いきなりですが、前回のハイライトから入ります。
毛細血管を通じて栄養素や酸素などを受け取った毛乳頭はそれらを毛母細胞に渡し、毛母細胞に髪を発毛するよう指令を出したりします。その指令を受けとると毛母細胞の細胞分裂が活発になり、髪が生え、髪が成長するという仕組みになっています。いままではこのような説明しかしてきませんでしたが、実は毛乳頭は発毛の指令以外にも脱毛の指令もしているのです。
毛乳頭には栄養素や酸素の他にも男性ホルモンであるテストステロンも運ばれてきます。そのテストステロンが毛乳頭にある酵素5αリダクターゼと結合してしまうとより強力な男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)に変わってしまうのです。
変貌したDHTは毛乳頭にある男性ホルモン受容体(レセプター)と結びつき、TGF-βと呼ばれるたんぱく質の1種を生成します。このTGF-βは「脱毛」の指令をだす脱毛因子と呼ばれるものです。TGF-βが毛乳頭に脱毛するよう指令をだし、その指令が毛母細胞に伝わることで毛母細胞の細胞分裂はその活動を止めてしまいます。毛母細胞が細胞分裂を行わないということは髪が抜けていくことです。
いくら体内にDHTが多くあったとしても毛乳頭にある男性ホルモン受容体(レセプター)が少なければ、脱毛因子TGF-βは作られたとしても薄毛に影響しないほどのものです。
このレセプターが少なければよいのですが、レセプターが少ないかどうかは遺伝できまってしまいます。
・・・・・ということを前回を説明しました。
まあ確かに、レセプターが少ないか多いかは重要なことであるのは間違いありませんし、それが遺伝で決まる説もかなり信ぴょう性の高い説であるというのも間違いありません。
だからといってあきらめるのですか?
このまま薄毛になっていいのですか?
いいのでしたらこの相談教室はもう終わりです。説明しても無駄ですので。さっさと帰ってください!
バチーん
わかりました。それではお教えしましょう。
脱毛の指令をだすのが脱毛指令因子と呼ばれるTGF-βと呼ばれるたんぱく質の1種といました。これは、DHTが毛乳頭にある男性ホルモン受容体(レセプター)と結合することで作られます。
毛乳頭にある男性ホルモン受容体(レセプター)が多いか少ないかは遺伝で決まるといわれていますので、ここをコントロールするのはほぼ不可能です。
となると我々がすべきことはなんですか!!
おしい!
それもアリといっちゃあアリなのですが結構難しいと思われます。もっと簡単なことです!まあ簡単というか散々いってきたことです。
ヒントはこの文章です。
「男性ホルモンテストステロンが、5αリダクターゼという酵素と結合し、DHTというさらに強力な男性ホルモンにかわる」
正解です!
ようはテストステロンが5αリダクターゼくっつかなければ、DHTにならないのです。鍵を握るのは5αリダクターゼということになります。こいつさえいなければいいのです。
それでは5αリダクターゼというものがどういうものかを説明します。
おっ!!やる気でてきましたね!その調子でお願いします。
5αリダクターゼ
5αリダクターゼは酵素です。この酵素は本来我々に備わっているものです。なので薄毛になりそうになったら増えるとか、食事などで外から取り入れられるものとかではないのです。
で、体内にある5αリダクターゼという酵素の量は遺伝によってきまっています。
プッチーん
バコーン
最後まで聞いてください。5αリダクターゼの分泌量が多いかどうかが遺伝で決まっているだけの話です。
よーく考えてください。レセプターは多ければどうにもなりません、意図的に減らすことができませんから・・
でも分泌量が多かった場合ってそれを抑制する方法ってありそうじゃないですか?
まずは5αリダクターゼというものを学ばなければ話にならないので、そっからしっかり学びましょう。さっきから5αリダクターゼと一言でいっていますが、実は種類があります。
5αリダクターゼの種類
5αリダクターゼという酵素には1型5αリダクターゼ、2型5αリダクターゼの二つがあります。
1型5αリダクターゼ
1型5αリダクターゼは毛根の皮脂腺というところに存在しています。皮脂腺は手のひらや足の裏側以外の全身にあるので1型5αリダクターゼは毛が生えているあらゆる場所に存在しているといえます。
ただ皮脂腺は全身に同じ量があるわけではありません。頭皮に一番多くあり、腕や脚部分は少なくなっています。
2型5αリダクターゼ
2型5αリダクターゼは1型5αリダクターゼと違って広範囲には存在していません。頭でいうと生え際や頭頂部の毛乳頭に多く存在しています。後ヒゲなんかにも存在しています。
そうです。まあ5αリダクターゼは1型、2型どっちも髪にとっては悪者なのですが、同じくらいの悪者ではなく、どちらかがより悪者なのです。勘の良いかたなら、どっちの5αリダクターゼがより悪者かがわかったと思います。
2型だろ!
ちなみに1型と2型どっちが多く体の中にあるかとかわかるのか?
バッチーん
まあどちらの型の5αリダクターゼの酵素を多くもっているかはそれぞれ特徴がありますので、それをちょっと説明します。
1型5αリダクターゼを多くもっている人の特徴
1型5αリダクターゼを多く分泌する人の特徴としては、脂性の人といえます。1型5αリダクターゼは全身の皮脂腺に多く存在していますよね。なので皮脂の分泌が多い人、つまり脂性の人は1型が多いと思われます。
にきびが多い人や頭皮が脂ぎている人は1型5αリダクターゼが多く存在している可能性が大です。
2型5αリダクターゼを多くもっている人の特徴
2型5αリダクターゼを多く分泌する人の特徴としては、体毛やヒゲが濃い人といえます。2型5αリダクターゼは男性ホルモンの作用を強く受ける毛乳頭に多く存在しているからです。
頭でいったら生え際から頭頂部付近が当てはまります。
1型だろ?
1型!!
うるさいです!!
ちょっと話を聞いてください。
この1型、2型の5αリダクターゼの特徴をまとめると次のようなことがいえます。
1型5αリダクターゼは毛根の皮脂腺というところにあり、毛が生えている体のいたるところに存在している。
2型5αリダクターゼは生え際や頭頂部の毛乳頭に多く存在している。
なので頭でいうと生え際から頭頂部にかけては1型と2型両方が存在していて、後頭部や側頭部には1型しか存在していないということがいえます。
このことはどちらがよりAGAに影響を及ぼしているかがわかります。ハゲテイルひとって側頭部とか後頭部はあんまり薄くないじゃないですか?
つまり1型はあまりDHTを生成していないといえます。繰り返しになりますが後頭部や側頭部には1型しか存在していないので。
で生え際や頭頂部には1型、2型の両方が存在していることになりますが、男性型脱毛つまりAGAってここの部分が薄くなることをいいます。
つまり側頭部、後頭部を見る限り1型のDHTの生成する力はあまりない(側頭部や後頭部はあまり薄くならない)といえるので、2型がDHTの生成にかなり影響を及ぼしているということが予想されます。
まあ予想だけではなく、最新の研究では、体内のDHTの生成率の割合が2型5αリダクターゼが6割~7割、1型5αリダクターゼが3割〜4割であることがわかっています。
そして作る量の違いだけでなく、2型がより強力なDHTを生成すると言われています。
あとですね、体質によって2型5αリダクターゼがないという人(2型5αリダクターゼ欠損症)もいて、 こういう人は、AGAにはならないことが判明しています。
結論を言うと2型5αリダクターゼのほうがより多く、より強力なDHTを生み出すのです。
DHTを発生させないためにはとうぜん1型、2型両方の抑制対策を行う必要がありますが、特に2型5αリダクターゼを抑制することに力を入れる必要があるということです。
ピーーーーーーー
そう落ち込まないでください。ここは何のために相談室なのですか!ちゃんとした解決方法というか2型5αリダクターゼの分泌を抑制する方法があるのです。それを次回説明します。