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セレンは、体内の抗酸化作用を高めるためにとっても重要なミネラルです。
セレンは次に2点に必須の存在だからです。
①細胞内の還元環境を維持する
活性酸素は、タンパク質や核酸などを酸化させることで損傷を与え、様々な疾患を発生させます。
生体内のタンパク質は、酸化を受けやすいアミノ酸残基を多数含んでいます。
なかでも含硫アミノ酸のシステインは最も酸化を受けやすいアミノ酸残基の1つとして知られています。
システインは酸化を受けやすい、ですが、酸化されても還元されます。この還元環境を維持する機構【グルタチオン系とチオレドキシン系】がしっかりと機能しているからです。
基質タンパク質のシステイン残基は酸化を受けるとそのチオール基がジスフィルド結合を形成します。
グルタチオンおよびチオレドキシンはレドックス(酸化還元)反応を介して、自ら酸化型となることで基質タンパク質のジスルフィド結合を還元します。
👍ここでセレン
酸化型になったチオレドキシンはチオレドキシン還元酵素の働きにより再び還元型に戻ります。チオレドキシン還元酵素はNADPHの存在下で、酸化型チオレドキシンを還元します。
チオレドキシン還元酵素は活性中心にセレンを有します。
出典元
チオレドキシン-1測定キット
日本老化制御研究所 日研ザイル(株)
②過酸化水素を消去する
活性酸素スーパーオキシドはSODと呼ばれる抗酸化酵素により過酸化水素と酸素に分解されます。ここで生じた過酸化水素が安全に分解されなければ、最も酸化力が強いヒドロキシラジカルに変わってしまいます。
それゆえに体内にある過酸化水素消去酵素の存在が非常に重要です。
その代表ともいえるグルタチオンペルオキシダーゼはグルタチオンを利用して過酸化水素を水と酸素に分解します。ちなみにグルタチオンペルオキシダーゼには過酸化脂質を無毒化させる働きもあります。
👍ここでセレン
グルタチオンペルオキシダーゼは活性中心にセレンを有します。
ペルオキシレドキシンも過酸化水素消去酵素です。ぺルオキシレドキシンは過酸化水素を還元することにより消去します。その際、自身のもつシステイン残基が酸化されてその活性を失いますが、チオレドキシンによって再還元されます。チオレドキシンは酸化型になりますが・・・
👍ここでセレン
酸化型のチオレドキシンを還元型に戻すのはチオレドキシン還元酵素です。
チオレドキシン還元酵素はNADPHの存在下で、還元します。
チオレドキシン還元酵素は活性中心にセレンを有します。
さて、セレンがいない(不足している)世界を想像してみてください。グルタチオンペルオキシダーゼ、チオレドキシン還元酵素が機能しなくなります。その結果、細胞内の抗酸化物質「グルタチオン」「チオレドキシン」がその力を発揮できなくなります。
セレンが不足すると生体の抗酸化能が低下する、過酸化物による細胞障害が起こる これは都市伝説の類などではなく、紛れもない事実です。
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※レビューの内容について
→個人の見解です。