さて提案してみるシリーズもはや3回目になりました。「提案してみる」シリーズとは、美容や健康に関する悩みを栄養成分を紹介することで解決していくコーナーです。年齢や性別、生活環境、食生活、予算に合わせて最適なサプリメントやその組み合わせなどを紹介するものです。1回目はシミ、2回目は白髪の悩みでした。3回目の今回はどんな方がどんな悩みをもってやってくるのでしょうか・・・
バチーん
ところでハゲ茶瓶、相談教室開いたって聞いたぞ!
そうなんです。いままで学んできたことを生かして町内で何かお役に立てればと思い開設しました。すごく評判がいいんですよ。
おれの悩みもちょっと聞いてほしいだけど!
- 今回のお悩み
- 性別
- 年齢
- 職業
- 趣味
- だいたいの食生活(アバウトで結構です)
- 運動の頻度
- アルコール
- たばこ
- 睡眠時間
- サプリメントにかけられる1カ月の予算
- 今回のお悩み
最近抜け毛が増えてきた
- 性別 男性
- 年齢 33
- 職業 無職
- 趣味 映画鑑賞
- だいたいの食生活(アバウトで結構です)こってりしたもの中心
- 運動の頻度 毎日ウォーキング
- アルコール 毎日ビール3缶
- たばこ 1日 1箱~2箱
- 睡眠時間 5時間
- サプリメントにかけられる1カ月の予算 1万円
まあいいでしょう!それとこれとは別ですから。
ひとのことハゲ茶瓶呼ばわりしているわりには、薄毛に悩んでいたとはしりませんでした。
まあ薄毛関連は私の得意分野でもあります。じっくり相談にのりましょう!それではまず髪というものがどういうものかから学びましょう!
髪の基本情報
まず髪の構造を簡単に説明します。前回じいさんの相談(提案2 55 無職 白髪改善 前編)で説明したところと重複しているところがあるのでさらっと流します。
地肌から上にでている部分(私たちの頭にある部分)の髪の毛を毛幹とよんでいます。ようは見えている部分のことです。
地肌に埋まっている部分を毛根といいます。ようは見えていない部分です。地肌から上の部分は毛幹、地肌から下の部分は毛根ということです。
毛根の中の黒く膨らんだ部分を毛球といいます。その毛球部分には「毛乳頭」と「毛母細胞」があります。毛根部分をつつんでいるものを毛包といいます(この絵だと毛根(黒)の横にあるピンクのライン部分)。
毛球の中にある白い丸は毛乳頭、
毛乳頭の周りにある白い点テンは毛母細胞、ちなみに赤い三つ又の線は毛細血管です。
ありますよ。これを理解していないと、後から説明することがわけわかなくなりますから。なのでこの髪の基本情報はしっかりと頭にインプットしてください。
髪が生まれる仕組み
そもそもは髪は主に18種類のアミノ酸が組み合わさってできているものです。18種類のアミノ酸が組み合わさってできるたんぱく質がケラチンというものなのですが、髪の90%以上はケラチンでできています。
18種類のアミノ酸を髪の細胞に集めケラチンというたんぱく質に合成し髪をつくりだすのですが、その場所が頭皮にある毛根です。毛根の毛球付近にある毛乳頭と毛母細胞です。
毛細血管が栄養素や酸素を毛乳頭へ運び、栄養素や酸素を受け取った毛乳頭は、それらを毛母細胞に渡し、髪を生み出したり成長するよう指示します。
毛乳頭から指示をうけた毛母細胞は細胞分裂をすることにより、髪の毛を生み出したり、伸ばしていきます。つまり髪を生み出すもととなっているのが毛母細胞です。
毛母細胞が分裂して上へ上へと押し上げられて、その過程で角化(角質化)すると髪になります。そして分裂が繰り返されることで髪がどんどんと伸びていきます。
角化って以前、表皮で行われる肌のターンオーバーを説明するときにでてきた用語です。ちょっと振り返ってみましょう。
表皮の一番下にある基底層で角化細胞は生まれ、その角化細胞が細胞分裂をします。分裂した角化細胞のうちの一つは基底層に残って次の分裂のための準備をします。細胞分裂で生まれたもう一つ角化細胞は形を変えながら表面に押し上げられていきます。
この角化細胞が有棘層、顆粒層、角質層という順番で上に上にあがっていくのですが、基底細胞→有棘細胞→顆粒細胞→角質細胞と変化していくことを表皮の角化といいます。
まあ、そうです。
角化は細胞が強くでかくなることなのか?
いや逆です。逆。
角化細胞が角質細胞になるということは、最終的には垢となって剥がれ落ちることなのです。
で、角質細胞になるということは細胞が死んでいくことなのです。
角化って細胞が死んでいくことなのです。基底層で生まれた角化細胞は、有棘層、顆粒層、角質層と表面に押し上げられるにつれ、自らの核を無くして(無核となって)、死んだ状態で角質細胞となります。
表皮にある角質層って死んだ細胞が集まっている場所なのです。
そうです。死んだ細胞の集まりが髪になるということになります。細胞が死ぬということは硬くなることとともいえるので硬い細胞=髪になっています。
ボコーン
まあなにはともあれ「角化」にそこまで執着する必要はありません。今回の話にそんなに関係していないことなので。
今までいったことを簡単にまとめるとこういったことです。
- 食事などからたんぱく質をとる
- たんぱく質はアミノ酸に分解される
- 髪の材料となる18種類のアミノ酸が毛細血管を通って毛乳頭へ運ばれる
- 毛乳頭は栄養素(18種類のアミノ酸etc)と酸素を受けとり、毛母細胞に渡すことで、髪を生み出すよう指示する
- 毛母細胞でアミノ酸の組み立て作業をして髪というたんぱく質(ケラチン)がつくられ、それが角化されることで髪の毛となる
- 毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで髪が成長していく
で、髪の基本情報と髪が生まれる仕組みはこんな感じですが、延々と伸びていくわけではなく、髪は抜けていきますよね。
その辺のことを次の段落で説明します。抜ける仕組みというか・・・なぜ抜けるかです。
ヘアサイクル
髪の毛には生え変わる周期というものがあるのです。でその周期をヘアサイクルといいます。ヘアサイクルとは成長と脱毛を繰り返す髪のサイクルのことで毛周期とも呼ばれています。
「ヘアサイクル」とは1本の髪が生まれて、成長して、抜け落ちるまでの周期のことです。
ヘアサイクルには成長期、退行期、休止期あります。
成長期(2~6年)
髪が生まれ、成長していく期間を成長期といいます
毛乳頭は毛細血管から得た栄養素、酸素を毛母細胞に供給するとともに毛母細胞に対して、髪を生み出し、成長させるよう指示をだします。この指示を受けると、毛母細胞は細胞分裂をおこし、角化して髪となります。
そして細胞分裂を繰り返し行うことで髪を成長させていきます。
ヘアサイクルのうちのほとんどの期間は、この毛母細胞が分裂し髪が伸びる「成長期」です。通常2年~6年間続きます。毛髪全体の約85~90%がこの成長期にあります。
退行期(2週間)
毛根の毛母細胞の分裂活動が衰えて髪が伸びにくくなる時期です。
これを「退行期」と呼びます。期間は約2週間です。毛髪全体の約1%が退行期にあたります。
※絵と内容は全く関係ありません
休止期(3カ月)
退行期を過ぎると毛母細胞の分裂活動は完全にストップします。休止期に入った毛は一切伸びなくなります。休止期(3カ月)の髪が頭髪全体にしめる割合は10~15%ぐらいです。
この期間は次に新しい毛が生えてくるのための準備期間です。毛母細胞はひと休み(3カ月)した後、分裂活動を再開します。
休止期の終わりに近づく頃に、毛根の毛球では毛乳頭の指示によって再び毛母細胞が分裂を開始し、新しい髪をつくり始めます。
※絵と内容は全く関係ありません
そしてこれから新しく成長期に入っていく髪に押し出されるようにして古い毛は自然に抜け落ちます。
新しく生えてきた髪が一番はじめの成長期に入り、成長期→退行期→休止期というサイクルをたどっていきます。
抜け毛の本数
髪は1本1本このヘアサイクルが異なっています。つまり1本1本休止期の時期がずれているので、普通は一度にまとめて抜けることはありません。
ところで1日何本ぐらい抜けますか?
ところで髪の毛って人間にどのくらい生えているか知っていますか?
まあ答えをいうとだいたい10万本ぐらいです。
この100本という数字は、要は休止期にある髪の割合です。
休止期にあたる髪が1万本(10万の10%)で期間が約100日(休止期は3カ月)あるため、
計算上1日に100本(10000本÷100日=100本/日)は抜けるということです。
で1日100本ぐらいは普通抜けてしまうのですが、その分はまた新たに生まれてきているので問題ありません。
抜け毛が必要以上に増える理由は、髪の成長と脱毛の周期、すなわち「ヘアサイクル」が乱れることで起きます。
具体的にいうと成長期にあたる髪の本数が減り、退行期、休止期にあたる髪の毛が増えてしまうことです。
ようは成長期が短くなることで抜け毛が増えます。
成長期が短くなる主たる原因は男性ホルモンです。今回はこの辺にして次回、詳しく話します。
提案3 33歳 無職 薄毛(男性ホルモン)中編 その1に続く