システイン
たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の1種
11種類ある非必須アミノ酸の1種
含硫アミノ酸の1種
糖原性アミノ酸の1種
システインとは
システインについて
- 筋肉・皮膚・臓器・血球成分・ホルモン・酵素など体を構成しているものの主成分はたんぱく質です。
- たんぱく質は主に20種類のアミノ酸が複雑に組み合わさることで作られます。
筋肉・皮膚・臓器など同じ「たんぱく質」なのに形・性質・働きが異なっているのはアミノ酸の組み合わせや配列の順番が違うためです。 - 20種類のアミノ酸はたんぱく質を構成する材料となるほか、必要に応じてエネルギー源としても利用されます。
- 20種類のアミノ酸は9種類の必須アミノ酸(体内で合成できない)と11種類の非必須アミノ酸(体内で合成できる)に分けられています。
- システインは非必須アミノ酸に分類されます。
- システインは生体内ではメチオニンから生成されます。
- メチオニン代謝の硫黄転移経路にてシスタチオンを経て生成されます。
メチオニン代謝
メチオニン→SAMe→SAH→ホモシステイン→再メチル化経路 or 硫黄転移経路
- メチオニンとアデノシン(ATP由来)を基質としS-アデノシルメチオニン合成酵素の働きによりSAMeが生成されます。
- SAMeがメチル基転移反応酵素の働きによりSAH(S-アデノシルホモシステイン)に変換されます。
- SAHは加水分解されてホモシステインになります。
- ホモステインは再メチル化経路 or 硫黄転移経路により
→メチオニンに再生(再メチル化経路)
→シスタチオンを経てシステインに代謝(硫黄転移経路)
されます。
硫黄転移経路ホモシステイン→シスタチオン→システイン
- ホモシステインとセリンが縮合してシスタチオンを形成します。
- シスタチオンが加水分解されてシステインとα-ケト酪酸になります。
.
①の反応を触媒する酵素はシスタチオニン-β-シンターゼです。
②の反応を触媒する酵素はシスタチオニン-γ-リアーゼです。 - システインは側鎖にSH基(チオール基)を持った含硫アミノ酸です。
- システインの主な働きは髪・肌・爪を健康に保つ効果(ケラチンの重要な構成要素として)、美白・美肌効果、解毒作用です。
摂取量について
美肌作り・美白ケアを目的とした場合の
目安摂取量
240㎎~500㎎/日 成人
240mg~500㎎/日は製薬会社・サプリメーカーが設定している目安摂取量です。さまざまなシステイン製剤・サプリを調べたところ一番目にした数値です。
※参考
15㎎/kg/日 成人
例 体重50kgの場合 約750㎎/日
2007年 WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告では必須アミノ酸メチオニンの1日の推奨摂取量を15㎎と設定しています。この数値はシステインと合わせたもので、その内訳はメチオニン+システイン=10.4+4.1となります。
参照 必須アミノ酸 ウィキペディア
システインの効果・効能
システインの効果・効能 5つ厳選
そのうち2つを詳しく
髪・爪・肌(角質)は主にケラチンというたんぱく質で作られています。
同じ「ケラチン」ですが、アミノ酸組成が異なっており硬ケラチンと軟ケラチンに分けられています。
髪・爪は硬ケラチンが、肌(角質)は軟ケラチンが主成分となっています。
ここで、髪のケラチンにクローズアップします。
髪のケラチン
髪においては、その成分のほとんどがケラチンなので 髪≒ケラチンといっても言い過ぎではないと思います。
たんぱく質 80~%
(うちケラチンたんぱく質 80~90%)
水分 ~10%
脂質 ~4.5%
メラニン ~5.5%
※数値はアバウトです。
※単に「髪の90%以上がケラチン」と表現されることが一番多いと思います。自身もこの表現を一番使っています。
髪のケラチンは18種類のアミノ酸で構成されています。そのうちシステインはもっとも重要なアミノ酸といえます。理由は以下2つです。
こちらは髪のケラチンのアミノ酸組成です。 ご覧の通りシスチン(システインが2分子結合したアミノ酸)が一番多く含まれています。ケラチンを構成するアミノ酸は18種類ありますが、このアミノ酸だけで全体の約1/6を占めています。
たんぱく質の構造には一次~四次の4つの階層があります。
- 一次構造
アミノ酸の配列。 - 二次構造
ポリペプチド鎖の局所にみられる規則的な構造。
例 αヘリックス(らせん構造) βシート(ジクザク構造) - 三次構造
二次構造をとったポリペプチド鎖が折りたたまれてできるのが三次構造。
1つのたんぱく質分子がとる立体構造。 - 四次構造
三次構造をとった1つのたんぱく質分子が複数集まって複合体たんぱく質を形成している状態。
複合体を構成する個々のたんぱく質分子はサブユニットと呼ばれる。
※二次~四次を総じて高次構造と呼びます。
ここで三次構造に注目します。
たんぱく質が立体構造を取るには分子内部でさまざな結合をつくり、その構造を安定化させる必要があります。
安定化させる要因となるのが水素結合、ジスルフィド結合、静電的相互作用、疎水性相互作用などです。
このうちジスルフィド結合を形成するのがシステインです。
たんぱく質分子内、あるいはたんぱく質分子間で2つのシステインに含まれるSH基同士が酸化されることで形成させる架橋のことをいいます。S-S結合、シスチン結合、ジスルフィド架橋とも呼ばれます。
ジスルフィド結合はたんぱく質の立体構造の安定化に大きく寄与しています。
ジスルフィド結合、またはS-S結合と呼ばれる結合は、タンパク質の中に含まれるイオウを用いた結合です。
この結合には、システインというイオウを含んだアミノ酸が深く関わっています(図1)。
システインは、タンパク質中の含有量としてはそれほど多くありませんが、タンパク質の中の他のシステインとジスルフィド結合を作ることができます(図1右)。
[図1]このジスルフィド結合は、他の結合に比べてとても強い結合なので、タンパク質はしっかりと構造を保つことができます。
引用元
タンパク質分子の形を保つ 2007.3.29 ~ ジスルフィド結合をつくる ~
大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
ジスルフィド結合は髪のケラチンにおいて多く存在し、その構造を安定させています。
先の①でケラチンにもっとも多く含まれているのがシスチンといいましたが、システインが「ジスフィルド結合」としてケラチン分子を固く結びつけるために多く存在していることになります。
つまり「強度」や「弾力性」など髪の「性質」に大きく関わってくるのがシスチン=システイン2分子の結合=ジスフィルド結合となります。
.
システインが不足していると結合部分が少なくなり、髪の強度や弾力性が失われることになります。細くなる、切れる、抜けるといった髪のトラブルにつながります。
【ケラチンにもっとも多く含まれる かつ ケラチンの構造を安定化させる役割を担っている】システインは健康な髪を生み出すために絶対に欠かしてはならない成分といえます。
シミはこのイラスト内にある①~④のプロセスを経て肌の表面に現れます。
※イラスト内の活性酵素は活性酸素に訂正。
このプロセス1つ1つを詳しく見ていきます。
なおイラストでは①→④という流れを「シミの発生メカニズム」とし説明していますが、
内容を変更し
①と②は「シミのもとであるメラニンがどのように生まれるか」
③と④は「メラニンを目立つシミにさせないようにするために」
として説明します。
- 肌に活性酸素が発生する
紫外線を浴びると活性酸素が肌の真皮層に大量に発生します。その活性酸素は皮膚の組織に入りこみ表皮にあるケラチノサイト、真皮にある繊維芽細胞を刺激します。これら細胞からは情報伝達物質が生成されます。情報伝達物質は表皮最下部にあるメラノサイトを刺激します。 - メラノサイト内のチロシナーゼが活性される
メラノサイトが刺激されるとメラノサイト内にある酵素チロシナーゼが活性されます。この酵素がメラノサイト内にあるチロシンと結合することでメラニンが生成されます。チロシナーゼが活性されると肌にたくさんメラニンが作られることになります。 - 肌のターンオーバーを促す
通常ではあればメラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。肌のターンオーバーが乱れると肌の細胞に色素沈着しシミとなって肌表面に現れます。肌のターンオーバーを正常化させることがシミを防ぐことになります。 - 肌色メラニンを増やす
メラニンには色の濃い黒色メラニン(ユーメラニン)と、色の薄い肌色メラニン(フェオメラニン)の2種類があります。肌色メラニンはシミを作らないメラニンです。
同じメラニンでも黒色より肌色を増やせばシミの目立たちにくい肌を作り上げることができます。
.
①②はシミのもとであるメラニンの生成のメカニズムです。①②を「抑制」することがシミの予防になります。
③④が上手くいかなければ肌に目立つシミとなって現れます。なので③④を「促進」させればシミの目立たない肌を作ることができます。
つまり①②を抑制し、③④を促進させることがシミを減らす=美白ケアといえます。
①②を抑制する③④を促進させる働きをするのがシステインです。
システインのもつ美白効果を番号に照らし合わせて説明します。
- 抗酸化作用
システインには抗酸化作用があります。この作用により体内に活性酸素が過剰に発生するのを抑制します。
活性酸素は表皮にあるケラチノサイト、真皮にある繊維芽細胞を刺激します。この2つの細胞は刺激されるとメラノサイトに影響を及ぼすエンドセリンなどの情報伝達物質を生み出します。
シミ予防の第一歩は肌に発生する活性酸素を可能な限り除去することです。 - チロシナーゼ活性抑制作用
チロシナーゼはチロシンをメラニンに変える酵素です。メラノサイトが刺激されチロシナーゼが活性されると肌にたくさんメラニンが作られることになります。
システインにはチロシナーゼの活性を抑制する作用があります。シミの原因となるメラニンの数を減らします。 - 肌のターンオーバー促進
メラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。なのでメラニンができても肌のターンオーバーを促進させればシミになりにくくなります(色素沈着しても次第に薄くなったり消えたりする)。
システインは肌のターンオーバーを促進させる成分の1つです。 - 肌色メラニンを増やす
メラニンはチロシン→ドーパ→ドーパキノン→メラニン【黒色 or 肌色】という代謝過程を経て作られていきます。
※②のチロシナーゼはチロシン→ドーパ ドーパ→ドーパキノンの反応を触媒する酵素です。メラニンには色の濃い黒色メラニン(ユーメラニン)と、色の薄い肌色メラニン(フェオメラニン)の2種類があります。そのうち肌色メラニンはシミを作らないメラニンです。
ドーパキノン→メラニン【黒色 or 肌色】の代謝過程においてシステインの存在が重要となります。
というのも【システインがない場合】
ドーパキノン→ドーパクロム→黒色メラニン【システインがある場合】
ドーパキノン→システィニルドーパ→肌色メラニン
という代謝を経ていくからです。
ドーパキノンとシステインが結合するとシスティニルドーパができます。つまりシステインは黒色メラニンを減らし肌色メラニンを増やす働きをします。
なおシステインはビタミンCと協働で、できてしまった黒色メラニンをドーパキノンに還元する働きもします。システインはシミの目立たない肌を作るのに大きく貢献する成分です。
このようにシステインは①②を抑制し、③④を促進する働きをもつため【シミを減らす・シミを薄くする】美白効果が非常に高い成分です。
そのため外用・内用問わず美白ケア商品に主成分として配合されています。
システインの働き分析【見た目編】
合計 48/60点
薄毛
10点
「薄毛」改善 に関わるシステインの働きは主に次です。
- ケラチン
髪の主成分はケラチンと呼ばれるたんぱく質です。髪の90%以上はケラチンでできています。ケラチンのアミノ酸組成
※%はおおよその値です。ケラチンに最も多く含まれているシスチンはシステイン2分子が酸化されて結合してできるアミノ酸です。
「毛包内においてシスチン(システイン)の含有量が十分かどうかが髪の毛の健康状態を左右する」といっても大げさではありません。 - 髪の強度・弾力性
髪の構造(髪の強度・弾力性)の安定化に関わるのがケラチン分子間あるいは分子内に多く存在するジスルフィド結合です。
ジスルフィド結合とは たんぱく質分子内、あるいはたんぱく質分子間で2つのシステインに含まれるSH基同士が酸化されることで形成させる架橋のことです。上記ケラチンを構成しているアミノ酸のうちにシスチンが最も多いのはシスチンが「システイン2分子」=「ジスルフィド結合」により生成されているアミノ酸だからです。
システインはジスルフィド結合を形成しケラチンの構造を安定化させる役割を担い、髪にハリ・コシ・ツヤといった性質を与えています。
白髪
6点
「白髪」予防 に関わるシステインの働きは主に次です。
- ケラチン
髪に着色するメラニン色素はメラノサイトで作られています。一方で髪の毛(ケラチンたんぱく質)は毛母細胞で18種類のアミノ酸を材料に作られています。
※毛母細胞の隣にメラノサイトが存在しています。毛母細胞が細胞分裂して髪が作られる過程で、メラノサイトで作られたメラニンが毛母細胞に取り込まれ髪が黒くなります。
メラノサイトを活性させて十分な量のメラニン色素を作ることが白髪予防になります。ただしそれはメラニンの受け取り先である髪本体が丈夫で健康的であることが前提です。
ケラチンを構成するアミノ酸のうち一番多く含まれるシスチンです。シスチンはシステインが2分子が結合したアミノ酸です。
システインが不足することは髪の不調に直結します。「髪の不調」これは髪が抜ける・やせ細る・切れやすくなるだけでなく、白髪になりやすくなるもあてはまります。 -
グルタチオン
メラニンはメラノサイトでアミノ酸チロシンと酸化還元酵素チロシナーゼが結びつくことで生成されます。この2つの一方に不具合が生じるとメラニンの生成が上手くいかなくなり白髪が増えてしまいます。
ここでの不具合とは「チロシンが不足する 」or「チロシナーゼの働きが衰える」です。後者に関わるのが活性酸素の一種「過酸化水素」です。過酸化水素にはチロシナーゼを破壊する働きがあります。
体内には過酸化水素を除去する抗酸化酵素が存在します。それはカタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼです。これら酵素を活性させることが白髪予防になります。このうちグルタチオンペルオキシダーゼは還元剤としてグルタチオンを用いて過酸化水素を分解します。
グルタチオンは主に肝臓で、グルタミン酸・システイン・グリシンをもとに生成されます。
当然ですが3つのアミノ酸すべてが大事です。ただ、グルタチオンの合成ではシステインの細胞内濃度が律速段階になっているため細胞内のグルタチオンの量はシステインの量によるとされています。
3つのうちどれが一番大事かをあえて決めるとすればシステインになると思います。
システインの摂取は白髪につながる説が根強くあります。実際システインサプリのレビューには白髪が増えたという感想がよく見られます。
その理由としてシステインには美白作用が数多くあり、非常に高い美白効果を発揮する成分であることが挙げられます。システインの有する美白作用のなかで特に黒色メラニンを減らす働きが白髪に関わるとされています。
メラニンはチロシン→ドーパ→ドーパキノン→メラニン【黒色 or 肌色】という代謝過程を経て作られていきます。代謝の最後は【黒色 or 肌色】となっていますが、これは黒色メラニン(ユーメラニン)と肌色メラニン(フェオメラニン)のことです。つまりメラニンには種類が2つあるということです。
髪の色と明るさは2つのメラニンの比率によります。日本人が黒髪なのは黒色メラニンが髪の毛に多く含まれているからです。
システインにはメラニン代謝過程において黒色メラニン生成への反応を抑え、肌色メラニン生成への反応を促す働きがあります。つまり黒色メラニンを減らす働きです。
というわけで、システインの摂取が白髪につながります。
ではなく、個人的な意見としては「システインの摂取は白髪の増加とはあまり関係ない」です。
理由はシステイン摂取=白髪増加を示す因果関係の研究報告がないことと顔と髪(頭皮)の皮膚のメカニズムや役割が異なるからです。
メカニズムという表現が適しているかわかりませんが、顔と髪の皮膚では皮膚の厚さ・皮脂線の数などが違います。
出典
左:山村雄一・久木田淳、他 「現代皮膚科学大系第3巻A」p.335、1982年
右:上野賢一著「小皮膚科書」p.29、1981年頭皮の仕組みと特徴
HAIR CARE 花王グループより引用
メラニンは基本「細胞を紫外線から守るために作られる」のですが、肌のメラノサイトでできたメラニンは表皮細胞の新陳代謝(肌のターンオーバー)とともに排出されます。髪のメラノサイトできたメラニンは隣の毛母細胞に取り込まれ髪に色を着ける働きをします。
ということでシステインの摂取は白髪の増加とはあまり関係ないと思っています。
ただし「システインを摂取したら白髪が増えた」情報が数多くあがっているのは事実です。
完全に無視することができない(だから「あまり」をつけています)ので、気になるかたはビオチンを一緒に取るなどの対策をとるか摂取量を控えるなどされるとよろしいかと思います。
美肌
9.5点
「美肌」作り に関わるシステインの働きは主に次です。
- ケラチン(角質)
肌の一番外側である角質層は繊維状のたんぱく質ケラチンがたくさん含まれています。
ケラチンは水分と合わさると柔らかくなるという性質をもっています。角質層内にあるケラチンとNMF(天然保湿因子)のおかげで肌の潤いを保つことができています。
角質層のケラチンは同じ「ケラチン」でも髪の毛のケラチンとはアミノ酸組成が異なります。髪の毛のケラチンはハードケラチン(硬ケラチン)と呼ばれるのに対して角質層のケラチンはソフトケラチン(軟ケラチン)と呼ばれています。シスチンはケラチンの構成成分です。
髪(約17%)に比べると皮膚(約9%)のケラチンにはそれほど多く含まれていませんが、皮膚においてもケラチン分子間に架橋をつくりケラチン繊維を強固にする重要な役割を担っています。
※シスチンはシステイン2分子が結合したアミノ酸=ジスルフィド結合を介して生じるアミノ酸です。
- 肌のターンオーバー
肌の表皮細胞が生まれ変わることを「肌の新陳代謝」や「肌のターンオーバー」と言います。肌のターンオーバーが正常に行われないと肌のバリア機能・水分保持機能が失われてしまいます。なので肌の美しさを保つためには肌のターンオーバーが正常に行わることが大事となります。
システインは加齢や紫外線などの影響で乱れた肌のターンオーバーを正常化させる働きをします。 - SH供与体
システインは生体内の代謝系に関わっているSH酵素の賦活剤として作用します。この作用は皮膚代謝の正常化につながります。ニキビ・吹き出物・肌荒れといった肌トラブルの改善に効果を発揮します。※②の肌のターンオーバーはこの作用によるものと思われます。
- グルタチオン
グルタチオンは3つのアミノ酸(システイン・グルタミン酸・グリシン)がペプチド結合した「トリペプチド」と呼ばれる化合物です。
リンク
強力な抗酸化作用や解毒作用を有しており美肌作りに大きく貢献します。システインはグルタチオンの原料の1つです。
美白
10点
「美白」ケア に関わるシステインの働きは主に次です。
- チロシナーゼ活性抑制作用
シミのもととなるメラニンはメラノサイトでアミノ酸のチロシンとチロシナーゼ酵素が結合することで作られます。
紫外線の影響でチロシナーゼが活性されるとメラニンがたくさん作られてしまいます。システインにはチロシナーゼの活性を抑制する作用があります。 - 抗酸化作用
そもそもチロシナーゼが活性する理由はつぎです。①紫外線の影響で表皮にあるケラチノサイト、真皮にある繊維芽細胞が刺激される
②これら細胞からサイトカインなど情報伝達物質が生成される
③情報伝達物質は表皮最下部にあるメラノサイトを刺激する
④メラノサイト内にあるチロシナーゼが活性する
①の「紫外線の影響」とは直接(主に紫外線UVB)および活性酸素を介して(主に紫外線UVA)受ける影響のことです。後者の活性酸素の除去にシステインの抗酸化作用が有効です。
チロシナーゼが活性するのを事前に予防する働きもします。 - 肌のターンオーバーを正常化
メラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。メラニンが過剰に作られてそれが肌のターンオーバーとともに排出されないと肌の細胞に色素沈着しシミとなって肌の表面に現れます。
システインは肌のターンオーバーを促進させます。 - シミを作らないメラニンに導く
メラニンには色の濃い黒色メラニン(ユーメラニン)と、色の薄い肌色メラニン(フェオメラニン)の2種類があります。うち肌色メラニンはシミを作らないメラニンです。メラニンはチロシン→ドーパ→ドーパキノン→メラニン【黒色 or 肌色】という代謝過程を経て作られていきます。
ドーパキノン→メラニン【黒色 or 肌色】の代謝過程においてシステインの存在が重要となります。
というのもシステインがない場合
ドーパキノン→ドーパクロム→黒色メラニンシステインがある場合
ドーパキノン→システィニルドーパ→肌色メラニン
という代謝を経ていくからです。システインには黒色メラニン生成へ抑え、肌色メラニン生成を促す作用があります。
つまり「シミを作らないメラニン」に導く働きがあります。 - 黒色メラニンを無色化
肌色メラニンはシミになりません。なので俗にいう「シミ」は黒色メラニンのことです。
上記した通りシステインには黒色メラニン生成へ抑える働きがあります。それだけでなく、できてしまった黒色メラニンを無色化する働きもあります。
システインはビタミンCと協働しメラニンに直接働きかけ黒色メラニンを無色に還元する(淡色化)働きをします。 - 過脂化メラニンを防ぐ
過酸化脂質が肌に蓄積されると通常のメラニンとは異なる「過脂化メラニン」を生み出します。過脂化メラニンとは通常より濃く、より長く居座るシミを生み出すメラニンだと考えてください。過酸化脂質は自然に排泄されることはありません。そのため分解させる必要があります。過酸化脂質の分解に働くのは体内にある抗酸化酵素グルタチオンペルオキシダーゼです。
グルタチオンペルオキシダーゼはグルタチオンの存在下、過酸化脂質を水とアルコールに分解します。
生体内のグルタミンの合成にシステインは原料として関わっています。
筋肉
6点
「筋肉」増強 に関わるシステインの働きは主に次です。
- 筋肉のたんぱく質
筋肉はたんぱく質でできています。筋たんぱく質は合成と分解を24時間繰り返していて、1日を通じて合成量と分解量のバランスがとれていれば筋肉量を保つことができます。合成>分解の場合には筋肉は増え、合成<分解の時には筋肉は減っていきます。
合成=分解、合成>分解の状態を保つにはたんぱく質の摂取が重要となります。システインはたんぱく質を構成するアミノ酸の1種です。 - 筋肉痛
筋肉痛の要因の一つは活性酸素です。
激しい運動を行うと呼吸量が増加し、大量の活性酸素が体内に発生します。活性酸素による酸化ストレスは筋肉においては損傷や炎症をもたらし筋肉疲労を引き起こす要因となります。筋肉痛を予防するにはあらかじめ細胞内に抗酸化物質を蓄えておく(増やしておく)ことが大事となります。
細胞内の主要な抗酸化物質はグルタチオンです。グルタチオンはグルタミン酸・システイン・グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドで、肝臓で多く作られます。数ある抗酸化物質のなかで特に抗酸化力が強いとされ、一部では最強の抗酸化物質とも言われています。
グルタチオンが体内に豊富にあると酸化ストレスより生じる筋肉疲労を防ぐことができます。細胞内のグルタチオンの量はシステインの量によるとされています。というのもグルタチオンを構成する3つのアミノ酸のうちシステインが他のアミノ酸より細胞内濃度が低くなっているからです。
グルタチオンはグリシン,グルタミン酸,システインの3つのアミノ酸より構成されているが,グルタチオンの合成においてはその合成にかかわる酵素の活性のみならず,細胞内でのシステインの濃度がその律速段階となっている
引用元
CD44バリアントアイソフォームはシスチントランスポーターxCTを細胞表面に安定化することで癌細胞の抗酸化システムを制御し腫瘍形成を促進する
新着論文レビュー
ライフサイエンス統合データベースセンターシステインの摂取はグルタチオンを増やすことにつながります。
脂肪
6.5点
「脂肪」減少 に関わるシステインの働きは主に次です。
- タウリン
タウリンには胆汁酸の分泌を促進する働きがあります。この働きにより脂肪燃焼を高める効果が期待できます。そのためタウリンのレビュー改(脂肪)で9点の高評価をしています。
タウリンは体内でシステインから生合成されます。タウリンの高評価に少なからず貢献しています。 - 補酵素A
糖質・脂質の代謝時に重要な役割を果たすのが補酵素A(CoA)です。理由TCA回路→電子伝達系は酸素を使って効率よくATPを作り出す代謝経路です。
TCA回路に取り込まれるためにはアセチルCoAという物質になる必要となります。糖質の代謝では
(グルコースから生成された)ピルピン酸がCoAと結合し、アセチルCoAに変換されます。脂質の代謝では
脂肪酸がCoAと結びつきアシルCoAとなります。そのアシルCoAはβ酸化の反応をうけてアセチルCoAに変化します。補酵素A(CoA)はパントテン酸とADPおよび2-メルカプトエチルアミンが結合してできます。
2-メルカプトエチルアミンは別名システアミンです。システアミンはシステインの分解生成物です。 - 肝臓の中性脂肪
肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積されている状態のことを脂肪肝といいます。肝臓で解毒作用&抗酸化作用を発揮するグルタチオンには脂肪肝を防ぐ効果があります。システインはグルタチオンの構成成分です。
システインの働き分析【中身編】
合計 44.5/60点
身体
8.5点
「身体」の構成材料 に関わるシステインの働きは主に次です。
- たんぱく質の材料
人間の体を構成するたんぱく質は20種類のアミノ酸から作られています。20種類は体内で合成できないもの【必須アミノ酸】と体内で合成できるもの【非必須アミノ酸】に分けられています。
システインは11種類ある非必須アミノ酸の1つです。
- たんぱく質の構造の安定化
ジスルフィド結合とはたんぱく質分子内、あるいはたんぱく質分子間で2つのシステインに含まれるSH基同士が酸化されることで形成させる架橋のことをいいます。ジスルフィド結合はたんぱく質の立体構造の安定化に大きく寄与しています。この結合は主に分泌たんぱく質や膜たんぱく質にみられます。インスリンインスリンは2本の異なるポリペプチド鎖が2対のジスルフィド結合で結ばれた構造をしています。
エネ
9点
「エネルギー」生成 に関わるシステインの働きは主に次です。
- エネルギー代謝
システインはエネルギー代謝の際に働く酵素を活性させます。エネルギー産生をサポートする成分です。 - システインパースルフィド
システインパースルフィドはシステインの代謝物です。ミトコンドリア内に存在する特定の酵素の働きによりシステインのSH基に複数の硫黄原子が結びついた物質で「活性イオウ」とも呼ばれます。我々の細胞の中ではアミノ酸の一つであるシステインから、システインパースルフィドと呼ばれる代謝物が常に作られ、細胞を活性酸素から守ったり、またある条件ではミトコンドリアでの呼吸を維持する大事な働きがあることがわかってきました。システインパースルフィドはこのような特徴的な働きから「活性イオウ」と呼ばれ、その生理作用が注目されています。
引用元
炎症反応を強力に抑える活性イオウ誘導体の開発に成功
国立研究開発法人日本医療研究開発機構近年の研究によりシステインパースルフィドが生体内に多量に存在していることそしてミトコンドリアがエネルギーを生み出す過程で、酸素の代わりに利用されていることが判明しました。
この経路は「硫黄呼吸」と命名され、新たなエネルギー産生系として注目を浴びています。このシステインパースルフィドは強い抗酸化作用を持っていることも判明されていたので、それがどのように活用されているのかを研究していた。すると、システインパースルフィドを酸素の代替物として利用していることを突き止め、硫黄呼吸のメカニズムを解明した。
硫黄呼吸の特徴の一つは酸素呼吸で産生される毒性のある活性酸素を中和する役目を担っていることだ。一方、酸素呼吸と比べて硫黄呼吸が生み出す活動エネルギーの量は少なく、産生の効率も悪い。つまり、硫黄呼吸と酸素呼吸の両方を使うことが効率の良いエネルギー産生につながる。
引用元
【研究成果】世界初 硫黄呼吸のメカニズム解明 ~がん細胞とも深いかかわり~
テクルぺ 東北大学ポケットガイド硫黄呼吸は酸素呼吸と比べてエネルギーの産生量&産生効率は少ない&低いです。硫黄呼吸と酸素呼吸の両方を上手に活用することがエネルギーの産生量&産生効率を増やす&高くすることになります。
なおシステインパースルフィドはエネルギー代謝だけでなく抗酸化作用を発揮し活性酸素の除去にも貢献します。その抗酸化力はシステインよりも強力と言われています。
- 糖原性アミノ酸
飢餓状態の時は主に筋肉のたんぱく質が分解されてアミノ酸が作り出されます。そして分解されて生じたアミノ酸から糖を作りだし、その糖をエネルギー源として利用します。このことを糖新生といいます。
糖新生に用いられるアミノ酸を糖原性アミノ酸と言います。システインは糖原性アミノ酸です。
病気
5.5点
「病気」予防 に関わるシステインの働きは主に次です。
- 酸化ストレス
酸化ストレスは細胞内のDNA、たんぱく質、脂質を酸化させ、さまざまな病気を引き起こします。「さまざま」はガン、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、アルツハイマー病などです。
システインおよびシステインの代謝物には強力な抗酸化作用があります。システインは酸化ストレスから生じる病気の予防になります。酸化ストレス体内で活性酸素が過剰に発生し、それに対する防御機構(抗酸化物質や抗酸化酵素)のバランスが崩れた状態のことをいいます。単に「活性酸素により細胞や組織がダメージを受けること」も酸化ストレスと呼ばれます。
このブログでは「酸化ストレス」と「活性酸素」をあまり区別せず使っております。
- 肝疾患
グルタチオンは肝臓にある解毒酵素を活性させ肝臓の解毒力を高める成分です。システインはグルタチオンの材料です。
タウリンは肝細胞の再生を促したり、胆汁酸の分泌を促進させる働きをします。肝機能を向上させる成分です。タウリンはシステインから生合成されます。システインを摂取することは肝臓の病気予防になります。
システインの大量摂取が糖尿病を悪化させる可能性があることが示唆されています。マウス実験によりシステインが膵β細胞のインスリン分泌不全に関与していることが判明しました。糖尿病の方、糖尿病予備軍の方は摂取に注意してください。
参照
【研究発表】L-システインによる膵β細胞からのインスリン分泌攪乱機構の解明 東京大学大学院 総合文化研究科・教養学部
システインの過剰摂取は動脈硬化を悪化させるのか KAKEN
体質
9点
「体質」改善 に関わるシステインの働きは主に次です。
- 二日酔い
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解されます。このアセトアルデヒドが分解されず蓄積すると頭痛、吐き気、胸やけといった二日酔いの症状があらわれます。
アセトアルデヒドはアルコール脱水素酵素の働きにより分解されて酢酸になります。
生じた酢酸はアセトアルデヒド脱水素酵素の働きにより水と二酸化炭素に分解され、尿、汗などとなって体外に排泄されます。SH供与体であるシステインはSH酵素【アルコール脱水素酵素&アセトアルデヒド脱水素酵素】を活性させる働きします。
またシステインが直接アセトアルデヒドに反応し無毒化する働きもします。 - 皮膚
SH酵素は体の代謝系に関わっています。SH供与体であるシステインはSH酵素の賦活剤として作用します。皮膚代謝を正常化させる働きがあり、湿疹・蕁麻疹・皮膚炎など皮膚トラブルの予防・改善効果が期待できます。 - 疲労
システインはエネルギー代謝系の数々のSH酵素の賦活剤として作用します。全身倦怠の症状改善も期待できます。疲れを回復するには
体の代謝を助け、必要なエネルギーを効率よく作り出すことが大切です。そのためには、栄養素をエネルギーに変換する「酵素」の働きを助けて、エネルギーをつくるTCAサイクルをスムーズに回す、L-システインを摂取するなど内側からのケアが重要です。
引用元
肌の代謝とL-システイン
ハイチオール エスエス製薬リンク - 免疫力
グルタチオンは細胞内の【毒物を解毒する&活性酸素を除去する】ことで細胞を活性させます。これは免疫細胞にも当てはまります。そのためグルタチオンに免疫細胞を活性させる働きが期待できます。原料であるシステインを摂取することは体内のグルタチン量を増やすことにつながります。
- 爪
爪はケラチンでできています。爪のケラチンに最も多く含まれているアミノ酸はジスルフィド結合(システイン2分子間に形成される共有結合)を介して生まれるシスチンです。
システインの摂取は爪の健康につながります。
ケラチンケラチンは大きく2種類あります。硬ケラチン(ハードケラチン)と軟ケラチン(ソフトケラチン)です。この2つはアミノ酸組成が異なります。髪の毛と爪は硬ケラチンで、皮膚の角質は軟ケラチンです。
精力
5.5点
「精力」増強&「性機能」向上 に関わるシステインの働きは主に次です。
- 酸化ストレス
精力減退の主たる原因は男性ホルモン「テストステロン」の分泌の低下です。分泌低下の要因は加齢、酸化ストレスなどが挙げられます。
酸化ストレスに対する防御機構として、システインおよびシステイン代謝物は活躍します。 - タウリン
女性・男性の不妊の原因に卵子・精子のミトコンドリアの機能低下があげられます。逆をいえば、卵子・精子のミトコンドリアを活性化させることができれば不妊症の予防・改善になります。
ミトコンドリアを活性させる成分の1つにマグネシウム【細胞内のエネルギー代謝に欠くことができないミネラル】が挙げられます。タウリンには細胞内のカルシウムとマグネシウムのバランスを調整する働き=ホメオスタシス作用があります。この作用はマグネシウムのミトコンドリアを活性する働きを手助けします。つまるところタウリンもミトコンドリアの活性に関与し、妊活に貢献する成分といえます。
タウリンは体内ではシステイン【システイン→システインスルフィン酸→ヒポタウリン→タウリン】から生成されます。
そうなるとシステインも妊活に貢献している成分と考えることもできます。
健脳
7点
「脳」の健康 に関わるシステインの働きは主に次です。
- 脳のエネルギー源
絶食時に糖原性アミノ酸は肝臓で行われる糖新生によりグルコースを作り出します。それにより脳の働きに必要なエネルギーを確保します。
システインは糖原性アミノ酸の1種です。 - パーキンソン病
神経伝達物質ドパミンは中脳の黒質のドパミン神経細胞で作られます。ドパミン神経細胞が老化や活性酸素種の攻撃により減少するとドパミンが減ってしまいます。パーキンソン病はドパミン神経細胞が減ってドパミンが欠乏することで起こります。強力な抗酸化作用を有するグルタチオンは脳の細胞内にも存在し活性酸素の攻撃から脳を守る役割を果たしています。
そのためパーキンソン病の改善や進行遅延目的にグルタチオン点滴療法が行われています。リンクシステインはグルタチオンの原料の1つです。
システインのサプリメント紹介
L-システインは非必須硫黄アミノ酸で、メチオニン、タウリン、そしてグルタチオンの代謝に欠かせない役割を果たします。また、髪や爪、皮膚のケラチンの重要な構成要素でもあります。
引用元
Now Foods, L-システイン、500 mg、100粒
iHerb.com
L-システインは結晶構造のフリーフォームアミノ酸で、数々の体内プロセスで作用します。L-システインは、有害物質から体を守るために肝臓で働き、組織の酸化を防ぎます。L-システインはL-グルタミン酸とグリシンと共に、グルタチオンペルオキシダーゼ(体の主な抗酸化酵素)の合成における律速先駆物質で、脂質酸化反応(脂肪腐敗)を最小化します。
引用元
Source Naturals, L-システイン、 3.53 oz (100 g)
iHerb.com
システインが含まれているサプリメントを紹介します。
NOW Solutions(ナウソリューション)のビーガンヘア、スキン&ネイルは、内部からの自然な美しさを促進します。この完全なビーガンフォーミュラは、髪、皮膚、爪の主要な構造成分であるコラーゲンとケラチンの生産に不可欠なアミノ酸とミネラルを提供します。このフォーミュラには、フリーラジカルから肌を保護するのに役立つ抗酸化ビタミンCとE、および健康で若々しい肌をサポートするビオチンとヒアルロン酸も含まれています。
引用元
Now Foods, ソリューション、ビーガンヘアースキン&ネイルズ、植物性カプセル90粒
iHerb.com
システインのまとめ
分析【見た目編】48点
分析【中身編】44.5点