前回からファイトケミカルを大きく6つに分類したうち、ポリフェノール、カロテノイドを除いた4つ(含硫化合物、糖関連物質、アミノ酸関連物質、香気成分)を「その他」と一括りに説明しています。まずは含硫化合物に含まれる有名な栄養成分の紹介から始めました。
含硫化合物は硫黄化合物ともよばれ、強い刺激臭をもっていることが特徴です。この臭い成分に強力な抗酸化作用が含まれています。
含硫化合物の代表といえば、アリシンです。アリシンはにんにくなどに多く含まれている成分で、発ガン抑制効果、疲労回復効果、抗菌・殺菌効果、食欲増進効果などがあります。
アリシンは生のにんにくなどに含まれているアリインという成分が分解されることで生成されるものです。
にんにくなどを切り刻んだりすることでアリインの細胞が壊れ、アイリンの壊れた細胞が、にんにくなどに含まれている酵素アリナーゼと反応することでアリシンに変わるという仕組みになっています。
このアリシンも、いろんな条件(加熱など)のもとで、アリシンとは異なる性質をもつようになります。
まあアリシンはちょっとややっこしい仕組みになっているので気になるかたは前回のその19をご覧ください。
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そうはいっても今日で含硫化合物の紹介は終わりです。
今日紹介するのはつい最近(2017/11・16)テレビで紹介され一部美容・健康マニアに話題となった成分です。
スルフォラファン
スルフォラファンとは、ブロッコリーなどに含まれている ピリッとする辛み成分です。
含硫化合物は大きくイソチオシアネート(グルコシノレート)類、システインスルホキシド類、ポリスルフィド類に分類されると話しましたが、スルフォラファンはイソチオシアネート(グルコシノレート)類に含まれています。
まあそのへんはご勘弁ください。スルフォラファンはイソチオシアネート(グルコシノレート)の一種ということは覚えておいたほうがいい情報なので・・・
スルフォラファンはブロッコリーに含まれていることで有名ですがその含有量は微量です。なので食材から摂取するとするとブロッコリーの約10倍の含有量があるブロッコリースプラウトがおすすめです。
ブロッコリースプラウトとは、ブロッコリーの新芽のことをいいます。
まあ似ていますが、ちがいます。ブロッコリースプラウトはブロッコリーの新芽で、カイワレ大根は大根の新芽です。姿形が似ていますので間違えないようにしてください。ただ間違えてカイワレ大根を買ってしまってもスルフォラファンはある程度含まれているので安心してください。
あと、巷ではブロッコリースーバースプラウトというものも販売されています。ブロッコリースーバースプラウトはブロッコリーの発芽3日目の新芽のことをいいます。この「3日目」というのがミソで、なぜかよくわかりませんが、スルフォラファンの含有量がとてつもなく多い状態みたいのようです。ブロッコリーの20倍以上を含有していると言われています。当然ですが通常のスプラウトと比べて値段は高くなっています。
前回のアリシンと似た感じですが、厳密にいうとブロッコリースプラウトなどの食品に存在するのはスルフォラファンでなく、スルフォラファングルコシノレートという物質です。噛んだりすることでこの細胞が壊れ、その食品に含まれているミロシナーゼという酵素と反応しスルフォラファンに変化するというメカニズムです。
ようはブロッコリースプラウトをよく噛んで食べることでスルフォラファンを体内に取り込むことができるということです。
ブロッコリースプラウトは生で食べる人は多いと思いますが、ブロッコリーは茹でて食べるというかたが多いと思います。
この場合ブロッコリーに含まれているミロシナーゼが溶けだしてしまうためスルフォラファングルコシノレートがスルフォラファンに変換する量が減ってしまうことになります。たださえもスプラウトに比べて量が少ないのに、茹でることでさらにその量を減らすことになります。
まあそういう時は裏技がありまして、茹でたブロッコリーと大根おろしを一緒に食べることです。大根おろしにはミロシナーゼが含まれているので、茹でたことで失ったブロッコリーのミロシナーゼを補完するということになります。
一緒に食べることで、口の中でスルフォラファンが作られるというわけです。
12chでやっていた主、主治医が見つかる診療所からです
スルフォラファンの効果・効能
スルフォラファンの効果・効能をいくつかあげたいとおもいます。
まずは抗酸化作用です。
まあ、聞いてください。
スルフォラファンの抗酸化作用はちょっと今まで紹介してきた抗酸化物質とはニュアンスが違います。
そもそも抗酸化物質とはなんでしたか?
そうです。
ではなぜそのような抗酸化物質を取るように勧めてきたのでしたか?
そうです。
活性酸素は・・・
カチャ!!
とりあえず最後まで聞いてください。
まあ活性酸素って紫外線、喫煙、飲酒、過度の運動、ストレス、電磁波などから生まれてきてしまいます。我々が生活していくうえで過剰になりやすいというか、基本、過剰に発生するものと考えたほうがいいので、活性酸素の除去に働く抗酸化物質を食事などから積極的に取り入れる必要があるといいました。
ただ、我々の体内にはもともと活性酸素の発生を抑えたり、除去したり、無毒化させる抗酸化酵素が備わっていると話しました。
覚えていますか?
その通りです。
スルフォラファンの抗酸化作用とは体内にある抗酸化酵素を活性化させることです。
体内にはSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という酵素がありますが、この酵素の生成量は加齢とともに減っていきます。スルフォラファンはこのSODを活性化させ、生成を促す働きをします。
抗酸化物質には体内で生成されるSODなどの抗酸化酵素を活性化させ、その働きを長期的に持続させる力をもつものと、活性酸素が発生しているエリアで直接働き短時間で活性酸素を除去するものがあります。
スルフォラファンは前者の働きするを抗酸化物質といえます。特に体内でのこの作用の持続力が長いといわれ、3日間は続くといわれています(例えばビタミンCの抗酸化作用は数時間です)。
いえいえそんなわけはありません。
たくさんあると思いますよ。オブラードに包んで言えば、抗酸化物質って抗酸化酵素の代わりをしているようなものなので、それを活性化と捉えることもできますし・・・
ただスルフォラファンの抗酸化作用として強調されていたのが「抗酸化酵素(SOD)の働きを活性化させる」と「その作用の持続力が長い」ということでした。
いままでの抗酸化物質を数多く紹介してきましたけど、この部分が強調されているのってスルフォラファンしかなかったと思います。
スルフォラファンは他にも肝機能改善効果で有名です。
肝臓って栄養素の代謝や有害物質の解毒、胆汁の生成に関係していて「体内の化学工場」と呼ばれているほど重要な臓器です。
スルフォラファンはこの肝臓の働きのうち、とくに肝臓の解毒作用に関わっています。
肝臓には有害物質を解毒して無毒化するための解毒酵素グルタチオン S-トランスフェラーゼが備わっています。
あっ、それはここでは覚える必要はないと思います。
とにかく肝臓に解毒酵素が備わっていて、その酵素が有害な物質や重金属を無毒化したり、排出したりするのに関わっています。
で、スルフォラファンにはその酵素の生成を促進する働きがあります。この働きは肝臓の解毒機能を高めているともいえます。つまり肝機能改善効果があるといえるのです。
その他にも細胞分裂を活性化させ新陳代謝あげる効果やピロリ菌の感染を予防する効果などがあります。
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えーとスルフォラファンの説明は終わりです。
ファイトケミカルの含硫化合物の説明も終わりです。
残るは糖関連物質、アミノ酸関連物質、香気成分の3つです。
気合いれて頑張りましょう!
今日も含硫化合物の紹介するの?