βグルカンの評価 A+
βグルカン
βグルカンは、キノコ類やパン酵母などに含まれる多糖類の一種です。
キノコ類や酵母の細胞壁に存在する天然成分です。
※本来ならば、β-グルカンと「-」を記載すべきですがこのページでは取り除いております。ご了承ください。
糖質の種類
糖質には単糖類、少糖類、多糖類があります。
単糖類は糖質の最小単位のことです。代表的なものはグルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトースです。
少糖類は単糖が2~10結合したもののことです。代表的なものはグルコースと果糖が結合したスクロース(ショ糖)、グルコースが2つ結合したマルトース(麦芽糖)、グルコースとガラクトースが結合したラクトース(乳糖)です。
多糖類とは糖質のうち単糖が多数結合したもののことをいいます。
多糖類にはエネルギーを蓄える働きをするデンプンやグリコーゲン、細胞壁の構成成分であるセルロースなどがあります。
グルカン
グルカンとは一般的に「グルコース」が連なって構成されている多糖類の総称のことをいいます。
グルカンは化学構造の違いによりαグルカン、βグルカンに分けることが出来ます。グルコースがα結合しているものをαグルカン、グルコースがβ結合しているものをβグルカンいいます。
βグルカンの種類
βグルカンといってもそれ一つの成分ではなく、グルコースの連結の形態によりさまざまな種類があります。
βグルカンには、グルコースがβ1-3型の結合をしているβ1,3-グルカン、グルコースがβ1-4型の結合をしているβ1,4-グルカン、グルコースがβ1-6型の結合をしているβ1,6-グルカンなどがあります。
通常βグルカンというのはβ1,3-グルカンのことを言います。
キノコ類のハナビラタケはβ1,3-グルカン
キノコ類のアガリクスは β1,3-1,6-グルカン
パン酵母はβ1,3-グルカン(わずかにβ1,3-1,6-グルカン結合を含む)
黒酵母はβ1,3-1,6-グルカン
大麦はβ1,3-1,4-グルカン
セルロースはβ1,4-グルカン
β1,3-1,6-グルカンやβ1,3-1,4-グルカンは主鎖にたくさんの側鎖がはえたような特殊な構造をしています。
β1,3-1,6-グルカンの場合は主鎖は「1,3」で側鎖は「1,6」です。
β1,3-1,4-グルカンの場合は主鎖は「1,3」で側鎖は「1,4」です。
βグルカンの中で最も機能性が高いのがβ1,3-1,6-グルカンといわれています。
※βグルカンをβ-Dグルカン、βdグルカンなど表記することがあります。例えばβ1,3-グルカンをβ1,3Dグルカンという感じです。グルカンの前についているDは、 炭素配列の右回転方向を表しています。
難しく考えると違うのですが、基本的に同意だと考えていいと思います。
βグルカンは、ファイトケミカルの一種でもあり食物繊維にも分類されます。
ファイトケミカル
ファイトケミカルとは野菜、果物、豆類などの植物性食品の色素、香り、アク、辛味などからの成分から発見された化学物質の総称のことです。この色素、香り、アク、辛味などには抗酸化作用や免疫力をあげる効果があります。ファイトケミカルは数千種類~1万種類あるといわれ、大きくポリフェノール、カロテノイド、含硫化合物、糖関連物質、アミノ酸関連物質、香気成分に分類することができます。βグルカンは糖関連物質にあてはまります。
食物繊維
食物繊維とは「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」のことを言います。
3大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)は体内に取り入れられると消化酵素により分解(消化)されて吸収されますが、食物繊維は消化されずに、小腸を通って大腸まで達する成分のことをいいます。
便を増やす材料となったり、有害物質の排出を促したり、腸の働きを正常にしたりします。
食物繊維は、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に分けることができます。
キノコ類に含まれるβグルカンは不溶性食物繊維の割合が大きく、大麦に含まれるβグルカンは水溶性食物繊維の割合が大きいです。
βグルカンの摂取目的
体型「ダイエット」、体力「普段」とその他「免疫力」アップを目的としています。
体力 「普段」
その他「免疫力」
βグルカンの効果・効能
免疫力
βグルカンにはウイルスや細菌に対する免疫力を高める効果があります。腸内に入ったβグルカンは、腸の粘膜にあるβグルカンの受容体に接触することでマクロファージ、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)、B細胞などの免疫細胞を刺激し、活性化させる働きをします。
白血球の一種で死んだ細胞やその破片、体に侵入したウィルスや細菌などを貧食します。体内の清掃屋の役割を果たします。
NK細胞はがん細胞やウィルスに感染した異常細胞を探し出して駆除する働きをします。NK細胞が活性化すると、小さながん細胞の進行を抑える効果があります。
リンパ球の一種で、体内に侵入したウィルスや細菌などに対抗するための抗体を作り出す役割をしています。
βグルカンを摂取することで免疫力が高まり風邪予防や花粉症などのアレルギー症状の予防、改善が期待できます。
がん予防
これはβグルカンの免疫力を高める効果に関連してきます。免疫力を高める効果によりがんの抑制効果も期待できます。マクロファージやNK細胞といった免疫細胞はがん細胞を破壊したり、縮小させたりする働きをします。βグルカンにはこれら免疫細胞を活性化させる働きがあるので、摂取することはがんの予防になるといわれています。
ここからは食物繊維の一種であるβグルカンの効果・効能
便秘
βグルカンは食物繊維の一種でもあるため便秘予防や改善にもなります。
不溶性食物繊維のβグルカン(主にキノコ類)は消化、吸収されず胃や腸で水分を吸収します。水分を抱え込んで便を柔らかくして便のカサを増やします。カサが増えると腸壁が刺激がされ、腸の蠕動運動が活性化され便通を促します。
一方水溶性食物繊維のβグルカン(主に大麦)は腸内細菌の餌になることで腸内環境を整えて、腸の動きを良くします。その結果排便もスムーズになります。
コレストロール
水溶性食物繊維のβグルカンにはコレストロール、胆汁酸を吸着してそのまま便とともに体外に排出させる働きがあります。
血中のコレストロールを減らす+胆汁酸を減らす(胆汁酸は血中のコレストロールを原料にして合成されるためさらに血中コレストロールを減らす)効果があるため、血中の総コレストロール、LDL(悪玉)コレストロールを下げる効果が非常に高い成分といえます。
LDL(悪玉)コレストロールは肝臓で作られたコレステロールを血管を通じて体中の細胞に運搬する役割をしています。このコレストロールは細胞膜、胆汁酸などの材料となります。
LDLはこれらの材料となるコレストロールを体のすみずみまで運ぶ役割を担っているので、体にとって必要なものですが、増えすぎると血管の壁にたまり、動脈硬化を引き起こします。
胆汁酸は肝臓でつくられる胆汁の主成分です。胆汁酸もコレストロールを原料にして作られます。
胆汁(胆汁酸)には脂肪を乳化することで消化、吸収を手助けするという役割があります。その役割を果たしたあとは腸から吸収され、肝臓に戻り再利用されます。なので胆汁として胆のうに常に一定量蓄えられていることになります。胆汁酸は肝臓においてコレストロールを原料に生成されるため、胆汁酸を排泄することはコレストロールの減少につながります。
血糖値
水溶性食物繊維のβグルカンには食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。水溶性食物繊維のβグルカンは、水に溶けゼリー状に変化する性質があります。ゼリー状となったβグルカンが胃の中で糖質を包み込むことで、糖質の消化・吸収がゆっくりとなります。糖質の吸収がゆるやかになることで食後の血糖値の急激な上昇を抑えます。
βグルカンのサプリメントによくあるキャッチフレーズ集
- キノコに多く含まれる健康成分
- キノコの力が日々の生活を応援します
- 生活習慣病予防に
- 季節の変わり目などに弱い方
- 免疫力アップ
βグルカンの摂取量、不足、過剰
またβグルカンにはさまざま種類があるため目安となる摂取量も特にありません。
海外では、大麦βグルカンを3g(3000mg)/1日以上とることで「冠状動脈心疾患のリスク低減」、「コレステロールの低下による心臓疾患のリスク低減」の効果があるとされています。
日本のサプリメント会社も1日あたり3g(3000mg)を目安としていることが多いです。
ただしこれは、あくまでも大麦由来βグルカンの数値です。キノコやパン酵母由来はまた違った量になりますので、購入したサプリメントの摂取量を守るようにしてください。
ちなみに食物繊維の1日の目標摂取量は18歳以上男性が20g以上、18歳以上女性が18g以上です(2015年版食事摂取基準)。
βグルカンは食物繊維の一種でもあるので食物繊維が不足した場合のことを述べます。
食物繊維が不足していると便秘になったり、大腸がんのリスクを高めることになります。
日本人の成人における1日の食物繊維の摂取量は約12gとなっており目標数値を大きく下回っています。不足しがちな成分であるためβグルカンなどから食物繊維を意識して摂取する必要があります。
βグルカンの豆知識
この点を解消するために酵素処理を施し低分子化されたβグルカンを販売しているサプリメント会社もあります。
βグルカンのイメージ
不溶性だったらマイタケ 水溶性だったら大麦
免疫力アップ
βグルカンと相性の良い栄養成分
・フコイダン
・ビタミンC
一緒に配合されていることが多いのがこの成分です。
βグルカンの勝手にランキング
ランクイン部門なし
βグルカンのレーダーチャート解説
- 6
このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる - 5
このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる - 4
このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる - 3.5
このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない - 3
このカテゴリーになんらかの効果があるもの - 2
このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる - 1
このカテゴリーとは関係ないと思われる
※4以上が摂取目的となっているカテゴリー
βグルカン 総合評価 A+ 14
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS 18点
S 16点以上
A+ 14点以上
A 12点以上
B+ 10点以上
B 9点以下
髪(薄毛)評価3
βグルカンには5αリダクターゼという脱毛を促す酵素を抑制する働きがあるともいわれています。
体内で5αリダクターゼが男性ホルモンテストステロンと結合し、DHT(ジヒドロテストステロン)というさらに強力な男性ホルモンにかわることでAGA(男性型脱毛症)が引き起こされます。なので5αリダクターゼを増やさないことが大事になります。
ただしこの効果はそんなに有名ではなく、個人的には5αリダクターゼを抑制したいのであれば他の栄養成分をとればいいと思います。薄毛目的で取る必要はない成分だと思います。
肌 評価2.5
免疫力をあげることが美肌につながる、便秘を解消することが肌荒れを防止すると考える、抗酸化作用が酸化を防ぐとこのカテゴリーに関係してないとはいえませんが・・・・
体型(ダイエット)評価4.5
βグルカンが食物繊維であることを考えるとダイエット効果はあります。
水溶性食物繊維のβグルカン(主に大麦)はコレストロールや中性脂肪など余分な脂質を吸着させて体外に排出させる働きがあります。
不溶性食物繊維のβグルカン(主にキノコ類)は、便のカサ増しや腸の蠕動運動の活性化などの働きがありデトックス効果が期待できます。満腹感も得られるので空腹や過食を抑制することができます。
体力(普段)評価4
βグルカンには免疫力をアップさせる効果があります。この効果はがんや生活習慣病予防に適していますが、風邪といった身近な病気予防や、花粉症などのアレルギー症状の改善にも効きます。健やかな毎日を過ごすためにはもっていこいの成分です。
その他(免疫力)評価5.5
このカテゴリーではかなり高評価です。βグルカンが腸管を通過するときに腸壁の免疫細胞を直接刺激する作用があるといわれています。直接刺激する体内で免疫機能を司るマクロファージ、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、B細胞などを活性化させます。これら免疫細胞はがん細胞を破壊したり、縮小させたりする働きをするためがん予防につながります。
内容から見ると満点ですが、満点でない理由は「腸壁の免疫細胞を直接刺激する作用がある」というのはあくまでも仮説だからです。
βグルカン雑感
このページに記載しているβグルカンの内容をみて、
こいつホンマにとっているんか?と思ったかたいらっしゃると思います。
えーと正直にいいますと、ほぼとっていません。
βグルカンはマイサプリメントの3軍にも属しない特定の季節にしかとらないサプリメントに属しています。
1軍は、毎日必ず推奨摂取量(場合によってはそれ以上)を取るもの
2軍は、毎日取るが推奨摂取量より少ない量を取るもの
3軍というのは2日~3日に一回ぐらいしか取らないもの
といった位置づけです。
特定の季節にしかとらないサプリメントとは、まあその名の通りで、春だけ、夏だけ、冬だけの期間だけとるサプリメントです。しかも気分次第で取らない年もあります。
βグルカンもそれにあてはまり、冬から春にかけて取るサプリメントです。目的は免疫力アップです。
まあ簡単にいうとこの時期(冬、春)って風邪になりやすい季節ですよね、花粉が舞う季節ですよね。その予防の一環として取るということです。
というのも免疫力って加齢とともに低下します。
ちょっと言い換えます。免疫細胞って加齢ともにその機能が低下します。
免疫細胞はウィルスや菌と戦ってくれるものですから、その機能が低下すること=免疫力の低下ってことです。
まあ低下すれば、風邪にかかわりやすくなり、アレルギー症状を起こしやすくなるというわけです。
で、βグルカンは免疫細胞を活性化する働きがあるみたいです。なので免疫力を高めたい時期(冬~春)にちょこっとお世話になっているわけです。
ぶっちゃけるとあんまり思い入れのない栄養成分です。
ただこの思い入れのなさは栄養成分レビューにおいてプラスになるかもしれません。すごく客観的にレビューできるからです。
・・・・ということにさせてください。
さてβグルカンについてまじめに語りたいと思います。
とりあえずβグルカンはつっこみどころが満載な栄養成分であるというのが率直な感想です。
βグルカンって多糖類でありファイトケミカルでもあり、なにより食物繊維でもあるのです。
ここで注目すべきは食物繊維(不溶性のほう)という点です。
食物繊維って消化、吸収されないで大腸に達して排出されてしまうのです。もちろんただでは排出されず、うんちのカサマシをしたりするので、それはそれで腸内環境を整えたり便秘予防とかの健康効果あります。
食物繊維の一種であるβグルカンにはそれ(食物繊維)以外の効果がはたしてあるのかというと実のところよくわからないのです。
それ以外の効果というのが先にあげた免疫力アップの効果です。なのでさきほど「βグルカンは免疫細胞を活性化する働きがあるみたいです」みたいな変な書き方をしました。
この効果って腸内に入り、腸の粘膜にある受容体に接触することで免疫細胞を刺激して得られる効果のようなのですが・・・・
果たしてそんなことがありえるのでしょうか?
今までの紹介してきた数々の栄養成分の効果って基本消化、吸収されることで得られる効果です。
βグルカンは腸管を通り抜けるだけで免疫細胞を活性化させるということなのです。
都合よすぎじゃないか?
まあこう考えるのも致し方なしです。これは実験によって証明されておらず、単なる仮説ともいわれているからです。
ということでβグルカンのの免疫力アップとかがん予防とかの効果は信じるか信じないかはあなた次第的な効果といえます。
ただ栄養成分って究極のところそんなものだと思いますし、個人的になにごとも良い風に考えて取るべきだと思っています。
ということで免疫力を上げたいかたは摂取してもいい成分だと思います・・・・
なんかβグルカンに対して「あんまりな感じ」で話をすすめていますが、これってあくまでも免疫力に関しての話で、
βグルカンを食物繊維として取るのは大アリだと思います。
水溶性食物繊維の大麦βグルカンはコレストロール値をさげたり、血糖値の急上昇を抑えたり、便秘予防になったりその健康効果は抜群です。なのでこれら目的するのでしたら迷わずいっちゃっていい栄養成分と思います。
便秘解消には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維のバランスは2対1がベストといわれていますが、水溶性食物繊維を多く含んでいるものって食品でそんなに多くなく不足しがちなのです。
なので水溶性食物繊維を取る目的で大麦βグルカンを取ることはすごく良いことです。
水溶性食物繊維のβグルカンと述べましたが、不溶性食物繊維のβグルカンもあったり、βグルカンっていろいろ種類があってややこしいです。
具体的にいうとβグルカンには、β1,3-グルカン、β1,4-グルカン、β1,6-グルカンなどがあり、さらに言うとβ1,3-1,6-グルカンやβ1,3-1,4-グルカンなんていうのもあります。
キノコ類のハナビラタケはβ1,3-グルカン
キノコ類のアガリクスはβ1,3-1,6-グルカン
パン酵母はβ1,3-グルカン(わずかにβ1,3-1,6-グルカン結合を含む)
黒酵母はβ1,3-1,6-グルカン
大麦はβ1,3-1,4-グルカン
セルロースはβ1,4-グルカン
より効果を得れるかどうかに違いがあり、
例えば免疫力の効果をもとめるのならば、β1,3-グルカン、β1,3-1,6-グルカンで、水溶性食物繊維の効果を求めるのならβ1,3-1,4-グルカンといった感じです。ちなみに最もβグルカンの免疫アップ効果が優れているのがβ1,3-1,6-グルカンといわれています。
まあ簡単にいうとキノコ類とかパン酵母などのβグルカンが免疫力アップを最も期待できる、
大麦のβグルカンはコレストロールや中性脂肪の減少、便秘の改善とかの効果が最も期待できるということです。
いろいろややっこしいのでβグルカンのサプリを購入する場合は、種類とか原料とかしっかり調べてお求めください。