提案シリーズ第2弾は白髪の相談でした。55歳無職の男性(趣味はデリ)が、最近白髪が増えてきたので何とかしてほしいとの相談をしてきました。白髪染めで染めればいいじゃんという簡単な回答ではなく、体の内側からつまり栄養成分をとることで白髪の改善策を提案するのがこのシリーズの醍醐味です。
前回は髪の仕組みや髪が生まれるメカニズムに若干ながら重きをおいてしまいましたが、今回はずばり改善策を提示したいと思います。まああらかじめいっておくと改善策というよりは予防策です。
その前におじさんのアンケート内容と前回の復習(髪の基本情報と髪が生まれ、伸びる仕組み)をさらっとします。
アンケート内容と前回の復習
- 今回のお悩み
白髪が増えた
- 性別 男
- 年齢 55
- 職業 無職
- 趣味 ツーリング
- だいたいの食生活(アバウトで結構です)朝 パン 昼 麺類(ラーメン) 晩 肉中心
- 運動の頻度 しない
- アルコール 1日2缶
- たばこ 吸う
- 睡眠時間 5~6時間
- サプリメントにかけられる1カ月の予算 3,000円
地肌から上にでている部分(私たちの頭にある部分)の髪の毛を毛幹とよび、地肌に埋まっている部分(見えていない部分)を毛根といいます。
毛根の中の黒く膨らんだ部分を毛球といいます。その毛球部分には「毛乳頭」と「毛母細胞」があります。
毛球の中にある白い丸は毛乳頭、毛乳頭の周りにある白い点テンは毛母細胞 赤い三つ又の線は毛細血管
- 食事などからたんぱく質をとる
- たんぱく質はアミノ酸に分解される
- 髪の材料となる18種類のアミノ酸が毛細血管を通って毛乳頭へ運ばれる
- 毛乳頭は栄養素(18種類のアミノ酸etc)と酸素を受けとり、毛母細胞に渡すことで、髪を生み出すよう指示する
- 毛母細胞でアミノ酸の組み立て作業をして髪というたんぱく質(ケラチン)がつくられ、それが角質化されることで髪の毛となる
- 毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで髪が成長していく
メラニンが鍵を握る
髪が黒いのは、メラニンという黒色の色素があるおかげです。髪はメラニンという色素が毛母細胞にとりこまれることで、黒くなります。
ちなみにメラニンはメラノサイト(色素細胞)という場所で作られているものなのですが、このメラノサイトって毛母細胞のすぐ隣に存在してます。メラノサイトがメラニンをつくってそれを毛母細胞に渡しているのです。
つまりメラニンの量が少ないとかメラニンが正常に作られていないと髪が黒くならないということです。
これはつぎのように言い換えることもできます
メラニンをつくる材料が少なくっているとかメラニンを作っている場所メラノサイトの機能が衰えていると髪が黒くならないということです。
メラニンはメラノサイトで作られているといますが、メラノサイトがいきなりメラニンを生み出すということではありません。ある材料を使ってメラニンに変えているのです。
メラニンの材料はなにかというとチロシンというアミノ酸です。
チロシンは非必須アミノ酸の一種で、体内ではアドレナリンなどの神経伝達物質の材料(前駆体)となっています。
そこは今回はスルーしてください。気にする必要ないです。ともかくチロシンというアミノ酸がメラニンの材料となっているということを覚えてください。非必須アミノ酸というのは体内でつくることのできるアミノ酸ということです。
チロシンは必須アミノ酸フェニルアラニンを原料として体内で合成することができます。
まあすごーい大雑把な流れは フェニルアラニン→チロシン→→(いろいろあって)メラニンといった感じなのです。
このチロシンが体内で足りていないということはメラニンの材料が足りないということになります。つまり毛母細胞に取り込む黒色の色素が足りなくなるため白髪になってしまうということです。
もしチロシン不足が原因で白髪になってしまっているとしたら、チロシンを摂取するかまたはチロシンのもとであるフェニルアラニンを摂取するかが白髪予防になるということになります。
フェニルアラニン、チロシンの摂取量
フェニルアラニンの推奨摂取量は1日当たり体重1kgに対して25mgとなっています(体重が60kgの場合は1500㎎の摂取)。実際フェニルアラニンからどれくらいチロシンになるかしらないので、白髪予防目的ならチロシンを意識してとっとほうがいいと思います。
ちなみにチロシンは1日あたり500~2000㎎の摂取が望ましいといわれています。
チロシンが多く含まれているものはチーズ、大豆、ピーナッツです。
これらの食品には100g当たり1000㎎以上のチロシンが含まれています。
フェニルアラニンが多くふくまれているのも大豆とかピーナッツとかです。
これら食品には100g当たりフェニルアラニンが1000~2000㎎以上含まれています。
総合的に考えて、白髪を予防すると明確な理由をもっているならチーズ、大豆を200gぐらいとるというのが効果が期待できるということになります。
その他お勧めの成分
B6
あとチロシンorフェニルアラニンに加えてビタミンB6もとったほうが良いです。B6には、体内に取り入れたたんぱく質を分解してアミノ酸にする、分解されたアミノ酸を体内のたんぱく質として合成するという働きをします。他のアミノ酸から別のアミノ酸を生成するという働きにもB6がかかわっています。
B6はたんぱく質の代謝やアミノ酸の代謝に関わっているので、フェニルアラニン→チロシンに変換する働きを促進したり、チロシンそのものの吸収を高める働きをするということです。
銅
メラニンの材料(チロシン)不足の以外に白髪になる理由として、メラノサイトの機能が低下するということがあげられます。残念ながらメラノサイトの機能が低下するってあんまり理由ってわかっていないのです。おそらく加齢とか遺伝とかっていわれていますが、他にもストレスからでも低下するともいわれています。急激に白髪になっちゃった場合はおそらくメラノサイトの機能の低下と考えていいと思います。
で、メラノサイトという場所でメラニンはチロシンからつくられるといいましたが、メラノサイトでチロシンがチロシナーゼという酵素と結びつくことでメラニンにかわるのです。メラノサイトでチロシナーゼが活性化することでどんどんメラニンに変わっていくことになります。
で、メラニンの機能が衰えているということはチロシナーゼが活性化されていないとも取れます。
このチロシナーゼを活性化させる働きをするのがミネラルの銅です。なので銅を摂取することはメラノサイトの機能改善につながる可能性があるといえます。
まとめ
栄養成分の摂取による白髪の改善策はこんな感じです。
メラノサイトの機能低下については、活性酸素が原因だったり、(色素細胞であるため)細胞そのものの衰えともとれます。なので抗酸化成分をとったり、細胞分裂を活性化させたり、細胞のもととなる成分をとったりすることも重要となりますが、そうなりますときりがないのでここでは省かせていただきます
なので白髪対策としては
メラニンのもとである チロシンorフェニルアラニン
その吸収を高める ビタミンB6
チロシンをメラニンに変える酵素チロシナーゼを活性化させる 銅
この3つの栄養成分をとればいいと思います。メラニンの材料であるアミノ酸に関してはどちらを摂取しても構いませんがより白髪予防に重点を置くのならばチロシンをお勧めします。
結論としてはチロシン、ビタミンB6、銅をとるというのがベストな選択だと思います。
チロシンはメーカーや含有量によりますが1~3カ月分で1500円ぐらい
ビタミンB6はメーカーや含有量によりますが1~2カ月分で500円ぐらい
銅はメーカーや含有量によりますが2カ月分で1000円ぐらいです。
まあ今回の予算が3000円なのでずばりこれがベストだと思います。
いっちゃった・・・
それから月は流れはや3カ月
ピーンポーン
ピーンポーン
ハーイ 今開けまーす
黒くなったというかゴリラになったぞ!!
爺さん、相談教室に来た時、最後まで話を聞いていかなかったじゃないですか。続きがあるのです。
補足
そうです。メラニンを増やすということは髪が黒くなることにつながるというメリットが生まれますが、同時にシミを増やしてします可能性を高めるデメリットも生まれます。
なぜならシミの原因は主にメラニンが過剰に作られることです。過剰に作られてそれが色素沈着することでシミとなります。表皮の基底層にメラノサイトがあるのですが、紫外線を過度に浴びるとそこでできたメラニンが過剰に発生してしまい蓄積してしまうことになります。
なのでメラニンの材料であるチロシンが体内にたくさんある状態で紫外線を浴びるということはシミを増やすリスクを高めているともいえます。
まあとはいっても、白髪が多いということはチロシン不足の可能性が高いので、ちょっと多めにとったからってすぐにそれが肌にシミとなって表れるということはまずないです。
あとですね。一度白髪が生えてくると黒髪に戻ることはないといわれています。特に加齢によって白髪になった場合です(ストレスで白髪になった場合は戻る可能性はある)。
じいさんはいい年なので、じいさんの今ある白髪は基本ずっと白髪のままで、いくら栄養成分をとったところでそれが黒くならないということです。
紹介した栄養成分はあくまでも予防ということです。白髪をこれ以上増やさないことが現実な目標となります。やっぱり加齢によるメラノサイトの機能低下を食い止めるってなかなか難しいのです。あくまでも白髪になる速度を遅らすぐらいの感覚でいたほうがいいと思います。
提案2 白髪改善の話はこうして幕を閉じたのであった・・・・・