パントテン酸 エネルギー代謝

パントテン酸

別名 ビタミンB5

13種類のビタミンの1種
9種類の水溶性ビタミンの1種

 

 

パントテン酸とは

パントテン酸について

  • パントテン酸は水溶性ビタミンの1つです。ビタミンB群に属します。ビタミンB5とも呼ばれます。
  • パントテン酸は生体内ではCoA(コエンザイムA)ACP(アシルキャリヤープロテイン)の補欠分子族4′-ホスホパンテテインの構成成分として存在しています。
  • CoAやACPは代謝における酵素の補酵素として機能しています。その数は140種類以上といわれます。酸化還元反応、加水分解反応、転移反応、合成反応など生体内で起こるさまざまな反応に関わっています。
  • CoAはアセチルCoAとして糖質・脂質・たんぱく質の代謝に深く関与しています。
  • その構成成分であるパントテン酸は3大栄養素の代謝において重要な役割を果たすビタミンといえます。

 

パントテン酸の補足

  • 「パントテン酸」の語源はギリシャ語で「いたるところにある酸」です。文字通り 動物性、植物性問わず幅広い食品中に含まれています。
  • また腸内合成によっても合成されます。そのため不足の心配はありません。
  • ただ、コーヒーやお酒をよく飲むかたは若干注意が必要です。カフェインやアルコールを分解するときにパントテン酸が消費されるからです。多く飲めば飲むほど、パントテン酸の消費も多くなります。
  • 食品中のパントテン酸の大半はアセチルCoAやアシルCoAとして、またホスホパンテテインとして存在しています。これらは調理・加工の過程で遊離型になり、腸内の酵素によって消化されパントテン酸になった後に、吸収されます。
  • 吸収されたパントテン酸はATPやシステインと結合しCoAとなります。
  • 体内では主にアセチルCoAとして機能しています。

 

摂取量について

推奨量 
5㎎/日
(成人 男性) 
4~5㎎/日
(成人 女性)
※年代により異なる

by 日本人の食事摂取基準(2015年版) 厚生労働省

欠乏症

※パントテン酸は幅広い食品に含まれています。また腸内細菌により合成できます。通常の食生活を送っている限り欠乏症になることはまずありません。

不足ぎみ
:疲れやすくなる :肌荒れが起きる :食欲がなくなる :頭痛がする :眠れなくなる
過剰症

※パントテン酸単独での大量摂取による健康被害の報告はございません。

取り過ぎ
:吐き気がする :食欲がなくなる

 

パントテン酸の効果・効能

パントテン酸の効果・効能 5つ厳選

  1. エネルギー代謝
  2. 脂肪酸の合成
  3. ストレス緩和(by 副腎皮質ホルモンの合成)
  4. HDLコレストロール増加作用
  5. ビタミンCの働きを手助け

 

そのうち3つを詳しく

①エネルギー代謝

パントテン酸はCoAの構成成分として糖質の代謝・脂質の代謝に深く関わっています。
※パントテン酸はたんぱく質の代謝にも関わっていますが、ここではスルーします。
 
 
糖質の代謝
こちらのイラストのブドウ糖解糖系ピルビン酸アセチルCoATCA回路の流れをご覧ください。

引用元
ケトン体・ケトン食とは
中鎖脂肪ケトン食

この流れを文章でまとめると以下となります。
 
解糖系は細胞質ブドウ糖(以下グルコース)をピルビン酸または乳酸に変換するプロセスです。グルコースが解糖系を進行していくとピルビン酸へ代謝されます。

生じたピルビン酸は好気的条件下において、ミトコンドリアに入り、ミトコンドリアのマトリックスに含まれる酵素の働きによってアセチルCoAに変換されます。

アセチルCoATCA回路に組み込まれ、酸化されます。その過程で生じた水素を水素受容体であるNAD⁺及びFADが受け取ります【→NADH及びFADH2に】。

生じたNADH及びFADH2はミトコンドリアの電子伝達系に送られます。電子伝達系では運ばれた【NADH及びFADH2】を利用して大量のATPを生成します。

 

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脂質の代謝
こちらのイラストの脂肪酸アシルCoAアシルCoA(カルニチン)β酸化アセチルCoATCA回路の流れをご覧ください。

引用元
ケトン体・ケトン食とは
中鎖脂肪ケトン食

この流れを文章でまとめると以下となります。

脂肪が分解されて生じた脂肪酸はアルブミンというたんぱく質と結合し、各組織の細胞に運ばれます。そして細胞質に取り込まれた後、酵素の働きにより活性化され、脂肪酸アシルCoAに変換されます。

脂肪酸は脂肪酸アシルCoAのままではミトコンドリアの内膜を通過することができません。
一時的にカルニチンと結合し脂肪酸アシルカルニチンになることでミトコンドリア内膜を通過することができます。

内幕を通過したアシルCoAβ酸化の反応をうけてアセチルCoAに変化します。

アセチルCoATCA回路に組み込まれ、酸化されます。その過程で生じた水素を水素受容体であるNAD⁺及びFADが受け取ります【→NADH及びFADH2に】。

生じたNADH及びFADH2はミトコンドリアの電子伝達系に送られます。電子伝達系では運ばれた【NADH及びFADH2】を利用して大量のATPを生成します。

 

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まとめ
TCA回路→電子伝達系は酸素を使って効率よくATPを作り出す糖質・脂質の共通の代謝経路です。
TCA回路に取り込まれるためにはどちらもアセチルCoAになる必要となります。

糖質の代謝では、ピルビン酸が脱炭酸反応によってアセチルCoAに変換されます。
脂質の代謝では、脂肪酸がβ酸化を受けてアセチルCoAに変換されます。

生成されたアセチルCoAはTCA回路に入ります。

TCA回路

TCA回路ではアセチルCoAがオキサロ酢酸と縮合反応しクエン酸となり、8種類の酸に次々と変化することでアセチルCoAが酸化され二酸化炭素となり、NADH FADH₂を産生します。

クエン酸(=アセチルCoA+オキサロ酢酸)→イソクエン酸→αケトグルタル酸→スクシニルCoA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸→

.
TCA回路で生じたNADH FADH₂を電子伝達系の電子伝達体に供与することで酸化的リン酸化が起こりたくさんのATPが生成されます。

アセチルCoAは、補酵素A(CoA)にアセチル基が結合した物質です。
パントテン酸はCoAの構成成分です。CoAはシステイン、パントテン酸、ATPが結合した化合物です。

パントテン酸が不足した場合、脂質や糖質のエネルギー代謝に支障をきたすと考えてください。

 

 

③ストレス緩和(by 副腎皮質ホルモンの合成)

ストレスを感じると副腎皮質ホルモンが分泌されます。

このメカニズムを簡単に説明します。

ストレッサー(ストレスの源)の刺激を受けると、脳の視床下部から脳下垂体に「ストレスを対処しなさい」といった指令がいきます。脳下垂体が副腎皮質刺激ホルモンを分泌させることにより、その指令を副腎へ届けます。
指令を受けた副腎皮質は糖質コルチコイドを分泌します。また副腎髄質からはアドレナリンやノルアドレナリンといったカテコールアミンが分泌されます。

副腎皮質ホルモン

副腎皮質から産生されるホルモン【糖質コルチコイド(グルココルチコイド)・鉱質コルチコイド(ミネラルコルチコイド)・ アンドロゲン】の総称をいいます。

副腎皮質ホルモンはACTH(副腎皮質刺激ホルモン)により分泌が調節されています。

ACTHは脳下垂体から分泌されます。

分泌されることで血糖値が上がり、ストレスに対して臨戦態勢を整えていきます。

【ストレスに対処する際】なぜ血糖値が上がるのかというと【筋肉や脳を最大限に働かせるために】大量のエネルギー源が必要となるからです。糖質コルチコイドは筋肉のたんぱく質を分解しアミノ酸からのグルコースの合成を促進することで血糖値をあげます。

以上のようなことから、副腎皮質ホルモンは「抗ストレスホルモン」と呼ばれています。

パントテン酸は副腎皮質ホルモンの合成
に関わっています
。パントテン酸が不足すると分泌量が落ちます。ストレスが緩和されにくくなります。

 

④HLDコレストロール増加作用

「コレストロール」という言葉を聞くと、「体に悪い」イメージが浮かぶかもしれません。
が、決してそうではありません。
コレストロールは細胞膜、ステロイドホルモン、胆汁酸、ビタミンDの前駆体の材料です。人間の体をつくるうえで欠くことの出来ないものです。

コレストロールには「LDL(悪玉)コレステロール」と「HDL(善玉)コレステロール」の2種類あります。

LDL(悪玉)・HDL(善玉)と区別されていますが、同じコレストロールで、単にコレストロールを運ぶリポたんぱく質の種類によって分けられているだけです。

LDL

肝臓で合成されたコレストロールを全身に運ぶのはLDLです。LDLは肝臓で作られたコレステロールを血流を通じて体中の細胞に運搬する役割をしています。このコレストロールは細胞膜やホルモンの材料となります。

LDLはコレストロールを末梢組織まで運ぶ重要な役割を担っています。それなのにLDLが悪玉と言われているのはLDLが増えすぎると血管の壁にたまり、動脈硬化が進行してしまうからです。

HDL

HDLの主な役割はコレステロールを肝臓へ運搬することです。HDLは末梢組織で使われなかった余分なコレステロールを肝臓に戻す働きをします。血液中の余剰なコレステロールを回収して肝臓に戻すため、HDLが増えることは動脈硬化の予防になると言われています。

コレストロールは糖質・脂質の代謝過程で作られるアセチルCoAを材料に、主に肝臓で合成されます。

引用元
コレステロールは体内でつくられる?
公益財団法人 日本食肉消費総合センター

アセチルCoAは、補酵素A(CoA)にアセチル基(CH3COO)が結合した物質です。
パントテン酸はCoAの構成成分です。パントテン酸はコレストロールの合成にも関与しています。

なおパントテン酸(の代謝物)にはLDLを減らして、HDLを増やす働きがあります。

 

 

パントテン酸の働き分析【見た目編】

合計 45.5/60点

カテゴリー別 点数

薄毛 8点

白髪 7.5点

美肌 7.5

美白 7.5点

筋肉 6点

脂肪 9点

 
 

薄毛

8点

「薄毛」改善 に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. 毛母細胞の活性
    エネルギー源であるATPは、細胞分裂を行う際に必要となります。

    髪は毛母細胞が細胞分裂することで生まれ成長していきます。

    毛母細胞が細胞分裂するときには多くのATPを要します。なので発毛・育毛においてはエネルギー代謝を促進させる成分をとることが非常に重要となります。

    CoAの構成成分であるパントテン酸はエネルギー代謝を促進する成分として有名です。
    パントテン酸はよく育毛目的のサプリに配合されていたり、育毛剤の成分に含まれていたりします。

  2. 皮脂の代謝
    皮脂が過剰に分泌されると頭皮の環境を悪化させます。脂質の代謝を助けるパントテン酸は皮脂の代謝を正常化させます。これにより皮脂の分泌を抑えて頭皮を清潔に保ち、髪の毛が育ちやすい環境を作りあげます。
  3. ストレス緩和
    髪に必要な栄養素や酸素は血液によって運ばれます。なので血流をよくすることは健康な髪を生み出すためにも大事なことです。
    ストレスは血流を悪化させる原因の一つです。パントテン酸はストレス緩和に働く副腎皮質ホルモンの合成に関わっています。

 

白髪 

7.5点

「白髪」予防 に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. ストレス性白髪
    パントテン酸はよく白髪予防・改善のサプリメントに配合されています。また白髪染め・カラートリートメントの有効成分としても有名です。


    パントテン酸が白髪予防に効く理由は多々あります。ここでは「ストレス性白髪に有効だから」と考え、話を進めていきます。

    ストレス→白髪になる流れを簡単にまとめると次になります。

    ①ストレスを過度に感じると抗ストレスホルモン合成にかかわる成分が大量に消費される。

    ②ストレスに対抗するに必要なホルモンの量が不足してしまう

    ③ストレスにより血流が悪くなる

    ④血流が悪くなるとメラノサイト(メラニンを作る)の働きが悪くなる

    →白髪になる

    ここでストレス→白髪を血流悪化以外の視点からも見てみます。

    ストレスを感じると副腎皮質ホルモンが分泌されます。副腎皮質ホルモンはACTH(副腎皮質刺激ホルモン)により分泌が調節されています。ACTHは脳下垂体から分泌されます。

    脳下垂体から分泌されるホルモンはACTHだけではありません。多様なホルモンが分泌されています。

    例えば

    メラニン細胞刺激ホルモン
    →メラノサイトのチロシナーゼを活性させメラニン生成を促進する

    成長ホルモン
    →毛母細胞・メラノサイトを活性化させる

    甲状腺刺激ホルモン
    →髪の成長を促す甲状腺ホルモンの分泌を促進する

    なども分泌されています。

    強いストレスに長期間さらされると、脳下垂体ではACTHの分泌にかかりきりになってしまい他のホルモンの分泌がおろそかになります。
    さきほどあげたホルモンの分泌が少なくなると髪にどのような影響を及ぼすかは簡単に想像できると思います。


    パントテン酸がストレス性白髪予防に効くとされているのは、副腎皮質ホルモンの合成を促進する
    からです。

    パントテン酸を摂取することで副腎の働きが強化され、ストレスに対応するための態勢が整えられます。
    強いストレスを感じたときに、パントテン酸を意識して摂取するとストレス性白髪の予防になるかもしれません。

  2. 頭皮の環境を整える
    皮脂が過剰に分泌されると 毛穴づまりを起こすなど頭皮環境が悪化します。
    頭皮環境が悪化すると 毛根部分にあるメラノサイトの活動も衰えます。メラノサイトは黒髪のもとであるメラニンをつくりだす働きをしています。そのため活動が衰えると白髪につながります。

    皮脂代謝に関わるパントテン酸は、皮脂の過剰分泌を抑制します。

美肌

7.5点

「美肌」作り に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. 皮脂の代謝
    皮脂の代謝が正常に行われないと 皮脂が過剰に分泌されて毛穴に詰まってしまいます。その結果、ニキビや吹き出物ができてしまいます。

    皮脂の代謝を活性させる働きをするパントテン酸はニキビなどの肌荒れ対策に有効です。

  2. ビタミンC
    ビタミンCはコラーゲンの生成に必ず必要となる成分です。コラーゲンは真皮層でハリや弾力を生み出すたんぱく質で、肌の美しさを維持するには欠くことのできない物質です。


    ※真皮層を拡大したイラストです。ひし形の線部分がコラーゲン。

    パントテン酸はビタミンCの働きを助ける成分です。ビタミンCと組み合わせることでビタミンCの美肌効果をアップさせます。

  3. 肌のターンオーバー
    肌細胞の生まれかわりには大量のATPが必要となります。脂質や糖質から大量のATPを生み出す反応にパントテン酸が必要です。

 

美白

7.5点

「美白」ケア に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. ビタミンC
    しみのもととなるメラニンはチロシンとチロシナーゼ酵素が結合することで作られます。このチロシナーゼが活性されるとメラニンがたくさん作られます。
    そして作られたメラニンが肌のターンオーバーとともに排出されないと肌の表面にシミとなってあらわれます。

    チロシナーゼの活性を阻害する成分の代表といえば、ビタミンC
    です。
    パントテン酸はビタミンCの働きを助ける成分です。
    美白剤にパントテン酸が含まれている理由がこれです。

    ●ビタミンCとL-システインが協力して、しみ、そばかすの原因となるメラニンの生成をおさえます。
    ●ビタミンCが黒色メラニンの淡色化を促進します。
    ●ビタミンB6が皮膚や粘膜の新陳代謝を促進し、パントテン酸カルシウムがビタミンCのはたらきを助けて効果を高めます。

    Amazon【第3類医薬品】システィナC 210錠 商品紹介より

  2. 肌のターンオーバーを促進
    メラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。メラニンが過剰に作られて、それがターンオーバーとともに排出されないと肌の細胞に色素沈着しシミとなって肌の表面に現れます。


    肌のターンオーバー=表皮の新陳代謝=表皮細胞の細胞分裂です。細胞分裂を促進するためには大量のATPを供給する必要があります。
    パントテン酸は細胞内のエネルギー代謝を促進し多くのATPを産生させます。肌のターンオーバーにも関係している成分といえます。

筋肉

6点

「筋肉」増強 に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. 糖質・たんぱくの代謝
    筋肥大のためには、筋トレ後にたんぱく質を摂取することはマストです。
    この時、糖質をプラスするとたんぱく質だけを摂取するよりも筋肉の合成率が高まります。

    これはインスリンが関係してきます。糖質をとるとインスリンが分泌され細胞に糖を取り込む働きが促されます。

    たんぱく質と糖質を同時にとることで、糖質に反応し分泌されたインスリンが筋肉細胞に糖のみならずたんぱく質を取り込むようになり筋肉の合成を高めてくれます。

    この際、それぞれの代謝を促進するビタミンも一緒に取ることが重要です。パントテン酸はそれにあてはまります。

 

脂肪

9点

「脂肪」減少 に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. 糖質・脂質の代謝
    ビタミンB群のうち糖質の代謝といえばビタミンB1、脂質の代謝といえばビタミンB2だと思います。
    ここでパントテン酸の存在も忘れてはなりません。パントテン酸は糖質の代謝・脂質の代謝両方においてアセチルCoAの構成成分として深く関与しています。

    エネルギーに代謝されなかった糖質・脂質は中性脂肪として体に蓄えられます。その代謝を促進するパントテン酸はダイエット効果の高い成分といえます。

 

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パントテン酸の働き分析【中身編】

合計 46.5/60点

カテゴリー別 点数

身体 7点

エネ 10点

病気 6点

体質 7.5点

精力 7点

健脳 9点

 

身体

7点

「身体」の構成材料 に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. 脂肪酸の生合成
    脂肪酸の生合成において脂肪酸の担体として働くのがACPです。

    脂肪酸はアセチルCoAを材料に生合成されます。

    アセチルCoA→マロニルCoA→脂肪酸

    がん細胞では、解糖系の亢進に加えて脂肪酸の新規合成が盛んです。

    引用元
    がんと脂質代謝
    がん化学療法センター 公益財団法人がん研究会

    マロニルCoA→脂肪酸部分を文章で説明すると以下になります。

    「マロニルCoAが合成された後、脂肪酸合成酵素の働きにより、脂肪酸(パルミチン酸)に合成」

    パントテン酸は次の2点より脂肪酸の生合成に関与しています。

    ①CoA
    パントテン酸はCoAの構成成分です。

    ②ACP
    ACPは脂肪酸合成酵素の一部で脂肪酸の生合成に欠くことのできないものです。
    パントテン酸はACPの構成成分(ACPの補欠分子族である4′-ホスホパンテテインの構成成分)です

  2. たんぱく質の代謝
    たんぱく質は皮膚・筋肉・内臓・髪・骨・血液・ホルモンなどの構成材料となっています。パントテン酸はたんぱく質の代謝に関与しています。

エネ

10点

「エネルギー」生成 に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. エネルギー代謝
    糖質・脂質のエネルギー代謝において、糖質の場合は解糖系→TCA回路を経て 脂質の場合はβ酸化→TCA回路を経て、最終的に電子伝達系で酸化的リン酸化が起こることにより大量のATPが生成されます。
    TCA回路に組み込まれるためにはアセチルCoAという物質に変換されなければなりません。

    糖質の代謝では、ピルビン酸が脱炭酸反応によってアセチルCoAに変換されます。
    脂質の代謝では、脂肪酸がβ酸化を受けてアセチルCoAに変換されます。

    パントテン酸はCoAの構成成分として糖質・脂質のエネルギー代謝に深く関わっています

    なおたんぱく質をエネルギーに変える際にもアセチルCoAが必要です。
    パントテン酸は3大栄養素のエネルギー代謝において非常に重要な役割を担っているといえます。

 

病気

6点

「病気」予防 に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. 動脈硬化予防
    パントテン酸にはHDL(血液中の余分なコレストロールを回収する)を増やす作用があります。この作用により動脈硬化の予防効果が期待できます。
  2. メタボ予防
    メタボは「メタボリックシンドローム」の略で、内臓脂肪型肥満+高血圧、血清脂質異常、高血糖のうち2つ以上の症状が一度に出ている状態をいいます。

    生活習慣病の前段階の状態といったところです。


    引用元
    生活習慣病とメタボリックシンドローム
    健康のつくりかた
    (株)タニタ

    3大栄養素の代謝すべてに関わっているパントテン酸を積極的に摂取することはメタボ予防になります。

 

体質

7.5点

「体質」改善 に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. ストレス
    パントテン酸は抗ストレスホルモン「副腎皮質ホルモン」の合成を促進します。不足するとイライラを感じやすくなります。

  2. 疲労
    パントテン酸は3大栄養素のエネルギー代謝に関与しています。不足すると疲労を感じやすくなります。
  3. 風邪
    パントテン酸には免疫抗体の産生を手助けし、免疫力をあげる作用があります。風邪やインフルエンザの予防になります。
  4. 怪我
    パントテン酸は傷の回復に役立つ成分です。傷の治りを早くする効果があります。

精力

6点

「精力」増進&「性機能」向上 に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. 性ホルモンの合成
    ステロイドホルモンはコレステロールを原料に作られる脂溶性ホルモンです。糖質コルチコイド、ミネラロコルチコイド、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンがあてはまります。
    パントテン酸はステロイドホルモンの合成に関わります。

    エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンは性ホルモンです。パントテン酸は性ホルモンの合成に関与しています。

  2. ストレスによる性欲低下
    ストレスは性欲を低下させる原因の一つです。ストレス緩和に働く副腎皮質ホルモンの合成を促進するパントテン酸は性欲減退の予防になります。
  3. スタミナアップ
    エネルギー代謝に深くかかわるパントテン酸は、スタミナアップ効果が期待できます。滋養強壮剤・精力剤によく配合されている成分の一つです。

 

健脳

9点

「脳」の健康 に関わるパントテン酸の働きは主に次です。

  1. アセチルコリンの合成
    アセチルコリンは記憶、学習、認知能力に関わる神経伝達物質です。不足すると記憶力が低下し、認知症の発症リスクを高めます。
    実際、アルツハイマー型認知症では、アセチルコリンの減少が確認されています。
    アセチルコリンはコリンとアセチルCoAをもとに酵素(コリンアセチルトランスフェラーゼ)の働きにより作られます。

    CoAの構成成分であるパントテン酸はアセチルコリンの合成にも関与しています。記憶力を向上させる成分の一つです。

  2. 脳のエネルギー
    ブドウ糖が脳の唯一のエネルギー源です。パントテン酸は糖質からより多くのエネルギーを作り出す(=解糖系から先の代謝経路に進む)ための必須成分です。
  3. ケトン体の合成
    上でブドウ糖が脳の唯一のエネルギー源といいましたが、例外があります。「ケトン体」です。糖質が枯渇しているときケトン体が糖質に代わって脳のエネルギー源となります。パントテン酸はケトン体の合成に関与しています。

 

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パントテン酸のサプリメント紹介

 
パントテン酸がメイン成分のサプリメントを紹介します。
 
Now Foods

パントテン酸(ビタミンB複合体)はビタミンのB複合体群の1つでほぼ全ての生体細胞でコエンチームA(CoA)の複合体として存在しています。CoAは脂肪、炭水化物とタンパク質からエネルギーを生み出すために欠かせません。また、様々な生合成反応でも重要な役割を果たしており、脂肪、コレステロール、神経伝達物質、赤血球と副腎分泌物質の生成のために必要です。従って、パントテン酸は無数の細胞機能と健康な細胞代謝の維持において不可欠な存在と言えます。

引用元
Now Foods, パントテン酸、500 mg、250粒
iHerb.com

 
 
Jarrow Formulas

パントテン酸はビタミンB群の一員です。通常このビタミンは、肉、卵、豆類、きのこ、ブロッコリー、ローヤルゼリーに含まれています。パントテン酸は、(クレブスサイクルを介する)エネルギーの産生、副腎ホルモンの合成、タンパク質代謝と傷の治癒に必須です。アルコールを消費すると組織中のパントテン酸が減り、その代謝にダメージを与えます。

引用元
Jarrow Formulas, パントテン酸B5、500 mg、植物性カプセル 100粒
iHerb.com

 

 

パントテン酸が含まれているサプリメントを紹介します。
 
Life Extension

ビタミンBは、心身の健康が気になる方、生活習慣が気になる方、毎日をイキイキと過ごしたい方にとっておきの成分です。バイオアクティブコンプリート Bコンプレックスは、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、ビオチン、5-メチルテトラヒドロ葉酸など、活性的な成分を配合した、さまざまなビタミンBを一度に取り入れることができる栄養補助食品です。

引用元
Life Extension, バイオアクティブコンプリート Bコンプレックス、植物性カプセル60粒
iHerb.com

 

商品説明文の引用元 iHerb.comでも購入可能です。その際 iHerb紹介コード=ALH5806 ご利用いただけたら幸いです。 リンクから飛んでいただくと、自動的にコード適応になります。

 

 

パントテン酸のまとめ

分析【見た目編】45.5

分析【中身編】46.5

 

パントテン酸 エネルギー代謝 参照一覧

5. 2. 7.パントテン酸 厚生労働省 PDF

パントテン酸の働きと1日の摂取量 健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団 

パントテン酸とは? 公益社団法人ビタミン・バイオファクター協会

パントテン酸とメタボリックシンドローム J-STAGE

 

パントテン酸関連レビュー

パンテチン 高コレストロール改善作用

 

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