レシチン

レシチンの評価 A+

レシチン

レシチンには狭義のレシチン広義のレシチンがあります。
.
狭義はグリセロリン脂質のPC(ホスファチジルコリン)のことをいいます。
広義はリン脂質を含む製品全体の総称のことを言います。

このレシチンのレビューは、主に「総称」のほうで話を進めます。

 

リン脂質

リン脂質は大別するとグリセリンを骨格とする「グリセロリン脂質」とスフィンゴシンを骨格とする「スフィンゴリン脂質」の2種類に分類されます。


出典元
卵黄レシチンとは
ファインケミカル
キューピー(株)

グリセロリン脂質

ホスファチジン酸【グリセリンと脂肪酸2分子、リン酸1分子がエステル結合】リン酸に塩基が結合

代表的なグリセロリン脂質

  • PC  ホスファチジルコリン 
  • PE  ホスファチジルエタノールアミン
  • PS  ホスファチジルセリン 
  • PI  ホスファチジルイノシトール 
  • PA  ホスファチジン酸
 
スフィンゴリン脂質

セラミド【スフィンゴシンのアミノ基に脂肪酸1分子がアミノ結合】リン酸と塩基が結合

  • SPM スフィンゴミエリン 

.
食品やサプリなどから摂取する「レシチン」は 基本 大豆および卵黄などに含まれている「リン脂質の混合物&他成分」のことを指しています。

 

大豆と卵黄のレシチンの組成

大豆と卵黄に含まれている「レシチン」は上記したリン脂質が含まれています。ただし組成は異なります。

大豆レシチンの組成例

・リン脂質 47%
・他成分  53%
※脂肪酸や炭水化物・糖脂質など

47%のリン脂質の内訳

  • PC  15%
  • PE 11%
  • PI  10%
  • PA 4%
  • その他 7% 

※円グラフは比率計算したものです。

 

参照
(案)添加物評価書 ひまわり レシチン P9 6-表3  2013年6月 食品安全委員会添加物専門調査会PDF

 

 

卵黄レシチンの組成例



・水分 50%
・たんぱく質 17%
・脂質 33%

上記 脂質の内訳

  • トリアシルグリセロール 65%
  • リン脂質 30%
  • コレストロール 5%

 

上記 リン脂質の内訳

  • PC  80%
  • PE 16%
  • SPM  2%
  • LPC 2%

 

参照
卵黄レシチンとは キューピー(株)

 

レシチンを摂取することで

【リン脂質の混合物である】レシチンを摂取することで「リン脂質」の機能そのものを高めることができると考えてください。

リン脂質の機能とは

細胞膜の構成成分として

  • 栄養素や酸素の取り込みをする
  • 不要な老廃物や有害物質の排出をする
  • 浸透圧の調整する
  • 刺激に対して応答をする

.
乳化作用の性質
により

  • 血中の脂肪の運搬をスムーズにさせる
  • コレストロールを低下させる

.
などです。

 

また狭義のレシチン(PC=ホスファチジルコリン)がコリンの補給剤として活躍します。なのでレシチンを摂取することで生体内のコリンを増やす=アセチルコチンを増やすことができます。

アセチルコリンの働き

  • 集中力・記憶力を向上させる

.
などです。

 

レシチンサプリについて

サプリメントの「レシチン」は別途記載がない限り原料は大豆由来です。

.
原料が卵黄由来の場合は、「卵黄レシチン(Egg Yolk Lecithin)」で、
原料がヒマワリ由来の場合は「ヒマワリレシチン(Sun flower Lecithin)」
といった商品名で販売されているはずです。

 

 

レシチンの効果・効能

細胞膜の構成成分として

リン脂質混合物であるレシチンは細胞膜の構成成分として活躍します。
順を追って説明します。

 

 脂質二重層 
こちらは細胞膜にクローズアップしたイラストです。

出典元
もっと知りたい!!PSについて 
健康専科 日油(株)食品事業部

細胞膜は
リン脂質【丸〇とその下に2つついているヒラヒラ】

の列を一層として、2層が重なっている構造をしています。
この構造を脂質二重層といいます。

脂質二重層は「脂質で構成されている」2層なのですが、ご覧の通り大部分がリン脂質です。なのでリン脂質二重層とも呼ばれます。
なおリン脂質の隙間にコレストロールが存在します。

リン脂質の種類

主要なリン脂質は
1つの極性基(〇の部分)=頭部と
2本の脂肪酸(2つのヒラヒラの部分)=尾部を持ちます。

極性基の種類でリン脂質の名前が決まります。
例えば極性基がホスホコリン=リン酸化したコリンであればPC(ホスファチジルコリン)です。

ホスファチジルコリンの構造

出典元
ホスファチジルコリン
ウィキペディア

 リン脂質の性質 
リン脂質は
極性基(頭部=〇)は水になじみやすく→親水性


脂肪酸(尾部=ヒラヒラ)は水になじみにくく→疎水性
なっています。

このイラストの白いスペースが細胞の内外だとイメージしてください。


頭部=親水性が細胞内外つまり水の部分に接する部分に位置しています。
そして尾部=疎水性は内側に入っていき、水から遠ざかるような場所で接しています。

細胞膜はこのような

【親水性部分が外側に向いている】
膜全体は水の部分(細胞内外)の環境になじむ

【疎水性部分が内側に向いている】
水との接触をさける

.
リン脂質の二重層になっているため

【溶媒・小さな分子は通す】けど
【溶質・大きな分子は通さない】


といったメカニズムになっています。

なので細胞の内側、外側をしっかりと区切ることができ細胞の内側、外側と異なる環境を作りだすことができます。

 

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 細胞膜の機能 

このような性質をもつ細胞膜は

  • 栄養素や酸素の取り込み
  • 不要な老廃物や有害物質の排出
  • 浸透圧の調整
  • 刺激に対する応答
    細胞膜上の受容体があります。細胞外のシグナル分子と結合すると情報が伝達されます。

.
といった細胞の「機能」を果たします。

 

 レシチン 

細胞膜の主成分はリン脂質です。

リン脂質にはさまざま種類があり、共存することで「リン脂質」として機能します。
すなわちリン脂質(=リン脂質を構成する成分)が十分であれば「細胞膜」が機能=「細胞」が機能することになります。
なのでリン脂質(=リン脂質を構成する成分)を摂取することは必須となります。

「リン脂質(=リン脂質を構成する成分)を摂取する」この言葉にピッタリあてはまる成分がレシチンです。
レシチンは様々なリン脂質が含まれている「リン脂質混合物」です。

レシチンを摂取することは 細胞膜の活性化=細胞の健康維持 につながります。

 

 

脳を活性させる

脳は臓器の中で最も脂質を多く含んだ組織といわれています。
レシチンは脳を活性化させる成分として有名です。理由を説明します。

広義のレシチン(リン脂質混合物)と狭義レシチン(PC=ホスファチジルコリン)とわけて説明します。

リン脂質混合物として
①脳の細胞膜の構成成分

成人の脳の乾燥重量の約6割は脂質で構成されています。
総脂質の半分はリン脂質で構成されます。

脳の構成成分リン脂質として、レシチン(リン脂質混合物)が重要となります。

 
PCとして
②脳内の神経伝達物質アセチルコリンを増やす

アセチルコリンは神経細胞内でコリンとアセチルCoAを基質にして酵素ChATの作用により生成されます。

 
出典元
アセチルコリン
脳科学辞典

アセチルコリンの合成の鍵を握るのはコリンです。なぜならコリン【の細胞外から細胞内の取り込み】がアセチルコリン合成の律速段階となっているからです。

コリンは生体内で合成できますが、その量は極めて少ないです。基本的に「合成できない成分」と考えてよいと思います。
なので体内のコリンを増やすためには外からのコリンおよびその前駆体の摂取が大切となります。

アセチルコリンを脳内に増やすために脳内にコリンをいかに供給できるかが重要となります。

脳内に「物質」を取り入れるには血液脳関門を通過しなければなりません。

まずアセチルコリンそのものは血液脳関門を通過することができません。さらにいえばコリン分子は血液脳関門を通過することができません。

そのため【コリンの前駆体あるいはコリンの供給剤】で血液脳関門を通過できるものを体内に取り入れることが脳内のコリンを増加→アセチルコリンを増加させることになります。

レシチン(PC=ホスファチジルコリン)は【コリンの前駆体あるいはコリンの供給剤】で血液脳関門を通過できるものの1つです。

コリン補給剤の種類とその特徴

成分名 分子量 特徴
α-GPC 256 血液脳関門(BBB)を通過する
摂取量2.5倍
PC
(ホスファチジルコリン)
753
(脂肪酸C18)
BBBを通過する
摂取量7.5倍
塩化コリン 140
(コリン:104)
BBBを通過する
トリメチルアミンによる魚臭様汗と体臭
アセチルコリン 146 BBBを通過しない
CDP-コリン
(シチコリン)
488 BBBを通過する
医薬品(意識障害治療薬)

引用元
もっと知りたい!!α-GPCについて 
健康専科 日油(株)食品事業部

脳内のコリンの供給源として、レシチン(PC)は活躍します。

.
①②よりレシチンの摂取は記憶力や集中力の向上につながります。
また認知症・アルツハイマーなどの病気の予防になります。

 

レシチンのサプリメントによくあるキャッチフレーズ集

  • 記憶力や集中力のサポートに
  • 細胞膜を構成する大事な栄養成分
  • 細胞の健康を維持して、若々しい肌に
  • 脂肪分にも水分にもなじむ乳化作用がある
  • ドロドロな血液の巡りをサラサラに

 

 

レシチンの摂取量・不足・過剰

レシチンの摂取量
レシチンの摂取量は厚生労働省が策定している「食品摂取基準」で定められていません。

 目安の摂取量の一例 

目安摂取量(大豆レシチン)の一例は以下です。

5~10g/日 健康維持に
2~10g/日 コリンの供給源として

参照 研究情報 レシチン (株)Jオイルミルズ

 実際の摂取量 
日本人のレシチンの摂取量は

約3g/日

推測されています。

参照 研究情報 レシチン (株)Jオイルミルズ

実際の摂取量は目安摂取量(の一例)に少し足りていません。
サプリを活用するのも一つの手です。

※なおレシチン以外からもコリン補給剤をとっている場合は、摂取量を減らすなど調整してください。

 
レシチンの不足
細胞膜のリン脂質の主成分であるレシチン(総称のほう)が不足すると細胞が正常に機能しなくなります。
またレシチン(PSのこと)は神経伝達物質アセチルコリンの材料です。不足すると記憶力の低下につながります。
 
レシチンの過剰
レシチンは自然由来の成分なので安全です。通常の食生活を送っている限り、またサプリの目安摂取量をしっかり守っていれば、副作用はまずないと考えられます。

サプリのレシチンの原料は特に記載がなければ大豆です。大豆に対するアレルギーをお持ちのかたは、大豆以外が原料になっているサプリを選んでください。

レシチンの豆知識

体内のレシチン
体内のレシチンの総量は約600gと言われています(体重60Kgの場合)。
 
乳化作用
レシチンには乳化作用があります。これは【両親媒性】の性質が関係しています。

両親媒性

水との親和性が高く、水に溶けやすい性質のことを親水性といいます。
水との親和性が低く、水に溶けにくい性質のことを疎水性といいます。


出典元
水と油が仲良く同居 ―乳化と可溶化―
化粧品の基礎知識
日本化粧品工業連合会

分子内に親水基と疎水基を併せもっている分子を両親媒性分子といます。両親媒性物質は界面活性剤とも呼ばれます。
※ここでは疎水基=新油基と捉えてください

そのため水と油をなじませミセルを形成する性質があります。


出典元
水と油が仲良く同居 ―乳化と可溶化―
化粧品の基礎知識
日本化粧品工業連合会

この性質が「血中脂肪の運搬」や「細胞膜の構成」に大きく役立ちます。

 
羊水
羊水にはレシチンが存在します。胎児が生きていく上で必要な成分です。
妊娠中は、羊水中に一定のレシチン濃度が必要となります。

 

レシチンと相性の良い成分

・ビタミンC

リポソーム型ビタミンC

リポソーム型ビタミンCは【水に溶けやすく体外に排出されやすい】ビタミンCをリポソームで包みこむことによって、その吸収力と持続性を最大限まで高めます。
「細胞までしっかり行く届く」これがリポソーム化のウリとなっています。

それではどのようにリポソーム化するのかというと「リン脂質」を用いてです。リン脂質でできたカプセルにビタミンCを閉じ込めることで細胞までしっかり行き届けます。
このリン脂質は、主に大豆またはヒマワリ由来のレシチンが原料です。

レシチンのレーダーチャート解説

評価基準

  • 6 
    このカテゴリーに効果があることで有名。即効性があったり、継続して摂取することで効果を感じる
  • 5 
    このカテゴリーに効果があることで有名。継続して摂取することでなんとなく効果を感じる

  • このカテゴリーに効果があるといわれている。効果が得られることを期待して飲んでいる
  • 3.5 
    このカテゴリーに効果があるといわれているが、個人的に摂取目的としていない

  • このカテゴリーになんらかの効果があるもの

  • このカテゴリーとはあまり関係ないと思われる

  • このカテゴリーとは関係ないと思われる

※4以上が摂取目的となっているカテゴリー 

 

 

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レシチン 総合評価 A+ 15.5

 総合評価について
5つのカテゴリーのうち、評価が高い上位3つのカテゴリーを足したものです。「B~SS」でつけています。
SS  18点
S  16点以上
A+ 14点以上
A  12点以上
B+ 10点以上
B  9点以下

 

 髪(薄毛)評価5 
細胞膜は細胞内に必要なものを取り入れる & 細胞外に不要なものを排出する役割を果たしています。


髪に必要な栄養素や酸素は毛乳頭細胞の「細胞膜」を通して細胞内に取り入れられています。
栄養素を受け取った毛乳頭が毛母細胞に発毛の「シグナル」をだし、毛母細胞が細胞分裂をすることで、髪が生まれ育っていきます。

細胞膜の主成分はリン脂質です。
レシチンはリン脂質の混合物です。
レシチンの摂取はリン脂質の機能=細胞膜の機能を高めることになります。

 

 肌(美肌)評価5 
レシチンは以下の3点より美肌作りに有効な成分と考えられます。

  • 肌の新陳代謝
    レシチンは細胞膜の構成に必須のリン脂質(の混合物)です。その摂取は細胞の活性化につながります。細胞の活性化は肌の新陳代謝を促進させます。
  • 血流改善
    肌の細胞に栄養素や酸素を運ぶのは血液です。乳化作用をもつレシチンにはコレストロールを減らすことで血流を改善する働きがあります。
  • 脂溶性ビタミンの吸収を高める
    乳化作用をもつレシチンには脂溶性ビタミンの吸収を高める働きがあります。脂溶性ビタミンはビタミンE、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンKです。

 

 体型(ダイエット)評価5 
脂肪が【エネルギーとしてあるいは貯蔵物質として利用するために】血中を移動するにはアポたんぱく質という水になじみやすいたんぱく質に結びつく【=リポたんぱく質を形成する】必要があります。

中性脂肪とコレステロールを中心にしてリン脂質を主成分とする膜で覆い、その膜がアポたんぱく質と結合するとリポたんぱく質が形成されます。

出典元
総コレステロール
おもな検体検査:血液生化学検査
日経Gooday

リポたんぱく質の形成にリン脂質は必須です。リン脂質の混合物であるレシチンを摂取することで肝臓におけるリポたんぱく質の合成がスムーズにいき、脂肪の代謝促進につながります。レシチンにはダイエット効果が大いに期待できます。

 

 体力(普段)評価4.5 
レシチンの摂取は生活習慣病予防になります。

◆動脈硬化
レシチンは血管壁内コレストロールの沈着を防ぎます
レシチンのコレストロール低下作用は以下2つです。

 

①レシチンは血液中の脂質の運搬を促し血液中のコレステロール値を低下させる。

②レシチンはLDLコレステロール(悪玉コレストロール)を減らして、HDLコレステロール(善玉コレストロール)を増やす働きがある。

◆糖尿病予防
レシチンにすい臓でのインスリンの分泌を活発にし糖代謝を促進する働きがあるとされます。

 

 その他(脳)評価5.5 
レシチンは脳を活性化させる成分として有名です。
理由は以下です。

①脳の細胞膜の構成成分である→リン脂質混合物として

②脳内の神経伝達物質アセチルコリンを増やす→コリンの供給源として

レシチンの摂取は記憶力や集中力の向上につながります。
また認知症・アルツハイマーといった病気の予防になります。

 

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レシチン 参照一覧

脂質系栄養素:コリンの普及に際し、アメリカの現状から J-STAGE

脱アシルリン脂質 : グリセロホスフォコリンの調製と中枢賦活機能剤の開発 J-STAGE

バクテリア由来新規ホスホリパーゼ J-STAGE

α-GPCについて  健康専科 日油(株)食品事業部

もっと知りたい!!α-GPCについて 健康専科 日油(株)食品事業部

 

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