陳代謝」のことです。
20代のターンオーバーの期間は約28日ですが、この期間は加齢とともに遅れていきます(20代は約28日→40代は倍の約55日)。ターンオーバーが遅れる理由は主に表皮細胞の細胞分裂する力が衰えるからです。
その原因の一つは加齢とともに【細胞分裂に関わる】ポリアミンが減っていくからと言われています。
ターンオーバーを正常化させるためには、体内のポリアミンの量を減らさないあるいは増やすということが大切になります。
オートファジー
オートファジーとはオート=自分自身 とファジー=食べる を合わせた造語で、細胞が自己成分(たんぱく質など)を分解する機能のことです。
細胞が自分を食べる オートファジーの謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)
ようは細胞の中の古くなったゴミを処理し、新しい資源を作り出す「リサイクルシステム」とイメージしてください。
ポリアミンにはオートファジ―誘導作用があります。
炎症
免疫細胞の表面にはLFA-1という炎症を誘発する因子があります。血管内皮細胞から出ているICAMという因子とくっつくことで炎症が起こります。LFA-1は加齢とともに増殖してしまいます。
LFA-1とICAM-1の結合によって起こる炎症をおさえるためにはLFA-1を増やさないことが必要となります。
ポリアミンにはLFA-1を抑制する作用があります。
研究により血中のポリアミン濃度が高い人ほど免疫細胞の表面上のLFA-1の発現が低いことが分かっています。
ポリアミンのサプリメントによくあるキャッチフレーズ集
- アンチエイジング効果抜群
- 細胞から若さを取り戻す
- 加齢ともに減る成分を取り戻す
- 新陳代謝アップのため
- 若々しい肌をキープしたい方に
ポリアミンの摂取量、不足、過剰
細胞が衰える=見た目の若々しさを失う&病気になりやすくなる といっても言い過ぎでないと思います。
ポリアミンの豆知識
ポリアミンを多く含んだ食材として納豆がおすすめです。大豆を発酵させた納豆は特にポリアミンの含有量が多いです。
また、よくかき混ぜることでポリアミンが増えることもわかっています。かき混ぜない場合と50回ほどかき混ぜた場合では、含有量は倍ぐらい違うといわれています。
ポリアミンを多く含む食品
ポリアミンを多く含んでいる食べ物は発酵食品です。
発酵食品の中でも納豆がポリアミンの供給源としてベストだと考えられます。
丸大豆納豆で平均7.0μg/g、ひきわり納豆では16.2μg/gの量のポリアミン(プトレシン)が含まれています。
丸大豆納豆で平均56.1μg/g、ひきわり納豆では75.2μg/gの量のポリアミン(スペルミジン)が含まれています。
丸大豆納豆で平均10.3μg/g、ひきわり納豆では9.4μg/gの量のポリアミン(スペルミン)が含まれています。
参照した研究年報には味噌中の含有量の記載もありますが、スペルミジンとスペルミンにおいてはその差が歴然としています。
実験によっても納豆がポリアミンを増やすことが証明されています。
健康な成人男性に平均納豆50g~100g(1~2パック)を1カ月間摂取続けてもらったところ、その1カ月後(2カ月後)被験者ほぼ全員の血中のポリアミン濃度が上がった。
参照
アンチエイジングの本命=高ポリアミン食
全国納豆協同組合連合会 納豆PRセンター
ポリアミンのレーダーチャート解説
- 6
このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる - 5
このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる - 4
このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる - 3.5
このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない - 3
このカテゴリーになんらかの効果があるもの - 2
このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる - 1
このカテゴリーとは関係ないと思われる
※4以上が摂取目的となっているカテゴリー
ポリアミン 総合評価 S 17
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS 18点
S 16点以上
A+ 14点以上
A 12点以上
B+ 10点以上
B 9点以下
髪(薄毛) 評価5.5
髪は毛母細胞が細胞分裂することで発毛し、成長していきます。健康な髪を生やし育てるにはいろんな要素が必要となりますが、特にこの毛母細胞の細胞分裂が重要となってきます。
毛乳頭が毛細血管から栄養素、酸素を受け取る。
毛乳頭は受け取った栄養素、酸素を毛母細胞に供給し、髪を生み出すよう指示をする。
その指示を受け取った毛母細胞が細胞分裂することで髪が生まれる。
細胞分裂を繰り返すことで髪が成長していく。
ポリアミンは細胞に存在し、たんぱく質の合成、細胞分裂において重要な役割を果たしている物質です。つまるところ髪にとっても非常に大切といえます。
肌(美肌、美白)評価5.5
肌の真皮にある繊維芽細胞はコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸といった美肌成分を生成する役割があります。加齢とともに繊維芽細胞の数がへり、3つの生産量は減ってしまいます。減ることで、肌のハリ、弾力、潤いが失われ、しわ、たるみが生じてしまいます。繊維芽細胞を活性化させることは加齢に負けない肌を作ることにつながります。
肌のターンオーバーは表皮の細胞が細胞分裂することで行われます。細胞分裂が活発に行われることはターンオーバーの正常化につながります。そしてターンオーバーを正常化させることはシミを増やさないことにつながります。
しみの原因となるメラニンは、肌のターンオーバーと一緒にどんどん押し上げられて最終的に垢と一緒に排出されます。ターンオーバーが乱れることで排出が上手くいかず表皮の細胞に色素沈着してしまいます。
ポリアミンは細胞の生まれ変わりにかかわる物質で、肌の細胞分裂を促進、活性化させ、ターンオーバーを正常化させるものです。ポリアミンを減らさないことは美肌、美白を保つ秘訣といえそうです。
体型(筋肉、ダイエット)評価4.5
筋肉はたんぱく質でできています。筋肉を増やすには「材料となるアミノ酸」と「たんぱく質の合成」に関わる成分を両方とることが大事です。ポリアミンは核酸の合成を促し、たんぱく質の合成を助ける働きがあります。
筋肉のたんぱく質の合成にも関与しているので筋肉づくりに貢献する栄養成分といえます。
脂肪の燃焼は、細胞の内のミトコンドリアのマトリックスで行われます。脂肪酸を細胞内のミトコンドリアの中に取り入れる必要があり、その役割をしているのがカルニチンという物質です。つまりカルニチンが脂肪を燃焼する場所まで送りとどける働きをします。ポリアミンが細胞内に増えることでこのカルニチンを利用しやすくします。脂肪が燃焼しやすい環境を整るのでダイエットにも関係しているといえます。
体力(普段)評価3.5
体の各組織の細胞分裂に関わっているポリアミンを増やすことは、代謝促進にもかかわっているといえます。また炎症を抑える働きもあるので、健やかなる生活を送るうえでは、なくてはならない物質です。
その他(細胞)評価6
この部門においては満点です。細胞分裂、細胞の生まれ変わり(新陳代謝)に関わる成分です。ポリアミンが不足するイコール細胞が老化するにつながり、細胞が老化することは身体そのものが老化することにつながります。
ポリアミンを増やすことは細胞レベルで若返ることになります。アンチエイジングの鍵を握る物質といっても言い過ぎではありません。