ケルセチン
ポリフェノールの1種
フラボノイドの1種
ケルセチンとは
ポリフェノール
ファイトケミカルは大別すると5種類にわけられます。
ポリフェノール・カロテノイド・含硫化合物・テルペン類・その他(サポニン)の5つです。
ポリフェノールは8000種類以上存在するとされ、
その構造の違いにより、フラボノイドとそれ以外(ノンフラボノイド)に大別されます。
フラボノイド
フラボノイドはジフェニルプロパン構造(C6–C3–C6)を特徴とする化合物群の総称です。
出典元
フラボノイド
ウィキペディア
フラボノイドは7000種類以上存在しているとされ、
その構造の違いにより、フラボノール類、フラバノン類、イソフラボン類などに細分類されています。
出典元
ポリフェノールパラドックス
PDFページ 2/6
J-STAGE
ブドウの果皮に含まれる「アントシアニン」
お茶に含まれる「カテキン」
大豆に含まれる「イソフラボン」
これらは、すべてポリフェノールのフラボノイドです。
ケルセチンもまた、ポリフェノールのフラボノイドに分類されます。
フラボノイドのフラボノール類にあてはまります。
フラボノイドは配糖体として
糖と糖以外の化合物が結合した物質を配糖体といいます。
フラボノイドの多くは、植物体内では水酸基に糖がグルコシド結合した配糖体として存在しています。
結合する糖の種類、結合する位置、数によって、それだけ配糖体の種類が存在します。
ケルセチンもしかりです。
ケルセチン配糖体も数種類存在し、主要なものには
- ケルセチン-3,4-ジグルコシド
- ケルセチン-3-グルコシド
- ケルセチン-4’-グルコシド
- ケルセチン-3-ルチノシド
などがあります。
出典元
植物由来の黄色色素ケルセチン配糖体の抗変異原性
農研機構
なお配糖体から糖が外れたものをアグリコンと呼びます。ここでいうとケルセチン(ケルセチンアグリコン)のことです。
ケルセチンの吸収
食品より摂取するケルセチンは主に配糖体の形です。
小腸における吸収経路は2通り考えられます。
- 小腸上皮細胞に存在するナトリウム依存型グルコーストランスポーター(SGLT-1)を介して選択的に細胞内に取り込まれた後、細胞質に存在するβ-グルコシダーゼに加水分解される。
- 小腸粘膜に存在するラクターゼ・フロリジン加水分解酵素(LPH)により加水分解される。
なお小腸で吸収されない配糖体は、そのまま大腸に達します。
そこで腸内細菌の作用により分解され、アグリコンまたは代謝産物として大腸で吸収されます。
ケルセチンの代謝
ケルセチン配糖体は加水分解を受けアグリコンとして小腸・大腸に吸収される時に、あるいは肝臓において、
第二相解毒代謝反応を受け、水溶性の高いグルクロン酸抱合体や硫酸抱合体へと変換されます。
一部はメチル化を受けイソラムネチンとなります。
血中に存在する大半はケルセチン抱合体またイソラムネチン抱合体として存在しています。
血中にアグリコンとしては、ほとんど存在しません。
ということで、
- ケルセチンは配糖体として体内に取り入れられ、加水分解されてケルセチンアグリコンとなり吸収される
- 吸収時または肝臓にて、グルクロン酸抱合体あるいは硫酸抱合体へと変換され、血中では代謝物として見出されている
- そのケルセチン代謝物が、ケルセチンの生理機能を発揮している
.
と考えられます。
そこでケルセチン摂取の人体への効果を考える場合,これらの代謝物が生理活性を発揮するかどうかが鍵となる.
引用元
ケルセチン配糖体の吸収代謝と活性発現機構(ビタミン類縁化合物に関する最近の研究)
PDFページ 4/9
J-STAGE
2パターンが想定
ただそれだと、ケルセチンの生理機能について少し疑問を感じます。
(アグリコンが活性本体なので、)アグリコンとして細胞内に取り込まれなければ「ケルセチンの効果・効能って弱いのでは?」といった疑問です。
また、ケルセチンの大部分はグルクロン酸や硫酸が抱合した代謝物として血中を循環し、アグリコンとしてはほとんど存在しない。しかしながら、代謝物はアグリコンと比べて生理活性が弱いことから、ケルセチンの生理機能性を説明するうえで矛盾が生じている。
食品含有ポリフェノール類の生体内動態と活性発現メカニズムの解析
PDFページ 2/4
J-STAGE
実は、局所において脱抱合される【=アグリコンとして細胞内に取り込まれる】ケースがあるようです。
マクロファージなど特定の細胞=炎症反応時では、脱抱合反応によって生じたアグリコンがケルセチンの機能性を発揮していると考えられています。
すなわち,生体に炎症反応が惹起されると,β一グルコシダーゼ活性が増大し,ケルセチンは安定な抱合体から活性体のアグリコンに変換して細胞内に取り込まれることにより機能を発現することが予想される.
引用元
ケルセチン配糖体の吸収代謝と活性発現機構
PDFページ 6/9
J-STAGE
ということで
ケルセチンの生理機能は
- ケルセチン代謝物(ケルセチン抱合体など)として
- 脱抱合化されたケルセチンアグリコンとして
.
の2通りで発揮されると考えられます。
フラボノイド代謝物である抱合体は,前述したようにそれ自体が生理活性を示す場合もあれば,アグリコンに脱抱合された方がより活性を示す場合もある.
フラボノイド類の血中代謝物と局所における有効性
PDFページ 5/6
J-STAGE
以降このレビューでは
ケルセチン・ケルセチン配糖体およびその代謝物まとめて、「ケルセチン」の生理機能とします。
例えば、後の効果・効能欄で紹介する中性脂肪低減効果はケルセチン配糖体としての働きですが、ケルセチンの働きとして説明します。
ケルセチンについてあれこれ
ここでケルセチンについて、覚えておくべきポイント(個人的な)をまとめて紹介します。
point 1
日本人がよく取るポリフェノールの1つ
日本のポリフェノールの摂取源となる最大の食品はコーヒー、2番目は緑茶です。
というわけで、これらに含まれるポリフェノール クロロゲン酸(コーヒー)やカテキン(緑茶)は日本人がよく取っているポリフェノールとなります。
ケルセチンも日本人がよく取っているポリフェノールの1つです。
とある地域の一般住民ボランティアのファイトケミカル摂取量を調査したところ、1人1日あたりの摂取量が多い(中央値が10μmole以上超えている)ポリフェノールは、緑茶に含まれるカテキン類とコーヒーに含まれるクロロゲン酸類と大豆に含まれるイソフラボン類とケルセチンになっています。
※類には種類があります。
参照
日本人のフィトケミカルの摂取量と健康影響
公益財団法人 不二たん白質研究振興財団
point 2
ケルセチンといえば タマネギ
コーヒー、緑茶、大豆は 日本人の食生活に欠かせないものです。
なので、それらに多く含まれるポリフェノール(クロロゲン酸、カテキン、イソフラボン)を多く摂取していることは容易に想像できます。
ケルセチンは何の食品に多く含まれているポリフェノールかというと、
タマネギです。
ケルセチンは野菜に広く存在していますが、その中でもタマネギは特異的にケルセチンを多く含んでいます。
タマネギのあの薄黄色の色素はケルセチンのよるものです。
point 3
タマネギの外皮に多く含まれる
日本のタマネギ可食部100g中に約10~50mgのケルセチンが含まれていると言われています。
収穫時期や産地によりけりで、例えば冬に供給される北海道産は可食部100g中に約30~50mg含まれているとされています。
さて、果物や野菜には「中身よりも皮のほうが栄養価が高い」ものがあります。
あるというか、けっこう多いです。
タマネギのケルセチンも当てはまります。
タマネギの外皮中には可食部の20倍ものケルセチンが含まれているとされています。
point 4
他にもいろいろ
さて、いくらケルセチンがタマネギに多く含まれているとはいえ、
- 緑茶→カテキン、コーヒー→クロロゲン酸、大豆→イソフラボンと
- タマネギ→ケルセチンが
肩を並べられるとは到底思えません。
※POINT1で話した件のことです。「肩を並べる」という表現を使っていますが、実際は差はあります。
これにはカラクリがあります。
ケルセチンはタマネギに断トツに多く含まれていますが、リンゴやトマトなど日ごろよく食べる食品にも、けっこう多く含まれているのです。
さらにいうと緑茶にも、けっこう多く含まれています。
こちらは緑茶の品種別のケルセチンの含有量のグラフです。
出典:農研機構「育成登録品種(「やぶきた」を除く)におけるケルセチン含有量」出典元
あふラボ 健康にいい成分・ケルセチンが特に多い2つの茶品種を発見!
農林水産省
緑茶の品種により、数杯で、タマネギ半個分相当のケルセチンの摂取が可能となっています。
ケルセチンの摂取源として、タマネギのみならず緑茶も十分に寄与していると思われます。
事実、北海道地域住民を対象としたケルセチンの摂取量調査において、ケルセチンの摂取源は夏季では緑茶がタマネギを上回っているという報告があります。
参照
ポリフェノール含有野菜の高機能化とその応用戦略 ―ケルセチン高含有タマネギの健康機能―
J-STAGE
point 5
配糖体の種類は 食品による
ケルセチンは食品には配糖体として含まれています。
ケルセチン配糖体には種類があります。
主要な配糖体はケルセチン-3,4-ジグルコシド ケルセチン-3-グルコシド ケルセチン-4’-グルコシド ケルセチン-3-ルチノシドなどです
配糖体の種類は 含有食品によります。
ざっとまとめると以下です。
◆タマネギ
ケルセチン-3,4-ジグルコシド(Q3,4’G)
ケルセチン-4’-グルコシド(Q4’G)
◆ブロッコリー 果実
ケルセチン-3-グルコシド(Q3G・イソケルシトリン)
◆そば
ケルセチン-3-ルチノシド(ルチン)
含有されている主要なケルセチン配糖体です。
()は別の呼び名です。
.
そばに含まれるケルセチン-3-ルチノシドは、ケルセチンの配糖体というよりも「ルチン」として世間に浸透している感じがします。
というのも、
メディアでは蕎麦に含まれる「ケルセチンの配糖体」ではなく「ルチン」と普通に紹介されます。
またルチン単体のサプリも余裕で販売されています。
ルチンはケルセチンから独立し(ケルセチン配糖体の枠から飛び出し)、イチ栄養成分として存在しているように個人的に感じます。
point 6
配糖体の種類により、吸収性が異なる
配糖体の種類により、吸収性が異なります。
5つのケルセチン配糖体粉末【ケルセチンアグリコン、Q3G 、 Q3,4’G、ルチン、EMIQ(酵素処理したイソケルシトリン)】を絶食時に摂取させた時の血漿ケルセチン濃度を測定したヒト試験では、
血漿代謝物濃度は EMIQ >Q3G ≧ Q3,4’G >アグリコン>>ルチンの順であったとのことです。
参照
食事由来フラボノイドの吸収経路と代謝物分布
PDFページ 4/7
J-STAGE
上記試験ではQ4’Gが省かれています。Q4’Gの吸収性はQ3Gより上との報告があります。
したがって消化吸収時にはQ4’Gの方がイソケルシトリン(Q3G)よりもアグリコンに変換されやすく,そのため腸管から吸収されやすいと思われる.この点で,Q4’Gに富むタマネギはケルセチンのよい供給源であるといえる.
引用元
ケルセチン配糖体の吸収代謝と活性発現機構
PDFページ 3/9
J-STAGE
point 7
深く考えるのはやめよう
さて、ここで言いたいのは
ケルセチン配糖体は小腸あるいは大腸に吸収される時にアグリコンに分解されて、それが抱合体となって血中を移動します。
出典元
体脂肪低減効果を有するケルセチン配糖体配合飲料の研究開発
PDFページ 4/6
J-STAGE
そして
- ケルセチン代謝物(ケルセチン抱合体など)として
- 脱抱合化されたケルセチンアグリコンとして
.
どちらかでケルセチンの生理機能を発揮すると考えられます。
食品に含まれる配糖体の種類による吸収性の違い・機能性の違いなどを突き詰めて考えていくと、かえってこんがらがると思います。
効果に差がないという意見もあるので、
また、人体への吸収時にはケルセチン配糖体は腸内の消化酵素によってアグリコン化されて吸収されるため、人体内での効果に差はない。
引用元
タマネギエキスの製造方法
Google Patents
ここでは⇩の考えでレビューを作成していきます。
以降このレビューでは
ケルセチン・ケルセチン配糖体およびその代謝物まとめて、「ケルセチン」の生理機能とします。
例えば、後の効果・効能欄で紹介する中性脂肪低減効果はケルセチン配糖体としての働きですが、ケルセチンの働きとして説明します。
point 8
ビタミンPの1種でもある
ビタミンPとはビタミン様物質の1つです。
ビタミン様物質とはビタミンと似た生理作用をもっている有機化合物のことをいいます。ビタミン同様に代謝において重要な役割を果たしますが、ビタミンの定義から外れているためこのように呼ばれます。
ビタミンの定義は「必要量は微量であるが、体内で合成できない」「合成できたとしてもその量が十分でなく外から取り入れなければならない」です。
ビタミンPはケルセチン・ヘスペリジン・ルチンなどの総称をいいます。
なので、ケルセチンはビタミンPとも呼ばれます。
つまるところ、ケルセチンの呼称は4つあります。
- ポリフェノールの1種
- フラボノイドの1種
- フラボノールの1種
- ビタミンPの1種
ビタミンPの作用は大きく3つあります。
- 毛細血管を強化し、血管透過性を改善する
- ビタミンCと協調してビタミンCの効果を高める
- 抗酸化作用
.
特に①が有名でビタミンPの「P」の由来となっています。Pは透過性を意味する「Permeability」の頭文字から取っています。
ケルセチンの効果・効能
ケルセチンの効果・効能 5つ厳選
- 抗炎症作用
- 抗酸化作用
- 抗変異原性
- 中性脂肪低減効果
- 紫外線保護効果
そのうち2つを詳しく
④体脂肪低減効果
こちらは脂肪分解のメカニズムです。
- 分解 体脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する
- 運搬 分解されてできた脂肪酸を細胞のミトコンドリアに運搬する
- 燃焼 ミトコンドリアで脂肪酸がエネルギー貯蔵物質ATPに変わる
ATPがエネルギーとして消費される→脂肪燃焼
体脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する酵素が「HSL(ホルモン感受性リパーゼ)」です。
この酵素を活性させることが脂肪燃焼のスタート【メカニズム①の分解のこと】となります。
HSLが活性されると脂肪が分解されて、脂肪酸が血中に放出され、次のメカニズム②運搬・③燃焼へと移行するといった流れになります。
ケルセチンにはHSLを活性化させる働きがあります。
出典元
ケルセチン配糖体で健康の維持・増進に寄与する
サントリーグローバルイノベーションセンター
サントリーグループ
ケルセチンは、脂肪細胞からの遊離脂肪酸とグリセリンの分解を促すことで、体脂肪を減らすのを助ける働きをします。
伊右衛門 特茶がまさにコレ
サントリーは【体脂肪を減らすケルセチン配糖体】の飲料の特定保健用食品(トクホ)の表示許可を取得しています。
健康の維持・増進に役立つことが科学的に証明され、消費者庁に認められた食品のことをいいます。
その商品は、ご存知じ「伊右衛門 特茶」です。
伊右衛門 特茶には「本品は、脂肪分解酵素を活性化させるケルセチン配糖体の働きにより、体脂肪を減らすのを助けるので、体脂肪が気になる方に適しています」と表示されています。
※伊右衛門 特茶に含まれるケルセチンは酵素処理イソクエルシトリン(イソケルシトリン)です。
マメ科植物のエンジュに含まれるルチンを抽出し、それを食用加工用酵素でイソクエルシトリンとした後に、デキストリンの存在下で糖転移酵素を作用させ、グルコースを付加したものです。
⑤紫外線保護効果
ケルセチンには紫外線保護効果があります。
これはタマネギの中身と外皮の色素の違いから容易に想像つきます。
タマネギの中身は薄黄色です。一方外皮は茶色です。
この色の違いこそ、ケルセチンが中身を紫外線から守っている証拠です。
ケルセチンは中身にも外皮にも含まれていますが、含有量の差は「20倍」とされています。
中身の薄黄色を茶色の皮に変える【→ケルセチンが増える】ことで、紫外線防御物質として機能しています。
ケルセチンを腕に塗ったら、その部分だけ日焼けしなかった、その効力は日焼け止めクリームより上との検証結果もございます(※下記紹介リンク元 目がテン!より 2006年放送なのでだいぶ古いです)。
こちらの2つのTV番組のバックナンバーでわかりやすく説明されています。
よろしければご覧ください。
これがタマネギ新常識 知識の宝庫!目がテン!ライブラリー NTV
干すだけで変身!タマネギのケルセチン 美と若さの新常識 NHK
ケルセチンの働き分析【見た目編】
合計 46/60点
薄毛
6.5点
「薄毛」改善 に関するケルセチンの働きは主に次です。
- 血流改善
髪に必要な栄養素は、毛細血管を通じて毛乳頭に運ばれます。
毛乳頭はその栄養素を毛母細胞に受け渡します。それにより毛母細胞が分裂し、そこから生じた細胞が毛髪を形成します。
ケルセチンには強い抗酸化作用があります。
摂取すると血液中の抗酸化力が高まり、血流改善や血管保護効果をもたらします。髪に必要な栄養素の運搬をスムーズにします。 - 頭皮の老化
ケルセチンには皮膚のバリア機能を強化し、頭皮の老化を防ぐ働きがあるとされます。参照
玉ねぎは古代ギリシャ以来の「発毛野菜」だった!
アサ芸プラス (株)徳間書店
白髪
7.5点
「白髪」予防 に関するケルセチンの働きは主に次です。
- メラノサイト活性化
黒髪のもとメラニンは頭皮の毛包内にあるメラノサイトでチロシンとチロシナーゼ酵素が結びつくことで生まれます。
髪を黒くするには色の源であるメラニンがしっかりと作られることが大切となります。
そのために必要なことは【チロシンの補給】と【チロシナーゼの活性】です。
ケルセチンは後者に関係しています。
外用剤へのケルセチンの添加はチロシナーゼを活性させるとされています。【0020】その結果、図6に示すように、ケルセチン投与後チロシナーゼ活性は経時的に有意に増加することが判った。また、図7に示すように、チロシナーゼ活性はケルセチンの投与量に依存して増加した。これらの結果から、ケルセチンによる細胞内メラニン量の増大は、細胞中のチロシナーゼ活性の増大によることが判明した。
引用元
公開特許公報(A)_メラニン産生促進剤及びそれを含む皮膚外用剤組成物
国立研究開発法人科学技術振興機構
- 血流アップ&抗酸化
こちらのサイト
→
白髪を増やさない 血流アップ&抗酸化【日経ヘルス19年2月号】 黒髪を保つ3つのポイント
日経doors 日経BPでは、黒髪を保つポイントとして
- 黒髪のもとに栄養を届ける
- 黒髪のもとを守る
- 黒髪のもとを作りやすくする
この条件を満たす成分は血流改善効果や抗酸化作用を有するものとなります。ケルセチンはどちらにも該当します。
美肌
7.5点
「美肌」作り に関するケルセチンの働きは主に次です。
- 抗糖化作用
糖化とは体内に余った糖質がたんぱく質とくっつき、たんぱく質を劣化させる現象のことをいいます。糖化によって作られるのがAGEs(終末糖化産物)です。AGEsが体内に蓄積されるといわゆる老化が進みます。とくに真皮層にあるたんぱく質「コラーゲン」は大きく影響されます。
コラーゲン繊維は架橋によって分子間がつながっています。コラーゲンが糖化されると、この架橋が無秩序かつ過剰に形成されるようになります。
出典元
老化を進める「糖化」から身を守る対策とは?
日経グッデイ
日本経済新聞社通常は「コラーゲン架橋」ですが、無秩序かつ過剰に形成された架橋は「悪玉架橋(AGEs架橋)」と呼ばれます。
たとえば肌のコラーゲンにAGEs架橋が形成されるとコラーゲンが破壊・変性され、肌のしわやたるみの原因になります。
ケルセチンには抗糖化作用があります。 - 抗酸化作用
肌の細胞にダメージを与えるのが紫外線などにより発生する活性酸素です。
※活性酵素→活性酸素に訂正。細胞を活性酸素の攻撃から守るのが抗酸化物質です。ケルセチンは天然の抗酸化物質です。
-
オートファジー
オートファジーとはオート=自分自身 とファジー=食べる を合わせた造語で、細胞が自己成分(たんぱく質など)を分解する機能のことです。
ようは細胞の中の古くなったゴミを処理し、新しい資源を作り出す「リサイクルシステム」とイメージしてください。リンク
肌の細胞にもオートファジーが機能しており、古くなったコラーゲン・ヒアルロン酸を分解し、それを新しいものをつくる資源としてリサイクルしています。ただし、加齢とともにオートファジーの働きが低下していきます。
その結果、劣化したコラーゲン・ヒアルロン酸が蓄積されてしまいシワやたるみとなって肌に現れます。オートファジーを活性化させる成分の
本命はポリアミンで、対抗がレスベラトロールです。
大穴としてケルセチンの名前を挙げておきます。
※個人的な意見です。また、ポリフェノールについても、レスベラトロールのみならずケルセチンがオートファジー機構を制御し、疾患に対する臓器保護作用にに有効であるとの報告もあり、生理的作用に注目される.
侵襲時のオートファジー制御とn‐3系脂肪酸投与
PDFページ 5/6
J-STAGE
美白
9点
「美白」ケア に関するケルセチンの働きは主に次です。
- 紫外線保護効果
ケルセチンには紫外線保護効果があります。
タマネギの中身と外皮の関係から、ケルセチンの紫外線保護効果がいかに強力かが想像つきます。ケルセチンの紫外線防御効果に関しては,紫外線照射によるヒト単球/マクロファージ様細胞死に及ぼすタマネギ色素の抑制作用,タマネギ色素中の主な紫外線機能を有する活性成分の同定,植物由来のケルセチン配糖体を有効成分とする紫外線防御などの報告がある.
引用元
タマネギ外皮を用いた染色の紫外線防御効果
PDFページ 2/8
J-STAGE -
ビタミンP作用
ビタミンPはビタミンCとの相性抜群です。
ゆえに、ビタミンPの1種であるケルセチンはビタミンCとの相性抜群です。ビタミンCには、シミをつくらせない効果とシミを薄くする効果のWの美白効果あります。
シミを作らせないメラニンはチロシンとチロシナーゼ酵素が結合することで作られます。チロシナーゼが活性されるとシミのもととなるメラニンがたくさん作られてしまいます。
なのでチロシナーゼの活性を阻害することがメラニンの大量生成を防ぐうえで重要となります。ビタミンCはチロシナーゼ活性阻害成分の1つです。シミを薄くするメラノサイトの中にあるチロシンがチロシナーゼにより酸化されることでメラニンは生成されます。
チロシン→ドーパ→ドーパキノン→黒色メラニンという代謝過程を経て作られていきます。
ビタミンCは中間代謝物であるドーパーキノンをドーパに還元する作用があります。
またメラニンに直接働きかけ黒色メラニンを無色に還元する(淡色化)作用ももっています。.
ケルセチンはビタミンCの吸収を高めます。一緒に取ることでビタミンCの美白効果をさらにアップさせることが期待できます。リンク - チロシナーゼ活性阻害
美白効果を得るには、メラニンの生成を触媒する酵素チロシナーゼの活性を阻害することが大切となります。
ケルセチンにはチロシナーゼ活性を阻害する働きがあることが分かっています。他の報告においてもシラカバやメグスリノキに多く含まれるタンニンの一種であるロドデンドロールそして柑橘類に多くみられるケンペロールやクエルセチンといったフラボノイドに強いチロシナーゼ阻害活性があることが明らかになっている.
引用元
異なる濃度のエタノールにより抽出されたDendropanax morbifera LEV.葉抽出物における抗酸化能及び生理的活性の比較分析
PDFページ 10/12
J-STAGE - 赤血球の柔軟性を改善
顔の皮膚は他の場所より薄いため皮膚を通して血管を流れる血液の色が反映されてしまいます。つまり血液の色が明るければ肌の色も自然と明るくなります。血液の「明るさ」は酸素を運ぶ役割をする赤血球(の主成分ヘモグロビン)の状態によります。
ヘモグロビンが酸素と結びついているときは血液(赤血球)は鮮やかな赤色をしています。
ヘモグロビンが酸素と離れているときは血液(赤血球)は暗い赤色をしています。赤血球が身体の末端にある肌にたくさんの酸素を届ける=肌の色を明るくするためには 鉄などヘモグロビンの材料を取ることが重要となります。
プラスして赤血球を柔らかくすることが重要です。というのも、赤血球はその直径より狭い毛細血管を通らなければならないからです。
赤血球は基本的に柔らかくて変形能力に富んでいますが、硬くなると、毛細血管の中を通過するのがスムーズいかなくなり血流が滞ってしまいます。ようは赤血球の柔軟性を改善できれば、毛細血管をよりスムーズに通過できるようになり、肌の表皮までたくさんの酸素を供給することが可能となるわけです。
その結果として肌の色が明るくなります。
ケルセチンには赤血球の柔軟性を改善させる働きがあります。参照
増やせ!元気でかわいい赤血球
NHKBSプレミアム 美と若さの新常識 - 抗糖化作用
糖化とは体内に余った糖質がたんぱく質とくっつき、たんぱく質を劣化させる現象のことをいいます。糖化によって作られるのがAGEs(終末糖化産物)です。AGEsが体内に蓄積されるといわゆる老化が進みます。
AGEsは美白を求める方にとって天敵となります。AGEsそれ自体が茶褐色の物質のため、肌の内側に蓄積すると肌に透明感がなくなり黄色くくすんでしまうからです。
ケルセチンには抗糖化作用があります。
筋肉
6.5点
「筋肉」増強 に関するケルセチンの働きは主に次です。
- ミオスタチン発現抑制
ミオスタチンとは主に筋肉から分泌される、筋肉の増加を抑えるホルモンです。
筋肉が弱まると分泌され、たんぱく質の分解を促進し、筋肉の成長を抑制します。筋トレをすると、筋肉は成長しますが、同時にミオスタチンが分泌され、筋肉の増えすぎを抑えています。
筋肥大を目指すには、ミオスタチンの働きを上回るほどのトレーニングを行うこと、それを継続することが大事となります。
ケルセチン配糖体にはミオスタチン発現抑制効果があります。
※ここだけ「配糖体」を付け加えています。参照元 ケルセチン配糖体を含有する筋萎縮抑制剤 を読むとケルセチン配糖体のみに見られる(ケルセチンには見られない)効果かもしれないからです。参照
ケルセチン配糖体を含有する筋萎縮抑制剤
WO2015166887A1
Google Patents大注目!筋肉が作りだすミオスタチンなどのマイオカインの健康効果
NHK健康チャンネル
NHK - 筋委縮抑制
筋肉が萎縮する主な原因は、活性酸素と考えられます。なので抗酸化物質の摂取が、筋萎縮の予防・改善に有効であると考えられます。
強い抗酸化作用を有するケルセチンの摂取は、筋委縮の予防になります。この研究成果より,ラジカル補足能を有する ケルセチンの構造特徴が酸化ストレスを抑制に寄与し, 廃用性筋萎縮予防に貢献したことが示されている.
引用元
植物ポリフェノールによる筋萎縮予防の可能性
PDFページ 2/6
J-STAGE
脂肪
10点
「脂肪」減少 に関するケルセチンの働きは主に次です。
- 体脂肪低減効果
“体脂肪を減らすのを助ける”でお馴染みのサントリー伊右衛門 特茶の「体脂肪低減効果」は、ケルセチンの脂肪分解酵素活性化の働きによるものです。リンク
特茶を1日1本継続飲用し、緑茶(ケルセチン配糖体を含まない)と効果を比較した結果にて、 体脂肪低減効果が認められています。8週目から脂肪面積の低減が認められたとことです。出典元
特茶の秘密
サントリー食品インターナショナル
サントリーグループ - Sirt1活性化
サーチュイン遺伝子は、通常、カロリー制限をすると活性化されます。
活性化されると糖・脂質代謝に関与する遺伝子を制御します。だからカロリー制限をすると「痩せる」です。
ケルセチンはSirt1を活性化させる働きします。このことは、カロリー制限を模倣する働きをするといえるかもしれません。
※Sirt1について体質項目にて詳しく記載しています。
ケルセチンの働き分析【中身編】
合計 45.5/60点
身体
5点
「身体」の構成材料 に関わるケルセチンの働きは主に次です。
- 骨
骨にとってケルセチンは大切な存在です。以下の働きがあるからです。◆ミオスタチン発現抑制
筋肉が弱くなると、筋肉の成長を妨げるホルモン「ミオスタチン」が分泌されます。
ミオスタチンは骨の形成を阻害する働きをします。
運動をしないと筋肉が弱くなるので、運動をしなければ筋肉が減るだけでなく骨も弱くなるとメカニズムとなっています。
逆を言えば、運動をすれば【→ミオスタチンの分泌を抑制すれば】、筋肉のみならず骨の強化にもつながることになります。
ケルセチン配糖体にはミオスタチン発現抑制効果があります。◆骨形成促進作用
ケルセチンには骨芽細胞の骨形成を促進する作用があることが確認されています。その結果、ケルセチン、ケンフェロールのようなフラボノールにダイゼイン、ゲニステインと類似の、骨芽細胞の骨形成を促進する効果が認められ、これらの結果より、タマネギによる骨の健康への効果が示唆された。
引用元
骨粗鬆症の防御に対する難消化性多糖類の有効性に関する研究
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
エネルギー
8点
「エネルギー」生成 に関わるケルセチンの働きは主に次です。
- 脂質
脂質は3大栄養素の中で一番のエネルギー源となります。1gあたり9kcalのエネルギーを産生します。糖質、たんぱく質は1gあたり4kcalです。脂肪分解促進作用を有するケルセチンは脂質代謝を改善させます。
病気
8.5点
「病気」予防 に関わるケルセチンの働きは主に次です。
- がん
「変異原性」とは遺伝情報に損傷を引き起こし突然変異をひき起こす性質(あるいはその作用の強さ)のことをいいます。放射線、たばこの煙、汚染物質、食品添加物などに存在します。
変異原性物質=発がん物質ではありませんが、変異原性物質には発がん性のものが多くなっています。
発がんにはイニシエーション、プロモーション、プログレッションの3段階の過程があります。
イニシエーションを起こす物質をイニシエーターと呼びます。
変異原性物質はイニシエーターであることが多いです。 ケルセチンには抗変異原性が認められています。参照
植物由来の黄色色素ケルセチン配糖体の抗変異原性
農研機構 - 動脈硬化
血液中のLDLコレストロールが酸化されると酸化LDLに変わり血管壁に沈着します。そうなると血管の内側は細くなって動脈硬化を引き起こします。抗酸化作用を有するケルセチンはLDLコレストロールの酸化を防ぐ働きをします。
- 血管疾患・加齢関連疾患
血管内皮細胞の老化は、脳血管や心血管の疾患に、さらにいうと糖尿病などの加齢関連の疾患に関連してきます。
血管内皮細胞ケルセチンに老化細胞除去能があることが確認できています。血管疾患および加齢関連疾患の予防に有効です。
丸全体を血管・一番外側の赤ラインを血管壁・中央の白部分を血液とイメージしてください。
肌色部分が血管外膜、ピンク部分が中膜、緑のラインが内膜です。血管内皮細胞は内膜にあります。
ケルセチンは老化した血管内皮細胞において顕著に細胞死を誘導することが細胞レベルでも示されており,老化した血管内皮細胞の除去が加齢関連疾患の発症に有用であることを強く示唆している
引用元
血管内皮細胞老化について
PDFページ 7/8
J-STAGE - 糖尿病
マウス実験にて糖尿病等の生活習慣病予防効果を示すことが明らかにされています。(ストレプトゾトシンによる)糖尿病を誘発したマウスに0.5%ケルセチン含有飼料を摂取させるといった実験を行ったところ、2週間の摂取で糖尿病の改善効果がみられたとのことです。
参照
Ⅰ ケルセチンの生活習慣病予防機能
PDFページ 4/14
農研機構
体質
10点
「体質」改善 に関わるケルセチンの働きは主に次です。
- 抗炎症作用
TNF-αは、主にマクロファージから産生される炎症性サイトカインです。
炎症性サイトカインは体内に炎症が生じた時に過剰に分泌されます。それが炎症を悪化させます。
炎症性サイトカインの中でも TNF-αは“炎症の親玉”や“炎症の司令塔”などといわれています。というのもTNF-αは、
それ自体が炎症を引き起こすといった直接的な炎症作用を持つのみならず、からです。
炎症を引き起こす別のサイトカインの産生を促すことにより、間接的に炎症を引き起こし、さらに炎症を悪化させる作用も持つ
TNF-αは関節リウマチや乾癬などの疾患の発症に深く関与しています。ケルセチンにはTNF-α産生を抑制する作用があります。
参照
【玉ねぎの皮の成分】ケルセチンが可食部の30倍 生活習慣病の引き金となる「慢性炎症」を抑制する効果
特選街Web
(株)マキノ出版 - 関節痛
関節炎とは加齢、肥満、過度な運動による関節への負担が原因で、関節が変形したり、関節を曲げ伸ばしする時に痛みを感じることをいいます。
関節炎と関節リウマチは症状は似ていますが、その原因が異なります。関節リウマチは免疫の異常によって関節で炎症が起き、手足の関節が腫れたり、痛んだりする病気です。さて、関節炎の原因は活性酸素もあげられます。
抗酸化作用を有するケルセチンには関節炎でつくられる活性酸素を除去します。
実験により関節炎による炎症・痛みを抑制することを確認できています。
出典元
1.活性酸素を除去し、関節の負担を和らげるケルセチン!
ケルセチンで関節の悩みが緩和できるってホント!?
サントリー健康情報レポート サントリーグループリンク - アレルギー
ケルセチンには抗アレルギー作用があります。この作用はヘムオキシゲナーゼ -1(HO-1)を介してヒスタミンを放出を抑制することで示されると考えられます。以上の結果より,ケルセチンは肥満細胞においてHO−1の発現および活性を増加させることにより抗アレルギー作用を示す可能性が考えられた
引用元
P194 ケルセチンの抗アレルギー作用におけるheme oxygenase (HO)-1の役割
J-STAGEケルセチンは花粉症に効く成分として有名です。
ヘムオキシゲナーゼ -1(HO-1)HO-1とはヘムを分解して一酸化炭素、ビリベルジン、鉄を産生する酵素です。
不要になったヘムを分解し、鉄の恒常性維持の役割を担っています。
分解産物ビリベルジン(及びその誘導体)には抗酸化作用が、一酸化炭素にはシグナル伝達作用などがあります。HO-1は、細胞保護作用に深く関係してきます。HO-1が肥満細胞に発現することで、アレルギー性炎症の悪化を抑制できる可能性があることが示唆されています。
参照
ヘムオキシゲナーゼ-1によるアレルギー性炎症抑制の可能性について
J-STAGE - 若返りと長寿
人の細胞には老化や寿命をつかさどる長寿遺伝子サーチュイン(Sirt1)が存在しています。通常はこのSirt1は眠っている状態で働く事はありません。言うなれば普段はスイッチがオフの状態になっています。
サーチュイン遺伝子は、通常、カロリー制限をすると活性化されます。
腹6~7分目が長生きの秘訣と言われているのは、空腹状態だとサーチュイン遺伝子のスイッチがオン(活性化)されるからです。
スイッチオンすることで様々な病気の引き金となる「老化」を抑えることが可能とされます。リンク
食品の中にはサーチュインを活性化させる作用を持つ成分があります。
その成分とは、レスベラトロールとケルセチン 他 です。
出典元
2.老化学説と老化制御
PDFページ 3/4
J-STAGE腹6~7分目の食生活を継続するのは、かなりの根気と努力が必要です。
そんな時はレスベラトロールあるいはケルセチンに頼るのがよろしいかと思います。 - 血管の若返り
ケルセチンは「血管の老化予防に効く」でとても有名です。
TVの健康番組でケルセチン(またはタマネギ)が血管の若返り成分として幾度となく紹介されています。- 抗酸化作用
- 抗炎症作用
- 降圧作用(血管弛緩作用とACE阻害作用)
- 老化細胞除去能
- 血管内皮細胞機能改善
など
ヒトは血管ととも老いるとよく言われます。リンク
ケルセチンはアンチエイジングの必須アイテムだと思います。 -
ドライマウス
鶴見大学の研究により、ケルセチンに唾液の分泌を促進する働きがあることが確認されています。参照
鶴見大、唾液量が増加するタマネギの成分を解明 日本経済新聞社 -
血管新生抑制作用
血管新生とは、既存の血管から新たな血管を新生させる現象です。
言葉だけ聞くと、体にいいことのように思えます。ですが、大人では創傷の治癒および子宮内膜で性周期に応じてといった限られた「場所」と「時期」のみに起こる現象です。
通常、下線部以外では体の中の血管は血管新生促進因子と抑制因子のバランスが保たれており、体の中にやたらめったら血管新生が起こらないシステムとなっています。
ようは、下線部以外で起こる血管新生は身体には「悪」です。血管新生は悪性腫瘍、動脈硬化、糖尿病性網膜症、リウマチ性関節炎の病態進展に深く関係してます。 また、シワや肥満や歯周病などにも関係してきます。
制御が効かなくなる【促進因子と抑制因子のバランスが崩れ 促進>抑制になる】と血管新生が起こってしまいます。ケルセチンには血管新生阻害作用があります。
参照
ポリフェノール類による血管組織形成抑制作用とそのメカニズム
日本大学生産工学部
精力
6.5点
「精力」増進&「性機能」向上 に関わるケルセチンの働きは主に次です。
- 妊活
活性酸素は生殖機能の低下の原因となります。
なので、抗酸化物質を取ることは妊娠するための有効な手段になります。
ケルセチンには強い抗酸化作用があります。 - NO
NO(一酸化窒素)は血管内皮細胞から分泌される生理活性物質です。
NOは血管拡張作用、血管保護作用を有しており、血管内皮細胞で分泌されるNOは、健康維持とアンチエイジングに不可欠な存在とさています。なぜこの項目でNOの話をしているのかというと、
陰茎の勃起に深く関与しているからです。陰茎海綿体に血液が充満し勃起が起こるメカニズムは次です。
①性的な刺激により脳が興奮するとその信号(興奮)が脊髄を伝わり勃起神経に到達する。
②すると陰茎の動脈は拡張し陰茎海綿体へ流入する血液が増える。
③同時に陰茎海綿体の平滑筋が弛緩され、海綿体は流れ込んだ血液を吸収し大きく膨らむ。
このメカニズムにおいて陰茎海綿体の平滑筋を弛緩させる働きをするのはサイクリックGMPという物質です。そのサイクリックGMPを生成するのがNOです。
性的な刺激により信号(興奮)が勃起神経に伝わると神経終末と血管内皮細胞からNOが放出されてサイクリニックGMPが生成される流れとなっています。さて、血管内皮細胞の老化および機能低下は、NO産生低下にダイレクトにつながります。
なので内皮細胞の老化および機能低下を抑制することが、勃起力の維持につながります。ケルセチンは血管内皮細胞の老化および機能低下を抑制する成分です。
ケルセチンを取れば、NOが増えると考えていいと思います。参照
タマネギエキス継続摂取による食後の血管内皮機能改善効果を確認
ニュースリリース
ハウス食品(株)公開特許公報(A)_血管内皮機能改善剤
国立研究開発法人科学技術振興機構くるくる保健室No .20『━血管事故を防ぐ生活習慣━アンチエイジングは血管力が決め手!!』
東久留米のふれあい情報サイト「くるくるチャンネル」
健脳
7.5点
「脳」の健康 に関わるケルセチンの働きは主に次です。
- 認知機能改善
認知症はアルツハイマー型認知症、脳血管型認知症、その他の3つに大別されます。認知症の半分以上はアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー病はアミロイドβの凝集体が原因で発症するとされています。
アルツハイマー病の脳では、アミロイドβの断片が処理されずに蓄積され、老人斑というゴミの塊を形成します。
このゴミがたまると【神経細胞が傷害を受ける→神経細胞が死滅する→脳が萎縮する→脳の機能障害が起こる】といった流れをたどります。ケルセチンにアミロイドβ産生を抑制する働きがあることが確認されています。
実際、ヒト実験(ケルセチン高含有タマネギとそうでないタマネギによる認知機能検査の比較)では、認知機能が改善していると思われる結果が報告されています。
参照
アルツハイマー病病態に基づく発症予防法の解明
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)ポリフェノール含有野菜の高機能化とその応用戦略 ―ケルセチン高含有タマネギの健康機能―
J-STAGE野菜の機能性研究~たまねぎのケルセチンによる認知機能改善の可能性~
独立行政法人農畜産業振興機構 - 抗うつ
ケルセチンには抗うつ様活性あることが認めれられています。酸化ストレスを制御する食品機能成分の活性発現機構に関する統合研究 J-STAGE
ケルセチンのサプリメント紹介
ケルセチンのまとめ
分析【見た目編】46点
分析【中身編】45.5点
ケルセチン 抗炎症作用
驚くべきちからを秘めたポリフェノール ケルセチンの秘密 健康情報レポート サントリー
ポリフェノール,化学反応を基盤とする機能性物質 J-STAGE
ポリフェノールパラドックス J-STAGE
ケルセチン配糖体の吸収代謝と活性発現機構 J-STAGE
ポリフェノール含有野菜の高機能化とその応用戦略 ―ケルセチン高含有タマネギの健康機能― J-STAGE
タマネギ外皮を用いた染色の紫外線防御効果 J-STAGE
北海道産タマネギ品種のケルセチン含有量と抗酸化能の差異 J-STAGE
体脂肪低減効果を有するケルセチン配糖体配合飲料の研究開発 J-STAGE
脂溶性食品成分の腸管吸収機構と生体利用性 J-STAGE
野菜フラボノイドの生体利用性と抗酸化活性 J-STAGE
フラボノイド類の血中代謝物と局所における有効性 J-STAGE
食事由来フラボノイドの吸収経路と代謝物分布 J-STAGE
フラボノイド抱合体のマクロファージとの相互作用を介した活性化機構 J-STAGE
健康促進に貢献する化学 J-STAGE
天然抗酸化物質の吸収と代謝 J-STAGE
血管内皮細胞老化について J-STAGE
血管疾患のアンチエイジング治療 J-STAGE
漢方生薬含有機能性フラボノイド“ケルセチン”の血管薬理作用 J-STAGE
茶葉および浸出液中のフラボノール含量測定法 J-STAGE
酸化ストレスを制御する食品機能成分の活性発現機構に関する統合研究 J-STAGE
セビメリン塩酸塩水和物とピロカルピン塩酸塩以外で唾液分泌を促す可能性のある薬物と口腔乾燥の対処法
J-STAGE
食品由来フラボノイドの生体利用性に関わる化学構造の特徴と生体内代謝物の同定 公益社団法人 日本農芸化学会
消化管は食べることができるものを選ぶ 食と健康Lab 太陽化学(株)
Ⅰ ケルセチンの生活習慣病予防機能 農研機構
ストレス誘導によるケルセチンの活性化と多機能発現ダイナミクスの 解明 KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)