カルシウム
16種類ある必須ミネラルの1種
そのうち7種類ある主要ミネラルの1種
カルシウムとは
カルシウムについて
- ミネラルは生体を構成する主要4元素(水素・炭素・窒素・酸素)以外の元素の総称をいいます。無機質ともいいます。
- ミネラルは5大栄養素の1つです。
5大栄養素
3大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)にビタミンとミネラルを加えたものを言います。
3大栄養素の糖質・脂質は主にエネルギー源に、たんぱく質は主に体を作る材料になります。ビタミン・ミネラルは主に3大栄養素の代謝を助ける働き=体の調子を整える働きをします。 -
ミネラルのうち生命維持に欠くことができないミネラルを必須ミネラルと呼びます。必須ミネラルは16種類あります。カルシウムはそのうちの1つです。
-
必須ミネラルのうち1日に必要とされる摂取量が100㎎以上のミネラルを主要(多量)ミネラル、100㎎未満のミネラルを微量ミネラルと分類しています。カルシウムは主要ミネラルにあてはまります。
-
カルシウムは体内に最も多く存在するミネラルです。
-
カルシウムは体内で体重の約2%を占めています。例えば50kgだと1㎏存在することになります。
-
そのうち99%が骨と歯に、残り1%が血液・神経・筋肉に分布しています。
前者は構成成分【リン酸カルシウム】として、後者はイオン【カルシウムイオン】の形で存在しています。 - カルシウムの主たる働きは次です。
リン酸カルシウムとして
◆骨や歯の形成カルシウムイオンとして
◆血液凝固の促進
◆筋肉の収縮
◆神経の刺激伝達
◆酵素の活性化
カルシウムの補足
- 食事より摂取されたカルシウムは胃酸により溶解されカルシウムイオンとなります。
- そして小腸に移動し吸収されます。
- 吸収されたカルシウムは血液によって体の隅々まで運ばれます。
- 主に骨や歯に貯蔵され、その構造と機能に大きく寄与します。
- なおカルシウムの吸収率は約30%とされています。吸収率は食品により異なります。
吸収を促進する成分はビタミンD、アミノ酸(リジン)などです。
吸収を阻害する成分はシュウ酸、フィチン酸などです。 - 腸管で吸収されなかったものは糞便中に排出されます。
- 血液中・細胞中のカルシウムの濃度は常に一定に保たれています。このことをカルシウムの恒常性といいます。恒常性維持のメカニズムに関して次の段落で説明します。
- 骨や血液中のカルシウム濃度の調節は副甲状腺ホルモン、活性型ビタミンD、カルシトニンによって行われています。
- この3つが腸・骨・腎臓において相互に作用することでカルシウムの恒常性が維持されます。
- 以下そのメカニズムです。
血中のカルシウム濃度が低下すると副甲状腺ホルモン分泌されて、活性型ビタミンDが生成されます。
副甲状腺ホルモン血中のカルシウム濃度を高める- 血中のカルシウム濃度が低下すると副甲状腺より分泌される。
- 骨において、骨からカルシウムを溶出させ(骨吸収を促進させ)血中のカルシウム濃度を上昇させる。
- 腎臓において、カルシウムの再吸収を促進させる。それとともにビタミンDの活性化を誘導する。
活性型ビタミンD血中のカルシウム濃度を高める- 副甲状腺が分泌されると腎臓で作られる。
- 腸において、カルシウムの吸収を高める。
- 副甲状腺ホルモンと共に 骨において骨吸収を促進させる。
- 副甲状腺ホルモンと共に 腎臓においてカルシウムの再吸収を促進させる。
血中のカルシウム濃度が高まると副甲状腺ホルモン分泌&活性型ビタミンDの合成が減ります。それだけでは濃度が一定に保たれないためカルシトニンが分泌されます。
カルシトニン血中のカルシウム濃度を下げる- 血液中のカルシウム濃度が高まると、甲状腺から分泌される。
- 骨吸収を抑制し、骨形成を促進する。
- 尿中へのカルシウムの排泄を促進する。
用語説明◆骨吸収
破骨細胞により古い骨が壊されることです。
◆骨形成
骨芽細胞により新しい骨が作られることです。
◆再吸収
腎臓における排泄【尿の生成】は「ろ過」「再吸収」「分泌」の3つの過程で行われます。尿細管にて原尿から必要な物質を毛細血管に戻すことが「再吸収」です。ここでいうところのカルシウムの再吸収を促進は尿中に排泄されるカルシウムの量を減らすことになります。
- カルシウムの摂取が少なくなると骨吸収が促進され、血液中・細胞中のカルシウムの濃度が保たれます。
- そのためカルシウム不足が続くと骨量が減少し、骨粗鬆症を招きます。
摂取量について
◆推奨量
650~800㎎/日(成人男性)
650㎎/日(成人女性)
※年代により異なります。
◆耐用上限量
2500㎎/日(成人)
by 日本人の食事摂取基準(2015年版) 厚生労働省
◆不足や欠乏症
- 骨や歯が弱くなる
- 骨粗鬆症
- 低カルシウム血症
- 成長不良
- 筋肉の痙攣
- てんかん
など
特に牛乳には多く含まれコップ1杯につき約200㎎とれます。
かつ吸収率も約40%もあるので、カルシウムの補給源としてベストといえます。
厚生労働省が推奨するカルシウム摂取量は600㎎~800㎎/日で、実際の摂取量は平均500mg前後(by 平成27年国民健康・栄養調査)です。通常の食生活では多くの方は不足していると考えられます。サプリメントに頼るのも一つの手です。
◆取り過ぎや過剰症
- 高カルシウム血症
- 高カルシウム尿症
- 腎機能不全
- 軟組織の石灰化
- 泌尿器系結石
- 他のミネラルの吸収阻害
- 便秘
など
カルシウムの効果・効能
カルシウムの効果・効能 5つ厳選
- 骨や歯の形成
- 血液凝固
- 筋肉収縮
- 情報伝達
- 酵素の活性化
そのうち4つを詳しく
①骨や歯の形成
体内に存在するカルシウムの99%は骨や歯に存在しています。カルシウムは骨や歯の形成に欠かすことのできない成分です。
なぜ欠かすことのできない成分なのか骨に絞って説明します。
まず骨に関して簡単にまとめます。
【骨の数】
大人で206本
【骨の重量】
体重の1/5
【骨の成分】
無機成分 70%
有機成分 20%
水分 10%
【骨の役割】
- 体を支える 骨組みとして身体を支えます
- 体を動かす 骨格筋は骨をテコにして関節を動かします
- 体を守る 骨は脳や内臓などを保護します
【骨のリモデリング】
骨は骨芽細胞と破骨細胞により新陳代謝を繰り返しています。
大人の場合 全身の骨が3~5年で新しいものと入れ替わります。
骨を作る細胞です。コラーゲンを分泌させ、そこにリン酸カルシウムを付着させ骨を作ります。
骨が作られることを骨形成といいます。
骨を溶かす細胞です。酸と酵素でカルシウムとコラーゲンを溶かします。
骨が壊されることを骨吸収といいます。
【骨の新陳代謝のバランス】
正常な骨では骨形成と骨吸収のバランスが保たれています。これが崩れて骨吸収が骨形成を上回った状態【=骨吸収が優位】が続くと骨量(骨密度)が減少していきます。
20歳までは骨形成が優位で、50歳以降は骨吸収が優位となります。
【一生の骨量の変化】
骨量は成長に合わせて増え、20歳前後にピークを迎えます。その後、30代~40代は維持され、50歳を過ぎるあたりからゆるやかに減少する傾向があります。女性の場合は閉経前後に1度急激に減少してから徐々に減少していきます。
ということで【骨量が増加する成長期に十分に骨量を増やすこと】&【成長期以降も最大骨量を維持すること】が、骨の健康にマストとなります。
そうすることで骨折・骨粗鬆症の予防になることはもちろん、年をとっても骨の役割(体を支える・動かす・守る)をしっかりと果たすことができ健康寿命を延ばすことができます。
骨量とは骨全体に含まれるカルシウムなどのミネラルの量をいいます。
骨の7割を占める無機成分のうち9割近くはリン酸カルシウムです。
なので骨量を増やす&維持するためにはカルシウムを摂取する必要があります。
これがカルシウムが骨の形成に欠くことができない理由です。
さて骨の役割として体を支える・動かす・守るの3つを挙げました。この他に2つの役割があります。
それが「血液を作る」と「カルシウムの貯蔵庫」です。
後者が次に説明する3つの話とリンクしてきます。3つを説明した後に、骨の「カルシウムの貯蔵庫」について説明します。
骨の中は空洞になっています。その部分を埋めている組織が骨髄です。骨髄でT細胞以外の全ての血液細胞(赤血球、白血球、血小板)が作られます。
体内に存在するカルシウムの99%は骨や歯に存在しています。残りの1%は血液中や細胞中に存在し、血液の凝固、筋肉の収縮、神経伝達といった生理機能に関与しています。
この3つを簡単にまとめます。
②血液凝固
止血は血小板と血液凝固因子が協力しあって行われます。
血管が傷ついたときに血小板が集まって血の塊(=血栓)を作り止血が開始されます。この塊をより強固なものにするため血液中のさまざまな血液凝固因子が働きます。
血液凝固の流れを簡単にまとめると次になります。
【血管が破れて血液が外に出る】→
①血小板が壊されトロンボプラスチンという酵素を生じます。
②トロンボプラスチンは血漿に含まれるプロトロンビンをトロンビンに変えます。
③トロンビンは血漿中に溶解しているフィブリノーゲンをフィブリンに変えます。
④フィブリンが血球を取り囲み血餅をつくります。
→【血液の凝固が完成】
この流れ②でカルシウムイオンが必要となります。トロンボプラスチンはカルシウムイオンとともに作用することでプロトロンビンをトロンビンに変える働きをします。
③筋肉の収縮
筋肉は細い繊維状の細胞「筋繊維」が束になったものです。筋繊維はさらに、太さ0.001mmほどの「筋原線維」と呼ばれる構造体が束になっています。
筋原線維はアクシンフィラメント(以下アクシン)とミオシンフィラメント(ミオシン)という繊維状のたんぱく質で構成されています。筋肉の収縮はミオシンにアクチンが滑り込むことによって起こります。
そのメカニズムを簡単に説明すると以下になります。
興奮が運動神経に到達する→
①神経筋接合部に到達する
②すると運動神経終末からアセチルコリンが放出される
③それが筋細胞膜にあるアセチルコリン受容体に結合する
→興奮が伝達する
④興奮が伝達すると筋小胞体から「カルシウムイオン」が放出される
⑤カルシウムイオンが「トロポニン」と結合すると「トロポミオシン」の構造が変化する
※トロポミオシンは筋肉が弛緩しているときは、アクチンとミオシンの結合部位をふさいでいる
⑦結合部位をふさいでいたトロポミオシンの構造が変化することでアクチンとミオシン頭部が結合できるようになる
⑧ATPのエネルギーを使ってアクチンがミオシン側に滑り込む
→筋収縮が起きる
この流れ⑤にカルシウムイオンが深く関与しています。カルシウムイオンがトロポニンに結合することで細いフィラメント全体の構造が変化し、ミオシンとアクチンの結合が可能になります。
④情報伝達
カルシウムイオンはほとんどすべての細胞内と細胞外液に存在し、セカンドメッセンジャーとして極めて重要な生理的役割を果たしています。
細胞膜上の受容体とリガンドの結合時に別の情報伝達物質が産生または放出され細胞内の「変化」を媒介します。この二次的に産生または放出される情報伝達物質をセカンドメッセンジャーと呼びます。
その役割は骨格筋や心筋の収縮、細胞の分化・増殖、免疫応答、ホルモンの分泌、神経伝達物質の放出、シナプス可塑性の誘導など多岐に渡ります。
細胞内のカルシウムイオンの濃度は、定常状態で非常に低く保たれています。細胞外から様々な刺激が加わると細胞内のカルシウム濃度は一過性に増加します。
この「細胞内のカルシウム濃度が変動」が、先ほどあげた「役割」を果たします。
さて①骨や歯の形成の説明にて 骨の「カルシウムの貯蔵庫」の役割と3つがリンクしてくるといいました。この意味することは次です。
カルシウムが足りていないと骨に貯蔵しているカルシウムが血液中に溶けだし、血液中のカルシウム濃度を一定に保とうとします。
つまるところ骨は「カルシウムの貯蔵庫」として生命の維持のためにも重要ということです。
なので骨の健康維持に毎日必要量のカルシウムを摂取し続ける必要があります。
以上よりカルシウムは骨のため【=健康寿命を延ばす&生命を維持するため】に必須の成分と言えます。
カルシウムの働き分析【見た目編】
合計 43.5/60点薄毛
7.5点
「薄毛」改善 に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- 細胞の分化・増殖
カルシウムはほとんどすべての細胞に存在し、細胞の刺激応答反応においてセカンドメッセンジャーとして重要な生理機能を果たします。
その中には細胞の分化・増殖といった機能も含まれています。
この機能は当然ですが髪の細胞(毛母細胞・毛乳頭細胞)にも当てはまります。 - POs-Ca(ポスカ)
ジャガイモに含まれるカルシウムに育毛効果が期待できるかもしれません。江崎グリコが行った実験によりジャガイモでんぷん由来の高水溶性カルシウム素材「ポスカ」が通常のカルシウムに比べて、頭髪を成長させる毛乳頭細胞の増殖促進効果があることが判明しています。
[トクホ] 江崎グリコ ポスカ<クリアミント>エコパウチ 初期虫歯対策ガム 75g参照
ガム製品の独自成分に育毛促進の効果があった! 江崎グリコが頭皮ケア向け提案
ニュースイッチ (株)日刊工業新聞社HP
白髪
8.5点
「白髪」予防 に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- メラノサイト活性化
黒髪のもととなるメラニンは頭皮の毛包内にあるメラノサイトでチロシンとチロシナーゼ酵素が結びつくことで生まれます。
メラノサイトを活性化させれば、メラニンが増え髪を黒々とさせることができます。細胞の分化・増殖に関与するカルシウムにはメラノサイトを活性化させる作用があります。なので白髪予防に有効な成分の1つにあげられます。
よく白髪の原因の一つに腎臓機能の低下があげられますが、これはカルシウムとビタミンDが関わっています。
カルシウムはメラノサイトの働きを活性化させる作用をもつ成分でビタミンはその吸収を助ける成分です。
ビタミンDは腎臓にて活性型に変換されることで腸管でのカルシウムの吸収を助けます。
腎臓機能が低下すると活性型ビタミンDを十分に作ることができなくなります。その結果として腸管でのカルシウムの吸収率が衰え、白髪が増えるといったメカニズムになります。なので白髪予防(だけなく全般)にはカルシウムだけでなくビタミンDも一緒に取ることが大切です。
美肌
6.5点
「美肌」作り に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- 周辺帯
周辺帯は、角質細胞の細胞膜を裏打ちする極めて強靭な構造物です。
周辺帯はインボルクリンや、ロリクリンといったたんぱく質で構成されています。これらたんぱく質が表皮細胞の角化の際に酵素の働きによって架橋されることで形成されます。
※インボルクリンは有棘細胞で生成、ロリクリンは顆粒細胞で生成されます。今の説明を「角化細胞」目線で言い方と変えると「角化細胞は、インボルクリン、ロリクリンなどのたんぱく質が酵素の働きにより架橋化して肥厚した極めて強靭な不溶性の膜【=周辺帯】で被われている」です。
周辺帯が未熟であると肌のバリア機能が低下します。
またこの工程は角化=肌のターンオーバーの一環なのでスムーズにいかなければ肌の新陳代謝の低下につながります。引用元
「カルピス」由来の乳酸菌から生まれた発酵乳ホエイに 肌にうるおいを与え、肌構造を維持し、ターンオーバーを促進させる因子への 効果があることを発見 「カルピス」由来の乳酸菌から生まれた発酵乳ホエイの新機能 ~化粧品素材として活用可能~
プレスリリース
アサヒカルピスウェルネス(株)さてこの架橋反応を触媒する酵素の1つ「トランスグルタミナーゼ」の活性化にカルシウムが必要となります。
カルシウムは肌のバリア機能や新陳代謝=美肌にも関与している成分です。参照
新しい皮膚科学 北海道大学 大学院医学研究院・医学部 皮膚科HP皮膚に関する用語 周辺帯 ドクターズオーガニックHP
- 骨密度
顔にできるほうれい線・しわ・あごのたるみは骨密度も関係しているといわれています。
というのも骨密度が低下すると皮膚に覆われている骨も縮小し、骨と皮膚の間に隙間ができてしまうからです。隙間が出来ることでほうれい線がくっきりしたり、深いシワができたり、二重あごになったりします。
骨密度を高める成分といえばカルシウムです。参照
美女のヒミツは骨にあり NHKBSプレミアム 美と若さの新常識 HPより
美白
6点
「美白」ケア に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- 肌のターンオーバー
メラニンが肌のターンオーバーとともに排出されずに、肌に滞留してしまうと肌の透明感は失われます。美肌項目で「肌のターンオーバーに関与する酵素の活性化にカルシウムが必要」を説明しました。ゆえにカルシウムは美白にも必須の成分といえます。
筋肉
8点
「筋肉」増強 に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- 筋肉を動かす
カルシウムは筋肉の動きに深く関係しています。筋原線維の筋小胞体からにカルシウムが放出されると筋肉は収縮します。カルシウムポンプを介して筋小胞体に取り込まれると弛緩します。 - 筋肉を作る
理化学研究所の研究によると「小胞体からのカルシウム放出は筋肉を動かしているだけではなく、筋肉を作るためのシグナルとしての役割も担っている」とのことです。引用元
筋肉を動かすカルシウムは筋肉を作る指令役も担う 理化学研究所HP
脂肪
7点
「脂肪」減少 に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- 脂肪細胞
カルシウムは脂肪細胞の脂質代謝を調整する主要な因子です。脂肪細胞では脂肪合成を促進し、脂肪分解を抑制する働きをします。
血中のカルシウム濃度が高まることで脂肪細胞へ流入が増えます。その結果、体脂肪が増えてしまいます。血中のカルシウム濃度が高まる=カルシウムが不足しているため骨からカルシウムが流出している状態です。そのためカルシウム不足は、肥満になりやすいといえます。実際に体内に十分なカルシウムがあると脂肪合成が抑制され、脂肪分解が促進されることが分かっています。
参照
業界注目!カルシウムが体重増加を抑える働きがある!? プロテイン公式サイト 森永製薬(株)HP
カルシウム不足が太る原因に!?効率的に吸収するには? microdiet.net サニーヘルス(株)HP
カルシウムの働き分析【中身編】
合計 53/60点
身体
10点
「身体」の構成材料 に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- 骨・歯
カルシウムは骨・歯の成分です。カルシウムは体で作ることでできないので食事から取り入れる必要があります。
エネ
6.5点
「エネルギー」生成 に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- 酵素の活性化
ピルビン酸脱水素酵素(PDH)複合体はミトコンドリア内に存在している酵素複合体です。解糖系で生成されたピルビン酸をアセチルCoAに変換する反応を触媒します。
PDHはエネルギーの必要量に応じて活性が制御されており
脱リン酸化されると活性型に、リン酸化されると不活性型になります。PDHホスファターゼ
脱リン酸化 → PDH活性型に →ピルビン酸をアセチルCoAに変換してTCA回路に送り込むPDHキナーゼ
リン酸化 → PDH不活性型に →反応が阻害される
カルシウムイオンはPDHホスファターゼを活性化させる物質の1つです。活性化されたPDHホスファターゼはPDHを脱リン酸化して活性型にかえます。
カルシウムはエネルギー産生にも関与している成分です。
病気
9.5点
「病気」予防 に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- 骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨量の減少により生じます。骨量が減少し、骨がスカスカになり骨折を起こしやすい状態また起きている状態が骨粗鬆症です。骨量とは骨全体に含まれるカルシウムなどのミネラルの量です。なのでカルシウムの不足が骨粗鬆症を招きます。 - 高血圧 その1
カルシウムが不足すると副甲状腺ホルモンが分泌されます。これにより骨からカルシウムから溶け出し血中のカルシウム濃度が高まります。
血液中で余剰となったカルシウムは血管壁に取り込まれ壁を収縮させます。その結果、血液の流れが悪くなり血圧が上昇します。カルシウムの摂取は高血圧の予防になります。 - 高血圧 その2
高血圧は、塩分(ナトリウム)のとり過ぎが主な原因とされています。塩分過多になると血液中のナトリウム濃度を下げるために、血液中の水分が増える【体内の水分が血液中に集まる&喉が渇くようになり水分をたくさんとるようになる】ので、血液量が増えます。このため、血管壁にかかる抵抗が高くなり高血圧になります。カルシウムには血液中のナトリウムを体外に排出する働きがあります。 - 大腸がん
カルシウムの摂取が大腸がんのリスクを下げるとの研究報告が発表されています。
体質
9.5点
「体質」改善 に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- 歯
カルシウムが不足すると歯が弱くなり虫歯になりやすくなります。 - 骨
カルシウムの摂取は骨密度を増加させます。
成長期は一生の骨量が決まる時期なので、この時期にあてはまる方はカルシウムの摂取を心掛けてください。高齢者の方にはサルコペニアやフレイルの予防・対策になります。サルコペニアサルコペニアとは筋肉が急激に減少している状態のことをいいます。それにより肥満になったり、転倒や骨折のリスクが高まります。
高齢者によくみられる症状で、高齢者のQOL(生活の質)を大きく下げることにつながってしまいます。フレイルフレイルとは、肉体や精神、食生活や栄養、社会や環境に関して「脆弱」な状態を示す概念のことです。簡単にいうと「加齢により心身が老い衰えた状態」のことです。フレイルの主な要因は低栄養にあるといわれています。
- 止血
カルシウムは血液凝固反応の過程に必要です。 - こむら返り
自分の意志とは関係なく、足の筋肉が突然痙攣をおこすことを「足がつる」または「こむら返り」といいます。運動中や睡眠中によく起こります。カルシウム不足はこむら返りの原因の一つです。 - 尿路結石
以前はカルシウム過剰摂取が尿路結石の原因とされていましたが、今は逆です。逆という表現もなんですが、カルシウムの不足により尿路結石が出来やすくなります。尿路結石のなかでも多いのが、シュウ酸カルシウム結石です。
通常はシュウ酸は腸管内でカルシウムと結合して糞便中に排泄されます。その結果、シュウ酸の尿中への排泄を抑制することができます。
カルシウム摂取が少ないと結合されず余剰となったシュウ酸が尿中に増え(カルシウムと結合し)そこで尿路結石になります。
なので適量のカルシウム摂取は尿路結石の予防になります。 - イライラ
カルシウムが不足するとイライラするといわれています。カルシウムには脳神経の興奮を抑える作用があり、血中のカルシウム濃度が下がると興奮しやすくなるからです。
ただカルシウム不足が直ちにイライラにつながるわけではありません。血中のカルシウム濃度が下がれば骨からカルシウムが溶出され一定量が保たれるので直ちにイライラに関わることはありません。
精力
8点
「精力」増進&「性機能」向上 に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- ED予防 その1
高血圧はEDの要因です。まずは勃起が起こるメカニズムを簡単に説明します。
①性的な刺激により脳が興奮するとその信号(興奮)が脊髄を伝わり勃起神経に到達する。②すると陰茎の動脈は拡張し陰茎海綿体へ流入する血液が増える。
③同時に陰茎海綿体の平滑筋が弛緩され、海綿体は流れ込んだ血液を吸収し大きく膨らむ。動脈の拡張が不十分の場合、陰茎海綿体への血流の供給が不足します。よってEDが起こります。
高血圧などにより動脈の拡張が不十分になります。高血圧予防・改善効果が高いカルシウムはEDの予防になります。
- ED予防 その2
自律神経とは自分の意志とは関係なく動く神経をいいます。自律神経は交感神経と副交感神経に分けられます。交感神経
日中、活動している時に働く。
交感神経が優位な場合は血管が収縮して血圧が上昇し、心身が活動的な状態になる。副交感神経
夜、リラックスしている時に働く。
副交感神経が優位な場合は血管が緩んで血圧が低下し、心身が穏やかな状態になる。さて勃起は副交感神経が優位に働いている時に起こるものです。副交感神経が優位になっている状態で勃起して、フィニッシュするとき交感神経が優位になります。
カルシウムには自律神経を整える働きがあります。なので不足すると副交感神経と交感神経の切り替えがスムーズにいかず勃起しにくくなります。 - PMSの症状緩和
カルシウムには神経の興奮を抑える作用があります。そのため月経前症候群(PMS)の症状「神経過敏」の抑制に効果を発揮します。
カルシウムはPMS対策に役立つ栄養成分の1つにカウントされています。
健脳
9.5点
「脳」の健康 に関わるカルシウムの働きは主に次です。
- 情報伝達
神経細胞は細胞核をもつ細胞体とそこから複数出ている樹状突起と細胞体からの伸びている一本の長い軸索で構成されています。
神経細胞の軸索の末端と、次の神経細胞の樹状突起の隙間をシナプス間隙といい、この構造(接続している部分)をシナプスといいます。神経の信号である活動電位は軸索の末端まで伝わると、軸索の末端にあるシナプスを通じて次の神経細胞に伝えます。
シナプス前膜(軸索側)から神経伝達物質が放出され、シナプス後膜(樹状突起側)にある神経伝達物質受容体に結合すると活動電位は伝わります。上 シナプス前膜 下 シナプス後膜 です。
神経伝達物質はシナプス小胞に貯蔵されています。シナプス小胞はシナプス前膜の黄色〇です。さてこのシナプス小胞から神経伝達物質を出すには基本的にカルシウムが必要です。
その流れ
①シナプス前細胞の細胞体からシナプス前終末へ活動電位が到達する②電位依存性のカルシウムチャネルが開き、細胞内にカルシウムイオンが流入する
③カルシウムイオンが流れこむと、シナプス小胞が終末膜と融合する
④シナプス小胞は神経伝達物質をシナプス間隙に放出する
極論をいうと、カルシウムがなければ情報の伝達が行われない=脳は機能しないです。
参照
脳はカルシウムがなければ働かない!? 東北大学ポケットガイド テクルペ HP
カルシウムのサプリメント紹介
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クエン酸カルシウムは、消化・吸収に優れたカルシウムの形で、骨の健康維持に不可欠なミネラルです。骨代謝に重要な役割を果たすビタミンD、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガンが含まれています。
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ボーンアップは、スティミュカルのオセイン微結晶ヒドロキシアパタイト(MCHA:ニュージーランド産の放し飼いの子牛由来)を供給します。これには、有機タンパク質環境に存在するMCHAの無機カルシウム格子体の優れた組み合わせが含まれます。
スティミュカルは天然のI型コラーゲン(骨に見られる主なタンパク質)が豊富で、クエン酸や炭酸塩など他の形態のカルシウムと違いカルシウムの血中濃度を不均衡に急上昇させないことが臨床的に実証されています。
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カルシウムのまとめ
分析【見た目編】43.5点
分析【中身編】53.5点
カルシウム 骨と歯の形成 参照一覧
乳の知識 一般社団法人 Jミルク HP
モゥ〜っと牛乳 全農 全国農業協同組合連合会 HP
はじめよう!ヘルシーライフ オムロン ヘルスケア(株)HP
カルシウムチェッカー ニッスイ 商品情報サイト 日本水産(株)HP
高校のさまざまな教科でのカルシウムの扱い J-STAGE
カルシウム調節ホルモン(副甲状腺ホルモン、カルチトニン、ビタミンD)の作用 J-STAGE