ビタミンB1
別名 チアミン
13種類のビタミンの1種
9種類の水溶性ビタミンの1種
ビタミンB1とは
ビタミンB1について
- ビタミンB1は水溶性のビタミンです。
- ビタミンB1は天然ではチアミンと3種類のリン酸エステルとして存在しています。
出典元
ビタミンB1について
JFRL ニュース Vol.5 No.30
一般財団法人 日本食品分析センター3種類のリン酸エステル
- TMP
チアミンにリン酸が一つ結合したチアミン一リン酸 - TDP
チアミンにリン酸が二つ結合したチアミン二リン酸
※チアミンピロリン酸(TPP)とも言います。ここではTPPを使用します。 - TTP
チアミンにリン酸が三つ結合したチアミン三リン酸
- TMP
- ビタミンB1(チアミン)の活性型はTPPです。
- ビタミンB1(チアミン)は体内に入るとTPPとなり、ピルビン酸脱水酵素、α-ケトグルタル酸脱水素酵素、トランスケトラーゼの補酵素として働きます。
- ピルビン酸脱水酵素は解糖系とTCA回路の橋渡しをする酵素です。
α-ケトグルタル酸脱水素酵素はTCA回路で働く酵素です。
トランスケトラーゼはペントースリン酸回路で働く酵素です。ペントースリン酸回路解糖系の分枝路の1つです。グルコース-6-リン酸から出発し、フルクトース-6-リン酸またはグルセルアルデヒド-3-リン酸で再び解糖系に帰ってくる代謝経路です。この経路の主な役割はNADPHとリボース5-リン酸の産生です。
このようにビタミンB1は「糖質の代謝」に深く関わっています。
なのでビタミンB1が不足すると解糖系やTCA回路の代謝が円滑に行わなくなり、エネルギー不足に陥ります。 - また分岐α-ケト酸脱水素酵素の補酵素として、分岐鎖アミノ酸の代謝にも関与しています。
ビタミンB1の補足 その1
- 摂取したビタミンB1(チアミン)と3種類のリン酸エステルは消化官で消化されたあと吸収されます。
- ビタミンB1(チアミン)はそのままの形で、3種類のリン酸エステルは消化官のホスファターゼの作用によりビタミンB1(チアミン)となり、空腸・回腸において能動輸送で吸収されます。
なお食品中のビタミンB1の大部分はTPPで、酵素たんぱく質と結合した状態で存在しています。 - ビタミンB1(チアミン)となって吸収された3種類のリン酸エステルは、生体内で再びリン酸化されます。
TPPは酵素チアミンピロホスホキナーゼによりリン酸化されます。
ビタミンB1の補足 その2
- ビタミンB1(チアミン)は細胞内にはチアミントランポーターTHTR1およびTHTR2により取り込まれます。
取り込まれるとチアミンピロホスホキナーゼの働きによりTPPになります。出典元
チアミン(ビタミン B1)欠乏による神経組織障害
J-STAGETPPは細胞質ではトランスケトラーゼの補酵素としてペントースリン酸回路で働きます。
ミトコンドリア内ではピルビン酸脱水酵素、α-ケトグルタル酸脱水素酵素の補酵素として解糖系やTCA回路で働きます。補足TPPはミトコンドリア膜状の輸送タンパク質 SLC25A19 によりミトコンドリアのマトリックスに輸送されます。
ビタミンB1の補足 その3
- ビタミンB1の含有量が【1mg/100g(可食部)】を超える食品は存在しないとされています。
全食品の中で一番多く含まれると言われている「豚ヒレ」で、0.98mg/100gです。 - 日本における食事中のビタミンB1の遊離型ビタミンB1に対する相対利用効率は約60%程度とされています。
- ビタミンB1の腸管での吸収に限度があるとされています。
経口投与されたチアミンは主として十二指腸から吸収されるが、ヒトに 8~15 mg/ヒト以上投与すると、投与量の増加に伴って吸収率は低下し、チアミンの吸収には限界がみられる。
引用元
チアミン
食品安全委員会肥料・飼料等専門調査会
食品安全委員会 - 以上より、食事からのビタミンB1の過剰症は心配いりません。
- なお、ビタミンB1の「吸収率の低さ」を改善したのがビタミンB1誘導体です。フルスルチアミンやベンフォチアミンが有名です。
摂取量について
推奨量
1.2~1.4㎎/日(成人男性)
0.9~1.1㎎/日(成人女性)
※年代により異なる
参照
日本人の食事摂取基準(2015年版)
厚生労働省
:脚気 :ウェルニッケ脳症 :その他
不足ぎみ
:疲れやすくなる
:からだが重く感じる
:だるくなる:食欲がなくなる
:むくみやすくなる
:
取り過ぎ
ビタミンB1は水溶性ビタミンです。過剰分は基本的に尿中に排泄されます。通常の食事からだと過剰の心配はありませんが、サプリメントを一度に多量に摂取すると頭痛・不眠・かゆみなどを引き起こすことがあります。
ビタミンB1の効果・効能
ビタミンB1の効果・効能 5つ厳選
- 糖質の代謝に深く関与
- NADPHやリボースの産生に関与
- BCAAの代謝に関与
- 皮膚・粘膜の健康維持
- 脳や神経の働きを正常にする
そのうち2つを詳しく
①糖質の代謝に深く関与
ビタミンB1は糖質の代謝に補酵素として関わっています。
単に関わっているといるのではなく、「深く」関わっています。
その理由を説明するために まずは糖質の代謝について簡単に説明します。
糖質の代謝
糖質が主要なエネルギーであることはよくご存知だと思います。
糖質は体内でグルコースに分解され、小腸上皮細胞に吸収されます。吸収されたグルコースは門脈を通り肝臓に運ばれ、その後 血流により全身に運ばれます。
各臓器に運ばれエネルギーとして利用される、あるいは肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられます。
なお余剰となったグルコースは脂肪細胞に中性脂肪として蓄えられます。
細胞に取り込まれた糖質(グルコース)は解糖系→TCA回路→電子伝達系といった経路をたどり代謝されていきます。
各径路を簡単にまとめると次になります。予め言っておくと、赤太文字がビタミンB1が関与している部分です。
出典元
解糖系
ウィキペディア
【解糖系】
細胞質基質でグルコースをピルビン酸(または乳酸)に変換するプロセスです。
好気的条件下において、ピルビン酸はミトコンドリアに入りアセチルCoAに変換され、次の代謝経路「クエン酸回路」に組み込まれます。
嫌気的条件下においては、ピルビン酸は乳酸脱水素酵素により乳酸になります。
【TCA回路】
ミトコンドリアのマトリックスで進行する代謝経路です。
ミトコンドリアは外膜と内膜の二重の生体膜で構成されています。外膜はおおもとを囲っている線、内膜はくねくねした部分の線です。内膜に囲まれた内側をマトリックスといいます。
TCA(クエン酸)回路では、アセチルCoAがオキサロ酢酸と縮合反応しクエン酸となります。このサイクルが一巡する間に酸化され、二酸化炭素と水になります。
それとともNADH(及びFADH2)を産生します。
.
クエン酸(=アセチルCoA+オキサロ酢酸)→イソクエン酸→α-ケトグルタル酸→スクシニルCoA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸→
※クエン酸は上記の反応をへてオキサロ酢酸に戻ります。オキサロ酢酸は新たなアセチルCoAと反応して再びクエン酸を生じます。
生じたNADH(及びFADH2)は電子伝達系に送られます。
【電子伝達系】
電子伝達系はミトコンドリア内膜のたんぱく質複合体や補酵素間で電子(解糖系およびβ酸化・TCA回路で生じ、NADHやFADH₂で運搬してきた)のやり取りが行われる過程のことをいいます。
これにより生じるプロトン濃度勾配を利用してATPの合成が行われます。
ビタミンB1の関与
ビタミンB1はピルビン酸からアセチルCoAを生成する反応を触媒する酵素「ピルビン酸脱水素酵素」の補酵素として働きます。
またTCA回路のα-ケトグルタル酸→スクシニルCoAを触媒する酵素「α-ケトグルタル酸脱水素酵素」の補酵素として働きます。
なので、ビタミンB1が不足していると、糖質の代謝がスムーズに進まなくなります。
エネルギーを得るには、糖質を取るのは当たり前です。それと同時に糖質をエネルギー源に変えるのを手助けするビタミンB1の摂取も必須となります。
⑤脳や神経の働きを正常にする
神経系は大別して中枢神経と末梢神経に分けられます。
中枢神経は脳(大脳、脳幹、小脳)と脊髄で構成されています。
末梢神経は脳神経と脊髄神経から成ります。
中枢神経の働きは末梢神経から情報を受け取り、情報に基づいて判断や反応の指令をだすことです。
末梢神経の働きは中枢神経からの情報を末端に伝えるとともに、末端からの情報を中枢神経に伝えることです。
中枢神経において末梢神経が集めた情報を処理し判断・反応(思考、行動、感覚など)の指令をだすのは脳です。
この脳の働きを正常に保つためにはエネルギーが必要となります。
脳の重さは体重の約2%しかありませんが、消費するエネルギーは体全体の20%を占めています。
脳のエネルギー源となるのはブドウ糖(=グルコース)のみです。
※飢餓状態のとき、ケトン体が脳のエネルギー源となります。
食事などから取り入れた糖質はブドウ糖に分解され、血流により脳に運ばれます。脳内には運ばれたブドウ糖と酸素が反応してATPを生成し、そのATPを脳を働かせるエネルギーとして利用します。
脳はエネルギーを大量に消費するため、それにともない糖質の代謝に関与するB1の消費量も増大します。
脳を活性化させるにはエネルギー源である糖質はもちろんのこと、その代謝に必須であるビタミンB1の摂取も重要となります。
なおビタミンB1は神経において補酵素以外の特異的な作用を行うとも考えられています。脳や神経の働きを正常に保つために欠かすことのできない成分です。
ビタミンB1の働き分析【見た目編】
合計 43/60点薄毛
6点
「薄毛」改善 に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- 抗糖化
糖化とは体内に余った糖質がたんぱく質とくっつき、たんぱく質を劣化させる現象のことをいいます。
糖化が進むと髪の健康を脅かすことになります。髪の毛の主成分であるケラチン(たんぱく質)が糖化すると髪の毛が切れやすくなったり抜けやすくなります。
頭皮のコラーゲンが糖化すると、頭皮の弾力や柔軟性が失われ、髪が育ちにくくなります。
糖質の代謝を促すビタミンB1には抗糖化作用があります。 - 発毛・育毛エネルギー
細胞のエネルギー源であるATPは、毛母細胞の発毛・育毛活動にも使われます。糖質から多くのATPを生成するためにビタミンB1の摂取は必須です。 - 皮膚の健康維持
ビタミンB1には皮膚の健康を維持する働きがあります。頭皮の環境を快適に保つことで健康的な髪が生えるのをサポートします。
白髪
5.5点
「白髪」予防 に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- 抗糖化
糖化とは体内に余った糖質がたんぱく質とくっつき、たんぱく質を劣化させる現象のことをいいます。糖化によって作られるのがAGEs(終末糖化産物)です。AGEsが体内に蓄積されるといわゆる老化が進みます。
髪も例外ではありません。髪の毛の主成分であるケラチンたんぱく質が糖化しAGEsが蓄積されると白髪が増えます。糖質の代謝を促進するビタミンB1は糖化予防に適した成分です。 - 皮膚の健康維持
ビタミンB1には皮膚の健康を維持する働きがあります。頭皮環境を整えることは白髪予防にもなります。
美肌
7.5点
「美肌」作り に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- 抗糖化
糖化がすすみ、AGEsが蓄積されると肌にダメージを与えます。
とくに真皮層にあるたんぱく質コラーゲンは影響されます。コラーゲン繊維は架橋(コラーゲン架橋)によって分子間がつながっています。
出典元
老化を進める「糖化」から身を守る対策とは?
日経グッデイ
日本経済新聞社AGEsが増えコラーゲンの分子間にAGEsによる架橋(AGEs架橋)が形成されるとコラーゲンが破壊・変性されます。コラーゲン繊維のしなやかさが失われ、ハリ・弾力が低下してしまいます。イコール肌の老化です。
ビタミンB1は糖化予防成分の1つです。
- 皮膚の健康
ビタミンB1は皮膚の健康を維持する働きがあります。肌の丈夫さをアップさせます。 - 肌のターンオーバーを促進
肌のターンオーバーを促進するには、細胞のエネルギー源となるATPの産生を高めることも重要となります。ビタミンB1は糖質の代謝を促進することで、より多くのATPを作り出すことに貢献しています。
美白
7.5点
「美白」ケア に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- 抗糖化
糖化により作られたAGEsが肌の内側に蓄積すると肌に透明感がなくなり黄色くくすみます。AGEsが茶褐色だからです。
糖質の代謝を促し抗糖化に働くビタミンB1は美白ケアとしても有効です。 - 肌のターンオーバーを促進
メラニンは肌のターンオーバーとともに排出されます。メラニンが過剰に作られて、それがターンオーバーとともに排出されないと肌の細胞に色素沈着しシミとなって肌の表面に現れます。シミを防ぐにはメラニンを過剰に作らせないことはもちろん、ターンオーバーが正常に行われることも重要です。肌のターンオーバーを促進するには、細胞のエネルギー源となるATPの産生を高めることも重要となります。ビタミンB1は糖質のエネルギー代謝に深く関わっています。
筋肉
7.5点
「筋肉」増強 に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- BCAAの代謝
BCAA(分岐鎖アミノ酸)はBranched Chain Amino Acidsの頭文字のことで、必須アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシンの総称のことをいいます。この3つのアミノ酸は分子が枝分かれした構造をしているので、3つまとめてBCAAと呼ばれています。リンク
BCAAは筋たんぱく質を構成しているアミノ酸の約15~20%、必須アミノ酸の約35~40%を占めています。
BCAAは筋肉の主原料となっているだけでなく、運動時 筋肉内でエネルギー源としても利用されます。そのため「筋肉」にとって非常に重要な存在とされています。ビタミンB1は分岐α-ケト酸脱水素酵素の補酵素としてBCAAの代謝に関与しています。
日本人のエネルギー源の約60%を賄っている炭水化物の代謝にはビタミンB1がとても重要です。また、筋肉のエネルギー源となるBCAAの代謝においてもビタミンB1はビタミンB6とともに活躍します。
引用元
Vol.19 体を動かしたい季節!元気の素はビタミンとアミノ酸
アリナミン
武田コンシューマーヘルスケア(株) - 筋肉の修復
筋肥大させるためには筋肉を破壊する→筋肉を修復するを繰り返すことが必要です。【筋肉を破壊】
筋肉トレーニングなどにより筋肉に高い負荷を与え、筋繊維に損傷を与える【筋肉を修復】
筋繊維が損傷を受けた後に栄養、休養をとり筋繊維を回復させるこれを繰り返すことで筋肥大するのは修復されることで筋繊維が以前よりも少し太くなるからです。このことを超回復といいます。
筋肉を修復する際に必要な栄養素は言うまでもなくたんぱく質です。
それと一緒に糖質を取ることも勧めます。たんぱく質と糖質を同時にとると筋肉の合成が高まるからです。これはインスリンが関係してきます。糖質をとるとインスリンが分泌され細胞に糖を取り込む働きをします。
筋トレ直後にたんぱく質と糖質を同時にとると、糖質に反応し分泌されたインスリンが筋肉細胞に糖のみならず、たんぱく質を取り込むようになります。
その結果たんぱく質だけをとるよりも筋肉の合成が高まります。糖質を取る際、その代謝を助けるビタミンB1の摂取も忘れてはなりません。
- 筋肉痛
筋肉痛は激しい運動などによって過度の負荷がかかった「筋繊維」が回復過程で炎症を起こしている状態のことをいいます。筋肉痛の緩和に効く成分の代表は疲労回復効果が高いビタミンB1です。
脂肪
9点
「脂肪」減少 に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- 糖質の代謝
エネルギーとして消費されず余剰となった糖質は中性脂肪として蓄えられます。
「余剰」は糖質の取り過ぎが主たる原因ですが、糖質の代謝がスムーズにいかないこともあてはまります。
糖質を多く取る人にとっては、糖質の代謝を促進するビタミンB1が不足することが肥満原因の一つになります。
ビタミンB1の働き分析【中身編】
合計 48.5/60点
身体
7点
「身体」の構成材料に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- ペントースリン酸回路
ペントースリン酸回路とは解糖系の分枝路の1つです。グルコース-6-リン酸から出発し、フルクトース-6-リン酸またはグルセルアルデヒド-3-リン酸で再び解糖系に帰ってくる代謝経路です。ペントースリン酸回路の主要な生理的意義は、脂肪酸合成に必要な水素供与体「NADPH」と核酸の合成材料である「リボース5-リン酸」の産生です。
ビタミンB1はペントースリン酸回路で働く酵素トランスケトラーゼの補酵素です。
エネルギー
10点
「エネルギー」生成 に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- 糖質のエネルギー代謝
1日にとる総エネルギー量のおよそ6割は炭水化物(糖質)からです。
その糖質をエネルギーに変換するのにビタミンB1は必須です。
病気
6.5点
「病気」予防 に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- 脚気
脚気はビタミンB1が不足することで末梢神経障害と心不全をきたす病気です。なのでビタミンB1の摂取はその予防になります。とはいえ、(昔は脚気にかかる方、また脚気により亡くなる方が非常に多かったのですが、)ビタミンなどの栄養素の研究が進んだ現在では、脚気にかかることは稀です。
ただ、インスタント食品中心の現代では体がだるい、疲れやすいなどといった脚気予備軍が増えていると言われています。
参照
脚気
タケダ健康サイト
武田コンシューマーヘルスケア(株)リンク - 糖尿病予防
糖がエネルギーとして使用されず余ると血糖値が上がります。血糖値が高い状態が続く=糖尿病です。糖質の代謝を促すビタミンB1は糖尿病予防に有効です。 - 糖化により引き起こされる病気予防
血管のコラーゲン繊維にAGE架橋が起こると血管の弾力が衰えて動脈硬化を引き起こします。
骨にあるコラーゲン繊維にAGE架橋が起こると骨がもろくなり骨粗鬆症を引き起こします。
糖化を防ぐビタミンB1を摂取することはこれら病気の予防にもなります。
体質
9点
「体質」改善 に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- 疲労体質
エネルギー不足だと疲労を感じやすくなります。主要なエネルギー源である糖質の代謝において、ビタミンB1は解糖系とTCA回路の橋渡しをする役割を果たします。ピルビン酸がアセチルCoAに変わる際に働く酵素の補酵素として働いています。
ビタミンB1は糖質から多くのエネルギーを作り出すうえで必要不可欠な成分です。またビタミンB1が不足するとピルビン酸はアセチルCoAに変換できずに「乳酸」になります。乳酸が分解されずに体内に溜まると組織や血液が酸性に傾き、細胞の活動が低下します。筋肉に溜まると筋肉疲労を起こし、疲れを感じるようになります。
いずれにせよ日頃から疲れを感じやすい方にとってビタミンB1は強い味方となります。 - 免疫力
腸管は全身の免疫細胞の60%~70%が集まっている最大の免疫組織です。特に小腸は免疫システムの中心といえます。
小腸(回腸)にはパイエル板と呼ばれる免疫機能を司るリンパ組織があります。
出典元
予防の立役者「IgA抗体」
乳酸菌B240研究所
大塚製薬(株)パイエル板の入り口にM細胞と呼ばれる抗原取り込み専門の細胞が存在し、病原体をパイエル板の中へ誘導しています。
パイエル板の領域には、T細胞・B細胞・マクロファージなどの免疫細胞が集まっており、病原体はこの免疫細胞たちにより処理されます。最近の研究で、ビタミンB1はパイエル板の領域にある免疫細胞の維持に関与していることが判明しています。
代表的な例がビタミンB1だ。不足するとかっけなど神経障害を伴う疾患を起こすことが知られていたが、最近の研究から、腸の「パイエル板」という組織にある免疫細胞の維持にも深く関わっていることがわかった。ビタミンB1が減るとパイエル板は小さくなり、生体の防御機能が弱くなる。
引用元
免疫高めるビタミン B1などの関わり、仕組み判明
ヘルスUP 健康づくり
NIKKEI STYLE - メタボ体質
メタボリックシンドローム(略してメタボ)は内臓脂肪症候群のことです。内臓脂肪が増え、高血圧、高血糖、脂質代謝異常のうち2つ以上が重なっている状態をいいます。
ブドウ糖を燃焼させる際に必要となるビタミンB1はメタボ予防・改善に貢献できると期待されています。 - 二日酔い
肝臓でアルコールはADH(アルコール脱水素酵素)やMEOS(ミクロゾーム・エタノール酸化系)によって、二日酔いの原因となる物質アセトアルデヒドに分解されます。続いてアセトアルデヒドは、ALDH2(アルデヒド脱水素酵素)によって分解されて酢酸になります。
その酢酸は最終的に水と二酸化炭素に分解され、尿、汗などなって体外に排泄されます。さて、二日酔いの原因物質アセトアルデヒドはALDH2によって分解されて酢酸になりますが、アルコールを大量に飲んだ場合に、ALDH2だけでは分解が追いつかなくなります。
そこで違うルート(下記出典元 右 アセトアルデヒド→アセトイン)でも分解されます。
引用元
Vol.31 お酒を飲む人はビタミンB1不足にご注意!(2) 元気の雑学
アリナミン
武田コンシューマーヘルスケア(株)その代謝でビタミンB1が必要となります。
リンクなお冒頭でアルコールはADH(アルコール脱水素酵素)やMEOS(ミクロゾーム・エタノール酸化系)でアセトアルデヒドに分解されると述べました。MEOS→アセトアルデヒドの代謝にもビタミンB1が必要となります。
つまるところお酒をたくさん飲む方はビタミンB1の消費が激しくなります。 - 肩こり
筋肉が緊張すると、筋繊維が膨張し 筋肉の血管が圧迫されて血流が妨げられます。その結果、筋肉に必要な酸素などの運搬が滞ります。
酸素が不足すると、ブドウ糖が不完全燃焼を起こし、乳酸(疲労物質)がつくられます。この乳酸が末梢神経を刺激することにより、だるさ・重さ・コリといった肩こりの症状が引き起こされます。
糖質をエネルギーに変換する働きをするビタミンB1の摂取は肩こりの予防になります。 - 眼精疲労
ビタミンB1には目の周りの筋肉や視神経の疲れをやわらげる働きがあります。眼精疲労に効く成分です。
- 口内炎
ビタミンB1は粘膜の健康維持を手助けする成分です。口内の粘膜に起きる炎症の痛みを和らげます。
精力
6点
「精力」増進&「性機能」向上 に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- スタミナアップ
ビタミンB1の疲労回復効果は、スタミナアップに貢献します。
ビタミンB1は滋養強壮剤や精力増強剤に アリチアミン(またはニンニクエキス+B1)として配合されていることが多いです。アリチアミンにんにくの有効成分アリシンとビタミンB1が結合してできる物質がアリチアミンです。
アリチアミンはビタミンB1と同じ働きをします。その上で、ビタミンB1を次のようにパワーアップさせます。
- 体内への吸収率をあげる
ビタミンB1の腸管からの吸収率を10~20倍あげます。 - 体内での滞留時間を長くする
通常のビタミンB1の滞留時間が2~3時間に対して、アリチアミンは長時間になります。
.
なぜかというと、アリチアミンは脂溶性の化合物だからです。水溶性のビタミンB1が脂溶性のアリチアミンに変わることにより【腸管での吸収率があがる&体に蓄えることが可能になる】からです。アリチアミンは、体内においてビタミンB1の働きを向上させ、さらなる疲労回復効果をもたらします。そして優れた滋養強壮効果をあらわします。
- 体内への吸収率をあげる
健脳
10点
「脳」の健康 に関わるビタミンB1の働きは主に次です。
- 脳や神経の働きを正常にする
脳は多くのエネルギーを必要とします。エネルギーが不足することは脳の働きが悪くなり集中力・記憶力の低下につながります。
脳のエネルギーとなるのはブドウ糖のみです。
※例外あり ケトン体脳のエネルギーを確保するにはエネルギー源のブドウ糖だけでなく、ブドウ糖をエネルギーに変えるために必要なビタミンB1の摂取も重要となります。
- 神経伝達に関与
ビタミンB1は神経における特異的作用があると考えられています。この働きは補酵素(TPP)としてでなくでなく、チアミン三リン酸(TTP)の働きであると考えられています。チアミン三リン酸は、シナプス小胞において、アセチルコリンの遊離を促進し、神経伝達に関与するといわれている。
引用元
チアミン
ウィキペディア - ウェルニッケ脳症
ビタミンB1が欠乏することによっておこる脳障害のことをウェルニッケ脳症といいます。
ウェルニッケ脳症が発症した約8割の方は、記憶力の低下を特徴とする後遺症(コルサコフ症候群)が生じます。
ビタミンB1のサプリメント紹介
ビタミンB1の欠点(体内へ吸収率が低い&体内での滞留時間が短い)が改善された成分「アリチアミン」「ベンフォチアミン」のサプリメントを紹介します。
アリチアミン
ビタミンB1のまとめ
分析【見た目編】43点
分析【中身編】48.5点
ビタミンB1 糖質の代謝 参照一覧
ビタミンB1解説 「健康食品」の安全性・有効性情報 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
ビタミンB1の働きと1日の摂取量 健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団
(2)水溶性ビタミン 厚生労働省
チアミン 食品安全委員会肥料・飼料等専門調査会 食品安全委員会
ビタミンB1について JFRL ニュース Vol.5 No.30 一般財団法人 日本食品分析センター
ビタミンB1 J-STAGE
チアミン(ビタミン B1)欠乏による神経組織障害 J-STAGE
日本の健康を支えたビタミン : ビタミンB_1の発見と医薬品への応用(「たっぷりビタミン・バイオファクター学」-これから教科書にのる可能性のあること-,平成27年度 日本ビタミン学会市民公開講座) J-STAGE
ビタミンB1関連レビュー