β-クリプトキサンチン

β-クリプトキサンチンの評価 A+

 

β-クリプトキサンチン

β-クリプトキサンチンのポイントすごさを簡単にまとめました。

 Point 
オレンジ色の色素成分

β-クリプトキサンチンは柑橘類特有のオレンジ色の色素成分です。β-クリプトキサンチンは柑橘類全般に含まれています。中でも温州みかんに多く含まれています。温州みかんには、オレンジの10倍以上含まれています。

温州みかん

温州みかんは、日本国内ある一般的な「みかん」のことです。

みかんの正式名称です。

温州みかんは出荷時期により次の種類に分類されます。
※時期はアバウト

  • 極早生(ごくわせ)種(9月~10月頃出荷)
  • 早生(わせ)種(10月~12月頃出荷)
  • 中生(なかて)種(11月下旬~12月下旬頃出荷)
  • 晩生(おくて)種(12月下旬~3月頃出荷)

ちなみに、有田みかんや愛媛みかんは温州みかんのブランド名です。
日本の全ての柑橘類生産量のうち約70%は温州みかんで占められているといわれています。

 


 Point 
カロテノイド

β-クリプトキサンチンはカロテノイドの1つです。

カロテノイドはファイトケミカルの1種です。野菜・果物・動物などに含まれる黄・赤・オレンジなどの色素成分の総称のことをいいます。
自然界には750種類以上のカロテノイドが存在すると言われています。

 Point 
キサントフィル類

β-クリプトキサンチンはカロテノイドのキサントフィル類に分類されます。

カロテノイドは大きくカロテン類とキサントフィル類に分けることができます。

カロテン類とキサントフィル類は分子構造が異なります。
カロテノイドは化学式C40H56の基本構造を持つ化合物の誘導体です。
そのうち炭素と水素のみでできているもの(炭化水素化合物)はカロテン類、
それ以外のものを含むもの(カロテン骨格に 酸素原子がカルボニル基や水酸基などの形で結合)はキサントフィル類です。

アルコールに溶けるか否かで分けられます。アルコールに溶けるほうがカロテン類、アルコールに溶けないがキサントフィル類です。

先ほど750種類以上のカロテノイドが存在すると言いました。そのうち約50種類がカロテン類、約700種類がキサントフィル類です。

 

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 Amazing 
ヒト血中主要カロテノイド6種類の1つ

普段の食生活において、約50種類のカロテノイドを食品から取りいれています。そのうち約20種類が血液中に存在します。その中でリコペン、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチンを「ヒト血中主要カロテノイド6種類」として括っています。

ヒトが日常摂取する食物の中にはおよそ50 種のカロテノイドが含まれ、血液中には食物から吸収された 20 種類あまりのカロテノイドが存在する。その内でもβ-カロテン、α-カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチンおよびβ-クリプトキサンチンの6種が主成分であり、これらで血液中のカロテノイドの90%以上を占める。

引用元
カロテノイドの多様な生理作用 
一般財団法人生産開発科学研究所

 

 Amazing 
プロビタミンA

プロビタミンAとは生体内で「ビタミンA効力を示す物質に変換されるもの」の総称をいいます。ビタミンAに変換されるもの、つまりビタミンAの前駆体です。

プロビタミンAは約50種類存在します。ヒト血中主要カロテノイド6種類のうちプロビタミンAはβ-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチンの3つです。

プロビタミンAはビタミンAが不足している時に 必要とする量だけビタミンAに変換され、ビタミンAが十分に存在する時には ビタミンAに変換されないという性質があります。
そのためプロビタミンAをたくさん摂取することによる「ビタミンAの過剰摂取」は心配する必要ありません。

ビタミンAの過剰

ビタミンAの過剰症には、慢性と急性の症状があります。
慢性の中毒症状は、関節や骨の痛み、皮膚乾燥、脱毛などです。
急性の中毒症状は、腹痛・嘔吐・めまい・過敏症などが出現し、その後に全身の皮膚落屑がみられます。

ビタミンAの過剰症は、ビタミンAを大量に服用する or ビタミンAを多量に含有する食品(うなぎ・レバーなど)を摂取することにより発生する可能性があります。
連日 25,000IU( 7,500μgRAE )を摂取すると慢性症状が出現すると言われます。

転換率について

プロビタミンAのビタミンAへ転換率についてβ-カロテンをベースに説明します。
β-カロテンは摂取されると 小腸粘膜吸収上皮細胞内で中央開裂により2分子のレチナールを生成します。
ただビタミンA(レチノール)へ転換率が50%で、さらにβ-カロテンの吸収率が1/6のため β-カロテンが体内でビタミンAとして利用される率はおよそ1/12となります。

α-カロテン、β-クリプトキサンチン、他のプロビタミンAは、中央開裂により1分子のレチナールを生成します。α-カロテン、β-クリプトキサンチン、他のプロビタミンAが体内でビタミンAとして利用される率はおよそ1/24となります。

※ここでの話は食事由来に限ります。サプリメントからだと率は異なります。

ビタミンAの効力を示す単位

ビタミンAの効力を示す単位はRAE(レチノール活性当量)あるいはIU(国際単位)が用いられます。
1μgRAEはレチノールとして1μg1IUはレチノールとして0.3μgです。

レチノール 1μg【βカロテン 12μg、αカロテン 24μg、βクリプトキサンチン 24μg、その他のプロビタミン 24μg】に相当します。

海外のサプリメントはIUで表示されています。例えば25,000I.U.は7,500μgRAEに相当します。

 

 

 Amazing 
一重項酸素消去能

狭義の活性酸素は4種類【スーパーオキシド・過酸化水素・一重項酸素・ヒドロキシラジカル】です。

そのうち
フリーラジカルはスーパーオキシド・ヒドロキシラジカル
フルーラジカルでないのは過酸化水素・一重項酸素
です。

フリーラジカル

物質を構成するのは原子です。原子は原子核と電子からできており、原子核の周りを電子がぐるぐると回っています。
原子核の周りを回る電子は2つで一対となることで安定な物質となっています。フリーラジカルとは原子核の周りにある電子の数が1つの分子(不対電子)のことをいいます。


2電子が一対になっているときは安定


なっていないときは不安定
※原子2つ以上が結びつくことで分子となります。イラストがフリーラジカルというわけではありません。

フリーラジカルは、不対電子をもっている=不安定であるために、安定するため他の物質から電子を奪う性質があります。この性質によって「酸化」が生じます。

ここで一重項酸素にクローズアップします。

 

一重項酸素
一重項酸素は紫外線によって皮下組織で大量に発生します。


※活性酵素→活性酸素に訂正

通常の酸素分子は基底状態で三重項酸素と呼ばれています。

一重項酸素は「基底状態の三重項酸素分子がエネルギーを受け取ることで、一重項状態に励起された酸素分子」のことです。

一重項酸素が酸化させる力が強い理由

一重項酸素の電子そのものは、一応すべてペアになっています。なので不対電子を持っていません=フリーラジカルではありません。ですが、片側に空の軌道がありそこに電子を強く求めます。そのため非常に強い酸化力を持っているといえます。

出典元
医学部 TOPICS_4
トマト大学
カゴメ(株)

一重項酸素は不飽和脂肪酸と反応し、過酸化脂質を生成します。

カロテノイドには一重項酸素を消去する力があります。

カロテノイドは一重項酸素のエネルギーを吸収して安定な基底状態(三重項状態)に戻します(一重項酸素の励起エネルギーをカロテノイドへ移すことにより基底状態に戻ります)。

 

一重項酸素のみ?

カロテノイドは活性酸素4種類【スーパーオキシド・過酸化水素・一重項酸素・ヒドロキシラジカル】のうち一重項酸素に対して強い消去活性を示します。他の3つに対しては基本 消去活性はもたないと考えてください。

ただし、書籍・サイトによりカロテノイドの中にはヒドロキシラジカルに対して消去活性を示すものがあるとしているケースもあります。

これまでカロテノイドは一重項酸素に対してのみ抗酸化力をもつとされてきたが、カプサンチン・カプソルビンはヒドロキシラジカルを直接的に構造中にトラップし、化学的消去機構によってヒドロキシラジカルを消去できることが明らかとなった。

引用元
「赤いパプリカ」から抽出した独自のキサントフィル パプリカキサントフィル
グリコ健康科学研究所
江崎グリコ(株)

深く考えずに「カロテノイドは一重項酸素に対して強力な抗酸化作用を発揮する」で良いと思います。

江崎グリコ96年の研究が生んだ食品由来の美容成分を贅沢に配合 劣化リスクと戦うスゴイ成分、赤パプリカエキス、マンゴスチンエキス、ウメ果実エキス、EAPグリコーゲン

 

 

カロテノイドはカロテン類とキサントフィル類に分類されます。

カロテン類とキサントフィル類の性質の違いに「細胞膜への親和性」が挙げられます。
カロテン類とキサントフィル類では、圧倒的にキサントフィルが細胞膜との親和性が高いことがわかっています。
なので細胞膜において高い活性酸素消去能を示すのはキサントフィル類といえます。

出典元
「赤いパプリカ」から抽出した独自のキサントフィル パプリカキサントフィル
グリコ健康科学研究所
江崎グリコ(株)

【カロテノイド、そのうちキサントフィル類の一種である】β-クリプトキサンチンは細胞膜において一重項酸素からの攻撃を防ぎ、過酸化脂質の生成を妨げる働きをしています。

 

ただし、カロテノイドの中では一重項酸素に対する消去能は弱いです。
抗酸化力は リコピンアスタキサンチンβ-カロテンカプサンチンゼアキサンチンα-カロテンルテインβ-クリプトキサンチン の順となっています。

出典元
医学部 TOPICS_4
トマト大学
カゴメ(株)

 

以上がβ-クリプトキサンチンの「ポイント」および「すごさ」です。

 

β-クリプトキサンチンの効果・効能

骨粗しょう症

「骨」に関して簡単にまとめました。まずはこちらをご覧ください。

骨について

【骨の数】

大人で206本

【骨の重量】

体重の1/5

【骨の成分】

無機成分 70%
有機成分 20%
水分   10%

【骨の役割】

  • 体を支える 骨組みとして身体を支えます
  • 体を動かす 骨格筋は骨をテコにして関節を動かします
  • 体を守る  骨は脳や内臓などを保護します


【骨のリモデリング】

骨は骨芽細胞と破骨細胞により新陳代謝を繰り返しています。
大人の場合 全身の骨が3~5年で新しいものと入れ替わります。

骨芽細胞

骨を作る細胞です。コラーゲンを分泌させ、そこにリン酸カルシウムを付着させ骨を作ります。


骨が作られることを骨形成といいます。

破骨細胞

骨を溶かす細胞です。酸と酵素でカルシウムとコラーゲンを溶かします。


骨が壊されることを骨吸収といいます。

【骨の新陳代謝のバランス】

正常な骨では骨形成と骨吸収のバランスが保たれています。これが崩れて骨吸収が骨形成を上回った状態が続くと骨量が減少していきます。
20歳までは骨形成が優位で、50歳以降は骨吸収が優位となります。

【一生の骨量の変化】

骨量は成長に合わせて増え、20歳前後にピークを迎えます。その後、30代~40代は維持され、50歳を過ぎるあたりからゆるやかに減少する傾向があります。女性の場合は閉経前後に1度急激に減少してから徐々に減少していきます。

.
正常な骨では骨形成と骨吸収のバランスが保たれています。このバランスが崩れると骨量が減少していきます。
骨粗しょう症(骨粗鬆症)とは、骨量が減り、骨折しやすくなる病気です。


骨量減少の主たる原因は、加齢生活習慣(不規則な食事、運動不足)、女性ホルモンの減少の3つです。

β-クリプトキサンチンには骨粗しょう症の発症リスクを軽減する働きがあります。
β-クリプトキサンチンに破骨細胞の数を減少させ骨吸収を抑制する骨形成を促進し、骨密度を高める働きがあるからです。

β-クリプトキサンチンのこの働きは特に閉経後の女性に対して有益であることが分かっています。実際、調査研究により、血中のβ-クリプトキサンチンレベルが高い閉経女性では有意に骨密度が高い=骨粗しょう症の発症率が低いことが判明しています。

調査研究内容要約

  • 閉経女性を対象とした調査を行う。調査開始時に既に骨粗しょう症を発症していた者は除外。
  • 対象者を血中のβ-クリプトキサンチン濃度が低濃度・中濃度・高濃度までの3グループに分ける。
  • 骨粗しょう症の発症リスクは、低濃度のグループを1.0とした場合、高濃度のグループは0.08となる。統計的に有意に低いことが判明する。
  • 4年後追跡調査する。
  • 新たに骨低下症及び骨粗しょう症を発症していた閉経女性では、調査開始時の血中β-クリプトキサンチン濃度が統計的に有意に低かったことが判明する。
  • なお調査には主要カロテノイド6種類「α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン」が活用されたが、骨粗しょう症の発症リスク低減と有意な関連が認められたのはβ-クリプトキサンチンのみである。
  • ちなみに 男性や閉経前の女性においては上記した関連性はみられない。

※かなり内容をすっ飛ばしています。
研究内容の詳細はこちらの参照をご覧ください。

参照
ウンシュウミカンに多いβ-クリプトキサンチン血中濃度が高い閉経女性は骨粗しょう症になりにくいことが明らかに
プレスリリース
農研機構

 

関節炎

関節について

関節軟骨
関節の骨の表面は滑らかで弾力性のある関節軟骨(軟骨)と呼ばれる組織で覆われています。関節と関節の間にある関節軟骨には骨と骨の衝撃を和らげるクッションのような役割があります。

関節腔
関節腔はイラスト内のブルーの領域です。このブルーは関節液(滑液)とよばれる粘膜で満たされているものとイメージしてください。関節液は関節が動く際に、動きをスムーズにさせる=関節面の摩擦を軽減させる潤滑油ような役割を果たしています。

関節包
関節は関節包と呼ばれる袋状の組織に包まれています(イラスト オレンジの領域です)。
関節包の内側には滑膜と呼ばれる柔らかく、ひだのある組織が存在しています。この滑膜から関節液が分泌されています。

.
関節リウマチ は、免疫の異常が関係する病気で、主に手足の関節に炎症が起こり、腫れたり痛んだりします。

関節で炎症が続くと、関節の中にある「滑膜」に血管や細胞が増え、滑膜が腫れあがります。


腫れあがった滑膜は、軟骨や骨の破壊を進行させます。最終的に関節に変形がみられるようになります。そうなると日常生活が大きく制限されることになります。

β-クリプトキサンチンに関節リウマチのリスク低減効果があることが報告されています。

マウス実験により、β-クリプトキサンチンに骨膜の炎症を抑える軟骨の再生を促進する働きがあることが判明しています。その働きにより関節炎の症状を軽減する&関節炎にともなっておこる歩行障害も軽減するとされています。
歩行能力の衰え対策サプリによく配合されています。

 

 

インスリン抵抗性

インスリンについて簡単にまとめます。

インスリンについて

ペプチドホルモンの1種
血糖降下作用をもつ唯一のホルモン

 構造 

51個のアミノ酸から成る分子量 約5800のポリペプチド

 どこから分泌される 

膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌


 どうやったら分泌される  

血糖値が上昇すると

β細胞よりインスリンが分泌される

※主にグルコース(ブドウ糖)の刺激により血糖値が上昇すると分泌されます。

 インスリンの標的臓器 

筋肉・肝臓・脂肪

インスリンが働きかける優先順位は筋肉→肝臓→脂肪の順番です。
インスリンの感受性が低いと筋肉より脂肪のほうに働きかけします。

 インスリンの働き 

各細胞にグルコースを取り込ませること
により血糖値を下げる


もう少し細かくいうと

骨格筋と脂肪組織におけるグルコースの取り込みを促進すること
肝臓におけるグルコースの放出を抑制すること
により血糖値を下げる

.
インスリン抵抗性とは、標的臓器(筋肉・肝臓・脂肪)でインスリンの作用が低下している状態をいいます。インスリン抵抗性が発症すると血液中のブドウ糖を取り込めなくなり糖尿病を引き起こします。
インスリン抵抗性の主たる原因は内臓脂肪型肥満とされています。

研究により

  • 血中のβ-クリプトキサンチン濃度が高い人はインスリン抵抗性が低いこと
  • 高いグループは低いグループと比べ糖尿病発症リスクが低いこと
がわかっています。

ウンシュウミカンをよく食べ、血清中β-クリプトキサンチン濃度が高い人では2型糖尿病や動脈硬化の危険因子と考えられるインスリン抵抗性のリスクが低い。

引用元
ミカンをよく食べる人ではインスリン抵抗性リスクが低い
農研機構

 

 

肝機能異常症

ALT
肝機能異常は、一般的にAST(GOT)、ALT(GPT)が基準値を上回っている状態であることをいいます。

AST(GOT)、ALT(GPT)

AST(GOT)、ALT(GPT)は肝細胞でつくられる酵素です。ALTは主に肝臓に存在しています。ASTは肝蔵以外にも、心臓、筋肉、赤血球などに存在しています。 肝臓でたんぱく質の代謝にかかわる働きをしています。

健康診断の血液検査では肝臓の機能を知るための指標としてAST値とALT値があります。

AST、ALTがともに高い場合→急性肝炎
ALTがASTより高い場合→慢性肝炎
ASTがALTより高い場合→肝硬変、肝がん、アルコール性肝障害
の可能性があります。

調査研究により、血中β-クリプトキサンチンレベルが高い被験者は、高血糖者での血中 ALT値高値のリスクが有意に低いことが判明しています。

これまで三ヶ日町研究の横断研究から,血中β-クリプトキサンチンレベルが高い被験者では,飲酒が原因による血中γ-GTP高値のリスク(3),および高血糖者での血中ALT値高値のリスク(4)が有意に低いことがこれまでに明らかになっている

引用元
国産カンキツ類に多いβ-クリプトキサンチンと機能性食品の開発 
J-STAGE

また調査の時点で肝機能が正常な被験者を対象にした「その後10年間の追跡調査」では、ベースライン時において血中β-クリプトキサンチンレベルが高かった人では、肝機能異常症の発症リスクが低下することが判明しています。

そこでベースライン調査の時点で肝機能が正常な被験者を対象にその後10年間にわたり追跡調査を行った.その結果,ベースライン時の血中βクリプトキサンチンレベルが高かったグループでは,肝機能異常症(血中高ALT値)の発症リスクが約49%低下することが判明した

引用元
国産カンキツ類に多いβ-クリプトキサンチンと機能性食品の開発 
J-STAGE

 

γ-GTP
γ-GTPはたんぱく質を分解する酵素の一種で、胆管で作られます。肝臓の解毒作用に関わっています。
γ-GTPは肝臓や胆管の細胞が壊れると血液中に流れ出てきます。肝・胆道系障害のスクリーニングとして用いられます。

γ-GTPはアルコールに敏感に反応します。そのためアルコール性肝障害の指標としてよく知られています。肝障害を起こしていなくても、普段からアルコールを飲む人はγ-GTP値が基準値を超えて高くなります。
※健康であれば、一時的に数値が上昇しても、(禁酒すれば)もとに戻ります。

血中β-クリプトキサンチンレベルが高い被験者は、飲酒が原因による血中γ-GTP高値のリスクが有意に低いことが判明されています。

 

ヒアルロン酸

肌の真皮は「コラーゲン」「エラスチン」といった線維状のたんぱく質と「ヒアルロン酸」などのゼリー状の基質でできています。
コラーゲン・エラスチンが皮膚を支え、ヒアルロン酸が真皮の水分量を一定に保つ働きをしています。これら3つの成分の働きにより肌にハリ・弾力・潤いが生まれます。


真皮はひし形が並んでいる部分です。

 


紫の薄い線はコラーゲン、そのつなぎ目にある濃い紫の線はエラスチン、それ以外の部分はヒアルロン酸など です。なお◎は繊維芽細胞です。

ヒアルロン酸は細胞と細胞の間に多く存在する物質です。その保水力により細胞間に水分をたっぷり蓄え、肌に弾力性や柔軟性を与えます。
肌のヒアルロン酸が失われると「水分量の減少」や「弾力性や柔軟性の低下」につながります。しわやたるみの原因となります。

βクリプトキサンチンにはヒアルロン酸産生促進作用があります。βクリプトキサンチンはヒアルロン酸合成酵素を活性化させる働きをします。

すなわち、本発明の第一は、クリプトキサンチン及び/又はその誘導体を含有することを特徴とするヒアルロン酸合成促進剤を要旨とするものであり、好ましくはクリプトキサンチン及び/又はその誘導体がかんきつ類由来であり、さらに好ましくはかんきつ類が温州みかんである。

ヒアルロン酸合成促進剤
公開特許公報(A)
JP2011042627A
Google Patents

β‐クリプトキサンチン(標準サンプル)を使用して正常ヒト表皮角化細胞(ヒアルロン酸合成酵素3)と正常ヒト皮膚繊維芽細胞(ヒアルロン酸合成酵素2)に対するヒアルロン酸合成酵素の発現作用を確認した。

ヒアルロン酸合成促進剤
公開特許公報(A)
JP2011042627A
Google Patents

 

アクアポリン

アクアポリンとは、体の細胞膜に存在し体内の水を通過させる性質をもつたんぱく質のことです。細胞膜の内外に存在する「水専用の通り道」とイメージしてください

テーマ1 水をあやつる | 研究テーマ | 慶應医学部 サントリー 共同研究 ...
出典元
アクアポリンの細胞生物学 水をあやつる
生命をめぐる水
慶応医学部×サントリー共同研究プロジェクト
サントリーグローバルイノベーションセンター(株)

人の体の60%は水です。そのうち2/3のは細胞内に存在しています。

肌におけるアクアポリンは 肌細胞に水分を行き渡らせる役割を果たしています。なので肌にアクアポリンが増加すると肌の水分維持や保湿効果が期待できます。

肌の表皮に発現するアクアポリンはアクアポリン3(AQP3)です。β-クリプトキサンチンにはアクアポリン3発現促進作用があります。

補足

表皮には毛細血管がありません。

どのように栄養が運ばれているのかというと「アクアポリンを介して」です。水専用の通り道であるアクアポリンを介して表皮に水分を行き渡らせることで栄養を運びます。


すなわち、本発明の第一は、クリプトキサンチン及び/又はその誘導体を含有することを特徴とするアクアポリン産生促進剤を要旨とするものであり、好ましくはクリプトキサンチンがカンキツ類由来であり、さらに好ましくはカンキツ類が温州みかんである。

アクアポリン産生促進剤
公開特許公報(A)
JP2011042628A
Google Patents

β‐クリプトキサンチン(標準サンプル)を使用して正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)に対するアクアポリン3発現促進作用を確認した。

アクアポリン産生促進剤
公開特許公報(A)
JP2011042628A
Google Patents

 

 

β-クリプトキサンチンのサプリメントによくあるキャッチフレーズ集

  • いつまでも骨を丈夫にしていたい
  • 骨の健康維持に
  • 女性の強い味方となる成分
  • 骨粗しょう症予防に
  • 生活習慣病の予防に

 

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β-クリプトキサンチンの摂取量、不足、過剰

β-クリプトキサンチンの摂取量
β-クリプトキサンチンの効果を得るには3㎎/1日の摂取が推奨されています。この量は温州みかんでいうと約3個(270g)です。

 
β-クリプトキサンチンの不足
β-クリプトキサンチンはファイトケミカルのカロテノイドの一種です。カロテノイドは健康促進、病気予防、美容効果アップなどの機能をあげるための機能性成分です。
5大栄養素と違い生命維持のため、身体活動のために必須なものではありません。なので「不足」を考える必要はありません。
ただ、β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い人は様々な病気の発症リスクを軽減することがわかっています。健康維持のためには摂取を心掛けることが大切です。
 
β-クリプトキサンチンの過剰
β-クリプトキサンチンを過剰に摂取すると柑皮症を発症することがあります。柑皮症はβ-クリプトキサンチンに限らず、カロテノイドを多く摂取した場合に起こるものです。手のひらや足の裏が黄色くなる症状がでます。
ただし特別な治療をする必要はなく、黄色くなったと感じたらカロテノイドの摂取を控えることで症状は回復します。特にみかんをたくさん食べることによって起こりやすいので、大量に食べないよう注意してください。

β-クリプトキサンチンの豆知識

 
長期間存在する
ヒト主要血中カロテノイド6種類の1種βクリプトキサンチンは、他の5つと比べて長期間に渡り体内に蓄積される特徴があります。
冬場に多くのみかんを食べた人は、みかんを食べない時期(9月)になっても血中のβクリプトキサンチンの濃度を高く保っているという研究結果が出ています。
 
たばこ&アルコール
β-クリプトキサンチンを減少させてしまうものがあります。喫煙と過度の飲酒です。これらは体内に活性酸素を生み出すものです。その除去にβクリプトキサンチンが使用されるので減少してしまうといわれています。
 
ジュース
β-クリプトキサンチンを体内に取りれるとしたら「みかん」からがお勧めです。
ただ、1年中みかんを取ることは難しいと思います。みかんが手に入らない時期はジュースでの代用をおすすめします。

実際、オレンジとオレンジジュースであれば、ジュースからのほうがβ-クリプトキサンチンを摂取できるとのデータもございます。

◆12人がオレンジまたはオレンジジュースを摂取

研究班は次のようにβクリプトキサンチンの取り込まれやすさを調べました。

12人のボランティアが、744μgのβクリプトキサンチン摂取にあたる、生のネーブルオレンジまたは加熱処理されたオレンジジュースのどちらか一方を2食摂取した。

12人の参加者に、同じ量のβクリプトキサンチンが含まれるオレンジまたはオレンジジュースを摂取してもらい、血液中のβクリプトキサンチンの量に違いがあるかどうかを調べました。

 

◆オレンジジュースが1.8倍

次の結果が得られました。

βクリプトキサンチンの生物学的利用能は加熱処理されたオレンジジュースで生のオレンジの1.8倍高かった(P=0.011)。

βクリプトキサンチンは、オレンジジュースから摂ったときのほうが1.8倍高い割合で血液中に取り込まれていました

引用元
オレンジジュースと生のオレンジ、ビタミンAを摂るにはどっち?βクリプトキサンチンの生物学的利用能
MEDLEY (株)メドレー

100%オレンジジュースからでも十分だと思いますが、個人的には100%みかんジュースを選択することお勧めします。

 

β-クリプトキサンチンと相性の良い栄養成分

◆主要カロテノイド
・β-カロテン

・α-カロテン
・リコピン
・ルテイン
・ゼアキサンチン

◆他キサントフィル類
 
 
 
主要カロテノイドとセットになっているサプリ
 
FANCL

透明感やすこやかな骨づくりに役立つ「ベータクリプトキサンチン」を含め、血液中や臓器に存在する6種類の主要カロテノイドが1粒で摂れます。1日に必要な緑黄色野菜の推奨摂取量(120g以上 ※)の、約2.5倍に相当するカロテノイドを配合。 ●ベータカロテン、アルファカロテン、ベータクリプトキサンチンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。 ●ビタミンA : 夜間の視力の維持を助けるとともに、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。 ※厚生労働省推進「健康日本21」より

FANCL Amazon

 

他キサントフィル類とセットになっているサプリ
 
Glico

パプリカキサントフィルの重要な特徴は、キサントフィルの組成だ。パプリカキサントフィルのなかには、パプリカ以外の野菜では摂取できない4種のキサントフィル(カプサンチン、カプソルビン、カプサンチンエポキシド、クリプトカプシン)、カボチャとパプリカからしか摂取できないククルビタキサンチンA、コーンに多く含まれるゼアキサンチン、ミカンに多く含まれるβ-クリプトキサンチンなど、7種類ものキサントフィルが含まれている。
グリコは、緑黄色野菜の様々な健康機能が、パプリカキサントフィルで提供できるものと考えている。これまでに明らかとなった、パプリカキサントフィルの特徴と生理機能を『実証ページ』にまとめる。

パプリカキサントフィルに含まれる7つのキサントフィル


引用元
「赤いパプリカ」から抽出した独自のキサントフィル パプリカキサントフィル
グリコ健康科学研究所
江崎グリコ(株)

 

 

β-クリプトキサンチンのレーダーチャート解説

評価基準

  • 6 
    このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる
  • 5 
    このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる

  • このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる
  • 3.5 
    このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない

  • このカテゴリーになんらかの効果があるもの

  • このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる

  • このカテゴリーとは関係ないと思われる

※4以上が摂取目的となっているカテゴリー 

 

 

β-クリプトキサンチン 総合評価 A+ 15.5

 総合評価について
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS  18点
S  16点以上
A+ 14点以上
A  12点以上
B+ 10点以上
B  9点以下

 髪(薄毛)評価4.5 
髪は皮膚(表皮)の細胞が変化(角化)して作られるものです。ビタミンAは皮膚の代謝(=頭皮の代謝)を正常にする働きをします。頭皮の皮脂の過剰分泌を防ぐあるいは乾燥を防ぐことで健やかな髪を生み出す環境を作り上げます。

髪の毛は上皮組織の一部です。上皮組織の健康を保つ働きがあるビタミンAは髪の健康にも有効な成分です。

髪の毛にもビタミンAが大きく関わっています。意外に思われるかもしれませんが、髪の毛は、皮膚や粘膜といった上皮組織の一部なのです。つまり、日々の代謝が正常に行われていることが髪の健康のためには不可欠な条件なのです。

薄毛が気になりだしたらビタミンA不足を疑え!
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β-クリプトキサンチンはプロビタミンAとしてビタミンAの作用も発揮します。

ビタミンAの作用を得るにあたり、プロビタミンAから取るメリットは過剰の心配がいらない点です。このメリットは特にこの項目においては大きいかもしれません。というのもビタミンAの過剰摂取は脱毛を引き起こすからです。

 肌(美肌) 評価5 

  1. 上皮細胞の機能維持に働くビタミンAは皮膚の健康維持に貢献しています。
    不足すると乾燥肌になったり、ニキビができたりと肌トラブルが多くなります。プロビタミンAであるβ-クリプトキサンチンはこの働きに貢献します。
  2. β-クリプトキサンチンにはヒアルロン酸の生成を増やすアクアポリンの発現量を増やす効果があることが判明されています。この2つは「潤い」に深く関係しています。
  3. β-クリプチキサンチンは紫外線より生じる活性酸素(一重項酸素)を除去する働きがあります。

総合的に美肌効果の高い成分といえます。

【アスタキサンチンを超える劣化リスクに対する防御力を持つレッドパプリカエキス】赤パプリカのキサントフィルの中には、赤パプリカ以外の野菜では接種できない4種のキサントフィル(カプサンチン、カプソルビン、カプサンチンエポキシド、クリプトカプシン)をはじめ、ククルビタキサンチンA、ゼアキサンチン、βクリプトキサンチンなど、7種類ものキサントフィルが含まれています。

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 体型(筋肉)評価3 
すい臓から分泌されるインスリンは糖を細胞内に取り込む働きをします。その標的臓器は筋肉・肝臓・脂肪組織で、働きかける優先順位もその順番です。

インスリン感受性が低下すると筋肉よりも脂肪組織の細胞に糖が取り込まれるようになります。つまり食べた糖質は「筋肉のエネルギーに利用されるように」ではなく、「脂肪細胞に脂肪として蓄えるように」のほうに向かってしまいます。
研究により血中のβ-クリプトキサンチン濃度が高い人はインスリン抵抗性が低いことが判明しています

 体力(普段) 評価6 
β-クリプトキサンチンには骨粗しょう症の発症リスクを軽減する働きがあります。
β-クリプトキサンチンに破骨細胞の数を減少させ骨吸収を抑制する&骨形成を促進し、骨密度を高める働きがあるからです。

マウス実験により、β-クリプトキサンチンに骨膜の炎症を抑える軟骨の再生を促進する働きがあることが判明しています。その働きにより関節炎の症状を軽減する&関節炎にともなっておこる歩行障害も軽減するとされています。

β-クリプトキサンチンは歩行能力の衰え対策サプリによく配合されています。

 

 その他(抗酸化) 評価3.5 
β-クリプトキサンチンは細胞膜において一重項酸素からの攻撃を防ぎ、過酸化脂質の生成を妨げる働きをしています。
※ただし他のカロテノイドと比べるとその力は弱いとされています。

 

β-クリプトキサンチンについて勝手に語る

 

β-クリプトキサンチン 参照一覧

β-クリプトキサンチンとは? 理研ビタミン健康成分ラボ 理研ビタミン(株)

β-クリプトキサンチン(β-CRP)の供給源 野菜等健康食生活協議会事務局

β-クリプトキサンチン みかんに秘められた力でもっと健康に。 ユニチカ(株)

野菜・果物に多い天然色素(カロテノイド)は 飲酒と喫煙の毒消しに役立つか?! 独立行政法人農畜産業振興機構

国産カンキツ類に多いβ-クリプトキサンチンと機能性食品の開発 J-STAGE

カロテノイド研究40年 J-STAGE

生体における一重項酸素の生成と消去 ―酸化ストレスとの関わりを考える― J-STAGE

カロテノイド – 天然色素とその役割 JXTGエネルギー

β-クリプトキサンチンの骨代謝調節機能とその細胞分子機構並びに骨粗鬆症の予防 KAKEN

カロテノイドの多様な生理作用 一般財団法人生産開発科学研究所

ビタミンAの働きと1日の摂取量 健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団 

ビタミンA 「統合医療」情報発信サイト

ビタミンAの過剰摂取による影響 PDF  食品安全委員会

脂溶性ビタミン 厚生労働省 PDF

骨粗しょう症とは MSD製薬

人間と水  水大事典 サントリー

肝機能異常の方 C型肝炎 MSD(株)

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