ビタミンB1の評価 S
目次
ビタミンB1
ビタミンB1は水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一種です。ビタミンB1(以下文章内はB1)の化学名はチアミンです。
B1は3大栄養素すべての代謝に関係していますが、特に糖質の代謝に深くかかわっている成分です。
B1を知る上で必要な情報①ビタミン②水溶性ビタミン③ビタミンB群④代謝(酵素、補酵素)⑤TCA回路(クエン酸回路)について述べます。
ビタミンは13種類あり、水溶性ビタミン(9種類)と脂溶性ビタミン(4種類)に分類されます。水溶性ビタミンの主な働きは「代謝」をサポートすることで、脂溶性ビタミンの主な働きは「体の調子」を整えることです。
ひとまとめにされている理由としては
①発見されたときはこの8つのビタミンはひとつのビタミンだと思われていたという説と
②水に溶けて、代謝にかかわるビタミンは同一物質と考えられひとつにまとめられたという説があります。
サプリメントなどでB群という複合体の形をとっている理由は、この8つは単体ではあまり効果を発揮できず、他のB群と一緒にとることで活性型(補酵素型)にかわるからです。体内で利用されるためには活性型(補酵素型)に変換される必要があります 。
食事から摂った3大栄養素を、消化酵素(プラス補酵素)によって、吸収しやすいように分解して、
代謝酵素( プラス補酵素)と酸素によって、代謝という過程を経てエネルギーや体の材料となるもの(筋肉、臓器、皮膚、血管、髪など)を作っていきます。酵素は触媒することで、代謝に関わっています。
それ自身は変化しないで他の物質の化学反応を促進すること
ビタミンは酵素の補酵素として代謝に関わっています。補酵素の役割とは酵素が起こした化学反応によりできた物質を運搬したり、酵素の構成成分の一部として働いたりすることです。
そのTCA回路に入るには基本的にアセチルCoAという物質に変化さなければなりません。
食事などから取った3大栄養素は消化酵素により分解され、分解されたものは細胞内のミトコンドリアに入り、アセチルCoAという物質に代謝されます。この代謝経路は3大栄養素それぞれ異なります。
その経路でさまざまな酵素が触媒として働き、ビタミンB群はその補酵素として関わってきます。
TCA回路内では、取り入れられたアセチルCoAがオキサロ酢酸と結合しクエン酸となり、8種類の酸に次々と変化しながら回転します(→クエン酸→イソクエン酸→αケトグルタル酸→スクシニルCoA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸→)。
酸素と結合し、TCA回路が上手に回転(変化)することでアセチルCoAが完全燃焼し、二酸化炭素と水を発生させます。またNADH、FADH2を産生します。
このサイクルで燃焼してできた熱がATPというエネルギーを貯蔵する物質となります。
生み出されたATPがエネルギーとしてたんぱく質の合成、筋肉の収縮、脳(神経細胞)の活動などに使われています。
このサイクルの代謝過程のいたるところでも酵素が触媒として働いていてB群はその酵素の補酵素として活躍します。補酵素であるB群が不足するとTCA回路の回転が上手く回らず、エネルギーを十分に作り出せなくなります。
ビタミンB1の摂取目的
B1の摂取目的は、体型「ダイエット」、体力「普段」、その他「代謝」です。
体力 「普段」
その他「代謝」
ビタミンB1の効果・効能
糖質の代謝
B1は糖質の代謝において、補酵素として深く関わっています
体内に取り入れられた糖質は消化、分解されブドウ糖なります。このブドウ糖が血液の流れにより、全身の細胞に運ばれエネルギーにかわります。
解糖系という糖質のエネルギー代謝経路において、ブトウ糖はピルビン酸という物質に代謝されます。酸素がある状態では、このピルビン酸がアセチルCoAという物質に代謝され、次の代謝経路(TCA回路)に入ります。
B1はピルビン酸からアセチルCoAに変化する際に働く酵素の補酵素として関わっています。B1が不足している場合、この代謝がうまくいかず、体内にあるブドウ糖はピルピン酸のままで残ってしまいます。そのピルピン酸は酸素が足りていないときに乳酸という物質に変わってしまいます。
乳酸の分解
乳酸は分解されるとエネルギーになりますが、分解されずに溜まると他の代謝を邪魔をし疲労を感じさせるものとなります。そのため疲労物質とも呼ばれています。
この乳酸の分解にもB1がかかわっています。なのでB1が不足することにより乳酸が分解されず溜まっていってしまい疲労が蓄積されてしまいます。
糖質のエネルギー代謝、乳酸の分解に関わるB1が不足すると、エネルギーが作られにくく、疲労を感じやすくなります。
脳
糖質は※脳の唯一のエネルギー源です。B1が不足していると糖質の代謝が上手くいかず、エネルギーが作られにくくなります。脳へのエネルギーも減ってしまうということです。
ちょっとしたことでくよくよしたり、ささいなことでイライラしたり、集中力や記憶力も低下します。B1をしっかりと補給することが大切となります。
※脳の唯一のエネルギー源という表現をしていますが、厳密にいうとケトン体という物質がブドウ糖の代わりに脳のエネルギー源として働くことができます。ケトン体は脂肪酸が分解されたときに生まれる物質です。
神経伝達物質
B1は神経伝達物質の合成の際にも必要となる成分です。神経伝達物質とはアドレナリン、ノルアドレナリンなどの「やるき」「集中力」「ストレス」などにかかわる物質です。
ビタミンB1のサプリメントにあるキャッチフーズ集
- 活力ある生活にかかせない栄養素
- 疲労を感じやすいかたにおススメ
- スポーツをよくし、エネルギーを使うかたに
- 脳の働きをサポート
- たばこ、お酒をよく飲むかたに
ビタミンB1の摂取量、不足、過剰
糖質は脳のエネルギー源であるので、脳のエネルギー不足につながります。いらいらしたり、やるきがでなかったり、集中力や記憶力が低下します。B1が不足している状態が続くとウェルニッケ脳症を発生させます。ウェルニッケ脳症とは意識障害、眼球の運動麻痺、歩行運動失調がおきる病気です。
ビタミンB1の豆知識
アルコールほどではありませんが、清涼飲料水や甘いものでも消費が激しくなります。
B1は余剰に摂取すると排泄されますが、アリチアミンは血液中に長くとどまり、ゆっくりとB1とアリシンに分解されます。
このことは余剰なB1をムダに排泄することなく、体内に長くとどまらせ有効活用することができるといえます。
これに比べて、精白米はB1の量が少なくなっています。なぜなら胚芽は精製される過程で失われるからです。精製度が高ければ高いほどB1は少なくなり、水でとぐと水溶性であるB1はさらに減ってしまいます。
白米として食べることにより、胚芽にあった豊富なB1はほとんどなくなっています。なのでB1がたくさん含まれているおかずをプラスすると良いでしょう。
ビタミンB1のイメージ

豚肉

ザ・エネルギー
ビタミンB1と相性の良い栄養成分
・アリシン
・糖質
・ビタミンB2
・ビタミンB6
ビタミンB1の勝手にランキング
体型(ダイエット)部門 第6位
体力(普段)部門 第2位
ビタミンB1のレーダーチャート解説
- 6
このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる - 5
このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる - 4
このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる - 3.5
このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない - 3
このカテゴリーになんらかの効果があるもの - 2
このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる - 1
このカテゴリーとは関係ないと思われる
※4以上が摂取目的となっているカテゴリー
ビタミンB1 総合評価 S 17
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS 18点
S 16点以上
A+ 14点以上
A 12点以上
B+ 10点以上
B 9点以下
髪(薄毛) 評価3
B1が薄毛にピンポイントで関わっている点を見つけることができませでした。あえて関連性を見つけるとしたらストレスからくる薄毛です。B1は脳のエネルギー源となる糖質の代謝を助けます。B1が足りていないと脳へのエネルギー供給が上手くいかず、いらいらしストレスがたまりやすくなります。髪にも少なからず影響を与えます。
肌(美肌) 評価3.5
B1は、同じB群のB2、B6とともに皮膚や粘膜の健康を維持する効果があります。そのため、肌荒れ、カサツキといった肌トラブルを防ぎます。肌のターンオーバーを正常に戻す働きもあります。B1は肌荒れ、ニキビ、吹き出物などに効くとされるビタミン剤には必ず配合されている成分です。
肌トラブルが起きてしまった場合は、B1、B2、B6を摂取するのが改善につながります(特にB2が重要です)。美肌目的でB1を飲んでいないので評価が3.5となっていますが、美肌目的として摂取するのは大「あり」です。
体型(ダイエット) 評価5.5
ダイエットしている方にはおすすめです。ダイエットというよりは肥満を予防したい方という表現のほうがいいと思います。日本人の主要なエネルギー源である糖質の代謝にB1が深く関わっているからです。
取り入れた糖質がエネルギーに変換されなければ、体内に中性脂肪として蓄積されてしまいます。糖質のエネルギー代謝にかかわるB1が不足しているとこの傾向を強めてしまいます。
体力(普段)評価6
この部門においては文句のつけようがありません。主要なエネルギー源である糖質のエネルギーへの変換をB1は補酵素として手助けしています。
糖質からエネルギーをつくる場合(酸素があるとき)、TCAサイクルというエネルギーを生み出すサイクルに入らなければならないのですが、それに入り込むための物質になる代謝過程(ブドウ糖→ピルビン酸→アセチルCoA)でB1は補酵素として働いています(B1が働くのはピルピン酸→アセチルCoAの代謝の時)。
そのTCAサイクルでは取り入れられたアセチルCoAがオキサロ酢酸と結合しクエン酸となり、8種類の酸に次々と変化しながら回転してエネルギー(ATP)を生み出すのですが、この代謝過程でもB1は活躍しています。
無酸素の場合、ピルピン酸からアセチルCoAにならず、乳酸という物質になってしまいます。この乳酸を分解してエネルギーを生み出す代謝過程でもB1が活躍します。ちなみに乳酸が分解されないで蓄積すると疲労感を半端なく感じます。
専門用語連発でグダグダ書きましたが、B1はエネルギーを作り出す、疲労回復には欠かせない栄養素なのです。
その他(代謝) 評価5.5
B群自体が「代謝のビタミン」と呼ばれているので、それに含まれるビタミンは当然ですがこの部門の評価は高いです。B1は3大栄養素のすべての代謝に関わっていて、特に「糖質の代謝」に関わっています。上で述べたように糖質はエネルギーを生み出すうえで重要な栄養素であります。その代謝に深くかかわるB1もまた重要といえます。
ビタミンB1雑感
B1はリア充には欠かせない成分です。仕事バリバリ、週3でスポーツジム、週末は食べログ評価の高いところで食事などなどエネルギッシュで、キラキラ輝いている毎日を送る人にぴったりの成分です。
ご存知と思いますが、日本人の主要なエネルギー源は米、パンに多く含まれる炭水化物です。だいたいの人は1日に消費するエネルギーの約6割を炭水化物から摂取しているといわれています。一応チープな円グラフだしておきます。
炭水化物をブドウ糖に分解し、それを血液の中に取り込み、全身の細胞へ送りエネルギーにかえるといった代謝の過程で働いているのが酵素であり補酵素であります。で、B1はこの代謝過程で補酵素としてすごーく関わっているのです。
なんか補酵素という言葉は、酵素の補欠みたいな感じで別になくてもいいんじゃねと思う方はいるかもしれません。
そんなことはなく補酵素がなければ、酵素が働かないのでその言葉以上にとっても重要な存在なのです。
私は何を言っているのでしょうか・・・
とにもかくにもB1はまさしくザ・エネルギーといえる成分なので、すでに充実している生活を送っている人や、充実した生活を送りたい人には必須です。
あとは肥満を防ぎたい人にもおすすめです。糖質はエネルギー源として優秀ですが、3大栄養素の中で一番エネルギーが余剰になりやすい栄養素といえます。体内に入ったブドウ糖がエネルギーとして使われなかったり、エネルギーに変換できなけばどこにいくかというと 脂肪細胞にいきます。
ようは中性脂肪となるわけです。
なので糖質をたくさん食べる人は、それをエネルギーに変えるためB1もたくさん取らなければなりません。
えーとB1のいいところはまだまだあります。
B1の素晴らしい効果はなんといっても疲労回復効果でしょう。
筋トレとか激しい運動をしたりすると乳酸がたまります。乳酸は以前は単なる疲労物質と考えられていましたが、乳酸が分解されればエネルギーになるのでそういう考えはなくなりました。
乳酸が分解されればです。
されないで、乳酸が溜まっていくと他の代謝を邪魔する存在となり疲労が蓄積されてしまうのです。なので乳酸はまあ疲労物質といえば疲労物質です。
で分解するのになにが必要かというとB1です。B1が乳酸を分解するのを助けてくれるです。
なのでビタミンB1が不足していると→疲れが取れない→体が重いといった疲労の蓄積になってしまうのです。
「疲れが取れない」「体が重い」こんな時は○○なんてCMみたことないですか?栄養剤とか滋養強壮剤とか・・
それには「B1配合」をすごくアピールしていませんか?
疲労回復目的の栄養剤のメインの成分ってB1です。
それってB1の糖質のエネルギー代謝を促進する働きや、乳酸を分解して疲労を取り除く効果によるところがすごーく大きいからなのです。
あと、うなぎやニンニク料理がスタミナ料理といわれる由縁は、B1が豊富だったり、B1の吸収や効果を高める成分が含まれていることからなのです。
豆知識ですけど栄養剤で有名なアリナミンドリンクってアリチアミン(ニンニクの成分アリシンとB1(チアミン)が結合した物質)からきているみたいです。
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とにかくB1を摂取することは疲労回復につながります。