カルノシン
イミダゾールジぺプチドの1種
アミノ酸の1種
カルノシンとは
カルノシンについて
- カルノシンはβ-アラニンとヒスチジンのジペプチドです。
ジペプチド
アミノ酸2つが結合(ペプチド結合)したもの。
- ヒスチジンにはキラル中心が存在します。なのでL-カルノシンとD-カルノシンが存在することになります。ただ、天然のものは全てL-カルノシンです。
.
※このレビューではL-は省略しています。キラル中心分子のキラリティーを生じさせる原因となる原子のことです。不斉原子や不斉中心とも呼ばれます。不斉炭素を持つ分子はキラルである場合がほとんどなので、ここでは単純に不斉炭素原子のことと捉えてください。
不斉炭素元素とは互いに異なる4種類の原子または原子団が結合している炭素原子をいいます。不斉炭素原子があると立体異性体【原子のつながり方が同じで空間的配置が異なる2つの化合物】が存在します。 - カルノシンはイミダゾールジペプチドに分類されます。
- イミダゾールジペプチドとは【イミダゾール基を有する】ヒスチジンが結合したジペプチドの総称です。
イミダゾールジペプチド類はカルノシンの他に
アンセリン=β-アラニンと1-メチルヒスチジンのジペプチドバレニン=β-アラニンと3-メチルヒスチジンのジペプチド
※ヒスチジンのイミダゾール基の1の位置がメチル化されているのが1-メチルヒスチジン、
3の位置がメチル化されているのが3-メチルヒスチジンです。.
などが有名です。 - 渡り鳥が何千メートルの距離をノンストップで飛び続けられるのは、羽を動かす胸肉にカルノシンやアンセリンといったイミダゾールジペプチドが豊富に含まれているからです。
.
- カルノシンは体内では緩衝作用・抗酸化作用・抗糖化作用などを発揮します。これらを総合して抗疲労効果が非常に高い成分といえます。
カルノシンの補足
- カルノシンは骨格筋と脳などに高濃度に存在します。
- それはカルノシン合成酵素が骨格筋と脳などに多く分布されているからと考えられます。
- 体内にはカルノシン合成酵素&分解酵素があり、これら酵素の働きによりカルノシンが代謝されると考えられます。
- 経口摂取したカルノシンはカルノシンとして腸管から吸収されますが、そのまま骨格筋と脳などに移動するというわけではなく、分解酵素が存在している肝臓や門脈(肝臓に流入する血管)血液中でβ-アラニンとヒスチジンに分解されてから、骨格筋と脳などに運ばれます。
- そしてそこに存在する合成酵素の働きによりカルノシンが再合成されると考えられます。
摂取量について
推奨・目安摂取量は定められていません。
カルノシンの効果・効能
カルノシンの効果・効能 5つ厳選
- 緩衝作用
- 抗酸化作用
- 抗糖化作用
- 血糖値を低下させる作用
- 金属キレート作用
そのうち3つを詳しく
①緩衝作用
筋肉を効率的に肥大させるためには、高い負荷をかけて筋肉を追い込むことが大切です。
高負荷トレーニングをすると乳酸が溜まり、乳酸が溜まると脳の視床下部から成長ホルモンが大量に分泌されるからです。
分泌された成長ホルモンは血流により全身に行き届き「作用」します。
成長ホルモンの主な作用を簡単にまとめると次になります。
成長ホルモンの主な作用
- 細胞分裂を促進
→ 新陳代謝促進(骨形成・発毛・美肌など) - 細胞の修復
→ ケガの回復・肌のターンオーバー正常化 - たんぱく質の合成を促進
→ 筋肉量の増加 - 糖質、脂質の代謝促進
→ エネルギー産生・脂肪の蓄積を防ぐ・脂肪の分解を促す - 血糖値が低い時に血糖値をあげる
→ 低血糖を防ぐ
※成長ホルモンの作用はその標的組織に直接働きかける場合と、IGF-1と呼ばれる成長因子を介して働きかける場合があります。
.
この成長ホルモンの作用のうち筋肉に関しては主に ③の作用+注釈 があてはまります。
成長ホルモンの刺激によりIGF-1が肝臓&筋肉から分泌され、
そのIGF-1がmTORを活性させて筋たんぱく質の合成を促進させます。
※肝臓から分泌されたものは血流によって筋肉に作用します。
細胞内の栄養状態を感知し、細胞の増殖や代謝を調節する【栄養センサー】として役割を果たすたんぱく質キナーゼ(セリン・スレオニンキナーゼ)の1種です。
筋肉においてはmTORが活性されると筋肉でのたんぱく質の合成が促進されます。
これまでの流れを簡単にまとめると以下の流れとなります。
乳酸溜まる⇒
成長ホルモン分泌⇒
IGF-1分泌⇒
mToR活性⇒
筋肥大
さてここまで書きながらなんですが、今回の話の中心となるのは成長ホルモンでもIGF-1でもさて、ましてはmTORでもありません。
乳酸です。ここで「乳酸」と「カルノシンの緩衝作用」の関係についての話をします。
「乳酸」と「カルノシンの緩衝作用」
乳酸は、以前は疲労物質として「悪者」のように扱われていましたが、
現在は
もしくは
「疲労を回復する物質」
.
として認識されるようになってきています。
ただ乳酸=疲労物質という考えをきれいさっぱりと捨てられていないのも事実です。
いまだに乳酸と疲労が結びつけられる理由は、乳酸が生成される過程で発生する水素イオンなどが疲労を引き起こすとされているからです。
最近では、乳酸が作られる過程で発生する水素イオンなどの作用で、筋肉のpHバランスが酸性に傾くことが疲労の一因と考えられています。
引用元
乳酸(にゅうさん)
e-ヘルスネット 厚生労働省
乳酸由来の水素イオンは酸性です。
なので放出されると筋肉のpHは下がってしまいます。
【=筋肉が中性から酸性に傾きます】
酸性に傾くと、筋収縮しづらくなります。
筋肉の収縮はカルシウムイオンが、筋原線維の周りにある筋小胞体に出入りすることで生じます。筋小胞体からカルシウムイオンが放出されると筋肉は収縮し、カルシウムイオンが筋小胞体に取り込まれると筋肉は弛緩します。pHが酸性に傾くとこの「出入り」が妨げられます。
その結果として
筋肉運動が継続しにくくなる⇒
筋肉疲労を感じる
.
といった流れが生じます。
カルノシンには緩衝作用があります。
運動中に生じる乳酸由来の水素イオンの緩衝剤として働き、筋肉のpH低下を防ぎます。
なので運動、とくに高負荷トレーニングを開始する前に
カルノシンをあらかじめ摂取しておくと
筋肉疲労を軽減することができます。
これは
筋肉をより長く動かせる⇒
筋力および運動パファーマンスの向上
.
につながります。
②抗酸化作用
イミダゾールペプチドはイミダゾール基を有するヒスチジンが結合したジペプチドの総称です。それに分類されるカルノシン【ヒスチジンとβ-アラニン】やアンセリン【1-メチルヒスチジンとβ-アラニン】はヒスチジン残基のイミダゾール基を使って活性酸素を消去する働きをします。
狭義の活性酸素は4種類あります。スーパーオキシド・過酸化水素・一重項酸素・ヒドロキシラジカルの4つです。左から右に移るにつれ酸化させる力が強くなります。
「狭義の」という言葉をつけている通り、他にもさまざまな活性酸素が存在します。ぺルオキシラジカル・一酸化窒素・二酸化窒素・次亜塩素酸・ペルオキシ亜硝酸などです。
これら活性酸素を大別すると
- 水酸化ラジカル【エネルギー代謝の過程で生成】
- 塩素系ラジカル【白血球が産生】
- 窒素系ラジカル【白血球が産生】
※白血球は体内に侵入した細菌や異物を活性酸素を用いて排除します。
.
にわけることができます。
カルノシンはこのうち塩素系ラジカル「次亜塩素酸」に強い抗酸化作用を発揮します。
さてここで強調したいのは「塩素系ラジカルの除去のためにカルノシンを取り入れましょう」ということではありません。「抗酸化ネットワークの一員として、カルノシンの摂取のご検討を」ということです。
抗酸化物質にはそれぞれ得意分野があります。例えばビタミンEは水酸化ラジカルに対して、ビタミンCは窒素系ラジカルに対してその「抗酸化力」をいかんなく発揮します。一方でカルノシンの抗酸化力はこの2つの系列に対してはさほど期待できません。
このブログではメジャーな活性酸素【スーパーオキシド・過酸化水素・一重項酸素・ヒドロキシラジカル】のみに目を向け、マイナーなものはスルーしてきた傾向があります。
真のアンチエイジングを求めるのならばメジャーな活性酸素の除去だけでなくマイナーものにも目を向ける必要があります。
なぜなら
異なる活性酸素を消去したり、
酸化された他の抗酸化物質の抗酸化力を蘇らせたりするなどし、
体内の抗酸化力を高める
.
ことができるからです。
ということで、塩素系ラジカル「次亜塩素酸」除去のスペシャリストとして「カルノシン」を抗酸化ネットワーク一員に加えることをお勧めします。
※メジャー・マイナーは個人の感覚です。
③抗糖化作用
糖化とは「体内に余った糖質がたんぱく質とくっつき、たんぱく質を変性させAGEs(終末糖化産物)と呼ばれる物質が生成されること」をいいます。
よく活性酸素が体内に過剰に発生すること【=酸化】が、体が「サビ」ると例えられるのに対して、
AGEsが体内に蓄積されること【=糖化】は、体が「コゲ」ると例えられます。
コゲるの文字通り糖化が起こると老化が進みます。
生成されたAGEsは分解されにくく
- 肌の内側に蓄積すると肌に透明感がなくなり黄色くくすみます。
- 血管に蓄積されると血管壁に炎症が起こり動脈硬化のリスクが高まります。
- 骨に蓄積されると骨代謝を低下させて骨粗しょう症を招きます。
- 目の水晶体の主成分クリスタリンがAGE化されると水晶体が白く濁る いわゆる白内障になります。
このようにAGEsは美容面においても健康面においても悪影響を与えます。
体内にAGEsを蓄積させないために「AGEが多く含まれる食品をなるべく取らない」「糖質を控える」「運動をする」「血糖値をあげない食べ方をする」を心がける必要があります。
※AGEs、AGEと複数形であったりそうでなかったりしますが、あまり気にしないでください。ここでは同じもの(こと)と捉えてください。
食品によってはAGEを多く含むものがあります。代表的なものといえばずばり糖とたんぱく質で加熱してできたホットケーキです。
また焼いたり調理したりすることでできる肉食品(料理)にも多く含まれます。から揚げ・やきとり・ハンバーグなどです。
食品中に含まれているAGE量のすべてがすべて体内に取り込まれるというわけではなく、体内に取り込まれるのは約10%ほどとされています。ただし、そのうち約7%が消化の過程で長期間体内にとどまってしまうと言われます。
もう一つ忘れてならないのが抗糖化作用のある栄養成分を取るです。
抗糖化作用とは例えば「糖の代謝を促進させる」働きや「たんぱく質の代わりとなって糖と結びつく」働きなどのことをさします。
カルノシンは抗糖化作用がある成分として有名です。カルノシンは糖化したたんぱく質が蓄積する前に分解されるように働きかけます。
カルノシンの働き分析【見た目編】
合計 41.5/60点
薄毛
5.5点
「薄毛」改善 に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 抗糖化作用
AGEsが頭皮に蓄積すると毛乳頭細胞や毛母細胞の働きが衰え薄毛につながります。カルノシンには抗糖化作用があります。 - 抗酸化作用
活性酸素が頭皮に過剰に発生すると毛乳頭細胞や毛母細胞の機能が低下し薄毛につながります。カルノシンには抗酸化作用があります。
白髪
6.5点
「白髪」予防 に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 過酸化水素
活性酸素のうち白髪の発生にもっとも影響を与えるのは過酸化水素です。
黒髪のもととなるメラニンはメラノサイトでアミノ酸【チロシン】と酵素【チロシナーゼ】が結びつくことで生まれます。過酸化水素は後者のチロシナーゼを破壊する働きがあります。
カルノシンやアンセリンなどのイミダゾールジぺプチドには過酸化水素を抑える作用があります。参照
これまでの研究結果
イミダゾールジペプチド【アンセリン・カルノシン】研究部HPにようこそ 東海物産(株) - 抗糖化作用
糖化とは体内に余った糖質がたんぱく質とくっつき、たんぱく質を劣化させる現象のことをいいます。糖化によって作られるのがAGEs(終末糖化産物)です。AGEsが体内に蓄積されるといわゆる老化が進みます。
髪に関していえば、髪の毛の主成分であるケラチンたんぱく質がAGE化すると薄毛が促されたり、白髪が増えたりします。カルノシンには抗糖化作用があります。
美肌
8点
「美肌」作り に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 抗糖化作用
糖化がすすみ、体内にAGEsが蓄積されると体のあちらこちらに悪影響を及ぼします
美容面、健康面、両方において老化が進みます。
美容面でいうと、とくに肌【の真皮層にあるたんぱく質コラーゲン】にダメージが大きいと考えてください。
コラーゲン繊維は架橋(コラーゲン架橋)によって分子間がつながっていますが、AGEsが増えコラーゲンの分子間にAGEsによる架橋(AGEs架橋)が形成されるとコラーゲンが破壊・変性されます。
その結果、肌のハリ・弾力は失われシワ・たるみが生じやすくなります。カルノシンには抗糖化作用があります。
リンク - 抗酸化作用
肌の細胞にダメージを与えるのが紫外線などにより発生する活性酸素です。カルノシンは細胞を活性酸素の攻撃から守る抗酸化物質の1つです。
美白
7点
「美白」ケア に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 抗糖化作用
AGEsは美白を求める方にとって天敵となります。AGEsそれ自体が茶褐色の物質のため、肌の内側に蓄積すると肌に透明感がなくなり黄色くくすんでしまうからです。リンク
カルノシンはAGEsの蓄積を抑制する天然の抗AGE物質として有名です。 - 抗酸化作用
シミの原因となるメラニンは活性酸素の攻撃から肌の細胞を守るために作られます。なので紫外線などにより体内に活性酸素が過剰に発生するとメラニンはたくさん作られてしまいます。
カルノシンには抗酸化作用があります。
筋肉
9点
「筋肉」増強 に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 緩衝作用
カルノシンには乳酸発生時の筋肉組織内のpH値の低下を抑制する作用があります。この作用は高強度で持続的なトレーニングを行う際の強力なサポーターとなり、運動パフォーマンスの向上および筋力UPに大きく貢献します。 -
抗酸化作用
カルノシンは筋肉に高濃度に含まれています。激しい運動により筋肉に発生する活性酸素の除去に活躍します。カルノシンが筋肉痛や筋肉疲労に効くのは上記「緩衝作用」にプラスして「抗酸化作用」があるからとされています。
脂肪
5.5点
「脂肪」減少 に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 抗酸化&抗糖化作用
酸化や糖化がダイレクトに肥満につながるというわけではありませんが、この2大老化現象により、老化という過程を経て肥満につながると考えられます。ようは老化により体のさまざまの機能が低下して代謝が落ちて脂肪が蓄積するといった感じです。今までは抗酸化作用および抗糖化作用をこの項目で評価することはありませんでした。ですが、カルノシンはこの2つの作用を両方とも有するため 評価したいと思います。
カルノシンの働き分析【中身編】
合計 44/60点
身体
4.5点
「身体」の構成材料 に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 筋肉
カルノシンは体を構成するアミノ酸ではありません。ただし筋肉に多く含まれて、乳酸(由来の水素イオン)による筋肉のpH値の低下を抑制する作用があります。いうならば筋肉の質を高める成分です。「筋肉」を構成する成分の一員と考えることもできなくはありません。
エネ
6.5点
「エネルギー」生成 に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 乳酸はエネルギー源
カルノシンはエネルギー代謝に直接かかわる成分ではありません(ないと思います)。
ただ糖質の代謝経路である解糖系(嫌気的条件)の最終代謝産物「乳酸」に関わります。
乳酸は遅筋(持久力)のエネルギー源として利用されます。速筋と遅筋筋肉の細胞は速筋と遅筋の2種類があります。運動の際は、速筋が無酸素で瞬発力を生み出し、遅筋が酸素を利用して持久力を生み出します。
乳酸はエネルギー源となりますが、負の一面も持ち合わせます。乳酸から発生する水素イオンが生体内のpHの低下をもたらすのです。
筋肉細胞のpHが低下すると、筋肉の収縮が上手くいかなくなり筋疲労を感じるようになります。カルノシンは乳酸由来の水素イオンの緩衝材として筋肉細胞のpHの低下を防ぎます。
以上から、カルノシンがエネルギー代謝にも関与しているといえます。
病気
9点
「病気」予防 に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 生活習慣病予防
血中LDLが活性酸素により酸化され「酸化LDL」に変わると血管壁にプラークと呼ばれるこぶを形成するようになります。そうすると動脈硬化のリスクが高まります。
また細胞のDNAが活性酸素の攻撃を受け損傷するとがん細胞に変わってしまいます。
抗酸化作用をもつカルノシンは生活習慣病の予防になると考えられます。 - 糖尿病予防
カルノシンには体内の余分な糖と結びつく(そして体外に排出させる)抗糖化作用があります。糖尿病の予防になります。 - 高血圧予防
ラット実験により少量のカルノシンの投与は交感神経を抑制して血糖や血圧を低下させる効果をもつことが判明しています。
少量というのがミソで、大量だと逆効果(交感神経を刺激して血圧上昇)になります。 - 白内障予防
白内障とは目の中でレンズの役割をしている水晶体が灰白色や茶褐色に濁り、視力が低下(ものがかすんだり、ぼやけて見えたり)する病気です。水晶体の主成分であるたんぱく質が酸化や糖化してしまうことで起こります。抗酸化&抗糖化作用を有するカルノシンは白内障の予防に有効です。
実際、白内障治療用の点眼薬にカルノシン(Nアセチルカルノシン)が配合されています。 - 胃潰瘍
胃潰瘍とは胃酸やピロリ菌などによって胃の粘膜が傷つけられて、胃壁が侵食してえぐられたようになる病気です。カルノシンには【膜安定化作用・組織修復作用・免疫調節作用】があります。なので胃潰瘍の予防や治療に有効です。
実際、胃潰瘍治療剤としてL-カルノシン亜鉛錯体が利用されています。日本では「プロマック」という製品名でゼリア新薬工業(株)から医薬品として販売されています。なお海外ではドクターズベストが特許成分【ペプシンGI】としてサプリとして販売しています。
リンクプロマックは亜鉛を含有した胃潰瘍治療剤として販売されているので、どちらかというと亜鉛の作用【創傷治癒促進作用、抗潰瘍作用、抗炎症など】がメインぽいのですが、カルノシンの【膜安定化作用・組織修復作用・免疫調節作用】も十分に活躍すると考えられます。
カルノシンには金属をキレートする作用もあります。
なので亜鉛の吸収率を高めるといった点においても活躍すると思います。
体質
8.5点
「体質」改善 に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 抗疲労
カルノシンは抗疲労効果が極めて高い成分といえます。それはカルノシンのもつ緩衝作用・抗酸化作用・抗糖化作用などを「総合して」と考えることができます。
「カルノシンは抗疲労効果が極めて高い」これを説明するのにイメージしやすいのは渡り鳥です。渡り鳥など持久力を要する生物の筋肉に多く含まれているのがカルノシン・アンセリンといったイミダゾールジペプチドです。
リンク - 抗老化
老化を早める2大現象は体をサビさせる「酸化」とコゲさせる「糖化」です。この2つを予防することがアンチエイジングにとって重要となります。
カルノシンは抗酸化作用と抗糖化作用を両方を有する成分です。「老化を遅らせる」のに非常に有効な成分といえます。
精力
6.5点
「精力」増強&「性機能」向上 に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 精力&滋養強壮剤
カルノシンやアンセリンなどのイミダゾールペプチドは疲労回復&持久力UP目的でよく精力剤や滋養強壮剤に配合されています。 - 亜鉛の吸収率を高める(by 金属のキレート作用)
亜鉛はこの「精力」項目において10点満点です。「性欲を高める」&「生殖機能の維持」には欠かせないミネラルです。
亜鉛の欠点は吸収率が低いという点です。カルノシンには亜鉛の吸収率を高める働き(金属をキレートする作用)があります。
リンク病気項目で胃潰瘍治療剤のプロマック【L-カルノシン亜鉛錯体】を紹介しましたが、これは単に亜鉛の補充目的にも利用できます。プロマックは亜鉛補充療法として亜鉛欠乏症にも応用します。
(亜鉛と一緒が前提で)カルノシンの金属のキレート作用は「精力」にも関わっていると考えられます。
健脳
9点
「脳」の健康 に関わるカルノシンの働きは主に次です。
- 認知症
マウス実験により カルノシンに認知症を予防する可能性があることが判明されています。カルノシンは脳に高濃度に存在します。
カルノシンの抗酸化作用や抗炎症作用が【脳血管の酸化ストレスの抑制&脳組織の炎症反応の軽減】=【記憶力低下回避】に効くと考えられます。参照
体内抗酸化ジペプチドの認知症予防作用発見 東京大学大学院新領域創成科学研究科 - 自閉症
自閉症の子供にカルノシンを8週間摂取させたところ、(プラセボ摂取群と比べて)自閉症の改善効果がみられたとの実験結果があります。
作用機序はわかりませんが、カルノシンに脳の活動亢進作用があるからと考えられます。参照
カルノシン・アンセリンについて カルノシン・アンセリン研究会
- 神経伝達物質
カルノシンは神経伝達物質としても働いている(もしくは 神経伝達物質と同じような働きがある)といわれています。おそらくこの働きも上2つの予防・改善に関わってくると考えられます。 - 脳疲労
脳疲労の回復にカルノシンの抗酸化作用が大きく貢献します。
先般NHK BSで放送された「美と若さの新常識」にて脳疲労回復にイミダゾールペプチドが紹介されていました。
カルノシンのサプリメント紹介
L-カルノシン(β-アラニル-L-ヒスチジン)は、アラニンとヒスチジンから成るジペプチドです。お肌や筋肉、神経組織に高濃度で存在し、年齢とともに減少してしまいます。L-カルノシンはフリーラジカル中和作用と膜安定化作用による細胞組織を老化から守ります。
引用元
Now Foods, L-カルノシン、500 mg、ベジカプセル50錠
iHerb.com
カルノシンは、アミノ酸ベータアラニンとL-ヒスチジンからなる多機能ジペプチドです。これは、食品ならびに人間の体にも存在します。神経細胞(ニューロン)と筋細胞(筋細胞)などの長期性細胞は、高レベルのカルノシンを含みます。 カルノシンの筋肉中のレベルは動物の寿命と相関しています。カルノシンには複数の抗酸化成分があり、抗糖化剤であることが示されています。
この栄養素には、糖化最終産物(AGEs)の形成を抑制し、活性酸素種(ROS)、 老化の症状の原因となることがある有害な酸化ストレスの形成を阻害する能力があります。カルノシンのレベルは年齢とともに低下します。筋肉レベルは10歳から70歳の間で63%減り、通常の老化による筋肉量と機能の低下の原因となる場合があります。
カルノシンはpH緩衝剤として機能するので、筋肉疲労による酸性の環境での酸化から筋細胞膜を保護することができます。カルノシンは、心臓筋細胞におけるカルシウム反応を増強することにより、心筋がより効率的に収縮できるようにします。
老化は体のタンパク質の損傷の原因となります。この損傷のメカニズムの基礎を成すものの一つは糖化反応です。糖化反応には、タンパク質や脂質の非酵素によって制御される架橋、および体内で非機能構造を形成する糖が含まれます。糖化反応のプロセスは、表面的にはお肌のシワに見えることがあります。糖化反応は、老化に関連する神経系、血管系と目の問題の基礎的な原因でもあります。 カルノシンは、糖化反応のプロセスを妨害することができるユニークなジペプチドです。
チアミン(ビタミンB1)の誘導体であるベンフォチアミンは、糖化反応に対する追加の保護を提供します。正常な血糖値を持つ人でも、年を取るにつれて有害な糖化反応が起こります。ベンフォチアミンは、複数のメカニズムを介してグルコースが原因の細胞損傷から体を保護します。
引用元
Life Extension, スーパーカルノシン、500mg、植物性カプセル60個
iHerb.com
若々しい外見をキープするためには、スキンケアはもちろん重要ですが、お肌に必要な栄養補給も大切です。 NOW社の「リンクル レスキュー」は、加齢や紫外線、ストレスなどさまざまなダメージに負けない若々しさをサポートする人気の8成分を1粒に詰めこんでいます。
おなじみの美容ビタミンA、C、Eをはじめ、外見で年齢を感じはじめた方から人気を集めるDMAE、Lカルノシンなどトップクラスの美容成分がぜいたくに配合されています。 「リンクル レスキュー」は、エイジレスビューティーを総合的にサポートする各種美容成分を手頃な価格で補えるラグジュアリーなサプリメントです。
1 DMAE
お肌のハリや弾力を守るなど、さまざまな美容パワーを発揮することで人気を集めています。機能性コスメの開発が進んでいるアメリカでは、弾力を失ったフェースラインが気になる方向けの美容液やクリームに使用されることが多い成分です。2 Lカルノシン
「ベータアラニン」と「ヒスチジン」というアミノ酸が結合してできたペプチドで、私たちの体内にも存在しています。DMAEと同様に、ハリや弾力を求める美容意識の高い女性から人気があります。年齢ダメージと戦う成分として、日本でもドクターズコスメに配合されるなど注目の的になっています。3 アルファリポ酸
エイジングの原因となるサビつきに立ち向かい、紫外線などの肌ストレスから守ってくれる定番成分です。肌本来の美しくなろうとする力を内から引き出すといわれています。このほか、健康的なスキンコンディションに欠かせないビタミンACEや、ポリフェノールをたっぷり含有したグリーンティーエキスとブドウ種子エキスも配合されています。 若々しさ応援成分が1粒に大集結した「リンクル レスキュー」を毎日の食生活にプラスして、いつまでも光り輝くツルスベ肌を狙いましょう!
引用元
リンクルレスキュー(DMAE、脂溶性ビタミンC、Lカルノシン配合)
サプリンクス本店
カルノシンのまとめ
分析【見た目編】41.5点
分析【中身編】44点
カルノシン 緩衝作用 参照一覧
カルノシン・アンセリンについて カルノシン・アンセリン研究会