プロリン コラーゲンの合成促進

プロリン

たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の1種
11種類ある非必須アミノ酸の1種

糖原性アミノ酸の1種

 

 

プロリンとは

プロリンについて

  • 人間の体の約60%は水分でできています。残り40%の半分はたんぱく質です。

    人間の構成比

  • たんぱく質は筋肉・皮膚・臓器・血球成分・ホルモン・酵素の主成分で体を作っている栄養素です。

  • 体の組織を構成しているたんぱく質は主に20種類のアミノ酸が複雑に組み合わさることで作られます。アミノ酸の組み合わせが違うため、たんぱく質の形・性質・働きが異なっています。

  • 20種類のアミノ酸は9種類の必須アミノ酸(体内で合成できない)と11種類の非必須アミノ酸(体内で合成できる)に分けられています。

  • プロリンは非必須アミノ酸に分類されます。小腸や肝臓においてグルタミン酸あるいはオルニチンから生合成されます。

  • 20種類のアミノ酸はたんぱく質を構成する材料となるほか、必要に応じてエネルギー源としても利用されます。プロリンはエネルギー源として利用されやすいアミノ酸です。
  • プロリンには美肌作り脂肪燃焼疲労回復の効果があります。

 

摂取量について

推奨・目安摂取量は定められていません。

 

プロリンの効果・効能

プロリンの効果・効能 5つ厳選

  1. 美肌効果(by コラーゲンの合成促進
  2. 美肌効果(by NMF構成成分
  3. 脂肪燃焼効果(by 脂肪分解酵素の活性化
  4. 関節痛軽減効果(by コラーゲンの合成促進
  5. エネルギー源として利用(by 糖原性アミノ酸

 

そのうち3つを詳しく

①美肌効果(by コラーゲンの合成促進)

プロリンはコラーゲンの構造を安定化させる重要な役割を果たしています。

まず初めにコラーゲンの構造について簡単にまとめたのでご覧ください。

コラーゲンの構造

  1. コラーゲン分子は3本のα鎖(ポリペプチド鎖)が螺旋状に絡まったものです。左巻きの螺旋構造(ヘリックス構造)をとるα鎖がお互い周りに巻き付いて右巻きの3重螺旋構造(トリプルヘリックス構造)をとっています。

    出典元 
    体のなかのコラーゲンの役割 コラーゲンの構造
    コラーゲンマニアのつぶやき
    (株)ニッピ

    3本のα鎖のアミノ酸配列は3本とも一緒、2本だけ一緒、全部異なるのパターンがあります。このパターンはコラーゲンの性質(種類)により違います。例えばI型コラーゲンは2本のα鎖が同じで残り1本が異なる構造をしています。Ⅱ型コラーゲンは3本とも同じα鎖です。Ⅲ型コラーゲンも3本とも同じα鎖です。

  2. 1本のα鎖は1000残基ほどのアミノ酸で構成されています。その配列の特徴として3残基ごとにグリシン(Gly)が存在していることです。つまり【Gly-X-Y】の配列が繰り返されていることになります。

    出典元
    コラーゲンとは?
    1月26日はコラーゲンの日
    (株)ニッピコラーゲン化粧品

    X-Yには違うアミノ酸が配置されていますが、X位にプロリン、Y位にヒドロキシプロリンが存在していることが多くなっています

    ヒドロキシプロリン

    アミノ酸の一種で、体内では大部分がコラーゲン中に特異的に存在します。コラーゲン中のアミノ酸の約10%を占めています。
    ヒドロキシプロリンはα鎖にプロリンとして組み込まれた後に、プロリンヒドロキシラーゼにより水酸化され生成されます。

  3. 生体内ではコラーゲン分子が集まって、酵素の働きによりコラーゲン分子が橋を架けあうように結合します。


    ※『コラーゲン完全バイブル』(真野博著、幻冬舎メディアコンサルティング)より

    出典元
    コラーゲンとは何? カラダの中のコラーゲン
    コラーゲンナビ
    (株)ニッタバイオラボ

    コラーゲン分子間に架橋(コラーゲン架橋)が入ることでコラーゲン繊維が形成されます。

 

 

ここで②にクローズアップします。

α鎖のアミノ酸配列は【Gly-X-Y】【Gly-X-Y】【Gly-X-Y】・・・といったように【Gly-X-Y】が繰り返されています。

このうちX-Yに配列されるアミノ酸がコラーゲンを特徴づけるトリプルヘリックス構造の安定性に影響を与えています。

X-Yに配列されるアミノ酸はプロリン(X位)とヒドロキシプロリン(Y位)であることが多くなっています。

ヒトのI 型コラーゲンではGly-Pro-Hyp配列が最も出現頻度が高く(11 %), Gly-Pro-Yaa と GlyXaa-Hypの頻度は, それぞれ34%と32%であるので, GlyPro-Hyp 配列はコラーゲンのアミノ酸配列の特徴をよく表していると言える.

引用元
コラーゲンの構造
J-STAGE

 

【Gly-X-Y】
グリシン-プロリンヒドロキシプロリン の出現頻度 約11%

グリシン-プロリン-他アミノ酸 の出現頻度 約34%

グリシン-他アミノ酸-ヒドロキシプロリン の出現頻度 約32% 

.
そのためプロリン(Pro)およびヒドロキシプロリン(Hyp)がトリプルヘリックス構造の安定化に大きく寄与しているといえます。

出典元
1-1. コラーゲン→ゼラチン→コラーゲンペプチド
ペプチド研究室
新田ゼラチン(株)

プロリンとヒドロキシプロリンのもつピロリドン環由来の立体障害により安定化されています。

なおα鎖のアミノ酸配列においてグリシン-プロリン-ヒドロキシプロリンの並びが存在する場合がトリプルヘリックス構造の安定化に最も寄与しているといわれています。

X 位と Y 位に入るアミノ酸は,トリプルへリックス構造の安定性に影響を与え,X 位にはプロリン,Y 位にはヒドロキシプロリン(プロリンの4位のプロトンが水酸化されたもの)が存在する場合が最も安定であり,実際の配列においても最も高頻度で出現する²⁾.

引用元
コラーゲン結合タンパク質を介した生命プロセスの活性化機構
公益社団法人 日本生化学会

 
 
 

 

水素結合

α鎖が3本お互い周りに巻き付いて右巻きのトリプルヘリックス構造をとっていますが、これを接着させているのが水素結合です。その水素原子の供給源がグリシンのアミノ基となっているため、3基ごとに繰り返されるアミノ酸配列【Gly-X-Y】において「Gly(グリシン)」があることが重要な要素となります。なお受容源はほかの鎖残基のカルボキシル基です。

ちなみにヒドロキシプロリンの水酸基は水素結合の形成にも関与しています。トリプルヘリックス構造の接着においてもヒドロキシプロリンの存在が重要です。

以上のことから、プロリン(およびヒドロキシプリン)はコラーゲンの構造を安定化させる=コラーゲンを生成するうえで必須の成分といえます。

真皮にあるコラーゲンは肌に潤いや弾力を与え、若々しい肌を保つ上で重要な役割を果たしています。その構造の安定化に関わるプロリンの摂取はコラーゲンの合成促進や壊れたコラーゲンの修復につながるとされています

 

 

②美肌効果(by NMFの構成成分)

NMF(天然保湿因子)は人間が持って生まれた皮膚の保湿成分で角質細胞内においてケラチンとともに存在しています。
角質層において体内の水分を逃さない役割(肌の保湿機能)や外的刺激から肌を守る役割(肌のバリア機能)を果たしています

プロリンはNMFの構成成分として最も重要なアミノ酸のひとつです。

まずはNMFの組成、NMF内のアミノ酸組成をご覧ください。

NMFの組成

NMF内のアミノ酸組成

ご覧の通り、プロリンはNMF内のアミノ酸組成の上位に入っておりません(約2%)。
それなのに構成成分としてなぜ重要なのかというと

①プロリンはNMF内アミノ酸の中で最も吸湿性が高い。

②同じく吸湿性が高いPCAと相乗効果がある。プロリンはPCAと連携し、NMFの「保湿機能」において重要な役割を果たす。
.
からです。

 
皮膚におけるアミノ酸の重要性は、角層の成分をみれば明らかです。
NMFの主成分のひとつであるピロリドンカルボン酸(PCA)は、グルタミン酸からつくられる代謝物で、高い吸湿性があります。
プロリンは、乾燥状態での保水力がアミノ酸のなかで最も高く、このプロリンとPCAを配合すると、吸湿性が相乗的に高まることが知られています。
アミノ酸やPCAなどのNMF成分が結合水により水和された状態が、角層に柔軟性を与えるのです。

引用元
注目の美容成分 『「保湿の名脇役」アミノ酸 』
美容&スキンケア情報「注目の美容成分 『「保湿の名脇役」アミノ酸 』」
一般社団法人 日本スキンケア協会

なのでプロリンの摂取はNMFの働きの強化(皮膚に安定した保湿効果を与え、肌を乾燥から守る)につながります

PCA

PCAはピロリドンカルボン酸のことでグルタミン酸から代謝されるアミノ酸代謝物の一種です。NMFの組成の約12%を占めています。
NMF内のアミノ酸は顆粒層にあるフィラグリンが角質層で分解することによって生まれます。その中に最も多く含まれているグルタミン酸が酵素の働きにより代謝されことで生成されるのがPCAです。PCA自体には保湿力はさほどありませんが、弱酸性の皮膚においては塩の形(PCA-Na)で存在しているため高い保湿力を発揮しています。

 

③脂肪燃焼効果(脂肪分解酵素の活性化により

脂肪燃焼のメカニズムを簡単にまとめると以下になります。

  1. 分解 体内に蓄積された中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する
  2. 運搬 分解されてできた脂肪酸を細胞のミトコンドリアに運搬する
  3. 燃焼 ミトコンドリアで脂肪酸がエネルギー貯蔵物質ATPに変わる

ATPがエネルギーとして消費される→脂肪燃焼

①の分解過程をもう少し掘り下げていきます。

脂肪の分解は【空腹状態・激しい運動・寒冷刺激など エネルギーを確保しなければいけない状況】に陥ったときに、脳の視床下部から「脂肪分解酵素の分泌」の指令が下ることでスタートします。
すると脂肪細胞内にあるホルモン感受性リパーゼ(HSL)が活性化され脂肪が遊離脂肪酸とグリセリンに分解されます。
脂肪が分解されて生じた遊離脂肪酸がATPと呼ばれるエネルギー貯蔵物質に変換され、エネルギーとして消費されることがいわゆる脂肪の燃焼です。

このように脂肪燃焼は脂肪が分解されなければ始まらないので脂肪分解酵素を活性化させることがとても大切となります。

そのためには空腹状態・激しい運動・寒冷刺激などの状況にもっていく必要があります。

空腹状態

激しい運動

寒冷刺激

栄養成分の中には脂肪分解酵素を活性化させる働きをするものがあります。

プロリンがその1つです。

プロリンは体内に入ると脂肪細胞に作用し、脂肪分解酵素の活性を高める働きします。なのでプロリンを摂取すると脂肪が分解され遊離脂肪酸が血中に放出されるようになります(放出されやすくなります)。
この状態で有酸素運動を行うと筋肉への遊離脂肪酸の取り込みが促進され「脂肪」が「燃焼」されていきます。

遊離脂肪酸が血中に放出されても、エネルギーとして利用されなければ中性脂肪に再合成されて脂肪細胞に再び脂肪として蓄積されます。

脂肪分解酵素を活性させる働きをもつアミノ酸は他に、アルギニン、リジン、アラニンがあります。この4つのアミノ酸は脂肪燃焼アミノ酸としてダイエットサプリによく配合されています。

 

 

プロリンの働き分析【見た目編】

合計 43/60点

カテゴリー別 点数

薄毛 6点

白髪 5.5点

美肌 10点

美白 6.5点

筋肉 6点

脂肪 9点

 

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薄毛

6点

「薄毛」改善 に関わるプロリンの働きは主に次です。

  1. ケラチンの材料
    髪の主成分はケラチンと呼ばれるたんぱく質です。髪の90%以上はケラチンでできています。ケラチンは18種類のアミノ酸で構成されています。

    ケラチンのアミノ酸組成
    ※%はおおよその値です。

    プロリンはケラチンを構成しているアミノ酸の1つで、うち約5%を占めています。

  2. コラーゲンの合成促進
    体を構成するたんぱく質のうち3割はコラーゲンです。皮膚においては7割はコラーゲンです。
    コラーゲンは頭皮にハリ・潤いを与え、健康な頭皮環境を作り出す役割を果たします。なので薄毛予防に貢献している成分といえます。
    事実、研究によりコラーゲンを取ると髪が太くなることが確認されています。

    髪が太くなる髪のハリやコシに影響する毛髪の直径が増す。メカニズムは不明だが、女性を対象にした実験で、コラーゲンペプチドを8週間とると、直径が増加し、自覚症状で髪の「なめらかさ」が改善した。明治らの研究。

    引用元
    髪や爪にも効果 コラーゲン、そのとり方はNG
    WOMAN SMART ビューティー 日経ヘルス

    プロリンはコラーゲンの合成を促進する成分です。

 

白髪 

5.5点

「白髪」予防 に関わるプロリンの働きは主に次です。

  1. コラーゲン
    黒髪のもととなるメラニンは頭皮の毛包内にある色素細胞メラノサイトでアミノ酸【チロシン】と酵素【チロシナーゼ】が結びつくことで生まれます。そして生成されたメラニンが(毛母細胞が細胞分裂している過程で)毛母細胞に取り込まれることで髪が黒くなります。


    色素細胞は毛母細胞に隣り合って存在しています

    色素細胞は色素幹細胞から作られています。なので色素細胞が傷がついても、色素幹細胞に問題がなければ新たな色素細胞が供給されることになります。
    逆に言えば、色素幹細胞に問題があると色素細胞の供給が滞り白髪の増加につながります。

    色素幹細胞に問題があるケースは2つ考えられます。

    色素幹細胞自体に問題あるケースと微小環境(ニッチ)に問題あるケースです。

    色素幹細胞自体のケース

    色素幹細胞は繰り返し増殖をする機能(自己複製能)と色素細胞を生み出す機能(分化能)をもちあわせています。色素幹細胞自体の問題とは何らかの原因で色素幹細胞が自己複製せずに分化してしまうことです。これは色素幹細胞の枯渇につながり色素細胞の供給が滞ることになります。


    微小環境(ニッチ)のケース

    幹細胞とは最適な微小環境(ニッチ)でしかその性質を維持できません。色素幹細胞の微小環境はバルジ領域です。


    バルジ領域は皮脂腺の下あたりにあります

    バルジ領域には毛包幹細胞も存在しています。毛包幹細胞は毛母細胞を生み出している幹細胞ですが、それ以外にも色素幹細胞を維持する働きを担っています。
    毛包幹細胞はTGF₋βというたんぱく質を介して色素幹細胞(の未分化性と休止状態)を維持する役割を果たしています。
    つまるところ毛包幹細胞を維持することが色素幹細胞の維持になるということです。

    なのでバルジ領域に問題がおこると【毛包幹細胞の維持できない→色素幹細胞の維持できない→色素幹細胞が枯渇する→色素細胞の供給が滞る→メラニンが減る→白髪増加】という流れをたどります。

    バルジ領域の問題とは「DNAの損傷(加齢などによる)により17型コラーゲンが減少すること」です。17型コラーゲンは毛包幹細胞で高レベルで発現しておりバルジ領域の毛包幹細胞を維持する役割を果たしています。なので17型コラーゲンを摂取すれば、あるいは体内で発現を増やすことができれば白髪を予防することができます。

    17型コラーゲンはI型コラーゲンなどと違う性質(膜貫通性コラーゲン)のためサプリメントなどでは販売されていません。また体内で17型コラーゲンの発現を増やす方法(成分)なども不明です。
    現時点では、いかにして今ある17型コラーゲンを減少させないかが【色素幹細胞の問題から生じる白髪】を防ぐための最善策となります。

    プロリンを摂取すれば17型コラーゲンの発現が増える、もしくは17型コラーゲンの減少を防ぐというわけでもありません。「もしかしたら」の可能性はなきにしもあらずですが、そのような記述は見当たりません。
    それではなぜここで17型コラーゲンの話をしたのかというと、プロリン(ヒドロキシプロリン)はコラーゲンの合成を促進されたり、傷ついたコラーゲンを修復させる働きがあり、とにかく「コラーゲン」を生成するうえでとても重要な成分だからです。

    プロリンの摂取は17型コラーゲンには全く関係ないかもしれません。
    ですが、少なくともI型コラーゲン(皮膚のコラーゲンの90%を占める)を増やすことにはなります。
    なので、白髪になりにくい健康的な頭皮環境を作り上げることにつながります。

    参照
    「毛包幹細胞が色素幹細胞を維持する仕組みを解明」【西村栄美 教授】 プレスリリース 国立大学法人東京医科歯科大学

美肌

10点

「美肌」作り に関わるプロリンの働きは主に次です。

  1. コラーゲンの合成
    真皮の主成分となっているのがコラーゲン繊維です。コラーゲンは真皮の乾燥重量のうち70%を占め肌のハリや弾力を生みだしています。若々しい肌を保つためになくてはならない成分です。


    ※真皮層を拡大したイラストです。ひし形の線部分がコラーゲン。

    コラーゲンのアミノ酸組成の2/9を占めるイミノ酸(プロリンおよびヒドロキシプロリン)がコラーゲン構造の安定化に大きく寄与しています。

    コラーゲンのアミノ酸組成

    コラーゲンのアミノ酸構成比

    ヒドロキシプロリン(Hyp)はコラーゲン特有のアミノ酸で、プロリンがコラーゲン分子のポリペプチド鎖に組み込まれた後にプロリンヒドロキシラーゼの作用により水酸化され生成されます。

    このHypはプロリンというアミノ酸がポリペプチド鎖へ組み込まれた後に、
    プロリルヒドロキシラーゼによる水酸化反応により翻訳後修飾され生成し、3本のコラーゲン繊維が三重らせん構造を形成します。
    その反応にはビタミンC が必要です。

    ヒドロキシプロリンは、コラーゲン特有のアミノ酸で、線維芽細胞におけるコラーゲンの産生を促進したり、表皮細胞の増殖を促進したりする効果があります。

    引用元
    注目の美容成分「保湿とアンチエンジング素材」ヒドロキシプロリン
    美容&スキンケア情報「注目の美容成分 『「保湿とアンチエンジング素材」ヒドロキシプロリン 』」
    一般社団法人 日本スキンケア協会

    なのでプロリンの摂取はコラーゲンを増やすために必須です。
    プロリンは非必須アミノ酸に分類されていますが、体内で合成できる量だけでは十分とはいえません。若々しい肌を保つために外から積極的に取るべき成分といえます。

  2. NMF(天然保湿因子)の構成成分
    NMFは角質細胞内に存在しています。角質層においてケラチンとともに体内の水分を逃さない役割(肌の保湿機能)や外的刺激から肌を守る役割(肌のバリア機能)を果たしています。肌の潤いを保つためには欠かせない成分です。
    NMFの主成分はアミノ酸です。NMFはアミノ酸およびアミノ酸誘導体(PCA)で半分以上占められています。

    NMFの組成

    NMF内のアミノ酸組成

    プロリンはNMFの構成成分として最も重要なアミノ酸のひとつとされています。

    その理由は

    ①プロリンはNMF内アミノ酸の中で最も吸湿性が高い。

    ②同じく吸湿性が高いPCAと相乗効果がある。プロリンはPCAと連携し、NMFの「保湿機能」において重要な役割を果たす。
    .

    からです。
    プロリンはNMFの働きを活性させます。

 

美白

6.5点

「美白」ケア に関わるプロリンの働きは主に次です。

  1. 肌の保湿
    シミができる原因は大きく2つあります。
    1つは紫外線などの影響でメラニンが過剰に作られること。

    もう1つは肌のターンオーバーがスムーズにいかないことです。


    ※メラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。

    天然保湿因子NMFと肌のターンオーバーは深く関係しています。NMFはターンオーバーの過程で作られるからです。
    ターンオーバー乱れるとNMFが減少し肌のバリア機能が低下します。バリア機能が低下するとさらにターンオーバーが乱れるといった負のスパイラルに陥ります。

    なので細胞分裂を促進する成分やNMFの構成する成分をとることは肌のターンオーバーの正常化につながり、しいてはシミの抑制にもなります。
    プロリンはNMFを構成するアミノ酸の中でも最も重要なアミノ酸の1つとされています。

    プロリンは皮膚に潤いをもたらす天然保湿成分(NMF)として最も重要なアミノ酸のひとつです。

    引用元
    プロリン
    アミノ酸大百科 味の素(株)

    シミ対策には保湿も重要です。保湿成分の代表格ともいえるプロリンは基礎化粧品のみならず美白化粧品にもよく配合されています。

筋肉

6点

「筋肉」増強 に関わるプロリンの働きは主に次です。

  1. 筋肉のたんぱく質
    筋肉はたんぱく質でできています。筋たんぱく質は合成と分解を24時間繰り返しています。筋肉を増量するためには合成を繰り返し行えるだけの「たんぱく質」を意識して摂取する必要があります。
    たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成されています。プロリンはたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の1つです。
  2. 筋膜のコラーゲン
    筋膜とは筋肉を覆っている膜のことです。筋膜はコラーゲン繊維とエラスチン繊維で構成されています。

    筋膜

    筋膜とは筋肉を覆っている膜のことです。
    筋膜は浅筋膜、深筋膜、筋外膜、筋周膜、筋内膜の5層になっています。

    筋膜には筋肉を保護する作用や筋収縮時の滑りを助ける作用があります。
    また組織と組織に仕切りを作る、組織同士をつなぐ、血管や神経やリンパ管を支えて通過させるなどの役割も持ちます。
    筋膜がないと筋肉などを支えることができないので「第2の骨格」の異名を持ちます。

    筋肉の柔軟性や伸張性は筋膜の状態に左右されます。
    なのでコラーゲンを増やすことは筋肉にもプラスに働きます。プロリンにはコラーゲンの合成を促進する働き、傷ついたコラーゲンを修復させる働きがあります。

 

脂肪

9点

「脂肪」減少 に関わるプロリンの働きは主に次です。

  1. 脂肪分解酵素を活性化
    脂肪燃焼のメカニズムを簡単にまとめると以下になります。

    脂肪燃焼メカニズム

    1. 分解 体内に蓄積された中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する
    2. 運搬 分解されてできた脂肪酸を細胞のミトコンドリアに運搬する
    3.  ミトコンドリアで脂肪酸がエネルギー貯蔵物質ATPに変わる

    ATPがエネルギーとして消費される→脂肪燃焼

    ①分解の過程において、中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する際に働く酵素が脂肪分解酵素リパーゼです。なのでこの酵素を活性させれば、脂肪分解を亢進させ脂肪燃焼を促進させることができます。

    プロリンは体内に入ると脂肪細胞に作用し脂肪分解酵素を活性化させる働きをします。プロリンは美肌効果のみならず脂肪燃焼効果があるアミノ酸で有名です。


    実際、燃焼サポートサプリの有効成分の1つとして配合されています。

 

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プロリンの働き分析【中身編】

合計 38/60点

カテゴリー別 点数

身体 8.5点

エネ 8.5点

病気 5.5点

体質 5点

精力 3.5点

健脳 7点

 

身体

8.5点

「身体」の構成材料 に関わるプロリンの働きは主に次の2つです。

  1. たんぱく質の材料
    体のパーツ(筋肉・臓器・皮膚・骨・血液・髪など)の主成分はたんぱく質です。赤血球、白血球などの血球成分・体内にあるさまざまなホルモンや酵素の主成分もたんぱく質です。食事で取り入れたたんぱく質はアミノ酸に分解されてから吸収され、体に必要なたんぱく質に再合成されます。

    これらたんぱく質は主に20種類のアミノ酸が複雑に組み合わさることで作られます。プロリンはたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の1種で、そのうち体内で合成することのできる非必須アミノ酸に分類されます。

  2. コラーゲン
    人間の体を構成しているたんぱく質のうち30%はコラーゲンでできています。体内にあるコラーゲンのうち、約40%が皮膚に、骨・軟骨に約10~20%、血管に約7~8%が存在しています。

    コラーゲンの体内構成比率
    コラーゲンの体内構成比

    ※%はおおよそです。

    プロリンにはコラーゲンの合成を促進する働き傷ついたコラーゲンを修復させる働きがあります。

 

エネ

8.5点

「エネルギー」生成 に関わるプロリンの働きは主に次の2つです。

  1. 糖原性アミノ酸
    飢餓状態の時は体たんぱく質(主に筋肉)が分解されてアミノ酸が作り出されます。そして分解されて生じたアミノ酸から糖を作りだし、その糖をエネルギー源として利用します。このことを糖新生といいます。
    糖新生に用いられるアミノ酸は糖原性アミノ酸と呼ばれ、体を構成する20種類のアミノ酸うちリジン、ロイシン以外の18種類が当てはまります。
    プロリンは糖原性アミノ酸のなかで特にエネルギーとして利用されやすい(糖を作り出すことができる)と言われています。

    次に紹介する味の素の栄養補助ゼリーに「独自配合のアミノ酸素材」として配合されています。

    独自配合のアミノ酸素材

    糖原性アミノ酸のうちアラニンとプロリンを高配合し、糖と組み合わせた「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」のことです。

    糖質とアラニン、プロリンを同時摂取することで、持久力を必要とする運動時に糖質(血糖・グリコーゲン)のよりよい活用が見込まれます。味の素(株)が開発しました。

    参照
    味の素KK独自配合素材「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」の運動時の持久力向上効果を確認
    ニュースリリース 味の素(株)

  2. 脂質のエネルギー代謝促進
    脂肪分解酵素を活性させる働きをするプロリンは脂肪からのエネルギー産生を促します。

 

病気

5.5点

「病気」予防 に関わるプロリンの働きは主に次です。

  1. 骨粗鬆症
    骨の約20%はコラーゲンです。骨基質(骨の組織において、骨細胞間を満たす物質)に関していえば約90%はコラーゲンでできています。

    kotsusitu-hone.jpg

    出典元
    骨粗鬆症の予防にはカルシウムだけでなく骨質にも注目!
    わくわく健康情報館
    湧永製薬(株)

    なので加齢などでコラーゲンが劣化すると骨量が低下し骨折しやすくなります。
    プロリンおよびヒドロキシプロリンはコラーゲンの構造を安定させる働きをしコラーゲンの合成を促します。

  2. 動脈硬化
    コラーゲンは血管にも多く存在しています。血管のしなやかさを保つ働きや血管壁にできた傷を修復する働きをしています。加齢によりコラーゲンを合成する能力が衰えると血管の弾力性が失われたり、傷の修復が上手くいかなくなったりします。
    このことは血液の流れを悪くしたり、血管壁にコレストロールが蓄積しやすくなることにつながります。つまり動脈硬化が発生しやすくなります。
    コラーゲンの合成を促進させるプロリンには動脈硬化の予防も期待できます。
  3. 壊血病
    コラーゲンは体内のたんぱく質の30%を占めています。細胞間の隙間を埋める結合組織の主成分としてとても重要な存在です。

    ビタミンCが不足すると正常なコラーゲンが作られずに【結合組織が脆弱化し出血をおこす】壊血病になります。
    これをもう少し詳しく言うと「ビタミンCが不足するとヒドロキシプロリンが合成できないため正常なコラーゲンが作られず~」という文章になります。
    ヒドロキシプロリンのもとであるプロリンもまた壊血病に関与しているといえそうです。

    ヒドロキシプロリンはプロリンが水酸化されることで作られます。この反応にビタミンCが必要となります。

    このHypはプロリンというアミノ酸がポリペプチド鎖へ組み込まれた後に、
    プロリルヒドロキシラーゼによる水酸化反応により翻訳後修飾され生成し、3本のコラーゲン繊維が三重らせん構造を形成します。
    その反応にはビタミンC が必要です。

    引用元
    注目の美容成分「保湿とアンチエンジング素材」ヒドロキシプロリン
    美容&スキンケア情報「注目の美容成分 『「保湿とアンチエンジング素材」ヒドロキシプロリン 』」
    一般社団法人 日本スキンケア協会

 

体質

5点

「体質」改善 に関わるプロリンの働きは主に次です。

  1. 関節痛
    関節は骨と骨の間のつなぎ目の部分のことです。その間に軟骨があり関節におけるクッションのような役割しています。

    軟骨組織は70%が水分で残り30%はコラーゲン(Ⅱ型コラーゲン)やプロテオグリカンなどで構成されています。コラーゲンは軟骨に弾力を与え衝撃を吸収する役割を果たしています。なので加齢とともにコラーゲンの合成する力が衰えると軟骨がすり減ったり、変形しやすくなり関節の痛みを誘発します。
    コラーゲンの合成を促進させるプロリンには関節痛を和らげる効果があります。

  2. 疲労回復
    プロリンはエネルギーとして利用されやすいアミノ酸の一つです。疲労回復効果が期待できます。

 

精力

3.5点

「精力」増強&「性機能」向上 に関わるプロリンの働きは主に次の2つです。

  1. たんぱく質
    健康的な体づくりにたんぱく質は欠かすことはできません。精力も含め「体調を管理する」という点において良質なたんぱく質の摂取は重要となります。プロリンはたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の1種です。
  2. 妊娠線
    妊娠線とは、真皮が裂けてできる断裂線のことです。約9割の妊婦さんができるといわれています。一度できると跡が消えにくくなるものもあるのでとにかく予防することが大切です。

    妊娠線の原因の1つがコラーゲンの減少
    です。コラーゲンが減少すると皮膚の弾力が失われ皮膚の伸びが悪くなり、亀裂が入りやすくなることで妊娠線が生じます。コラーゲンの合成を促進するプロリンの摂取は妊娠線の予防になります。

    ※妊娠中にサプリメントを摂取することはお避け下さい。あるいは主治医に相談ください。妊娠予定のある方、授乳中の方も使用前に主治医にご相談ください。

 

健脳

7

「脳」の健康 に関わるプロリンの働きは主に次です。

  1. 脳のエネルギー源
    絶食時に糖原性アミノ酸は肝臓で行われる糖新生によりグルコースを作り出します。それにより脳の働きに必要なエネルギーを確保します。プロリンは糖原性アミノ酸の1種です。その中で特にエネルギーとして利用されやすいとされています。
  2. ラクトトリペプチド
    ラクトトリペプチドはVPPとIPPの2つのトリペプチドの総称で発酵乳から発見された乳由来の成分です。VPPは【バリン₋プロリン₋プロリン】でIPP【イソロイシン₋プロリン₋プロリン】で構成されています。

    乳酸菌は乳たんぱく質のカゼインを分解し、アミノ酸の結合体である様々なペプチドを作りだします。「LTP(ラクトトリペプチド)」は、カルピス酸乳」中より発見された、乳たんぱく質のカゼインから得られるVal(バリン)-Pro(プロリン)-Pro(プロリン)(VPP) 、Ile(イソロイシン)-Pro(プロリン)-Pro(プロリン)(IPP)の2種類のペプチドのことです。 

    乳由来で、3種類のアミノ酸が結合したペプチドなので、「LTP=ラクト(乳由来の)トリ(3つの)ペプチド」と名付けました。

    引用元
    「ラクトトリペプチド」の中心血圧および血管柔軟性改善作用を確認
    プレスリリース アサヒカルピスウェルネス(株)


    ラクトトリペプチドには脳を活性化させる働きがあり認知機能低下を抑制する効果が期待できます。
    当然ですが、ラクトトリペプチドは「ペプチド」の形で脳を活性化させる働きをします。ただその配列にプロリンが多く含まれている点に注目してもいいかもしれません。

 

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プロリンのサプリメント紹介

 
プロリンがメイン成分のサプリメントを紹介します。
 
Now Foods

L-プロリンは、コラーゲン生成に必要なアミノ酸です。コラーゲンは、皮膚、腱、靭帯、関節、骨、および血管(静脈および動脈)を含む、すべてのヒトの結合組織を構成する主要な構成タンパク質です。したがってL-プロリンは、体の構成成分を安定化・強化するのに役立つ基礎的要素であると言えます。プロリンは体内で自然に生成されますが、需要の高い特定の状況においては、通常の食事では体のプロリンの必要性に対応するには不十分です。

引用元
Now Foods, L-プロリン、500mg、120ベジカプセル
iHerb.com

 
 
Source Naturals

L-プロリンとL-リジンは、共にコラーゲンの働きに欠かせないアミノ酸で、これに加えて ビタミンCとプロアントシアニジンも豊富なホーソーンベリーやブドウ種子エキスをプラス配合。 美容のベースになる重要なコンビネーションです★

引用元
プロリン&リジン 120粒
米国サプリ直販のNatural Harmony 楽天市場店

 

 

プロリンが含まれているサプリメントを紹介します。

ソレイユ&リュンヌ

  • コラーゲン ドルチェは、内側からの美をサポートし、美しさと健康的な生活を維持してくためにオススメのサプリメントです。
  • コラーゲンは、加齢や不規則な生活などにより不足しがちになるため、美容・健康維持に気を遣う方はサプリメントで補う事が重要です。
  • コラーゲン ドルチェには、コラーゲンの構成に必要なアミノ酸である、L-リジンとL-プロリン、そしてそれを サポートするビタミンCが含まれています。高分子なコラーゲンでなく、あらかじめ低分子のアミノ酸にまで分解 されているフォーミュラなので、効率的にコラーゲンによる効果を発揮することが期待できます。。
  • また、これらのアミノ酸の配合は、他のアミノ酸を複数同時に摂取した場合に比べ、優先的にコラーゲン合成に 使われるというメリットがあります。
  • クリニックにも供給している高品質の米国メーカーにより製造されており、日本人向けに飲みやすいサイズの錠剤です。

ソレイユ&リュンヌ Amzon

 

商品説明文の引用元からでも購入可能です。iHerb.comの場合、 iHerb紹介コード=ALH5806 ご利用いただけたら幸いです。 リンクから飛んでいただくと、自動的にコード適応になります。

 

 

 

プロリンのまとめ

分析【見た目編】43

分析【中身編】38

 

プロリン コラーゲンの合成促進 参照一覧

コラーゲンの三本鎖構造の熱安定性に及ぼす水和の効果 J-STAGE

コラーゲンの分子構造・高次構造 J-STAGE

コラーゲンの構造 J-STAGE

天然素材コラーゲンの機能性 一般財団法人 日本皮革研究所

 

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