ポリアミン
アミノ基を複数もつ脂肪族炭化水素の総称
ポリアミンとは
ポリアミンについて
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ポリアミンは1分子内に第1級アミノ基を複数持つ脂肪族炭化水素の総称のことです。ほとんどすべての生物の細胞に存在し、細胞の分化・増殖において重要な役割を担っている生理活性物質です。
※「複数」は2つ以上と定義されている場合と3つ以上と定義されている場合があります。 -
体内には20種類以上のポリアミンが存在しています。代表的なポリアミンはプトレスシン・スペルミジン・スペルミンです。
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ポリアミンは細胞内でアルギニンを原料にいくつかの酵素の働きにより作られます。
ポリアミンの生成経路アルギニン→オルニチン→プトレスシン→スペルミジン→スペルミン
図 2. ポリアミンの合成経路引用元
オリザポリアミン
製品案内 オリザ油化(株)- アルギニン→オルニチン (アルギナーゼの働きが必要)
- オルニチン→プトレスシン (オルニチンデカルボキシラーゼの働きが必要)
- プトレスシン→スペルミジン(スペルミジンシンターゼの働きが必要)
- スペルミジン→スペルミン (スペルミンシンターゼの働きが必要)
※プトレスシン→スペルミジン、スペルジミン→スペルミンの代謝ではもう一つの基質が必要となります。それが脱炭酸化SAM(S-アデノシルメチオニン)です。脱炭酸化SAMはメチオニン→S-アデノシルメチオニン→という流れで作られます。
※ポリアミンの生成経路はもっと複雑です。かなり簡略しています。
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ポリアミンは加齢とともに減少します。というのもポリアミンを合成する酵素の活性が低下するからです。とくにスペルミジンシンターゼとスペルミンシンターゼは高齢になると著しく低下するとされています。
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ポリアミンの特徴として分子量が200程度と非常に小さいことが挙げられます。
なので 食べ物中のポリアミン(特にスペルミンとスペルミジン)を摂取すると、分解されることなく腸へ届きそのままの形で吸収され、体内の臓器や組織へ行き届きます。スペルミンとスペルミジンは、ほとんどがそのままの分子の形で体内に吸収されます。なぜならスペルミンとスペルミジンを分解する酵素が存在していない(活性されない)からです。
プトレスシンを分解する酵素は存在します。そのため一度分解されて体内で再び合成される過程を経ています。プトレスシンに再合成されるのは摂取したプトレスシンの3割程度とされています。
それゆえ 加齢により細胞内で作られるポリアミンが不足した場合でも、食べ物などから補うことができます。
- ポリアミンは大腸腸管内腔に生息する腸内細菌からも作られています。
腸管内で複数の腸内細菌の代謝経路を経由してポリアミン(プトレスシン)が生成されます。複数の腸内細菌が関与しているためその生成経路は少し複雑なのですが、簡略して言うと
【アルギニン→アグマチン→プトレスシン→】の代謝を経て生成されています。
※アグマチンとはアルギニンの脱炭酸化生成物です。リンク
この代謝経路はビフィズス菌などの酸生成菌が生成する「酢酸」や「乳酸」などにより作動されます。
そのため 腸内環境を整える善玉菌やその善玉菌の餌となる食物繊維の摂取もポリアミンを増やすことになります。 - 以上のことから体内のポリアミン供給源は下記3つとなります。
①細胞内でアルギニン→オルニチンを介して生成されるポリアミン
②食品に含まれているポリアミン
③大腸の腸内細菌でアルギニン→アグマチンを介して生成されるポリアミン
加齢(酵素の不活性)とともに①からは減少するため②や③からの供給が重要となります。
ポリアミンの補足
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ポリアミンを多く含んでいる食べ物は発酵食品です。
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発酵食品の中でも納豆がポリアミンの供給源としてベストだと考えられます。
具体的な数値丸大豆納豆で平均7.0μg/g、ひきわり納豆では16.2μg/gの量のポリアミン(プトレシン)が含まれています。
丸大豆納豆で平均56.1μg/g、ひきわり納豆では75.2μg/gの量のポリアミン(スペルミジン)が含まれています。
丸大豆納豆で平均10.3μg/g、ひきわり納豆では9.4μg/gの量のポリアミン(スペルミン)が含まれています。参照した研究年報には味噌中の含有量の記載もありますが、スペルミジンとスペルミンにおいてはその差が歴然としています。
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実験によっても納豆がポリアミンを増やすことが証明されています。
実験内容健康な成人男性に平均納豆50g~100g(1~2パック)を1カ月間摂取続けてもらったところ、その1カ月後(2カ月後)被験者ほぼ全員の血中のポリアミン濃度が上がった。
参照
アンチエイジングの本命=高ポリアミン食
全国納豆協同組合連合会 納豆PRセンター
摂取量について
目安摂取量は定められていません。
ポリアミンの効果・効能
ポリアミンの効果・効能 5つ厳選
- 核酸の合成促進
- 動脈硬化予防(by LFA-1因子抑制)
- オートファジー誘導作用
- 精子形成
- コラーゲン産生促進
そのうち3つを詳しく
①核酸の合成促進
核酸とは、細胞核の中に存在しているDNA(デオキシリボ核酸)と細胞核と細胞質に存在しているRNA(リボ核酸)のことをいいます。
DNAは遺伝情報を記録していて、新しい細胞をつくるときに必要な設計図のような役割を果たしています。
この設計図に基づいて、RNAがアミノ酸をもとに細胞の構成材料となるたんぱく質をつくる大工のような役割を果たしています。
※RNAにはmRNA(メッセンジャーRNA)、tRNA(トランスファーRNA)、rRNA(リボゾームRNA)の3種類があり、「たんぱく質の合成」の際にそれぞれ違う働きをします。
たんぱく質の合成の流れを簡潔にまとめると次です。
DNA【塩基配列】→(転写)→RNA【塩基配列】→(翻訳)→たんぱく質の合成【アミノ酸配列】
DNAの塩基配列をRNAにコピーすることを転写といいます。
RNAの塩基配列をもとにアミノ酸を配列したんぱく質をつくる過程を翻訳といいます。
細胞内のポリアミンはDNAとRNAと結合して存在しています。主にRNAと結合してその立体構造を変化させることでたんぱく質の合成を翻訳レベルで促進しています。
ポリアミンは一言でいうと「細胞の新陳代謝を正常に行うための必須の成分」です。
細胞の増殖時には核酸の合成が盛んになります。それにはポリアミンの存在が欠かすことができません。
②動脈硬化予防(by LFA-1因子の抑制)
老化現象および生活習慣病は体内で起こる「炎症」が関係しています。
ここでは老化現象は一旦置いといて、生活習慣病と炎症の関係を動脈硬化を例に説明したいと思います。
脳梗塞や心筋梗塞は動脈硬化が引き金となる病気です。
動脈硬化は血管の炎症により引き起こされています。
そのメカニズムは次となります。
動脈硬化の発症メカニズム(by 血管の炎症)
①体内にLDLコレストロールが蓄積される。
②LDLが活性酸素により酸化されて酸化LDLとなる。
③酸化LDLが血管壁に沈着する。
→酸化LDLを排除するためまず炎症がおきる
④この炎症は免疫細胞(単球など)が起こす。その免疫細胞は仲間を呼ぶため様々な物質を呼び込む。そのうちの一つに炎症性サイトカインが含まれている。
⑤炎症性サイトカインは血管内皮細胞を刺激しICAM因子の発現を誘導する。
⑥血管内を流れている免疫細胞は表面に存在するLFA-1因子を使ってICAMを認識して結合する。
→この免疫細胞は酸化LDLを排除するため血管壁に入り込む
⑦LFA-1とICAMが結びつくと炎症性サイトカインなどのさまざまな刺激因子が分泌され他の免疫細胞がさらに呼び集められる。
⑧その免疫細胞からも炎症性サイトカインなどのさまざまな刺激因子が分泌され、さらにさらに免疫細胞が呼び集められる。
→多くの免疫細胞が血管壁内に次々に呼び集められる
=より強い炎症反応が形成される
このように炎症が繰り返し起こることで血管が硬くなり動脈硬化が進行します。
免疫細胞(単球)が血管の内側に入り込み酸化LDLを処理するために「マクロファージ」に形を変え、酸化LDLを自分の中に次々と取り込むようになります。
たくさんの酸化LDLを取り込んだマクロファージはやがて死に、その残骸(プラーク)が血管の壁に蓄積されていきます。
その結果、血管の内側が細くなり動脈硬化が進行していきます。
血管の炎症の発症原因となるのが免疫細胞の表面に存在するLFA-1です。
というのも「LFA-1とICAMが結合しなければ炎症が起きない」からです。
なのでLFA-1は炎症を誘発する因子と呼ばれています。
LFA-1は加齢とともに増加します。
加齢によりLFA-1が増える【→慢性的に炎症が起こる】、だから【老化現象が進行&生活習慣病の発症リスクが高まる】ことになります。
ポリアミンにはLFA-1を抑制する作用があります。
研究により血中のポリアミン濃度が高い人ほど免疫細胞の表面上のLFA-1の発現が低いことが分かっています。
老化防止・生活習慣病予防効果が大いに期待できるため、ポリアミンはよく「若返り物質」「アンチエイジング物質」「老化を遅らせる物質」などとも呼ばれています。
④精子形成
ポリアミンの一種スペルミンは精子の運動性に重要な役割を果たしており、精子形成に必須の成分とされています。スペルミンは精液の中に多くふくまれており、精液特有の臭いのもととなっています。
ポリアミンの働き分析【見た目編】
合計 51.5/60点
薄毛
10点
「薄毛」改善 に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- ヘアサイクルの成長期の維持・延長
ヘアサイクル(毛周期)とは成長と脱毛を繰り返す髪のサイクルのことをいいます。ヘアサイクル(毛周期)成長期(約2年~6年)→退行期(約2週間)→休止期(約3カ月)→【脱毛】→再び成長期
成長期に毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで髪が生まれ育っていきます。
薄毛の原因となるのはヘアサイクルの乱れです。具体的には成長期の短縮化です。
成長期の短縮化とは通常だったら2~6年の成長期が~1年と短くなってしまい、髪が十分に成長しないままに抜け落ちてしまうことをいいます。それにより退行期・休止期にあたる髪の割合が増え(=抜け毛が多くなり)薄毛が進行していきます。
ヘアサイクルは毛乳頭細胞より産生される【髪の発毛と成長に関わる数々の細胞増殖因子】によりコントロールされています。
髪の発毛と成長に関わる細胞増殖因子の一例
FGF-7
FGF-7は毛母細胞の細胞分裂を活発化させる細胞増殖因子です。別名「発毛促進因子」とも呼ばれます。IGF-1
IGF-1は毛母細胞の増殖・分化を促進させる細胞増殖因子です。ヘアサイクルの成長期の延長に働きかけます。VEGF
VEGFは頭皮の毛細血管の新生を促す細胞増殖因子です。毛包周辺の毛細血管を増やし毛母細胞に必要な栄養素や酸素の供給を増加させます。強くハリのある抜けにくい髪を生み出すことに貢献します。
ポリアミンは毛乳頭細胞の増殖を促進させる働きをし、これら細胞増殖因子を増やします。
ヘアサイクルの成長期の維持・延長に働きかけ、抜け毛を大幅に減らす効果が期待できます。 - まつ毛
まつ毛のヘアサイクルは髪の毛に比べてずっと短くなっています。ヘアサイクル全体は約4カ月、成長期に至っては約40日となっています(成長期の期間がヘアサイクル全体の1/3しかありません)。ポリアミンのヘアサイクルの成長期の維持・延長の働きはまつ毛のそれにも有効です。そのため数々のまつ毛育毛サプリに配合されています。
白髪
8点
「白髪」予防 に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- 色素細胞の活性&色素幹細胞の維持
① 髪は毛根にある毛球部にある毛母細胞によって作られます。髪には、もともと色がついていません。
毛母細胞が細胞分裂する過程=髪が作られる過程において、メラニン色素が毛母細胞に取り込まれることで髪が黒くなります。このメラニン色素は毛母細胞の隣に存在する色素細胞(メラノサイト)で作られます。② 髪は成長期→退行期→休止期→再び成長期のへアサイクルにより「生えて→抜けて→また生えて」を繰り返しています。
毛が抜けるとき(=休止期)には、色素細胞も一緒に失われます。そして新たに髪が生まれるとき(=成長期)に色素幹細胞により色素細胞が供給され毛母細胞の隣に再配置されるようになっています。
色素幹細胞幹細胞とは分裂によって自分のコピーを生み出す「自己複製能」と分化によって自分とは異なる細胞を生み出す「分化能」をもつ細胞のことです。色素幹細胞は繰り返し増殖をする機能と色素細胞を生み出す機能をもちあわせています。
①②のメカニズムから白髪は主に次の理由により生じます。
①色素細胞の働きが衰え、メラニン色素を作り出せなくなる。
②色素幹細胞が枯渇(自己複製せずに分化してしまう)して、色素細胞の供給が滞る。
ポリアミンは細胞の分化・増殖において重要な役割を担っている物質です。色素細胞の活性や色素幹細胞の維持に貢献し、白髪予防に効果を発揮することが期待できます。
美肌
9.5点
「美肌」作り に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- コラーゲン産生促進
皮膚は外側(表面)から順に大きく表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されています。肌の断面図上から四角〇部分までが表皮、ひし形◎が集まっている部分が真皮、薄紫の部分が皮下組織とイメージしてください。
肌の表皮を内側から支える真皮は肌のハリ・弾力を保つ役割をしています。このハリ・弾力の源となるのが真皮の乾燥重量のうち70%を占めているコラーゲンです。
真皮真皮内にコラーゲン繊維・エラスチン繊維が細かい網の目状に張り巡らされ、ベットでいうところのマットレス(→コラーゲン)スプリング(→エラスチン)のような役割を果たすことで肌のハリや弾力を維持することができています。ポリアミンにはコラーゲンの産生を促進する作用があります。
ひし形線部分がコラーゲンです。コラーゲンを繋ぎとめているのがエラスチンです。この2つの繊維が肌のハリや弾力を生み出します。
- 繊維芽細胞の活性化
皮膚の真皮にある線維芽細胞は、肌のハリ・弾力・潤いをもたらす成分【コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸】を作り出す重要な役割を担っています。
線維芽細胞は自身で細胞分裂を行って絶えず新しい繊維芽細胞を増やし、これら成分を作り続けています。真皮ひし形内の〇が繊維芽細胞、ひし形の線部分がコラーゲン、線部分のつなぎめがエラスチン、ひし形内にあるのがヒアルロン酸などの基質
加齢や紫外線により肌の繊維芽細胞の働きが衰えるとおのずと美肌成分も減ります。その結果、肌にシワ・たるみが現れることになります。
つまり繊維芽細胞を活性化させることが年齢に負けない肌をつくる鍵となります。ポリアミンは細胞分裂を促進させる物質です。
細胞内の核酸(特にRNA)と相互作用することで核酸の合成やたんぱく質の合成を促進し細胞増殖促進効果をもたらします。真皮においては繊維芽細胞の分裂を促進させ美肌成分の産生量を増やします。ポリアミンは年齢に負けない肌づくりに大きく貢献します。
- 抗糖化作用
真皮では、コラーゲン同士が橋を架けあうように結合することで繊維が張り巡らされます。この結合をコラーゲン架橋といいます。この架橋が健康な状態の時に肌にハリや弾力が生まれています。加齢によりコラーゲン代謝の衰え余分な架橋が増えたり(老化架橋といいます)、
糖化により生まれたAGEsがコラーゲンの分子間に架橋を形成する(AGEs架橋といいます)
とコラーゲンが変性・減少していきます。
その結果、肌のハリ・弾力は低下していきます。ポリアミンにはコラーゲンの産生を促進させる働きがあります(→老化架橋を防ぐ)。
それに加えて糖化反応を抑制させる働きがあります(→AGEs架橋を防ぐ)。
この点よりポリアミンは抗糖化成分といえます。糖化・AGEs糖化とは体内に余った糖質がたんぱく質とくっつき、たんぱく質を劣化させる現象のことをいいます。糖化によって作られるのがAGEs(終末糖化産物)です。AGEsが体内に蓄積されると老化が進みます。
- オートファジー誘導作用
オートファジーとはオート=自分自身 とファジー=食べる を合わせた造語で、細胞が自己成分(たんぱく質など)を分解する機能のことです。
ようは細胞の中の古くなったゴミを処理し、新しい資源を作り出す「リサイクルシステム」とイメージしてください。リンク
肌の細胞にもオートファジーが機能しており、古くなったコラーゲン・ヒアルロン酸を分解し、それを新しいものをつくる資源としてリサイクルしています。ただし加齢とともにオートファジーの働きが低下していきます。その結果、劣化したコラーゲン・ヒアルロン酸が蓄積されてしまいシワやたるみとなって肌に現れます。
ポリアミンにはオートファジ―誘導作用があります。 -
肌のターンオーバー
ポリアミンは細胞が新しく生まれ変わるのを手助けする成分です。表皮細胞の生まれ変わり=肌のターンオーバーを促進する働きが期待できます。
美白
7.5点
「美白」ケア に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- 肌のターンオーバーを促進
メラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。メラニンが過剰に作られて、それが肌のターンオーバーとともに排出されないと肌の細胞に色素沈着し、シミとなって表面に現れます。肌のターンオーバー
基底細胞で生まれた細胞が「生まれてから垢となって剥がれ落ちる」までの過程を肌のターンオーバーと呼びます。20代の肌のターンオーバーは約28日(4週間)です。【約28日の内訳】
角質層まであがるのに約14日にかかります。そして角質層にて約14日間 肌のバリア機能、保湿機能の役割を果たします。シミを防ぐには肌のターンオーバーを促進させることが大切です。
ポリアミンには表皮細胞の新陳代謝を活発にさせる働きがあります。ターンオーバーを促進しメラニン色素の沈着を防ぎます。
筋肉
8点
「筋肉」増強 に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- 筋たんぱく質の合成
筋肉はたんぱく質でできています。たんぱく質の合成には核酸が働きます。たんぱく質合成の流れ
①核内のDNAが持つ設計図(塩基配列=アミノ酸の組み合わせ)が遺伝子の伝令役であるmRNAに転写されます。
※DNA鎖は二本一組となって二重らせん構造を取っています。転写ではそのうちの一本だけが写し取られます。転写は核内で行われます。②設計図をコピーしたmRNAは核外にでて細胞質にあるリボゾーム(rRNA)へ移動します。tRNAはその設計図に応じてたんぱく質の合成に必要なアミノ酸をリボソームに運搬します。
Nucleus=核 Ribosome=リボソーム ※ドイツ語③リボゾームで設計図通りのアミノ酸がつなぎ合わされたんぱく質が合成されます。
ポリアミンは細胞内の核酸(特にRNA)と相互作用することでたんぱく質の合成を促進します。筋肥大に深く関与している物質といえます。
- 骨格筋幹細胞の分化
ポリアミンは細胞の分化・増殖において重要な役割を担っている生理活性物質です。
ラット実験により【骨格筋幹細胞の分化過程を促進する & 収縮機能を促進する】ことにより筋肥大に関与していることが示唆されています。参照
細胞分化・増殖
J-STAGE HP東京慈恵会医科大学 教育・研究年報 2016年版
学校法人 慈恵大学 PDF
脂肪
8.5点
「脂肪」減少 に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- 脂肪酸のβ酸化の亢進
中性脂肪からエネルギーを産生する代謝過程を簡潔にまとめると以下になります。脂質のエネルギー代謝
代謝経路【β酸化→TCA回路→電子伝達系】①脂肪がグリセリンと脂肪酸に分解されます。
②脂肪酸はアルブミンと結合して血中を通り細胞に運ばれます。
③細胞質に取り込まれた脂肪酸は脂肪酸アシルCoAに変換されます。
④脂肪酸アシルCoAはミトコンドリアのマトリクスに運ばれ、β酸化にてアセチルCoAに変換されます。
⑤アセチルCoAはTCA回路と電子伝達系を経てATPに変換されます。ここで④にクローズアップします。脂肪酸をエネルギーに変えるにはミトコンドリアのマトリクスまで運ばなければなりませんが、脂肪酸は脂肪酸アシルCoAのままではミトコンドリアの内膜を通過することができません。
ミトコンドリア
ミトコンドリアは外膜と内膜の二重の生体膜で構成されています。外膜はおおもとを囲っている線、内膜はくねくねした部分の線です。内膜はクリステと呼ばれるひだ状構造を持ちます。内膜に囲まれた内側をマトリックスといいます。一時的にカルニチンと結合し脂肪酸アシルカルニチンになることでミトコントリア内膜を通過することができます。通過後、脂肪酸アシルCoAに戻りマトリクスでβ酸化の反応をうけアセチルCoAに変換されます。そのアセチルCoAがTCA回路で酸化され、電子伝達系を経てエネルギーが生成されます。
カルニチンと結合し脂肪酸アシルカルニチンなることでミトコントリア内膜を通過することができるのですが、カルニチンが不足している場合あるいはカルニチンとの結合がスムーズにいかない場合は脂肪酸はミトコンドリア内に入ることができなくなります。
その結果、脂肪酸は脂肪に合成され体内に皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられてしまいます。脂肪酸(脂肪酸アシルCoA)から脂肪酸アシルカルニチンへ変換される反応はミトコンドリア外膜にある酵素CPT-1により触媒されます。なのでこの酵素を活性させれば、脂肪酸のミトコンドリア内への取り込みが促進がされる【=β酸化が亢進される】ことになります。
ポリアミンにはCPT-1を活性させる作用があります(理由は次の②で説明)。
そのためポリアミンの摂取は【脂肪酸のβ酸化亢進につながるので】脂肪燃焼効果が大いに期待できます。CPT-1(カルニチンアシルトランスフェラーゼ)アシルCoAとカルニチンをアシルカルニチンに変換する酵素です。ミトコンドリアにおけるβ酸化の律速酵素となっています。
-
脂肪酸の合成抑制(&脂肪酸のβ酸化亢進)
アセチルCoAは糖質の解糖系でも生成されます。エネルギーが不足している場合はこのアセチルCoAはTCA回路に組み込まれ酸化されていくことになります。が、エネルギーが過剰の時には脂肪酸に変換されます。その脂肪酸は中性脂肪に合成され体内に蓄えられます。
エネルギーが過剰の時、解糖系で生じたアセチルCoAが脂肪酸に変換される流れは簡略すると以下です。
脂肪酸の生合成
※脂肪酸の生合成は細胞質で行われます。アセチルCoAのままではミトコンドリアの内膜を通過することができないためいったんクエン酸に変換されます。①アセチルCoAはクエン酸合成酵素の働きによりTCA回路の中間体であるオキサロ酢酸と縮合してクエン酸になります。
②クエン酸はトリカルボン酸輸送体より細胞質に運ばれます。
②運ばれた後ACLの働きによりアセチルCoAに戻りACCの働きによりマロニルCoAに変わります。
③マロニルCoAは脂肪酸合成酵素の働きにより脂肪酸に変換されます。
ACL(ATPクエン酸リアーゼ)クエン酸とCoAからアセチルCoAとオキサロ酢酸を生成する酵素です。ATPのエネルギーを利用します。
ACC(アセチルCoAカルボキシナーゼ)アセチルCoAからマロニルCoAを生成する酵素です。脂肪酸生合成の律速酵素です。マロニルCoAの増加に関係しているためβ酸化にも関与してきます。
生体内にマロニルCoAが増えるとβ酸化を抑制します。なぜならマロニルCoAには①で説明したβ酸化を亢進する酵素CPT-1の活性を阻害する作用があるからです。
細胞外からポリアミンを供給することでマロニルCoAを減らすことができます。それにより【脂肪酸の合成を抑制】&【CPT-1を活性させる=脂肪酸のβ酸化亢進】ことができます。
細胞外からポリアミンを供給することでマロニルCoAを減らす理由細胞外からポリアミンを供給するとSSAT(ポリアミン分解酵素)が活性されます。SSATはアセチルCoAを補酵素としているので、活性化はアセチルCoAの減少につながります。
アセチルCoAの減少はマロニルCoAの減少に、マロニルCoAの減少はCPT-1の活性化につながります。この流れを簡単にまとめると次になります。
【ポリアミン補給→SSAT活性→アセチルCoA減少→マロニルCoA減少→CPT-1活性】このようにしてCPT-1の活性が高まり、脂肪酸のβ酸化が亢進され脂肪燃焼が促進されます。①で述べた「ポリアミンのβ酸化亢進(CPT-1を活性させる)作用」はこの流れによってもたらされます。
体内のポリアミンを増やすことは【脂肪の増加を抑制】&【脂肪の燃焼を促進】Wの効果があるといえます。
ポリアミンの働き分析【中身編】
合計 49/60点
身体
8点
「身体」の構成材料 に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- たんぱく質の合成
人体の6割は水です。残りの4割の半分を占めるのがたんぱく質です。
人間の構成比筋肉、臓器、皮膚、髪など「体を作るもの」の主成分となっているのがたんぱく質です。人間の体を構成するたんぱく質は主に20種類のアミノ酸が複雑に組み合わさることで作られます。ポリアミンは細胞内の核酸(特にRNA)と相互作用することでたんぱく質の合成を促進します。
エネ
7.5点
「エネルギー」生成 に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- 脂質の代謝促進
脂質は3大栄養素の中で一番のエネルギー源となります。
糖質、たんぱく質は1gあたり4kcalのエネルギーですが、脂質1gあたり9kcalのエネルギーとなります。
ポリアミンは脂質のエネルギー代謝においてβ酸化を亢進させる働きがあります。
病気
7.5点
「病気」予防 に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- 動脈硬化の予防
LFA-1という因子は血管内に炎症を引き起こして、動脈硬化を進行させます。この因子は加齢とともに増えます。なので「加齢とともに動脈硬化の発症リスクが高まる」ことは「加齢とともLFA-1が増加する」ことと結びつけることができます。
ポリアミンはLFA-1の増加を防ぎます。動脈硬化の予防や動脈硬化が引き金となって起こる病気(脳卒中・心筋梗塞など)の予防に大変有効な成分です。 - 大腸がんの予防
マウス実験によりポリアミンに大腸がんを抑制する働きがあることが確認されています。DNAの構造を安定化させるポリアミンには抗変異原性作用があり、それによりがん抑制に働くと考えられます。マイナスポイントまったく真逆の話もあります。ポリアミンはがんの発生に関わっているとされ、ポリアミンの合成を阻害すると大腸腫瘍の発生割合を抑制することができるとの研究報告もあります。
体質
10点
「体質」改善 に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- 老化予防
血管内の炎症はさまざまな生活習慣病を引き起こします。それに加えて老化そのもの原因となります。
血管内の炎症を誘発するのはLFA-1因子です。LFA-1は加齢とともに増えていくため、老化因子とも呼ばれています。
ポリアミンはLFA-1を減らす働きをします。
老化因子を抑制する、つまるところアンチエンジング効果が非常に高い成分といえます。 - 抗アレルギー
LFA-1はアレルギー疾患を誘発する因子でもあります。LFA-1の抑制に働くポリアミンはアレルギー予防にも効果を発揮します。 - 寿命伸長
「ポリアミンは寿命を延ばす」物質としてたびたびメディアに特集されています。なぜポリアミンが寿命を延ばすのかというとオートファジー誘導作用があるからです。オートファジーとは簡単にいうと細胞の中の古くなったゴミを新しい資源にリサイクルするシステムのことです。
残念ながらこの機能は加齢とともに衰えていくのですが、ポリアミンにはオートファジー機構を活性させる力があります。
オートファジー誘導作用を介して細胞の中をきれいにする(=細胞の老化を防ぐ)ことで「ポリアミンが寿命を延ばす」と考えられます。 - 爪
細胞の分化・増殖に重要な役割を果たすポリアミンには爪形成促進作用があります。
表皮の基底層にああるケラチノサイト(爪でいうと爪母)を活性化させることでもたらされる作用です。爪母爪の付け根の所のことです。爪は爪母で作られています。爪は爪母から爪床の上を通って押し出されて行きます。
- ひざ
細胞増殖に関与するポリアミンは軟骨組織の再生に働きます。 - 腸の健康
ポリアミンは腸の細胞の活性や修復に関わります。腸年齢を若返らせる成分といえます。
精力
8.5点
「精力」増強&「性機能」向上 に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- 精子の形成
ポリアミンの一種スペルミンは精液の中に多く含まれています。精子の運動性に重要な役割を果たしており精子の形成に必須の成分とされています。
健脳
7.5点
「脳」の健康 に関わるポリアミンの働きは主に次です。
- 記憶力低下抑制
マウス実験によりポリアミンに加齢による記憶力の低下を抑制する働きがあることが判明されています。この実験はポリアミンの前駆体であるアルギニンとビフィズス菌の摂取によりポリアミンの濃度を高めることで実証されています。
なおこの記憶力の低下を抑制する働きはポリアミンのもつオートファジー誘導作用(脳の神経細胞をきれいに保つ)によるものと考えられます。
ポリアミンのサプリメント紹介
- 1日あたり360mgの業界最高水準のポリアミンが含まれています。
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ポリアミンは細胞内でアミノ酸であるアルギニンから合成されます。アルギニン は,アルギナーゼの作用でオルニチンになり,オルニチン・デカルボキシラーゼ(ODC)の働きでプトレスシンに変化します。さらに,プトレスシンはスペルミジンシンターゼによってスペルミジンに変換されます。最後にスペルミジンは,スペルミンシンターゼによってスペルミンに合成されます。
引用元
オリザポリアミン
オリザ油化(株)
ポリアミンを増やす商品を紹介します。
簡単に述べますと、LKM512の作る酸(酢酸・乳酸)がきっかけとなり、ハイブリッド・ポリアミン生合成機構(一部の腸内細菌の酸から身を守る防御機構と、別のグループの腸内細菌がその副産物を利用してエネルギーを産生する機構が組み合わさった生合成経路)が活性化し、ポリアミンが作られることがわかったのです。しかも、普遍的に存在している菌が関与していることから、ほとんどのヒトで、LKM512摂取でポリアミン濃度が増えるのです。
引用元
腸内細菌がポリアミンを作るのですか? ポリアミンについて
ビフィズス菌 LKM512 メイトー協同乳業(株)
ポリアミンのまとめ
分析【見た目編】51.5点
分析【中身編】49点
ポリアミン 核酸の合成促進 参照一覧
トップ メイトー協同乳業(株)HP
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