ナトリウムの評価 B
ナトリウム
ナトリウムは必須ミネラルです。必須ミネラルのうち主要ミネラルに分類されています。
ミネラルには必須ミネラルとよばれるものが16種類あります。そのうち1日に必要とされる摂取量が100㎎以上のミネラルを主要ミネラルといい、100㎎未満のミネラルを微量ミネラルといいます。
主要ミネラル・・・・・カルシウム、リン、カリウム、硫黄、塩素、ナトリウム、マグネシウム
微量ミネラル・・・・・鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、モリブデン、コバルト、クロム
主要ミネラル=体が正常に機能するために、1日に必要とされる摂取量が100㎎以上のミネラル
微量ミネラル=体が正常に機能するために、1日に必要とされる摂取量が100㎎未満のミネラル
体内にあるナトリウムの量は体重の約0.15%といわれています。体重60㎏~70㎏の成人の体内におよそ100g存在していることになります。この量はミネラルの中では4番目に多い数値です(ミネラルで1番多いのがカルシウム、次いでリン、カリウム)。
体内にあるナトリウムの1/3が骨に存在しています。残り2/3の多くが細胞外液に存在しています。
細胞外液に多く存在するナトリウムは、細胞内液に多く存在するカリウムとともに体液の浸透圧を維持する働きをします。体液の濃度バランスを一定に保つことで、細胞が正常に機能することができます。
半透膜(細胞膜)で隔てられた濃度の低い液体が濃度の高い液体のほうに移動して、高い濃度を薄め同じ濃度になろうとする力のことを言います。
ナトリウムとカリウムの関係
ナトリウムの多くは細胞外液に存在しています。一方カリウムの多くは細胞内液に存在しています。
※この図でいうと緑の縁が細胞膜で、カリウムはその中にあるもの、ナトリウムはその外(空白)にあるものと考えてください。
ナトリウムとカリウムは細胞膜を間に挟んで、細胞内の浸透圧の調整と細胞外の浸透圧の調整をし上手くバランスを保っています。ナトリウムはカリウムと拮抗することで浸透圧を調整してます。
例えば塩分の取りすぎによって細胞内のナトリウムイオンの濃度が濃くなると、細胞膜はナトリウムイオンを細胞の外へと押し出し、代わりに細胞の外にあるカリウムイオンを細胞内へ取り込むことで濃度を薄め、体液の濃度を一定に保つ働きをします。
細胞膜を通じてイオンを細胞の内外へやりとりする調節機能のことをイオンポンプといいます。そのなかでナトリウムイオンとカリウムイオンをやり取りする調節機能はナトリウムーカリウムポンプと呼びます。※単にナトリウムポンプとも言います。
ナトリウムの摂取目的
あえてあげるとしたら体力「普段」
ナトリウムの効果・効能
細胞
細胞の内側、外側には、カリウムイオンやナトリウムイオンといった電解質を含む水分(体液)が存在しています。いわるゆる細胞内液、細胞外液と呼ばれるものです。細胞が正常に機能するためにはこの細胞内液と細胞外液のバランスが保たれていなければなりません。
つまり細胞内液に多く含まれるカリウムと細胞外液に多く含まれるナトリウムの濃度のバランスを安定させる必要があります。
この濃度を調節しているのが細胞膜に存在しているイオンポンプです。
ナトリウムを過剰摂取し、カリウムが不足している状態が続くとイオンポンプの調節機能が働かなくなり水分濃度のバランスを保つことが難しくなります。つまり細胞が正常に機能しなくなり、体のいたるとこに不調をもたらします。
筋肉
ナトリウムはカリウムともに筋肉の収縮を正常に保つ働きがあります。筋肉の収縮は、ナトリウムとカリウムが筋肉細胞に働きかけることで始まります。
脳から「筋肉を動かす」という電気信号が発生し、筋肉がその電気信号を受け取ることで筋肉の収縮が行われます。
もう少し詳しく言うと電気信号を受け取ると電解質であるカリウムイオン、ナトリウムイオンがイオンポンプの働きにより細胞膜を通じて筋肉細胞の中に入ったり、外に出たりします。そうすることで活動電位が発生し、筋肉の収縮が行われます(活動電位が終了することで弛緩が行われます)。
筋肉を収縮させたいときには、細胞外のナトリウムイオンを細胞内に(細胞内のカリウムイオンを細胞外に)移動させ、弛緩させたい時には細胞内のナトリウムイオンを細胞外に(細胞外のカリウムイオンを細胞内に)移動させます。ナトリウムが過剰で、カリウムが不足している状態だとイオンポンプが正常に機能しなくなり、筋肉が正常に動かくなくなります。
情報
情報伝達もイオンポンプの働きにより行われます。情報の伝達は神経細胞で行われます。情報は神経細胞の細胞膜にあるイオンポンプの働きにより生じる電気信号を通じて神経組織に伝わることで伝達されていきます。
この電気信号はナトリウムイオンとカリウムイオンが細胞内外を入れ替わるときに生まれるものです。
例えば体内のナトリウム濃度が下がっていると電気信号が上手く伝わらなくなり、正確に情報伝達が行われず日常生活に支障をきたします。情報伝達が伝わらない=体の異変ということになります。
ナトリウム(塩分)のサプリメントによくあるキャッチフレーズ集
- 熱中症対策に役立つ
- 運動時、運動後の塩分補給
- 汗をいっぱいかいた後
- 汗で流れやすい成分
- 失われた電解質をチャージ
ナトリウムの摂取量、不足、過剰
ただしスポーツや外の仕事で大量の汗をかいたとき、激しい下痢をしたときに一時的に欠乏状態になります。
欠乏状態になると疲労感、倦怠感を感じやすくなります。食欲不振になったり、筋力が低下したりもします。
①むくみ
ナトリウムの排出が上手くおこなわれず体内のナトリウムの濃度があがってしまいます。そうすると細胞内のナトリウム濃度を下げようと、体が水分をためこむようになります。結果、細胞内に入りきらない水分が細胞間に溜まってしまう状態、つまりむくみにつながります。
②高血圧
血液中のナトリウム濃度が高まると、それを薄めようとするために、水分が多量に取り込まれます。 水分が多量に取り込まれた結果、水分が血管の中(細胞外)に流れ、身体の血液が増えます。血液の量が増えることで血管を圧迫しすることになり高血圧につながってしまいます。
③不整脈
ナトリウムイオンとカリウムイオンが筋肉細胞の細胞内外の間を移動することで筋肉の収縮が行なわれています。ナトリウムの過剰摂取の状態が続くとこの働きに支障が出ます。心筋にも影響を及ぼし不整脈になる可能性があります。
④脳卒中、胃がん
カリウムの摂取量と比較してナトリウム摂取量が多い人は、脳卒中、胃がんのリスクも高めるといわれています。
ナトリウムの豆知識
日本の食文化には醤油や味噌などの食塩系調味料が欠かせないものであるがゆえに取りすぎの傾向となっていると思われます。
計算式は[ナトリウム(mg)×2.54÷1,000=食塩相当量(g)]となっています。
ナトリウムのイメージ
塩
カリウムとのバランスが大事
ナトリウムと相性の良い栄養成分
・カリウム(過剰になったナトリウムを排出してくれるので)
ナトリウムの勝手にランキング
ナトリウムのレーダーチャート解説
- 6
このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる - 5
このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる - 4
このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる - 3.5
このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない - 3
このカテゴリーになんらかの効果があるもの - 2
このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる - 1
このカテゴリーとは関係ないと思われる
※4以上が摂取目的となっているカテゴリー
ナトリウム 総合評価 B 7.5
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS 18点
S 16点以上
A+ 14点以上
A 12点以上
B+ 10点以上
B 9点以下
髪 評価 1.5
ナトリウムに薄毛、白髪予防につながるなにかしらの効果を見つけることは難しいです。ナトリウムは体液の浸透圧を一定に保ち、細胞が正常に機能するために重要な成分であることは間違いありません。なので毛母細胞にも関わるといえます。ただし、体液の浸透圧のバランスを安定させるにはナトリウムが過剰にならないことが重要となります。
肌 評価 1.5
髪と同様です。細胞とういう点で関係している程度だと思います。細胞を正常に機能させるにはカリウムとのバランスが必要です。バランスが崩れる原因としてナトリウムの過剰、カリウムの不足があげられます。なので塩分(ナトリウム)の摂取を控える必要があります
体型(ダイエット、筋肉)評価1.5
日本の食文化において、意識してナトリウムを取るということは過剰になりやすい状態になることといえます。過剰になることで「むくみ」が生じます。むくみを太って見えることとみなし、これをダイエットに関連することと考えるのであればダイエット部門においてマイナス評価です。
またナトリウムは確かに筋肉収縮にも関係しています。しかしナトリウムを取ることは過剰の傾向を強めることになります。ナトリウムが過剰になることでイオンポンプが正常に機能しなくなり筋力低下につながることがあります。
体力(普段)評価4.5
肉体労働やスポーツなどで汗をよく方には、塩分(ナトリウム)を取ることはお勧めです。特に夏場、熱中症対策にスポーツドリンクなどでこまめに補給することが大切です。
その他(血液) 評価1.5
塩分を取りすぎるとのどが渇き、細胞が多量の水分を欲してしまいます。血液中に多量の水分が取り込まれると、水分が血管の中に流れ血液が増えてしまいます。血液が増えることで血圧があがり高血圧につながります。この流れで行くと塩分(ナトリウム)は控えるべきということになります。
ナトリウム雑感
ナトリウムを栄養成分レビューに載せるべきか本当に悩みました。ただカリウムを載せておきながらナトリウムを載せないのはなんとなく気が引けたので載せることにしました。
まあ毎日必ずとっている成分であるというのは間違いはないので別にレビューに載せても問題はないのですが・・
まずナトリウムが不足しているというケースを考えてみましょう。不足していることは疲労、倦怠感が半端なく感じます。吐き気や筋肉痛もおきます。
当然です。ナトリウムは細胞を正常な状態に保ったり、筋肉の収縮にかかわっている成分だからです。
ただこうなるとしても一時的です。ものすごいハードな肉体労働やスポーツをしたときにおこる一時的な症状です。スポーツドリンクでも飲めば数時間後には回復することが見込まれます。
塩分(ナトリウム)を意識して取るってハードな肉体労働やスポーツをしたときぐらいです。とにかくたくさん汗をかいたときには必要となります。あとは夏場の熱中症対策としてとればいいぐらいです。
これ以外は、通常の食事にプラスして
塩分(ナトリウム)をあえて取ることは体にマイナスなることばかりと考えてください。
というかなるべく減らすことを意識してください。日本人はとにかく塩分をとりすぎる傾向があります。
世間では「塩分控えめに」「塩分の取りすぎに注意しましょう」という風潮が浸透しているのでもう説明する必要がないと思います。
以上で終わりです。