パンテチン
ビタミンB5誘導体
パンテチンとは
パントテン酸誘導体
パンテチンはパントテン酸(ビタミンB5)誘導体のことをいいます。
誘導体とはある化合物を母体としたときに、置換またはその他の化学反応により化学構造の改変がなされた化合物のことをいいます。もとの化合物の構造や性質を大幅に変えない程度に改変されてます。
簡単に言ってしまえば、「もとの化合物の欠点を改良し、生体利用率を向上させたもの」が誘導体です。
例えば ビタミンB1誘導体はビタミンB1の構造中に脂溶性の官能基を導入するなどをし、腸管での吸収を向上させたものです。
出典元
疲れの対処法~食事とビタミン編:ビタミンB1誘導体とは?
そうだったのか!疲労対処のコツ
アリナミン 武田コンシューマーヘルスケア(株)
ビタミンB1誘導体は、ビタミンB1と比べてより多く吸収されます。そして吸収された後、組織へよく移行します。その結果、生体内でビタミンB1を効率よく作用させる=ビタミンB1の効果を高めることが可能となります。
パントテン酸の誘導体であるパンテチンもそんな感じです。
パンテチンは
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だと考えてください。
海外サプリの紹介文には大体このように記載されています。
日本では
日本の食品会社やサプリメーカーで、「パンテチン」をサプリとして取り扱っているところはおそらくありません。パンテチン単体サプリはおろか、パンテチンが含まれているサプリも販売されていないと思います。
ということでサプリとして購入するには、海外商品を取り扱っているサプリ通販会社からとなります。
それ以外の方法で手に入れるとしたらパンテチン錠として病院で処方されるか、パンテチンが含まれている第3類医薬品・指定医薬部外品を薬局などで購入するか です。
前者はパントテン酸欠乏症の予防および治療や、パントテン酸の需要が増大し食事からの摂取が不十分な際の補給などを、後者は血清高コレステロールの改善などを主な効果・作用としています。
パントテン酸について簡単に
パントテン酸は水溶性ビタミンの1つです。
パントテン酸は生体内ではCoA(コエンザイムA)やACP(アシルキャリヤープロテイン)の補欠分子族4′-ホスホパンテテインの構成成分として存在しています。
CoAやACPは代謝における酵素の補酵素として機能しています。その数は140種類以上といわれます。酸化還元反応、加水分解反応、転移反応、合成反応など生体内で起こるさまざまな反応に関わっています。
パントテン酸といえばCoA
個人的に、パントテン酸といえば「CoA」の一択です。
CoAはパントテン酸、システイン、ATPが結合した化合物です。
CoAだどあまり馴染みがないかもしれませんが、アセチルCoAと聞くとピンとくる方多いかと思います。
CoAはそのアセチル化体である「アセチルCoA」として、糖質の代謝や脂質の代謝において極めて重要な役割を果たします。
糖質・脂質のエネルギー代謝の大まかな流れは以下です。
糖質
グルコース➡解糖系➡ピルビン酸➡アセチルCoA➡クエン酸回路➡電子伝達系
脂質
脂肪酸➡アシルCoA➡β酸化➡アセチルCoA➡クエン酸回路➡電子伝達系
糖質の代謝では、ピルビン酸が脱炭酸反応によってアセチルCoAに変換されます。
脂質の代謝では、脂肪酸がβ酸化を受けてアセチルCoAに変換されます。
クエン酸回路に取り込まれるためにはどちらもアセチルCoAになる必要となります。
アセチルCoAは、CoAにアセチル基が結合した化合物です。
CoAの構造式
パントテン酸が生体内に吸収されるとシステインやATPと結合しCoAが生成されます。
CoAはすべての細胞内でパントテン酸から5段階の酵素反応を経て合成されます。
全ての組織でパントテン酸から5段階の酵素反応を受けてCoAが生合成されると考えられている
引用元
非肝臓組織におけるパンテテイン-コエンザイムA生合成経路の解明とその役割
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
合成経路は飛ばします。
※上記引用元にあるのでよろしければご覧ください。
できあがりのCoAの構造式は以下です。
出典元
アーキアにおける補酵素A(coenzyme A)の生合成機構
J-STAGE
パンテチンの効力がわかる構造式
パンテチンは2分子のパンテテインがジスフィルド結合したものです。
出典元
パントテン酸
ウィキペディア
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パンテテインとはパントテン酸にβ-メルカプトエチルアミン(システアミン)が結合したものです。
出典元
パントテン酸
ウィキペディア
.
パンテテインの構造式に見覚えはございませんか?
少し前に出したCoAの構造式をもう一度ご覧ください。
CoAの構造式の上の【Pantothenate由来 Cysteine由来】部分が「パンテテイン」です。
簡単にいってしまえば、パンテテインとして取り入れるとパントテン酸とシステインの合体過程を省くことができます。
先程、CoAはパントテン酸から5段階の酵素反応で作られると話ましたが、
パンテテインとして取り入れると3段階の酵素反応で済みます。
また、パンテテインも3段階の酵素反応を経なければCoAに生合成されない
引用元
非肝臓組織におけるパンテテイン-コエンザイムA生合成経路の解明とその役割
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
パンテテインはパントテン酸より、CoAにより近い前駆体となります。
【CoAはパントテン酸の生理活性型なので】それだけより活性が強いと捉えることができます。
パンテチンは2分子のパンテテインがジスフィルド結合したもので、体内に取り入れられると容易に分解されます。
とういうことで、パンテチンを摂取することで
=より効率的にパントテン酸の生理機能を発揮できる
=よりCoAの血中濃度を上げる
.
ことができます。
パンテチンはパントテン酸の強化Ver成分と捉えていいと思います。
パンテテイン(Pantetheine)は、パントテン酸(ビタミンB5)のシステアミンアミドアナログである。この化合物の二量体であるパンテチンの方がよく知られており、パントテン酸よりも強いビタミンB5であると考えられている。
引用元
パンテテイン
ウィキペディア
パンテチン(Pantethine)は、ビス(2−{3−[(2R)−2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタノイルアミノ]プロパノイルアミノ}エチル)ジスルフィドとして表され、パントテン酸(ビタミンB5)誘導体または活性型ビタミンB5とも呼ばれる。
引用元
植物加工物およびパンテチン類を含有する錠剤
JP5224834B2
Google Patents
高コレストロール改善作用
医療用医薬品「パンテチン錠」の薬効・薬理は、主に①脂質代謝の改善②肝CoA量増加作用③血小板増加作用④腸管運動亢進作用の4つです。
パンテチンは第3類医薬品としては高コレストロール低下薬の有効成分として含まれています。
海外のパンテチンサプリの商品レビュー見ると「コレストロールを下げる」ことを目的に取っている方が多いように感じます。
ということで、パンテチンの作用をあえて1つに絞ると「高コレストロール改善作用」になると思います。
パンテチンの効果・効能
パンテチンの効果・効能 5つ厳選
- エネルギー代謝
- 脂肪酸の合成
- ストレス緩和(by 副腎皮質ホルモンの合成)
- コレストロール代謝改善
- ビタミンCの働きを手助け
※パントテン酸のレビューとほぼ同じです。④のみ題名と内容(次で説明)変えています。
※以降、基本的に「パントテン酸」で説明しています。パンテチンはパントテン酸の強化Verと捉えてください。パンテチンを強調するときに「パンテチン」で説明します。
そのうち2つを詳しく
①エネルギー代謝
パントテン酸はCoAの構成成分として糖質の代謝・脂質の代謝に深く関わっています。
糖質・脂質のエネルギー代謝の大まかな流れは以下です。
糖質➡グルコース➡解糖系➡ピルビン酸➡アセチルCoA➡クエン酸回路➡電子伝達系
脂質
中性脂肪➡脂肪酸➡アシルCoA➡β酸化➡アセチルCoA➡クエン酸回路➡電子伝達系
出典元
エネルギー生産とビタミンB群
ニュートラシューティカルズ関連事業
大塚製薬(株)
糖質は糖質➡グルコース➡解糖系➡ピルビン酸➡アセチルCoA➡クエン酸回路➡電子伝達系の流れを経てエネルギー源ATPに変換されます。 この流れを文章でまとめると以下となります。
解糖系は細胞質でブドウ糖(以下グルコース)をピルビン酸または乳酸に変換するプロセスです。グルコースが解糖系を進行していくとピルビン酸へ代謝されます。
生じたピルビン酸は好気的条件下において、ミトコンドリアに入り、ミトコンドリアのマトリックスに含まれる酵素の働きによってアセチルCoAに変換されます。
アセチルCoAはクエン酸回路に組み込まれ、酸化されます。その過程で生じた水素を水素受容体であるNAD⁺及びFADが受け取ります【→NADH及びFADH2に】。
生じたNADH及びFADH2はミトコンドリアの電子伝達系に送られます。電子伝達系では運ばれた【NADH及びFADH2】を利用して大量のATPを生成します。
脂質の代謝
脂質は中性脂肪➡脂肪酸➡アシルCoA➡β酸化➡アセチルCoA➡クエン酸回路➡電子伝達系の流れを経てエネルギー源ATPに変換されます。
この流れを文章でまとめると以下となります。
中性脂肪が分解されて生じた脂肪酸はアルブミンというたんぱく質と結合し、各組織の細胞に運ばれます。そして細胞質に取り込まれた後、酵素の働きにより活性化され、脂肪酸アシルCoAに変換されます。
脂肪酸は脂肪酸アシルCoAのままではミトコンドリアの内膜を通過することができません。
一時的にカルニチンと結合し脂肪酸アシルカルニチンになることでミトコンドリア内膜を通過することができます。
内幕を通過したアシルCoAはβ酸化の反応をうけてアセチルCoAに変化します。
アセチルCoAはクエン酸回路に組み込まれ、酸化されます。その過程で生じた水素を水素受容体であるNAD⁺及びFADが受け取ります【→NADH及びFADH2に】。
生じたNADH及びFADH2はミトコンドリアの電子伝達系に送られます。電子伝達系では運ばれた【NADH及びFADH2】を利用して大量のATPを生成します。
まとめ
クエン酸回路➡電子伝達系は酸素を使って効率よくATPを作り出す糖質・脂質の共通の代謝経路です。
クエン酸回路に取り込まれるためにはどちらもアセチルCoAになる必要となります。
糖質の代謝では、ピルビン酸が脱炭酸反応によってアセチルCoAに変換されます。
脂質の代謝では、脂肪酸がβ酸化を受けてアセチルCoAに変換されます。
アセチルCoAは、補酵素A(CoA)にアセチル基が結合した化合物です。
CoAはパントテン酸、システイン、ATPが結合した化合物です。
CoAはすべての細胞内でパントテン酸から5段階の酵素反応を経て合成されます。
ということで、パントテン酸が不足した場合、脂質や糖質のエネルギー代謝に支障をきたすと考えてください。
パンテチンを摂取することで、特に肝におけるCoA量増加が見込まれます。医療用医薬品の薬理薬効に肝CoA量増加作用があります。
④コレストロール代謝改善作用
コレストロールは大きく悪玉と善玉に分けられます。
リポたんぱく質のLDLに含まれているコレストロールを【LDLコレストロール=悪玉コレストロール】と呼びます。
HDLに含まれているコレストロールを【HDLコレストロール=善玉コレストロール】と呼びます。
LDLに含まれているコレストロールも、HDLに含まれているコレストロールも同じコレストロールです。コレストロールを運ぶ乗り物(リポたんぱく)の違いにより区別されているだけです。それなのに善玉と悪玉とわけられている理由は次です。
- LDL
LDLはコレストロールを必要とする組織に運搬する働きをします。そのコレストロールは細胞膜やホルモンの材料として使用されます。なのでLDLそのものは「悪玉」ではありません。
悪玉と呼ばれている理由は「余った」場合に体に悪影響を及ぼすからです。余ったLDLは血管壁に溜まり動脈硬化を進行させます。 - HDL
HDLは全身をめぐって血液中にたまったコレストロールを肝臓に運び戻す働きをします。単に運び戻すだけでなく、動脈硬化が起きている場所(プラーク)からコレステロールを引き抜き、肝臓に回収し胆汁として排泄する働きをします。
.
パンテチンには脂質代謝を改善し、総コレステロールを低下させる作用があります。
またHDLを増やす作用や血管壁コレストロール代謝促進作用(コレステロールの血管壁への沈着を抑える)もあります。
以上より、パンテチンを摂取することで、コレストロール値の低下作用しいては動脈硬化予防効果を得られることが期待できます。
なのでパンテチンはよく第3類医薬品【高コレストロール改善薬】に主成分として配合されています。
なおパンテチン配合の高コレストロール改善薬を販売している製薬会社は数社あります。
決って
- パンテチン
コレストロールの代謝を促進する - ソイステロール
小腸でコレステロールの吸収を阻害する - ビタミンE
過酸化脂質を抑制する
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のセットになっています。
配合量も1日量で
- パンテチン
375㎎ - ソイステロール
600㎎ - ビタミンE
100㎎
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と、どれも一緒になっています。
この組み合わせ&配合量がパンテチン配合(またはソイステロール配合)の高コレストロール改善薬の定番のようです。
※くまなく調べたわけではありません。悪しからず。
パンテチンはパントテン酸の強化版と捉え、今回のレビューを作成しております。なので働き分析の内容はパントテン酸のレビューをベースにしています。内容も ほとんどパントテン酸として説明しています。
※「体質」カテゴリーに新たな内容を付け足しています。
各カテゴリーの点数に関してはパントテン酸のレビューより~1の加点評価をしています。
加点していない項目もあります。それは、大きな差異はないと勝手に考えた項目です。
パンテチンのほうが効力は上だが、コストをかけてまで(通常パンテチンサプリのほうが高い)それを目的として摂取する必要はないと勝手に考えた項目です。
なお医療用医薬品の薬効・薬理の主である①脂質代謝の改善②肝CoA量増加作用③血小板増加作用④腸管運動亢進作用が、特に関係してくると思われるものは表題・赤文字で、内容・パンテチンで記載しています。
パンテチンの働き分析【見た目編】
合計 47/60点薄毛
8.5点
「薄毛」改善 に関わるパンテチンの働きは主に次です。
- 毛母細胞の活性
エネルギー源であるATPは、細胞分裂を行う際に必要となります。髪は毛母細胞が細胞分裂することで生まれ成長していきます。
毛母細胞が細胞分裂するときには多くのATPを要します。なので発毛・育毛においてはエネルギー代謝を促進させる成分をとることが非常に重要となります。
CoAの構成成分であるパントテン酸はエネルギー代謝を促進する成分として有名です。
パントテン酸はよく育毛目的のサプリに配合されていたり、育毛剤の成分に含まれていたりします。 - 皮脂の代謝
皮脂が過剰に分泌されると頭皮の環境を悪化させます。脂質の代謝を助けるパントテン酸は皮脂の代謝を正常化させます。これにより皮脂の分泌を抑えて頭皮を清潔に保ち、髪の毛が育ちやすい環境を作りあげます。 - ストレス緩和
髪に必要な栄養素や酸素は血液によって運ばれます。なので血流をよくすることは健康な髪を生み出すためにも大事なことです。
ストレスは血流を悪化させる原因の一つです。パントテン酸はストレス緩和に働く副腎皮質ホルモンの合成に関わっています。
白髪
7.5点
「白髪」予防 に関わるパンテチンの働きは主に次です。
- ストレス性白髪
パントテン酸はよく白髪予防・改善のサプリメントに配合されています。また白髪染め・カラートリートメントの有効成分としても有名です。
パントテン酸が白髪予防に効く理由は多々あります。ここでは「ストレス性白髪に有効だから」と考え、話を進めていきます。ストレス→白髪になる流れを簡単にまとめると次になります。
①ストレスを過度に感じると抗ストレスホルモン合成にかかわる成分が大量に消費される。②ストレスに対抗するに必要なホルモンの量が不足してしまう
③ストレスにより血流が悪くなる
④血流が悪くなるとメラノサイト(メラニンを作る)の働きが悪くなる
→白髪になる
ここでストレス→白髪を血流悪化以外の視点からも見てみます。
ストレスを感じると副腎皮質ホルモンが分泌されます。副腎皮質ホルモンはACTH(副腎皮質刺激ホルモン)により分泌が調節されています。ACTHは脳下垂体から分泌されます。
脳下垂体から分泌されるホルモンはACTHだけではありません。多様なホルモンが分泌されています。
例えば
メラニン細胞刺激ホルモンなども分泌されています。
→メラノサイトのチロシナーゼを活性させメラニン生成を促進する成長ホルモン
→毛母細胞・メラノサイトを活性化させる甲状腺刺激ホルモン
→髪の成長を促す甲状腺ホルモンの分泌を促進する
強いストレスに長期間さらされると、脳下垂体ではACTHの分泌にかかりきりになってしまい他のホルモンの分泌がおろそかになります。
さきほどあげたホルモンの分泌が少なくなると髪にどのような影響を及ぼすかは簡単に想像できると思います。
パントテン酸がストレス性白髪予防に効くとされているのは、副腎皮質ホルモンの合成を促進するからです。
パントテン酸を摂取することで副腎の働きが強化され、ストレスに対応するための態勢が整えられます。
強いストレスを感じたときに、パントテン酸を意識して摂取するとストレス性白髪の予防になるかもしれません。 -
頭皮の環境を整える
皮脂が過剰に分泌されると 毛穴づまりを起こすなど頭皮環境が悪化します。
頭皮環境が悪化すると 毛根部分にあるメラノサイトの活動も衰えます。メラノサイトは黒髪のもとであるメラニンをつくりだす働きをしています。そのため活動が衰えると白髪につながります。皮脂代謝に関わるパントテン酸は、皮脂の過剰分泌を抑制します。
美肌
8点
「美肌」作り に関わるパンテチンの働きは主に次です。
- 皮脂の代謝
皮脂の代謝が正常に行われないと 皮脂が過剰に分泌されて毛穴に詰まってしまいます。その結果、ニキビや吹き出物ができてしまいます。皮脂の代謝を活性させる働きをするパントテン酸はニキビなどの肌荒れ対策に有効です。
- ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの生成に必ず必要となる成分です。コラーゲンは真皮層でハリや弾力を生み出すたんぱく質で、肌の美しさを維持するには欠くことのできない物質です。
※真皮層を拡大したイラストです。ひし形の線部分がコラーゲン。パントテン酸はビタミンCの働きを助ける成分です。ビタミンCと組み合わせることでビタミンCの美肌効果をアップさせます。
- 肌のターンオーバー
肌細胞の生まれかわりには大量のATPが必要となります。脂質や糖質から大量のATPを生み出す反応にパントテン酸が必要です。
美白
7.5点
「美白」ケア に関わるパンテチンの働きは主に次です。
- ビタミンC
しみのもととなるメラニンはチロシンとチロシナーゼ酵素が結合することで作られます。このチロシナーゼが活性されるとメラニンがたくさん作られます。
そして作られたメラニンが肌のターンオーバーとともに排出されないと肌の表面にシミとなってあらわれます。
チロシナーゼの活性を阻害する成分の代表といえば、ビタミンCです。
パントテン酸はビタミンCの働きを助ける成分です。
美白剤にパントテン酸が含まれている理由がこれです。リンク●ビタミンCとL-システインが協力して、しみ、そばかすの原因となるメラニンの生成をおさえます。
●ビタミンCが黒色メラニンの淡色化を促進します。
●ビタミンB6が皮膚や粘膜の新陳代謝を促進し、パントテン酸カルシウムがビタミンCのはたらきを助けて効果を高めます。引用元
Amazon【第3類医薬品】システィナC 210錠 商品紹介 - 肌のターンオーバーを促進
メラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。メラニンが過剰に作られて、それがターンオーバーとともに排出されないと肌の細胞に色素沈着しシミとなって肌の表面に現れます。
肌のターンオーバー=表皮の新陳代謝=表皮細胞の細胞分裂です。細胞分裂を促進するためには大量のATPを供給する必要があります。
パントテン酸は細胞内のエネルギー代謝を促進し多くのATPを産生させます。肌のターンオーバーにも関係している成分といえます。
筋肉
6点
「筋肉」増強 に関わるパンテチンの働きは主に次です。
- 糖質・たんぱくの代謝
筋肥大のためには、筋トレ後にたんぱく質を摂取することはマストです。
この時、糖質をプラスするとたんぱく質だけを摂取するよりも筋肉の合成率が高まります。これはインスリンが関係してきます。糖質をとるとインスリンが分泌され細胞に糖を取り込む働きが促されます。
たんぱく質と糖質を同時にとることで、糖質に反応し分泌されたインスリンが筋肉細胞に糖のみならずたんぱく質を取り込むようになり筋肉の合成を高めてくれます。
この際、それぞれの代謝を促進するビタミンも一緒に取ることが重要です。パントテン酸はそれにあてはまります。
脂肪
9.5点
「脂肪」減少 に関わるパンテチンの働きは主に次です。
- 糖質・脂質の代謝
ビタミンB群のうち糖質の代謝といえばビタミンB1、脂質の代謝といえばビタミンB2だと思います。
ここでパントテン酸の存在も忘れてはなりません。パントテン酸は糖質の代謝・脂質の代謝両方においてアセチルCoAの構成成分として深く関与しています。エネルギーに代謝されなかった糖質・脂質は中性脂肪として体に蓄えられます。その代謝を促進するパントテン酸はダイエット効果の高い成分といえます。
パンテチンの働き分析【中身編】
合計 49/60点
※ベースの点数はパントテン酸
身体
7点
「身体」の構成材料 に関わるパンテチンの働きは主に次です。
- 脂肪酸の生合成
脂肪酸の生合成において脂肪酸の担体として働くのがACPです。脂肪酸はアセチルCoAを材料に生合成されます。
アセチルCoA→マロニルCoA→脂肪酸マロニルCoA→脂肪酸の→部分を文章で説明すると以下になります。出典元
がんと脂質代謝
がん化学療法センター 公益財団法人がん研究会「マロニルCoAが合成された後、脂肪酸合成酵素の働きにより、脂肪酸(パルミチン酸)に合成」
パントテン酸は次の2点より脂肪酸の生合成に関与しています。
①CoA
パントテン酸はCoAの構成成分です。②ACP
ACPは脂肪酸合成酵素の一部で脂肪酸の生合成に欠くことのできないものです。
パントテン酸はACPの構成成分(ACPの補欠分子族である4′-ホスホパンテテインの構成成分)です。 - たんぱく質の代謝
たんぱく質は皮膚・筋肉・内臓・髪・骨・血液・ホルモンなどの構成材料となっています。パントテン酸はたんぱく質の代謝に関与しています。
エネ
10.5点
「エネルギー」生成 に関わるパンテチンの働きは主に次です。
- エネルギー代謝
糖質・脂質のエネルギー代謝において、糖質の場合は解糖系→TCA回路を経て 脂質の場合はβ酸化→TCA回路を経て、最終的に電子伝達系で酸化的リン酸化が起こることにより大量のATPが生成されます。
TCA回路に組み込まれるためにはアセチルCoAという物質に変換されなければなりません。糖質の代謝では、ピルビン酸が脱炭酸反応によってアセチルCoAに変換されます。
脂質の代謝では、脂肪酸がβ酸化を受けてアセチルCoAに変換されます。パントテン酸はCoAの構成成分です。パントテン酸が生体内に吸収されるとシステインやATPと結合しCoAが生成されます。
パンテチンを摂取することで、特に肝におけるCoA量増加が見込まれます。医療用医薬品パンテチン錠の薬理薬効の1つは肝CoA量増加作用です。
病気
7点
「病気」予防 に関わるパントチンの働きは主に次です。
- 動脈硬化予防
パンテチンには脂質代謝を改善し、総コレステロールを低下させる作用があります。
またHDLを増やす作用や血管壁コレストロール代謝促進作用(コレステロールの血管壁への沈着を抑える)もあります。
コレステロールは、増えすぎると動脈硬化を招きます。パンテチンを摂取することは、動脈硬化予防につながります。
- メタボ予防
メタボは「メタボリックシンドローム」の略で、内臓脂肪型肥満+高血圧、血清脂質異常、高血糖のうち2つ以上の症状が一度に出ている状態をいいます。生活習慣病の前段階の状態といったところです。3大栄養素の代謝すべてに関わっているパントテン酸を積極的に摂取することはメタボ予防になります。
体質
8.5点
「体質」改善 に関わるパンテチンの働きは主に次です。
- ストレス
パントテン酸は抗ストレスホルモン「副腎皮質ホルモン」の合成を促進します。不足するとイライラを感じやすくなります。 - 疲労
パントテン酸は3大栄養素のエネルギー代謝に関与しています。不足すると疲労を感じやすくなります。 - 風邪
パントテン酸には免疫抗体の産生を手助けし、免疫力をあげる作用があります。風邪やインフルエンザの予防になります。 - 怪我
パントテン酸は傷の回復に役立つ成分です。傷の治りを早くする効果があります。 - 便秘
パンテチンには腸管運動亢進作用があります。弛緩性便秘に有効とされています。 - 出血傾向改善
血小板が少ないと青あざができやすかったり、鼻血が止まりにくいなどの症状がみられます。パンテチンには(骨髄造血機能の促進作用により)血小板増加作用があります。
精力
6点
「精力」増進&「性機能」向上 に関わるパンテチンの働きは主に次です。
- 性ホルモンの合成
ステロイドホルモンはコレステロールを原料に作られる脂溶性ホルモンです。糖質コルチコイド、ミネラロコルチコイド、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンがあてはまります。
パントテン酸はステロイドホルモンの合成に関わります。エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンは性ホルモンです。パントテン酸は性ホルモンの合成に関与しています。
- ストレスによる性欲低下
ストレスは性欲を低下させる原因の一つです。ストレス緩和に働く副腎皮質ホルモンの合成を促進するパントテン酸は性欲減退の予防になります。 - スタミナアップ
エネルギー代謝に深くかかわるパントテン酸は、スタミナアップ効果が期待できます。滋養強壮剤・精力剤によく配合されている成分の一つです。
健脳
9点
「脳」の健康 に関わるパンテチンの働きは主に次です。
- アセチルコリンの合成
アセチルコリンは記憶、学習、認知能力に関わる神経伝達物質です。不足すると記憶力が低下し、認知症の発症リスクを高めます。
実際、アルツハイマー型認知症では、アセチルコリンの減少が確認されています。
アセチルコリンはコリンとアセチルCoAをもとに酵素(コリンアセチルトランスフェラーゼ)の働きにより作られます。CoAの構成成分であるパントテン酸はアセチルコリンの合成にも関与しています。記憶力を向上させる成分の一つです。
- 脳のエネルギー
ブドウ糖が脳の唯一のエネルギー源です。パントテン酸は糖質からより多くのエネルギーを作り出す(=解糖系から先の代謝経路に進む)ための必須成分です。 - ケトン体の合成
上でブドウ糖が脳の唯一のエネルギー源といいましたが、例外があります。「ケトン体」です。糖質が枯渇しているときケトン体が糖質に代わって脳のエネルギー源となります。パントテン酸はケトン体の合成に関与しています。
パンテチンのサプリメント紹介
パンテチンはビタミンB5の誘導体です。パンテチンは、炭水化物や脂質代謝を含むいくつかの代謝経路に関与する補因子であるコエンザイムA(CoA)の濃度を上昇させる能力によって脂質代謝をサポートします。CoAはアセチル基と結合して、ミトコンドリア内のクレブス(クエン酸)サイクルにおけるその役割を介したエネルギー産生における重要な要素として、アセチルCoAを形成します。
引用元
Jarrow Formulas, パンテチン、 450 mg、ソフトジェル 60粒
iHerb.com
慎重にバランスを取った、低臭ビタミン B コンプレックスフォーミュラ。
メチル葉酸 ((6S)-5-methyltetrahydrofolic酸または (6S)-5-MTHF) は、葉酸の最も生物学的に活性な形態です。Quatrefolic は葉酸デリバリーにおける第4世代の開発です。
メチルコバラミンはB12 の他の形態よりも吸収、保持が良く、よく使われます。メチルコバラミンとナイアシンは、脳と神経組織をサポートします。
パンテチンは、ビタミン B5 の誘導体、コエンザイム A (CoA) の前駆体であり、酸化的代謝に関わっています。
ピリドキサール-5-リン酸塩 (p-5-p) は、ビタミン B6 の補酵素形態であり、タンパク質およびアミノ酸の代謝に使われます。
引用元
Jarrow Formulas, B-Right、植物性カプセル 100粒
iHerb.com
パンテチンのまとめ
分析【見た目編】47点
分析【中身編】49点
パンテチン 高コレストロール改善作用 参照一覧
5. 2. 7.パントテン酸 厚生労働省 PDF
パントテン酸の働きと1日の摂取量 健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団
パントテン酸とは? 公益社団法人ビタミン・バイオファクター協会
パントテン酸とメタボリックシンドローム J-STAGE
(2)パントテン酸 : 発見とその栄養特性(ビタミン研究のブレークスルー:パントテン酸(II)) J-STAGE
3.パントテン酸てどんなビタミン(平成14年度厚生労働科学研究費補助金「日本人の水溶性ビタミン必要量に関する基礎的研究」講演会「ビタミンはどれだけ摂ればよいか? : 水溶性ビタミンの必要量について」)
J-STAGE
腸内細菌のパントテン酸前駆体の投与がパントテン酸欠乏幼若ラットの成長とパントテン酸の尿中排泄量におよぼす影響 J-STAGE
6. パンテチンの腸管運動改善作用について(第412回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会) J-STAGE
パンテチン投与による血清脂質の変動 J-STAGE
マウス身体的疲労および認知障害に対するパントテン酸カルシウムの効果について J-STAGE
アーキアにおける補酵素A(coenzyme A)の生合成機構 J-STAGE
[処方薬, パントテン酸系製剤]に対する検索結果 MEDLEY(株)メドレー
非肝臓組織におけるパンテテイン-コエンザイムA生合成経路の解明とその役割 KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
ローカスタ シオノギヘルスケア(株)