イノシトールの評価 A+
イノシトール
イノシトールは水溶性ビタミン様物質です。
以前は水溶性ビタミンの位置づけでしたが、現在はビタミン様物質に分類されています。
ビタミンと似た生理作用をもっている有機化合物のことをいいます。ビタミン同様に代謝において重要な役割を果たします。が、ビタミンの定義から外れているためこのように呼ばれます。
ビタミンの定義は簡単にいうと
「必要量は微量であるが、体内で合成できない」
「合成できたとしてもその量が十分でなく外から取り入れなければならない」
です。
イノシトールは体内ではグルコースから生成されます。
イノシトールはヒドロキシ基の位置によって9つの異性体が存在します。
同じ分子式でありながら構造が違うため、物理的・化学的性質が異なる化合物のことをいいます。
9つありますが、そのうち生理活性を有するのはmyo-イノシトール(ミオイノシトール)です。なのでイノシトールといえば通常myo-イノシトールのことを指しているととらえてください。
イノシトールは動物の体内ではイノシトールまたはイノシトールリン脂質(ホスファチジルイノシトール)の形態で、植物中では主にフィチン酸として存在しています。
イノシトールはホスファチジルイノシトールと呼ばれる「リン脂質」の構成成分で、あらゆる細胞膜に存在しています。特に神経細胞の細胞膜に多く存在しています。
また脂肪の代謝ををよくして肝臓に脂肪がたまらないような働きをします。「抗脂肪肝ビタミン」の別名も持ちます。
イノシトールの摂取により神経機能を正常に保つ効果や脂肪肝予防する効果が期待できます。
イノシトールの効果・効能
細胞膜
細胞は細胞膜に包まれています。
細胞膜は細胞の内側と外側を仕切り細胞内の環境を一定に保ったり、細胞に必要な栄養素や酸素を吸収したり、老廃物の排出をしたり、情報を伝達したりする役割をしてます。
体が正常に機能し、生命を維持するためには必要不可欠な存在です。
細胞膜に含まれているのがリン脂質で、リン脂質の構成成分がイノシトールです。イノシトールは細胞膜にとって重要な存在といえます。
脳
情報伝達に重要な働きをするのは【細胞外からのシグナルを細胞内に伝える】細胞膜です。
リン脂質は細胞膜に含まれている成分で、特に神経細胞の細胞膜に多く含まれています。
細胞膜の主成分であるリン脂質は、脳細胞への栄養素の取り込みや細胞内外への情報伝達のやり取りなどに関わり脳の健康を正常に保つ働きを担っています。
リン脂質の構成成分であるイノシトールはこの働きに貢献しています。
髪
イノシトールは健康な髪を維持する働きをします。そのため育毛成分としても有名です。
「健康な髪を維持する」これは主にイノシトールのもつ脂質代謝促進作用からもたらさせる働きと考えられます。
この作用により、頭皮の皮脂分泌を正常化、肝機能の低下予防、コレストロールの低下などの効果がもたらされ「健康な髪を維持する」働きをすると考えられます。
- 頭皮の皮脂分泌を正常化
→頭皮が健康的になり髪が育ちやすくなる - 肝機能の低下予防
→代謝(髪の栄養素の生成過程)をスムーズにさせる - コレストロールの低下
→血液の流れがよくなる
なおイノシトールは「神経細胞を活性化させるから髪にいい」と言われることもあります。
脂質の代謝
脂肪肝とは肝臓の病気の一つで肝臓に脂肪が蓄積されることをいいます。自覚症状があまりない病気で、日本人の3人に1人が抱えているといわれています。脂肪肝が進行すると肝硬変になり、さらにそれが肝臓ガンにつながるリスクが高まります。
イノシトールは脂質の代謝を促進して、肝臓への脂質蓄積=脂肪肝を未然に防ぐ効果があります。脂肪を多く取ったりアルコールをたくさん飲む人は、脂肪肝になりやすいので、イノシトールを意識して摂取する必要があります。
イノシトールの脂質の代謝を促進する働きは血管にコレストロールが溜まるのも防ぎます。
イノシトールの摂取は動脈硬化をはじめとするさまざまな生活習慣病予防につながります。
心の病気
イノシトールはパニック症候群や強迫性障害などの治療にも有効性が示されています。これはイノシトールの大量摂取(1日10,000㎎以上)により示されました。
脳の健康を保つ働きをするイノシトールは、パニック症候群や強迫性障害といった心の病気の改善にも効果があるといわれています。
イノシトールのサプリメントによくあるキャッチフレーズ集
- 脂肪やコレストロールの代謝に大事な役割をする
- コーヒー、たばこをよく飲む人に
- こってりな食事を好んで食べる方に
- 脳や神経の機能に欠かせない成分
- 細胞膜を構成している成分の一つ
イノシトールの摂取量、不足、過剰
一般的には1日に500mg~2000mgを摂取するといいといわれています。
イノシトールはブドウ糖を材料に体内で合成できますが、合成できる量に限りがあります。脂肪肝や動脈硬化の予防に必要な量をとるには食事やサプリメントから摂取する必要があります。
ただしコーヒーをよく飲む方は注意です。カフェインはイノシトールを大量に消費させます。その場合は、脂肪肝や動脈硬化の発生リスクを高めることになります。
とは言え サプリなどで一度に大量に摂取したりすると、吐き気、めまい、胃痛などを引き起こします。規定されている摂取量をきちんと守って下さい。
イノシトールの豆知識
イノシトールと相性の良い栄養成分
・コリン
・ビタミンB群
イノシトールのレーダーチャート解説
- 6
このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる - 5
このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる - 4
このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる - 3.5
このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない - 3
このカテゴリーになんらかの効果があるもの - 2
このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる - 1
このカテゴリーとは関係ないと思われる
※4以上が摂取目的となっているカテゴリー
イノシトール 総合評価 A+ 14.5
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS 18点
S 16点以上
A+ 14点以上
A 12点以上
B+ 10点以上
B 9点以下
髪(薄毛) 評価4.5
イノシトールには健康な髪を維持して抜け毛を減らす効果が期待できます。脂質代謝を促進する働きや神経細胞を活性化させる働きがその効果をもたらすと考えられます。
肌(美肌) 評価3.5
イノシトールには皮脂の分泌を調整する作用があります。脂性肌、乾燥肌、混合肌どのタイプの方にも強い味方となる成分です。
PDGF-BB
真皮にあるコラーゲン、エラスチンなどの美肌成分は繊維芽細胞から産生されます。
この繊維芽細胞は真皮幹細胞が分化することで生まれます。
真皮幹細胞は血管の周りで安定的に存在できます。安定的に存在できるのは血小板由来成長因子PDGF-BBがあるおかげです。
残念ながら真皮幹細胞&PDGF-BBは加齢とともに減ってしまいます。その結果、繊維芽細胞が減少→美肌成分減少→肌の老化といった負のスパイラルに陥ってしまいます。
イノシトールにはPDGF-BBの発現を高める作用があります。この作用は資生堂の研究により判明しています。
体型(ダイエット)評価5
脂質の代謝を促進する働きをするイノシトールの別名は「抗脂肪肝ビタミン」です。脂肪の代謝をよくして、体内に脂肪が蓄積するのを防ぎます。特に肝臓に脂肪が蓄積するのを防ぎます。なので日本人の3人に1人が抱えている脂肪肝の予防に大変有効といえます。隠れ肥満を防ぐのに有効な成分といえます。
体力(普段)評価5
イノシトールの脂質の代謝を促す働きは、脂質からのエネルギー産生を促進します。脂質は3大栄養素の中で一番の高エネルギー源です。日々活発に生活するために貢献する栄養成分といえます。また脂肪肝や動脈硬化を予防するので、生活習慣病の予防にもなります。
その他(細胞)評価5
イノシトールは細胞の表面を覆っている細胞膜に深く関わっている成分です。
細胞膜は単に細胞を覆っているだけでなく、細胞に必要な物質を供給したり、老廃物の排出をしたり、情報を伝達したりする働きをします。細胞が正常に機能するためには細胞膜の存在が非常に重要となります。