スルフォラファンの評価 S
スルフォラファン
スルフォラファンは、ファイトケミカルの一種で含硫化合物に分類されます。ブロッコリーなどアブラナ科に含まれている ピリッとする辛み成分です。
ファイトケミカルとは野菜、果物、豆類などの植物性食品の色素、香り、アク、辛味などからの成分から発見された化学物質の総称のことです。この色素、香り、アク、辛味などには抗酸化作用や免疫力をあげる効果があります。ファイトケミカルは数千種類~1万種類あるといわれ、大きくポリフェノール、カロテノイド、含硫化合物、糖関連物質、アミノ酸関連物質、香気成分に分類することができます。
含硫化合物は硫黄化合物とも呼ばれています。含硫化合物の特徴は強い刺激臭です。この臭い成分が強力な抗酸化作用、抗菌、殺菌作用をもっています。
含硫化合物も大きく3つに分類することができます。イソチオシアネート(グルコシノレート)類、システインスルホキシド類、ポリスルフィド類の3つです。スルフォラファンはイソチオシアネート(グルコシノレート)類に分類されます。
スルフォラファンはブロッコリーに多く含まれている成分ですが、ブロッコリーのなかでもブロッコリースプラウトに多く含まれています。ブロッコリースプラウトとはブロッコリーの新芽のことです。
ブロッコリースプラウトにはスルフォラファンがブロッコリーの約10倍含まれているといわれています。
SGS
厳密にいうとブロッコリースプラウトなどの植物の細胞に含まれているのはスルフォラファンでなく、前駆体であるスルフォラファングルコシノレート(SGS)という物質です。噛んだり刻んだりすることで植物細胞が壊れ、その植物に含まれているミロシナーゼという酵素と反応することでスルフォラファンに変化するという仕組みになっています。
スルフォラファンのの摂取目的
スルフォラファンの摂取目的は「抗酸化」と肌「美白」、体型「ダイエット」です。
体型 「ダイエット」
その他「抗酸化」
スルフォラファンの効果・効能
抗酸化作用
スルフォラファンは体内の抗酸化酵素SODの活性化や抗酸化物質グルタチオンの生成にも関わるっているため、他の抗酸化物質とは変わった抗酸化作用をもっているといえます。
・抗酸化酵素の活性化
スルフォラファンには体内にある抗酸化酵素を活性化させる働きがあります。
体内にはSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という抗酸化酵素がありますが、この酵素の生成量は加齢とともに減っていきます。スルフォラファンはこのSODを活性化させ、生成を促す働きをします。
抗酸化物質には体内で生成されるSODなどの抗酸化酵素を活性化させ、その働きを長期的に持続させる力を持つものと、活性酸素が発生しているエリアで直接働き短時間で活性酸素を除去するものがあります。
スルフォラファンは前者の働きするを抗酸化物質といえます。特に体内でのこの作用の持続力が長いといわれ、3日間は続くといわれています。
例えばビタミンCの抗酸化作用は活性酸素が発生しているエリアで直接働きますが、その効力は数時間と言われてます。
・グルタチオンの生成
またスルフォラファンは抗酸化物質グルタチオンを生成を促します。グルタチオンは3つの非必須アミノ酸グルタミン酸、グリシン、システインが結合しているトリペプチドです。グルタチオンはそれ自体強い抗酸化力を持っていますが、他の抗酸化物質の失われた抗酸化力を蘇らせる働きもします。グルタチオンはビタミンCの抗酸化力を蘇らせる働きをします。
ビタミンCは2種類あります。還元型ビタミンC(アスコルビン酸)と酸化型ビタミンC(デヒドロアスコルビン酸)です。
ビタミンCは体内に取り込まれると細胞の代わりに自らが酸化されることで活性酸素を除去します。酸化される前、つまり抗酸化作用をもったビタミンCが還元型ビタミンCで抗酸化作用を失ったビタミンCが酸化型ビタミンCです。
グルタチオンはこの酸化型ビタミンCに働きかけ、もとの還元型ビタミンCに戻す働きをします。
簡単にいうとグルタチオンが体内で働いている限り、ビタミンCの抗酸化力がリサイクルされていくというということです。
肝機の解毒作用
肝臓は3大栄養素の代謝、アルコールなどの有害物質の解毒、胆汁の生成に関係していて「体内の化学工場」と呼ばれているほど重要な臓器です。
スルフォラファンはこの肝臓の3つの主要な働きのうち、とくに解毒に関わっています。
肝臓には有害物質を解毒して無毒化するための解毒酵素グルタチオン S-トランスフェラーゼが備わっています。この酵素が重金属の有害物質を無毒化したり、排出したりする作用をもっています。
スルフォラファンにはこの解毒酵素を生成を促進する働きがあります。
加齢とともに体内でこの解毒酵素を生成する力は衰えていきます。
スルフォラファンはこの生成のサポートをするため、肝臓の解毒作用を高めることに大いに貢献しているといえます。
二日酔い予防
アルコールは腸で吸収され、血液の流れにより肝臓に運ばれ分解されます。
肝臓でアルコールはアセトアルデヒドという有害物質に分解されます。このアセトアルデヒドは、吐き気、頭痛といった「二日酔い」の症状の原因とものです。
アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素によって分解され、尿、汗などなって体外に排泄されることで二日酔いの症状が治まるといわれています。
研究によりスルフォラファンにはアセトアルデヒド脱水素酵素の代謝を活性化させる働きがあることがわかっています。スルフォラファンの摂取は二日酔いの予防にもつながります。
美白効果
メラニンは肌の基底層にある色素細胞メラノサイトでアミノ酸の一種チロシンを材料に作られます。メラノサイトでチロシンと酸化酵素チロシナーゼが結びつくことでメラニンが生成されますが、チロシナーゼが活性化されると過剰にメラニンが生成されてしまいます。過剰に作られたメラニンが、ターンーオーバーとともに排出されなければ色素沈着を起こしシミとなります。
紫外線を浴びると活性酸素が大量に発生し、それが皮膚組織に入り込みメラノサイトを刺激することでチロシナーゼが活性化されます。
スルフォラファンにはチロシナーゼの働きを抑制する効果があります。摂取することでシミの原因となるメラニンが作られにくくなるため、美白効果があるといえます。
ピロリ菌
ピロリ菌は胃の粘膜に住みつき、胃の壁を傷つける細菌です。
ピロリ菌は除菌しない限り、胃の粘膜に住み続けてしまいます。そうするとピロリ菌は胃の粘膜内で有害物質を発生させ、胃の粘膜を弱め、弱まった場所が胃酸などの攻撃を受けやすい状態となります。結果、胃炎、胃潰瘍など胃の病気を引き起こします。
スルフォラファンには抗菌作用があり、その作用はピロリ菌を除菌する効果が高いと言われています。
スルフォラファンのサプリメントによくあるキャッチフレーズ集
- 肝心要の健康に
- 美容、ダイエット、健康に気を使っているかた注目
- 話題のスーパーフード成分
- アルコールをよく飲むかた
- 毎日の食事から取るのが大変な成分、サプリメントで気軽に摂取
スルフォラファンの摂取量、不足、過剰
この量を食事からとるとしたら例えば、ブロッコリー1房(300g)やブロッコリースプラウト1.5パックが必要です。
食事からでは継続して摂取することはなかなか難しいといえるので、サプリメントで取ることをお勧めします。
5大栄養素と違い生命維持のために必須なものではないので、不足によりどうこうといったことはありません。
ただスルフォラファンには美容、健康に関わる多くの効果があるため、不足しているとその効果を得ることができないことになります。
だからといって過度に摂取することは絶対禁止です。多く飲めばそれだけ効果が得られるというわけではありません。推奨されている量を継続して摂取することで最大限の効果を得ることができるといえます。
スルフォラファンの豆知識
ブロッコリースプラウトなどの植物の細胞に含まれているのはスルフォラファンでなく、前駆体であるスルフォラファングルコシノレート(SGS)という物質です。
植物の細胞が嚙んだりして破壊されると、一緒に含まれているミロシナーゼという酵素が発生します。スルフォラファングルコシノレート(SGS)は、ミロシナーゼと結合することでスルフォラファンに変化します。
よく噛まなければ、スルフォラファンに変化させることなく体内に取り入れられることになります。
また加熱するとミロシナーゼの働きがなくなってしまうので、ブロッコリースプラウトは生のままよく嚙んで食べるのが理想的な食べ方です。
スルフォラファン含有量は通常のスプラウトと比べ2倍ほど多くなっています。スルフォラファンの効果・効能をより感じたい人は「スーパー」のほうを選択するといいと思います。
当然ですが値段は高くなります。
ブロッコリーからスルフォラファンを摂取する場合、注意すべき点があります。
ブロッコリーを食べる場合は茹でてから食べるのがほとんどだとおもいますが、茹でてしまうとミロシナーゼという酵素が溶け出してしてしまいます。そうなるとブロッコリーに含まれているスルフォラファングルコシノレート(SGS)がスルフォラファンになる量は大幅に減ってしまうことになります。
この場合、大根おろしと一緒にして食べることをお勧めします。大根おろしにはミロシナーゼが含まれているので、茹でたことで失ったブロッコリーのミロシナーゼを補うことができます。
ブロッコリーと大根おろしを一緒に食べることで、口の中でスルフォラファンが作られることになります。
スルフォラファンのイメージ
ブロッコリースプラウト
とにかくブロッコリーの力満載
スルフォラファンと相性の良い栄養成分
・SOD
・ビタミンC
・カルシウム
・グルタチオン
スルフォラファンの勝手にランキング
肌(美白)部門 第7位
体型(ダイエット)部門 第10位
スルフォラファンのレーダーチャート解説
- 6
このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる - 5
このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる - 4
このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる - 3.5
このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない - 3
このカテゴリーになんらかの効果があるもの - 2
このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる - 1
このカテゴリーとは関係ないと思われる
※4以上が摂取目的となっているカテゴリー
スルフォラファン 総合評価 S 16.5
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS 18点
S 16点以上
A+ 14点以上
A 12点以上
B+ 10点以上
B 9点以下
髪 評価3.5
ある大学の研究でブロッコリースプラウトのエキスにより毛乳頭細胞が1.8倍増殖、毛母細胞内にある成長因子が1.4倍増殖したという結果がでました。毛乳頭は毛母細胞に髪を生み出したり成長させたりするための指示を出す役割をしています。なので発毛に大きく関係しています。1.8倍増殖されるということはそれだけ発毛を促し、発毛の確率をアップさせるといえます。
このことがスルフォラファンが発毛効果をもっているとは必ずしも言い切れません。あくまでもブロッコリースプラウトのエキスの研究結果だからです(ブロッコリースプラウトにはスルフォラファン以外にもたくさんの栄養素が含まれています)。
ただしスルフォラファンには抗酸化作用もあります。頭皮にある毛母細胞、毛乳頭細胞の酸化を防ぐ働きがあるので薄毛対策にはなると思います。
肌(美白)評価6
スルフォラファンの抗酸化作用は、肌にある細胞が活性酸素と結びつき酸化するのを防ぐ効果があります。そのためシミやしわの予防・改善につながるといえます。
また抗酸化作用とは別に、スルフォラファンにはチロシナーゼという酵素が活性化するのを抑制する効果があります。
メラノサイトでチロシンと酸化酵素チロシナーゼが結びつくことでメラニンが生成されますが、チロシナーゼが活性化されることで過剰にメラニンがつくられます。過剰に作られたメラニンが、ターンーオーバーとともに排出されなければ色素沈着をおこしシミとなります。
チロシナーゼの働きを抑える効果があるスルフォラファンは美白予防に適した成分といえます。
体型(ダイエット)評価5
スルフォラファンの肝機能を高める効果はダイエットにもいいかもしれません。
肝臓は糖質、脂質といった栄養素の代謝にかかわっている臓器です。この2つは大きなエネルギー源となりますが、しっかりと代謝がおこなわらなければ、中性脂肪となり体内に溜まる可能性があります。また肝臓は基礎代謝の約3割を担っている臓器といわれています(数値の諸説あり)。肝機能を高めることは、基礎代謝をあげることになります。エネルギー消費がされやすい体となり太りにくくなります。
こう考えるとスルフォラファンを摂取することは肥満予防になるといえます。
また、ある研究でスルフォラファンには脂肪細胞に働きかけ脂肪燃焼を促す働きがあり、体重を減らしたり内臓脂肪を減少させると効果があることが実証されています。
ダイエット目的で摂取することもお勧めできます。
体力(普段)評価3
体内に取り込まれる有害物質の中には当然ですが発がん性物質も含まれています。発がん性物質が取り込まれると細胞が変異しがん発生のリスクを高めることになります。肝臓には有害物質を解毒して無毒化するための解毒酵素が備わっており、この発がん物質も取り除きます。
この解毒酵素の生成に関わっているのがスルフォラファンです。スルフォラファンを摂取することはがん予防になるといえます
その他(抗酸化)評価5.5
スルフォラファンの抗酸化物質としては特徴は「体内にある抗酸化酵素(SOD)の働きを活性化させる」と「その作用の持続力が長い」ということです。
体内に備わっている抗酸化酵素の生成量は加齢とともに減っていきます。
スルフォラファンはこの抗酸化酵素を活性化させ、生成を促す働きをします。またこの生成を促進する働きは3日間続くといわれています。
他の抗酸化物質にはあまり見られない働きをする点が魅力的です。
スルフォラファン雑感
抗酸化物質を毎日意識して取っているでしょうか?でしたら何の抗酸化物質をとっていますか?
抗酸化物質っていろいろありますが、そのうちの一つをとっていればいいというわけではありません。
というのも、そもそも活性酸素が数種類あるためその活性酸素ごとに効果がある抗酸化物質を取らなければいけません。それだけではなく抗酸化物質には水溶性と脂溶性があり、体内で働くエリアが違ってきます。
順を追って説明します。
まずは活性酸素の種類についてです。
活性酸素には主に4種類(スーパーオキシド、過酸化水素、一重項酸素、ヒドロキシラジカル)があります。当然ですがひとつの抗酸化物質で、4つの活性酸素すべてを消去できるわけではありません。活性酸素ごとに効く(効果が最もある)抗酸化物質が異なっています。
例えば一重項酸素は紫外線から発生する活性酸素ですが、一重項酸素に効く抗酸化物質はアスタキサンチンやリコピンといったカロテノイド類です。この活性酸素に対する抗酸化作用は、ビタミンCやビタミンEにもありますが、アスタキサンチンはその6000倍(ビタミンC)、550倍(ビタミンE)の力を持っています。同じ抗酸化物質でも活性酸素の種類によってこれだけの効力の差があります。
次に抗酸化物質が体内で働くエリアの話に移ります。
水溶性であるビタミンCは細胞膜の内(細胞質)や外で働きますが、脂質でできている細胞膜では働くことが出来ません。
この絵は細胞を表しています。緑の縁が細胞膜だとするとビタミンCはその内(細胞質)かその外の液体(空白部分)のところでしか作用しないということになります。
一方脂溶性であるビタミンEは上の絵でいうところ緑の縁である細胞膜で働きます。水溶性のエリアである細胞膜の内(細胞質)や外で働くことはありません。
さらにいうと細胞膜の中でも働くエリアが限られています。ビタミンEは細胞膜の内側でしか働きません。
これは細胞膜を拡大している絵ですが、ビタミンEは内側である縦線ラインがつらなっている部分でしか働きません。両端の〇部分では抗酸化力を発揮できないのです(〇部分は水溶性のエリアです)。
このように抗酸化物質と一括りにしても、その抗酸化力が効く活性酸素が違っていたり、働くエリアが違ったりしています。
そのため体内で抗酸化ネットワークを張り巡らして、体内のいろんな場所やさまざまな活性酸素の種類に対応できるようにしているのです。
抗酸化物質は活性酸素を除去するために体内でお互い助け合いながら働いています。このことを「抗酸化ネットワーク」を形成していると表現しています。
抗酸化物質はネットワークを形成することで、異なる活性酸素を消去したり、酸化された他の抗酸化物質の抗酸化力を蘇らせたりして単体で働くより大きな抗酸化力を発揮します。
えーと
なにが言いたいのかというといろんな抗酸化物質をとらないと体のサビを防げないということです。
さきほど活性酸素は4種類あるといいましたが、そのうちスーパーオキシド、過酸化水素の2つを除去するメインの働きをするのは体内にある抗酸化酵素です。
スーパーオキシドを除去するのがSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という抗酸化酵素で、過酸化水素を除去するのがカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼといった抗酸化酵素です。
こういった抗酸化酵素が体内に備わっているためスーパーオキシドや過酸化水素からの攻撃を防げるといえるのですが、加齢とともにこの酵素の生産する力が減ってしまいます。
抗酸化酵素が減っていくことが体のサビの原因となっていき、老化が促進するといえます。抗酸化物質で補うというのも手ですが、出来る限り体内にある抗酸化酵素を減らさないことが重要となっています。ちなみにスーパーオキシドはエネルギーを生み出すときにでてきちゃう活性酸素なので、生きてる限り発生する非常にポピュラーな活性酸素です。
前置きがものすごくながくなってしまったのですが、ここでスルフォラファンが登場します。
この加齢とともに減っていくSOD、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼといった抗酸化酵素の生成を促進するのがスルフォラファンなのです。
そしてこのスルフォラファンの抗酸化酵素を生成を促進する効果は3日間続きます。
抗酸化物質には体内で生成される抗酸化酵素を活性化させ、その働きを長期的に持続させる力をもつものと、活性酸素が発生しているエリアで直接働き短時間で活性酸素を除去するものがあるのですが、
スルフォラファンはまさしく前者にあてはまります。
今まで紹介してきた抗酸化物質で前者のパターンってなかったと思います。ほとんどが後者の活性酸素が発生しているエリアで直接働き短時間で活性酸素を除去するものだったと思います。
いろんな側面で活性酸素の除去を考えたときに、この抗酸化酵素の生成を促進する働きがあるスルフォラファンは老化を遅らせるための鍵を握る成分といえそうです。