PS(ホスファチジルセリン)
グリセロリン脂質の1種
PS(ホスファチジルセリン)とは
PSについて
-
PSはPhosphatidylserineの略称でホスファチジルセリンのことです。以後文章中は「PS」で説明していきます。
-
PSはグリセロリン脂質の1種です。
リン脂質
◆グリセロリン脂質
ホスファチジン酸【グリセリンと脂肪酸2分子、リン酸1分子がエステル結合】のリン酸に塩基が結合◆スフィンゴリン脂質
セラミド【スフィンゴシンのアミノ基に脂肪酸1分子がアミノ結合】とリン酸と塩基が結合 -
PSはグリセリンの1位、2位の炭素に脂肪酸が 3位の炭素にリン酸を介してセリンが結合しています。
なおグリセロリリン脂質はリン酸を介して結合している化合物の違いによりさまざまな種類に分けることが出来ます。
.
以下、代表的なグリセロリン脂質です。
PA
ホスファチジン酸PC
ホスファチジルコリン【コリン】PE
ホスファチジルエタノールアミン【エタノールアミン】PI
ホスファチジルイノシトール【myo-イノシトール】.
【】結合している化合物 -
グリセロリン脂質の生合成経路は2つあります。
生合成の出発物質がPA(ホスファチジン酸)で、2つの経路があります。
2つの生合成経路①PI(myo-イノシトール)などが生成される経路
②PC(ホスファチジルコリン)とPE(ホスファチジルエタノールアミン)が生成される経路
※非常に簡略して説明しています。
-
PSは、PCとPEのリン酸に結合した塩基(PC→コリン、PE→エタノールアミン)がセリンに置換されることで生成されます。
この反応は塩基交換反応と呼ばれます。PEとPSはお互い交換が可能です。脱炭酸酵素の働きによりPSが脱炭酸されることによりPEが合成されます。
- PSが生体内の全リン脂質中に占めている割合は約3%と言われています。
ただ、脳においては総リン脂質中の10%~20%を占めていると言われています。そのため脳において重要な働きをしています。数値のふり幅は大きいのですが、いずれにせよPSが「脳に多く含まれているリン脂質である」ことは間違いありません。 -
PSは脳において
- 脳のエネルギー源であるグルコースの取り込みおよび代謝物の排出を高める。
- 脳細胞膜の流動性を保ち、神経伝達物質の受け渡しを円滑にさせる。
- 神経伝達物質アセチルコリンの働きを高める。
- 抗酸化活性を有し、脂質の過酸化反応を抑制する。
- PSを用いてさまざまな臨床試験が行われています。その報告例は以下です。
- アルツハイマー型認知症
→有効 PS 300mg/日を投与 - 脳血管縮小型認知症
→有効 PS 300mg/日を投与 - 加齢に伴う記憶力低下
→有効 PS 300mg/日を投与 - 抑うつ症
→有効 PS 300mg/日を投与
- てんかん患者による発作の減少
- 若者の運動時ストレスのコルチゾール低下
- 甲状腺ホルモン・甲状腺刺激ホルモンの分泌リズム異常の正常化
- 体内時計(サーカディアンリズム)の異常を修復
- アルツハイマー型認知症
- PSは近年最も注目されているブレインフード(脳の活性化に必要な栄養素)の1つです。
PSの補足 その1
- 細胞膜は脂質(リン脂質)の二重層になっています。
上を外層(細胞外側)、下を内層(細胞質側)とイメージしてください。※これがリン脂質です。
主要なリン脂質は
1つの極性基(〇の部分)=頭部と
2本の脂肪酸(2つのヒラヒラの部分)=尾部を持ちます。
極性基の種類でリン脂質の名前が決まります。
例えば極性基がホスホコリン=リン酸化したコリン であればPC(ホスファチジルコリン)です。 - PSは内層に多く存在しています。一方で、例えばPCは外層に多く存在しています。
引用元
もっと知りたい!!PSについて
健康専科 日油(株)食品事業部このようにリン脂質が内層と外層で組成が異なることをリン脂質の非対称分布と言います。
- この非対称分布がさまざまな生体内反応に関与しています。より正確にいうと非対称分布の「崩壊」がです。
- 内層に存在するPSが外層側に露出することで細胞の「機能(次のアポトーシスや血液凝固反応)」を引き起こします。
- PSは
細胞膜において- アポトーシスを起こした細胞のマーカーとして機能する。
アポトーシス細胞はPSを【eat me】シグナルとして細胞表面に露出させます。そうすることでマクロファージなどによって貪食されます。 - 血液凝固因子を活性化、血液を凝固させる。
出血時に血小板などが活性化されてPSが細胞表面に露出されます。そうすることで血液凝固反応が進行します。 - Na+,K+-ATPaseを活性化させる。
Na+,K+-ATPaseは細胞内でのATPの加水分解と共役してナトリウムイオンを細胞外にくみ出し、カリウムイオンを細胞内に取り込みます。 - ジアシルグリセロ―ル(DAG)、カルシウムとともにプロテインキナーゼCを活性化させる。
※効果・項目欄で説明
- アポトーシスを起こした細胞のマーカーとして機能する。
PSの補足 その2
- PSが多く含まれている食品として、有名なものが大豆です。
.
- が、PSの推奨摂取量1日100㎎を取るとするならば、大豆を約11700粒、納豆だったら約100パックを取る必要があるとのことです。
引用元
忘れるもんか
(株)イムノス - なのでサプリからの摂取がおススメです。というか、推奨量は事実上「サプリからしか取れない」と捉えてもいいかもしれません。
リンク
- PSの原料はほぼ大豆由来です。以前は牛由来(牛の脳)もあったようですが、狂牛病の問題で禁止になったそうです。
- 「大豆由来」は、大豆レシチンに含まれるPC(ホスファチジルコリン)のコリン基を酵素反応(塩基交換反応)によりセリンに置換して製造しています。
- なお海外製のサプリにはサンフラワー(ヒマワリ)レシチン由来がございます。大豆アレルギーの方はそちらをご選択ください。
摂取量について
100~300㎎/日 成人
100~300㎎は食品会社・サプリメーカーが設定している目安摂取量です。さまざまなPSサプリを調べたところ一番目にした数値です。日本では1日100㎎を海外では100~300㎎の摂取を推奨していることが多いです。
PS(ホスファチジルセリン)の効果・効能
PSの効果・効能 3つ厳選
- 脳機能改善効果
- 抗ストレス
- カタボリックホルモンの抑制
そのうち1つを詳しく
①脳機能改善効果
PSには脳機能改善効果があります。
臨床試験により数々の脳の病気に対して「有効」の報告がなされています。
- アルツハイマー型認知症
→有効 PS 300mg/日を投与 - 脳血管縮小型認知症
→有効 PS 300mg/日を投与 - 加齢に伴う記憶力低下
→有効 PS 300mg/日を投与 - 抑うつ症
→有効 PS 300mg/日を投与
参照
もっと知りたい!!PSについて
健康専科 日油(株)食品事業部HP
なので個人的には「PSのどのような作用により」など考えずに単に「PSの摂取は脳機能を改善させる」で良いと思っています。
が、これでは味気ないので
ここでは関与している(と思われる)PSの2つの作用を紹介したいと思います。
プロテインキナーゼCの活性化と長期増強の誘導です。
プロテインキナーゼCの活性化
PSはジアシルグリセロール(以後 DAG)などと協調しプロテインキナーゼC(以後 PKC)と呼ばれる酵素を活性させる働きがあります。
PKCを非常に簡単にまとめると以下になります。
プロテインキナーゼの1種
セリン/スレオニンキナーゼの1種
たんぱく質分子にリン酸基を付加する酵素の総称です。プロテインキナーゼは大別する と チロシンキナーゼとセリン/スレオニンキナーゼの2種類があります。
例えばセリン/スレオニンキナーゼはATPやGTPのγ位のリン酸基を基質たんぱく質のセリンまたはスレオニンのヒドロキシ基に転移させる(=たんぱく質のリン酸化反応を触媒させる)酵素です。
PKCはセリン/スレオニンキナーゼに分類されます。
【アイソザイム】
PKCには10種類以上のサブタイプが存在します。
同じ化学反応を触媒するが、物理的、化学的に異なる酵素のことをいいます。
大別すると
- conventional PKC
- novel PKC
- atypical PKC
の3種類に分けられます。
【PKCの機能】
一言でいうと
さまざまな細胞機能の調節をする
です。
PKCは活性化すると基質たんぱく質をリン酸化することで細胞応答を引き起こします。
具体的には
細胞の増殖・分化、アポトーシス(細胞死)、遺伝子の発現 etc
です。
【活性化させるために】
PKCはセカンドメッセンジャー依存性です。
PKCを活性化させるためには
DAGとカルシウムイオンとPSなどのリン脂質が必要です。
※アイソザイムにより必要とするものが異なります。
ホスファチジルイノシトール 4,5-二リン酸(PIP2)がホスホリパーゼ C(PLC)により分解されることで生じます。この時にイノシトール3リン酸(IP3)も生じます。IP3は小胞体膜のIP3受容体チャネルに結合すると細胞質内のカルシウムイオンの濃度を上昇させます。上記したカルシウムイオンはDAGとIP3との共同で動員が促されます。
IPSについてはこちら
PKCを異常に活性化することは発がんを引き起こすと指摘されています。
とりあえずここでは「PKCを活性化させることは大事」前提で話をすすめます。
参照
商品情報 プロテインキナーゼ【概要】 コスモバイオ(株)
プロテインキナーゼ ウィキペディアHP
PSは脳において
.
ので、その摂取は脳機能改善効果が期待できます。
LTP(長期増強)の誘導
新しい記憶は脳の海馬が、古い記憶は脳の大脳皮質が関係しています。
海馬においてシナプス伝達効率が長期的に上昇する現象のことを長期増強(LTP Long-term potentiation の略称)といいます。記憶力を高めるにはLTPを起こしやすくすることが大切です。
ここからは私の口からより引用文を使った方が説明しやすいと考えました。
なので引用文を多投するという最低な行為を行います。この愚行を少しでも減らすために一部映像&アニメーション化しています。
飛ばしたい場合はこちら
PSの摂取はLTPを誘導するの巻
って めぼしいのはでてこないな~
長期増強 起こす 検索、長期増強 増やす 検索、 長期増強 誘導・・・
前期長期増強の誘導は、シナプス後細胞内のカルシウム濃度が閾値を超えたときに起きる。多くの種類の長期増強において、カルシウム濃度変化にはNMDA型グルタミン酸受容体が必要とされるので、これらの種類の長期増強はNMDA型グルタミン酸受容体依存性であると考えられる。
引用元
長期増強 長期増強のメカニズム
ウィキペディア
それってNMDA型グルタミン酸受容体を活性化させればいいってことでしょ!?
この受容体を構成する主要サブユニットの一つ、NR1 サブユニットにはグリシンを結合する部位があり、グリシンを結合していない NMDA型受容体は、グルタミン酸刺激によって活性化されない。
引用元
NMDA型グルタミン酸受容体 アゴニスト・アンタゴニスト
ウィキペディア
そもそもLTPなんて どうでもいいし・・・
JKとかJDなら興味あるけど!!
使えないわ・・・・・
ここまでさせといて そんな言い方ってあ・・
ビターン!
ビターン!!
ビターーン!!
ブシューーー!!!
ボゴーーーーン!!!
かんべんして~な~
かるろすさんた~な~
ぶふぁーーーー
だから これを飲みな!!
決して忘れません! 反省します!!
もう一度聞くよ? 今日の日のことは?
そして定期預金を解約してだな~
私の銀行口座に・・・
と・・ころで・・
この サプリ・・・なに?
記憶力維持に役立つPSが入っているサプリだよ!! おめーは脳みそが空っぽだからこれを飲んで、少しは・・・
PS・・・ 記憶力・・・もしかして・・・
ちょっと髪引っ張るのやめ・・・
PS(ホスファチジルセリン)って さっき パソコンでいろいろ調べていたときによくでてきた用語なんだ!!
かあちゃん これ見て!!
大豆由来ホスファチジルセリンの経口摂取は認知や記憶に関する機能の
改善に役立つ
経口摂取した大豆由来ホスファチジルセリンは血液を介して脳内に移行する。脳内に移行した大豆由来ホスファチジルセリンはホスホリパーゼ Dにより加水分解され、Lセリンが遊離する。遊離した LセリンはセリンラセマーゼによりDセリンへ変換される。
DセリンはNMDA型グルタミン酸受容体のグリシン結合部位を選択的に刺激する。これにより、NMDA型グルタミン酸受容体が活性化し、長期増強現象と呼ばれる、シナプスの伝達効率が持続的に上昇する現象が起こる。長期増強現象は、脳における記憶や学習の基礎的過程であると考えられている。
よって、大豆由来ホスファチジルセリンの経口摂取は、認知や記憶に関する機能の改善に役立つと考えている。
引用元
脳のラセミ化酵素でLセリンから変換されるDセリンが神経受容体を活性化 大豆ホスファチジルセリンが機能性表示食品の関与成分に
日経バイオテク
脳機能改善について
想定される作用機序
引用元
機能性表示制度に向けた取り組み
健康専科 日油(株)食品事業部
あなた!でかしたわ!!
1杯やりましょう!!
ただし・・・
ハイ カンパーイ!!
①LTPを誘導するには
→NMDA型グルタミン酸受容体を活性化させる必要がある
理由 海馬でのLTPの誘導はNMDA型グルタミン酸受容体によるカルシウムイオンの流入が鍵を握っているから
②NMDA型グルタミン酸受容体を活性化させるには
→グルタミン酸に加えてグリシン(または他)が必要
理由 NMDA型グルタミン酸受容体上にはグリシン結合部分が存在し、グリシンを結合していないNMDA型受容体は活性しないから
結論
PS(ホスファチジルセリン)を摂取すると脳内でD-セリンが増える【ホスファチジルセリンの構成成分L-セリンを遊離して、そのセリンがD型に変換する】と考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。
前提②で話した「または他」の他というのがD-セリンです(そのほかにはD-アラニンなど)。
D-セリンもグリシンと同様にグリシン結合部分に作用します。つまりD-セリンはNMDA型グルタミン酸受容体を活性化させます。
L-セリンの光学異性体です。D-セリンは脳に多く存在し、NMDA型グルタミン酸受容体のコアゴニストとして作用することが知られています。
近年の研究によりD-セリンは特に脳の前脳領域(NMDA型グルタミン酸受容体の発現が多い場所)に存在し、
シナプス可塑性(シナプスでの情報伝達効率が長期的に変化する能力)を制御していることが示唆されています。
NMDA型グルタミン酸受容体のグリシン結合部分に対する親和性はグリシンより3倍高いといわれています。D-セリンの産生の低下≒シグナルの低下は、NMDA型グルタミン酸受容体の機能不全をもたらし総合失調症に関わる可能性があるとされています。
まとめると以下になります。
- D-セリンはNMDA型グルタミン酸受容体を活性化させLTPを誘導します。
- PSを摂取すると脳内にD-セリンが増えると考えられます。
PS(ホスファチジルセリン)の働き分析【見た目編】
合計 37/60点
薄毛
5点
「薄毛」改善 に関わるPSの働きは主に次です。
- 抗ストレス
髪に必要な栄養素や酸素は血液によって運ばれます。なので頭皮の血流が悪化すると薄毛につながります。血流を悪化させる要因の1つはストレスです。PSには抗ストレス効果があります。 - 細胞膜
頭皮の細胞(毛母細胞、毛乳頭細胞)の膜の主成分はリン脂質です。なのでその構成成分を取ることは細胞の活性=発毛につながります。
PSは生体内の細胞膜における全リン脂質のうち3%しか含まれていない成分です。が、「リン脂質の構成成分である」ことは間違いありません。 - 甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンは全身の細胞を活発にさせるホルモンで、細胞の成長や新陳代謝に欠かすことのできない生理活性物質です。
これは髪の生育にかかわる細胞(毛母細胞・毛乳頭細胞)にもあてはまります。
臨床試験により、PSに甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの分泌リズムを正常化させる働きがあることが確認されています。
白髪
6点
「白髪」予防 に関わるPSの働きは主に次です。
- ストレスによる白髪
「ストレスから白髪」が生じる理由は簡単にいえばストレスを感じると血流が悪くなり髪に必要な栄養素や酸素が届かなくなるからです。少し違う視点からも「ストレスから白髪」を考察したいと思います。
ストレスを感じると副腎(の皮質)より副腎皮質ホルモンが分泌されます。
副腎皮質ホルモンはACTH(副腎皮質刺激ホルモン)により分泌が調節されています。ACTHは脳下垂体から分泌されます。
脳下垂体から分泌されるホルモンはACTHだけではありません。多様なホルモンが分泌されています。
例えば
メラニン細胞刺激ホルモンなども分泌されています。
→メラノサイトのチロシナーゼを活性させメラニン生成を促進する成長ホルモン
→毛母細胞・メラノサイトを活性化させる甲状腺刺激ホルモン
→髪の成長を促す甲状腺ホルモンの分泌を促進する
強いストレスに長期間さらされると脳下垂体ではACTHの分泌にかかりきりになってしまい他のホルモンの分泌がおろそかになります。
他のホルモンとは上記したものです。これらホルモンの分泌が少なくなると髪にどのような影響を及ぼすかは容易に想像できると思います。さて「強いストレスに長期間さらされると脳下垂体ではACTHの分泌にかかりきりになる」といいましたが、それは「ストレスに対抗するためにコルチゾールを放出するために」です。
コルチゾールはストレスを受けた時に体内に蓄えられていたグリコーゲンや脂肪の分解を促し(=エネルギーとして利用し)ストレスによる脳の機能低下や血糖値の低下などを防ぎます。なのでストレスに対処する物質とされています。
ただ「ストレスに対処する物質」これに「一時的に」という枕詞をつけた方がいいかもしれません。
精神&肉体ストレスを受け続け、過剰に分泌されると免疫の低下や血糖値の上昇、高血糖からの脂肪増加などの負の作用をもたらします。
またコルチゾールの過剰分泌は副腎の疲弊につながるとされています。ストレスによりたださえも【他のホルモンの分泌がおろそか】になっているのに、副腎を疲弊させることでさらに【他のホルモンの分泌がおろそか】が加速されると想像できます。
なのでコルチゾールを過剰分泌を防ぐことができればその懸念が和らぐことになります。PSにはストレスを軽減させる効果があります。この効果はコルチゾール低下によりもたらさせるものです。PSの臨床試験では激しい運動により誘発される血中コルチゾール濃度の低下させる働きがあることが認められています。
以上より、PSはストレス性の白髪予防に有効な成分の1つといえるかもしれません。
美肌
6.5点
「美肌」作り に関わるPSの働きは主に次です。
- 肌の新陳代謝
細胞の原料となる成分摂取は細胞の活性化につながります。細胞の活性化は肌においては肌細胞の生まれ変わり=肌のターンオーバーを促進させます。PSは細胞膜の構成成分です。 - 過酸化脂質
繊維芽細胞は美肌成分(コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸)を産生する細胞です。その細胞膜中の脂質が活性酸素の攻撃により過酸化脂質に変化すると、細胞が機能しなくなります。結果、美肌成分が減少し、肌の老化を招きます。PSの脳改善効果の作用機序のひとつに脂質過酸化反応の抑制があります。PSが肌の繊維芽細胞の膜にどれだけ含まれているか定かでありませんが、0でない限りこの「脂質過酸化反応の抑制」の働きは肌にもプラスになるはずです。
- 甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンは全身の細胞に働きエネルギー代謝を促進させます。そのため不足するとさまざまな症状を引き起こします。肌に関しては「かさつき」です。PSの臨床報告には「甲状腺ホルモンの分泌リズムを正常化させる」があります。 - コルチゾール
ポーラ(株)は研究により「コルチゾール」が表皮細胞に作用し、潤い成分を減らすことを解明し、細胞内のコルチゾールを減らすオリジナルエキスを開発しています。【ストレスホルモン「コルチゾール」により肌のうるおいが低下する】
ストレスによる肌状態の悪化は、忙しい現代女性にとって深刻な悩みの一つです。心身にストレスを受けると、血液中のコルチゾールが一時的に増加します。培養表皮細胞にコルチゾールを添加すると、うるおいのもとであるフィラグリンが減少することがわかりました(図1)。これは、コルチゾールがストレスによるうるおい低下の一因であったことを示しています。
コルチゾールの影響は、年代によって異なるのでしょうか?異なる年代の人の表皮細胞で確かめたところ、30代女性の細胞は、50代女性の細胞と比べてフィラグリンの減少量が大きいことがわかりました(補足資料1)。さらに、真皮に存在しコラーゲンを生み出す線維芽細胞でも、同様の反応が起こっていました。線維芽細胞にコルチゾールを添加するとコラーゲンを生み出す量が減ってしまいますが、その影響は30代女性の細胞で特に顕著だったのです(図2)。つまり、30代女性の肌は、ストレスの影響が肌に出やすいと考えられます。
引用元
ポーラ化成、ストレスが肌のうるおいを奪うメカニズムを解明
日本経済新聞臨床試験により、PSに運動によって産生が増えるコルチゾールを減らす働きがあることが確認できています。
PSの摂取はストレスによる潤い成分の減少抑制になるかもしれません。
美白
5.5点
「美白」ケア に関わるPSの働きは主に次です。
- 肌のターンオーバー
シミができる理由は
【メラニンが過剰に作られる&それが肌のターンオーバーとともに排出されない】
です。なので
【メラニンを過剰に作らせないこと&肌のターンオーバーを正常化させること】が美白にとって大切なことになります。肌のターンオーバーを正常化させるために細胞の材料となる栄養素をしっかりとることや細胞分裂を活発にさせる成分をとることが大切です。
PSは両方にあてまります。細胞の材料
・・・PSは細胞を覆っている膜の主成分であるリン脂質の1種です。細胞分裂を活発
・・・PSは甲状腺ホルモンの分泌リズムを正常化させます。
筋肉
8.5点
「筋肉」増強 に関わるPSの働きは主に次です。
- コルチゾール
PSは激しい運動の際に分泌されるコルチゾールの血中濃度を低下させる作用があります。これは臨床試験により確認されています。引用元
機能性表示制度に向けた取り組み
健康専科 日油(株)食品事業部コルチゾールは筋肉の異化(糖を生み出すために筋肉を分解)を促進させるホルモンです。
コルチゾールを低下させる作用をもつPSには筋肉の異化を抑制する働きがあるといえます。
実際、ワークアウト系複合サプリにPSが配合されています。リンクさらに、冴えたトレーニングに最適なホスファチジルセリンや若々しさの秘訣である緑茶エキスが、ボディメイクを集中的にバックアップ。本気でボディメイクに取り組むトレーニーに欠かせない一品だ。食事で摂るのは困難なだけに、より確実な成果を目指すなら毎日のチャージが必須となる。
HALEO Amazon
※商品紹介では冴えたトレーニング目的で配合されているようですが、コルチゾール抑制の効果も期待できると思います。
脂肪
5.5点
「脂肪」減少 に関わるPSの働きは主に次です。
- 脂肪の代謝
PSは生体内においてリン脂質の構成成分として【リポたんぱく質の形成】=脂肪の代謝に関与します。リポたんぱく質脂肪をエネルギーとしてあるいは貯蔵物質として利用するために、血中を移動させるにはアポたんぱく質という水になじみやすいたんぱく質に結びつく【=リポたんぱく質を形成する】必要があります。
中性脂肪とコレステロールを中心にしてリン脂質を主成分とする膜で覆い、その膜がアポたんぱく質と結合するとリポたんぱく質が形成されます。
リポたんぱく質の形成に関わるリン脂質の大部分はPC(ホスファチジルコリン)やSPM(スフィンゴミエリン)ですが、PSはわずかながら含まれているので「関与」はしています。
PS(ホスファチジルセリン)の働き分析【中身編】
合計 40.5/60点
身体
6.5点
「身体」の構成材料 に関わるPSの働きは主に次です。
- 細胞膜の構成
人間の体は60兆個(37兆個の説もあり)の細胞でできています。その細胞1つ1つは「細胞膜」と呼ばれる膜に覆われています。
リン脂質は細胞膜の主成分です。リン脂質には種類があり、組織により【細胞膜に含まれるリン脂質】の組成は異なっています。リン脂質の種類の一例
【グリセロリン脂質】
PA ホスファチジン酸
PC ホスファチジルコリン
PE ホスファチジルエタノールアミン
PI ホスファチジルイノシトール
PS ホスファチジルセリン など【スフィンゴリン脂質】
SPM スフィンゴミエリン などPSは生体内の全リン脂質の約3%を占めています。3%なので多いとはいえませんが、脳組織においてはその数値は10~20%となっています。脳組織にとって特に大切なリン脂質です。
エネ
5点
「エネルギー」生成 に関わるPSの働きは主に次です。
- 脂肪からエネルギー
脂肪項目で説明したようにPSはリポたんぱく質の合成に関与することで脂肪の代謝に関わっています。これは脂肪からエネルギーを効率よく生み出すことに関わることです。
病気
5点
「病気」予防 に関わるPSの働きは主に次です。
- 肝疾患
脂肪肝とは肝臓に脂肪が異常に蓄積した状態のことをいいます。具体的には全肝脂肪の約30%以上が脂肪化している状態のことをいいます。ちなみに健康な肝臓では脂肪化しているのは約3~5%です。脂肪肝が進むと肝炎や肝硬変に、さらに肝臓ガンにつながる危険性があります。
動物実験などによりリン脂質の摂取が血中および肝臓の脂質レベルを低下させることが確認されています。
リン脂質の1種であるPSは脂肪肝予防の成分の1つにカウントしてもいいかもしれません。 - 高血圧予防
アセチルコリンは血管を拡張して血圧を下げる神経伝達物質として働きます。
PSにはアセチルコリンの働きを高める作用があるとされています。以来、欧米を中心とした多くの臨床試験により高齢者の物忘れや認知症に対する改善効果が示されています。なお、神経細胞間の情報を伝えるアセチルコリンという物質の働きを高めることが、PSの作用機構の1つと考えられています。
引用元
健康用語の基礎知識「ホスファチジルセリン」
ヤクルト中央研究所PSの摂取は高血圧予防にもなるといえるかもしれません。
※PSは脳の病気予防・改善に大きく貢献する成分です。こちらは「健脳」カテゴリーで評価しています。
体質
8.5点
「体質」改善 に関わるPSの働きは主に次です。
- ストレス
PSは肉体的ストレス、精神的ストレスどちらにも効く成分です。日油(株)の研究によれば肉体的は600㎎/日、精神的は300㎎/日の摂取でストレスの軽減が見込まれるとのことです。期待される機能性表示のイメージ
精神的ストレスについて
肉体的ストレスについて
※実際に表示可能なヘルスクレームについては、研究レビューの使用について契約を結んだお客様へ行っております。
引用元
機能性表示制度に向けた取り組み
健康専科 日油(株)食品事業部 - QOL
QOLとはQuality of Lifeのことで、生活の質、生命の質などと訳されます。人が生きる上で感じる充実感(充実度)および満足感(満足度)を表す概念(指標)です。ストレス軽減や記憶力改善の効果があるPSはQOLを高める成分の1つとされています。
- 止血
出血時に血小板などが活性化されてPSが細胞表面に露出されます。そうすることで血液凝固反応が進行します。
もう少し専門的に説明すると次です。Gla-ドメインをもつ血液凝固タンパク質は、カルシウム依存的にホスファチジルセリンに結合して活性化される。すなわち、内皮細胞や単球、血小板などの向血栓細胞が活性化されてホスファチジルセリンが細胞表面に暴露されると、血漿中のビタミンK依存性凝固因子がそれを認識して結合し、一連の凝固反応が促進される。同時に、ビタミンK依存性抗凝固因子であるプロテインCやプロテインSも活性化され、凝固反応の制御がおこなわれる。
引用元
用語集 ホスファチジルセリン
一般社団法人日本血栓止血学会とにかく止血反応において重要な役割を果たしています。
精力
5.5点
「精力」増強&「性機能」向上 に関わるPSの働きは主に次です。
- コルチゾール
ストレスは性欲減退の大きな原因です。この一言で十分なのですが、もう少し肉付けするとストレスによりコルチゾールが過剰に分泌されると、性欲を司る男性ホルモン「テストステロン」が減少するため性欲が減退します。
白髪項目で話した「他のホルモンの分泌がおろそかになる」の原理と一緒と考えてください。
PSにはコルチゾールの過剰分泌の抑制が期待できます。
健脳
10点
「脳」の健康 に関わるPSの働きは主に次です。
- 脳細胞膜の主成分
脳は臓器の中で最も脂質を多く含んだ組織といわれています。成人の脳の乾燥重量の約6割は脂質で構成されています。総脂質の半分はリン脂質で構成されます。
脳組織のリン脂質のうちPSは10~20%を占めています。PSは脳の細胞膜の内層(細胞質側)に多く存在し
- 脳のエネルギー源であるグルコースの取り込みおよび代謝物の排出を高める。
- 脳細胞膜の流動性を保ち、神経伝達物質の受け渡しを円滑にさせる。
- 神経伝達物質アセチルコリンの働きを高める。
- 抗酸化活性を有し、脂質の過酸化反応を抑制する。
などの働きをします。
リンク脳に対してこのような機能を果たすPSは臨床試験により、脳関連の病気に関する「有効」の報告がされています。
- アルツハイマー型認知症
→有効 PS 300mg/日を投与 - 脳血管縮小型認知症
→有効 PS 300mg/日を投与 - 加齢に伴う記憶力低下
→有効 PS 300mg/日を投与 - 抑うつ症
→有効 PS 300mg/日を投与
なお アメリカで販売されているスマートサプリのうちFDAが条件付きヘルスクレームを認めているのは唯一、PSのサプリだけとのことです。
「アメリカでは、認知力や記憶力を高める効果が期待されるサプリメントのことを、“スマートサプリ”と呼びます。そのなかで、アメリカの食品医薬安全局(FDA)が条件付きヘルスクレームを認めているのは唯一、PSのサプリメントだけです」
引用元
認知症対策の成分「PS」って?欧米研究の第一人者が解説
介護ポストセブンこの項目では文句なしの満点成分といえます。
PS(ホスファチジルセリン)のサプリメント紹介
- Cogni-PS (コグニ-PS)ホスファチジルセリン
- 脳機能を促進
- 健康補助食品
ホスファチジルセリン (PS)は自然リン脂質で細胞皮膜の必須構成物です。 コグニ-PSは認知、精神、集中力、反応に関わる脳機能を促進、神経膜の流動性の(細胞間のコミュニケーション)管理を補助します。PS はストレスからの保護、コチゾール(カタボリックストレスホルモン)の活動を抑制します。
コグニ-PS は濃縮ホスファチジルセリンで耐久性に優れています
引用元
Jarrow Formulas, PS 100、ホスファチジルセリン、100 mg、 60 カプセル
iHerb.com
NOWソイフリー・ホスファチジルセリンは、非遺伝子組み換えヒマワリレシチン由来のリン脂質化合物です。ホスファチジルセリンは、細胞膜組成および細胞間連絡に不可欠な役割を果たします。特に神経細胞膜の重要な構造成分であるホスファチジルセリンは、神経細胞膜内で電気インパルスの伝導を助け、学習、記憶、気分に関与する神経伝達物質の活動を促進します。
引用元
Now Foods, ホスファチジルセリン, 大豆フリー, 150 mg, 60 錠
iHerb.com
PS(ホスファチジルセリン)のまとめ
分析【見た目編】37点
分析【中身編】40.5点
PS(ホスファチジルセリン) 脳機能改善効果 参照一覧
PSについて 健康専科 日油(株)食品事業部
セリンラセミ化酵素 脳科学辞典
記憶・学習をささえる脳内D-アミノ酸の機能 D-アミノ酸学会誌 D-アミノ酸学会(旧D-アミノ酸研究会)