グレープシードオイル(ブドウ種子油)の評価 A
グレープシードオイル(ブドウ種子油)
ブドウの種
グレープシードオイルはブドウの種から抽出される油分です。
その油にはリノール酸やオレイン酸などの必須脂肪酸が豊富に含まれています。
また、ビタミンEやブドウの種子にふくまれているポリフェノールも含まれてます。
貴重な油
ブドウの種子にふくまれている油分は、種子のうち約7~21%(=平均含油量は10%)と少ない割合になっています。
そのため、わずか100mlのオイルを作るのに100㎏ほどのブドウの種子が必要となります。
白ワイン
グレープシードオイルに使われるブドウの種子は白ワインを作るときに取り除かれる種子が使用されます。
◆赤ワイン
原料は黒ブドウ。果皮や種子と一緒にしてブドウ果汁を発酵させてから、果皮や種子を取り除き、さらに発酵させる。
◆白ワイン
原料は白ブドウ。果皮や種子を除いたぶどう果汁を発酵させる。
グレープシードオイルは白ワインを作るときに「副産物」として生まれた油です。
ワインの醸造工程で取り除かれるブドウの種子が原料となっています。
ということで、グレープシードオイルは白ワインの産地であるフランスやチリで生産されることが多くなっています。
さて、当たり前のことをいいますが、グレープシードオイルは「油脂」です。
なので、グレープシードオイルのメイン成分は当然ですが、「油(を構成している脂肪酸)」となります。
グレープシードオイルにふれる前に、脂質と脂肪酸について簡単に説明します。
脂質
脂質とは水に溶けず、有機溶媒に溶ける性質をもつ化合物の総称のことです。
脂質は化学構造の違いにより、大きく単純脂質と複合脂質と誘導脂質の3つに分けられます。
- 単純脂質
脂肪酸と各種アルコールのエステル
例 油脂、ロウ - 複合脂質
単純脂質にリン酸、糖などが結合したもの
例 リン脂質、糖脂質、リポたんぱく質 - 誘導脂質
単純脂質や複合脂質の加水分解や合成で生じるもの
例 ステロール類、脂溶性ビタミン類、脂肪酸
脂肪酸
脂肪酸は、脂質の主要構成成分で、脂質の性質を決定づける重要な要素となります。
脂質の性質=油(油の種類)や脂です。
出典元
すぐにわかるトランス脂肪酸
農林水産省
繋がっている脂肪酸の種類により、性質が決まります。
脂肪酸は、炭素(C)水素(H)酸素(O)が鎖状につながった形をしています。
炭素と水素が鎖状につながったもの(炭化水素鎖)の端にメチル基(CH3-)、もう一方の端にはカルボキシル末端(-COOH)が結合しています。
脂肪酸は炭素の数、つながり方【炭化水素鎖中の二重結合(C=C)の有無、二重結合の数、二重結合の位置】により、下記の出典元のように種類わけされています。
右端の絵🧴🐡は、その脂肪酸が多く含まれている油(の性質)や脂です。
出典元
脂質とEPA
EPA(イコサペント酸)について
エパデールT
商品情報サイト 大正製薬(株)
こちらの出典元を使用して、脂肪酸の種類について説明していきます。
あみだ形式(出典元の赤ライン)で最終的に EPA にたどり着くテイで脂肪酸の種類について説明していきます。
EPAを例に説明
予めいっておくと、EPAはグレープシードオイルとまったくもって無関係です(共通点は「油」であるぐらい)。
が、脂肪酸の種類を説明するにあたり、出典元の赤ラインがEPAに到着しているためにEPAで説明します。
さて、EPAの構造式はこちらです。
出典元
エイコサペンタエン酸
ウィキペディア
先の出典元&この構造式を照らし合わせながら、説明を聞いてください。
①二重結合(C=C)の有無
脂肪酸は二重結合の有無により、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。
- 飽和脂肪酸
二重結合なし - 不飽和脂肪酸
二重結合あり
EPAは二重結合があるので、不飽和脂肪酸に分類されます。
②二重結合の数
不飽和脂肪酸は二重結合の数により、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分かれます。
- 一価不飽和脂肪酸
二重結合が1個 - 多価不飽和脂肪酸
二重結合が2個以上
EPAは二重結合が5つあるので、多価不飽和脂肪酸に分類されます。
③二重結合の位置
多価不飽和脂肪酸は二重結合の位置により、次の2つに分けられます。
[/aside]二重結合の位置- n-3系脂肪酸(ω-3脂肪酸)
メチル基末端から数えて3個目の炭素に最初の二重結合がある - n-6系脂肪酸(ω-6脂肪酸)
メチル基末端から数えて6個目の炭素に最初の二重結合がある
出典元
エイコサペンタエン酸
ウィキペディア
EPAはメチル基末端から数えて3個目の炭素に最初の二重結合があるので、n-3系脂肪酸(ω-3脂肪酸)に分類されます。
ということで、無事 EPA に到着しました。
ネタバレですけど(次で説明します)、グレープシードオイルには「リノール酸」が豊富に含まれています。
ということで、先の出典元のあみだ形式だと、グレープシードオイルは【リノール酸 植物油🧴】に到着するものと考えてください。
グレープシードオイルの脂肪酸組成
グレープシードオイルの脂肪酸組成は次です。
- 多価不飽和脂肪酸 約70%
内訳 リノール酸 67~71% α-リノレン酸 ~1% - 一価不飽和脂肪酸 約20%
内訳 オレイン酸 18~20% パルミトレイン酸 0.5~0.7% - 飽和脂肪酸 約10%
内訳 パルチミン酸 6~8% ステアリン酸 3~4% その他 1%
※栽培地、収穫年度、収穫時期により異なります。
ご覧の通り、グレープシードオイルの主成分はリノール酸&オレイン酸です。
これにビタミンEとポリフェノールを加えた4つが、グレープシードオイルを特徴づける構成成分といえます。
さて、代表的な植物油の脂肪酸組成はこちらになっています。
出典元
脂肪酸は、どんな働きをしているの?
油に関するQ&A
日清オイリオグループ(株)
グレープシードオイル(右から3番目)は、他と比べてリノール酸が多いことが一目でわかります。
グレープシードオイル(ブドウ種子油)の効果・効能
まずはじめに、主成分である2つの脂肪酸リノール酸・オレイン酸について説明します。
その後に、グレープシードオイルの効果・効能として両 脂肪酸に共通する「LDLコレストロール低下作用」について説明します。
最後に、私見を勝手に語っていきます。
リノール酸について
リノール酸についてPOINTを箇条書きにしていきます。
- リノール酸は体内で合成できない必須脂肪酸です。
- リノール酸はω6脂肪酸に分類されます。
- 日本人が食品から摂取するω6脂肪酸の98%はリノール酸といわれています。
なので、ここでは、 ω6脂肪酸≒リノール酸と捉えてください - リノール酸は体内でγ-リノレン酸やジホモ-γ-リノレン酸やアラキドン酸に代謝されます。
- リノール酸から【Δ6不飽和化酵素の働きにより】γ-リノレン酸が生合成されます。
γ-リノレン酸は【Δ6脂肪酸伸長酵素の働きにより】ジホモ-γ-リノレン酸に変換されます。
ジホモ-γ-リノレン酸は【Δ5不飽和化酵素の働きにより】さらにアラキドン酸へ変換されていきます。 - 述べた代謝を図にすると以下になります(右のω6脂肪酸)。
出典元
α-リノレン酸
ウィキペディアリノール酸 → γ-リノレン酸 → ジホモ-γ-リノレン酸 → アラキドン酸 →
.代謝反応を触媒する酵素
◆ リノール酸 → γ-リノレン酸 Δ6不飽和化酵素
◆ γ-リノレン酸 → ジホモ-γ-リノレン酸 Δ6脂肪酸伸長酵素
◆ ジホモ-γ-リノレン酸 → アラキドン酸 Δ5不飽和化酵素 -
リノール酸にはLDL(悪玉)コレストロールを低下させる作用があります。この作用はオレイン酸より優れています。
- リノール酸は、体内で合成できない必須脂肪酸 & LDLコレストロールを低下させる作用を有する成分のため、 一見するとその摂取は体にとって良いと思われるかもしれません。
が、一般的に摂取を控えることを推奨されています。 - 次の段落にてその理由を説明します。
リノール酸の短所
- 揚げ物が多い現代の食生活において、日本人はリノール酸を過剰に摂取している傾向があります。
- リノールは取り過ぎるとLDLのみならず、HDL(善玉)コレストロールまで低下させてしまう作用があります。
- また、リノール酸の代謝物であるアラキドン酸からは「プロスタグランジン」「ロイコトリエン」といった炎症を促進させる物質が生成されます。
- つまるところ、リノール酸を取り過ぎると血栓や炎症の発生リスクが増加することになります。
- そのためω3脂肪酸(α-リノレン酸・DHA・EPAなど)を多く取って、ω6脂肪酸(リノール酸)を控えることが推奨されています。
ω3脂肪酸が重要な理由
- ω3脂肪酸とω6脂肪酸は、代謝酵素が共通です。
なので、一方が過剰であると、もう一方の合成が低下することになります。
出典元
α-リノレン酸
ウィキペディア「共通」の意味は真ん中をご覧いただくとお分かりいただけると思います。
- ω6脂肪酸のアラキドン酸は、過剰に存在すると、エノコサイド【プロスタグランジンやロイコトリエン】といった炎症を起こす物質に代謝されます。
→アラキドン酸カスケードと呼びます。ということで、ω6脂肪酸からは炎症を誘導する脂質メディエーターが産生されます。
- ω3脂肪酸のEPAやDHAからレゾルビンやプロテクチンと呼ばれる物質が作られます。この2つの物質はエノコサイド【プロスタグランジンやロイコトリエン】といった炎症を起こす物質の働きを抑制してくれる働きをします。
→アラキドン酸カスケードに対する拮抗作用をもちます。ということで、ω3脂肪酸からは炎症を抑制する脂質メディエーターが産生されます。
- ω3脂肪酸は、ω6脂肪酸と競合する(代謝酵素を奪い合う)ことで抗炎症作用を発揮します。
- 「競合」をあらわしたイラストがこちらです。
日本医事新報 No.4769 2015.9.19出典元
ω3系多価不飽和脂肪酸(EPA・DHA)を効果的に取り入れ、食生活を見直そう
武田薬報webホーム
武田コンシューマーヘルスケア(株)
結論
- ω6脂肪酸とω3脂肪酸の理想の摂取バランスは2:1~4:1とされています。
- が、現代の食事にはω6脂肪酸が含まれすぎておりバランスが10:1に、人によってはそれ以上(20:1~40:1)に崩れています。
- リノール酸の必須脂肪酸としての必要量は約1g~2g/日とされてます。
- 日本人の食事摂取基準ではリノール酸の目安摂取量は8g~11g/日(成人男性)・7g~8g/日(成人女性)となっています。
- が、実際の摂取量は13g~15g/日となっているとの報告がございます。
- 以上の理由から、リノール酸は取る栄養素というよりは、減らすべき栄養素といえるかもしれません。
オレイン酸について
- 日本人が摂取する一価不飽和脂肪酸の約9割はオレイン酸です。なので、一価不飽和脂肪酸≒オレイン酸といっても決して大げさではありません。
- オレイン酸は体内で合成できます。飽和脂肪酸のステアリン酸からΔ9不飽和化酵素の働きにより合成されます。
- 体内で合成されるものと食品からの摂取がオレイン酸の供給源となります。
- オレイン酸は 紅花油、なたね油、ひまわり油、オリーブオイルといった食用油に多く含まれています。
- 特にオリーブオイルに多く含まれていることで有名です。オリーブオイルの脂肪酸組成の約7~8割はオレイン酸です。
- オレイン酸の摂取は動脈硬化の予防になります。
理由はオレイン酸に血中の(善玉コレステロールは減らさず、)悪玉コレステロールのみを減らす働きがあるからです。
それでは、両者に共通する「LDLコレストロール低下作用」について説明します。
LDLコレストロール低下作用
まずコレストロールについて簡単にまとめました。こちらをご覧ください。
脂質の1種
脂質は中性脂肪・遊離脂肪酸・リン脂質・コレストロールの4種類
【供給源】
体内合成 70~80%
食事由来 20~30%
体内でのコレストロールは常に一定量が保たれるように調節されます。食事からの摂取量が多くなれば、体内での合成量は減ります。食事からの摂取量が少なければ、体内での合成量は増えます。
このフィードバック機構が破綻すると血液中に増えすぎて動脈硬化などを引き起こします。
1日に体重1kgあたり12~13mgのコレストロールを合成するとされています。体重50kgだと1日で約600mg~650mgのコレステロールが作られています。
食事由来のコレステロールはすべて吸収されるわけではありません。個人差はありますが一般的な吸収率は50%前後です。吸収されなかったものは糞便中に排泄されます。
またコレストロールは一緒にとる他の成分によっても吸収が変わります。例えば食物繊維を多く含む食事においては吸収率は下がります。
【どこで作られる】
主に肝臓
小腸、副腎皮質などでも合成されます。
【なにから作られる】
アセチルCoA
アセチルCoAを出発基質として、30段階ほどの酵素反応を経て生成されます。アセチルCoAは糖質(グルコース)・脂質(脂肪酸)・たんぱく質(アミノ酸)の中間代謝物です。
【どこに分布】
脳・筋肉・肝臓などの臓器
血液中
【コレストロールの働き】
- 細胞膜の構成成分
- ホルモンの原料
- 胆汁酸の原料
- ビタミンDの前駆体
【コレストロールの移動】
体内で合成された・食事から摂取されたコレストロールは他の脂質とともにリポたんぱく質を形成して血中を移動します。
リポたんぱく質を構成している成分は、中性脂肪、コレステロール、リン脂質、たんぱく質(アポたんぱく質)です。これら成分の比重の違いにより、リポたんぱく質の「性質(機能)」が異なってきます。
- カイロミクロン
食べ物からとった脂質(小腸で再合成されたもの)をエネルギーを必要とする組織に運ぶ。余ったものは肝臓に運ぶ。
中性脂肪が85~90%、コレストロールが5~7%、リン脂質が4~6%、たんぱく質が1~2% - VLDL(超低比重リポたんぱく)
肝臓でつくられた脂質(主に中性脂肪)を脂肪組織や筋肉などの末梢組織に運ぶ。
中性脂肪が50~55%、コレストロールが19~20%、リン脂質が18~20%、たんぱく質が8~10% - LDL(低比重リポたんぱく)
肝臓でつくられた脂質(主にコレストロール)を全身の組織に運ぶ。
中性脂肪が10~11%、コレストロールが45~46%、リン脂質が20~23%、たんぱく質が20~22% - HDL(高比重リポたんぱく)
肝臓、小腸、血液中でつくられて、血液中にたまったコレストロールを肝臓に運び戻す。
中性脂肪が4~5%、コレストロールが18~22%、リン脂質が20~24%、たんぱく質が42~55%
【コレストロールの種類】
コレストロールは大きく悪玉と善玉に分けられます。
リポたんぱく質のLDLに含まれているコレストロールを【LDL-C=LDLコレストロール=悪玉コレストロール】と呼びます。
HDLに含まれているコレストロールを【HDL-C=HDLコレストロール=善玉コレストロール】と呼びます。
LDLに含まれているコレストロールも、HDLに含まれているコレストロールも同じコレストロールです。コレストロールを運ぶ乗り物(リポたんぱく)の違いにより区別されているだけです。それなのに善玉と悪玉とわけられている理由は次です。
【コレストロールの特徴】
- LDL
LDLはコレストロールを必要とする組織に運搬する働きをします。そのコレストロールは細胞膜やホルモンの材料として使用されます。
なので、LDLそのものは「悪玉」ではありません。それなのに悪玉と呼ばれている理由は「余った」場合に体に悪影響を及ぼすからです。余ったLDLは血管壁に溜まり動脈硬化を進行させます。
- HDL
HDLは全身をめぐって血液中にたまったコレストロールを肝臓に運び戻す働きをします。
単に運び戻すだけでなく、動脈硬化が起きている場所(プラーク)からコレステロールを引き抜き、肝臓に回収し胆汁として排泄する働きをします。
.
さて、ここでグレープシードオイルに含まれる2つの脂肪酸の話に戻ります。
リノール酸およびオレイン酸にはLDLコレストロールを低下させる作用があります。
個々の特徴を述べます。
◆リノール酸
リノール酸のLDLコレストロール低下作用はオレイン酸より優れています。ただし、リノール酸は過剰になるとLDLのみならずHDLも減らしてしまう作用をもちます。
なので、過剰になると動脈硬化を招くといった、真逆の結果になってしまいます。
◆オレイン酸
オレイン酸のLDLコレストロール低下作用の注目すべきは、HDLコレストロールを減らさずに、LDLコレストロールを減らす作用があるという点です。ようは悪玉コレストロールだけを減らすということです。
よく、オリーブオイルが体に良いと言われる理由はオリーブオイルにオレイン酸が多く含まれているからです。
ということで、グレープシードオイルの適量摂取はLDLコレストロール値の低下が期待できます。
最後に勝手に語る
さて、昨今「オイルをスプーン1杯ペロリ」「オイルをドレッシング代わりに利用」など、
グレープシードオイルがそれにあてはまるかというと、
「サラダ油の代わりに加熱料理に利用する」あるいは「外用(スキンケア)に利用する」はアリですが、
その理由は、
- (グレープシードオイルの主成分である)リノール酸は、普段の食生活で十分にとれているので、あえて摂取する必要はない
- (グレープシードオイルの主成分である)オレイン酸を摂取目的とするのであれば、オリーブオイルを選択すればよい
からです。
世間で、グレープシードオイルの【直】摂取を勧める理由の中には「ビタミンEが豊富に含まれている」「ポリフェノールが豊富に含まれている」からがありますが、
ビタミンEを目的とするのであれば、他の食材やサプリで
ポリフェノールを目的とするのであれば、サプリあるいは果物のぶどう(皮ごと)で、
ということで、
グレープシードオイルは・・・
あえて・・・
なお、あくまでも個人的な意見です
びよ~ん
ぽろり~ん
含有されるビタミンEとポリフェノールに関して、サゲて書きましたが、
アゲて書くと以下になります。
グレープシードオイルに含まれるビタミンEは、オリーブオイルの2倍の含有量を誇ります。
グレープシードオイルは酸化されやすいリノール酸が多い割には【ビタミンEが多く含まれているおかげで、】酸化されにくい油といえます。
グレープシードオイル大さじ1杯で、赤ワイン2杯分のポリフェノールを摂取できるといわれています。
これはけっこうな量といえるかもしれません。
グレープシードオイル(ブドウ種子油)によくあるキャッチフレーズ集
- コレストロール0の健康食用油
- ブドウの種から絞り取ったさらりとした油
- 必須脂肪酸が豊富に含まれている
- 食用はもちろん、スキンケアにも
- お肌にうれしいビタミンEとポリフェノールを配合
グレープシードオイル(ブドウ種子油)の摂取量、不足、過剰
グレープシードオイルの脂肪酸組成の7割はリノール酸です。
リノール酸は多価不飽和脂肪酸のn-6系多価不飽和脂肪酸=ω6脂肪酸です。
ω6脂肪酸の目安摂取量は次です。
目安摂取量
8g~11g/日 成人男性
7g~8g/日 成人女性
※目安摂取量は年代により異なります。
※年代が上がるにつれ減らすことが推奨されています。下限である男性の8g、女性の7gはともに70代の目安摂取量です。
参照
日本人の食事摂取基準(2015年版)
厚生労働省
グレープシードオイルの主成分である脂肪酸「リノール酸」「オレイン酸」に関しても、基本不足の心配はいりません。
前者は取り過ぎている、後者は体内で合成できる&必要量とれているからです。
日本人が摂取する一価不飽和脂肪酸の約9割はオレイン酸なので、一価不飽和脂肪酸をそのままオレイン酸と置き換えて、それをオレイン酸の目安摂取量の1つの基準としていいと思います。
脂肪酸の理想の摂取バランスは【飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3】と言われています。
一価不飽和脂肪酸に関してはそれに近い値でとれています。
2010年の日本人の脂肪酸摂取状況【飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸の摂取量の割合】は およそ【32.1%:40.2%:27.6%】となっています。
参照
植物油に含まれる脂肪酸
一般社団法人 日本植物油協会
グレープシードオイルの主成分であるリノール酸の過剰摂取に関しては要注意です。
詳しくは、効果・効能欄をご覧ください。
グレープシードオイル(ブドウ種子油)の豆知識
グレープシードオイルは白ワインを作るときに取り除かれた種を使用しています。
種から油分を取り出す方法は2パターンあります。
種に圧力をかけて搾る「圧搾」と、溶剤を使って油を溶かし出す「溶剤抽出」です。
- 低温圧搾法(コールドプレス法)
低温(40~60℃以下)でゆっくりと時間をかけて圧力をかけながら油を抽出する方法。熱をあまり加えないため種子に含まれている成分が油に残る。 - 溶剤抽出法
ヘキサンなどの工業用の溶剤を使って油を溶かし出す方法。圧搾よりも効率的に油分を取り出せる。精製するまでに溶剤はほとんど除去されるが、「ほとんど」であってすべてではない。また高温処理で除去するため熱に弱い成分がなくなってしまったり、トランス脂肪酸が発生したりする。
ブドウの種子に含まれている平均含油量が約10%ため圧搾方法は難しいといわれています。なので市販されているグレープシードオイルの多くは溶剤抽出方法で生産されています。
こちらの商品は低温圧搾法のようです。
脂肪酸の理想の摂取バランスは以下です。
出典元
第6回脂肪酸学
一般社団法人Jミルク
多価不飽和脂肪酸のうち日本人が取りすぎている傾向があるのがω6脂肪酸です。理由としては日本人がω6脂肪酸のリノール酸をよく取るからです。
なので多価不飽和脂肪酸にも理想の摂取バランスがあります。
.・
普段の食生活において、飽和脂肪酸とω6脂肪酸の摂取を減らして、ω3脂肪酸の摂取を増やすことを心掛けることが大切となります。
グレープシードオイルには、ω6脂肪酸のリノール酸が豊富に含まれています。
グレープシードオイルにはエモリエント効果があります。
スキンケアにも適したオイルです。
グレープシードオイル(ブドウ種子油)のレーダチャート解説
- 6
このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる - 5
このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる - 4
このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる - 3.5
このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない - 3
このカテゴリーになんらかの効果があるもの - 2
このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる - 1
このカテゴリーとは関係ないと思われる
※4以上が摂取目的となっているカテゴリー
グレープシードオイル(ブドウ種子油) 総合評価 A 13.5
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS 18点
S 16点以上
A+ 14点以上
A 12点以上
B+ 10点以上
B 9点以下
グレープシードオイルの主成分であるリノール酸・オレイン酸の2つのうち、より当てはまる=点数が高いほうで評価します。どちらで評価するかは記載します(体力項目だけ脂肪酸として評価)。
2つの良いところ取りだけではアレなので、通常より点数は低めにつけています。
髪(薄毛)評価2.5
オレイン酸で評価
◆IGF-1
IGF-1は、構造がインスリンに極めて似ている成長因子です。細胞にある受容体に結合することでその細胞の働きを活性化させます。髪(頭皮)においては毛母細胞の受容体にIGF-1が結合すると毛母細胞の働きが活性されます。
髪はヘアサイクルの成長期に毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで髪が生まれ育っていきます。
成長期(約2年~6年)→退行期(約2週間)→休止期(約3カ月)→【脱毛】→再び成長期
その中で、特にIGF-1が大きく関わっているとされます。なのでIGF-1を増やすことができれば抜け毛を減らすことが可能となります(成長期が延び、一方で休止期が短くなる)。
さてIGF-1を増やす方法は成長ホルモンの分泌を促進すること or 胃や腸にある知覚神経を刺激することです。オレイン酸には知覚神経を刺激し、IGF-1 を増やす働きがあるとされています。
参照
わかめを食べると髪が生える!? 髪によい食事/抜け毛予防
毎日が発見ネット
肌(美肌)評価5
リノール酸で評価
◆乾燥・バリア機能(by 皮脂の構成成分)
皮膚の表面は皮脂で覆われています。
これを皮脂膜といいます。皮脂膜は肌の水分蒸散を防ぐ役割&外界からの異物の侵入を防ぐ役割を果たしています。
皮脂にはリノール酸が含まれています。乾燥・バリア機能に関与する脂肪酸の1つです。
◆乾燥・バリア機能(by アシルセラミドの構成成分)
表皮の角質層を構成する角質細胞の間には、「細胞間脂質」という脂質があります。
細胞間脂質は細胞と細胞をつなぎとめており、肌のバリア機能と水分保持機能の役割を果たしています。
細胞間脂質の半分以上はセラミドで占められています。セラミドは表皮におけるバリア機能と水分保持機能に深く関わる成分です。
向かって左がセラミドが十分な肌で、右が不足している肌のイメージです。
セラミドはスフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合した化合物の総称をいいます。セラミドはスフィンゴイド塩基と脂肪酸の組み合わせにより細かくわけると300種類以上あるとされます。
細かなセラミドを大別すると12種類にわけることできます。その中でも、肌のバリア機能や水分保持にとって重要な働きをするセラミドをアシルセラミドと呼びます。
アシルセラミドは、3つの成分で構成されています。そのうちの1つがリノール酸です(残り2つは長鎖塩基,オメガ水酸化超長鎖脂肪酸)。
体型(ダイエット)評価1.5
オレイン酸で評価
◆満腹中枢
脳の視床下部には、空腹を感じる「摂食中枢」と満腹を感じる「満腹中枢」が存在します。摂食中枢が刺激されれば空腹感を、満腹中枢が刺激されれば満腹感を感じるようになります。
オレイン酸には脳の視床下部にある満腹中枢を刺激し、食欲を抑える作用があるとされます。
1日2回食事のおよそ1時間前に大さじ1杯のオリーブオイルを取るダイエット法=オリーブオイルダイエットたるものがあります。
体力(普段)評価5
脂肪酸で評価
脂質は3大栄養素の中で最も効率の良いエネルギー源です。脂質のうちエネルギー源となるのは脂肪酸です。うち飽和脂肪酸が主要なエネルギー源です。
さて今まで、グレープシードオイルをリノール酸とオレイン酸で評価してきました。
- 多価不飽和脂肪酸 約70%
内訳 リノール酸 67~71% α-リノレン酸 ~1% - 一価不飽和脂肪酸 約20%
内訳 オレイン酸 18~20% パルミトレイン酸 0.5~0.7% - 飽和脂肪酸 約10%
内訳 パルチミン酸 6~8% ステアリン酸 3~4% その他 1%
※栽培地、収穫年度、収穫時期により異なります。
グレープシードオイルには主要なエネルギー源となる飽和脂肪酸もそこそこ含まれています。
その他(細胞)評価3.5
リノール酸で評価
ω6脂肪酸は体内で細胞膜やホルモンの原料となります。リノール酸はω6脂肪酸の出発物質です。リノール酸は体内で作ることができないため、外から摂取する必要があります。
グレープシードオイルには豊富に含まれています。
グレープシードオイル(ブドウ種子油) 参照一覧
植物油脂一覧表 カネダ(株)
代表的な植物油の種類 (株)J-オイルミルズ