さて前編では、背が伸びるということは骨が伸びることということを説明しました。そして骨が伸びる鍵となるのが「骨端線」であることを説明しました。
骨端線というのは成長期の子どもにだけ見られるもので、骨の端っこにある軟骨が集まっている部分のことをいいます。この骨端線がある部分は骨体軟骨という軟骨組織で形成されていますが、ここが成長することで骨が伸び、背が伸びていきます。
さて本題です。じゃあ骨端線部分がどのようにして成長するかって想像つきますか?
まあ結論をいいますとなんと「細胞分裂」することで成長していくのです。
骨端線は骨端軟骨と呼ばれる軟骨組織で形成されているといいましたが、この組織にある細胞が増殖することで骨端線が成長し背が伸びるのです。
はい!
軟骨組織にある細胞とは骨芽細胞と破骨細胞というものです。 この細胞たちが活発に活動することで骨が生まれ変わっているのです。
骨芽細胞とは新しい骨をつくる細胞で、破骨細胞とは古い骨を分解、吸収する細胞です。
この2つの細胞が常に活動し、骨の形成と吸収を繰り返すことで少しずつ骨が生まれ変わっているのです。
破骨細胞が古くなった骨を溶かして(吸収して)、その部分に今度は骨芽細胞が新しい骨を形成することで骨代謝=骨の新陳代謝が行われます。骨ってこの新陳代謝を繰り返しているです。
で、身長は骨の新陳代謝の中で、「骨端線の部分が成長する」ことで伸びます。
骨形成を担当する細胞、古くなって壊された骨に代わって新しい骨を作る細胞のこと
骨吸収を担当する細胞、古くなった骨を壊す働きをする細胞のこと
骨の新陳代謝つまり生まれ変わりのこと。骨の形成と吸収を繰り返すことにより起こる
この繰り返しを骨のリモデリングともいう
成長期に身長が伸びる理由は、
骨端線部分にある細胞のうち破骨細胞(骨を壊す)より骨芽細胞(骨をつくる)の動きのほうが活発になることからです。骨を壊すスピードより、骨をつくるスピードが速いため、骨がどんどん伸びていくというわけです。
※前回話しましたが伸びていく骨の部分は骨全体でなく骨端線部分がある骨端軟骨だけですのでそこをお忘れなく。
成長期が終わりに近づくにつれ骨端線はなくなっていきます。骨端線があった軟骨組織が硬い骨の組織へと換わると、骨端線は完全に消えます。
つまり骨端と骨幹の間にあった隙間がなくなると考えてください。この段階が身長の伸びが止まるときです。
ちなみに成長期が終わった後も骨代謝は当然ですが絶えず行われています。
ただ成長期の場合は骨芽細胞の働きのほうが活発でしたが、成長期の終わった時期~30代ぐらいは、骨芽細胞と破骨細胞の働きのバランスがとれていきます。つまり骨をつくる「骨形成」と、骨を壊す「骨吸収」が同じぐらいのスピードで行われるということです。そして高齢になるにつれて、破骨細胞の働きのほうが骨芽細胞を徐々に上回るようになります。
高齢者が骨粗しょう症になりやすい理由がここにあります。破骨細胞の働きが活発になり必要以上に骨を破壊してしまうからです。そのためカルシウム、CBPなどの栄養素をとって骨芽細胞を活性化され、バランスを整える必要があります。
ところで前回の終わりに「骨端線が開いている間にあることをすることで身長が高くなれるかがかかってきます」という意味深な文章で終わらせましたが、今までの話を聞いていてそれがなにかわかりましたか?
まあいいでしょう。結論をいいますと、
骨端線がある部分の細胞を活性化させることです。「骨端線の成長」ってようは「その部分の細胞の増殖」といいました。なので骨端線が開いている間にここにある細胞を活性化させればいいのです。
この部分にある細胞とは骨芽細胞と破骨細胞です。この時期(成長期)はいずれにしても骨芽細胞(骨をつくる)の動きのほうが活発になるので、とにかく骨端線部分の細胞を活性化させればいいいのです。
この細胞の細胞分裂を促進するのがソフトメジンCなんです。
ちょっと聞きなれないほうの名称でいってしまいました。
ソフトメジンCとはIGF-1のことです。IGF-1はよくご存じでしょう?成長因子の回でやりましたから。
ビンゴです!
ちょっとだけ成長ホルモンの話をします。
成長ホルモンは、ホルモンの一種で脳の指令を受けて脳下垂体で作られ、分泌されます。
成長ホルモンには、 細胞分裂を促し体を成長させたり、代謝を促進するといった作用があります。
成長ホルモンの作用を簡単にまとめるとこんなところです。
- 思春期の子どもの身長を伸ばす
- 細胞分裂を促し、新しい細胞をつくる、細胞を再生する
- 骨形成を促進
- たんぱく質の合成
- 糖質、脂質のエネルギー代謝促進
- 血糖値をあげる
- 脂肪分解
成長ホルモンの作用には成長ホルモンそのものが、器官や組織に働きかける場合と
成長ホルモンが分泌されることで肝臓でIGF-1という成長因子を物質を生成し、そのIGF-1が分泌されて器官や組織に働きかける場合の2パターンあります。
成長ホルモンの作用の1つ「思春期の子どもの身長を伸ばす」は、この2パターンのうちの後者(IGF-1)が当てはまるわけです。
IGF-1が骨端線にある骨端軟骨に作用することによって、軟骨組織にある骨芽細胞の細胞分裂が活性化され、骨は長軸方向に伸びていきます。
繰り返しになりますがIGFが肝臓で作られるには成長ホルモンの分泌が必要です。
なので成長ホルモンの分泌を促す栄養成分を積極的にとれば背が伸びる確率はグーンとアップするわけです。
しかもあんたのことだから教えたら過剰にとってしまう危険があるし・・・
成長ホルモンの過剰分泌は先端巨人症などの病気の発生リスクを高めることになります。
カッチーーーン
ガッシャーーーン
・・・・・・
こうしておチビの相談は終わりました。
ちなみ成長ホルモンの分泌を促す成分についてはアルギニン、オルニチン、シトルリン、リジンなどのアミノ酸が有名です。
※もちろん骨の材料となるカルシウム、コラーゲン、ミネラルなどの栄養素を取ることも忘れないでください。