ビタミンB6の評価 S
ビタミンB6
ビタミンB6は水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一種です。ビタミンB6(以下文中はB6)の化学名はピリドキシンです。
B6は3大栄養素すべての代謝にかかわりますが、特にたんぱく質の代謝に関わっています。
B6を知る上で必要な情報①ビタミン②水溶性ビタミン③ビタミンB群④代謝(酵素、補酵素)⑤TCA回路(クエン酸回路)について述べます。
ビタミンは13種類あり、水溶性ビタミン(9種類)と脂溶性ビタミン(4種類)に分類されます。水溶性ビタミンの主な働きは「代謝」をサポートすることで、脂溶性ビタミンの主な働きは「体の調子」を整えることです。
ひとまとめにされている理由としては
①発見されたときはこの8つのビタミンはひとつのビタミンだと思われていたという説と
②水に溶けて、代謝にかかわるビタミンは同一物質と考えられひとつにまとめられたという説があります。
サプリメントなどでB群という複合体の形をとっている理由は、この8つは単体ではあまり効果を発揮できず、他のB群と一緒にとることで活性型(補酵素型)にかわるからです。体内で利用されるためには活性型(補酵素型)に変換される必要があります 。
食事から摂った3大栄養素を、消化酵素(プラス補酵素)によって、吸収しやすいように分解して、
代謝酵素( プラス補酵素)と酸素によって、代謝という過程を経てエネルギーや体の材料となるもの(筋肉、臓器、皮膚、血管、髪など)を作っていきます。酵素は触媒することで、代謝に関わっています。
それ自身は変化しないで他の物質の化学反応を促進すること
ビタミンは酵素の補酵素として代謝に関わっています。補酵素の役割とは酵素が起こした化学反応によりできた物質を運搬したり、酵素の構成成分の一部として働いたりすることです。
そのTCA回路に入るには基本的にアセチルCoAという物質に変化さなければなりません。
食事などから取った3大栄養素は消化酵素により分解され、分解されたものは細胞内のミトコンドリアに入り、アセチルCoAという物質に代謝されます。この代謝経路は3大栄養素それぞれ異なります。
その経路でさまざまな酵素が触媒として働き、ビタミンB群はその補酵素として関わってきます。
TCA回路内では、取り入れられたアセチルCoAがオキサロ酢酸と結合しクエン酸となり、8種類の酸に次々と変化しながら回転します(→クエン酸→イソクエン酸→αケトグルタル酸→スクシニルCoA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸→)。
酸素と結合し、TCA回路が上手に回転(変化)することでアセチルCoAが完全燃焼し、二酸化炭素と水を発生させます。またNADH、FADH2を産生します。
このサイクルで燃焼してできた熱がATPというエネルギーを貯蔵する物質となります。
生み出されたATPがエネルギーとしてたんぱく質の合成、筋肉の収縮、脳(神経細胞)の活動などに使われています。
このサイクルの代謝過程のいたるところでも酵素が触媒として働いていてB群はその酵素の補酵素として活躍します。補酵素であるB群が不足するとTCA回路の回転が上手く回らず、エネルギーを十分に作り出せなくなります。
ビタミンB6の摂取目的
B6の摂取目的はたんぱく質の代謝です。これはすべてのカテゴリーにかかわります。その中で「薄毛」「白髪」「美肌」「筋肉」「普段」「代謝」のカテゴリーに紐づけしています
肌 「美肌」
体型 「筋肉」
体力 「普段」
その他「代謝」
ビタミンB6の効果・効能
たんぱく質の代謝
B6はたんぱく質の代謝に深く関わっています。具体的には以下の働きをします。
人間の体を構成しているものはほとんどたんぱく質でできています。体を構成しているものとは、例えば筋肉、皮膚、臓器、髪、血管などのことをいいます。
食事などで取り入れられたたんぱく質は、体内で一度アミノ酸に分解されて、そのあと再び体内で再合成させてこの体を構成するたんぱく質となります。
B6は、体内に取り入れたたんぱく質を分解してアミノ酸にする酵素と、分解されたアミノ酸を体内のたんぱく質として合成する酵素の補酵素として働いています。
食事などで取り入れたたんぱく質は、体内でアミノに分解され吸収されます。そして体の材料となるたんぱく質として合成されます。
体内の材料となるたんぱく質として合成される際に、そのたんぱく質を構成しているアミノ酸が足りていない場合があります。その時は、他のアミノ酸からそのアミノ酸を作り出す必要があります。この他のアミノ酸から別のアミノ酸を生成するという働きに、B6が補酵素として働いています。
体内のたんぱく質は毎日合成と分解をくりかえしています。一定量を分解して、分解したのと同じ量のアミノ酸をとり入れ新しくたんぱく質を合成しています。
体内のたんぱく質が分解されてできたアミノ酸はアミノ酸プールというアミノ酸の貯蔵庫のようなものに一旦貯められます。アミノ酸プールから再び、各組織の細胞に入り、細胞はそのアミノ酸を原料に新しい体たんぱく質を作ります。
このアミノ酸プールには食事由来のたんぱく質から分解されてできたアミノ酸も含まれており、「食事由来のたんぱく質から分解されたもの」も「体の中のたんぱく質が分解されてできたもの」も区別されることなく体たんぱく質の合成に利用されます。
アミノ酸プールの貯蔵には限度があり、一定の量を超えると余剰となっているアミノ酸を分解してエネルギーとして使用することができます(グリコーゲンとして筋肉や肝臓に貯蔵することもできます)。
アミノ酸プールに入りきれず余剰となったアミノ酸を分解してエネルギーを生み出すときにもB6が働きます。
糖質制限などを行ない血糖値を維持するだけの糖質が体内にない時に、人間の身体はアミノ酸、脂肪、乳酸などからブドウ糖を作り出し、このブドウ糖をエネルギーとして利用することが出来ます。このことを糖新生といいます。
糖新生のため使われるアミノ酸は主にに筋肉のたんぱく質(筋たんぱく質)のアミノ酸です。筋たんぱく質を分解してアミノ酸のアラニンを生み出します。アラニンは肝臓に運ばれピルビン酸に変わります。そのピルビン酸が糖新生によりブドウ糖に変わり再び筋肉細胞へ行き、筋肉のエネルギーとして利用されます。
このアラニン→ピルビン酸の代謝過程でB6は補酵素として関わってきます。
ホモシステイン
ホモシステインとは、たんぱく質の代謝過程でできるアミノ酸の一種です。必須アミノ酸のメチオニンを代謝する際にできる中間代謝物(代謝過程の途中でできる物質)です。
中間代謝物であるホモシステインは再びメチオニンに、あるいは非必須アミノ酸であるシステインに変換されるのですが、このメチオニンの代謝過程においてなんらかの異常が起きた場合に、変化されずホモシステインのままになります。つまり血中のホモシステインの濃度が高まることになります。
血中にホモシステインが増えてしまうと、そのホモシステインが悪玉コレステロールと結びつき、血管の壁にたまってプラークをつくります。
プラークが蓄積されると動脈硬化の原因となります。
B6 はビタミンB12、葉酸とともに摂取することで、血中のホモステインのメチオニン、システインへの代謝を促進します。
B6はホモシステイン→システインの代謝に関係しています。
女性
B6は女性にとって大切な成分です。B6には月経前症候群 (PMS)の症状を緩和する働きや、妊娠初期のつわりの症状を軽くする効果があります。
PMSの症状に悩んでいる人や、妊婦がビタミンB6を摂取したころPMSやつわりの症状が改善したとの報告がされています。
PMSの症状は女性ホルモン(エストロゲン)のバランスの崩れが原因の一つとされ、B6はそのバランスを整える働きをします。
つわりはキサンツレン酸という物質の増加が原因の一つとされています。キサンツレン酸とは、必須アミノ酸トリプトファン代謝の際に作られる中間代謝物で、トリプトファンの代謝に異常が生じたときに増加します。この代謝にB6は関係してきます。
ストレス
神経伝達物質には「γアミノ酪酸」というものがあります。この言葉だと聞き馴染みがないかもしれませんが、この略語は有名なGABAです。GABAには神経細胞の興奮を抑える働きがあります。
GABAの合成に関係してくるのがB6です。GABAはリラックス効果を生み出し、ストレスを緩和します。
B6が不足しているとGABAが十分につくられず、緊張しやすくなり、ストレスにさらされやすい状態になるといえます。
免疫
B6は免疫抗体にもかかわっています。免疫抗体の総称を免疫グロブリンといいますが、この免疫グロブリンの生成に関わっています。免疫機能が正常に働くためにB6は欠かすことのできない成分です。
免疫機能を正常に維持することはアレルギー症状をやわらげることにもつながります。アレルギーに悩んでいる人はB6の摂取を心がけることで、少しでも症状が軽くなるかもしれません。
脂質の代謝
脂肪肝とは肝臓の病気の一つで肝臓に脂肪が蓄積されることをいいます。自覚症状があまりない病気です。脂肪肝が進行すると肝硬変になり、さらにそれが肝臓ガンにつながるリスクが高まります。
B6は脂質の代謝に関与しており、肝臓への脂質の蓄積を防ぐ効果があります。アルコールをたくさん飲む人は、脂肪肝になりやすいので、B6を意識して摂取する必要があります。
ビタミンB6のキャッチフレーズ集
- たんぱく質の代謝には欠かせないビタミン
- 美容、健康、体づくりに必須の成分
- 別名「肌のビタミン」 スキンケアに
- 女性の悩みにも関係
- アルコールをたくさん飲む方に
ビタミンB6の摂取量、不足、過剰
ただ長期にわたり抗生物質を服用している方は体内での生成能力が衰えるため不足する可能性があります。
妊娠中やピルを服用している人もB6の消費が激しくなるため不足しがちになります。
たんぱく質の代謝に関係しているB6が不足していると皮膚や粘膜に支障が生じます。
肌の新陳代謝が落ち、肌荒れ、かさつき、ニキビといった肌トラブルが生まれやすくなります。また皮膚炎、口内炎、口角炎、舌炎、角膜炎といった症状があらわれます。
B6は神経伝達物質の生成にもかかわっているので、末梢神経障害、中枢神経異常、情緒不安定などの症状もあらわれます。
ビタミンB6の豆知識
腸内細菌で作ることのできるビタミンは、他にもビタミンK、B2、パントテン酸、葉酸、B12、ビオチンがあります。
ビタミンB6のイメージ
ニンニク
美容、体づくりに関わるたんぱく質の代謝
ビタミンB6と相性の良い栄養成分
・ビタミンB2
・ナイアシン
・葉酸
・ビタミンB12
ビタミンB6の勝手にランキング
髪(薄毛)部門 第9位
髪(白髪)部門 第9位
体型(筋肉)部門 第4位
体力(普段)部門 第13位
ビタミンB6のレーダーチャート解説
- 6
このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる - 5
このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる - 4
このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる - 3.5
このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない - 3
このカテゴリーになんらかの効果があるもの - 2
このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる - 1
このカテゴリーとは関係ないと思われる
※4以上が摂取目的となっているカテゴリー
ビタミンB6 総合評価 S 17.5
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS 18点
S 16点以上
A+ 14点以上
A 12点以上
B+ 10点以上
B 9点以下
髪(薄毛)評価6
髪はほとんどケラチンというたんぱく質でできています。髪の90%以上はケラチンです。ケラチンは18種類のアミノ酸で構成されています。
食べ物から取り入れたたんぱく質はアミノ酸に分解されます。そのアミノ酸は体内で体の材料となるたんぱく質に再合成されます。ここでいうところのケラチンが作られるということです。
B6はたんぱく質をアミノ酸に分解する時、また分解されたアミノ酸がケラチンに再合成される時に働く酵素の補酵素として活躍します。B6が不足しているとこのケラチンというたんぱく質の代謝が上手くいかず丈夫で健康な髪が作られなくなります。髪にとってとっても重要です。
髪(白髪)評価5
髪に着色するメラニン色素はメラノサイトでチロシンを材料に作られています。生成されたメラニンが毛母細胞が分裂する過程で、髪の中に取り込まれることで色のついた髪が生まれていきます。
メラニン色素が十分に作られることはもとより、取り込まれる先である髪の毛そのものが丈夫で健康的であることが黒髪を生み出すための大前提となります。つまり主成分であるたんぱく質がしっかりと生成されることです。たんぱくの代謝に深く関わっているB6は黒髪を生み出すためにも欠かすことはできません。
またB6はチロシンの吸収を高める働きがあります。冒頭でメラニン色素はメラノサイトでチロシンを材料に作られると説明しました。チロシンの吸収率をアップさせることも黒髪に導く要素の一つになります。
肌(美肌)評価5.5
B6は上で述べたようにたんぱく質の代謝に大きくかかわっています。これは肌の健康にも深く関わっています。
体内にあるたんぱく質は、毎日合成と分解が行われています。
つまり体内にあるたんぱく質が分解され、新しいたんぱく質が合成されるという働きがを繰り返して起こっているのです。 これをターンオーバーといいます。ターンオーバー促進にもB6は関係しています。
ターンオーバーという言葉は「肌のターンオーバー」でよく耳にすると思います。美肌を作るには肌のターンオーバーを正常化することが最低条件ともいえます。ターンオーバーを促進するB6は美肌づくりに重要な成分といえます。
体型(筋肉)5.5
上で説明しましたが、たんぱく質は合成と分解を繰り返して、成長しその機能を維持しています。筋肉というたんぱく質(筋たんぱく質)はこれを説明するのに一番わかりやすい例かもしれません。筋肉トレーニングとは筋肉に高い負荷を与えることで、筋繊維にダメージを与え(分解)、休養、栄養をとることでダメージを受けた筋繊維を修復させる(合成)プロセスです。
この時に合成>分解という図式になった場合に、筋肉が肥大するというメカニズムになっています。
たんぱく質の分解、合成を促進するB6は筋たんぱく質の合成に深く関与していることはいうまでもありません。
筋肉を肥大させるにはそのもととなるプロテインを摂取することは必須となりますが、そのプロテインを体内で効率よく筋肉にさせるのはB6の役割です。
プロテインをよく飲む人は、それに伴いB6も摂取する必要があります。
体力(普段)5
人が健康的に生活するためにはエネルギーが必要です。B6はエネルギーづくりにも関わっています。人間の主要なエネルギー源は糖質と脂質です。3大栄養素がエネルギーとして使われる順番は、糖質→脂質→たんぱく質(アミノ酸)です
空腹時や運動している時、血糖値を維持するだけの糖質が体内にない場合に、体内にあるたんぱく質(主に筋肉)をアミノ酸に分解し、そのアミノ酸をブドウ糖に変えてエネルギーを作りだします。これを糖新生といいます。この代謝過程にB6は深く関与しています。
その他(代謝)5.5
B群自体が「代謝のビタミン」と呼ばれているので、それに含まれるビタミンは当然ですがこの部門の評価は高いです。B6は3大栄養素のすべての代謝に関わっていて、特に「たんぱくの代謝」に関わっています。たんぱく質は、体づくり、美容にとても重要な栄養素です。このB6はたんぱく質の代謝の主役といっても言い過ぎではありません。
ビタミンB6雑感
たんぱく質は人間の体を構成している材料となっています。皮膚、髪、臓器、血液これらって主にたんぱく質でできています。それだけではありません。ホルモン、免疫抗体のもとなんかもたんぱく質です。
この図のほとんどすべてがたんぱく質でできているといっても強ち間違いでもないのです。
人間を構成しているもので1番多いのは水ですが、その次はたんぱく質なのです。
5大栄養素の中でも断トツです。なのでたんぱく質はスゴク大事です。
このブログを昔から見てくださっているコアな方ならご存知かもしれませんが、私の「たんぱく質」愛は半端ありません。たんぱく質の構成している「アミノ酸」1つ1つもかなり愛しています。
愛しているという表現は少しへんですね。ようは摂取することを重視しているということです。
だって、髪も肌も筋肉もその他もろもろもたんぱく質ですよ。主にたんぱく質でできているんですよ。
これらって私のアンチエイジング方の中でもっとも重視している分野です。なので、たんぱく質が不足して、このパーツたちが上手く作られていないなんて論外なのです。
なのでたんぱく質(プロテイン)をたくさんとるのです。その構成要素である20種類のアミノ酸を不足することなくとるのです。
いっぱい、いっぱいとるのです。
・・・・・
すいません。論点がずれていました。
たくさんとっている
たんぱく質、アミノ酸を代謝するための栄養成分もしっかりとらなければいけない
ということなのです。
たんぱく質の、アミノ酸の代謝がしっかり行われることで健康な髪やキレイな肌やたくましい筋肉が作られるのです。
で、このたんぱく質の代謝にかかわっているのがB6なのです。単に関わっているだけではなく、この代謝では主役として関わっているのです。圧倒的な主役です。
なのでたんぱく質、アミノ酸LOVEな私にとって、それと同じぐらいB6を愛しているのです。
・・・・・
えーと長々とかきましたが、簡単にいうと
「たんぱく質をたくさん摂取している人はそれに伴いB6も多く取らなければいけない」ということです。
ともかくB6を摂取することは
太く丈夫な「髪」を作り、ハリのあるみずみずしい「肌」を保ち、質の良い「筋肉」を効率よく増やすことにつながっているといえます。
もうこれ以上はいうことありません。B6の効果・効能は他にありますが、言いたいことはこれなのです。
ということで単品サプリで当然とっていますし、
複合サプリでもとっています。