コエンザイムQ10

コエンザイムQ10の評価 S

コエンザイムQ10

ビタミン様物質

ビタミン様物質とはビタミンと似た生理作用をもっている有機化合物のことをいいます。ビタミン同様に代謝において重要な役割を果たします。
が、ビタミンの定義から外れているためこのように呼ばれます。

ビタミンの定義

ビタミンとは人の生命維持に必須であるものの 、体内で合成することができない(できたとしても必要とする量を体内で合成することができない)ため食品から摂取しなければならない有機化合物をいいます。

そのためにはビタミンの定義の検討から始めるべきです.「生命維持に必須の微量作用低分子有機化合物で ,必要量だけ自己体内で合成できないもの」というのが ,ビタミンの定義となっております,

引用元
ビタミンの必要量を再考する
J-STAGE

コエンザイムQ10はビタミン様物質に分類されます。
コエンザイムQ10はチロシンアセチルCoAから体内で合成されます。ただし、体内での合成力は20歳前後をピークに急激に低下するとされています。

そのためコエンザイムQ10の体内の存在量は加齢とともに減っていきます。
20歳の心臓での量を100%とした場合、40歳では約68%に、80歳では約43%まで落ち込みます。

 

 

10の意味

コエンザイムQはキノン骨格(ベンゾキノン環)イソプレノイド側鎖から成る化合物です。

Ubiquinone構造式

出典元
ユビキノン
ウィキペディア

ベンゾキノン環チロシンから合成され、イソプレノイド側鎖アセチルCoAからメバロン酸経路を経て合成されます。

Qに続く数字「10」はイソプレノイド側鎖の長さを示しています。
コエンザイムQ10の「10」は側鎖のイソプレン単位の数が10(イソプレノイド側鎖が10回繰り返されている)であることを示しています。

コエンザイムQには側鎖の数の違いによる同族体がいくつか存在します。
人間を含む高等動物に存在するのは側鎖「10」の コエンザイムQ10です。

ちなみに酵母ではコエンザイムQ6で、ラットはコエンザイムQ9です。

 

別名 ユビキノン

コエンザイムQ10はユビキノンとも呼ばれます。

生体内では酸化型コエンザイムQ10(ユビキノン)還元型コエンザイムQ10(ユビキノール)の2種類が存在しています。

コエンザイムQ10はミトコンドリアにおける電子伝達系の複合体ⅠおよびⅡ複合体Ⅲ間の電子の受け渡しをする際に働きます。
複合体ⅠおよびⅡから電子受け取ったユビキノンがユビキノールに変わり、ユビキノールはその電子を複合体Ⅲに渡す働きをします。

酸化型【=ユビキノン】→還元型【=ユビキノール】の変換を行うことで電子の受け渡し
を行います。

電子伝達系の構成成分であるコエンザイムQ10にはエネルギー産生賦活作用があります

 

還元型が主

体内で合成されるのは還元型です。
体内にあるコエンザイムQ10の大半は還元型で存在します。
血液中のCoQ10の95%以上が還元型で存在すると言われています。

コエンザイムQ10には抗酸化作用がありますが、コエンザイムQ10の抗酸化活性は還元型のみが示します。

 

コエンザイムQ10のサプリについて

サプリには酸化型と還元型の2種類があります。

◆酸化型


◆還元型

酸化型は小腸で吸収されるときに還元型に変化します。還元型はそのまま吸収されます。

酸化型の「還元型に変化される能力」は加齢とともに低下すると言われています。
なので体内での「効率的な利用」を考えた場合、還元型のサプリを選択することがベターです。

一般的なコエンザイムQ10のサプリは酸化型です。
還元型の場合はその明記があります。

海外では主にユビキノールとして販売されているのが還元型コエンザイムQ10のサプリです。

 

コエンザイムQ10の効果・効能

エネルギー産生

糖質・脂質からのATPの生成過程の大まかな流れ以下です。

糖質の場合(好気的条件)は
グルコース→解糖系→TCA回路→電子伝達系

脂質の場合は
脂肪酸→β酸化→TCA回路→電子伝達系

.
ここで電子伝達系にクローズアップします。

 

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電子伝達系
ミトコンドリアは外膜と内膜の二重の生体膜で構成されています。


外膜はおおもとを囲っている線、内膜はくねくねした部分の線です。

電子伝達系はミトコンドリアの内膜に存在します。
電子伝達系はミトコンドリア内膜上に存在する【呼吸鎖複合体と呼ばれるⅠ~Ⅳの複合体】や【補酵素】間で【解糖系およびβ酸化・TCA回路で生じ、NADHやFADH₂で運搬してきた電子】のやり取りが行われる過程のことをいいます。

出典元
ミトコンドリア呼吸鎖(電子伝達系)複合体と活性酸素種
理学部 生物学科
東邦大学

補足

  • 電子  
    e⁻ 電子 
    電子の流れ
  • 補酵素 
    Q ユビキノン
     QH₂ ユビキノール Cytc シトクロムC
  • 呼吸鎖複合体 
    Ⅰ~Ⅳ

※以降の文章中の文字の色は引用元イラストの色とリンクさせています。

コエンザイムQ10(ユビキノン)は補酵素として 電子伝達系の複合体Ⅰおよび複合体Ⅲ間の電子の受け渡しをする際に働きます。

 

 

イラスト中のNADHおよびFADH₂より運ばれた電子の流れをご覧ください。
電子伝達系では以下のように電子の受け渡しが行われています。

NADHからの電子の流れ
 
電子→複合体Ⅰユビキノン複合体Ⅲシトクロムc複合体Ⅳ酸素
 
FADH₂からの電子の流れ

電子複合体Ⅱユビキノン合体Ⅲシトクロムc複合体Ⅳ酸素

.
複合体Ⅰおよびから電子(e⁻)受け取ったユビキノン(Q)ユビキノール(QH₂)に変わり、ユビキノール(QH₂)はその電子(e⁻)複合体Ⅲに渡す働きをします。

その後は、複合体Ⅲシトクロムc複合体Ⅳという順に電子(e⁻)が渡されていき、最終的に酸素(O₂)と結合し水(H₂O)が生成されます。

電子伝達系を電子が通る際にミトコンドリア内膜の内外にプロトン濃度勾配が形成されます。
このプロトン濃度勾配を利用してATP合成酵素によりADPとリン酸からATPを産生します。

補足

電子伝達系に共役しておこる反応を酸化的リン酸化といいます。なおATP合成酵素複合体Vとも呼ばれます。

 

このようにコエンザイムQ10は電子伝達系において、「電子伝達体」の1つとして ATP産生に直接関与しています。
つまるところ、エネルギー産生において必要不可欠な存在です。

 

 

抗酸化作用

 スーパーオキシド除去 
スーパーオキシドは酸素に電子が1個加わった最も一般的な活性酸素です。生体内で生じるスーパーオキシドの約90%はミトコンドリアで発生しているとされています。電子伝達系における電子の伝達の際に、複合体Ⅰや複合体Ⅲから漏れ出した電子によって、酸素分子が一電子還元されスーパーオキシドが発生するとされています。
こちらのイラストのO2-がスーパーオキシドです。

出典元
ミトコンドリア呼吸鎖(電子伝達系)複合体と活性酸素種
理学部 生物学科
東邦大学

複合体Ⅰや複合体IIIから漏れ出しているのがお分かりいただけると思います。

スーパーオキシド(O2-)自身はさほど高い反応性を持っていませんが、酵素的あるいは非酵素的に還元を受け より反応性の高い活性酸素種となります。
より反応性の高い活性酸素種というのは過酸化水素(H₂O₂)ヒドロキシラジカル(•OH)です。

過酸化水素(H₂O₂)

スーパーオキシド(O2-)が生体にあるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)という抗酸化酵素の働きにより分解され、過酸化水素となります。
過酸化水素の反応性はそれほど高くなく、生体温度では安定しています。ですが、紫外線や金属と容易に反応して、傷害性の高いヒドロキシルラジカルを生じます。
体内では抗酸化酵素のグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)などにより安全な酸素と水に分解されます。

ヒドロキシラジカル(•OH)

過酸化水素が酵素によって十分に還元されない場合に、フェントン反応により生じます。
フェントン反応とは二価の鉄イオン(Fe²⁺)が過酸化水素と反応し、ヒドロキシラジカルを生成する反応のことです。
ヒドロキシラジカルは最も酸化力が強い活性酸素です。生体内の糖質・脂質・たんぱく質・核酸などに反応し障害を与えます。その結果、老化を促したり、遺伝子を傷つけがんを発生させたりします。活性酸素による多くの病気は、ヒドロキシルラジカルによるものと考えられます。

O2-【スーパーオキシド】を消去する抗酸化物質の1つがQ【コエンザイムQ10】です。

つまるところ
コエンザイムQ10は電子伝達系において「電子伝達体」の1つとして ATP産生に直接関与しながらATP産生に伴って発生した活性酸素を自らが消去するといった2役をこなしています。

 

 


 ビタミンEのリサイクル 
コエンザイムQ10は脂溶性の抗酸化物質です。
脂溶性抗酸化物質の代表ともいえるビタミンEとタッグとなり細胞膜の脂質過酸化反応を防止します。


左 ビタミンE 右 コエンザイムQ10

 

細胞膜においてビタミンEは自らの電子を与えることで活性酸素(フリーラジカル)と不飽和脂肪酸の反応を抑えて、過酸化脂質の生成および連鎖を防ぎます。


ビタミンEは自らが犠牲となり活性酸素を除去します

 

電子を与えたビタミンEは電子が1分子のビタミンEラジカルとなり、それによりフリーラジカルによる過酸化脂質の生成および連鎖的酸化を防ぎます


ビタミンEラジカルになったビタミンE

 

コエンザイムQ10はビタミンEラジカルを還元してビタミンEの抗酸化力を再生する働きをします。


コエンザイムQ10の愛の力で、無事元の姿に

 

コエンザイムQがいなかったら・・・

ビタミンEはラジカルのままだとビタミンEラジカル自身が脂質を酸化させてしまいます。
つまりビタミンEラジカルのままだと脂質の過酸化が進行することになります。


ビタミンEラジカルのままだと・・

細胞をムシャムシャ ムシャムシャ


まわりに活性酸素を発生させて連鎖的酸化を引き起こします

ということで【ビタミンEの力を最大限に発揮する】にはコエンザイムQ10の存在が必要不可欠となります。

なおビタミンEを還元したコエンザイムQ10は酸化型となりますが、酸化型は血流をめぐり肝臓に吸収された後に還元されます。そして再び還元型となって血液中に放出され全身をめぐります。

ちなみにコエンザイムQ10は体内で合成できる唯一の脂溶性抗酸化物質です。

 

 

コエンザイムQ10によくあるキャッチフレーズ集

  • エネルギッシュな日々をサポート
  • 毎日の疲労を軽減したい人に
  • 加齢とともに減ってしまう成分
  • 若々しさを保つのに欠かかせない
  • 若々しさ&美しさを応援してくれる人気のサプリ

 

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コエンザイムQ10の摂取量、不足、過剰

コエンザイムQ10の摂取量
日本のサプリメーカーはコエンザイムQ10の1日当たりの目安摂取量を60~100㎎に設定しているところが多いです。
海外では100㎎~を目安としていることが多いです。

「いわゆる健康食品」としては、1日推奨量が60mgの製品が最も多く流通しており、30mgを超える製品が80%以上を占めているほか、300mgの製品も流通しています。また、米国においては、サプリメントとして1日推奨量が100mgの製品が最も多く流通しており、多いものでは1200mgの製品も流通しています(平成16年11月(財) 日本健康・栄養食品協会調べ)。

引用元
コエンザイムQ10の安全性に関する食品安全委員会 への食品健康影響評価の依頼について
報道資料発表
厚生労働省

引用元(リンク先)によると、1日300㎎までの摂取は安全であるとのデータが得られているようです。

 
コエンザイムQ10の不足
コエンザイムQ10は体内で合成できます。が、その産生量は加齢とともに減っていきます。
20歳の心臓でのコエンザイムの存在量を100%とした場合、40歳では約68%に、80歳では約43%まで落ち込みます。
エネルギー代謝に深く関与するコエンザイムQ10が不足すると、効率良くエネルギーを作ることができなくなり疲労を感じやすくなります。
 
コエンザイムQ10の過剰
コエンザイムQ10は体内で作られる成分です。が、加齢とともに減ってしまう成分です。通常の食生活においては過剰を心配する必要はありません。
ただサプリを取りすぎた場合、吐き気、下痢などの副作用が生じることもあります。サプリを摂取する場合はその用量を必ず守ってください。

 

コエンザイムQ10の豆知識

もともとは医薬品
コエンザイムQ10はもともと心臓疾患の医薬品です。医薬品としてのコエンザイムQ10の効果・効能は「基礎治療施行中の軽度及び中等度のうっ血性心不全症状」です。
2001年3月の食薬区分の改定により食品として利用が認可されました。
 
ワルファリン
ワルファリンはビタミンK類似構造のクマリン誘導体で、血液を固まりにくくし、血栓ができるのを予防する薬です。コエンザイムQ10とワルファリンの併用によりワルファリンの抗凝固効果が薄れてしまった症例が報告されています。
そもそもサプリと医薬品と併用する場合は、必ずかかりつけの医師に相談してください。
 
食事からは難しい
日本人の食生活におけるコエンザイムQ10の摂取は1日約5㎎とされています。対して1日の目安摂取量(の一例)は100㎎です。
コエンザイムQ10が多く含まれている食品として魚類「イワシ」・肉類「牛肉」・野菜「ブロッコリー」が有名ですが、100㎎に達するにはイワシ約20匹、牛肉約3kg、ブロッコリー約12kgが必要です。食事からだと非常に厳しいため、サプリを上手に活用することをお勧めします。

参照
食欲の秋。しっかり食べていても疲れ気味。コエンザイムQ10不足かも?
健康食品のインシップ
(株)インシップ

 
いびき
寝ているときは舌や喉の周辺の筋肉が緩みます。


その結果、のどの奥の空間が狭くなり「いびき」が生じます。

電子伝達系の構成成分であるコエンザイムQ10はエネルギー産生作用を有します。この作用は舌や喉の周辺の筋肉細胞の活性化につながるといわれています。
そのためコエンザイムQ10の摂取はいびきの予防・改善につながると考えられます。

実際、それを目的としたサプリが販売されています。

 
片頭痛
片頭痛もちの人は細胞内のミトコンドリアの働きが悪いといわれています。ミトコンドリアの電子伝達系で働くコエンザイムにはミトコンドリア賦活効果があります。片頭痛の予防に効く成分の1つとされています。
 
加齢臭
コエンザイムQ10には加齢臭を抑制する働きがあるようです。

資生堂は、高い抗酸化作用を持つコエンザイムQ10に、体表ではなく体内から放出される加齢臭の原因物質ノネナールを抑える効果があることを世界で初めて発見しました。 コエンザイムQ10を4週間摂取したところ、肌の内側から放出されるノネナールの濃度が2~3割減少し、加齢臭が顕著に抑制されました。

引用元
コエンザイムQ10に体内から放出される加齢臭の抑制効果を世界で初めて発見
ニュースリリース(株)資生堂 HP


 

コエンザイムQ10と相性の良い栄養成分

エネルギー産生関連
・αリポ酸
・Lカルニチン

 

抗酸化作用関連
・ビタミンE

 

吸収率アップ目的
・バイオぺリン

 

コエンザイムQ10のレーダーチャート解説

評価基準

  • 6 
    このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる
  • 5 
    このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる

  • このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる
  • 3.5 
    このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない

  • このカテゴリーになんらかの効果があるもの

  • このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる

  • このカテゴリーとは関係ないと思われる

※4以上が摂取目的となっているカテゴリー 

 

 

コエンザイムQ10 総合評価 S 17

 総合評価について
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS  18点
S  16点以上
A+ 14点以上
A  12点以上
B+ 10点以上
B  9点以下

 髪(白髪) 評価3.5 
髪(頭皮)は細胞分裂が活発な場所です。一方で生命に関わらないためエネルギーの供給が体の中で一番後回しにされています。頭皮に存在する毛母細胞、毛乳頭細胞、色素細胞など「髪」に関わる細胞が機能するには多くのエネルギーを要します。なのでエネルギーが不足すると髪にも大きな影響を受けると考えられます。

影響を受ける=薄毛&白髪になる です。電子伝達系の構成成分として ATP産生に直接関与しているコエンザイムQ10は、このエネルギー視点の髪の悩みの解決策となりそうです。

 

 肌(美肌)評価5 
コエンザイムQは美肌作りに貢献する成分です。主たる理由は繊維芽細胞の活性化とコラゲナーゼの発現抑制にあります。

繊維芽細胞の活性化
真皮は「コラーゲン」「エラスチン」といった線維状のたんぱく質と「ヒアルロン酸」などのゼリー状の基質でできています。
コラーゲン・エラスチンが皮膚を支え、ヒアルロン酸が真皮の水分量を一定に保つ働きをしています。これら3つの成分の働きにより肌にハリ・弾力・潤いが生まれます。なお3つの成分を生み出しているのは繊維芽細胞です。


真皮はひし形が並んでいる部分です。


紫の薄い線はコラーゲン、そのつなぎ目にある濃い紫の線はエラスチン、それ以外の部分はヒアルロン酸など 、◎は繊維芽細胞です。

コエンザイムQ10の「細胞内でエネルギーの生成を促し、細胞を活性化させる」働きは、真皮の繊維芽細胞にもあてはまります。
繊維芽細胞の活性化は「コラーゲン」「エラスチン」「ヒアルロン酸」といった美容成分の産生につながります。

コラゲナーゼの発現抑制
コラゲナーゼとは、コラーゲンを分解する酵素のことです。なのでコラゲナーゼを阻害する成分にはしわ・たるみなどに対する予防・改善効果が期待できます。

コラゲナーゼは紫外線暴露(特に真皮まで届くUVAの照射)により繊維芽細胞にて産生されます。

コエンザイムQ10にはUVA照射による線維芽細胞のコラゲナーゼ発現の抑制作用があります。
そのためコエンザイムQ10が含有されている化粧品がよく販売されています。

 

 

 体型(ダイエット)評価5.5 
エネルギー(ATP)に代謝されなかった糖質・脂質は中性脂肪として体に蓄えられます。コエンザイムQ10はミトコンドリアの電子伝達系の構成成分です。その摂取はATP産生速度を速めてATP産生量を増やします。

「ミトコンドリアのCoQ10の総量と ATP生合成の活性とが相関する」といわれているほどコエンザイムQ10はエネルギー代謝において重要な存在です。

コエンザイムQ10は余分な脂肪の蓄積を防ぐ(by 糖質エネルギー代謝促進)脂肪の燃焼を促進する(by 脂質エネルギー代謝促進)ので ダイエット効果が高い成分といえます。

 

 体力(普段)評価6 
コエンザイムQ10は疲労回復効果があります。エネルギー媒体物質「ATP」の産生に欠かせない成分だからです。
簡単に説明します。

グルコースと脂肪酸は

糖質の場合(好気的条件)は
グルコース→解糖系→TCA回路→電子伝達系

脂質の場合は
脂肪酸→β酸化→TCA回路→電子伝達系

といった流れでATPに変換されていきます。

電子伝達系はミトコンドリア内膜の複合体や補酵素間で電子(解糖系およびβ酸化・TCA回路で生じ、NADHやFADH₂で運搬してきた)のやり取りが行われる過程のことをいいます。
これにより生じるプロトン濃度勾配を利用してATPの合成が行われます。

電子伝達系でコエンザイムQ10は補酵素として機能します。

電子の流れ

 
NADHからの電子 →複合体Ⅰ→ユビキノン→複合体Ⅲ→シトクロムc→複合体Ⅳ→酸素

FADH₂からの電子→複合体Ⅱ→ユビキノン→複合体Ⅲ→シトクロムc→複合体Ⅳ→酸素

複合体ⅠおよびⅡから電子受け取ったビキノン(酸化型コエンザイムQ10)ユビキノール(還元型コエンザイムQ10)に変わり、ユビキノールはその電子を複合体Ⅲに渡す働きをします。

ということで、電子伝達系の構成成分であるコエンザイムQ10はエネルギー生成過程において必要不可欠な存在です。
コエンザイムQ10を摂取することは疲労回復につながります。

 

 

 その他(抗酸化)5.5 
コエンザイムQ10の抗酸化作用の特徴を簡単にまとめました。

  1. ATP産生に関与、かつ、そこで発生する活性酸素を除去する
    コエンザイムQ10は電子伝達系において「電子伝達体」の1つとして ATP産生に直接関与しながらATP産生に伴って発生した活性酸素を自らが消去するといった2役をこなしています。
  2. ビタミンEを再生する
    コエンザイムQ10はビタミンEラジカルを還元してビタミンEの抗酸化力を再生する働きをします。
  3. 体内で合成できる
    コエンザイムQ10は体内で合成できる唯一の脂溶性抗酸化物質です。

コエンザイムQ10は非常に強い抗酸化作用をもっているといえます。

 

 

コエンザイムQ10  参照一覧

コエンザイムQ10について (Ver.181218) 「健康食品」の安全性・有効性情報 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 

コエンザイムQ10の安全性に関する食品安全委員会 への食品健康影響評価の依頼について 
報道発表資料 厚生労働省 

注目の成分 還元型コエンザイムQ10 健康カガクラボ (株)カネカ

コエンザイムQ10 J-STAGE 

食事から摂りたい還元型コエンザイム Q10 J-STAGE 

還元型コエンザイムQ10(ユビキノール)の生理機能と健康 J-STAGE

コエンザイムQの体内動態・代謝と作用機構 J-STAGE 

コエンザイムQ10 による脂肪組織の代謝制御を介した抗肥満・抗糖尿病効果 J-STAGE 

コラゲナーゼ産生を抑制するコエンザイムQ10配合リポソーム (EXTRASOME® Q10)
J-STAGE 

コエンザイムQ10 研究情報 今、注目していること (株)シクロケムバイオ 

第62回 学ぶこと、伝えること 医療薬学科 教員コラム 姫路獨協大学 

【共同研究報告】コエンザイムQ10のしわ改善のメカニズムを細胞レベルで明らかに。
常盤薬品工業(株)

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