フィセチン
ポリフェノールの1種
フラボノイドの1種
フィセチンとは
フラボノイドの1種
ファイトケミカルは大別すると5種類にわけられます。
ポリフェノール・カロテノイド・含硫化合物・テルペン類・その他(サポニン)の5つです。
ポリフェノールは8000種類以上存在するとされ、
その構造の違いにより、フラボノイドとそれ以外(ノンフラボノイド)に大別されます。
出典元
ポリフェノールパラドックス
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J-STAGE
出典元 左のフラボノイドをご覧ください。
フラボノイドは2つの芳香環 (両端の六角形のこと)がピラン環かあるいはそれに近い構造(中央の六角形のこと)の3つの炭素原子を介して結合している化合物の総称をいいます。
中央のピラン環あるいはそれに近い構造の酸化状態と置換基の違いにより、さらにフラボノール類、フラバノン類、イソフラボン類などに細分類されています。
フィセチンはフラボノイドのフラボノール類に分類されます。
フラボノール類について
フラボノールは3-ヒドロキシフラボンを基本骨格にもつ化合物の総称です。
出典元
3-ヒドロキシフラボン
ウィキペディア
フィセチンの構造式はこちらです。
出典元
フィセチン
ウィキペディア
構造的にケルセチンに似ています。
フィセチンはケルセチンの5位水酸基を欠いた構造をしています。
.
フィセチンについてあれこれ
ここでフィセチンについて、覚えておくべきポイント(個人的な)をまとめて紹介します。
point 1
ハゼノキの材から発見された成分
フィセチンは、ウルシ属のハゼノキの材から発見されています。
ということで、ハゼノキには多くのフィセチンが含有されています。
point 2
フィセチンといえば イチゴ
フィセチンは、身近な果物や野菜にも含まれています。
果物でいうとイチゴ、キウイ、リンゴ、柿、桃、ブドウ
野菜でいうとタマネギ、キュウリ、トマト
などに含まれています。
この中でも、含有量が多いのがイチゴです。
具体的に数値は定かではありませんが、ピックアップした他の食品と比べて約5倍~多いと覚えておくといいと思います。
フィセチンは,キウイ,桃,柿などの果物にも含まれるが ,イチゴは最も多くそれらの約5倍量を含んでいる.
引用元
イチゴを食べて糖尿病による合併症を改善できる?
J-STAGE
point 3
フィセチン 最近バズってる
フィセチンはここ数年、注目を浴びているフラボノイドです。
注目を浴びている主な理由は
- フィセチンに記憶力を増強する働きがある
- フィセチンに老化細胞を減らす働きがある
特に、「老化細胞を減らす働き」のほうです。
2018年にアメリカの研究チームが「フィセチンが体内に蓄積された老化細胞のレベルを減少させる」と発表したことで、完全にバズりました。
※ここでのバズるは個人的にです。意味を履き違えています。単にハマってるといった表現で良かったのかもしれません。なお、世間的にはバズっていません。
point 4
フィセチンサプリ
イチゴのフィセチン含有量について、0.16mg/gの説が有力です。
フィセチンの効果は、主にラット実験により確認されています。
その効果を得るには、かなりの量のイチゴが必要になると思います。
別にイチゴに限定しなくてもいいのですが、とにかく食品からの摂取では、厳しい量だと思います。
なので、サプリに頼るのがよろしいかと思います。
例えば、こちらのドクターズベストのサプリには1回分(1カプセル)につきNovusetin™️(ノボセチン)配合フィセチンが100mg入っています。
原料はハゼノキ由来です。
※iHerbは2個パックではなく1個
フィセチンの単体サプリは、この商品以外に見たことありません。
なので、頻繁に購入しています。
フィセチンの効果・効能
フィセチンの効果・効能 5つ厳選
- 老化細胞除去
- 記憶力増強
- Sirt1活性化
- 抗酸化作用
- 抗アレルギー作用
そのうち3つを詳しく
①老化細胞除去
ヒトの体細胞は無限に分裂するわけではありません。
細胞は一定の回数の分裂後に、不可逆的に分裂停止状態に陥ります。
分裂停止状態 ←この状態を細胞老化と呼びます。
分裂寿命を決めている主たる要因はテロメアの短縮です。
細胞の核内に染色体(DNAのかたまり)があります。
染色体の端には、テロメアと呼ばれるキャップのようなものがついています。
テロメアは染色体末端を保護する&線状染色体の末端を完全複製するの2つの役割を果たしています。
テロメアは細胞分裂の回数を数えるカウンターのような働きをしており、細胞が分裂するたびに短くなり、細胞分裂の回数が減っていきます。
その回数がある程度以上になると、細胞の分裂は行われなくなります。
これが「細胞老化」です。
細胞老化は主にテロメアの短縮により誘導されますが、それ以外の外的ストレスによるDNA損傷により誘導されることも明らかになっています。
「細胞老化」という言葉だけを聞くと、イメージは悪いかもしれません。
ですが、
細胞老化は、アポトーシスと同様に正常細胞が必要以上に細胞分裂を繰り返してがん細胞に変換するを防ぐ=ガン抑制機構として機能していると考えられています。
ただ、
アポトーシスと異なるのは、細胞老化を起こした細胞がすぐ死ぬのではなく長期間生存する点です。
なので加齢とともに細胞老化を起こした細胞が生体内に蓄積されると考えられています。
※細胞老化を起こした細胞を「老化細胞」と言います。
近年、この「老化細胞の蓄積」が懸念されるようになりました。
というのも、蓄積した老化細胞は炎症作用や発がん促進作用がある炎症性サイトカインやケモカインなどの炎症性物質を分泌している
=慢性炎症を惹起し、がんを含めた様々な炎症性疾患の発症を促進することがわかったからです。
※老化細胞が炎症性サイトカインやケモカインなどの炎症性物質を分泌する現象をSASP(Senescence associated secretory phenotype)と言い、SASPにより分泌されるタンパク質をSASP因子と言います。
しかし、アポトーシスとは異なり、細胞老化を起こした細胞(以下、「老化細胞」と呼ぶ)は生存可能なため、加齢とともに老化細胞が体内に蓄積していくことが分かっています。さらに体内に蓄積した老化細胞は炎症性サイトカインやケモカインなどの炎症性物質を分泌するSASPと呼ばれる現象を引き起こすことで慢性炎症を惹起し、がんを含めた様々な炎症性疾患の発症を促進することがわかってきました。
引用元
老化細胞を選択的に死滅させる薬剤候補を同定
成果情報
国立研究開発法人日本医療研究開発機構
このため、体内に老化細胞を蓄積させないあるいは蓄積した老化細胞を減らすことが出来れば、がんを含めた様々な炎症性疾患の発症を抑えることができ、健康寿命を延ばすことが可能になると考えられています。
現在、老化細胞を取り除いて健康寿命を延ばす「老化細胞除去薬(セノリティクス)」の開発が進んでいます。セノリティクスは、正常細胞に影響を与えず体内に蓄積した老化細胞を標的とし、老化細胞のみを選択的に死滅させる薬剤のことを言います。
天然の化合物の中にもセノリティクス活性をもつものがあります。それがフィセチンです。
ケルセチンと同様のフラボノイドの一種であるフィセチン(Fisetin)にも老化細胞除去効果があり、これを餌に混ぜて与えたマウスでは寿命が延長することも報告されている.
引用元
血管内皮細胞老化について
PDFページ 6/8
J-Stage
老化細胞除去効果=セノリティクス活性はケルセチンにもあるのですが、フィセチンに特に期待できます。
理由は次です。
2018年にアメリカの研究チームが「フィセチンに老化細胞を減少させ、健康寿命を延ばす働きが期待できる」との研究発表し、大変注目を浴びました。
ミネソタ・メディカル・スクール大学のPaul D. Robbins氏、Laura J. Niedernhofer氏などの研究グループが、「野菜や果物に多く含まれる“フィセチン”という物質が体内に蓄積された老化細胞のレベルを減少させることを発見した」と、このほど発表した。フィセチンは老化細胞と呼ばれるダメージを負った細胞を減らし、寿命を延ばして健康状態を改善するというのだ。
引用元
やっぱりそうか!「野菜や果物」食で“健康寿命が延びるって
アサ芸プラス
(株)徳間書店
研究者が、高齢のマウスにフィセチンを投与したところ、老化細胞が減少し、寿命を延ばすことに成功したとことのです。
さらに植物性ポリフェノール10種のセノリティクス活性を比較したところ、フィセチンが最も強力であることも判明しています。
ということで、セノリティクス活性=老化細胞除去効果は、フィセチンに特に期待できます。
最近 フィセチンにドはまりしている理由がコレです。
②記憶力増強
ヒトの脳は1000億個以上の神経細胞と、その10倍以上もの数のグリア細胞から構成されています。
神経細胞は細胞核をもつ細胞体とそこから複数出ている樹状突起と細胞体からの伸びている一本の長い軸索で構成されています。
神経細胞の軸索の末端と、次の神経細胞の樹状突起の隙間をシナプス間隙といい、この構造(接続している部分)をシナプスといいます。
神経の信号である活動電位は軸索の末端まで伝わると、軸索の末端にあるシナプスを通じて次の神経細胞に伝えます。
シナプス前膜(軸索側)から神経伝達物質が放出され、シナプス後膜(樹状突起側)にある神経伝達物質受容体に結合すると活動電位は伝わります。
このように神経細胞は相互に連結し複雑な情報処理ネットワークを作り上げています。
一方で、グリア細胞は神経細胞の生存や発達機能発現のためのサポートをする役割を担っています。
さて、ここでシナプス可塑性にクローズアップします。
「可塑性」とは、物が外力を受けるとそれに反応して変形し、力を取り去っても歪みがそのまま残る性質を意味します。
「シナプス可塑性」とはシナプス前膜とシナプス後膜の電気的な伝達効率が、長期的に変化する現象をあらわす言葉を指します。
シナプスを形成しているシナプス後膜(樹状突起側)に特別にできる構造をスパインと呼びます。
スパインは学習・記憶に応じてその形態・サイズが変化し、それに伴いシナプス伝達効率が変化します。
出典元
医学博士に聞く、記憶力・学習力アップに影響する脳機能「シナプス可塑性」とは?
LINK@TOYO
東洋大学
スパインの大きさがシナプス結合の強さを決めています。
大きなスパインでは、シナプス結合が強化されます。
一方で小さなスパインでは、シナプス結合が弱まります。
「学習」はシナプス結合強度の変化で、それが維持されることで「記憶」になると考えられています。
つまるところ
=長期的にシナプス結合強度が大きくなる
=長期的にシナプス伝達効率が上昇する
=記憶が蓄えられる
.
です。
このようにシナプス伝達効率が長期的に上昇する現象を長期増強(LTP Long-term potentiationの略称)といいます。
長期増強とは、2つの神経細胞間のシナプス伝達効率が持続的に向上する現象のことです。その主要なメカニズムの1つに、シナプスが神経伝達に対して感受性を増加させることにより伝達効率が向上することがあげられます。感受性の増加には、新しくスパインが形成させることや、既にあるスパインが大きくなることが知られています。
引用元
貯蔵された記憶を可視化・消去する新技術を開発―記憶のメカニズム解明に前進―
プレスリリース
国立研究開発法人日本医療研究開発機構
一方で、伝達効率が低下する現象は長期抑圧(LTD Long-term depressionの略称)と呼ばれます。
この変化【LTD←通常→LTP】を代表例とするシナプス結合強度の変化がシナプスの可塑性ということになります。
というわけで、記憶を支えるのはシナプスの可塑性のLTPです。
記憶力を増強させるには、いかにしてLTPを促進させるかが大切となります。
動物実験にて、フィセチンに海馬LTPを促進させる効果があることが確認されています。
研究では、認知症の記憶障害を改善する新薬を創出するために、フラボノイドの薬効研究を行い、フラボノイドの一種フィセチンがcAMPを介さずERKを活性化し海馬のシナプス可塑性の促進ならびに記憶向上作用を示すことを見出した。
引用元
フラボノイドの記憶増強作用
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
フィセチンには記憶力増強効果が期待できます。
③Sirt1活性化
一時期「サーチュイン遺伝子」がTV番組や本で大変話題になりました。
なぜ話題を集めたのかというと、サーチュイン遺伝子を活性化させると【長寿&若返り】を手に入れることができるとされているからです。
なので、サーチュイン遺伝子は長寿遺伝子や抗老化遺伝子とも呼ばれています。
サーチュイン遺伝子について簡単にまとめてみました。まずは、こちらをご覧ください。
操作をすれば老化を遅らせ、寿命を延ばす遺伝子のことをいいます。
- 操作をすれば
→この遺伝子を活性化することができれば、 - 老化を遅らせ、寿命を延ばす
→老化の要因【酸化ストレス・免疫細胞の暴走など】を抑えることができます。
発見経緯
サーチュイン遺伝子は、2003年にマサチューセッツ工科大学のガレンテ教授が酵母菌の中から発見しました。
実験にて エサのカロリーを制限した酵母菌の寿命が延びていることを判明しました。
その酵母菌ではヒストン脱アセチル化酵素である「サーチュイン遺伝子」が活発に働いていることが分かりました。
それはSir2と命名されました。
Sir2を取り除くと酵母菌の寿命が縮む、逆に過剰発現させると酵母菌の寿命が伸びることを発見しました。
その後の研究で、線虫やショウジョウバエでもSir2を発見しました。
「Sir2を取り除くと寿命が縮む、過剰発現させると延びる」この遺伝子操作により、ショウジョウバエで約30%、線虫では約50%寿命が延びるといった結果がでています。
さらに哺乳類にも、Sir2に相当するホモログが発見されています。
進化系統上で、共通の祖先から派生した遺伝子(相同遺伝子のこと)などをいいます。
なんだかんだで、サーチュイン遺伝子は、ヒトなら誰しも持っていることが分かりました。
ヒトのサーチュインの種類
Sirt1~7
ヒトには7種類のSirtuin(サーチュイン)ファミリー「Sirt1〜7」存在することがわかっています。
7種類の多くは脱アセチル化酵素で、様々な生理機能に関与しています。
それぞれ細胞内での局在・役割が異なります。
局在をまとめると以下となります。
- Sirt1
核と細胞質 - Sirt2
細胞質 - Sirt3、Sirt4、Sirt5
ミトコンドリア - Sirt6
核(主にクロマチン領域) - Sirt7
核(主に核小体)
もっとも研究されているものはSirt1です。
もっとも機能解析が進んでいるのはSirt1です。
ここでは(このレビューでは)、サーチュイン遺伝子は、基本 Sirt1のことを指しています。
なぜ長寿・抗老化?
DNAはヒストンというたんぱく質と結合しています。
DNAがヒストンに巻き付いた状態をヌクレオソームといいます。
出典元
エピジェネティクス
国立研究開発法人 国立環境研究所
このヌクレオソームが集まってできたものが、クロマチン構造といいます。
きつく巻かれた構造(出典元 上)を「ヘテロクロマチン」といい、
ゆるく巻かれた構造(出典元 下)を「ユークロマチン」といいます。
一般に
ヒストンのアセチル化【DNAとヒストンの結合を緩くする】によって、遺伝子の発現は促進します。
ヒストンの脱アセチル化【DNAとヒストンの結合を固くする】によって、遺伝子の発現は抑制されます。
【DNAとヒストンの結合を緩くする】これはヒストンアセチル化転移酵素の働きによって、アセチル基が結びつくことで起こります。
【DNAとヒストンの結合を固くする】これはヒストン脱アセチル化酵素の働きによって、アセチル基が除去されることで起こります。
ヒストンアセチル化は、ヒストンアセチル化転移酵素とヒストン脱アセチル化酵素、この2つの酵素活性によってそのバランスが取られています。
このことが、遺伝子発現のON/OFFのスイッチになっています。
例えば、次の働きに関わる遺伝子の発現のON/OFFです。
- 細胞を修復するたんぱく質を活性化させる
- 細胞内でエネルギー源を作り出すミトコンドリアを増やす
- 細胞の寿命を決める「テロメア」の長さを保護する
- 細胞の自然死である「アポトーシス」を制御する
- 細胞内の老廃物を排除させる機構「オートファジー(自食作用)」を働かせる
これらを一言でまとめるとしたら【細胞を若返らせる】となります。
さて、サーチュインはヒストン脱アセチル化酵素です。
ヒストンを介した遺伝子発現メカニズムに関与することで、細胞を若返らせ、寿命を延ばすと考えられます。
ということで、「長寿遺伝子」「抗老化遺伝子」です。
.
上記で説明したようにSirt1は多様な働き↓をします。
- 細胞を修復するたんぱく質を活性化させる
- 細胞内でエネルギー源を作り出すミトコンドリアを増やす
- 細胞の寿命を決める「テロメア」の長さを保護する
- 細胞の自然死である「アポトーシス」を制御する
- 細胞内の老廃物を排除させる機構「オートファジー(自食作用)」を働かせる
これら働きは、次に挙げる基質タンパク質(転写因子など)がSirt1により脱アセチル化されることでもたらされます。
- PGC-1α
ミトコンドリアの活性化
脂肪酸β酸化の亢進
抗酸化作用 - FoxOs
DNA修復能の活性化
オートファジーの活性化
アディポネクチン発現FoxO 補足FoxOにはFoxO1、 FoxO3a、FoxO4、FoxO6の4種類のアイソフォームが存在しています。
FoxOsとして一括りにしていますが、基本 FoxO1のことだと思ってください。FoxO3aのケースもあるので一括りにしています。
- NF-κB
免疫応答作用
抗炎症作用 - P53
細胞老化を防ぐ
抗アポトーシス作用P53 補足P53は代表的ながん抑制遺伝子です。がん細胞においてアポトーシスを誘導する働きなどをし、がん化を防いでいます。
この遺伝子が正常細胞に過剰に発現すると、細胞老化やアポトーシスを誘導します。さらにPGC-1αの活性を低下させるので、先のPGC-1αの効果が⇓になります。
Sirt1は p53を脱アセチル化することで、活性を抑制し、細胞老化に拮抗的に作用します。またPGC-1αの活性を回復させます。
.
Sirt1が標的とする基質タンパク質(転写因子など)は数多く存在しますが、個人的にはこの4つを覚えておけばOKだと思っています。
これら作用をトータルし、一言でまとめるとしたら「長寿&若返り」効果となります。
ということで、Sirt1を活性化させることで、長寿&若返り効果が得られる可能性があります。
Sirt1を活性化させる方法は、ずばりカロリー制限です。
ヒトの研究では、日々の摂取カロリーを25%ほど減らすことで、サーチュイン遺伝子が活性化されることが分かっています。25%のカロリー制限とは運動との併用【運動により、12.5%分のカロリーを消費する&食事からのカロリーを12.5%制限する】でも効果があるとされています。
さて、栄養成分の中にはカロリー制限をせずともSirt1を活性化させる働きを持つものがあります。
それがレスベラトロール、ケルセチン、そしてフィセチン 他です。
これまでに、サーチュイン活性化物質としては、ブドウの果皮などにも含まれるレスベラトロール、イチゴ等やリンゴに含まれるフィセチンと言ったポリフェノール化合物や、SRT1720等の非ポリフェノール化合物が知られている。
引用元
特許公報(B1)_長寿遺伝子発現増強剤
国立研究開発法人科学技術振興機構
このことは哺乳類細胞でもSIRT1が老化の抑制に効果があることを示している。 SIRT1は、デアセチラーゼとして知られている。SIRT1はデアセチラーゼの中でも、NAD+を必要とするサーチュインファミリーの1種である。SIRT1のデアセチラーゼとしての酵素活性は、レスベラトロール、ブテイン、ピセアンタンノール、フィセチン、ケルセチンといった、トランススチルベン構造を有するポリフェノールによって活性化することが知られている。
引用元
公開特許公報(A)_サーチュイン1活性化剤、サーチュイン1活性化組成物、並びにそのサーチュイン1活性化剤若しくは活性化組成物を配合した皮膚外用剤、化粧料、食品
国立研究開発法人科学技術振興機構
ということで、Sirt1の活性化により脱アセチル化されることでもたらされる↓の働きは、フィセチンの効果・効能に含まれるということになります。
- PGC-1α
ミトコンドリアの活性化
脂肪酸β酸化の亢進
抗酸化作用
- FoxOs
DNA修復能の活性化
オートファジーの活性化
アディポネクチン発現 - NF-κB
免疫応答作用
抗炎症作用 - P53
細胞老化を防ぐ
抗アポトーシス作用
いきなりサプリの紹介
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フィセチンの働き分析【見た目編】
合計 41.5/60点
薄毛
6点
「薄毛」改善 に関するフィセチンの働きは主に次です。
- 抗酸化作用
髪は毛乳頭に運ばれた栄養素をもとに毛母細胞が細胞分裂をすることで生まれてきます。
活性酸素は毛母細胞を酸化させ、その働きを弱めます。活性酸素を除去することは薄毛予防になります。
フィセチンは抗酸化作用を有します。 - 老化細胞
老化細胞の蓄積は、肌の老化につながります。これは頭皮にもあてはまることです。
老化細胞を除去するフィセチンは頭皮の老化防止に貢献します。
白髪
7点
「白髪」予防 に関するフィセチンの働きは主に次です。
- グルタチオン
過酸化水素は白髪の原因となります。黒髪のもととなるメラニン色素の生成を阻害するからです。体内には過酸化水素を除去する抗酸化酵素グルタチオンペルオキシダーゼが存在します。
グルタチオンペルオキシダーゼは、還元剤としてグルタチオン【のチオール基(-SH)】を用いて過酸化水素を分解します。
フィセチンはグルタチオンの合成を高める成分です。グルタチオンとフィセチンの関係について簡単に説明します。
グルタチオンは動物や植物のあらゆる細胞の中に存在している物質です。
グルタチオンはグルタミン酸・システイン・グリシンからなるトリペプチドです。
以下の流れより合成されます。グルタチオンの合成①グルタミン酸+システイン→γ-グルタミルシステイン
②γ-グルタミルシステイン+グリシン→グルタチオン
.
①の反応はγ-グルタミルシステイン合成酵素により
②の反応はグルタチオン合成酵素により行われます。
1、2の反応ともにATP1分子が必要です。
さて、薄毛項目にてフィセチンには抗酸化作用があると説明ました。
フィセチンの抗酸化作用は直接的なラジカル捕捉活性とグルタチオンの細胞レベルを上昇させるの2パターンあります。
フィセチンは細胞内のシステインの取り込み活性を増加させることでグルタチオンの合成を促進させます。参照
食物由来フラボノイドによる新しい生理機能としてのレドックス制御機構
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
美肌
7.5点
「美肌」作り に関するフィセチンの働きは主に次です。
- 老化細胞
真皮の主成分となっているのがコラーゲン繊維です。コラーゲンは真皮の乾燥重量のうち70%を占め、肌のハリや弾力を生みだしています。若々しい肌を保つためになくてはならない成分です。
こちらは真皮層を拡大したイラストです。ひし形の線部分がコラーゲンです。コラーゲンは繊維芽細胞(イラスト中の●)により産生されます。
繊維芽細胞が老化する=老化細胞に変貌すると、コラーゲン産生能を低下させるだけでなく、周りに炎症性物質など組織の老化を促進する物質を周囲に分泌するようになります。
それにより、肌の老化は加速してしまいます。
なので、老化細胞の蓄積を防ぐことは美肌作りに貢献します。
フィセチンには老化細胞を減らす働きがあります。
- 皮膚の改善
フィセチンには皮膚細胞の硫酸化グリコサミノグリカンの合成やⅠ型コラーゲンの合成を促進させる働きがあることが確認されています。皮膚のしわ、老化、弾力などの低下を改善させる効果が期待できます。参照
皮膚改善用組成物
JP2017105777A
Google Patents
美白
6.5点
「美白」ケア に関するフィセチンの働きは主に次です。
- 抗酸化作用
シミの原因となるメラニンは活性酸素の攻撃から肌(の細胞)を守るために作られます。なので体内に活性酸素が過剰に発生するとメラニンはたくさん作られます。
たくさん作られたメラニンが肌のターンオーバーともに排出されなければ、シミとなって肌の表面に現れます。フィセチンには抗酸化作用があります。メラニンが大量に作られるのを防ぎます。
-
NF-κB活性阻害
大量にできたメラニンが 肌のターンオーバーとともに排出されなければ、シミとなって肌の表面に現れます。メラニンの過剰生成を抑えること&肌のターンオーバーを促進することが美白ケアの基礎となります。
メラニン生成のメカニズムは次です。
①紫外線を浴びた皮膚で、TNFαなどの炎症性サイトカインが産生される。Sirt-1が活性されると、NF-κB活性は抑制されます。②その刺激によりNF-κBが過剰に活性化される。
③メラニン生成を引き起こすサイトカインが産生される。
フィセチンはSirt-1を活性させます。※こちらを参照にすると、フィセチンはSirt-1を介せずともNF-κB活性を抑制する働きがありそうです。
本研究では、フラボノイドのフィセチンが活性化T細胞によるマスト細胞の活性化を抑制すること、及びその作用機構として、Aktのリン酸化及びそれに続くNF-κB及びMAPキナーゼの活性化を抑制することを明らかにした。
引用元
喘息の慢性化をもたらす気道リモデリングのフラボノイドによる抑制効果の解析
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
筋肉
6点
「筋肉」増強 に関するフィセチンの働きは主に次です。
- GLUT4
筋肉において、糖は最も重要なエネルギー源です。
その糖を筋肉細胞内に取り込むのはGLUT4の役割です。GLUT4は、インスリン刺激および運動の刺激があると細胞の表面(細胞膜)に移動して、細胞内への糖の取り込みの輸送通路として働きます。
そのメカニズムフィセチンには、筋肉細胞においてGLUT4の細胞膜移行を誘導する=GLUT4を活性化させる働きがあります。①インスリンシグナル伝達経路
インスリンは各細胞にグルコースを取り込ませることにより血糖値を下げます。実際、グルコースの取り込み作業を行うのはGLUT4です。
通常、GLUT4は、細胞内の小胞(GLUT4小胞)に格納されています。
インスリンの作用(および運動)によって細胞膜に発現します。細胞膜に存在するインスリン受容体にインスリンが結合すると
インスリン受容体のリン酸化酵素「チロシンキナーゼ」が活性化されます。
すると細胞内のIRS、PI3k、Aktなどの情報伝達分子が順々に活性化され、細胞内に存在するGLUT4にシグナルが伝わります。
するとGLUT4が細胞膜へと移動します。
その結果、血中のグルコースが細胞内に取り込まれるようになります。②AMPK経路
運動の場合は、AMPKが活性化することによってGLUT4を細胞膜に発現させます。
【解決手段】本発明の糖取り込み促進剤は、フィセチン、ルテオリン、ケルセチン、およびそれらの配糖体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する。本発明によれば、GLUT4を活性化することにより筋肉の糖取り込みを促進し、糖尿病または糖尿病合併症を予防または改善することができる。
引用元
公開特許公報(A)_筋肉の糖取り込み促進剤
国立研究開発法人科学技術振興機構
脂肪
8.5点
「脂肪」減少 に関するフィセチンの働きは主に次です。
- Sirt1活性化
サーチュイン遺伝子は、通常、カロリー制限をすると活性化されます。
活性化されると糖・脂質代謝に関与する遺伝子を制御します。
だからカロリー制限をすると「痩せる」です。
フィセチンはSirt1を活性化させる働きをします。いうならば、カロリー制限を模倣する働きをします。「脂肪」減少関連のSirt1活性化を介しての働きをざっとまとめると以下です。
アディポネクチン
脂肪細胞からさまざまな生理活性物質が分泌されています。脂肪細胞から分泌される生理活性物質を総称して、アディポサイトカインといいます。アディポサイトカインには善玉と悪玉があります。
アディポネクチンは善玉アディポサイトカインの1つです。
アディポネクチンの糖・脂質代謝に関連する生理作用は次になります。- 糖新生⇓
糖新生を抑制する - 脂肪酸燃焼⇑
脂肪酸のβ酸化を促進する - 糖取り込み⇑
糖の筋肉細胞へ取り込みが増加する
※インスリンを要せず
つまるところ、アディポネクチンが分泌されると
=脂肪の蓄積を防ぐ&脂肪の燃焼を促す
=痩せる
につながります。というわけで、アディポネクチンを分泌させれば、痩せることができるので、メディアでは痩せホルモンと呼ばれています。
アディポネクチンを分泌させる方法は、内臓脂肪に効果がある運動をする or アディポネクチンの分泌を促す栄養成分を取るです。
Sirt1を活性化させることで、FoxO1を脱アセチル化させアディポネクチンの発現を促進させます。
フィセチンはSirt1を活性化させる成分です。PGC-1αPGC-1αには様々な作用があります。その中にミトコンドリアを増やし、脂質代謝を亢進させる作用やGLUT4(血糖を骨格筋に取り込む糖輸送体)を増やすことにより糖代謝を促進させる作用があります。
つまるところ、PGC-1αの発現が増えるとエネルギー産生が促進される=痩せるです。
Sirt1を活性化させPGC-1αを脱アセチル化させることで、PGC-1αは活性化されます。
フィセチンはSirt1を活性化させる成分です。 - 糖新生⇓
フィセチンの働き分析【中身編】
合計 45.5/60点
身体
6.5点
「身体」の構成材料 に関わるフィセチンの働きは主に次です。
- コラーゲン
人間の体を構成しているたんぱく質のうち30%はコラーゲンでできています。体内にあるコラーゲンのうち、約40%が皮膚に、骨・軟骨に約10~20%、血管に約7~8%が存在しています。コラーゲンの体内構成比率フィセチンには皮膚のコラーゲン(タイプ1)の合成を促進する働きがあるとのことです。コラーゲンの体内構成比
※%はおおよそです。本発明者らは、皮膚の老化及びしわの発生を抑制することができる物質に対して持続的に研究した結果、フィセチンが皮膚細胞の硫酸化グリコサミノグリカン合成及びコラーゲンタイプIの合成を促進させる効果にすぐれることを確認し、本発明を完成した。
引用元
皮膚改善用組成物
JP2017105777A
Google Patents - 骨
正常な骨では骨形成と骨吸収のバランスが保たれています。骨芽細胞
骨を作る細胞です。コラーゲンを分泌させ、そこにリン酸カルシウムを付着させ骨を作ります。
骨が作られることを骨形成といいます。破骨細胞骨吸収>骨形成の状態が続くことで骨量が減ります。その結果、骨粗鬆症などの諸症状が発現します。
骨を溶かす細胞です。酸と酵素でカルシウムとコラーゲンを溶かします。
骨が壊されることを骨吸収といいます。
ということで、骨粗鬆症治療薬は、主に骨吸収を担う破骨細胞の分化と機能を阻害することをターゲットととしています。
フィセチンには破骨細胞の分化を阻害する働きがあります。その他のフラボノイドであるアピゲニン,バイカレイン,フィセチンなどにおいても同様に破骨細胞の分化を阻害する活性を見出しているほか,エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate:EGCG )は成熟破骨細胞のアポトーシスを誘導する活性を有することも明らかにしている.
引用元
骨吸収抑制剤と骨粗しょう症
PDFページ 7/8
J-STAGE
エネルギー
7点
「エネルギー」生成 に関わるフィセチンの働きは主に次です。
-
PGC-1α
PGC-1αとはPPARγをはじめとするいくつかの核内受容体と相互作用し、さまざまな標的遺伝子の転写調節を行う転写共役因子です。特にミトコンドリアを構成する分子、あるいはその機能を発揮するに関わる分子の転写制御に関与するため、ミトコンドリアの生合成と機能のマスター調節因子として知られています。
ミトコンドリア簡単に言ってしまうと「PGC-1αの発現が増える」⇒「ミトコンドリアを増加させる&ミトコンドリアの機能を増強させる」です。
Sirt1の活性化はPGC-1αの脱アセチル化反応を促し、PGC-1αを活性化させます。
フィセチンはSirt1を活性化させます。
病気
7.5点
「病気」予防 に関わるフィセチンの働きは主に次です。
- 炎症性疾患
体内に老化細胞を蓄積させないあるいは蓄積した老化細胞を減らすことが出来れば、様々な炎症性疾患の発症を抑えることができ、健康寿命を延ばすことが可能になると考えられます。
フィセチンは老化細胞を減らす働きをします。 -
がん
正常な細胞において、細胞周期が進行する際に修復不可能なDNAダメージが生じると、細胞老化が引き起こされます。その結果、細胞の増殖は不可逆的に停止されます。細胞老化は、アポトーシスと同様に正常細胞が必要以上に細胞分裂を繰り返してがん細胞に変換するを防ぐ=ガン抑制機構として機能していると考えられています。
アポトーシスと異なる点は、細胞老化を起こした細胞(老化細胞と呼びます)がすぐ死ぬのではなく長期間生存する点です。
なので加齢とともに老化細胞が生体内に蓄積されると考えられています。生体内に蓄積された老化細胞は長期間生存し続け、炎症作用や発がん促進作用がある炎症性サイトカインやケモカインなどの炎症性物質を分泌します(老化細胞より分泌される炎症性物質をSASP因子と呼びます)。
これにより周囲の細胞が損傷を受ける=発がんを引き起こす可能性が生まれます。
ということで、細胞老化はがん抑制と発がん促進の両方に働いていることになります。
出典元
細胞老化の謎を追い求めて 健康長寿の増進、がん予防に挑戦
リソウ
大阪大学後者の、発がん促進のほうは「老化細胞を溜めさせない」ことで防げると考えられます。
フィセチンには老化細胞を除去する効果があります。 - 糖尿病
糖尿病とは細胞に糖を取り込む働きをするインスリンが、肥満や運動不足などが原因で十分に働かなくなり、血液中の糖が増えてしまう病気です。
糖が細胞に十分に取り込まれなくなると、血液中の糖が増え過ぎてしまい、糖尿病になります。フィセチンにはGLUT4を活性化する働きがあります。それにより筋肉の糖取り込みを促進し、糖尿病の予防・改善効果を発揮します。
また、糖尿病そのものだけでなく様々な糖尿病合併症にも有効とのことです。参照
イチゴを食べて糖尿病による合併症を改善できる?
J-STAGE
体質
8.5点
「体質」改善 に関わるフィセチンの働きは主に次です。
- アンチエイジング
フィセチンはアンチエイジング成分として、かなり有能です。理由は次の3点です。
①老化細胞
体内に蓄積した老化細胞を減らすことが出来れば、がんを含めた様々な炎症性疾患の発症を抑えることができ、健康寿命を延ばすことが可能になります。
➡フィセチンには老化細胞を減らす働きがあります。②Sirt-1
Sirt-1を活性化させると細胞を若返らせ、寿命を延ばすことが可能であると考えられます。
そのためSirt-1は「長寿遺伝子」「抗老化遺伝子」などと呼ばれます。
➡フィセチンにはSirt-1を活性化させる働きがあります。③抗酸化
老化を早める2大現象は体をサビさせる「酸化」とコゲさせる「糖化」です。この2つを予防することがアンチエイジングにとって重要となります。
➡フィセチンには抗酸化作用があります。 - 抗アレルギー
アレルギーを引き起こす免疫細胞としてマスト細胞と好塩基球があります。マスト細胞(肥満細胞)は組織中に存在します。脱顆粒反応によりヒスタミンなどアレルギー症状をひきおこすケミカルメディエーターを放出することで、アレルギー反応を引き起こします。
脱顆粒反応マスト細胞は、その細胞表面上に高親和性IgE受容体(FcεRI)を発現しています。
アレルゲンを認識するIgEがFcεRIと結合した後、再び同じアレルゲンに暴露されると、マスト細胞が活性化して、ヒスタミンなどの化学伝達物質を含んだ顆粒を細胞外に放出させます。好塩基球は末梢血中に存在(循環)します。好塩基球は、好酸球や好中球と同様 顆粒球の1種です。
こちらも細胞表面上に高親和性IgE受容体(FcεRI)を発現しています。IgEがFcεRIと結合すると好塩基球は活性化されて脱顆粒反応を引き起こし、ヒスタミンなどアレルギー症状をひきおこすケミカルメディエーターを放出します。好塩基球はマスト細胞と似ていますが、
・局在が異なるなど異なる性質を持っています。
・寿命が短い
・一旦成熟すると分裂・増殖しない
最近の研究より、気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎などに見られる慢性アレルギー炎症の発症に重要な役割があることが判明しています。ここで、好塩基球の活性化についてもう少し踏み込みます。
好塩基球が活性化されると、大量のTh2タイプサイトカイン(IL-4・IL-5・IL-13)を即座に分泌します。
このTh2タイプサイトカインがさまざまな細胞に働きかけてアレルギー反応を引き起こすと考えられています。
フィセチンには好塩基球からのTh2タイプサイトカイン(IL-4・IL-5・IL-13)産生抑制作用があります。イコール 抗アレルギー作用があります。
参照
免疫学 田村智彦教授らの研究グループが、アレルギー疾患を引き起こす免疫細胞である好塩基球やマスト細胞の産生・分化の仕組みを解明!
横浜市立大学O10 フラボノイドの好塩基球からのTh2型サイトカイン(IL-4, IL-5, IL-13)産生抑制作用
J-STAGE -
腸の健康
研究により、ポリフェノールがビフィズス菌(Bifidobacterium adolescentis)を活性化し、ビフィズス菌のもつ抗炎症作用が増強されることが判明しています。そのポリフェノールとはケルセチンのことですが、フィセチンにも同様の効果があるとされています。
これは,「お宝」(ケルセチン由来の高機能な新規代謝物)の発見が期待されたが,解析を進めた結果,ケルセチンがB. adolescentisの抗炎症活性を増強していることが明らかとなった.同様の効果を示すポリフェノールとして,ガランギンやフィセチン,エピガロカテキンガレート(EGCG),フロレチン,タキシフォリンを見いだしている
引用元
フラボノイドによるビフィズス菌の機能向上
PDFページ 1/2
J-STAGE参照
ポリフェノール×ビフィズス菌で、機能性を高める
EIYOU MAESTRO
甲南女子大学 医療栄養学部
精力
6点
「精力」増進&「性機能」向上 に関わるフィセチンの働きは主に次です。
- 血管内皮細胞の老化
陰茎海綿体に血液が充満し勃起が起こるメカニズムを簡単に説明します。勃起が起こるメカニズム性的な刺激により脳が興奮するとその信号(興奮)が脊髄を伝わり勃起神経に到達します。すると陰茎の動脈は拡張し陰茎海綿体へ流入する血液が増えます。と同時に陰茎海綿体の平滑筋が弛緩され、海綿体は流れ込んだ血液を吸収し大きく膨らみます。イコール勃起です。
このメカニズムにおいて、陰茎海綿体の平滑筋を弛緩させる働きをするのはcGMPです。
cGMPを生成するのがNO(一酸化窒素)です。
性的な刺激により信号(興奮)が勃起神経に伝わると、神経終末と血管内皮細胞からNOが放出されてcGMPが生成される流れとなっています。さて、NOは血管内皮細胞から産生されます。なので血管内皮細胞の老化は、ダイレクトにNO産生量低下につながります。
逆にいえば、血管内皮細胞の老化を抑制することができれば、NOの産生量の維持(ここでいうと勃起力の維持)につながります。
そう考えると、【老化細胞を除去する働きをする】フィセチンは、間接的にNO産生に関わっているといってもいいかもしれません。
- 抗酸化作用
妊娠を望む健康な男女が、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠しない場合が不妊症です。男性不妊・女性不妊の主な原因の一つは酸化ストレスです。
酸化ストレス 生体において酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、生体に対して【酸化力>抗酸化力となって】悪影響を及ぼしている状態。フィセチンには抗酸化作用があります。
健脳
10点
「脳」の健康 に関わるフィセチンの働きは主に次です。
- 記憶力増強
記憶力を増強させるには、いかにしてLTP(長期増強)を促進させるかが大切となります。
動物実験にて、フィセチンに海馬LTPを促進させる効果があることが確認されています。
フィセチンが一躍脚光を浴びるようになったのは、この「記憶力増強」作用です。 - 脳機能維持
脳は体内で最も酸素を消費する場所です。これは活性酸素が大量に発生している場所と言い換えることができます。
脳は臓器の中で最も脂質を多く含んだ組織といわれています。これは酸化されやすい物質が多い組織と言い換えることができます。ということで、脳には活性酸素を除去する抗酸化物質の存在が非常に重要になります。
さて、抗酸化物質はいろいろありますが、血液脳関門を通過できるものは限られています。
血液脳関門フィセチンは血液脳関門を通過できる(可能性のある)成分です。血液脳関門とは、脳毛細血管の内皮細胞同士の密着結合により形成されているバリア機能のことです。
血液脳関門は脳に有害な物質を通さないために、その物質が脳に必要なものかを判別している「関所」とよく例えられます。
フィセチンサプリの商品紹介欄にはそのような記載があります。事前研究により、フラボノールは脳細胞と認知機能の伝達経路をサポートすることが示唆されています。フィセチンは体の還元をサポートするバイオフラボノイドで、酸化ストレスを受けたときにグルタチオン濃度の維持やミトコンドリアの機能維持を助けます。また、フィセチンは脳内のバリア機能を通過できる可能性があり、ニューロンのはたらきをサポートすることが期待されています。
引用元
Doctor’s Best, フィセチンとノボセチン、100 mg、植物性カプセル30粒
iHerb.com - 神経細胞死の保護作用
脳の神経細胞は、海馬など一部の領域を除くと、一般に再生する能力がほとんどありません。アルツハイマー病を発症すると、老人斑、神経原線維変化、神経細胞死という病理学的特徴があらわれます。脳に老人斑と神経原線維変化を特徴とするアルツハイマー病によって、神経細胞死が進行し、認知症の症状が現れるのがアルツハイマー病です。
フィセチンには神経細胞死の保護作用があります。
フラボノイドであるフィセチンは、6-ヒドロキシドパミン(6-OHDA)誘導神経細胞死を抑制する
引用元
研究内容 神経細胞の障害保護効果を有する物質の同定とその制御機構の解明
大阪薬科大学 薬学部 病態生化学研究室
大阪薬科大学
フィセチンのサプリメント紹介
フィセチンのまとめ
分析【見た目編】41.5点
分析【中身編】45.5点
フィセチン 老化細胞除去 参照一覧
イチゴを食べて糖尿病による合併症を改善できる? J-STAGE
アレルギーとフラボノイド J-STAGE
261 ルテオリン,フィセチン,エピゲニンなどのフラボノイドは活性化好塩基球からのIL4,IL13産生を抑制する J-STAGE
5 食物フラボノイドの抗アレルギー作用(アレルギー疾患に対するユニークな治療法の奏効機序と有効性の検証) J-STAGE
O10 フラボノイドの好塩基球からのTh2型サイトカイン(IL-4, IL-5, IL-13)産生抑制作用 J-STAGE
血管内皮細胞老化について J-STAGE
骨吸収抑制剤と骨粗しょう症 J-STAGE
フラボノイドによるビフィズス菌の機能向上 J-STAGE
記憶改善薬 J-STAGE
好塩基球の21世紀ルネサンス : 急性ならびに慢性アレルギーにおける好塩基球の新たな役割 J-STAGE
セノリティクス薬がアンチエイジングの未来を切り開く? LIFE IS LONG JOURNAL NOMON(株)
細胞老化研究の新展開-老化細胞は新たな創薬標的となるか- 日本基礎老化学会
今後の老化研究の在り方について ライフサイエンスの広場 文部科学省
脳科学豆知識 日本脳科学関連学会連合
肌の老化を加速させる「老化細胞の蓄積」のメカニズムを発見! 藤田医科大学
細胞老化と慢性炎症 一般社団法人 日本老年医学会
老化細胞を選択的に死滅させる薬剤候補を同定 国立研究開発法人日本医療研究開発機構
細胞老化の謎を追い求めて〜健康長寿の増進、がん予防に挑戦〜 リソウ 大阪大学
アメリカの富豪が熱望する「不老長寿薬」の正体 東洋経済オンライン
【PR】「健康寿命」を延ばす科学的な方法 老化細胞を除去する治療、長寿遺伝子を活性化する成分に注目
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